吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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あぁ、そうしとけ。……あぁ、これか?綺麗だろ、貰ったんだ。
(自分の忠告に素直に頷いた相手にほっとしつつ、明るい道まで案内しようと顔を向ければ相手の言葉が不自然に途切れ不思議に思う。なんだろうと考えたいれば視線が自分の左耳に向かっていることに気がつき、これか?と指先をピアスに触れさせ微笑んで。少し照れくさそうに、また、嬉しそうに微笑みながら貰ったのだと告げ)
──…知ってるの?あの人の事。
(貰ったと、嬉しそうにはにかんだような微笑みを見せた相手を見据えて僅かに怪訝そうな色を浮かべて首を傾げる。自分の知っている彼は、そのピアスを誰かにあげるような人じゃない。表向きの柔らかさとは裏腹に中身はとても冷たい人だった、それが時に怖くもあり美しくもあり愛おしくもあったのだ。だからこそ目の前の相手の幸せそうな微笑みとは到底無縁なように思えたし、この男はハンターだ。決してあの人と相入れる事はないだろう。もしかすると彼を殺めて、金目の物を奪ったのだろうかとも考える。だとするともう片方は何処にあるのかと、疑問ばかりが湧いて来てその場を離れる事が出来ずにいて。今は自分の正体がバレても構わないとさえ思っていた、あの人の事が知れるなら。)
・・・あの人?誰のことだ?多分、あんたが想像してる人と、俺のピアスと揃いのやつは違う人だと思うが。
(口に出されたあの人、の言葉。それが直ぐにクラウスの事だと理解出来た。自分の耳につけているピアスはこの街ではあまり見ないデザインで相手もそれで気づいたのだろう。同時に今目の前で話している女性がクラウスと同族の吸血鬼だということにも気づき自分の迂闊な発言に内心舌打ちをした。クラウスの知り合いの吸血鬼がこんな明るい場所で一般人に絡まれているなんて思いもよらなかったため、少し気が緩んでいたのだ。本当ならここで始末したいものだが、今たっている場所は歓楽街で周りに酔っ払いも大勢いる。下手に吸血鬼だと声を出せば騒ぎになり怪我人も出るだろうと考えるとしらを切ることにして)
見間違えるはず無いわ、何年も一番近くで見ていたんだから。…でも変ね、ハンターはあの人が取り入るための道具でしか無かったはずなのに。──貴方、彼とどういう関係?
(恋人として一番近くでその揺れる赤い石を見ていたのだから見間違える筈はない。そのピアスは紛れもなく昔の恋人のもので、目の前のハンターは何かを隠している。自分が吸血鬼だという事も察したのだろうがこの大通りであれば安全だと思い一歩も動く事はなく。人目のつかない暗がりにさえ連れ込まれなければ此処で息の根を止められる事はないだろうと踏んだからだった。相手が何か昔の恋人に関することを知っていると思えば、敢えて自分が吸血鬼だということを隠す素振りもなく挑発的な言葉を投げ掛ける。付き合っている時から彼はハンターに紛れていた、ハンターは彼にとって道具でしか無いはずだと首を傾げると明るく賑わう大通りで相手と対峙し、じっと相手を見据えて尋ねて。)
・・・だから知らねぇって・・・それに、あんたに言う必要あるか。
(何年も一番近くで見てきた、ということはクラウスの相棒か恋人か・・・恋人だったんだろうな、と目測をつけながら面倒くさそうになゆったりとした仕草でポケットに両手を入れ愛銃を握る。確かにクラウスにとってハンターは道具でしか無かったのは随分前に理解したもので、それでも今は贖罪の気持ちを抱えているのも知っている。過去の彼に縋っている相手の姿がなんだか滑稽でニコリと口角を上げて笑って見せればあくまでしらを切るスタンスを貫きながらなぜ相手に言わねばならないのかと問いかけて。こうして自分たちがずっと向き合っているのも周りに不審がられる頃合いであるし、足を進めて相手の横を通り過ぎようとした時周りに聞こえない声の大きさで囁いて)
いいからさっさとどっか行け、今回は見逃す。次はその心臓ぶち抜いてやるからな。
──私が大人しく諦めると思わないで、あの人に会いに来たんだから。クラウスによろしくね、ハンターさん。
(目の前の相手は彼との関係を口にする事はなく、すれ違い様に囁かれた言葉に怖いとばかりに少し肩を竦めると相手の腕を取ってその耳元に囁き返して。死んだと思った昔の恋人は生きているようだし、対立するはずのハンターと何かしらの関係を持っているらしい。最近まで付き合っていた恋人と別れた事で、昔の彼を思い出してこの町に来たのだから彼に会うまで諦めないと笑みを浮かべて。自分が探している彼の名前を口にするも少しでも隙を見せれば殺されかねないと、相手が振り返るよりも前に人混みに紛れその場を後にして。)
(相手とすれ違い街の人影に溶け込もうとすれば腕を引かれ囁き返された言葉。やはり、相手は彼を探していたのだと眉を寄せて笑みを浮かべる相手の顔を横目で睨みつければ腕が離され気配が遠ざかる。後ろを振り返るが相手の足の方が早かったようで瞬く間に人混みに紛れその姿は見えなくなった。今だ腕を掴まれているような嫌な気配を反対の手で撫で下ろし消せば舌打ちを零して、自身も反対方向へ足を進めて。相手の姿は見えなくなったものの後をつけられては大変だと見回りをしばらく行い適当な店で夜明けまで時間を潰し、太陽が顔を出してから拠点へ向って任務の報告と相手の情報を伝えた。どうやら相手は最近報告に上がっていた吸血鬼だったらしく、容姿や目的を話していれば人々の賑わいが始まる頃になってしまい眠気を抱えた思考のまま自宅へと帰って)
・・・ただいま、ねむっ・・・。
(家で一人相手の帰りを待っていたものの夜明け頃になっても帰ってくる気配は無く、何かトラブルがあったのだろうかと心配になってくる。夜型のため相手を待つのは苦では無かったが、日が登り始めると流石に眠気に襲われソファーに横になっては浅い眠りに落ちて。玄関の扉が開く音に意識を浮上させると、カーテンの向こうは既に明るく人々の騒めきも聞こえる時間帯。ソファーに身体を起こすとリビングに入ってきた相手にお疲れさま、と声をかけ迎えて。一見した限りでは大きな怪我を負っている様子も無いし血の匂いもしない事に安藤すると、欠伸を噛み殺しつつ何か飲むか尋ねて。)
──…おかえり、テオ。遅かったね。怪我が無くて良かった、…何か飲む?
ん、遅くなって悪い。少し報告が多くて・・・。喉は乾いてないからこのまま寝るな。
(遅くなったことを謝罪し、詳しいことは後で伝えようと報告が多くなってしまった事を述べる。この時間まで相手を起こしてしまったことを申し訳なく思いつつ、飲み物を勧められるが眠気が勝り首を振って。くぁ、と欠伸をしながらコートを脱ぎ掛ければそのままベッドへと進みブーツを脱いで横になる。体の力が抜けていく感覚を覚えながらうつ伏せになっていた体を横向きにして相手が入れる場所を作ると、手招きをして)
ほら、クラウスも眠いだろ。一緒に寝るぞ。
ん、…やっぱりテオと一緒だとよく眠れそうだ、
(夜通し外で任務に当たっていたのだから疲れただろうと頷いて、そのままベッドに向かった相手の後をついて行きベッドに潜り込むと促されるまま相手の隣に身体を寄せて横になり。相手の体温に包まれる感覚に自然と欠伸が漏れると相手の胸元に顔を寄せ既に目を閉じてしまいながら、相手が隣にいるとそれだけで安眠できると言って少し微笑んで。明るく賑わい始める街とは反対に静かで光の遮断された部屋の中おやすみ、と囁いては眠りに落ちるのに時間は掛からず、程なくして小さく寝息を立て始め。)
・・・それは俺も。
(誘った相手が腕の中に潜り込んでくれば背中に腕を回して髪に鼻先をうずめて瞼を閉じる。自分より少し低めの体温が心地よくて微笑むと、自分が隣にいると安眠できるという相手に自分もだと囁き返せばそっと唇を落として。心地よい空気を感じながら迫る眠気に身を任せていればおやすみ、と囁かれ自分も同じ言葉を囁き返すと聞こえる寝息を子守唄にして眠って。
しばらくして意識を浮上させ、時計を見れば昼過ぎで空腹を感じる頃合だった。今日の任務は、と頭の中で考えながら少し身動きをして腕の中の体温を抱え直すと軽く欠伸をして。しばらくの間そうしていれば眠る相手を起こさないよう体を起こしてシャワーを浴びようと浴室に向かって)
(心地の良い眠りの中、自分を包んでいる空気の温度が少し下がったような感覚を覚え、相手がベッドを出たのだろうと夢と現実の狭間で考えて。それでもすぐに起き出す事は出来ずに寝返りを打つと相手が掛けていた布団も抱え込むようにして布団に包まる。そうすると少し身体が暖かくなって、相手が傍に居るようで安心するのだ。シャワーを浴び終えた相手が戻って来て扉の閉まる音が聞こえてようやく目を覚ますと、布団に包まったまま相手に視線を向け、小さく声をかけて。何となく眠り足りないような気がするのは月の満ち欠けにも関係しているのだろう。満月が近づくに連れて寝起きが悪くなる事は自覚していて、少ししてから欠伸を噛み締めて身体を起こし。)
──…ん……おはよう、テオ。
おはようクラウス。まだ眠そうだな・・・満月、近いんだっけか。
(シャワーを終えリビングに戻ると扉の音で目が覚めたらしい相手と目があい、ベッドに近寄る。タオルで髪を乾かしながら隣に座ればおはよう、と返事をしてまだ眠そうな様子に確か、と問いかける。満月が近いと吸血鬼の本能が強くなり、眠気が大きくなったり体調を崩すのは前回も経験したことでそっと相手の頭を撫でた。サラサラと撫で心地の良い髪を楽しみながら眠気の混じる横顔を眺めていればふと、自分の揃いのピアスが目に入り昨夜退治した女吸血鬼のことを思い出していて。)
(/すみません・・・897思いっきり名前間違えてました・・・気にしないでいただけると助かります(土下座))
そうみたいだ。そろそろ吸血鬼の動きも活発になるかもしれない、テオも気を付けて。
(相手の問いにカレンダーを見て頷きつつ、徐々に月が大きくなり始める頃は自分と同じように他の吸血鬼たちも狩りに本腰を入れ始めるタイミングで、任務の危険も一層高まるだろうから、と注意を促して。自分の体調や吸血鬼特有の感覚から相手に助言が出来るのは唯一良い事だと思いつつ、髪を撫でる優しい手付きに猫のように目を細めるも此方を見つめる相手の様子に少し首を傾げて、相手の頬に手を添えて。)
……どうかした、?
(/ いえいえ、大丈夫ですよ!お気になさらず。)
了解、下手にケガしないよう気をつけるな。
・・・昨日、お前のことを探してる吸血鬼に会った。ブラウンのロングヘアに、ボルドー色の目をした女吸血鬼・・・心当たりあるか?
(相手の体調次第でほかの吸血鬼の動向がわかるのは有難く、忠告には素直に頷いた。目を細めて自分の手の気持ちよさを享受している相手に優しく微笑めば、こちらの思案に気づいた相手は首を傾げて尋ねる。伸びてきた相手の手に頬を擦り寄せると昨夜会った吸血鬼のことを話し、相手と面識があるだろうと考えながらどうなのだろうと問いかけて)
(/すみません、ありがとうございます・・・以後気をつけますね(蹴り推奨))
……知ってる、イザベラだ。街に現れた女吸血鬼が彼女だとは思わなかったけど…
(自分の事を探している吸血鬼、という思いがけない相手の言葉に驚いたのも束の間、相手が口にしたその特徴に複雑そうな表情を浮かべて彼女の名前を口にして。女性の吸血鬼が現れたと聞いてもまさか彼女だとは思わなかったと言いながら少し思案する様子を見せて。テオに昔の交友関係、延いては恋人の話をした事は無かった。親しい間柄の友人と呼べるような存在もそれほど居なかったし、過去の自分と関係があったのは当然吸血鬼ばかりで、相手を嫌な気持ちにさせたく無いとも思っていた。その中でも彼女は付き合いが長かったが、別れたのはもう何年も前の事。今町で多くの被害者を出している吸血鬼が昔の恋人だと言ったら彼はどう思うだろうと一抹の不安はあったものの、相手に嘘を吐く気にはならずぽつりと言葉を紡いで。)
…彼女とは、随分前に付き合っていた。昔の恋人だ。だけどイザベラには新しい恋人が居る筈だし、その彼とこの街を出て行った。どうして今更戻って来たんだろう、
さぁな、でもあいつはお前に会いに来たって言ってた。クラウスによろしく、ともな・・・新しい恋人となんかあったんじゃないか?
(やはり相手は女吸血鬼のことを知っているらしく、昔の恋人であることも教えてくれた。あの女吸血鬼が相手の昔の恋人であることには少し驚いたが、結局は違う相手と街を出ていったのだからあまり深い感情を抱くことは無い。相手は彼女のものではなく今は自分の恋人で他に目移りすることは無い。その自信があったからこそ過去の話を聞いても落ち込むことは無かった。むしろ出ていった彼女が何故今になって街に戻ってきたのか、相手を探しているのかという疑問の方が大きく推測を述べては不愉快そうに眉を寄せて)
──僕に会いに来た、って彼女が言ったならそう考えるのが良さそうだね。…あの頃は、誰かに傍に居て欲しくて。僕はハンターのコートを着ていたから、彼女にとっても都合が良かった。
(自分に会いに来たと、それが目的だと彼女が言ったなら相手の推測通り恋人と何かあったと考えるのが妥当だろうと頷く。その美貌に言い寄って来る男は多かったし、彼女は昔から恋多き女だった、新しい恋人との間にトラブルがあって昔の恋人を思い出しでもしたのだろうか。わざわざこの街に戻ってくるなんてと溜息を吐きつつ、昔を思い出す。周囲の人間に興味はなかったが、あの頃は孤独で、それでいて臆病だった。ハンターのコートを手に入れクラウス・バートンとして生き始めてすぐに出会ったのが彼女で、一緒に居た時間は長かったようにも思う。そんなことを話しながら、あの頃の自分を求めて探しているのなら、相手と共に生きる事を決めた今の自分は随分違った姿に映るだろうと少し笑って。)
でも、その頃の僕を探しているなら彼女の期待には沿えないな。テオと出逢って、僕は随分変わっただろうから。
ふは、確かに、お前は変わったよ。吸血鬼の冷たさが無くなって温かくなった・・・あいつはお前と会うまで諦めないだろうし、再会したらびっくりするだろうな。
(自分と出会って変わったのだと、そう言う相手に笑ってする。初めて会った時にはどこか冷たく、警戒心が強い空気を纏っていた気がする。だが何度か会い、言葉を交わして恋人同士になった今はその冷たさは感じられない。過去を悔やみ悩んで、嬉しいことや楽しいことには喜び、人のように一喜一憂する相手の温かさを身をもって感じることができるのだから、彼女はきっと驚くだろう。彼女は相手がいることを確信し、出会うまで諦めないだろう。きっと2人の再会を遮ることは難しいだろうから、復縁を迫られても自分は相手のことをただ愛していることをちゃんと覚えていて欲しいのだと伝えて)
・・・きっと俺はお前とあいつが再会するのを阻止するのは無理だと思う。時間的にも物理的にも・・・でも、あいつが俺の事をなんて言おうと俺はクラウスこと愛してるからな。それだけは信じて欲しい。
…ありがとう、テオ。君のその言葉が聞けてすごく安心した。僕もテオと一緒にいられる今が幸せで大切だ。だから何があっても君からは離れない。
(吸血鬼の元恋人の存在を知ったら彼に多少なり嫌悪感を抱かれても仕方が無いと思ったが、そんな考えとは裏腹に相手は何があっても自分を愛していると言葉にしてくれて、相手の優しさと愛情を再認識させられては思わず表情を緩めて。相手がそう言ってくれることが何よりも心強い。同じ町にいて過去の自分に固執している彼女から姿を潜め続けるのが難しいことは分かっていて、相手の言葉に頷く。彼女は自分を吸血鬼の世界に引き戻そうとしてくるだろうか。ただ、例え再開して彼女に復縁を迫られるような事があっても、吸血鬼として生きるよう諭されても、今の自分にとって最も大切なのは相手との暮らし。決して相手の元を去ることはないと約束して。)
どういたしまして、安心してくれてよかった。・・・俺もお前のその言葉が聞けるだけで安心だ。
(自分の言葉で相手が安心してくれることは嬉しく、ほっとした。それに加え何があっても自分の元を離れないと約束してくれたことで自分も安心感を覚えることが出来た。恐らく、相手が彼女に靡かないと分かれば次に接触してくるのは自分だろう。自分を殺しにくるかもしれないし、お互いが吸血鬼であることを逆手に取り別れろと脅してくるかもしれない。それでも自分は相手から離れる気は無いし、相手も自分から離れる気がないと分かっていれば怖いものなどないような気がした。頭を撫でていた手を相手の背中へと回し抱きしめると肩口に顔を埋めて囁いて)
本当に、心の底から愛してるよクラウス。
僕も、君が大好きだ。
(相手を抱きしめ返し、肩口に埋められた相手の髪を優しく撫でながらその耳元で言葉を紡ぎ。相手から囁かれる愛の言葉は自分の心を満たし、自分を包む体温に安心感を覚える。孤独を感じていた昔の自分からは想像も出来ないような幸せな時間を過ごしていると、過去を思い出したことで改めて実感して相手の頬にキスを落として。相手の言う通り彼女はどんな手を使ってくるか分からないが、生憎今日は仕事がある。シフトが不定期でも、長期的に休みを貰っても怪しまれないよう、役者を目指しているとかなり適当な設定をこじつけたため満月前後の1週間程度は仕事に出ずに済むのだが、今日が満月前の最後の仕事の日。外に出ない訳にはいかないし、相手にとっては吸血鬼の活動が活発になり一番忙しく危険を伴うタイミングでもある。さらに元恋人の存在を気にしなければいけないのは相手にも申し訳ないと、謝罪を口にして。)
今日は仕事があるんだ。だからずっと家に居る訳にはいかないけど…お互い気をつけよう。忙しいタイミングでこんな事に巻き込んでごめん、
(/ 背後から失礼しますー!イザベラちゃんにはそれぞれに一度接触してもらおうかなあと思うのですが、どんな感じが良いのかなと考えておりまして…!例えばクラウスに接触して、貴方は吸血鬼で人間とは共存出来ない、でも私が居る的な作戦(?)で、クラウスの吸血衝動を利用して吸血鬼側に引き戻そうとするとか、そこにテオも巻き込んで、貴方が中途半端な事するからと罪悪感を煽るとか、そんな感じのが思いついたのですが…何かアイディアがあれば伺いたいです!)
そうだな・・・いや、大丈夫だ。そんなに気に病むな。むしろこんな時期帰ってきて引っ掻き回すアイツの方が悪いだろ。
(愛の言葉を囁けば相手もそれを返してくれる。その言動に胸が暖かく満たされていくようで自分も頬にキスをし返して。また、今日は仕事があると告げ、警戒心を最大限まで上げねばならないことを謝罪する相手に首を横に振れば気に病む必要はないと告げる。そもそも相手は悪くないのだし、彼女が帰ってきても相手に接触しようとしなければこんなことにはならないのだし罪悪感を相手に持ってもらいたくなかったのだ。そこでふとあることを思いつけば、相手に元気が出ればいいと考えつつ告げて)
そうだ、俺の方の仕事が終わったら近くまで迎えに行く。帰りは少しデートでもしながら帰るか?
(/これまで全然アイデア浮かんでなかった・・・っ!
でも何それめっちゃいいですね・・・!吸血鬼の本能や過去の事で誘惑して揺らがせたり、テオを引き込みぐっちゃぐちゃ掻き回すの面白そうです!是非そのような感じでお願いします!!)
