梨花 2021-03-18 09:01:48 |
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カイ『お前…さっきの…!』
Comet「余計な事を───(後ろから脇腹を蹴られ、そのまま蹴り飛ばされ壁に打ち付けられる)かっ…!」
アイラ「誰だか知らないけど、ありがとう。未夢を守ってくれて」
アイラ「今のうちに逃げよう、未夢」
未夢「う、うん…」
Comet「っ…逃がすかぁ…!(脇腹を抑えながら立ち上がる)」
カイ『無理に立ち上がんない方がいいよ、折れた肋骨が肺に突き刺さるよ』
Comet「そんなの私には関係ない。折れてようが折れてなかろうが、私にとっては大した問題じゃない。ここであんたを逃したら他の奴に捕まる可能性がある…だから(アイラに飛びかかり、アスタロットノヴァを振るう)あんたは私がここで殺すのぉ!!!!!」
アルト「…ククッ、みっともねぇなぁぁ?(腕に灰色の何かを纏いアスタロットノヴァの刃先にそれを纏わせ受け止める)…数年ぶり……いや、少しは面白いと思ったものを〝何十年ぶり〟かに見たと思ったら大して面白くないじゃないかぁ……興醒めだなぁ?」
有有「では、我々はこれから友人だな。君たちのためであれば、情報収集でも君達にとって命に関わることでも、思い当たる限り全てのことをしてみせよう。私は烏有、空っぽなんだ。虚無を殺せるものはそう居ない……ふむ、一方的に喋るのもつまらない。何か質問はあるか?依頼してくれても構わないぞ…そうだ、私の力は秘密だ。この秘密主義者がなるべく能力は隠しておけと口煩く言ってくるからな」
恕足「今日は良く喋りますね~、何か良いことでもありましたか?随分と優等生ぶっているようにみえますが」
有有「今さら遠慮するような仲でもない、私はお前以外には丁寧に対応するつもりだ」
Comet「そこ退いてよ…渡したくない、ここでそいつを殺したいの!!!!その希望を、私が壊したいの!!!!!」
カイ『な、なんだよこいつ…聞いてた以上にヤバい奴じゃん…!』
花穏「あ、では…好きな食べ物とかをお聞きしてもいいでしょうか?」
アルト「…断る☆ (ニヒルな笑みを浮かべる)というか何故高次元の生命体である私が君の頼みを聞かねばならんのだね『人間』君~……あぁ、だが私の正体を言い当てられたらこいつらを好きにすればいいさ」
アルト「ほらほら、私の正体を見破ってみせたまえよ、後ろの救世主とやらを殺したいんだろう?私はなぁ、知的好奇心と欲求、後は面白さがあればあとは何だっていいんだよ、誰が死のうが構わんし興味もない……あと私はこういうクイズが好きでなぁ?」
アルト「ッククク………ハハハッ……愚直だなぁ…!!!だから人間は哀れで仕方がない……!!!(灰色の何かしらの力が半透明な円状に展開されて攻撃を防ぐ)…………ふむ、この首輪……邪魔だなぁ、上手く力が出ん(黒鉄の首輪に触れる)」
アルト「はぁ、クソ……評議会め、呪ってやるぞクソッタレが……こんなもので私を制御しようだなんて、考えが愚直すぎなんだよなぁぁ……!!!まぁいい、これのお陰で『魔術師の真似事』で遊べるのだから……ある意味感謝しなくてはだな!!!(Cometの前方に黒い渦が現れそこから赤黒い数本の触手が鞭のように畝り攻撃を仕掛ける)」
Comet「(触手を切り裂いていく)邪魔くさいなぁ…!」
カイ『そうか…そういう事だったのか…!アイラ、未夢、もしかすると彼は僕達の味方かもしれない!』
未夢「え、どういう事?二人を狙ってたんじゃないの?」
カイ『危険な術者が収監される術者専門の監獄『タルタロス』、タルタロスの中でも危険な囚人は力を制限する為の首輪が付けられるんだ』
アイラ「かんごく…?しゅうじん…?」
アルト「おいそこぉ!私をあそこにいる他の馬鹿囚人共と一緒にするんじゃない!(アイラ達を指さす)私はなぁ、頭がよすぎるのと人類が馬鹿で異常にビビリだからあそこにぶち込まれたんだよ!だぁれが好き好んで犯罪なんざ犯すかぁ!」
有有「好きな食べ物か、その質問は少し難しい。何せ私は生まれてこの方食事をしたことがないからな」
恕足「わからないと言えば良いでしょう」
有有「そうとも言える。因みに花穏、君が今持っている袋はどちらも恕足からのプレゼントだ。屋敷に帰ってから開けてみるといい…そうだ、君たち二人には何かあったときにすぐ来れるよう『護衛』をつけよう(そう言うと、有有の影から二匹の黒猫が現れ)これは発信器、GPS、または携帯電話のような役目を果たしてくれる。何かあれば即座に私が駆けつける、活用してくれ」
花穏「食事をしたことが無い……なるほど……」
辰致「食事をしなくても生きていけるあたり、やはり式神ですね……」
花穏「え、そ、そうなんですか…!?あ、ありがとうございます恕足様…!!(袋二つを見つめて恕足に頭をペコペコ下げ、黒猫を見て目を輝かせる)ね、猫ちゃん可愛いぃ……!!!お気遣いありがとうございます…!!!」
アルト「あぁ、私は『他の支配者』に比べりゃ善良も善良だよ(鼻を鳴らす)……さぁて、コイツどうしてくれようかぁ……(Cometを見る)」
Comet「はぁ…ここで逃がしたくないのになぁ…仕方ない(持ち手が逆手持ちになり、腰を低くし双剣を構える)こうなったらやるしかないかなぁ(息を深く吐き、神経を集中させる)」
アイラ「!魔力が大きくなってきてる…!」
カイ『なんかヤバそう…!2人共、早く逃げるよ!!乗って!!』
未夢「(ブラストチェイサーの上に乗る)アイラ!!!行くよ!!!」
アイラ「(アルトの手を掴んで引っ張っていく)ついてきて(未夢の後ろに無理矢理乗せ、操縦席に座りハンドルを握る)カイ、行って」
カイ『アイラ、何やって…って、言ってる場合でもないな。じゃあ、飛ばしていくよ!!!!吹き飛ばされないように捕まっててよね!!!!(エンジンがかかり最高スピードで走り出す)』
Comet「コメットギア…オーバーレイヴン(瞳から水色の閃光が迸り、バイクのスピードを上回る速度でカイ達を追いかける)」
未夢「!カイ、あの人距離縮めてきてるよ!?」
カイ『普通乗り物無しでこのスピードに追いつくとか有り得ないからね!?』
アルト「あー、まぁそりゃそうなるだろーなぁ……(指を鳴らし地面に複数黒の渦を作りそこから赤黒い触手を出して減速させつつ行く手を阻もうとする)」