そうだね、ありがとう。
(気にしなくて良いと、悪いのはむしろ彼女の方だと言ってくれる相手の言葉に気持ちが落ち着き、確かに相手の言う通りだと頷くと礼を述べ。相手も任務があるというのに、終わったら迎えに来てくれると聞き表情を明るくしてはデートと言われると当然楽しみになってきて、嬉しそうに表情を綻ばせ。相手と一緒に帰る約束があるだけで仕事も頑張れそうだと機嫌も上向いたようで。)
──良いの?…楽しみだな、仕事も頑張れそうだ。
(/ そう言っていただけてよかったです!ではお言葉に甘えてその流れで!
もはやクラウスが好きというよりも、過去に縋って2人を引き裂きたいだけの性悪レディですが、ご容赦ください…!笑 引っ掻き回して、気持ちがこっちに向くことも2人を離れさせることも出来ないと悟ったら、元いた町に帰って貰いましょう!)
ふは、気分も上がったみたいで良かった。・・・じゃそろそろ早めの夕飯食べてお互い仕事行く準備するか。
(デートをする約束が交わされれば目に見えて気分が上がったのが分かりくす、と笑みをこぼす。こんな笑顔あいつは見た事がないだろうと見えない彼女への独占欲をさらけ出せば軽く頭をポンポンと撫でて夕飯の支度をしよう、と促し立ち上がり。昨日はロールキャベツだったから今日は魚・・・ムニエルにでもするかな、と頭の中でレシピを浮かべつつ他には何を作ろうかと考えて)
(二人の仲を深める悪女なら大歓迎です(笑)
そうですね!たっくさんこちらのいちゃラブ見せつけてやりましょう!
あ、あとすみません。クラウスの大怪我事件とテオの誘拐事件の方も今のうちに細かく相談してもよろしいですか?私としての勝手な推測ですと、
クラウスにイザベラちゃんが接触して揺らがせテオも引っ張り込む→二人のいちゃラブ見せつけられて諦めて街を出ようとするもオークションオーナーと接触して考えがあると誘導される→イザベラちゃんがハンターをクラウスの元に誘導させてクラウスを大怪我させる→さらにハンターの血でクラウスが吸血鬼の本能をさらけ出させテオにクラウスの吸血鬼としての醜さを目の辺りにさせることでテオにクラウスを捨てさせようとする→この作戦は失敗し、今度はクラウス自身にテオを吸い殺させてやっぱり人間じゃダメなのよって自覚させようとテオを誘拐する(満月の日)→こっちの作戦はいい所まで行くがやはり失敗して今度こそ諦めて元いた街に戻る
みたいに考えてしまったんでしょうが合ってますか??というかこんな感じに考えてしまったんですが良いのでしょうか??)
ん、そうしよう。じゃあサラダは僕がやるね、ドレッシングは何にする?
(相手とこうして何気ない日常を過ごす事がとても幸せだと改めて実感しつつ立ち上がると、相手と共にキッチンに向かい。調理は専ら相手任せだがちょっとした手伝いだけでもしようと、夕食に出すサラダの盛り付けはするとサラダボウルを取り出し、冷蔵庫に入っていたミニトマトを軽く洗って。サンドイッチやサラダを急ぎで作る時に便利そうだと以前試しに買っていたカットレタスも取り出して準備しながら、相手は何のドレッシングがいいだろうかと尋ねて。)
(うわー!!すごいです、流れも自然だしストーリーもあって高まりますね…!丁寧にありがとうございます!!完璧だと思うのですが、一部入れ替えても成立するかも、と思った所があったのでほぼほぼ同じな気もしますが入れ替えver.も提案しておきますね!
①今夜の接触でクラウスにその気がないと知って、それならクラウスの吸血鬼としての醜さを見せつけてテオを幻滅させようと、その場で血を流した人間を突きつける→衝動を抑えようとしている様子をテオに見せて、この人は吸血鬼なのに貴方が…的に罪悪感を植え付けようとする→失敗
②オーナーの誘導もあり、クラウスの元にハンターを差し向け大怪我をさせる→弱っているのを利用して、条件を飲んだら助けてあげる的な駆け引きをクラウスに持ちかけるも断られイザベラは怒ってその場を去る→テオに助けられる
③ それならもうクラウス自身にテオを殺させようと、満月の日にテオを誘拐する→失敗→もう付き合ってられない!好きにすれば!と元いた街に戻る
クラウスの吸血鬼としての本能を曝け出させるタイミングを入れ替えただけですが、こんな感じにもできるかなと!)
そうだな・・・ムニエル作ろうと思ってるからイタリアンかフレンチ・・・イタリアンかな。
(冷蔵庫からカレイの切り身を取り出すと下処理をして臭みを取り除き下味をつけてから小麦粉をまぶす。その間に相手はサラダを作ってくれるようで準備してくれているとドレッシングはどうしようかと尋ねられ、切り身についた余分な小麦粉を叩き落としながら何が合うだろうかと考える。頭に浮かんだ選択肢を口に出して選べばフライパンにバターをのせて熱し、切り身を置いて焼き始めて)
(/ありがとうございます!
わっ、ぶっちゃけ入れ替えVer.の方が好みです・・・ちょうど先程寝足りないなんて描写ありましたし、繋げやすいですね!是非とも入れ替えVer.でお願いします!)
了解。イタリアンだね、
(相手の選択に頷き、きっとムニエルにもよく合うだろうと楽しみにしつつ野菜をボウルに入れ、切ったミニトマトときゅうり、そこに少量のチーズも入れて最後にイタリアンドレッシングを掛けるとしっかり混ぜて。サラダの入ったボウルをテーブルに運び、いつものようにカトラリーを並べてテーブルメイクを終え。)
(本当ですか!良かったです、では入れ替えver.で進めていきましょうか。2人が一緒にいるからこそお互いに葛藤を生める展開にできそうですね!イザベラちゃんには完全悪女として2人のラブラブ度アップに貢献してもらいましょう!基本はこちらで動かせると思うのですが、クラウスとのやりとりだったりでイザベラちゃんを動かしていただく事もあるかと思うのですが…その時はまたお願いしても良いでしょうか?)
・・・よし、こっちも出来た。
(ムニエルを焼いている間にほうれん草とじゃがいものソテーを作れば、いい匂いが部屋中に漂っていく。相手が作ってくれたサラダも食欲をそそり腹の虫が空腹を訴えてきそうだった。焼けたムニエルを皿にのせ、レモンを添えるとほうれん草とじゃがいものソテーを付け合せテーブルに持っていく。また、いつものようにバケットも用意すれば机の端に置き席について)
あー、腹減った・・・いただきます。
(はい、全然大丈夫ですよ!しかし恐らく背後様とこちらとで多少性格の違いみたいなのが出てきてしまうかもしれませんが、その時はご了承ください!)
ありがとう、今日も美味しそうだ。いただきます。
(相手が運んできてくれたメインディッシュのムニエルと付け合わせのほうれん草とじゃがいものソテーは湯気と共に良い香りを漂わせ、美味しそうだと表情を明るくして。相手と食卓に着き手を合わせると、サラダとムニエルを皿に取り分けて、まずは熱々のムニエルから口に運んで。外側の香ばしく少しパリッとした食感と中の柔らかい魚の味わいも絶妙で頬を緩めて。)
美味しい、テオは本当に料理が上手いね。
(ありがとうございます!とても助かります…!もちろん性格についてはお気になさらず!というか私が勝手に初登場時に性格を作ってしまったので、悪女という枠から外れなければ良いですし、私と背後様とで動かすイザベラちゃんの中間ぐらいが本当の性格くらいの、ゆるりとした感じで問題ありませんので…!)
クラウスだってサラダの味、ちょうど良くて美味いぞ。混ざってるチーズの食感も美味い。
(相手がムニエルから食べたのを見て、自分はサラダから手をつける。瑞々しいレタスに甘みと酸味が絶妙なトマト、柔らかい食感のチーズ全てにドレッシングが絶妙な塩梅でかかっており、流石だと褒める。ついつい手が進んでしまうがほかのも食べなければとムニエルにフォークを刺し食べ進めながら食事を楽しんで)
(/了解しましたっ、頭の中ではイザベラちゃん(悪女)ってこんな感じかな・・・とか考えてるので頑張ります!!)
テオに褒められると何だか照れるな、…良かった。
(相手が美味しいと言ってサラダを食べ進めながら味を褒めてくれると、ほんの手伝い程度で料理らしい料理ではないものの嬉しいとはにかんだように笑って。食事を終えて手を合わせると、昨日相手に頼まれたコーヒーを淹れようと意気込んで立ち上がり、マグカップを用意して。まだ凝ったコーヒーは淹れられないが、お互い仕事を頑張れるように心を込めて淹れようと準備して。)
──ご馳走様。今コーヒー淹れるね、ちょっと待ってて。
(ありがとうございます、とても楽しみです!引き続きよろしくお願いします!(蹴り可))
ごちそうさま・・・ん、ありがとう。待ってるな。
(バケットもムニエルもサラダも綺麗に食べ終わると手を合わせて挨拶をし満腹になった腹を摩る。他愛もない満足感が身を包んでいたが相手がコーヒーをいれてくれるということで感謝を述べると食卓の上にある皿を重ねて片付けがしやすいようにして。コーヒーも飲み終わったら片付ければいいだろうと考えれば頬杖をついて相手の後ろ姿を眺め、コーヒーを淹れる音と広がる匂いを楽しむ。少しすれば出来上がったらしく、マグカップを差し出してくる手から受け取りまたありがとう、と述べると口をつけて啜り)
…今度、満月が過ぎたらで良いからさ、テオが淹れてるお洒落なコーヒーの淹れ方を教えて欲しい。ドリップコーヒーだけじゃなくて、もっと色々淹れられるようになりたくて。
(相手と向かい合ってコーヒーを楽しみ、温かく苦い味わいにホッと息を吐いて。自分の淹れたコーヒーを飲む相手の姿をカップ越しに眺めては、満たされた気持ちになるのを感じていて。相手はいつもこだわりの淹れ方で色々なコーヒーを淹れてくれる、カフェラテやエスプレッソ、他にも色々あった気がする。自分も相手に振る舞えるバリエーションを増やしたいと、お互い仕事や体調が落ち着いた頃に淹れ方を教えて欲しいと頼んでみて。)
ん、いいぞ。そしたらどのコーヒーの淹れ方から教えようか・・・クラウスの好きなコーヒーからでいいかな・・・。
(苦くも深みのある味わいを楽しんで飲んでいれば相手から頼まれたのは他のコーヒーの淹れ方で、少しばかりきょとんとしてから頷いた。今のままでも十分美味しいし満足しているのだが挑戦してみたいというのなら止める理由はない。どのコーヒーの淹れ方から教えようかと考えていれば、相手がそのうち料理も作れるようになることを想像しふと笑いだして。今までは料理もコーヒーも自分が淹れて振舞っていたのに、相手のできることが増えてはお役御免だと楽しみになってきていて)
はは、でもクラウスが料理も作れてコーヒーも色んな淹れ方出来るようになったら料理長交代だな。俺は普通のシェフになるのか。
やった、それじゃあエスプレッソからにしようかな。
(相手が許可してくれた事に嬉しそうにすると、以前相手が淹れてくれたエスプレッソからが良いと言って。相手にコーヒーの淹れ方を教わって料理が少しばかりできるようになったとしても、相手のレベルに追いつくのは到底無理だろう、オムレツを一人で作ろうにも綺麗に形を整える事ができず結局スクランブルエッグになってしまう、と以前挑戦したのを思い出して笑い。飲み終えたカップをシンクに置くと着替えてくると言って。)
まだオムレツだって上手く作れないんだから到底無理だよ、料理長交代まで何十年掛かるかな。…よし、そろそろ着替えて来るね。
ふははっ、そっかそっか。じゃあ、俺も飲み終わったら着替えてくる。
(何気ない会話の中でもずっと先まで自分と添い遂げてくれるのが分かり、笑みがこぼれる。相手がコーヒーを飲み終わり、着替えてくると部屋を出る後ろ姿に自分も、と声をかければ飲み終えたマグカップと食べ終えた皿をもってシンクに持っていく。ついでに、と使ったフライパンも兼ねて洗ってしまえば自分も着替えてくるかなと軽く髪を撫で整えながら自室へ行き、適当に着替えてからリビングへと戻って)
(クローゼットを開けて無難なシャツとズボンを取り出して着替えると、仕事用に髪を後ろでまとめておく。用意を済ませてリビングに向かうとキッチンの洗い物は既に片付けられていて、ちょうどリビングに戻ってきた相手にお礼を言いつつ相手のコートをコート掛けから取り渡して。)
テオ、洗い物ありがとう。はい、コート。
(自分も相手に買ってもらったコートを羽織り、連れ立って玄関に向かい。相手と一緒に家を出られるのは珍しく、いつもどちらかが見送る事が多かったためそれだけでなんだか幸せな気持ちになるようで嬉しそうに言って。)
…家を出る時間が重なるのは久しぶりだね。
ん、ありがとう。
(やはり相手の方が先にリビングに戻ってきていたようで洗い物のお礼を言われるとついでだから、と述べコートを受け取る。相手の来ているコートは自分が前に買い与えたものでよく似合っている姿に笑みを浮かべてしまう。一緒に玄関を出て鍵を閉めれば同じ時間に家を出ることが久しぶりだと言った。確かに最近はお互い時間をずらしていたりどちらかが休みだったりと一緒に出ることがなかったから嬉しい気持ちになる。そうだな、と同意してその気持ちを述べればそれぞれの目的地に向かう分かれ道までは言い聞かせ、そっと手を重ね、指を絡ませて)
そうだな・・・俺かお前のどっちかが先に出るから、重なるなんて最近はなかったな。でもやっぱり一緒に家を出れるのは嬉しい。
そうだね、こうして一緒に居る時間が少し増えるだけで幸せだ。
(夜になり少し冷えた空気の中、相手と指を絡ませて静かな夜道を歩くこの時間がとても幸せで嬉しそうに微笑みつつ頷いて。相手と方向が別れる道まで来ると、少し名残惜しく思いながらも相手の手を離し、日付を跨ぐ頃にまた店の近くで会おうと約束して。もし仕事が長引くようだったり何かあればメッセージで連絡すると言って軽く手を振ると、店へと向かって歩き出し。)
…それじゃあ、気を付けて。後で店の近くで会おう、もし遅くなりそうだったら連絡する。いってきます。
了解、お前も気をつけて・・・行ってらっしゃい。
(少しの間だけでもこんな風に触れ合って歩く時間は幸福で、相手と同じ気持ちであったことが余計に嬉しかった。分かれ道まで長いようで短く、あっという間に到着してしてしまい触れ合っていた体温が離れれば寂しく感じる。相手と約束を交わして何かあればメッセージをくれるという相手に手を振り返すと行ってらっしゃいと声をかけてその後ろ姿が見えなくなるまで見守っておく。相手の姿が見えなくなると自分も目的地へ向かおうとつま先を向けて歩き出して。
今日の任務地は相手の働く店の反対方向で急いで終わらせなければ約束の時間に間に合わなくなる。少し早足で向かいながら討伐対象を探るがこの時に限ってなかなか見つからず苛立ちを隠そうともせず路地裏や人気の少ない場所を探して。
しばらく時間がたち、やっと仕事が終わったとため息をこぼした。自身に怪我はなく、討伐対象もさほど強い者ではなかったがちょこまかと逃げ回るのが上手く、思いのほか時間を食ってしまった。近くの店で時間を確認すると日付が変わる数十分前。後処理に来た職員に後のことを任せれば駆け足で相手の働く店の方へと向かっていって)
(相手と別れて店に向かうと、制服に着替えてからいつも通りホールに立つ。バーレストランというだけあって店内は夜が最も賑わい、洒落た格好でディナーを楽しむ人たちを相手にオーダーに配膳にと忙しくしていてはようやく上がれたのは日付を跨いで10分ほどが経った頃で。遅れる場合は連絡をすると言ったのに少し待たせてしまったと、急いで服を着替えて店を出ると店の近くで待つ相手を見つけて駆け寄って。怪我がない様子にホッとしつつ待たせてしまったことで少し冷えている相手の手を取りながら謝り、任務を終えた相手に労いの言葉を掛けて。)
──テオ、お待たせ、!ごめん、バタバタしてて連絡出来なかった、…お疲れ様。
お前こそお疲れ様。実は俺もちょっと遅れたんだ、だから気にしてない。
(急いで店の近くに行けばまだ相手は上がっていないようで少し安心する。近くの壁によりかかり息を整えながら店内に時々視線を送れば賑やかで忙しそうな声が聞こえてくた。次第に息が整えられてくれば走ってきて上がった体温が下がり、夜の冷たさが体にしみる。もう少しかな、と考えていれば慌てた様子で店を出てくる相手が見えて軽く手を上げるとその手を取られ遅くなってしまったことへの謝罪と労りの言葉をかけてくれた。自分からも労りの言葉を返し、実は自分も遅くなってしまったのだと正直に話せば少しだけ苦笑いして。ふとそこで急いで着替えてきたのだろう、シャツの襟が曲がっていることに気がつき手を伸ばして直せば、デートしながら帰ろうと促して)
ふは、急いできたんだろ、襟曲がってるぞ。・・・よし、直った。じゃあデートして帰るか。
それなら良かった、…ありがとう。
(相手がいつも通りの様子で待っていたため走って此処に来てくれていた事は知らず、あまり待たせなくて済んだのなら良かったと微笑んで。不意に相手に襟元を直されると、急いで着た事で襟が曲がっていると聞き恥ずかしそうに笑って、直してくれた事に礼を述べて。相手の言葉に嬉しそうに頷くと手を取り、行きと同じように指を絡めて歩き出すも流石に日を跨いでいるため既に帰宅したか、店で楽しんでいる人が多いのだろう、行き交う人は繁華街とはいえ然程多くは無く。家へと向かって歩いていると以前相手と会っていたBarの辺りの道に差し掛かり、既に懐かしいと表情を綻ばせると相手に提案して。)
この辺り、最近来てなかったね。…一杯だけ飲んで帰る?
(一方で昔からクラウスがあのBarを気に入っていることを知っていたイザベラが、彼に会うべく身を潜めつつ辺りの様子を窺っていたのもBarの近くで。当てが外れたのか一向に会えずにいたものの、先日出会った焦茶の髪の長身のハンターと見覚えのあるブロンドの髪の2人が歩いてくるのが見えると、ようやく見つけたとばかりに笑みを浮かべて2人の前に姿を現して。)
──久しぶりね、クラウス。ハンターさんはこの間ぶり。
どういたしまして。あぁいいなそれ、たまには行くか。
(手を重ね指を絡めて歩き出せば夕方の思い出が頭に浮かび疲れが癒される。周りには人が少ないのと、酔っぱらいしかいないため自分たちが手を繋いで歩いているのはさほど気にならないのだろう。楽しく会話しながら歩いていればここに通いつめていたBarの近くの道で一杯だけ飲んで帰ろうかという提案に頷いた。懐かしいBarで飲むのは久しぶりで、たまにはいいと微笑んで足を向けていれば暗い路地裏から聞き覚えのある声がしてそちらを向く。先日、自分に絡んできた、相手を探している女吸血鬼。ずっと目を細め彼女を睨みつければ不機嫌そうに舌打ちをして)
・・・くそ、あんたのせいで最高の気分が最低になったわ。
──イザベラ、…本当に来てたのか。君に探される覚えは無いな、僕らはもう無関係だ。
(相手が同意してくれた事に嬉しそうにして、久し振りに懐かしいBarで相手と飲めると喜んだのも束の間。聞き覚えのある声と共に目の前に姿を現した彼女と視線が重なると、折角のデートが台無しだと溜め息を吐いて。彼女がこの街に居る限り逃げ切ることは出来ないだろうと思ってはいたが、何もこのタイミングで無くても良かったのに。何年かぶりの再会ではあったが特別な感情が湧く訳でもなく、寧ろ随分と前に別れた元恋人に探されるというのは可笑しなもので、相手に探される理由が分からないと肩を竦めて。)
ふふ、つれないわね。会いたかったっていう理由だけじゃ駄目なのかしら。
(どうやら昔の恋人は再会を喜んではくれないらしい。まぁそれもそのはず。自分から彼のことを捨てて違う恋人とこの街を出ていったのだからこんな対応になるのも理解出来る。それでも二組の目に睨まれて恐怖という感情はなく、逆に口に元に指を当ててくすくすと笑を零し、つれないわね、と零して)
それにしてもやっぱりハンターさん、クラウスと関係あったのね。ねぇクラウス、ハンターさんあなたとの関係私に隠して教えてくれなかったのよ、酷いと思わない?
(自分を睨みつけるハンターに視線を向けては目を細める。やはりこのハンターは彼のことを隠していた。あのピアスも彼と分け合ったのだろう。なぜ、そんなことをと考えながら先日会った時に彼のことを隠していたことを伝えて)
君に伝える必要が無かったからだよ。僕が誰とどう関係を持っていようと、君に探られる筋合いは無い。
(彼女が自分を探しているとわかった上で、相手は自分との関係について口を割らないでいてくれたのだと、彼女の言葉で自分を守ろうとしてくれた相手の優しさを知る。今や赤の他人である彼女に関係性を明かす必要もなければ、探られる理由もない。相手の判断は正しいと言いながら、万が一にも彼女が相手に危害を加える事がないように警戒心を露わにして。恋人との間に何かあったのだろうが、今の自分には関係のない事。自分の他にも元恋人は大勢いる筈で、そちらを当たって欲しいと告げて。彼女の望むような手助けは出来ないし、するつもりもない。自分の中で彼女は既に過去の記憶のひとつでしかないのだと言って。)
──イザベラ。何があってこの街に戻ってきたのかは知らないけど、当たるなら他を当たって欲しい。僕は君の役には立てない。昔のような関係に戻りたいと思った事も無い。
・・・そう、残念ね。私はあなたのことを想って探していたのよ。なのに人間と・・・ハンターと一緒だなんてあなたが悲しむだけよ。
(彼には何を言っても揺らがないのだろう。真正面から自分を見る目とチクチクと刺さる警戒心がそう訴えてきて機嫌が降下していく。きっと人の近くにいれば、ハンターの近くに散ればいつか吸血鬼の本能をさらけ出して殺されてしまうかもしれないのにと考えていれば、ふと、彼の本性をハンターに見せれば離れて行くかもしれない。ちょうど良く満月の近い日だ。にこ、と可愛らしい笑みを見せれば先程吸い殺したばかりの男の襟をつかみ2人の前へと放り出す)
ね、ほらクラウス・・・私と一緒に前と同じように暮らしましょう?人を吸い殺し、無惨に捨てる・・・それがあなただったじゃない。
──、!
(相手が知っている昔の自分は彼と共に生きると決めたその瞬間に捨てたのだと、相手に何を言われても彼と離れるつもりはないと、そう言い返そうとした言葉は不意に止まる。息の詰まるような濃い血の匂い、足元に投げ出された人間の身体、この状況は不味いと理解した時には背筋が粟立つような感覚と共に、強い渇きとそれを満たしたい衝動に襲われて。人を殺めることはもうしないと彼と約束したのだと、咄嗟に縋るように彼の手を握り締めたものの一瞬にして紅く染まった瞳は足元に倒れた男を捉えて離さず、血の流れる首筋に噛み付きたい衝動に駆られていて。本能のままに行動することをギリギリの理性だけで繋ぎ止めている状況で、呼吸が浅く乱れ。)
(二人の会話に入るものでは無いと口は閉じ、様子見していたがどうにも諦めが悪い彼女に眉を寄せる。ただでさえ今夜は満月の前、寝足りないのだと体調が万全でないことを教えてくれた日だというのに、とため息を零した。物のように投げ出された吸い殺された遺体。首から流れる血が相手の本能を呼んだのだろう、相手の目が赤く染まり、縋るように手を握る力が強くなる。きっとここで手を離してしまえばすぐにでも貪りつくだろうが、ギリギリで止まる相手を腕を引いて寄せると片手で抱き上げ、もう片方の手で相手の後頭部を自分の肩に押し付けるように撫で付けて。少しでも血の匂いを嗅がないよう、遺体を見ないようにし、我慢することのできた相手の頭を撫でながら優しい声で褒めて)
クラウス、偉い偉い。よく止まれたな。家帰ったら俺のをやるからもう少しだけ我慢してくれよ。
(本当なら今すぐここで殺してやりたい。人の恋人を誘惑するなど、相手の本能を呼び覚まして誘い出す彼女なんて最低を通り越して吐き気がする。それを飲み込みながら、相手を止める自分を睨みつけてくる彼女に嘲るように笑えば軽く首を傾げて問いかけて)
・・・にしても躾がなってねぇな。人のモノは取っちゃいけません、って習わなかったのか?
──…
(相手に引き寄せられ、肩に顔を押し付けた事で血の匂いは僅かに遮断されたものの一度湧き起こった衝動は直ぐに収まる事は無く、苦しそうに肩を震わせて。相手の咄嗟の行動と今夜が満月では無かった事とのお陰で辛うじて理性を完全に手放す事は無く、強い吸血衝動にじっと耐えていて。)
…あら、クラウスが貴方の物だなんて知らなかったわ。教えてくれなかったのは貴方でしょ?──それより、随分残酷なことをするのね。可哀想なクラウス…貴方のエゴが彼を苦しめているって気付かないの?
(此方を嘲笑うような言葉に、相手の物だなんて知らなかったと肩を竦めて見せつつシラを切り通し、彼を宥めるようにして抱き支えている相手に視線を向けると嫌悪感を露わにして。吸血鬼の本能を無理やり押さえつけることで彼を傷つけているのは相手だと責めるように言いながら相手を睨みつけ。)
白々しい・・・気づいてただろう?俺とこいつに関係があるだなんてことは。
(知らなかった、とシラを切る相手にため息を零す。自分の耳についているピアスでクラウスと関係を持っていることに気づいていたくせに、と吐き捨てれば睨みつける目と、責めるような言葉にふは、と笑って。確かに自分の行動は相手の苦痛を増長させるもので、労るならば吸血させるのが1番の手なのかもしれない。しかし、これまで罪を償いたいと、これ以上人を殺したくないと訴えて努力する相手を手助けしたいという気持ちも強く、それを尊重したいという気持ちの方が強かった。たとえそれが自分のエゴだと、残酷だと言われても自分が責められるだけならばいくらでも受け止められたのだ。)
俺のエゴ?まぁ確かにな。でも選んだのはこいつで、俺はそれを助けてるだけさ。
・・・それの何が悪い?
嘘よ、この人はそんな事に罪悪感を感じたりなんかしない。貴方も今に首を食い千切られるわよ。一度衝動に襲われたら渇きを満たす事しか考えられないの、目の前に餌をぶら下げられて耐えられるわけ無いわ。……ねぇ、クラウス。楽になりたいでしょう?
(相手を自己嫌悪に突き落とそうとしたのに、動揺する素振りすら見せず落ち着いた様子で言い返してくる相手に苛立ちが募り、徐々に余裕のない口調に変わって行き。何を言っても揺らがずお互いがお互いを絶対的に信頼しているように見えるこの二人の関係性が癪に触り、どうにかして彼を此方に引き戻したいという欲求が強くなっていく。血の匂いを嗅ぎ本能を引き出されている彼の忍耐も限界に近いだろう、相手も血の通った人間なのだから、今に自我を手離して顔を埋めている相手の首筋に噛み付くだろうと笑みを浮かべて。此方に背を向け顔を見ることもできない彼に声を掛けると、早く血を貪れば良いと優しい声色で誘導して。)
時間が流れれば人は変わる。それは吸血鬼だって同じことだろ。いつまでも過去のこいつに縋ってんじゃねぇよ。
(こちらを揺さぶる言葉に動揺することなく返してれば苛立ちを隠そうともせず過去の彼を引き合いに出してくる。いつまで過去の姿に縋るのか、とうに消えた幻影を取り戻そうする姿が滑稽に見えてきてくくっ、と笑みがこぼれてしまう。吸血鬼としての冷たい過去の相手を取り戻そうとする相手に、時間が経てば誰だって変わることが出来ること、いつまでも過去に縋ってないで諦めろ、と、睨みつけて)
…っ、今に後悔するわよ。幸せで居られると思わないで、貴方からクラウスを取り返すまで諦めないわ。
(嘲るように笑う相手の言葉に唇を噛みながら睨みつけ返すと、この場で彼を取り返すのは無理だと悟ったのか捨て台詞を吐いて。彼は理性を飛ばさないよう耐える事に精一杯で話を聞いてくれる様子は無いし、目の前の相手に今何を言っても感情を揺さぶる事が出来ない。時間の無駄だと、相手を睨みつけたままそう言っては絶命した男の身体はそのままに踵を返して。この街を大人しく出ていくつもりは無い、二人の絆を引き裂いて以前の彼を取り戻すと誓いながら路地の闇に紛れて。)
どうぞ、ご勝手に。
(相手は一時的にだが諦めたらしい。悔しそうにこちらを睨みつけながら踵を返し路地の闇に消えていく姿を眺め、その背中が完全に見えなくなるまで観察を続けておく。足音も気配も消えたのを確認すれば絶命した男の遺体をどうするか少し考え、近くの壁にもたれ掛かるように座らせる。この男には悪いが自分にはやることがあるし、分かりやすいところならば誰かが見つけてくれるだろう。その希望を抱えながら自宅へと足を進めていく。早足で歩いていけば直ぐに自宅へと戻ることが出来、鍵を開けてドアを閉める。きっと腕の中に抱えた彼も我慢の限界だろうと抱えていた腕から足を降ろし、コートとシャツのボタンを外しては優しく頭を撫でながら吸血を促して)
悪い、待たせたな。もう大丈夫だ、吸っていいぞ。
(理性を失ってはいけないと必死に自分に言い聞かせながら相手の肩に顔を埋め、強い渇きに意識を向けないように衝動に耐える時間は実際よりもとても長く感じられるもので。これまで通り本能のままに血を口にする事が出来れば楽なのは分かっているが、その代償に相手を失う事になると思えば耐える以外に選択肢は無かった。 やがて扉の閉まる音がして家に戻ってきたのだと分かる。相手の優しい声に促され漸く顔を上げ、首元を緩めながら血を吸って良いと言葉をかけてくれる相手を前にこれ以上堪えることは出来ず、相手の後頭部に手を添えて引き寄せるとその首筋に牙を突き立てて。相手を気遣う事が出来ず、痛かっただろうかと少し考えるが溢れ出した血が喉を通ると強い渇きが癒されるようで、直ぐにそちらに夢中になっていて。)
(思いのほか我慢させすぎたらしい。許可を出した途端引き寄せられた頭と牙を立てられた首筋の痛みに眉を寄せて。少し強めの痛みは伴うが、そっと相手の背中に手を回してその痛みを緩和できるようにすると息を吐いて体の力を抜き。血が飲まれて行くことで体から血が抜けていく感覚が分かるが、じっと耐え相手が満足するのを待って)
(渇きが癒される心地良さと甘美な味にもっと飲みたいと欲が湧き上がるが、相手の体調に支障をきたしてしまわないよう我慢して相手の頭を支えていた手を緩めて首筋から口を離して。相手と共に生きる事を決め狩りを辞めたあの日から、相手以外の人間に対して強い衝動を感じる事は無かった。その為あの男性を目にして衝動的に血を欲した自分が、それが吸血鬼の本能なのだから当然の事だと分かっていても、相手と出会う前の昔の自分に戻ってしまったような気がして複雑な心境だった。相手が居てくれなければ、自分が血の匂いを嗅がなくて済むよう抱き支えてくれていなければ、きっと耐えることは出来なかっただろうと、ようやくその事に礼を述べて。)
…テオがもし僕の手を離していたら、きっとあの人に牙を突き立ててた。ありがとう、僕を抑えていてくれて。
どういたしまして。俺としてもお前に手を振り払われなくて良かった・・・あと、あの場で血を吸われなくて安心したわ。
(相手の頭が首から離れたのが分かるとそっと目を合わせ微笑む。耐えることが出来たのは自分のお陰だと相手は言うが、実際振り払われてしまっては止めることは出来ないし、あの状況では彼女の言うとおり首を掻き切られても文句が言える訳でもない。あの飢餓を耐えられたのは相手の理性が強固だと、あくまで相手自身の力で耐えられたのだと伝えて)
・・・アレを耐えられたのはクラウス自身の力だ。俺は手伝っただけだよ。
…でも、僕が理性を保てたのもテオが居てくれたからだ。あんな挑発でも、やっぱり血を見せられると衝動が抑えられない、
(相手が側に居てくれなければ、思いとどまるだけの葛藤が生まれず咄嗟に噛み付いていたかもしれない。狙いの分かりきった挑発でも、実際に血を見せられ匂いを嗅いでしまうと本能的に湧き上がる衝動は抑えきれないもので、相手との暮らしの中で以前とは少し変わったという自覚があっただけに、簡単に本質は変わらないと突きつけられたような気がして気落ちしたように溜息を吐くと甘えるように相手の肩に顔を埋め背中に腕を回して。)
はは、そっか。でもほんと、踏みとどまってくれてよかった・・・。
(気落ちしたような溜息と甘えるように抱きしめられ、同じように相手の方に顔を埋める。自分の手が振り払われなくて、あの場で血を吸われなくて、相手が彼女の手を取らなくて本当に安心したのだ。もう置いていかれるのも、裏切られるのも体験したくない思い出で、心の底から踏みとどまってくれてよかった、と零して強く相手を抱きしめる。相手が自分から離れないのならどれだけこの身を犠牲にしたって構わない。そんな歪んだ独占欲のようなものを感じながら内心苦笑いしていて。)
今日はもう休もうか、…今度こそ時間を取ってあのバーで一杯やろう。
(いつも自分を想い支えてくれる相手が、自分があの男性を前に踏み止まったことを心から喜び安堵してくれている。それだけであの時間の苦しさも忘れてしまえるような気がして肩口に顔を埋める相手の優しい体温を感じて少し微笑んで。相手も任務終わりにあんな事に付き合わされて、更には血も吸われて身体が疲れているだろうと休む事を促してベッドに向かい、今夜デートで寄るはずだったバーにはまた日を改めて2人で行こうと約束して。)
あぁ、そうだな・・・。休み合わせて行こうな。
・・・ん、今日はもう、ゆっくり寝たい。
(交わされた約束と今日はもう休もうとベッドへ促す相手に頷き着いていく。コートは脱いでコート掛けにかけておいた。たしかに精神的にも身体的にも疲れているようで相手に促されるまま、ベッドに横になればどっと疲れが体にのしかかって来た気がした。ゆっくり寝たい、と本音を零して明日もある仕事に溜息をこぼしてしまう。腕を広げ、相手がその中に入ってくれば軽く抱きしめてからおやすみ、と囁き瞼を閉じる。すると直ぐに眠気が襲ってきて、相手の体温と安心する匂いを感じながら寝息を立てて眠って)
…おやすみ、テオ…
(相手の体温がいつもより少し低い気がするのは、自分が相手の血を吸った事による反動だろう。一歩誤れば重篤な貧血を起こしたり命の危機もあると分かっていても、自分に血液を提供してくれる相手の献身的な愛情を感じて、抱きしめてくれる相手の背中へと腕を回し返して。今日は色々な事があったと思いながらもこうして相手と共にいつもと同じようにベッドで眠る事ができるだけでとても幸せに思えて、相手の頬にキスを落とすと眠りに落ちて。)
(暫く惰眠を貪っていたが、ふと目を覚ますと近くに見える相手の寝顔に穏やかな気持ちになる。時計を見ると丁度朝市が始まるような時間で空腹を感じて身を起こそうかと考えるが、酷く頭がぼーっとするのもあり面倒だなという気持ちが大きくなっていた。二度寝をするか何か食べて空腹を紛らわせるか少し考えると昨日吸血されて血が足りないのもあり、空腹を紛らわせることに天秤が傾いた。寝ている相手を起こさないよう体を起こしてキッチンに向かうが、なにか料理するのは面倒で食パンにハムや冷蔵庫の中の残り物を挟むと、もそもそも咀嚼する。また、やかんに水を入れ沸かすとマグカップに注ぎ増血剤と共に飲んでいく。眠いのと僅かな寒気と今夜の仕事が面倒な気持ちを抱えて空になったマグカップをシンクに置くとソファーに寝転び、腕を目の上にのせてまた眠気に身を任せて)
(相手から血を貰った事で身体の不調は感じずに済んでいるものの、満月が刻々と近付く中重たい眠気だけは拭い去る事が出来ずに布団に包まったまま寝息を立てていて。相手が起き出してキッチンの方で物音がしているのを遠くに聞きながらも起き出す気になれず、昨晩の吸血の影響で体調を崩していないか心配な気持ちがありながらもまた意識は沈んでしまい。ふと目を覚ますと既にかなりの時間が経っていたようで、窓の外の日の光は明るくも柔らかなものに変わっていて昼よりも夕方に近づいている頃合いだと察する。まだ任務に出るには早い時刻だろうがベッドには当然相手の姿は無く、物音がする訳でもない、ようやく身体を起こして辺りを見回し相手の姿を探して。)
(ソファーでしばらく眠っていると体調が戻ったようで昼過ぎに目を覚ます。軽く欠伸をすれば滲む涙を拭い、ベッドで眠る相手の姿を捉えた。やはり、吸血をして飢餓が薄れても満月が近いと眠気が強いようで起きる気配がない。首筋を軽く掻き、残っている痕が指に引っかかれば痛みが走り眉を寄せる。絆創膏でも貼って引っかかないようにでもしようかと考えつつ、シャワーを浴びに浴室へと向かって。少し時間を開けて体をさっぱりさせ、リビングに戻ると冷蔵庫の中を開けて確認する。夕飯の材料になるものはあまりなく、血のストックも少ない事があり買い物にでも行こうかと考えると自室で着替えを済ませ、眠る相手の額にキスをしてから街へと出かけて。
目的のものを買い自宅へ戻る頃には夕方近くになり、そろそろ相手も起きているだろうかと考えながら家の中へと入る。中に入ると体を起こし辺りを見渡している相手と目があい、声をかけて)
おはよう・・・っていうより、おそようだな。どうだ調子は。
お帰り、…ごめん、気付かなくて。君の血を貰ったから身体は辛くない、テオこそ大丈夫だった?