恕足「いえいえ、お気になさらず~。日頃のお礼だとでも思ってください…帰ってから言うつもりだったのですけど」
有有「そうか、それは悪かったな。まあ、出されたものは何でも食べよう。私から何かを頼むことはまず無いと思ってほしい…それは戦うことも出来る、いざとなれば自爆もするが(黒猫の一匹が花穏にすりすりと額を擦り付けて)早速なつかれた様だな、大切にしてやってくれ。礼はいらない、主の大切な人であれば守るのは当然だ」
Comet「(目の前の触手を切り裂き、建物の壁に飛ぶと壁伝いで走っていく)」
カイ『壁走り!?やっぱあの子人間じゃないでしょ!!』
辰致「自爆って……」
花穏「はい…!仲良くしましょうね~…!(黒猫達に話しかける)」
アルト「フハハ、ここまでの追跡力があるとは……ティンダロスの猟犬かよ(ケラケラ笑っている)」
アルト「ハハハ、失敬失敬(……大方、あと数秒程度でやつはこちらに追いついて……こちらに飛躍し全員を木っ端微塵にすると仮定した時に…)……あぁ、簡単なことじゃあないか…」
アルト「いやなぁ……ぶっちゃけ奴の攻撃は『防ぎようがない』し回避したとて無駄だな、圧倒的にスピードが違いすぎるからなぁ!フハハ!なんならあと数秒ちょっとでこっちに飛んでくるんじゃないかぁ?それで体感時間二秒でバッサリだ(爆笑する)」
(花穏の声に反応して二匹同時に鳴き、もう一匹も近づいたかと思えば花穏にじゃれついて)
有有「まあ、自爆は最終手段だ。オプションは付けておくに越したことはないだろう?辰致、君も一匹連れておくといい。要望があれば蛇も生み出せる。こいつらは私のように何かの影に入り込める、邪魔にはならんだろう…そうだ、この場所には皆杜桐花が居るな?彼女は気の毒だった…いや、勇気を出した彼女の行動に気の毒というのは失礼だったか」
カイ『それもう少し早く言ってくれないかなぁ!?』
Comet「(真横まで行くと、壁を蹴りアイラ立ちに向かって切りかかる)」
カイ『そうこう言ってるうちに来たぁ!!!!』
辰致「…………なら、蛇を一匹……(ボソッと頼んでいる)……いえ、気の毒という言葉掛けは間違ってはいないかと。奇しくも懸命な努力の全てが結果に結びついた、と言い切ることが難しいですからね…ですが、彼女はよくやってくれましたよ」
アルト「あぁ、安心しろ。私が『牢獄にぶち込まれたもう一つの理由』で解決するからなぁ……!(バイクの後ろから飛び降りて両腕で攻撃を受け止めるのと同時にカウンターを発動する)」
アルト「ったーーーーー!!!(両腕からダラダラと血が流れる)能力制限のせいで思ったような威力じゃねぇなぁ!?!?巫山戯やがって……(イラつきながら傷を塞ぐ)」
アイラ「…あの人、腕大丈夫かな…」
カイ『そこじゃない!!!気にするとこそこじゃない!!!』
Comet「(頭を?く)あーもう!!邪魔しないでよ!!!」
有有「任せてくれ。良い趣味をしているな、やはり君とは仲良くなれそうだ(周りに気づかれないように辰致の影に黒い蛇を放ち)それについては私も同じ意見だ…一つ、言い忘れていた事があったな。他の誰にも私の名前を言わないでくれ。もし私の名前が知られるようなことがあれば、私はそいつを殺さなければならない。秘密とはそういうものだろう?君たち以外の人間が居るときは名も無き者として扱ってほしい」
Comet「あいつが他の奴に見つかったら意味が無いの…あいつは、あいつは…!(頭をかき続けるが、何かに気づいたのか手を止める)…あぁ、そっか。別に殺さなくてもいいじゃん。もっといい方法があった」
Comet「ねぇ!!そのまま私から距離とってていいのかなぁ!?SchwarzBreaker!!!」
アイラ「…え?(バイクを止める)」
カイ『!アイラ、ダメだ!!あいつの口車に載せられるな!!』
Comet「そんなに遠くに居たらさぁ…(近くに居た一般人に斬り掛かる)あんたの守りたいものぜーんぶ、ここで殺しちゃうよぉ!!!!」
女性「きゃぁぁぁぁ!!!!」
アイラ「!ダメっ…!(Cometに向かって手を伸ばす)」
有有「理解してくれて感謝する、余計な犠牲を出さなくて済みそうだ。さて、そろそろ喋り尽くしたか…では、私はそろそろ失礼しよう。まだまだ情報を集めておきたいのでな」
恕足「気をつけて行ってきてくださいね、何だか外の空気に違和感を感じるので」
有有「言われなくても心得ている。そうだ、花穏。君にも言っておきたいことがある、少し耳を貸してくれ」
アルト「……ふは、何もしていないのにここまで狂気に陥っている人間が存在するなんてなぁ!?これはこれはもうダメだ、救いようのない落ち方だなぁ!?!?(はんば呆れている)」
花穏「?分かりました(有有の方に耳を寄せる)」
雪「(女性の目の前に氷の壁が現れ、Cometの攻撃を防ぐ)随分と好き勝手やってくれてんじゃないですか、Cometちゃん」
Comet「!FOX…!」
雪「お陰様で…(ぐちゃぐちゃになったクレープを見せる)さっきまで私が食べてた抹茶アイスの乗ったクレープ、流れ弾で弾け飛んだんですけどぉ?(笑いながらも額に血管が浮かんでいる)」
アイラ「え…誰…?」
未夢「あの人も味方?」
カイ『違う…あいつはFOX、政府側の諜報員だ…!』
雪「ん?おやおやぁ?そこに居るのは巷で噂のシュヴァルツちゃんじゃないですか!黒ツインテ美少女なんて、私得ですなぁ!」
有有「単刀直入に聞こう。君は恕足をどう思っているんだ?(周りの二人に聞こえないように囁き)興味もあるが、私はこれを重要なことだと考えている。正直に答えてほしい」
花穏「へっ…!!!(びっくりしてビキシと固まる)え、その……心から、尊敬していますよ…!あとは、カッコイイなぁって思ったり……欲を言えば、もっとお近付きになりたい、というか……(徐々に声が小さくなりながら指をモジモジさせる)」
雪「えっ、そうなんですか?ちぇ、じゃあ今更タルタロスに突き返してもなんの恩恵も得られないって訳か」
Comet「FOXもSchwarzBreakerを捕まえに来たの?ならさ、あいつは私に譲ってくれないかな?私が責任を持ってちゃんと政府に送り届けるから」
雪「今更そんな丸見えな嘘吐いても意味ないですよ?さっきの言動からして、100%殺す気満々でしたよねぇ?違反行為として罰せられちゃいますよ?Cometちゃん。しかもこんな場所で堂々と戦闘とは、頭のネジぶっ飛びすぎでは?」
Comet「ちっ…最悪、予定が狂った…あんたに見つかる前に私の手で仕留めたかったのに」