(ちょうど玄関の開く音がして相手がリビングに入ってくると、手に持った袋を見て買い物に出ていたのだと理解して。相手も昨日は疲れていた筈なのに、相手が出かける事にすら気付いて居なかったため相手に全て任せてしまったことを謝りつつ、自分の体調は問題ないと答えて。相手に血を貰った事で渇きは感じて居なかったし、少し身体が怠いくらいで普段よりずっと楽だった。むしろ相手は貧血や立ちくらみの症状は起きなかっただろうかと不安そうに尋ねて。)
ん、ただいま。いいよ、寝てたし起こさなかったのも俺だから。体調は一回起きて飯食って、薬も飲んだから大丈夫そうだ。
(起き上がっている相手の体調は良さそうで血を上げたかいがあったようだ。前の時のように寝込んでいる姿でなくて少し安心すると申し訳なさそうにする相手に首を振って。深く寝入っていたようだし気づかないのも無理はないのだからと伝えて、買ったものの中から今夜使う分だけキッチンに置くと残りは冷蔵庫に入れて。買ってきた血のパックも専用の冷蔵庫に入れると振り返り、夕飯はどうするかを問いかけて)
夕飯はどうする?一応材料は2人分買ってきたが食べなくてもいいぞ。
…今日は辞めておこうかな、コーヒーだけ一緒に飲む。
(冷蔵庫に食材を入れる相手の後ろ姿を眺めながら、夕食はどうするかとの問いかけに少し悩む素振りを見せつつ今日は辞めておくと答えて。相手の手料理をまた2人で一緒に楽しむのは、満月が明けた日のお楽しみにしておこうと。代わりに食後のコーヒーは一緒に飲むと言いながらベッドから降りてダイニングテーブルの椅子に腰を下ろして。料理をする相手の姿を見ていたものの、首元の痕に気付いて立ち上がり相手の背後に立つと昨晩噛みついた痕を軽く指で撫でて。)
…テオ、ここ引っ掻いた?赤くなってるよ。絆創膏貼ろうか、
了解、じゃあまた今度食べようか。
(相手の言葉に了解、と言って了承すればまた今度食べようと誘って自分の分の夕飯の準備をし始める。なんだか今日はあまり料理をしたくなくホットドッグとコンソメスープ、適当にサラダでも作ろうかと野菜を刻んで小鍋に入れるとコンソメと水を入れて温めて。その間にレタスとトマトを飾りサラダにすればシーザードレッシングをかけて。ホットドッグを温めるか少し悩んでいれば首筋についた痕を撫でられ、驚きで肩を跳ねさせると顔を相手に向けて)
わ、びっくりした・・・あぁ、貼るの忘れてた。クラウス頼むわ。
ごめん、急に触ったらびっくりするよね。…ん、待ってて。
(驚いて肩を跳ねさせる相手に、確かに断りも入れず急に後ろから触ったら驚くだろうと申し訳無さそうにしつつも猫のような反応に少し笑ってしまい、相手の頬にキスをして。頷いて救護箱から絆創膏を一枚取り出すと、念のため小さめのガーゼに消毒液を染み込ませて相手の元に戻ると、軽く痕を拭って消毒してから絆創膏ペタリと貼りつけて。)
出来た、これで大丈夫だ。
・・・ん、ありがとう。助かった。
(いきなり触られたとはいえ驚きすぎたと少し恥ずかしくなり、頬にキスされれば余計に気恥ずかしく頬を少しだけ赤く染めて。また、消毒と絆創膏が終われば感謝を告げる。小鍋のスープの様子を見ては塩コショウを忘れたことを思い出し、ふり入れてから味見をし、温まると皿に移して夕食にする。パンの袋を開けて食べやすいよう引き出してから齧りつくと思わぬ姿を見せてしまった羞恥から暑くなった顔を冷ますようにシャツで扇いで)
あー、くそ、恥ずかし・・・。
ふふ、可愛かったよ、尻尾を踏まれた猫みたいだった。
(相手が恥ずかしがっている姿が新鮮で、一緒にテーブルに着き夕食を食べている相手の姿を眺めながら何処か揶揄うような色を浮かべて言うと楽しそうに笑って。いつも余り動揺を見せる事がなく落ち着いている相手が、肩を跳ねさせて驚いていた様子は尻尾を踏まれた猫のようだったと比喩しながら、よしよし、と相手の髪を撫でて。)
・・・お前、面白がってるだろ。
(自分の姿を見て楽しんで揶揄っている相手を赤い顔のまま睨みつけるがそれほど迫力はなく、逆に頭を撫でられてしまう。それに面白がっているだろうと苦言を呈すが相手は余計に楽しげに笑うだけで、なんだか腑に落ちないような気分だった。仕返ししてやろうと空いている手を相手の頭に添えて引き寄せればがぶ、と少し強めに鼻頭に噛みつき歯型を残す。驚いた様子の相手にクッと口角を上げて笑えば相手の方こそ猫のようだと比喩して)
ふは、お前の方が目まん丸で猫みたいだな。
、!──訂正、テオは噛み癖のある悪い犬だ。きちんと躾けないといけないな、
(不意に引き寄せられ鼻の頭を噛まれると予期しない反撃に驚いて目を丸くする。それが面白かったようで猫のようだと揶揄して笑っている相手をジトリと見つめると相手を猫のようだと言った事を取り下げて、噛み癖のある犬みたいだと言って。悪い犬はきちんと躾けないといけないと相手の鼻を摘むと、顔を近付け自分の唇に指で触れて噛むなら歯を立てずに此処を噛んで欲しいと暗にキスを強請って少し笑みを浮かべて。)
…噛むなら此処、歯は立てないで。
はいはい、了解しましたご主人様。
(ジトリとこちらを見る目がこれまた飼い主に意地悪された時の猫のようで余計に楽しくなってしまっていた。が、自分を悪い犬だと比喩され躾けないとならないね、と鼻をつままれ驚きで一瞬目を閉じてしまう。瞬きの間に相手の顔が近づきキスの催促をされれば、ぱちくりと目をまた瞬かせ緩く笑みを見せる。はいはいと返事をしつつ相手をご主人様と呼び、お強請りに答えるように相手の唇に自分のを重ねて)
ん……良い子、
(ご主人様と呼ばれ、優しく重ねられた唇の感触に満足げにすると暫し相手とのキスを堪能し、やがて唇が離れると態とお利口にしていた犬を褒めるような口調で言っては可笑しそうに笑って。こんな事で笑い合える相手がいる事が幸せで、コーヒーを淹れ始めようと立ち上がるとキッチンに立ちながら、相手に今夜の任務の予定を聞いて。彼女はまだこの街に居るだろうから、相手にも一層注意して貰わないとと思いながら。)
テオ、今日の任務は?気を付けてね、満月も近いしイザベラもまだ街に居ると思うから。
・・・お褒めに預かり光栄です、なんてな。
今日は南方面でパトロール。本当は満月前の最後の休みだったのにあいつのせいで警戒度が上がって潰れた・・・お前も外出る時には気をつけろよ。
(唇を離せばお利口な犬のように褒められ、仰々しく返すと楽しげに笑って。確かに自分は犬の方が似合っているなと思っていて。皿に残る夕飯を口に入れながらコーヒーを淹れにくる相手の背中を見ながら今日の任務について話せば、元々は休みであったのに彼女のせいで全体の警戒度が上がり潰れたことを憎々しげに伝えて。本来ならばゆっくり過ごそうと思っていたのに、と溜息と共に呟いて)
休日返上か、…イザベラがこの街に居続けるのは誰の為にもならないし、早く飽きて出て行ってくれる事を願うばかりだね。ん、今日は家で大人しくしてるよ。
(元々休みの予定だった事は知らなかった、折角相手がゆっくりできる機会だったのにと溜息を吐きつつ湯気の立つマグカップを相手の前に置いて。自分もカップを手に隣に腰を下ろすと、やはり早く彼女には此処を出ていって貰わないとと口にして。今夜は今の所外に出る予定もないため、相手が戻るまで家で大人しくしていると答えつつコーヒーを啜って。)
だな。あいつが戻れば俺もお前も警戒することなんて無くなるのに・・・。あ、でも満月の後に2連休もぎ取ってきたからそんときBarに行ったり家の中でゆっくりしよう。
(最後の一口を飲み込み、彼女に早く出て行ってもらわないとという言葉に同意する。彼女がいなくなれば警戒することなんて元通りになるはずなのに・・・下手に精神をすり減らして生活するのは疲れる、と考えて置かれたコーヒーを啜り。そこでふと、今回の休日が無くなった代わりに満月の数日後に2連休を貰ってきたことを伝え、その時ならば相手の体調も回復しているだろうし行けなかったBarに行こうと誘って。)
満月まであと数日だろ?それまで頑張ろう。
──本当?それは楽しみだ、約束だよ。
(今日の休みは彼女によって潰されてしまったが、満月の後に2連休を貰ったという相手の言葉に表情を明るくして。行けなかったバーに行ってゆっくりしようという提案に嬉しそうに頷くと、約束だと小指を差し出して相手と指切りして。その約束があれば辛い事も耐えられる気がした、お互い満月まで持ち堪えればひと息つくことができるのだから。)
あぁ、約束。
(自分の提案に気分は上がったようで嬉しそうな表情をする相手に微笑む。約束として差し出された小指に自分の小指を絡めると指切りをして。指切りなんて子どもの頃にして以来だと思い出してみてはこんな約束の仕方もいいな、と考えてしまう。指切りをして約束したことは必ず叶えないとならないだっけな、と思いながら満月後の休日を想像しては残りの任務も頑張ろうと思えてきた。絡めた指を解き、コーヒーの残りを飲むと食べた皿と共にシンクに置きそろそろ行くことを伝えて。また、南方面でとはいえ少し遠くなりそうだから帰りは遅くなることを伝えると満月も近いのだし先に眠っているよう促してから玄関に足を進めて)
よし、じゃあ行ってくる。多分帰り遅くなるから先寝てろよ。
分かった、気を付けてね。行ってらっしゃい。
(帰りが遅くなるという相手に頷いて、その言葉に甘えて先に休ませて貰うと伝えて。玄関まで相手を見送るといつもと同じように気を付けて、と声をかけ軽く手を振って相手を見送り。玄関の扉が閉まると部屋へと戻り窓辺に移動するとカーテンを開け、相手が夜の街に消えて見えなくなる迄背中を見送ってはキッチンに向かい洗い物を済ませて。シャワーを浴びようかと一度浴室に向かうと、ふとシャンプーが切れそうだった事を思い出して、相手は頼んでも気にしないだろうが任務に追われ忙しい中買いに行くのは負担になるだろうし、自分も満月までは暫く外に出られなくなる、そう考えると今のうちに買っておくのが良さそうだと思い至り。近くの店で必要なものだけ買って直ぐに帰ってこようとコートを羽織ると、財布をポケットにしまい相手が出て行った10分程後に家を出て。)
ん、行ってきます。
(軽く手を振って見送る相手に行ってきます、と言い手を振り返す。玄関のドアを閉め、電気が灯り始める街を歩けば軽く欠伸をして。今夜の任務地は南方面、しかも端の方だ。あまり被害は出にくいところで見回りのみ、と司令を受けたものの万が一に備え警戒は怠らない。巡回する車に乗り、端の方で街の様子を眺めながら揺られて十数分。賑やかな街の片隅に降り立つとふらり、と目立たないのよう路地裏に姿を消した。)
(また違う街の片隅。イザベラは誘った男の血を吸い、物言わぬ死体となった男を乱雑に地面へと落とす。頭の中にあるのは自分を見ようともしない元恋人とハンターのこと。どうすれば彼を自分の元に呼び戻せるのか眉を寄せて考えていれば、近づく一つの影があった。仰々しく声をかける男に彼女は不審げに返すが、提案された言葉に目を丸くし、少ししてから楽しげに笑みを見せる。奥へと誘う手に促され、暗い路地裏へと足を進めるとその姿は闇へと消えていった。)
…あった、これと…
(近くの店に向かうと買いに来たシャンプーを手に取りカゴに入れる。他に買っておく必要のある物は無かったはずだと店内を見回し会計に向かおうとすると、棚に並んだ缶に入ったチョコレートを見つけて思わず手に取って。毎晩任務の前にコーヒーを飲む相手に一緒に出したら喜んで貰えるだろうか、なんて考えると相手の喜ぶ顔が見たくてそれも一緒に購入することにして。袋を手に店を出て暗い道を歩きながら、雲の隙間から覗く満ちていく月を見上げ相手との約束を思い出しつつ帰路へと着いて。)
あら、奇遇ねクラウス。・・・今夜はハンターさんと一緒じゃないの?
(怪しい人物との商談を終え、充実した顔で街道を歩く。時々男性に声をかけられるがするりと躱し、浮き足立ったように歩いていれば向かい側から買い物袋を持ちながら帰路に就いている相手の姿が確認でき、態とらしく目の前で立ち止まるとにこりと笑みを見せて声をかける。ここで出会ったのは偶然だがタイミングが良い。片腕を横に、もう片方の手を頬を当てて軽く首を傾げると今日はハンターの彼と一緒では無いのかと問いかけて)
…イザベラ、また君か。見ての通り彼はいないよ。君もそろそろ元居た街に戻った方が良い。何度来られても僕の答えは変わらない。
(家に戻るべく歩いていると不意に聞き慣れた声が聞こえ、またかと呆れたように顔を上げると想像通りにこやかに佇む相手の姿があり。溜息を吐きつつ足を止めると今夜は彼はいないと相手からの問いに答え、あまりこの街に長居せずハンターに殺される前に元いた町に戻った方が良いと伝えて。)
それは残念。でも、アレを見てもそう言ってられるかしら?・・・ふふ、いえ今日はやめておくわ。またね、クラウス。
(態とらしく肩を竦め、残念そうな空気を醸し出すが、含みを持たせて言葉を返す。ちらり、と裏路地の影に視線を向け、アレと称すもの。あぁ、楽しみで仕方ない。疑問を持たせるが自分から今日はやめておくわ、なんて勿体ぶらせる言葉の罠。本当の決行はもう少し先だが今夜彼が引っかかるのならよりダメージを与えやすく、都合が良かった。ツンっと強がってまたね、と軽く手を振り横を通り過ぎると少し歩いてから横の路地に身を滑らせて)
あれ、って一体……っ、待て、イザベラ!
(アレを見て、なんて含みを持たせた言葉と共に相手の視線の先に目を向けると人の影が目に入る。また血の匂いを嗅がせて本能を引き摺り出そうというのかと警戒したものの、何でも無いとばかりに首を振って一方的に疑問だけを持たせて去ろうとする相手に怪訝そうな表情を浮かべると、自分だけでなく彼にも危険が迫っているのかもしれないと考え、言葉の真意を聞くべく咄嗟に相手の名前を呼び追いかけては彼女が消えた路地へと曲がり。)
(かかった。後ろから投げかけてくる声と足音を聞きながら人目の付きにくい路地の奥へと誘導する。路地の壁に自分が早足で歩く音と相手が走ってくる音が反響し、傍から見れば追いかけられているように見えるだろう。あともう少し。確かあの人物が誘導しておいた目的の人が近くにいるはずだと考えて視線をめぐらせていれば、目に入る忌々しいコートの姿。見つけた、と思いながら飛び込むようにハンター抱きつけば、恐怖に怯える生娘のように助けを訴えて)
助けてっ、吸血鬼が私を追ってくるの!
(見知らぬハンターは助けを求める自分と追ってきた彼を見比べ、自分の発した吸血鬼の言葉に状況を理解したらしい。自分を背後に守り武器を取り出すハンターを見て彼は混乱したようで、それを眺めながらタイミングを伺う。完全に彼を殺されては困るのだから、隙を見てあのハンターを殺さなければならないのだ。)
(前を行く相手が悲鳴と共に上げた声に目を見開き、しまったと罠に掛けられた事を理解するも既に目の前にはハンターの姿があり。相手を追う事に意識を取られ辺りに目を向けられて居なかった、咄嗟に足を止めたものの逃げ出すにはハンターとの距離が近過ぎる所まで来てしまっていた。ハンターが取り出したのは彼と同じような拳銃式の武器、せめてサーベル型であれば隙を突いて逃げられたがこの狭い路地で拳銃を持つハンターに背を向けて逃げるのは危険過ぎる。訓練されたハンターであれば後ろから心臓を貫く事など容易だろう。その女が吸血鬼だと言った所でこの状況では信じて貰える訳もない、ハンターを喰い殺すにしてもこの距離では難しいし彼との約束を破る事になる。一瞬の間に様々な思考が脳裏を駆け巡るもハンターと一定の距離を取って対峙したまま、引き金に指が掛かる瞬間に銃弾を避けて前方の横道に身を潜めるしか無いと考えて。ハンターの背後で笑みを浮かべる彼女に視線を向けることは出来ず、鋭い緊張感が走る中息を詰めて目の前の男と視線を合わせたままその動きに集中して。)
(やはり一筋縄では相手に怪我を負わせるのは難しいらしい。ハンターと視線を合わせ対峙する相手を見ながらどうしましょう、と頬を手を当てる。長年ハンターに狩られることなく生き抜いてきた相手の勘と身体能力と、思いのほか能力が高いハンターの力を見誤っていたらしい。近くに他のハンターは見当たらないし、と視線を動かせば物陰から標準を合わせる人影の姿。ハンターではないし、構えているライフルも獣用だ。あれでは吸血鬼を死に至らしめることは無理だが怪我や隙を作ることはできそうだ。話をもちかけてきたパトロンの用意周到さに笑みを見せれば、注意を逸らせるよう声をかけて)
こっちよ、こっちに吸血鬼がいるわ。今ハンターさんが闘ってるの、助けてあげて!
(此処で死んでしまってはつい先程したばかりの相手との約束を果たせない、隙を突いてこの場から早く離れなければと、一瞬の隙も見逃さないようハンターと視線を合わせたまま対峙していて。不意に聞こえた相手の声に反応し、まだハンターが潜んで居るのかと咄嗟に目の前の男から視線を外し相手の視線の先に目を向けると、此方に照準を合わせる男を見つける。しかしその男が持っているのはハンターの武器ではないと気付き、危険度が高いのは目の前の男の方だと理解しては一瞬でも意識を逸らした事を後悔し、ハンターへと視線を戻そうとして。)
(ハンターは一瞬の隙を見逃さずトリガーを引き、銃弾を相手に打ち込んでいく。まずは逃げる手足を奪いたいのだろう。だが、まともに命中したものは少なく傷をわせるのみ。それでも銀の弾丸は吸血鬼に有効で苦しそうにする相手に近づいていくハンターの後ろを着いていく。心臓に標準を合わせるハンターが次の引き金を引こうとするとき、その後ろから抱きつくように手を回せば耳元で冷たく囁き首筋に牙を立てて血を吸う。)
ありがとう、もういいわ。
(ハンターの驚いた顔を面白げに見て、その体から血が無くなるのを待つ。脱力していく体を支えることなく地面に転がせば、同じく地面に転がった拳銃を拾って持てば傷口を抑える相手に近づき声をかけて)
痛そうね、クラウス・・・。楽になりたい?
…っ…随分酷い事をするね、…楽になりたい、って答えたら僕の心臓でも撃ち抜くつもり?君の目的が分からないな。
(まだ若いハンターなのか引き金を引く時に手が震えて的がぶれた事によって致命傷を負う事は避けられて片腕に一発と足に二発を被弾し、銀の銃弾による焼けるような痛みに腕を抑えつつもまだ立っている事は出来て相手を見据えると薄らと笑みを浮かべて。心臓に弾が当たったとしても撃ち抜かれなければ死ぬことは無い、ハンターを吸い殺した所を見ても元々自分を殺すつもりは無かったのだろうと察しては何が目的なのかと尋ねて。)
ふふ、あのハンターさんと別れて私と来るなら助けてあげる。って言ったらどうする?そのままじゃ、あなた死んじゃうわよ。
(ハンターの血はやはりそんなに美味しくないわね、と口元についた血を舌で舐めとる。味はある程度妥協しなければ自分の命に関わるため、なりふり構っていられない。だからこそ相手が人を襲わずにこうして生きている事が不思議で、心配であったのだ。怪我を治す代わりに自分と来て欲しい、と交換条件を出して。更には自分の方が相手に相応しいのだと言い、彼は相手の吸血鬼という立場を利用しているだけだと訴えて)
それにあんなぱっとしないハンターさんといるより、私の方がいいわ。あなたを利用しているだけなのよ。きっといつか後悔する。
…君に助けて貰わなくても、この程度の怪我では僕たち吸血鬼は死なない……君も分かってるだろう?
(ハンターの武器を持ってしても、吸血鬼の身体は強靭で心臓を貫く事でしか死は招けない。それは相手も重々知っているはずで、弾の命中率が低かった事もあって痛みはあれど死ぬことは無いと相手の言葉にまともに取り合う事はなく。コートに隠れ表立って見えない場所ではあるが腹部に撃ち込まれていた銃弾の傷からの出血が最も酷く、其れをこの場で彼女に察知されないように隠しながら首を振って、普段通りの口調で相手の申し出を断り。)
…僕を利用していたのは昔の君の方だ。頼むから、僕たちに構わないでくれ…何を言われても変わらない、さっきもそう言った筈だよ。
・・・堂々巡り、本当に変わらないのね。いいわ、そのままなら違うハンターも血の匂いを感じて来るだろうし・・・もう知らない。
(どう言っても彼の言葉は、意思は変わらないようで眉を下げて悲しむような表情を見せる。確かに心臓を貫かれたり、回復できないくらいの大怪我をしなければ吸血鬼は死ぬことは無い。彼から血の匂いはするがそれほど大きな怪我ではないから死ぬことは無いだろう。しかし、彼の血の匂いを感じでハンターも来るだろうし彼の未来は分からない。そこで討伐されようが生き延びようが自分にはもうどっちでも良い気がしたのだ。手に持っていた拳銃を落とせば、溜息を零しながら相手を置いて路地の奥に姿を消して)
(一方その頃、テオは胸の中に嫌な予感を感じてモヤモヤとした思いを抱えながら車に乗っていた。見回りは早々に切り上げ、自宅のある地区へと意識を向ける。どうかクラウスに大変なことが起こっていませんように、と車が到着すると足早に足を進めて)
(彼女の諦めに近い声色を聞いて、ようやく自分たちから興味を失ったのだろうと安堵にも近い感情を抱きつつ何を言う事もなくその後ろ姿を見送って。一人になってから先ずは腹部を止血しようと強めに手で傷口を抑えると血に濡れる嫌な感覚と共に足元に血が滴り、出血と痛みのせいで意識が揺らぐような気がしたがこの場に居続ければ絶命しているハンターを襲ったと思われるだろうし、彼女の言う通り血の匂いに気付いたハンターがやってくるかもしれない。留まっては居られないと片足を引きずりつつ現場から少し離れた暗い路地裏に身を潜めると壁伝いにその場に座り込んで。痛みのせいで浅くなる呼吸を意識的にゆっくりと深いものにしながら壁に頭を凭れさせ、ハンターの気配がしたらすぐに逃げられるように意識は集中させて。)
(一度家へ帰って見たものの相手の姿はない。今日は家にいると言っていたのにどこに行ったのだろうかと考えながら家を飛び出ると辺りに視線をめぐらせて気配を探して。路地裏に入り吸血鬼やハンターの気配を感じながら走り回ればどこかの角で見慣れた髪色が視界を掠め立ち止まる。見間違いかもしれない、がその場に向かうと既にその姿はなくきょろきょろを辺りを見渡して)
クラウスッ・・・クラウス、どこだ!?
(心臓が嫌な音を立てて動き、思わず相手の名前を声に出して叫ぶ。血の匂いが辺りに充満し、ハンターかほかの吸血鬼がいて誰かに聞かれているかもしれないが、もし相手に聞こえていたら答えてくれるだろうと思っていて)
──…テオ、?
(ハンターの気配がない事を確認すると壁に凭れさせていた身体を地面に横たえる。そうして呼吸に意識を向けているとふと眠気に襲われて、出血が酷いため意識が朦朧としているのだろうがこういう場面で眠ってしまうのは良くないだろう等と、やけに冷静に考えながら腹部を圧迫する力を強める。まだ血が止まっていない傷に鋭い痛みが走り少し意識が覚醒すると、不意に相手の声が聞こえた気がした。自分で思っている以上に既に意識が混濁し、幻聴でも聴こえ始めたのだろうか。そんな事を思ったのも束の間、先程よりもはっきりと自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、視線を上に向ける。答えるように、相手が近くにいるのかと探るように呼んだ相手の名前は思ったよりもはっきりとは発声出来ず、もう一度「テオ」と相手の名前を口にして。)
・・・っ、こっちか!
(相手の名前を呼び何も聞こえないことにここでは無いのかと思い方向を変えようと爪先を逸らすと掠れた声で相手の声がした。はっきりとした発音ではなかったから耳をすませば今度はしっかりと自分の名を呼ぶ相手の声が聞こえて、その方向へ足を向ける。少しずつ濃くなる血の匂いと共に相手の気配を感じ取ることが出来、安心感とともに焦りが込み上げる。ふと、横切った路地には倒れ伏したハンターの遺体。襲われたのかと危惧し、近くを散策すれば横に倒れた相手の姿を見つける。急いで駆けつけ抱き起こせば手にぬるりとした血の感触があり、声をかけて)
クラウス、大丈夫か。何があったんだ?
テオ…来てくれて良かった、…イザベラを追い掛けていたら、吸血鬼だって叫ばれたんだ。示し合わせたみたいにあのハンターが居て撃たれた。
(足音が近付いて来て路地裏の角に相手の姿が見えると心底安堵したように表情を和らげて。抱き起こされると相手の胸に頭を寄せ、出血で体温が下がっていたため抱き締めてくれる相手の温度が心地良く、問いかけに静かに口を開くと事のあらましを話し始め。かなり焦って探してくれたのだろう、早い鼓動と自分を支える僅かに震える手に少し目を細めると、安心させたくて相手の手に自分の手を重ねて。心配をかけたことを謝罪し、相手の手を自分の左の鎖骨のすぐ下に誘導し当てると鼓動は止まっていないと少し笑って。)
──ごめん、心配掛けたよね。大丈夫、…死なないよ。
・・・またあの女っ。・・・あぁ、でも良かった・・・。
(相手の怪我が彼女のせいだと分かれば舌打ちをし、憎々しげに呟いて。血を流し続けたからだろうか、いつもより低い体温に心配になるが震える手を抑えられるように重ねられた手とその掌越しに感じる鼓動に安心し始めホッと息を吐き良かった、と零して。相手が死ななくて、自分を置いていかないで良かったのだと零すとぎゅっと抱きしめる。もう少し遅かったらこの鼓動は止まっていたのだろうかと考えてしまうが、そんなことはありえないだろうという思いも交差し少しの間動けずにいた。しかし、この場に長くいれば血の匂いを嗅ぎ付けほかの吸血鬼や、ハンターが近寄って来るだろう。自分のコートを脱ぎ相手に巻き付け、背中と膝の裏を支えて横抱きにすると動きずらしかもしれないが家に帰ろう、と促して)
暑かったり動きずらいかもしれないが・・・少し我慢な。家に帰ったら治療しよう。
ん、ありがとう。──そうだ、袋。シャンプーを買ったんだった、
(相手が安堵の表情を見せてくれた事に少し安心して、コートを巻き付けて抱き上げられると大人しく頷いて。ふと家から出た理由を思い出して、ハンターと対峙していた道に放られた袋を取ってきて貰うと、この血生臭い状況には見合わない理由を話して自分で少し笑う。相手の香りがするコートはまだ温かくて、抱き上げられた事で一層距離が近付いた相手に身を寄せると目を閉じて。相手が来てくれたからもう大丈夫だとほっとした気持ちになると、静かな揺れと温もりに微睡んでいき。)
・・・ふは、それでお前外に出てたのか。それで誘われて怪我するとか大変だな。
(足を自宅へと向けようとすれば相手が外に出た理由が分かり、思わず自分も笑ってしまう。だがこの非日常的な状況が一気に日常に戻ったような不思議な感覚に戻って大変だな、と軽口で返す。道に放られていた袋を拾い、手に持ちながら人目につかないよう歩いていけば腕の中の相手が微睡んでいてそっと声をかける。彼女を対峙し、怪我を負って疲れたのだろう。眠りを促すように額に軽くキスを落とせばおやすみ、と告げて)
眠かったら寝てていいぞ、きっと疲れたんだろ・・・おやすみ。
…本当だよ、シャンプーを買いに出て死にかけたなんて格好悪い。
(相手が釣られるようにして笑うとようやくお互いに張り詰めていた物も解けるような気持ちで、普段家でしているような何気ないやりとりが出来る事に内心ホッとしながら相手の軽口に不服そうに返事を返して。相手の腕の中で微睡んでいると、上から優しい相手の声が降ってきて小さく頷く。額に触れた相手の唇の温度もいつもより高い気がして、近くに聞こえる相手の鼓動も一層眠気を誘うもので、その眠気に抗う事なく家に着くよりも前に相手の腕の中で眠りに落ちていて。)
じゃあ次はもっと気をつけてシャンプー買いに行かないとな。
(相手と軽口を交わすことで何気ない日常が戻ってきたような気持ちになり、なんとなく重かった足取りが段々といつものペースに戻る。いつの間にか腕の中の相手は眠っていて、張っていた緊張の糸が解けたのだろうと考えて。器用に自宅のドアを開けて起こさないようベッドに寝かせると、包んでいたコートを広げ傷の確認をする。腕と腹部、足の傷を見ると救急箱とタオルを数枚持ってきて水道で濡らし、血を拭いたりしながらを進めていく。なるべく傷に触らないよう、相手が痛みを感じないよう注意して手当てを行い、少ししてから終わると脱がせたコートの血を洗いに一度リビングを出て。コートの血が綺麗に流されると室内に干し、リビングへ戻る。ベッドに背を預けるように床に座ると、眠る相手の顔を横目で見て安心し相手が起きるまで仮眠しようと瞼を閉じて)
(静かに眠っている間に適切な処置を行なって貰ったお陰で強い痛みに目を覚ましてしまう事はなく。銃創は熱を出してしまいやすい傷であるものの高熱を出してしまう事もなく静かに眠っていて。ふと意識が浮上し目を覚ますと隣に相手の姿はなく、探すように身体を起こすと傷に痛みが走ったことで先程の出来事を思い出し怪我に目を落とすと綺麗に手当てがされている事に気付き表情を和らげて。ベッドの脇に背をもたれさせて眠っている相手を見つけるとベッドの上に身体を起こしたまま相手の髪を撫でるようにして起こそうと。)
…テオ、風邪引くよ。一緒に寝よう、
・・・ん、・・・あぁ、起きたのか・・・?
(頭を撫でられ浅い眠りから覚めるとゆっくりと瞼を開けて。小さく声をこぼし手の持ち主を見ようと顔を上げれば優しい笑みを見せながらこちらを見る相手がいて、自分も安心したように微笑むと起きたかと声をかけて。頭を撫でる手をとり、自分の頬へ擦り付けるといつもの体温よりはまだ低く感じるが生きている実感が湧きほっとして。)
良かった、一安心だ。
…ありがとう、楽になった。テオにはいつも助けられてばかりだね。
(目を覚まし視線の重なった相手の表情が安堵の色を浮かべた事に微笑み返すと、取られた手をそのまま相手の頬に添えて。温かな体温を感じる相手の肌に触れていると安心する。冷えた路地裏での心細い気持ちも無くなっていて、相手の適切な処置のお陰で痛みも幾分和らいでいる事に対して礼を述べて。床では体を痛めてしまうと相手に手を差し伸べて。)
身体を痛めるよ、ベッドで休もう。
どういたしまして。そんなことない、俺の方こそ沢山助けて貰ってるからな。
(お礼を言われると返事をし、軽く首を振る。助けて貰ってるだなんて自分の方がいつも助けて貰っているのに、と思っていた。相手の怪我の痛みは和らいだようで痛そうな表情を見せず和やかな様子にほっとすると差し述べられた手を軽く握るとベッドに上り、相手の横に寝転んで腕を軽く広げると相手が入ってくるのを待ち)
そうだな、今日はもう寝ようか。
…テオの身体はいつも温かくて、安心する。
(相手がベッドに上がり当然のように此方に腕を広げてくれる事が嬉しくて、大人しく相手の腕の中に収まり。相手の香りと温もりに包まれるこの場所は自分だけの空間だと思いつつ、優しい鼓動と自分よりも高い体温が心地良くて相手を見上げると、柔らかく微笑んでそう言って。痛み止めを飲まなくても眠れそうだと思い相手の胸元に顔を埋めるようにして目を閉じると、相手も疲れただろうと背中に腕を回し声をかけて)
…お休み、テオ。ゆっくり休んで、…
ん、ありがとう・・・おやすみ。
(腕を広げれば当然のように入ってくる相手が愛おしくてつい、微笑んでしまう軽く抱きしめて肩まで毛布を上げれば、こちらを見上げて柔らかく微笑む相手が自分は温かくて安心するのだと言ってくるのでお礼を言う。体温が高く相手にとって温かいから安心するのだと言ってくれたことが嬉しく軽く頭を撫でれば背中に腕が回り、相手も目を閉じたのが分かった。そうだな、と呟くと額に軽いキスを落としてからお休みの挨拶を返すと瞼を閉じて。少しの時間は相手の匂いと鼓動を感じていたが、相手と自分の体温が同じくらいになると眠気が襲い寝息を立てて眠って)
ん……
(ふと目を覚ますと、まだ相手も眠っていて温かな温もりに包まれたままで安心してもう一度眠りに着こうとする。窓の外は既に明るく行き交う人の声も遠くに聞こえるためもう朝方なのだろうと思いつつ身じろいでは、昨晩ほど怪我に痛みが走らない事に気付いて腕や腹に巻かれた包帯に視線を向けて。吸血鬼は心臓を貫かれる事でしか命を落とさない、稀に余りに出血が酷いと動けなくなったり意識を失ったりして結果的にハンターに殺されてしまう事もあるが、心臓以外に負った怪我は治りが早いのだ。痛みがかなり和らいでいることに安堵しつつ、出血が多かったためエネルギーを欲しているのか相手に血を貰ったばかりにも関わらず既に喉の渇きも感じていて、もう少し眠っていようと相手の胸元に顔を押し付けるようにして再び目を閉じて。)
(/ テオ、今更だけど1000レスおめでとう。いつもありがとう、これからもよろしくね。)
・・・、今・・・何時だ・・・?
(ふっと眠りから意識が起きればカーテンの隙間から漏れる光に目を細めて。腕の中の相手はまだ眠っているようで、起こさないよう小さな声で呟くと時計を見て時間を確認する。見れば昼が近い時間になり、視界を刺激する眩しさと聞こえてくる人の声の賑やかさに納得する。なんとなく眠い気持ちにモヤモヤとして相手の髪に鼻先をうずめて相手の目が覚めるのを待って)
(/あ、ほんとだ。俺もお祝いするの忘れてた・・・。クラウスこそおめでとう、んで俺の方こそ、いつも付き合ってくれてありがとう。これからもよろしくな。)
ん……おはよう、テオ、……
(相手が身じろぐ気配に釣られるようにして意識が浮上すると薄く目を開けて、あれからまたしっかり眠ってしまったと思えば外から聞こえる行き交う人たちの声や物音も先ほど目覚めた時よりも賑わっているのを感じてもう昼頃なのだろうと考えて。相手の腕の中で、髪に相手の顔が埋められている感覚に擽ったそうに笑うと手を伸ばして相手の髪を撫でては顔を上げて。起きないといけないと思いつつも戯れるように相手の首へと腕を回して、欠伸を溢して。)
(/ こちらこそ。これからもテオと2人で色々なストーリー紡いでいけるのを楽しみにしてる。)
おはようクラウス。・・・怪我、痛くはないか?
(自分の行動で相手も起きてしまったようで擽ったそうに笑う相手の声が聞こえた。髪を撫でる気持ちよさや腕が首に回ったことで近くなる顔に目を合わせると寝起きでふわふわとしている相手に微笑みかけて。額を合わせ、腰に手を回して体をくっつけると布団の中で同じ体温になった相手の身体を抱きしめると怪我の具合を問いかけて)
(/あぁ、俺も楽しみだ。・・・愛してるよ、クラウス)
テオがしっかり処置してくれたお陰でかなり楽になった。もう傷口は閉じたと思うよ、ありがとう。
(処置が遅れたりすると場合によっては人間と同じように怪我が長引いてしまう事があるが、今回は重症だったにも関わらず相手がすぐに適切な処置を施してくれたお陰で治りは早く、一晩で完治とまでは行かないものの痛みはかなり落ち着いたし傷口も出血が止まり閉じかけている筈だと頷いては微笑んで。この時期特有の眠気が残る中ではあるが、相手の体温を感じながら溶け合うように布団の中で相手と身体を寄せ合っている時間が幸せで相手に身を寄せつつ、満月の今夜こそ相手は激務だろうと思えば喉の渇きを訴える事はなく、相手に尋ねて。)
…今夜は忙しいよね、出発も早い?
(/ ありがとう、僕も君に負けないくらいテオを愛してる。)
そうか、良かった・・・どういたしまして。
・・・家出るのは、早いな。多分暗くなる前に出ると思う。辛い時なのに一緒にいられなくて悪い。
(怪我の具合は落ち着いたと頷く相手にほっとすると、家を出る時間を考えては暗くなる前に出かけることを伝えて。一度拠点に行き、任務の内容を聞かなければならないし、昨日の報告も行わなければならない。遠くに行くなら急いで準備も行うため、早めに家を出ていかなければならないのだ。満月の日なのに苦しむ相手のそばにいられないことを歯がゆく思いつつ、謝って)
(/はは、ありがとう。そう言ってくれるだけでなんでも頑張れるわ)
そうだよね、…僕の事は気にしないで、いつもの事だから。それにテオとこうして一緒に居られる事の方が僕にとってはずっと幸せだ、喉の渇きくらい我慢できるよ。テオが無事に帰ってきてくれればそれで良い。
(暗くなる前に家を出るという相手の言葉に頷きつつ、側に居られない事を申し訳なさそうに謝る相手に首を振って。喉の渇きに苛まれるのは毎月の事で、相手と一緒にいる事を選んだ以上それは当然の事だと分かっている。これまで多くの人を犠牲にした自分が乗り越えなければいけない衝動だという事も理解していて、どうか気にしないで欲しいと告げて。自分にとってはその衝動の苦しみを解消する事よりも相手と一緒に居ることの方がずっと大切なのだと笑っては相手の頬にキスをして。)
ん、そうか・・・でもあんまり無理するなよ。血のストックは冷蔵庫にあるから辛くなった飲め。俺の血も他のより少ないけど入ってるからな。
(自分にとって嬉しくなる言葉を投げかけてくれる相手に目元を弛めていれば頬にキスをされ、擽ったさにくすり、と笑って。我慢できると相手は言うが飢餓状態はとても辛いものだろう。相手に必要な事だとわかっていてもあまり苦しんで欲しくない傲慢に内心舌打ちをしつつ、相手用の冷蔵庫に血のストックを増やしてあることを伝えて。また、自分の血を採って置いたものも他のよりかは少なくなっているが・・・と用意してあることを告げて相手の苦しみが少しでも和らげるよう促して)
いつもありがとう、助かるよ。テオのお陰でこうして自分を保って居られる。
(人間である相手には気持ちの良いものでは無いだろうに、自分のためにいつも血液を手に入れ少しでも飢餓状態の衝動と渇きを和らげようと奔走してくれる相手には感謝しかなく。満月の任務終わりの疲れた身体でも、家に戻ってくるとその足で自分の元に来て吸血を促してくれる、相手の支えが無ければ自制心だけで衝動に耐える事など出来はしないと改めて思いつつ頬にキスを落として。暗くなる前に家を出ると言っていたため、何か食事の準備など手伝える事があれば自分も手伝うと口にして。)
…家を出るのが早いなら、何か準備を手伝おうか?
どういたしまして。お前のためになってるなら良かった。
(頬に重なる柔らかな感触にうっすら微笑むとどういたしまして、と返して。何気ない日常での触れ合いでこんなにも癒されるとは、と気持ちを落ち着かせていれば手伝えることはあるのかと問いかけられる。それに「んー、そうだな・・・」と零しつつ、何を手伝ってもらおうかと考える。傷が治ってきたといっても今日は満月の日で体調が悪いことには変わりないのだし、自分もなんとなくご飯を食べたい気も起きてこない。しかし、食べずに仕事に出てしまえば充分に動けなくのも事実で・・・。キッチンにある食材を思い出しメニューを組み立てると相手に手伝って欲しいこと、食べ終わったあと少し触れ合いたいことを強請って)
ならパンに具材挟んでもらおうかな。サンドイッチにして、軽く食べたら身支度するまで少しごろごろしたい。
…ん、任せて。食べ終わったら時間ギリギリまでベッドでのんびりしよう。
(相手にサンドイッチに具材を挟むのを手伝って欲しいと頼まれると頷いてベッドから起き上がり、食後はもう少しベッドでゴロゴロしたいと言う相手に笑って相手の髪を撫でると遅刻しない程度に、直前までベッドでのんびりしていようと言いながら。相手と過ごす時間が幸せで時間がゆっくりと流れるような気さえする、昔は朝から布団に包まったまま夜までじっとしていて外が暗くなってから外に出て狩りをするという生活をしていただけに今は随分と人間らしい生活を送れるようになったとしみじみ感じるもので、相手の額にキスを落とすとベッドを降りて。)
ふは、やった。めいっぱいイチャイチャしてやろう。
(自分のお強請りが了承され笑みがこぼれる。体を起こした相手の腰に引っ付いてダラダラしてみたい気もするが、せっかく手伝ってくれるというのだから自分も動かねばならない。額にキスを受け、自分も起き上がれば体を軽く伸ばしてから相手のあとをついていくようにベッドから降りて。冷蔵庫からパンに挟む野菜やチーズ、ハムなどを出すと、ついでにコンソメスープも作ってしまおうと小鍋に水を溜めて。使いかけの玉ねぎやキャベツ、人参を細く切ってしまえば鍋の中に入れ塩胡椒と市販のコンソメキューブで味を整え火が通るまで少し待ち)
クラウスもスープ飲むか?