雪「可愛い子が舌打ちするんじゃありませんよ!元々印象悪いのに更に悪くなっちゃいますよ!」
Comet「諜報員の中でも印象最底辺のFOXにだけは言われたくないんだけどなぁ?敵に肩入れしてるって他の諜報員から聞いたけど?」
雪「別に肩入れしてる訳じゃありませんよ、任務上関わり合いを持ってるだけです。後、どうせならこの世界を堪能し尽くそうと思って。何せこの世界の子達白野の性癖ど真ん中などしゃすこな子達しか居ませんからねぇ。あんないい子ちゃん達を殺すなんてあまりにも勿体ないじゃないですか。世界国宝認定して丁重に扱われるべきです」
有有「そうか、分かった(真剣な表情で頷いて)彼は文神家の為なら命すら平気で投げ出す男だ。ただし。君が居れば、恋人が居るとすれば…奴は下手に無茶は出来ないだろう。だからこそ、私が君の恋路をサポートしよう。どうだ、悪い話ではないだろう?」
アルト「……よく分からんなぁ…(ジト目)」
花穏「え、えっと……出来れば、可能な限り自分の力で叶えてみたい、ので…………本当に困った時だけ、お願いします…!」
雪「それで?まだドンパチやりますか?だったら私が相手になりますけど」
Comet「…いいよ、興醒めした。あーあ、つまんないの。後は好きにすればいいよ。あんな救世主騙りの奴より…雪の希望を壊す方が、楽しいだろうからね」
雪「冗談きついですよ、Cometちゃん(一瞬で真顔になる)いつでも貴方を殺せるって事、忘れないでくださいね?」
Comet「…ははっ、そうだよ。私が求めてたのはその殺気だよ。やっぱFOXは最高だね」
未夢「あの二人、仲間なんじゃないの?なんか空気が殺伐としてるけど…」
カイ『FOXは諜報員の中じゃ変わり者って言われてるからね。他の諜報員と対立する事が多いらしいよ』
有有「…そうか、まあいい。そう言う考えも少しは分かる。少なくとも、今すぐには死なないだろう…君のことは応援している。安心してくれ、このことは黙っておく。全く、恕足も意地の悪い奴だな(花穏から離れて)長居しすぎたな、そろそろ失礼する(そう話した途端、有有の体が足元の影に吸い込まれていき)」
恕足「ふむ。今日は何だか機嫌が良かったような…花穏さん、先程は何を話されていたんですか?」
恕足「…何だか一本取られた様な気分ですね~。分かりました、今は聞かないことにしておきます……ふむ。僕も桐花さんのお見舞いに行くことは出来ますか?有有の情報収集に間違いはないでしょうが、自分の目で見ておくのも大事だと思うんです」
伊豆「(一眼レフカメラで街並みを撮影していて、数枚撮ればカメラを袖の中に仕舞い)今日はインスピレーションが湧いてこない…恕足兄さんも見つからないし。何処にいるんだろう(小さくため息を吐けば、何かアイデアになるものは無いかと辺りを見渡して)」
恕足「それはよかった、ありがとうございます~…失礼します(辰致に一礼してから病室に入り)聞いていた通りではありますが、それにしても酷いですね。一応ここにお土産を置いておきましょうか~」
Comet「それじゃ、後は頑張ってね。こういう面倒事はFOXに任せるよ(そこから去っていく)」
雪「(Cometの背中を見送る)…さて…(アイラ達の方を見る)えーっと、リーサルソリッドのSchwarzBreakerちゃんと、サブソリッドのカイ君だよね?突然来てあれなんだけど…ここは大人しく私に捕まってくれないかな?ね?(手を合わせてアイラ達に懇願する)」
未夢「…ごめんなさい、2人は渡せません。政府が何を企んでるのかは知りませんが、アイラを殺そうとするような人がいる所に行かせる事なんて出来ません」
雪「あー…そうだよねぇ。うんうん、そりゃそうだ。じゃあいいよ、今回は見逃してあげる。Cometちゃんの暴走を止められなかったこっちの落ち度だからね」
アイラ「…捕まえないの?」
雪「いやー、正直言ってCometちゃんとは違って街中でドンパチやるの嫌なんだよね。それに白野は任務よりもオタ活の方が大事なので」
恕足「ええ。見ている内に楽しくなってしまって、つい色々買ってしまいました~。話も聞いていましたし、どうせなら皆様の分もと思ったんです……思えば、桐花さんと直接お会いしたことはありませんでしたね~。初めましてがこのような形になるとは…全く、近頃は嫌な流れが続いているような気がします。僕もそろそろ動くべきなのでしょうか~…」
ヘルガ「....アイディアが湧いてこないなんて珍しいな。(伊豆の後ろを付いて歩き彼女がインスピレーションに困っているのを珍しいと思う)」
雪「そういう事だからほら、気が変わらないうちに行った行った。私はこの後推しの円盤戦争に参戦しなくちゃならんので」
アイラ「えん…ばん…?」
カイ『FOXが変わり者だって話は本当みたいだね…まぁ、見逃してくれるならいいけど』
未夢「ありがとうございます、本当に助かります。それじゃあ、アイラ、カイ、行こっか」
雪「あっ、その前に。そこの君、名前なんて言うの?」
未夢「えっ、私ですか?私は、鬼塚未夢って言います」
雪「鬼塚…そっか…わかった、ありがと。安心して、他の諜報員に君の事を洩らしたりはしないから」
未夢「そうですか…?ならいいんですけど…」
カイ『未夢、早く行くよ』
未夢「あ、うん、今行くよ(バイクの後ろに乗り、そのまま走り去っていく)」
雪「…鬼塚未夢、か…猫被りが上手いようで」
恕足「これはこれは、初めまして。僕は文神恕足と申します、よろしくお願い致します~(二人に向かって一礼してから微笑み)皆様の事は存じ上げておりますよ。いやはや、到着が遅れて申し訳ございません。少々寄り道をしすぎたようで~…」
伊豆「描くことは出来るけど、心を揺さぶるものが無いの。やっぱり、描きたいものがあった方が集中できるし…もう少し歩いてみる、何か見つかると良いけど(懐からスケッチブックと筆箱を取り出して歩き始めるが、建造物等を見るたびに納得がいかなそうに首を傾げて)」
辰致「タイミングを見て動いていただけるとかなりいいかもしれませんね……まぁ、基本的に判断はお任せします…………と、まぁこのような方ですが非常に頼りになる方です、ご安心を」
花穏「!…あっ(優稀に会釈をする)」
アルト「……私もさっさと帰るか……ずっと待たせるというのも良くはない…(来た道を引き返そうとする)」