…うん、少しだけ貰おうかな。
(不慣れな自分とは対照的に手慣れた手つきで野菜を切りあっという間にスープの準備を進める相手とキッチンに立ちながら、鍋から少しずつ良い香りがし始めると少量貰おうかという気になり頷いて。一方で半分に切ったパンを置き、レタス、ハム、チーズ、トマト、パプリカと様々な具材を積み重ねていくと最後にパンを乗せて具材を挟み、ぐっと力を込めてサンドイッチを完成させて。具が多く少し不恰好だろうかと思いつつも半分に切って皿に乗せると、恭しく相手に見せて可笑しそうに笑い。)
出来上がり、クラウス特製サンドイッチだよ。
了解。・・・具沢山で美味そうだ。食べ応えあるな。
(具材に火が通り、コンソメのいい香りが漂ってくると相手と自分の分をスープカップに盛り付ける。軽くパセリも飾っていれば完成したサンドイッチを恭しく見せて笑う相手に、ぎゅうぎゅうに具材が詰まって食べごたえがありそうだと伝えて自分も笑って。様々な種類の野菜やハム、チーズで色とりどりになっていて食欲をそそる。食べた時に具材を落とさないようにしようと考えつつ、相手と共にテーブルに持っていくとスプーンと共に置き)
零さないように気をつけないとな。せっかく作ってくれたのに勿体ない。
今日は長丁場だろうから、しっかり栄養を摂らないと。…でも、ちょっとサービスし過ぎたかな。
(相手と共にテーブルに着き具材がこぼれないよう気を付けて食べなければと言う相手に、ハードな任務前のため軽食であってもしっかり栄養が摂れるように具材をたくさん重ねたのだと言いつつも、改めて見るとやはり少し具材が多すぎただろうかと思い食べにくそうだと笑いながらそう言って。いただきます、と手を合わせるとスープを口に運びまろやかな野菜の味わいに表情緩めつつ身体が温まるようで気分も解れるとゆっくりスープを救っては飲んで。)
──ん、美味しい。優しい味だね、身体も温まって心地が良い。
野菜が多いからバランスはいいと思うぞ。
(少し苦笑いする相手にくす、と笑いつつ野菜が多くそんなに重くはなさそうなことを伝えると、手を合わせていただきますと告げる。サンドイッチを手に取り口に運べばパンの柔らかな食感と野菜の瑞々しさに美味しい、と呟くと食べ進めていき。自分の作ったスープを飲み表情を緩める相手の様子を眺めては、味の感想にほっとしつつ時々掬って飲み)
それは良かった。しょっぱいって言われたらどうしようかと思った。
(もし塩胡椒を入れすぎていたらと冗談を言いながら会話を楽しんでいればすぐにスープは飲み終わってしまい、残ったサンドイッチを咀嚼して相手との話を楽しんで)
それなら良かった、──しょっぱくないよ、テオの料理はいつも美味しい。元気が出る味だ。
(失敗しても少し見栄えが良くなくても、相手はいつも自分の作ったものや手伝ったものは褒めてくれると擽ったくも嬉しく思えば少しはにかんだように笑って。相手の作るスープは味の濃さもちょうど良く野菜も柔らかくて美味しいと首を振ると、相手の料理を食べると元気が出ると笑って。食事を終えると洗い物は自分がしようかと手を合わせてから立ち上がり、シンクに向かうとスポンジを手にスープ皿を洗い始め。)
はは、それ聞けるなら大満足だ。次も美味く作らないとな。
(自分の味付けは相手にもちょうど良かったようでほっとしつつ、自分の料理で相手に元気が出る事に嬉しそうにして。相手がスープ皿を洗い始めると自分も、と最後の欠片を口に放り込み手を合わせるとサンドイッチが乗っていた皿を手に取り洗い物をしている相手の隣に行っては布巾をもって)
クラウスが洗ってくれるなら俺は拭いて仕舞うか・・・。
僕の美味しいの基準はテオの料理だから、ちょっとくらい不味かったとしても気付かないかもしれないな。──ん、ありがとう。
(相手と出会う前は好んで人の食事を口にした事は無かったのだから、これ迄に自分が口にしてきた料理は殆どが相手の手料理とも言えるだろう。次も上手く作らないとと言う相手に、舌が肥えている訳でもない自分は少しくらい失敗した料理だったとしても、もしかしたら相手の作ったものと言うだけで美味しく食べられるかもしれないと冗談めかして笑って。布巾を持つ相手に礼を言うと洗い終えたものを渡し、程なくして2人分の食器と調理道具の洗い物を済ませて水を止めて。)
よし、終わり。綺麗になった。
どういたしまして。・・・案外すぐ気付くかもしれないぞ。
(洗い終えた食器を受け取り布巾で拭きながら言えばくすり、と笑って。誰かに食べてもらうための料理なんて元婚約者が死んでから相手と生活するまで作っていなかったのだから少し味付けがおかしくなっていてます不思議ではない。それでも自分の作った料理なら不味くても気づかないかもしれない、と言ってくれる相手に嬉しくなってしまっていた。洗い物の水が止まり自分の拭く作業も終わりを迎えると布巾を掛けて、手を拭く。相手に洗い物をしてくれた感謝を伝えると手を握ってベッドまで誘導すれば一緒に横になって)
洗い物、してくれてありがとな。・・・さ、時間まで少しあるし、ごろごろしようか。
…ふふ、やっぱりテオは暖かくて安心する。ずっと2人でこうしていられたら幸せなのにね、
(どういたしまして、と返事を返しつつ相手に手を引かれベッドに向かうと2人で身体を横たえる。寄り添った相手はやはり暖かくて、その優しい体温に包まれている時間が幸せで表情を緩めつつ相手の腕の中に収まり胸元に頬を寄せて。人が吸血鬼を憎みハンターが吸血鬼を狩る世界でも、相手と2人のこの空間だけはそんな世界から切り離された穏やかな場所のように思えてずっとこうしていたいと呟いて。少し身体を離して相手を見上げると、優しく唇をはむようにしてキスを贈り。)
そうだな。誰にも邪魔されることなく過ごせたら最高なんだけどな・・・。
(腕の中に閉じ込めた愛おしい相手の髪に鼻先を埋め、ずっとこうしていたいと呟く相手に同意すると自分も同じ気持ちだと伝えて。手を伸ばし、優しく頭を撫でながら相手との時間を楽しんでいれば唇をはむようにキスをされ目元を緩めて微笑んで。相手の手に自分の手を重ねて指を絡めると頬や額、鼻先に軽いキスを送ってから唇に重ね隙間から舌を差し込んで)
…行かないで、なんて我が儘を言ったらテオを困らせるよね、…ん……
(相手の唇の温もりが肌に触れる度に愛おしさが募り、相手をずっと此処に閉じ込めておきたくなってしまう。相手には町の人を守り吸血鬼を狩るという任務があり、その働きのお陰で何不自由なく暮らせている事は当然分かっていた。だからこそ日々相手が万全の状態で出かけられるよう協力もしているつもりだったが、時々何処にも行かないで此処に欲しいと駄々を捏ねて、相手を家の中に閉じ込めておきたくなるのだとポツリ呟きつつ少し笑って。唇への口付けを受け入れ差し込まれた舌に応えるようにして目を伏せると此方からも舌を差し出して絡め合い。)
(舌を絡ませ合えば響く水音と柔らかな舌の感触に目を細めてから瞼をそっと閉じる。視界が暗くなると相手の匂いが鼻に入ってきてより近くに感じることが出来る気がした。舌と指を絡めたまま、ベッドに手の甲を押し付け相手に覆い被さるように体勢を変えると体重をかけないように注意して。口を離す際には小さくリップ音を残してから離すと、相手の姿を愛おしそうに見つめる。唇を重ねる前に聞こえた可愛らしいお強請りに魅力的な誘いだと告げるが、少し眉を下げて残念そうに今は叶えてやれないことを伝えて。今の職種柄、その願いは叶えられないが、他の職種に就いた時やハンターを辞めれば叶えられるだろうと少し笑いながらも告げて)
はは、すごく魅力的な我儘だ。・・・確かに今は聞いてやれない。けど、いつか・・・今の仕事を辞めて何もすることが無くなったらその通りにできるかもな。
──…我が儘は言わない、テオが頑張ってくれている事は僕が一番分かってるから。もしそんな日が来たら、その時は君を離さない。
(体勢が変わり此方を見下ろす相手の瞳が優しくて、少し困ったように笑う相手を見つめるとその頬へと手を伸ばして。優しく相手の思う頬を指の腹で撫ぜながら、大変な境遇の中で戦う相手を一番応援し支えなければならないのは自分だと、今は我が儘は言わないと約束をして。相手の言うような日がもし来たのなら、その時は相手を離さずじっと自分の腕の中に閉じ込めておくとつられるようにして少し笑うと手を伸ばして相手の髪を撫で。)
ん、じゃあ楽しみに待ってるかな。
(頬を撫でる手のひらの僅かな冷たさや、髪を撫でる優しげな手つきに気持ちよさを感じ目を閉じると覆い被さるように抱きつき、背中に手を回して。相手の肩に顔を埋め擦り寄せながら、にじみ出る自分への独占欲に内心胸を踊らせいつか来るがしれない未来を楽しみにして。暫くそうして相手との時間を楽しんでいれば、ふと顔を上げて時間を確認する。そろそろ身支度を始めて家を出ないとならない時刻になるとため息を一つこぼして相手に伝えると体を起こして身支度を始めて)
・・・そろそろ時間か。ごろごろするのはお終いだな。
(覆い被さるように抱き着いてきた相手に思わず笑い声を漏らすと擦り寄ってくる相手は大型犬のようだと思いながら相手の背中に腕を回し幸せな時間を堪能して。暫くして相手が身体を起こすと、もうそんな時間かと思いつつ相手を解放し若干の寂しさを感じつつも今夜の任務が終われば少しは相手の忙しさも落ち着く筈だと自分に言い聞かせて。ベッドに横になったまま相手が支度をしてハンターのコートを羽織るのを見るとその姿はやはり格好良いものだと思いつつ微笑んで、相手の帰りを大人しく待っていると伝えて。)
…テオが帰ってくるのを、大人しく待ってるよ。気を付けて、今日は満月が明るいから。
あぁ、こんな日は怪我しやすいからな・・・気をつける。お前も我慢し過ぎるなよ。
(名残惜しく思いつつベッドから降り、シャツを変えてコートを羽織る。相手の視線と言葉を受け、明るい満月の日は吸血鬼たちの行動が激しくなることへの注意を告げるとコートの1番上のボタンをとめて。街の吸血鬼たちと同じように相手も今夜は辛いだろうと、我慢しすぎないように促すと横になっている相手に近づき、前髪を手で退けるとキスを落とす。「行ってくる」と微笑みながら言うと、相手の優しい言葉を背中に受けながら玄関のドアを潜り外へ出て。
路地を歩き街へ出れば、人々も今夜は満月の夜であることを認識しているためか早めの店仕舞いをするところもあり少し賑わっている気がした。その賑わいを耳に入れて拠点まで足を進めると、他のハンター達も集まり始めているようだった。昨日の報告を軽く済ませ、今夜の任務について詳細を聞くと同じ地区で任務を遂行する同僚のところに集まり時折作戦を話し合いながら夜を待って)
──あの男を見張らせて、一人になった所で気絶でもさせて倉庫に連れて来てね。…吸血鬼はダメよ、傷付けるのもダメ。あの男の血の匂いに当てられるのはクラウスだけで良いの。大切な人を目の前で奪われるよりも、自分の手で壊してしまった事に後から気付く方がドラマチックじゃない。
(路地裏に立つとある廃墟の三階。ハンター達が集まっている様子を窓辺から眺めつつ楽しそうに声を弾ませる女の姿があった。その後ろに立つのはオークションの主催者、人間であるにも関わらず何かと裏で手を引いている男で。彼女が上から見つめているのは既に何度も顔を合わせている忌々しい例のハンター。この後各々の任務に向かうべくハンター達が分かれた隙を突いて彼を襲い目的の場所に連れてくるよう言いながら、くれぐれも彼を倉庫に連れてくる要員に吸血鬼を使うことのないように、不用意に傷付けて血を流させる事のないようにと釘を刺して。窓から射し込む明るい満月の光を受けても一切辛そうな様子も見せず、これから迎えるであろう終焉をうっとりと夢見るように笑みを浮かべるその足元には既に何人もの遺体が重なっていて。窓辺から踵を返すと「頼んだわよ」と言い残してその部屋を出ていき。)
(任務を開始する時間になり、それぞれ散っていく同僚たち。自分も指定されたポイントに向けて足を進めながら道中でも吸血鬼を討伐していく中で本能が剥き出しで、読めやすい吸血鬼たちを討伐し、足元を照らす満月の光を浴びながら胸の中で来世では普通の人に産まれてくることを願ってしまうことがある。前の自分だったらそんなことは願うことはなかっただろうに、クラウスと共に生活するようになってからは偶にハンターらしからぬ思考に身を寄せることがあり、内心苦笑いした。すると路地の遠くの方で同僚がポイント移動しよう、と声を掛けて来たため適当に返事を返し頭を?く。同僚の姿が消えるのを眺めながら頭の中で考えていたことを一掃し、ポイントを移動しようと足を進めようとすると物陰からこちらを見る気配に気づき足を止めた。)
俺になんか用か。
(固めの声色でそう呟けばゆっくりと出てくる数人の人影。吸血鬼の気配出ないことは確かだが、なぜ自分を狙うのかが分からず睨みつけていれば走り出し襲って来る者たち。金品かこのコートでも狙いっているのかと思いながら交わしたり投げ飛ばして迎撃していれば、ふと狙いは自分自身だということに気がつく。人に恨みを買った覚えはないとは言いきれないがなぜ自分を狙うのかが分からず問いかけて)
おい、なんで俺を狙う。誰かの敵討ちか?
さぁな、俺たちは唯の雇われだ。誰の恨みを買ったかは自分で考えてみな。
(その内の一人は、投げ飛ばされ血の出た唇を手の甲で拭いつつ相手の問いかけには肩を竦めて依頼主を答える事はなく、自分で考えろと言ったきりで。再び相手に向かって行き鳩尾に肘を打ち込むと、すかさず別の男が相手の背後に回り鼻と口を薬品の染み込んだ布で覆い。程なくして力の抜けた相手の身体を支えると、怪我をさせないよう気をつけながら近くに停めていた車まで引き摺り車内に押し込んでは、直ぐに車を発車させ指定された倉庫へと向かい。)
アテが無いから困って、っ・・・ぐっ!
(自分で考えろと言われてもそのアテが思い浮かばす眉を寄せればまたこちらに向かってくる相手。振りかぶる拳に手を構えれば代わりに鳩尾に深く肘が入り、息が詰まって声を零す。思わず体をくの字に曲げれば背後から鼻と口を薬の匂いがする布で覆われ、息を吸わないようにと頭の隅で考えるも生理的な反射で吸ってしまい次第に意識が落ちている。拘束から逃れようと自分の体を拘束する腕に爪を立てるが瞼が落ちるのと同時にその腕も力なく垂れ下がった。
どれほど時間が経ったのだろうか、意識が浮上する感覚で瞼を開けると薄暗い倉庫のような場所で床に寝かせられているらしかった。重たい頭を動かし様子を見れば人気がなく、なぜここにいるのかと疑問に思う。一先ず体を起こそうとするが自由が聞かない手首や腕、足に気づき縛られているのだろうと推測するとため息をこぼした。自分を誘拐、監禁するメリットは・・・と瞼を閉じて思考を整理しているとこちらに近づいてくる足音が聞こえ、目を開けてその相手を視界に入れようとして)
…あら、お目覚め?良い夜ね、ハンターさん。
(足音を響かせて倉庫へと向かうとどうやら相手は既に目を覚ましていたようで、相手の元へと歩み寄り床に倒れている相手のすぐ隣まで近付きしゃがみ込んではにこりと笑みを浮かべて声を掛け。手足を縛られた状態では何も抵抗できはしないとたかを括っていて、相手の片耳に揺れるピアスを指で揺らしつつ何故相手を此処に誘拐し監禁しているのか、その理由を話す事なく徐に世間話をするかのように満月の夜の話を始めて。)
私、満月の夜って大好きよ。月も綺麗だし、気分が高揚して人の血もいつも以上に甘美なの。今日みたいに雲がなくて月が明るい日は最高よね。
・・・世間話するために連れてきた訳じゃないだろ。こちらとしては腹は殴られて痛てぇし、薬のせいで頭が重くて最悪の気分なんだが?
(視界に入ってきたのは何かとちょっかいをかけてくる女吸血鬼でまたか、とつい呆れてしまう。どうせ今の状態では抵抗してもすぐ吸い殺されるだろうと無抵抗のままだらん、としていればしゃがみこんで耳で揺れるピアスを弄る相手。さらには自分を誘拐した理由・・・恐らくクラウス関連だろうと目星をつけつつ話を聞いているが相手の口から出るのは満月の夜の話のみ。自分を連れてきた理由はそれでは無いことや、現在自分が不機嫌な理由を述べ冗談交じりに本題を言うよう促して)
デートに誘うならムードってもんがあるだろ。
…クラウスは満月の日が嫌いなんですって。可哀想に、こんなに明るい満月の夜はすごく苦しいんでしょうね。
(相手の反応にクスクスと笑いつつ目的を語ることはなく耳元に唇を寄せると変わらず満月の話を続けて。酷い乾きに耐えようとしている彼にとってはこの明るい月は辛いものだとは分かっているが既にこの場所に呼んである。相手を殺すとでも言わなければ彼は頑なに家を出ないだろうから、相手は今彼を誘き出すための人質なのだと告げて。2人が揃えば最後の幕が上がる事を相手は知りもしないだろうと思うと愉快で堪らず、もうそろそろ着く頃だと楽しげに言いながらもし此処に来る途中で既に衝動に負けていたら今頃町で人の血を啜っている頃だと笑って。)
だけど、23時までに来ないと貴方の命は無いって言ってあるの。だからもうすぐ来るはずよ、耐えかねて町で誰かを襲っていなければね。
嫌いなことを知ってるくせに無理やり外に出すなんて趣味悪ぃな。そんなんだから捨てられるんだろうな。
(自分がクラウスを誘き出す人質だとは思ってもいなく思わず驚いて目を丸くする。満月の日に頑なに家から出ようとしない彼のことを理解しているはずなのに、自分を使って無理やり外に出そうとするだなんて悪趣味だと顔を顰めて。彼が苦しんでいるこんな日こそ側にいてやりたいのに、それが出来ないジレンマを抱えている自分に刺さるような気持ちにもなる。が、その悪い趣味のせいで捨てられるのだろうと嘲るように笑う。)
・・・あいつの頑固さは知ってる。クラウスはもう一般人を襲ったりしない。
(そろそろここに来ることが分かればキュッと眉を寄せ、街の人の血を吸っているだろうと言う相手に自分の知る彼の頑固さと意志の強さをハッキリと伝える。彼の覚悟と贖罪の表れを言っているため惑わされることは無い。むしろ逆に自分を使って彼に何を仕掛けるつもりだと問い掛けて)
んで、俺を使って何をするつもりだ?俺を解放したければ一緒に来い、なんて言うつもりじゃないだろ。
その強気な態度もいつまでもつかしら?私にとっては貴方なんてどうでも良いのよ、邪魔なだけだもの。…嗚呼、ほら。クラウスが来たわ、
(自分を嘲る相手の言葉に目を細めつつ、彼を信頼して惑わされる事のない相手の真っ直ぐな思いも忌々しく思えて肩を竦め。あくまで彼を取り戻すために相手を使っているのであって、本当ならいつ殺してしまっても構わない存在なのだと言い捨てながらも此方に向かってくる足音が聞こえると嬉しそうに立ち上がり、相手を振り返ると抽象的ながら目的を口にして。自分の言う意味が相手にわかるだろうかと笑みを浮かべつつ首を傾げて見せて。)
……彼を楽にしてあげて欲しいの。私の言っている意味が分かる?
楽に、って・・・。おい、まさか・・・っ。
(自分なんて何時でも殺せるのだと言外に言われ何となく納得する。確かに吸血鬼にとってハンターなんて軽く手を捻るように殺せるのだから仕方ない。相手の言葉とこちらに向かってくる足音を聞き、自分のせいでここまで来させてしまったことへの罪悪感を感じながら顔を上げる。見れば相手は嬉しそうにこちらを見ておりその笑顔に訝しげにすれば抽象的であるが目的を口に出され、この状況と合わせて考えて信じられない、と声を震わせる。きっと相手は苦しんでいるだろうクラウスに自分を襲わせ殺させるつもりなのだろう。だとすれば非常にまずい。以前、満月の日に襲われた時には両手が空いていたから止められたわけで、拘束されている状態では抵抗することが出来ない。今吸血されれば確実に死ぬであろう事実に背筋を震わせれば相手を睨みつけながら拘束を外そうと身を捩って)
暴れないで、好きな人の身体の一部となって永遠に生き続けられると思えばドラマチックじゃない。
(自分の言っている事の意味を理解した様子で相手が驚愕の色を浮かべるとクスクスと楽しそうに笑い、拘束を解こうと暴れる相手を見下ろしつつナイフを手に取ると相手に近寄って。同時に倉庫の入り口で足音が止まり息を切らせたクラウスの姿を確認すると役者は揃ったとばかりに笑みを浮かべ、片手でナイフを弄びつつ彼を見つめて。)
来てくれたのね、クラウス。…顔色が良くないわ、こんなに良い満月の日なんだから楽しまないと損よ。
勘弁してくれ。あいつに余計な負い目を背負わせる訳にはいかないんだよ。
(腕や足を動かしても緩まない拘束に眉間に皺を寄せどうにか外そうと考えるが、楽しげに笑いながら吸い殺されることは幸せなことではないかと言ってくる相手に苦言を呈して。お互いが同意しての結果なら文句は無いのだが、この後の未来で同意無しのままそう考えてしまえば彼に余計な後悔を背負わせてしまうと考えていた。相手が手に持ったナイフをどう使うのかと少し注意しながら、倉庫の入口に現れた彼の姿を見つけると自分のことはいいから早く帰ってほしい、と叫んで)
っ・・・、クラウス、なんで来た・・・。俺のことはいいから早く帰れ!
──あら、ダメよ。貴方が此処を去るなら、飢えた吸血鬼の元に彼を放り込むわ。
(クラウスが口を開くよりも前に、相手の言葉を聞いて肩を竦めると彼を此処から逃げられないよう釘を刺し。雲一つない明るい満月の光が倉庫の高窓から差し込み青い瞳を照らしていて、既に渇きが酷いのか辛そうに眉を寄せて。「…テオを解放してくれ、僕たちのいざこざに巻き込む必要はないだろう」と口を開いたものの、既にイザベラは話し合いでの解決に持ち込む気もなく相手に近づくと、手にしていたナイフを相手の首元に当て静かに引いて。傷はそれ程深くはないものの太い血管の通る首からは血が少しずつ溢れ始め、手に着いたそれを舐めると「後はお二人で楽しんで」と笑みを浮かべ2人を残して倉庫を出て行き。)
くっ・・・、ほんとに俺の事殺したいんだなあいつ・・・。
(自分の言葉に反撃する形で釘を刺す相手に睨みつけるとナイフを煌めかせる。クラウスの乾きは限界まできてるのが分かるが、ここで本能に身を任せてしまえば相手の思う壷だと言う前に首筋に微かな痛みが走る。線で切った痛みに僅かに声を零せばじわじわと血が滲み出るのを感じ、同時に相手が姿を消せば舌打ちをする。本気で自分を殺しにかかっているのだと理解すれば少しづつ近づいてくる相手に顔を向けて)
───…
(その場を離れる事も叶わないまま不意に血の香りが濃く漂い始め相手の首筋から血が溢れているのが見え、それを認識してしまうと一瞬にして彼女の存在など頭から消えてしまい青かった瞳は月光の下で炎が燃え広がるように紅く染まっていて。酷い渇きは耐えようの無い程、このまま血を口にしなければ喉が焼き切れてしまうのでは無いかというほどに酷いものに変わり震えるように浅く息を吐くと、床に横たわる相手は襲ってはいけない存在だという常に保ってきた意識は徐々に飲み込まれ、相手に近づくように足を踏み出して。喉が渇いて苦しい、背中に冷や汗が浮かぶような感覚を感じながら相手の隣にしゃがみ込むと傷口から溢れる血に舌を這わせ、何処までも甘美な味わいに恍惚と溜息を吐いて。この血を全て飲み干してしまえば耐え難い渇きも癒える、相手を見下ろす紅い瞳には相手との約束も幸せな日々も映ってはおらず、慈しむように相手の頬を撫でた後に傷付いた首元に唇を寄せて。)
ッ・・・、ぐっ・・・!
(顔を相手に向ければ自分の血で興奮する紅い瞳が無機質にこちらを見ていて掠れた呼吸音が喉から零れる。相手から逃げようと身動きをするが、それよりも先に首から流れる血を舐め取られ体温が一気に下がった気がした。近くから聞こえる恍惚とした溜息に寒気がして、だが頬を撫でる手つきにはいつもと変わらず優しくて安心する自分もいた。しかし自分を見下ろす目は獲物を捕食しようとする吸血鬼そのもので、条件反射で銃を取ろうと動かした手は縄に阻まれ軋む音を立てただけだった。
首筋に立てられた牙の痛みと血を吸われていく感覚に声にならない悲鳴をあげる。相手から離れようと身を捩るが押さえつけられてしまい、抵抗しにくくなってしまった。しかしこのまま抵抗をやめて意識を失えば相手は自分を殺してしまうだろうと、止まるよう声をかけながら手首を動かして縄を外そうと模索して)
クラウス、頼む、止まってくれ。このままだとあいつの言う通りになる・・・っ!
──大人しくして、
(必死の制止の声は耳に入っていても単なる命乞いとしてしか処理されず届いては居ないのか暴れようとする相手を牽制するように言葉を発しただけで、鋭い牙を突き立て逃げられないよう相手の後頭部を押さえて此方の肩に抱き寄せる体制で血を啜り飲んで行き。かつてオークションで上質な血を持つ少女を買った時のように、甘美な血に渇きの癒えていく感覚は恍惚とする程心地の良いもの。獲物を逃すまいとしっかりとその首筋に噛みついたまま喉を上下させれば、ふと欲のままに渇きを満たすこの感覚は随分と久しぶりだという意識が浮かんで。それは何故だっただろう、そんな思考に一瞬僅かに噛み付く力が弱まったものの相手を解放するには至らず、じきに力を失うであろう獲物が地面に倒れてしまう事のないようにと腰に腕を回して。)
(相手を止めようとする自分の声は届かず有無を言わさない声で牽制される。また、後頭部を押さえ込まれ抱き寄せられるように体勢が変われば身動きするのも封じられてより深く牙が食込み血が抜けていく。本能的な恐怖からか無意識に抵抗が止まってしまえば、体の中の血がなくなっていくことからの寒さを感じ背筋を震わせて。本当にやばい所まできているのだと考えていれば一瞬、噛み付く力が弱まった気もするが、腰に手が周り逃がさないという相手の強い意志が感じ取られ自分の行く末を何となく自覚してしまった。血が嚥下されていく音を間近に聞きながら貧血で重くなる頭と薄れていく意識に必死に抗いながら、彼女の言う通りになってしまう事に苦笑いをして。そっと顔を相手の耳元へ向ければ最期の言葉にもなり得る告白を呟き、瞼を閉じて)
クラウス・・・、愛しているよ・・・。
(焼け付くような酷い渇きは癒え、不意に耳に入った“愛してる”の言葉に大切な相手の姿が脳裏に浮かんで。路地裏のBarで語り合ったコートを身に纏う相手の横顔、キッチンに立ち手際良く料理を作る相手の笑顔、愛おしそうに此方を見つめる優しい瞳も、気付かぬうちに抜け落ちていた記憶が突然思い出されて靄の中に沈んでいた普段の意識が浮かび上がり。ふと気付いた時に色を失い事切れた人間を腕に抱いている事はこれまで幾度とあった事、しかし視線を落とし腕に抱いた相手の顔を認識するのと同時に息が止まりそうになる。血色の無い肌、首にくっきりと残る吸血痕、目を閉じた相手の眠っているような表情も、嗚呼此れはきっと悪い夢だと思いながらも血の気が引くような感覚。腕に重みは感じているし、酷い渇きは消えていて心臓だけはバクバクと音を立てていて妙に現実離れした事のように思えて。もしかすると自分は取り返しのつかない事を、ずっと何よりも恐れていた事をしてしまったのかもしれないと思うと震える息を吐き出し、思わず相手の名前を呼んだ声は小さく掠れて肩を抱く腕に力が篭り。)
──……テ、オ…?
(一度瞼を閉じてしまえば、再び開けるのが億劫な気がした。血が無くなるほど体は重くなり、深い眠りに誘われるようで。このまま眠ってしまいたいと思っていれば頭に浮かぶのは走馬灯か、様々なシーンが巡っていく。Barで相手と出会った時のことや、倉庫の中で対峙したこと、一緒に暮らし始めてからの笑顔など愛おしい表情が思い出されていく。意識を失ってはいけないと考えつつ、深い微睡みに身を任せてしまいそうになった時、遠くから自分を呼びかける声がして重い瞼に力を込めて僅かに開ければ揺らぐ視界の中に泣きそうな顔をした相手が映り、緩く口角を上げて笑って見せて)
・・・やっと、目ぇ、さめたか・・・?
──…っ、ごめん、…君をこんな風に、してしまうつもりじゃ……
(腕に抱いた血の気の無い相手が此れまで犠牲にしてきた人達と重なって見えてしまい、もうこのまま二度と目を覚ます事は無いのではないかとさえ思えて吐き出す息が震え、揺さぶって声を掛けても相手が起きなかったらと思うとそれ以上声を上げる事は出来ずにいて。しかし相手の瞼が持ち上げられ少し曇った瞳が此方を見据えると、その視線と優しい微笑みに胸が締め付けられる思いで相手を見おろし色の無い頬を震える手で撫でて。しかしこのままこうして居れば相手が死んでしまうかもしれない、少しでも体温を上げなければ、重篤な状態に陥る前に輸血が必要かもしれない、色々な事が頭を巡り相手をこんな状況に陥らせてしまった後悔の念に苛まれて。相手の背中をさすりながら救急車を呼ぶことを提案する、相手の仲間であるハンターをこの場に呼び寄せ例え自身の存在が公になったとしても今は構わなかった、相手が命を落とすような事にさえならなければ。何か手を打たなければ相手を失う事になりかねないという恐怖にいつの間にか年甲斐もなく子どものように涙を溢していて、相手の肩を強く抱き。)
…っ、テオ、眠らないで。救急車を呼ぼう、君の仲間でも構わない。このままじゃ…っ、このままじゃ、僕のせいで君が死んでしまう、
だい、じょうぶ・・・だ・・・。家に、帰れば、薬もある・・・し、平気・・・。
(頬を撫でる相手の手つきに心地よいと感じる反面、自分より低いと感じた体温が感じられないことに自分自身の体温が下がっていることに気づく。自覚すると途端に出る寒気に、微かに身体を震わせてしまうが相手に理性が戻ったことに安心すると余計に眠気が襲ってきてしまったため、相手の声に耳を傾けそれに抗う。また、ここで眠ってしまえば確実に息が止まってしまい、相手を悲しませてしまうだろうと切れそうになる意識を繋ぎ止めていた。相手が本能に飲み込まれてしまったのは仕方の無いことだが、自分の言葉で戻って来てくれたことはとても嬉しく、こんな状況でも頬が緩んでしまうほどだ。)
・・・、縄、取れるか・・・?
(相手から零れ落ちる涙を拭いたいのに、震える体を撫でて慰めたいのに体を拘束する縄がそれを邪魔をしていて、小さい声で頼むと緩くなる拘束に体の力を抜く。手首にある擦れた痕は少し痛むが、それを耐え相手の背中に手を回して添えると帰ろう、と伝えて)
クラウス、帰ろう・・・家に・・・。
(縄を取って欲しいと頼まれようやく相手が拘束されている事に気付く。意識が戻った時には既に相手は力を失っていたため自由が奪われている事に気付けずにいた、きっとこの縄の所為で抵抗することができなかったのだろうと思い頷くと、縛られた相手の両腕を解放して相手を抱きしめ。小刻みに震える相手の身体を包み込みながら相手の言葉を聞き、本当にこのまま家に戻って大丈夫だろうかという一抹の不安を感じて涙を拭いつつもう一度相手と視線を合わせ、本当に家で良いのかと尋ねる。家に帰れば自分が相手の一番側にいられるが出来る事には限りがある。それを考えると近くにいるハンターに助けを求めることも選択肢の一つだろう、負傷したハンターを搬送する病院は決まっているのだろうから直ぐに適切な処置をしてもらえる筈。相手が自分の存在がバレないよう気を遣ってくれているのなら、今はそれよりも相手を安全な場所に運び辛い思いをさせない事を優先したかった。ハンターを呼べば自分は姿を隠す必要があるがすぐに相手の後を追うと良いながら、まだ冷えた相手の背中をさすり、病院に行った方が良いと言い聞かせるように言って。)
…君の仲間に助けを求めればきっと適切な病院に連れて行ってくれる。…こうしてしまったのは僕だから、せめてテオが一番辛くないようにしたいんだ、…きちんと病院で処置をして貰った方が良い。…僕は一緒には行けないけど、直ぐに追いかけるよ。…だから、ね。
・・・わか、った・・・。
(自分は家にある薬を飲んで相手と過ごせれば相手自身も安心するのではと考えていたが、相手はより確実な方法で回復させてあげたいと心配してくれているようだった。ここで自分が頑固な態度をとっても相手を困らせるだけだと理解すれば、同僚を呼び病院に行くことに頷いて。相手も直ぐに後を追って来てくれるのならば自分にとっても安心出来る。今夜は満月の日なため各地にハンターは配置されているはずなため、少しずつ落ちそうな意識に耐えながら近くに同僚が居ることを伝えて)
たぶん、近くに誰か・・・いる、はず・・・。
…テオ、もう少しの辛抱だからね。
(相手が頷いてくれたことに安心すると優しく相手の髪を撫でて。ハンターに此処で顔を見られてしまうと病院で怪しまれる可能性があると思えば、相手の腰から銀色の銃を手に取り倉庫の入り口に向かうと空に向けて発砲して。銃声が響き、これで誰かが気付いて駆けつけてくれれば良いと思いつつ相手の側に戻るとその頬を温めるように包み、懺悔の気持ちを込めて相手の額にキスを落とすと、直ぐに相手の後を追いかけると約束し相手と小指を絡め、ほどなく足音が聞こえ始めたのに気付くと立ち上がり闇に姿を潜めて。)
──死んだら駄目だ、…すぐに追い掛けるから待ってて。
(意識の外で乾いた発砲音が鳴り、人を呼んでくれているのだとわかれば、頬を包まれ額に柔らかな感触と小指を絡めた感覚がした。少ししてその感覚は離れてしまったが、待ってて、と言われた言葉にぼんやりと寂しさを感じていれば、近づく別の足音と騒ぐ声に同僚が来たのだと理解しては意識を失って)
(倉庫から運ばれていくハンターの姿を隠れて見ていれば、息の根を止めることが出来なかったのだと驚きの表情を浮かべる。満月の夜で彼の飢えも限界であっただろうし、ハンターに抵抗できる術はなかったはずで。眉を寄せどこかに身を潜めているであろう彼の姿を探して見つければ、なぜハンターが死ななかったのかと目に怒りを滲ませながら不機嫌そうに問いかけて)
クラウス、なぜ彼は死んでないのかしら。貴方、何かしたの?