恕足「そうさせていただきます、流れにはまた別の流れをぶつけるのが一番効果的ですからね~(くすくすと口を隠して笑い)はい、何でも頼んでください~。何処かの誰かが流した『氷のように冷たい人間』というのは出鱈目ですから。こうなったのは遅くなった僕にも責任がありますし」
ヘルガ「....怒足さんは、見舞いだよ。彼に合えばアイディアが出るんじゃないか?まぁ...邪魔になるかどうかは自分で考えな。(彼女の納得いかなさそうな表情を見て兄である怒足のことを伝える)」
恕足「見ての通りです。まあ、この状態であれば無理もありませんよ~。そうだ、此方は優稀さんに差し上げます(袋の中から更に紙袋を取り出し)中はお菓子です、お口に合えば嬉しい限りです~。ケイさんも良ければどうぞ~…それとも、他の物の方がよろしいですか?」
伊豆「そうだったんだ、恕足兄さんはすぐ居なくなるね…いや、今は大丈夫。それなら、次に会ったときのために情報でも集めておこう。何かあったらアドリブで対処すればいいし」
優稀「っ…そう…ですよね…」
ケイ「…呪いを直に受けた影響で、両目の視力も失われてるって麻友先生が言ってた。回復は…正直、まだ見込めないらしい…」
優稀「(拳を握りしめる)…トーカちゃんは、自分の友達を助ける為にこんなになるまで戦ったんだよね。視力を犠牲にしてでも、トーカちゃんは…あの子を…」
ケイ「優稀ちゃん…」
優稀「自分が不甲斐ないよ、トーカちゃんがこんなに頑張ってたのに、私は何も出来なくて(自分の脇腹辺りを握りしめる)本当に、不甲斐ないっ…!」
恕足「ふむ、成る程~(二回ほど頷き)良いじゃないですか、好きなだけ嘆いてもらいましょう(両手を合わせてにこりと妖しく笑い)何も出来なかった人が出来ることはそれくらいしかないじゃないですし、日が暮れるまで泣いて嘆いてもらえばいいんじゃないですか~(一切表情を崩さずにそう話せば、持っている荷物を全て壁際に置いて)」
伊豆「どんな物でも良いんだよ、重要じゃなくても良い…例えば、あそこのカラス。今から車にはねられるかも(公園で飛んでいる一見何ともないカラスを指差すと、そのカラスは数秒後に突如バランスを崩して車にはねられ)…ね。こういう何ともない情報を話し続けて、少しでも反応を変えるものを探すの」
優稀「っ…」
桐花「………(指がピクリと動く)」
ケイ「!え…トーカ…?」
桐花「…っ…うぅん…あれ…何これ、真っ暗なんだけど…(ゆっくりと起き上がり目の当たりを触る)えっ、なにこれ…なんか、布みたいなの巻かれてる?どゆこと?」
優稀「!トーカちゃん!!!」
ケイ「トーカ!!!」
桐花「その声、ゆきっちとケイ?ゆきっちがここに居るってことは…あぁ、なーほんね。アタシあの後診療所に送られたんだ。体まだダルいし、少し頭痛いけど…でも、紅魔ちゃんを止めることは出来たよね?」
ケイ「!あっ…えっと…それ、なんだけど…」
恕足「初めまして、桐花さん。僕は文神恕足と申します~。辰致さんの言うとおり、まだ終わってはいません…しかし、良くやってくれました~。こうして生きていただけでも十分ですよ~」
桐花「えっ、その声…えぇっ!?な、なんで五神柱の角端と聳弧がここに!?うそ、モノホン!?」
ケイ「本物だよ。桐花がやられたって聞いて援軍として来てくれたんだよ」
桐花「ま、マジか…実質ほぼ五神柱が勢揃いじゃんか…紅魔ちゃんとお姉は別として。けど…そっか、止められなかったか…四神様やケイが居てくれたから、今回こそは止められるって思ったんだけどね…やっぱ、そう簡単には行かないか!だって、相手は陰陽師の中でも最年少ながらも五神柱の炎駒の称号を欲しいままにした紅魔ちゃんなんだもん!新星が神童に勝てるわけないもんね!うん、うん…仕方、ないよ…(シーツを握りしめる)」
優稀「トーカちゃん…ごめん、私も力になれていたら…」
桐花「いや、ゆきっちが謝る事じゃなくね?ゆきっちは元々診療所に入院してたんだし、そんな事悔やんでもしょうがないっしょ。それに、完全じゃなくても足止めぐらいなら出来たんだから、良い方じゃん?いつものゆきっちらしくないぞ!ほらスマイル!」
優稀「っ…うん、そうだね…」
恕足「うーん、僕には溜め込んでいるようにも見えますけどね。まあ、何はともあれ。桐花さんの行動は立派なものでした~…うん、ここからは我々も動かなければいけませんね。彼女に負けてはいられませんし、今までの埋め合わせをする気持ちで行動することにしましょうかね~」
桐花「五神柱の2人が居るのめっちゃ心強いわ。じゃ、アタシが回復するまでの間頼んます!」
ケイ「…トーカ、その事で話があるんだけど…」
桐花「ん?話?」
ケイ「致死性の呪いと悪性を内部に蓄積し過ぎた影響で、トーカの呪いへの耐性が弱くなってしまっているのと…その呪いの影響で、トーカの両目の視力が失われてしまっているんだ。回復するかは…まだ、わからない…」
桐花「…え?視力が、失われてる…?ちょ、ケイ、冗談やめてよ。視力が失われるなんて、そんな…ゆきっち、嘘だよね?ケイの事だし、ふざけてるだけだよね?」
優稀「…ごめん、トーカちゃん…本当に、ごめんっ…!」
桐花「は…?いや、嘘でしょ…マジ…なの…?」
恕足「かわいそうではありますが、これは紛れもない事実ですよ~。少なくとも、此処にいる方々では治せないでしょうね~(くすくすと笑いながら話し)まあ、まだ希望がないわけではありませんし。今はゆっくりと休んでみたらどうです?」
辰致「…力不足で申し訳ありませんが……現状、治せる手だてもないかと…………ここに居る、どころか……診療所の医師でも治せないのであれば……恐らく治る可能性はほぼないのではないでしょうか……レオン・ルシュールも死んだ今、失った視力の回復など……(苦い顔で呟く)」
ケイ「は…?なんだよ、それ…十二門徒の幹部が、殺されるなんて…!」
優稀「(通りすがりに陽奈子が泣いていたのを思い出す)…そういう…事だったの…?(自分の掌を見る)私…何も…守れ…て…」
桐花「ゆきっち…?」
優稀「私は、ブレイダーで…みんなを、守らなくちゃいけなくて…それなのに…私は、ここに居るだけで…命を、守る事も…何も…成し遂げられて…っ!!!(病室から出ていき何処かへと向かっていく)」
ケイ「!優稀ちゃんっ!!!!」
優稀「(診療所を出ていき、ただがむしゃらに走っていく)ダメだ…これじゃダメだ…!私は、私は…!」
陽斗「(優稀が走ってるのを見かける)…優稀?あいつ、何してんだ?」
優稀「これじゃダメだ…これじゃ誰も守れない…これじゃ、これじゃ…これじゃ…!(陽斗に肩を掴まれる)!」
陽斗「おい、何してんだお前。診療所に居ろって言われてんだろうが」
優稀「陽斗…君…」
優稀「蒼司君…」
陽斗「いつものお前らしくねぇぞ、何があった」
優稀「…守れなかった…トーカちゃんも、レオンさんも…守れなかった…私は、ブレイダーなのに…誰も、死なせたくなかったのにっ…!」
陽斗「!…おい、どういう事だそれ」
優稀「…トーカちゃんが、スカーレットと戦った時に呪いと悪性の影響を直に受けちゃったらしくて、そのせいで両目の視力を失っちゃって…レオン…さんは…(顔を俯く)心臓を、破壊されたって…」
陽斗「は…?」
ヘルガ「変化か、それじゃ....そこの婆さんが引っ手繰られるとか。(そういうとまさにその通りに後ろを歩いていた男がおばあさんのカバンをひったくって走っていき)」
陽斗「(WEEKEND GARAGEの扉を開ける)こんちわ…あ?」
杏「おっ、陽斗に蒼司じゃん!いらっしゃい!」
音羽「(ウェイトレス姿になっている)げっ、あんたは…」
ビビバスルカ「ダメだよ音羽ちゃん、お客さんが来たらちゃんといらっしゃいませって言わないと!」
音羽「ちっ…いらっしゃいませこの野郎、只今空きの席は全て埋まっておりますのでさっさとお帰りやがれくださいませ」
陽斗「随分と接客態度のなってねぇ店員だなぁ、あぁ?って…そんな事してる場合じゃねぇ…こいつは一体全体どういうことだ?」
優稀「なんで、バーチャルシンガーがこの世界に…」
彰人「音羽、杏、こいつら知り合いか?」
音羽「一応、ね」
夏希「あれ?その子は?陽斗達の知り合い?」
冬弥「ん?もしかして、あの時の…」
夏希「あー!優稀ちゃんだ!この間ぶりだね!」
優稀「え、冬弥君に優稀ちゃん?なんでここに?」
ビビバスレン「なになに?知ってる人?」
冬弥「ワンダーステージで少し話したことがあるんだ。あの後、診療所に帰ったはずじゃなかったのか?」
優稀「えっと…それは…」
謙「ここもすっかり溜まり場になっちまったな…まぁいいか。夏希、音羽、お客さんを席にご案内しろ」
夏希「はーい!お客様3名様ご来店でーす!」
音羽「注文は?何にするの?」
陽斗「チーズケーキ一つ」
優稀「あ、じゃあ私も同じので」
音羽「チーズケーキ1つと、あんたがブラックコーヒー1つね」
陽斗「苦いの飲めねぇ想定で言ってんだろてめぇ!」
音羽「当店クレームは受け付けておりませんので」
音羽「ん、了解。仕方ないからあんたの分のチーズケーキも入れてやるか…カフェオレ1つと、チーズケーキ2つ入りましたー!」
謙「はいよ。MEIKO、チーズケーキ作るからカフェオレ頼むぜ」
ビビバスMEIKO「えぇ、任せて謙」
陽斗「ほんと愛想の悪い店員だな…(置かれた水を飲む)…ん?いや、ちょっと待て!!あまりにも自然で気づかなかったけど普通におかしいだろっ!!謙さんなんでそんな馴染んでるんすか!?」
謙「俺も最初は混乱したが、話してみたら結構気があってな。しかも、セカイじゃカフェのマスターしてるらしいからな、こうして手伝ってもらってるって訳だ」
ビビバスMEIKO「前々から杏ちゃん達から話は聞いていたし、RAD WEEKENDの映像を見せてもらった時から少し気になっていたのよね。伝説の夜の立役者がどんな人なのか」
ビビバスリン「気づいたら現実世界だったからビックリしたけど、悪いことばっかじゃないし、MEIKOのカフェと雰囲気が似てて居心地良いんだよね、ここ!」
優稀「そうなんだ…(司君の方のMEIKOさんはパワフルって感じだけど、こっちのMEIKOさんは何だか大人びいてて威厳みたいなの感じるなぁ…セカイが違うと、同じバーチャルシンガーでもこんなに違うんだ)」
ビビバスKAITO「おーい、大丈夫ー?聞こえてるー?(蒼司の頬をツンツンしている)」
陽斗「はぁ…もう驚き疲れたわ…謎に体力持ってかれるしなんなんだよ…」
恕足「まあ、仕方がありませんよ。折角ですし、皆さんでお茶でも飲みませんか?茶葉も買ってみたんですけど…ふむ、此処にポットってありますかね~(開けられたままの扉を見ながら、呑気にそう話し)」
伊豆「うん、そういうのだね。さっきのカラスも右翼が傷ついてたし。あの後ろの男性はずっと人目を気にしてた…いや、そうじゃないでしょ。早く助けないと(スケッチブックに何かの絵を描きはじめて)」
優稀「もしかして、2人はバーチャルシンガー見るの初めてなの?」
陽斗「話には聞いてただけで、実物は見た事ねぇよ。しかも、セカイじゃなくて現実世界で初のご対面とか…頭こんがらがるに決まってんだろ」
杏「あーわかる、突然過ぎて思考止まるよね…」
夏希「私と音羽なんて、突然布団引き剥がされたと思ったら目の前にルカさんがいたんだもん。その後、杏がKAITOさんとMEIKOさんも連れてきて…もう隕石が落ちてきたのかってぐらいの大絶叫だったよ」
優稀「そういえば夏希ちゃん、いつの間にか声出せるようになってたんだね。喉治ったの?」
夏希「うん、レオンさんのお陰でね。これでまた思いっきり歌えるってもんよ!」
優稀「っ…(顔を俯く)」
陽斗「………」
夏希「え…な、何?どうしたの?何か気に触ること言っちゃったかな?」
陽斗「いや、別にお前は悪くねぇよ…ただちょっとな…」
冬弥「…レオンの身に、何かあったのか?」
ヘルガ「いや、やらなくていい。あれなら...私の射程内だ。(そう言って一瞬にして結界を広げると近くにあった公園のベンチに触れてひったくり犯の持っているバッグと入れ替える。するとひったくり犯はあまりの重みに引っ繰り返りそれを近くにあった太めの木の枝と入れ替えて捕らえる。)」
ビビバスKAITO「え…?」
音羽「それって…」
陽斗「…そのまんまの意味だ。レオンは…死んだんだよ」
ビビバスMEIKO「(カフェオレを入れる手を止める)…レオン君が…死んだ…?」
杏「死んだって…は?レオンが?」
彰人「あいつが死んだって…寿命はまだ2ヶ月も先の筈だろ!!!」
優稀「…殺されたんだよ…心臓を、破壊されて…」
彰人「心臓を…破壊された…?」
ビビバスレン「なんだよ、殺されたって…意味、わかんないよ…!」
ビビバスリン「け、けど、レオン君は夏希ちゃんの事を生き返らせたんだよ?だ、大丈夫だよ!きっと、レオン君も生き返って───」
陽斗「それならもう生き返っててもおかしくねぇだろ。そもそも、蘇生魔術は禁忌にも等しい魔術だ。知ってる奴も限られてる」