僕じゃない…彼が、引き戻してくれたんだ。──イザベラ、もうこんな事はやめよう。僕は君の元には戻れないし、君が追っているのは過去の僕だ。…この街にはもう居ない方が良い。これが最後の忠告だ。
(倉庫の物陰から姿を表すと、未だ冷たい月明かりの降り注ぐ中相手と対峙して紅く染まった瞳で相手を見据えて。相手の策略にはまり本能のままに彼を襲った自分を引き戻してくれたのは彼だった、自分は何もしていないと首を振って。相手がこの街にやってきてから何度も吸血鬼に戻れと、昔のように本能のままに冷酷に生きる存在に戻れと言われてきたが、彼がいて自分を大切にしてくれている以上戻る事は二度と無いと断言できた。例え飢え渇きに苦しむ事になったとしても自分は彼と生きる道を選ぶ。相手を見据えるその瞳に怒りは無く、ただ真っ直ぐに見つめて静かにこの街を出て行くよう告げて。)
(こちらを見つめる瞳は怒りなど滲ませず淡々と、冷静に言葉を伝えていた。ただ本心から来る言葉だと分かりながら、次は無いのだと言外に告げているのも理解出来た。きっとこれから自分が2人にちょっかいをかけても同じように淡々と答えを返してくるか、明確な殺意を持って自分を排除してくるのだろう。そこまで想像するとどんなことをしても・・・ハンターの彼を殺しても自分のところに戻ってくることは無いのだと分かれば誘うことも無駄な気がして一瞬でやる気が失せてしまった。一度目を閉じ、深くため息をつくと「・・・分かったわ」と呆れたように呟く。二人の間に割込むことは無理なのだと理解すると、興味なさげに軽く手を振って踵を返して)
もういいわ、あなた達の盲目さにはお手上げよ。お望み通りここから出てってあげる。・・・さようなら、クラウス。
…さようなら、イザベラ。
(相手が自分たちに興味を失った事に安堵しつつ去って行くその背中を見据えて返事を返し。きっと彼女とはもう二度と会うことはないだろう、会う必要も無い筈だ。相手が去ってから倉庫を後にすると大通りに出てタクシーを拾い、ハンター達が口にしていた病院名を運転手に告げて。車窓の景色を見つめながら腕に抱いた相手の蒼褪めた顔が思い出されて手が震えそうになる、どうか何も手遅れにならないようにと考えながらじっと到着を待つ時間は酷く長く感じられて。病院に着くとタクシーを降りて正面玄関へと向かう。まだ瞳は完全に元の色には戻っていないものの本来の自分の姿を知る人がいなければ怪しまれる事は無い筈だと受付に足を進めて看護師に声を掛け。)
──友人がこの病院に運ばれたと連絡を受けたんですが…セオドア・グローリーです。面会出来ますか、
セオドア・グローリーさんですね。少々お待ちください。
(受付でカルテを処理していると綺麗な顔の男性が話しかけてきた。少し待って貰えるよう伝えて言われた名前を調べると救急で運ばれてきたハンターだと分かり、処置も終わっているようで面会はできるようだった。相手に面会できる旨と部屋番号を伝えると、クリップのついた面会証を差し出して)
面会証は見える位置にお願いします。また、意識は戻っていませんので起きたらナースコールを押してくださいね。
分かりました、ありがとうございます。
(面会が出来ると聞いて安堵すると面会証を受け取ってその場で首から下げ、受付の看護師に礼を述べると入院病棟へと通じるエレベーターへと向かい伝えられた部屋番号のある6階のボタンを押して。静かな廊下を歩き告げられた部屋の前で立ち止まると扉に手を掛ける。すぐに後を追うとは言ったものの本当に来て良かったのだろうかという不安が湧き起こり扉を開ける事が躊躇された。彼を瀕死の状態に追いやったのは誰でも無い自分自身なのに。小さく息を吐いてから扉を開けると部屋の中は暗く、消毒液の匂いと一定のリズムを刻む機械音が聞こえて静かに扉を閉めて。そっとベッドの側まで歩み寄ると眠っている相手の顔を見つめて少しばかり顔色が良くなっている事に安堵して。首筋の傷口はガーゼで覆われ腕には輸血の管が繋がっていて、彼をこんな姿にしてしまったのは自分だと思うととても惨めな気持ちになりベッドの傍に置かれた椅子に腰を下ろして。)
……ごめんね、テオ……僕を許してくれ、……
(ベッドの上で眠っていればふと、意識が浮上する感覚がした。なんだか長い時間眠っていたような気になると瞼が張り付いたように開けるのが難しかった。体も酷く重く、なぜこんな状態になっているのか思い出そうとすると頭の中に誘拐された時のことや倉庫の中で血を吸われた時のことが思い出されてこの状態になっているのが理解出来た。自分は死んでしまったのかと思ったがシーツを触る感触と鼻につく消毒液の匂いで病院にいることが分かり、生きているのだと確信がもてた。意識を失う前に相手は追いかける、と言ってくれたが側にいてくれているのだろうか。そう思って耳を澄ませてみれば近くから相手の声が聞こえてきて安心する一方で、その悲しげな声色に慰めなければと考え重い瞼をあげようとして。少しずつ開ければ見えてくるのは白い天井で、瞳を動かし横を見れば今にも涙を流しそうな相手に微笑むと声をかけて)
・・・約束、守ってくれたな。
…テオとの約束は、破れないからね。
(相手の手が僅かに動き、程なくしてゆっくり目が開くと思わずテオ、と呼び掛けて相手の手を取り。此方を見つめた相手がいつもと同じように優しく微笑むのを見ると安堵感でいっぱいになり、泣き出しそうな表情で微笑むと頷いて、そう言った。吸血鬼だという事を打ち明け相手が受け入れてくれたあの日、もう二度と相手に嘘は吐かないと誓ったのだと相手の手を握りしめ、まだ少し青白い頬をそっと撫でて。相手をここまで危険な状態に陥らせてしまったのにこのまま変わらず相手の側に居て良いのだろうかという不安はあったが、今すべき話では無いとそれを口にする事は避けて、この町を去ると約束した彼女の事を伝えて。)
──イザベラは此処を出て行ったよ。もう危険は無い、
ふは、良かった・・・やっと諦めてくれたか。体張ったかいがあったな。
(あまり力の入らない自分の手を握り優しく頬を撫でる相手の手つきが擽ったくて思わずくすくすと笑ってしまうが、彼女が相手を諦めて街から出ていってくれると告げられると安心したように笑って。彼女の頑固さには困っていたが、自分も相手も体を張ったおかげで諦めてくれたのなら安心だと言った。彼女が居ないのなら安心して過ごすことができると思えば、早く退院して相手と過ごしたいのだと待ちきれなさそうに)
あいつがいないなら早く退院したい・・・いつ出来るかなぁ・・・。
急がなくて良いよ、今はゆっくり身体を休めて。…テオが帰って来るのを待ってる。
(相手の手を握り返しながら無理をして急いで退院する事は無いと首を振って。彼女は去ったが自分たちの平穏な暮らしは逃げてしまうものではない。今はゆっくり身体を休めて、体力がしっかりと戻ってから家に帰って来れば良いと言い聞かせ相手の髪を優しく撫でて。ベッドに寝ている相手の姿を見ていると自分がしてしまった事の重大さを改めて突き付けられる様な気がして視線を落としつつ相手の首元のガーゼを撫でて、相手が落ち着いて療養に専念できるようにと願い。)
ありがとう・・・なら、お前の言う通りしっかり体休めて怪我治したらすぐ帰るな。
(手を握られ髪を撫でられ、自分のことは心配せず療養して欲しいと言われればお礼を伝えつつ体を治したらすぐに帰ると言い。急がなくてもいい、と言われたがあの部屋の中で1人相手が自分のことを待っているのだと想像すると申し訳ない気持ちになり、なるべく早めに帰れないか医師に確認しようと決めて。ふと、相手の視線が下がり首元のガーゼを撫でられると擽ったく少しクスクスと笑いながら身をよじると空いている方の手を相手の頬に添えて軽く撫でて、あまり落ち込まないようにと声をかけて)
あんまり落ち込むなよ。クラウスが悪いってわけじゃないんだからさ。
……君をこんな目に合わせたんだ、…悪いのは僕だよ。──ねえ、テオ。僕は本当に君の隣に居て良いのかな。どう足掻いたって僕は吸血鬼だ。いつか取り返しのつかない事をしてしまうかもしれない…
(頬に添えられた手は少し体温を取り戻していたがそれでも未だ冷たく、その手を頬に当てるように包み込みつつ相手を見据えて。相手は優しく、なにも気にする事なんて無いとでも言うかの様にいつも通り微笑み掛けてくれるが、血色を失った相手を腕に抱いていた時の絶望感が拭い切れずにいて。吸血鬼として相手を襲ってしまった事は間違い無く、これまでと同じ様に相手の隣に居て良いのか、この先先程と同じように理性を失って最悪の状況を招いてしまう事もあるかもしれないという思いに苛まれていて、抱いている不安を正直に相手に伝えると目を伏せて。)
俺から離れるならそれこそ恨むからな。・・・大丈夫、またお前が理性を失っても引き戻してやる。
(なんてこと言うのだろう。自分の隣に居て良いのかと問う相手に少し呆れながらも頬に添えた手を動かして撫で、自分から離れるなら恨んでやると脅してみせ。相手の不安を聞き、納得することは出来た。自分たちはどう足掻いても捕食者と非捕食者で、また同じことが起こるかもしれない。今度は理性を戻すことが出来ず、殺されてしまうかもしれない。けれどもそのリスクを背負っても隣にいてくれと縋ったのは自分なのだから、そして吸血鬼でも、人であっても、それ以外の存在であっても相手が相手であるなら構わないのだ。自分の隣にいてくれさえいれば、きっとまた理性が消えて本能のみで襲いかかろうとしても呼び戻せるのだとハッキリ伝えれば相手の不安が少しでも無くなればいいと願って。加えて、相手に殺されるのならそれもいいものだと笑って)
まぁお前に吸い殺されるなら本望だよ。誰かに手をかけられて死ぬよりずっといい。
(テオ、返事が遅くなってごめん。実はちょっと背後が仕事の都合でバタバタしてるみたいで。一旦その報告だけしに来たんだ、何も言わずに待たせるのは申し訳無くて…今週末には落ち着くみたいだからもう少しだけ待っていてもらっても良いかな?我儘でごめんね。)
(忙しいのにありがとう、クラウス。今クリスマス前だし、年末前でもあるもんな・・・我儘じゃないし全然大丈夫だ。背後さんが落ち着いた時に返してくれ。
そういえばここのところすごく寒くなってきたけど体調崩してないか?防寒しっかりしないと風邪ひくから気をつけろよ)
君が目を覚さなかったらと思うと、すごく怖かった…僕にはテオしかいないんだ。怖い思いをさせてごめん、…大好きだよ、君を愛してる。居なくなって欲しく無い。
(迷う素振りすら見せず自分が傍に居続ける事を許してくれて、居なくなったら恨むとまで冗談めかして微笑む相手を見詰めると安堵と申し訳無さとで眉を下げ。相手が目を覚さなかったらと思うとどうしようも無く恐かった、今の自分には相手の存在が全てなのだと頬を撫でる体温に涙が頬を滑り。自分に殺されるのなら本望だなんて、相手はどこまで優しいのだろう。相手を生命の危機に瀕する状態に陥らせたにも関わらず此れ迄と何も変わらない愛情を向けてくれることに胸が締め付けられるような気がして、頬に添えられる相手の手に己の掌を重ねて愛を囁いて。相手の事が愛おしくて堪ら無い、身を屈めて未だ血色の良く無い相手の唇に己のそれをそっと近付けると優しくキスをして。)
(お待たせ、待っていてくれてありがとう、テオ。年末年始にかけて今の時期からバタバタするよね、その上寒くて参っちゃうよ。僕の所は雪が降ったよ、でも元気にしてる。気に掛けてくれてありがとう。テオも体調崩さないように気を付けてね。)
・・・そう言ってくれるなら、何がなんでも生きないとな。
(相手の頬をつたう涙を指で拭っていれば、相手からの愛の囁きが聞こえると軽く頷いて。相手が身を屈めればそっと目を閉じ、重なる唇を楽しんでいればベッドで寝ている動かしずらい体に少しやきもきしていた。自分の体が自由に動けば、安心させるように抱きしめることも頭を撫でることもできるのに、貧血で重い体では腕を頬に添えて涙を拭うのに精一杯で相手を十分に満足させられない。相手が離れてから目を開ければ、居なくなって欲しくないという願いを叶えられるよう努力することを伝えて。また、顔を近づけ目尻に残る涙を吸い取るように軽くキスを送り返せば、退院まで待っててほしいことや、家で早く相手と一緒に過ごしたいのだと伝えて)
俺も愛してる。だからもう少しだけ待っててくれ、すぐ帰るよ。・・・1人で寝てるより、お前のこと抱きしめて一緒に寝たいしな。
(どういたしまして、やっぱりどこも今の時期は一緒だな。へぇ、雪が降ったか・・・俺のところは滅多に降らないが寒さは厳しいよ。お互い気をつけような)
本当ならずっと此処でテオの看病をしていたいけど、君の同僚もお見舞いに来るだろうし…家で帰りを待ってるよ。早く良くなって僕の元に帰って来て、約束だ。
(頬を優しく撫でる相手の手を取り指を絡めるようにして擦り寄るとじっと相手を見つめて。ずっとこうして居たいけれど、理由も理由で相手の同僚も見舞いに来るだろうし、仲間をこんな風にした吸血鬼に憎悪を募らせあの辺り一帯のパトロールも厳しくなるだろう。何がきっかけで正体がバレるかも分からない為、ハンターが出入りする此の病室に留まっている事は出来ないが家で相手の帰りを待っていると伝えて。回復まで少し時間が掛かるかもしれないが、早く元気になっていつも通りの平穏で幸せな暮らしに戻りたいと言いながら、身体が辛いのに少し無理をさせ過ぎたかもしれないと思って相手の髪を優しく撫でて。)
──ごめん、疲れたよね。ゆっくり休んで、またお見舞いに来るから。
クラウスは約束守ってくれたからな。今度は俺の番だ。
(こちらを見つめる相手の目を見つめ返すと、早く体調を戻して帰ってきて欲しいと約束され柔らかく微笑む。必ず追いかける、と相手は約束してくれて守ってくれたのだから今度は自分の番だと必ず約束を守ることを伝えて。絡む指と触れる体温にぽかぽかと胸の内が暖かくなるようでとても幸せな気分だった。もう少しこの空間を味わっていたいと思ったが、そろそろ帰るらしい相手に次に来る時にはハンターに注意するよう伝えて。自分に話を聞きに来ようとハンターが何名か彷徨くかもしれないと考え、なんの拍子に相手の存在がバレてしまうのかと緊張することもあった。髪を撫でられる気持ちよさを感じながら、精神的に疲労したであろう相手にお見舞いに来てくれたことへの感謝を伝え気をつけて帰るよう伝えて)
来る時にはハンターに見つからないようにな。・・・お前も大変なのにお見舞いありがとう、気をつけて。
…ん、約束だよ。お休み、テオ。
(相手の言葉に少し表情和らげると再び相手の頬にキスをしてから小さく手を振って病室を後にして。イザベラという大きな脅威は去ったものの相手がいない家で一人過ごす日常は矢張り寂しいもので、仕事と相手のお見舞い以外は特にする事も無く。病院に行く時はなるべくハンターの目を避け、時には果物などのお土産を手に、数十分でも時間を作って相手の入院する病室に顔を出すのが日課になっていて。──退院の日、家を掃除してから相手が帰ってくる夕方より前に花と少し良いワイン、簡単なオードブルを買って家に戻ると、久しぶりの2人でのディナーを楽しめるように準備をして。手料理を振る舞えれば良かったのだが、そこまでの力量は無く既製品に頼る事になってしまった。相手が家に戻ると言った予定の時間まで後どれくらいだろうかと、何度も時計を見上げて久しぶりに相手がこの家に戻ってくるのを心待ちにしていて。)
(/今年もあと2日だなんて早いね。年末年始とまた少し返事が遅くなってしまうかもしれない。最近待たせてばっかりでごめんね、念のため報告だけ。あと勝手にテオを退院させちゃったけど大丈夫だったかな?この後の展開もまた相談しよう。)
(手を振って病室を後にする相手の姿に寂しさを感じるも仕方の無いことだと考えてはその気持ちを誤魔化すように窓の外を眺めて。暫くして相手から話を聞いたらしい看護師が様子を見にくれば体調の確認などをしてからまた眠りについた。次の日には入院中の日程などを聞き、それに沿って過ごしていれば時々同僚が見舞いに来たり、自分を襲った吸血鬼について話を聞きに来たりしていた同僚が来ない間にはクラウスも見舞いに来てくれてそれほど寂しい時間を過ごすことはなく、短い期間で退院することが出来た。お世話になった医師や看護師にお礼を告げ、機関の本部に顔を出してから家に帰る道を歩いていると部屋に電気がついているのが分かり頬を緩めて。予定していた時間より少し早くなったがいてくれているだろうかと考えながら扉を開け、ただいまと告げて)
・・・ただいま、クラウス。
(/あと少しがもう数時間になっちゃったな・・・時間が経つのは早いな。3月に出会ったのにもう年末だ。今年はありがとう、んで来年もよろしく。遅れるのは構わない。お前も忙しそうだし無理は言わないよ。退院させるのは大丈夫だぞ、ありがとう。だな、今後の展開どうしようか・・・クラウスはやりたいこととか今あるか?)
──テオ!おかえり。退院おめでとう。
(扉の開く音にぱっと立ち上がると相手に駆け寄り、首に腕を回して抱きつくと相手を迎えて。ようやくこの家に相手が戻って来た事が嬉しくて、相手の顔を見上げて微笑むと改めて、おかえり、と繰り返し。顔色も良くなりもう重い貧血の心配も無いのだろうと思うと心から安堵して、あまり長く相手を玄関に引き留めていてもいけないと身体を離すと部屋に促して。ダイニングテーブルには小さな花を飾り、夕食の準備は済んでいた。重た過ぎず相手の身体にも良さそうな野菜や肉を使ったオードブルが皿に並び、温かいシチューとグラスも並んでいて。ドリンクを出すため冷蔵庫に向かいつつ、お酒はまだやめておいた方が良いのだろうかと尋ねて。)
食べよう、久しぶりのディナーだから準備しておいたんだ。飲み物はどうする?まだアルコールはやめておいた方が良いのかな?
(/明けましておめでとう。僕の方こそ去年はたくさんありがとう。1000レスも越えて、改めてテオにたくさん付き合ってもらった1年だったなぁって感謝してる。今年も変わらずよろしくね。展開、結構色々やってきたもんね…王道系だったらどっちかが風邪ひいちゃうとか、町のお祭りみたいなのに一緒に行くとかも面白いかも。あとそろそろテオ以外の血を受け付けなくなってくるのも取り入れられるかもしれない。シリアス系だったら別のハンターが絡んで来る話とか、テオの婚約者にそっくりな女性が現れるとか…ざっくばらんに色々挙げてみたけど、テオは何か希望ある?)
ありがとう、沢山待たせてごめんな。
…ん、アルコールはまだやめとく。お前との食事楽しみたいし、また今度ゆっくり飲もう。
(扉を開ければ飛び込んできた相手の身体をギュッと抱きしめる。首にかかってきた重みが愛おしくて肩に顔を埋めると待たせてしまったことへの謝罪を呟いて。相手の存在を確かめると自身も顔を上げ、ただいまとまた返すと頬にキスを落とした。するりと離れた体に少し寂しく感じるが、テーブルの上が華やかに飾られ料理の支度が終わっているのが分かれば空腹感が感じられお腹をさすりながら部屋に入る。退院した体に良さそうなオードブルと温かそうなシチューの匂いに美味しそうだと微笑むとアルコールは遠慮しておくことを伝えて。今日は相手との食事と会話を純粋に楽しみたいのだと告げればコートを脱ぎハンガーに引っ掛けて)
(/遅くなったけどあけましておめでとう。こちらこそよろしくな、今年も沢山話せるのが楽しみだ。
どっちかが風邪ひく展開は俺も想像してたかな・・・お祭りも楽しそうだしシリアス系もやり甲斐あって良さそう・・・挙げてもらった展開全部やりたくて仕方ないな。んー、悩んでしまう・・・。あと、この他で思いついたのだとやっぱり王道で記憶喪失系だったんだが、なんだか入れにくそうでもあってクラウスの意見も聞きたいな。)
ん、分かった。ごめん、テオみたいに手料理が振る舞えたら良かったんだけど、…でもテオが好きなものを選んだんだ。食べよう、
(今日はアルコールを控えると聞いて、またゆっくり飲もうという誘いに同意を示すように微笑んで頷くと席について。いつも相手がしてくれるように手料理でもてなすことが出来れば良かったと言いながらも、普段一緒に買い物に行っても相手が気に入って買っている物などを思い出しながら多く揃えたと言って笑い。手料理に拘らなくても今は相手と2人の時間を過ごせる事が嬉しくて。相手を席に促して一緒に手を合わせると、久々の相手とのディナーでいつもより張り切っているのか相手のお皿にオードブルを取り分けてから相手の前に置いて。相手が家に帰って来るというだけで1日浮き足立っていた自覚はあり、少し恥ずかしそうに笑うとようやく椅子に座って自分もオードブルを食べ始めて。)
はい、テオ。いっぱい食べてね、冷蔵庫にプリンも入ってるんだ、…なんだかそわそわしちゃって。買いすぎた気がする。
(/ ね、僕も全部やりたくて困ってる。記憶喪失、思い付かなかったけどすごく面白そうだね。ドラマチックな展開になりそうだ。僕が忘れるなら自分を討伐する為に近付いて来てるハンターだって疑心暗鬼になったり前みたいに狩りに行こうとする事で一悶着あったりしそうだし、テオが忘れるのだと僕が吸血鬼って事を隠して前みたいに接するか、討伐対象として認識されちゃうけどテオ自身手を下す事に戸惑いがあって葛藤したりとか、そんな感じかなぁ。どっちが忘れるのでも良い物語になりそうだね。)
いや、全然構わない。クラウスと一緒に食べられるだけで嬉しいし、好きなものがたくさんでワクワクする。
(緩く首を振って、市販でも相手と同じ机で食べることが出来るのが幸せだと答えて。その言葉に偽りはなく、入院中1人で食事を食べる度に相手が恋しくなっていたのだった。手料理だったら後で時間がある時に一緒に作れば良いのだし、イスに座ると真似をするように手を合わせて。相手によって取り皿に盛られたオードブルの量は多く、机の上に広がる大皿の数も多い。更には冷蔵庫にプリンもあると聞けばくすくす笑って沢山買ってきたことを微笑ましく思う反面、残してしまわないかと心配になりながらオードブルを口に運んで)
ふは、本当に沢山買ったんだな。・・・食べ切れるかな。
(/貴重な意見ありがとう。確かにどっちが記憶喪失になっても面白そう・・・相手のことだけとか、相手と出会ってからの記憶、自分の名前も全部、とか派生することもあるから迷うよな。それに俺は記憶喪失系って簡単な展開しか思いつかなかったから、具体的な内容言ってくれると余計やりたくなる。勿論、クラウスの出してくれたあんも魅力的だし風邪ひいたイベントとか超やりたい。)
テオが帰って来ると思ったら嬉しくて…1日浮き足立ってた。大丈夫、残ったら僕が明日食べるから。
(オードブルを食べ始める相手を見てから自分もフォークを口に運んで、相手とこうして向き合って食事ができていることの幸せを噛み締めていて。きっとあの夜の絶望は忘れることはない。それでもあんなトラブルを乗り越えて尚相手は隣にいてくれるのだから、それだけで幸せだった。食べられるかと心配そうな相手を見て笑うと、余ってしまったら自分が頑張って明日中に食べ切ると言って。量を食べる方ではないがオードブルなら多分大丈夫だ。目に前に座る相手をじっと見つめて口を開き。)
──テオ、もうどこも痛くない?
(/ だね、じゃあせっかくだし次は記憶喪失か風邪かのどっちかからにしよう。記憶喪失になるのと風邪をひくのとで分けちゃえばどうかな、テオはどっちがいい?)
無理して食うなよ、俺も明日手伝うから。
(余ったら明日頑張って食べると言う相手に苦笑いして無理しないように告げる。今夜は無理でも一晩寝れば自分も明日食べられるだろう。どうせ夕方にはまた拠点へ出向するのだからそれまでの間になるが・・・。オードブル以外の大皿料理にも手を伸ばし舌鼓を打ちながら食べていればじっと視線を向けられどうしたのかと考える。どこも痛くないのかと問われれば、あの夜自分を殺しかけた申し訳なさや体を心配する気持ちがあるのだろうかと認識し軽く頷く。首も体もどこも痛くないのだと答えれば半分冗談で確かめてみるかと聞いて)
あぁ、もうどこも痛くない。なんなら後で確かめるか?
(/うーん、そうだなぁ・・・クラウスは吸血鬼だから風邪とか早く治りそうだし記憶喪失の方お願いして、俺が風邪ひこうかな。戦闘中に水被って、乾かさずに帰宅したら翌日風邪ひいたみたいな流れで)
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