杏「てことは…もう、レオンは…生き返らないってこと…?」
謙「…穏やかじゃねぇ話だな…」
優稀「それ…と…トーカちゃん…なんだけど…トーカちゃんは、スカーレットとの戦いで…両目の視力を、失ったって…」
杏「!…え…トーカが…?」
恕足「…さて、辰致さん。僕はそろそろ失礼しますね。皆様とも会えましたし、後は戒さんに挨拶するのみですから~(先ほど置いた荷物を持ち直し)そうそう、僕が居ないときは彼を呼んでくださいね~。名前さえ出さなければ何時でも何処でも駆けつけますから……それでは桐花さんとケイさんも、どうかお元気で~。またすぐに会えると思いますが~」
伊豆「あ…(相手が一瞬にして捕まえてしまったのを見ると、絵を描く手を思わず止めてしまい)…うん。そうだったね、ありがとう。昔の癖がまだ抜けてないんだ…」
恕足「ふふ、辰致さんこそ。それでは、また会いましょう(一礼してから病室から出ていき)……さて、少し休めるところを探しましょうか。何だか体が重くなってきました…」
音羽「ちょっと待って、じゃあスカーレットは…」
優稀「完全ではないけど、スカーレットの事は止められた。でも…トーカ…ちゃんは…(拳をにぎりしめる)」
謙「…そうか…あいつ、戦ったんだな…」
優稀「ごめん…私がもっと、強かったら…!私がみんなを守れるぐらい、強かったら…!」
夏希「なんで優稀ちゃんが謝るの?優稀ちゃんが殺したわけじゃ───」
優稀「殺したんだよっ!!!!!!私が!!!!!!!」
夏希「!」
杏「優稀…?」
優稀「私は、二人のことを守れなかった。ブレイダーは、守る事が使命なのに…私は、守ることができなかった。犠牲を出さないために、ブレイダーになったのに…私が、殺したも同然なんだよ。守れなかったってことは、そういう事なんだよ」
陽斗「優稀、お前…」
彰人「…おい、お前優稀っつったよな。一体何様のつもりなんだよ。どの面下げてそんな偉そうな事が言えんだよ」
優稀「え…?」
彰人「この世界に舞い降りた救世主様気取りか?あ?全部守らないと救世主様としてプライドが損なわれんのか?ふざけんなよ、ブレイダーだかなんだか知らねぇがてめぇが言ってることは勝手なエゴなんだよ。じゃあなにか、お前は戦争も犯罪も全部止められるほどの力があるってのかよ。だったらその力を今すぐ使えよ。全知全能の救世主様なら出来んだろうがよ」
蒼司「っ、そんな言い方しなくてもいいじゃないですかって言ってるんです。なにも優稀ちゃんだってそういうつもりで言ったわけじゃない、そんな言い方ないんじゃないですか」
ヘルガ「問題ない、あんまりソレは使わないでくれ....守ってる意味がなくなる。(そう言いながら男を抑えつけつつ伊豆に通報と駆け寄ってくるおばあさんに荷物を返すよう促し)」
ビビバスレン「そうだよ、いくら何でもそんな言い方───」
陽斗「そうか?俺は、そこのオレンジ髪の言う通りだと思うぜ」
ビビバスレン「え!?」
優稀「陽斗君…」
陽斗「蒼司、お前には今のこいつがどう見える。綺麗事ばっか並べて1人勝手に追い詰められているこいつが、お前にはどう見えるんだよ」
恕足「ええ、出来ればあまり人の居ないところへ…っ(診療所から出てすぐのところで胸を押さえて蹲り)……早く、移動しましょう。此処にいては邪魔になってしまいますから~…」
伊豆「うん、気を付けるよ。ありがとう…(荷物を受け取っておばあさんに渡すと、懐から携帯を取り出して110に電話をかけ)…その人、隔離しておくこともできるけど…(袖から青い札を取り出して男に視線を移し)」
陽斗「…はぁ…ほんとあめぇな、お前。まぁ、俺から言わせてもらえば…お前のその考え方はただの甘えだ、命を一つ救えなかった、人が傷ついてしまった、だから自分のせいだぁ?ふざけてんだよてめぇのその理論は。最初に言ったろ、異世界は遠足気分で行っていい場所じゃねぇって。誰かが傷つく覚悟もしねぇで、自分だけ傷つけば良いと思ってんだったら、今すぐ元の世界にさっさと帰れ。中途半端な気持ちで首突っ込んでんじゃねぇよ雑魚が。お遊び気分で居られんのはこっちとしても迷惑だし見ててムカつくんだよ」
優稀「っ…!」
彰人「お前…」
音羽「…悔しいけど、私もこいつと同じ意見。誰かを助けるって事は、誰かを蹴落とす覚悟無いとダメなんだよ。自分が傷つけば全て解決だなんて、そんなのただの空想論に過ぎない。人を守りたいなら、人を傷つける覚悟だって必要だよ」
夏希「音羽…」
花穏「恕足様!大丈夫ですか…!?…っ恕足様、私の背にお乗り下さい。休める場所までお運び致します(目の前でしゃがむ)」
蒼司「……」
陽斗「…結局はお前も、他の奴らと同じなんじゃねぇか…(立ち上がって出口へと向かう)」
ビビバスMEIKO「ちょっと、何処へ…」
陽斗「こんな腰抜け野郎と一緒の空気吸うなんざごめんだ。俺はセブンスブレイヴを脱退する。俺が着いていきたいと思った奴は…もう、何処にも居ねぇみたいだからな(WEEKEND GARAGEを出ていく)」
優稀「!待っ───(立ち上がって陽斗に手を伸ばそうとするが、すぐに手を引っ込める)っ…陽斗…君…」
恕足「…強がっていても、何にもなりませんね…(自嘲気味に笑い)お願い、します。重いと思ったら、言ってください…有有を呼びますから…(息を切らしながら相手の背中に身を委ねて)本当に、すみません…」
蒼司「なっ、陽斗……!!!…………」
玲翔「いい加減大丈夫だと言っているだろう…いつまでうじうじしている気だ?(WEEKEND GARAGEに向かっている)」
結菜「わ、分かってるんですけど……って、あれ……?(陽斗をみかける)」
玲翔「井嶋か…」
彰人「…悪い、冬弥。少し外の空気吸ってくる(WEEKEND GARAGEから出ていく)」
冬弥「あ、彰人…」
ビビバスルカ「…なんか、空気悪くなっちゃったね…」
ビビバスリン「そうだね…これから、どうしよっか」
優稀「………」
陽斗「…はぁ…気分転換に、スケボーで走るか…(サイコトリッカーズを出す)」
恕足「…はは、それは頼もしいですね~……向こうなら、喫茶店があるかもしれません。来る途中で見たような記憶があります…(ぼんやりとしたまはま思考を巡らせれば、震える手で喫茶店の方向へと指を差し)」
花穏「わかりました…!(指された方向に向かってしばらく歩くとWEEKEND GARAGEに辿り着く)ここなら休めそうですね、ここにしますか?」
結菜「そ、そっか……」
玲翔「…仲違いでもしたか?」
結菜「玲翔さん!?」
恕足「…ここは、有有も言っていた……ええ。お願いします。運が良ければ、情報も集められそうですし…(額に汗を滲ませ、ちらりと確認しては何かを企んでいるように呟き)」
玲翔「図星か…まぁ深くは聞かんがな」
花穏「承知しました(店のドアを開けて中に入る)失礼します、二名なのですが、大丈夫でしょうか…?」
陽斗「………」
彰人「おい!ちょっと待ってよ!!(陽斗の方に駆け寄ってくる)」
陽斗「!お前、さっきの…」
謙「…あぁ、お客さんか…すまないが、今日はもう店じまいなんだ。日を改めちゃくれねぇか」
恕足「…すみませんが、体調が優れず…少しでも良いので、休ませていただくことはできませんか…(花穏の背中から顔を覗かせ、か細い声で謙に向かってそう話し)」
優稀「あれ…?恕足さん?」
謙「知り合いってことは…こいつらも、異世界から来たやつらって事か。それなら別にいいぜ、空いてる席に座ってくれ」
恕足「これはこれは、優稀さんではないですか……何かありましたか?随分と重い空気が流れていますよ~…(優稀を見るなり疲れきった顔で笑い、何となく感じ取った疑問をそのまま口に出し)」
恕足「ありがとうございます、これで少し休めそうです…(花穏を見つめて感謝の言葉を伝えると、そのまま優稀に視線を移し)……良ければ、何があったのか教えてくれませんか?場合によりますが、アドバイス出来ることもあるかもしれませんから~…」
伊豆「分かった、すぐに作るよ(御札を男に向けると、周りに青白い光が放たれると共に男が結界の中に囚われ)どうだろう、もう少し強い壁の方が良いかな」
ビビバスリン「え、えっと…こ、この空気どうしたらいいかな…レン…(レンに囁く)」
ビビバスレン「俺に聞くなよ、俺だってどうしたらいいかわかんないんだから…(小声で囁く)」
ビビバスリン「あ、そうだ…!(KAITOに駆け寄る)ねぇ、KAITO。今から回す事って出来ないかな…!?」
ビビバスKAITO「回すって…まさか、今からDJプレイしろって言ってる?いやいや、流石にこの空気感じゃ僕でも無理だよ。アッパーな曲をかけた所で、雰囲気がこれじゃあね…それに、僕も流石に今はそういう気分になれないし…」
ビビバスリン「うぅ…やっぱそうだよね…」
恕足「中途半端でない人はそんな質問はしません(相手の顔を見て、迷いなくきっぱりと言い切り)…人間のすることなんて何処かにエゴが混ざるものでしょう。ひとつ聞かせてください。優稀さんは結局何がしたいんですか~?」
優稀「私は…みんなを、守りたいです。誰かが傷つくのも、誰かが命を落とすのも、黙って見ていたくないんです。ブレイダーとして、命を守らなくちゃいけない。それなのに…私は、守れなかった…何も、出来なかった…私が弱かったから、助ける事も守る事も…何一つ、出来ないままで…」
恕足「成る程、理解しました~。少なくとも今のままでは無理ですね、絶対に。今の優稀さんには不釣り合い、荷が重すぎます……守りたいとか助けるとか言いますが、今回あなたがその場に居たとして、あなたに何が出来たんですか?自分が弱いと分かっているなら何もできないことくらい分かるのではないでしょうか~」
ヘルガ「いや、先ほど触れて分かったが...こいつにそこまでの力はないというかそういう異能すら知らないだろうな。(そう言いながら先ほど飛ばしたベンチを動かして元の位置に戻し)」
伊豆「…そうだね。陰陽術もそこまで有名じゃないだろうし。まあ、私が使えるのは『隔離』だけなんだけど(それぞれ色の違う御札を取り出し)霊符も今日はあんまり持ってきてない。残りは取っておこうかな」
優稀「っ…」
杏「そんな事ないっ!!!!」
優稀「!え…」
杏「あの時、優稀は命懸けで私達を守ってくれた。あの戦いの時だって、身を呈して私を庇ってくれたじゃん!!!全部は守れないとしても…少なくとも、私達とあのステージは、優稀のお陰で守られたんだよ!!!!」
ビビバスMEIKO「杏ちゃん…」
恕足「そうですか~…ですが、それは過去の話です。今の優稀さんにその頃と同じ力があると思いますか?(バランスを崩しそうになりながらふらふらと立ち上がり、優稀の目の前まで歩いていき)正直、僕は優稀さんの考え方が気に入りません。独善的で中途半端とすら思います……優稀さん、あなたは何か言い返さないんですか?」
優稀「あ…えっ…と…」
謙「そこまでにしてやれ。今のそいつには反論する気力もねぇ。それに、今回のことに関しちゃ人の生死が関わってきてるんだ。俺達が安易に口出し出来るようなことじゃねぇよ」
恕足「…そうですね~。それに、後は自分で考えるべきことです。でも、これは早く解決するべき問題ですよ?壊れた物を直すにも制限時間がありますから(そう話しながらふらふらと先ほど座っていた場所に戻り)僕は、人の生死は全て繋がっていると思いますけどね~…」
恕足「お気になさらず、僕の勝手な持論ですから。さて、依然として空気は重いままですが…此処に来たのは正解でしたね。こうして自分の目で見る機会を得られたのはとても良い(胸の辺りを撫で下ろし、額に滲む汗を拭って)突然押しかけたのは申し訳ないと思っています。父上は僕に死んでほしくてたまらないんでしょうね~」
夏希「え?それってどういう…」
こはね「(WEEKEND GARAGEの扉を開ける)みんな、お待たせ!遅れちゃってごめ…あれ、優稀さん?なんでここに?」
杏「あ、こはね…」
優稀「こはねちゃん…この間ぶりだね」
ビビバスミク「空気が重いけど…何かあったの?」
恕足「僕は父上と仲が悪かったので~(入ってきたこはね達を見て)…そういえば、優稀さん以外の方には自己紹介をしていませんでしたね。初めまして、僕は文神恕足と申します。何があったのかは此方の方々に聞いてみてはどうでしょうか~(ちらりと視線を優稀達に移し)」
こはね「え…?」
優稀「………」
彰人「(自販機でコーラを2つ買う)1つやるよ(壁に寄りかかってる陽斗にコーラの缶を投げ渡す)」
陽斗「(コーラの缶を受け渡す)炭酸の入ったもんを投げ渡してくんなよ。吹き出たらどうすんだよ」
彰人「それはそれで面白いもんが見れていいんじゃねぇの?」
陽斗「お前、絶対性格悪いって言われてんだろ…まぁ、ありがたく受け取っとく」
恕足「……ああ、これは皆様に。中にあるのはお菓子と茶葉です。何でも好きなものをどうぞ。とりあえず、この場所に置かせてください(紙袋をカウンターに置いて)…話す気力が無いのなら、他の方に話してもらえばよいのでは?」
恕足「では、よろしくお願いいたします…優稀さんがただ強くなりたいと言うだけなら僕でも手伝えますが、今回はそんな単純な話ではなさそうですし。今は鍛錬をしようと思える精神状態ではないでしょう?(そう話している間に、恕足の影が蠢きだして)…あなたは彼らを見てきてください。僕のことは心配なさらず」
優稀「………(拳を握り締める)」
こはね「優稀さん…」
カイ「(服屋から出てくる)はぁ…やっとサイズが合うの買えたね…早いとこ着替え済ませちゃおうよ、さっきの一件で諜報員にだけじゃなくこの街の人達にまで顔が割れちゃったんだから」
アイラ「(さっき買ってきた服に既に着替えている)うん…そうだね」
カイ「って…言う前から着替えてるし…僕も早く着替えよっと。そう言えば、未夢は大丈夫なの?FOXは僕達の事黙ってくれるって言ってたけど、Cometが他の諜報員に情報を流してる可能性があるからね。念の為、未夢も変装服買っといたら?」
未夢「それも見越してもう買ってあるよ(服の入った袋を出す)大人サイズの服も売ってたから、カイが服を選んでる間に買っといたんだ」
カイ「流石未夢、抜かりないなぁ」
恕足「何も言わないんですね。なら、僕が手を貸す必要はないということで~…自分が落ち込んでいる時ほど大切な物が失われていく。次はどれでしょうね~(くすくすと笑いながら席を立ち)さて、もう十分休ませていただきましたし。そろそろ失礼します…強くなりたいなら呼んでください。僕"達"は常にあなた方を見ていますから~」
優稀「………(強く…私って、なんで強くなりたかったんだっけ。私のエゴの為に、強くなりたかったのかな。じゃあ、私の守りたかったものって…)」
ビビバスミク「…ん?(こはねのポケットからセカイの光が微かに漏れ出てるのに気づく)ねぇ、こはね。何かスマホが光ってるよ?」
こはね「え?(スマホを出すと画面からセカイの光が漏れ出ており、Ready steadyの横にsekaiと書かれた曲が追加されていた)え…sekai…?」
杏「え、何この曲?untitledじゃ…ない?」
冬弥「俺のスマホにも追加されている。MEIKOさん、この曲は一体…」
ビビバスMEIKO「私達も初めて見たわ、新たなセカイが形成された…?いや、でもそれなら最初からタイトルなんて付かないはずじゃ…」
音羽「ねぇ…私のスマホにも、その曲追加されてるんだけど」
ビビバスリン「えっ、音羽のスマホにも!?」
優稀「sekaiって曲、私の所にもある。これ、一体なんなんだろ…」
ビビバスレン「優稀も!?」
ビビバスミク「…これって、まさか…」
沙月「sekai…?私、入れた覚えないけど…」
鈴華「どうやら、私達全員にこの曲が追加されてるみたいだね」
朱莉「sekai…untitledやmirrorとはまた別物なのかな?黒ミクちゃんは何か知ってる?」
ROZミク「私にも何が何だか…(すると、ポケットに入れていた想いの欠片が光り出す)!想いの欠片が…共鳴してる…!?」
ミク『(sekaiが起動すると、画面が真っ白になり全員の端末にホログラムの姿で現れる)よっと…よかった、成功したみたい。みんな、私の声聞こえるかな?』
ROZミク「えっ…この姿って…!」
沙月「この子…もしかして、オリジナルの初音ミクちゃん!?」
紫炎「……はてさて、知らない間に知らないものが増えていますねぇ……(スマホにsekaiが追加されているのを見る)」
アルト「ハッキングでも受けて、インストールされたのかぁ、陛下ぁ」
紫炎「そんなまさか……」
司「ど、どういう事だ!?何故オリジナルのミクがここに…(すると、突然司に頭痛が走る)いっ…!」
えむ「司君!?大丈夫!?」
シャル「司!」
シリウス「…はぁ…更に事が拗れてきたようだな」
こはね「っ…なんか…頭が、急に…!」
音羽「頭が…割れそう…!」
杏「こはね!?音羽!?」
結衣「(頭を抱えて倒れた奏を支えている)奏!?どうしたのよ!!奏!!」
ニーゴミク「奏!!!」
奏「っ…!痛いっ…!」
みのり「(部屋で頭を抑えてうずくまっている)うぅっ…あぁ…!」
モモジャンミク「みのりちゃん!!!大丈夫!?」
みのり「ミクちゃんを見た瞬間…頭が…!」
レオニミク「(同じく部屋で頭を抑えている一歌に駆け寄る)一歌!!!!」
レオニルカ「一歌、どうしたの!?一歌!!」
一歌「急に…頭に、激痛が…!何か、頭に流れ込んできて…!」
レオニミク「何が流れ込んできてるの!?」
一歌「これ…は…(ミクと共に歌を歌っていた記憶が流れてくる)…あの、時の…夢…?みのりが居て…こはねが居て…司さんと宵崎さんも居て…それで…(記憶の中に音羽が居る事に気づく)…一ノ瀬…さん…?」
こはね「なに…これ…なんで、あの時の夢が…」
ミク『初めまして、私は初音ミク。セカイの狭間っていう所に居て、そこからセカイから歌が生まれるのを見守っているんだ。と言っても、中には初対面じゃない子達も居るけどね』
音羽「えっ…(今まで見てきた夢を思い出す)…まさ、か…今まで見てきた夢は全部、現実だってこと?てことは…(こはねの方を向く)私達は…既にセカイで出会っていた…?」
ミク『みんな、突然の事で戸惑ってると思うよね。君達のスマホにuntitled以外にセカイの狭間に繋がる音楽『sekai』を入れさせてもらったよ。これがあれば私達とコンタクトを取る事が出来る。スカーレットがセカイと現実世界を混濁させようとしてるせいで、私の干渉能力が弱まってるから、セカイの狭間に来れるのは限られた人になる。今来れる人は…一歌ちゃん、みのりちゃん、こはねちゃん、司君、奏ちゃん、音羽ちゃん、そして…沙月ちゃん、紫炎君、紗楽ちゃん。この9人しか今は来れないようになってる。これはセカイの持ち主達と異世界から来たみんなが手を取り合った今だからこそ出来ることなの。セカイと現実世界が混ざりあって崩壊してしまう前に、どうか私達に力を貸してほしい。私達も君達と同じで、スカーレットとこの世界を助けたいの!』
沙月「ミクちゃん…(紅魔と過ごした時間が頭を過り、拳を強く握りしめる)」
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