吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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ふははっ、そっかそっか。じゃあ、俺も飲み終わったら着替えてくる。
(何気ない会話の中でもずっと先まで自分と添い遂げてくれるのが分かり、笑みがこぼれる。相手がコーヒーを飲み終わり、着替えてくると部屋を出る後ろ姿に自分も、と声をかければ飲み終えたマグカップと食べ終えた皿をもってシンクに持っていく。ついでに、と使ったフライパンも兼ねて洗ってしまえば自分も着替えてくるかなと軽く髪を撫で整えながら自室へ行き、適当に着替えてからリビングへと戻って)
(クローゼットを開けて無難なシャツとズボンを取り出して着替えると、仕事用に髪を後ろでまとめておく。用意を済ませてリビングに向かうとキッチンの洗い物は既に片付けられていて、ちょうどリビングに戻ってきた相手にお礼を言いつつ相手のコートをコート掛けから取り渡して。)
テオ、洗い物ありがとう。はい、コート。
(自分も相手に買ってもらったコートを羽織り、連れ立って玄関に向かい。相手と一緒に家を出られるのは珍しく、いつもどちらかが見送る事が多かったためそれだけでなんだか幸せな気持ちになるようで嬉しそうに言って。)
…家を出る時間が重なるのは久しぶりだね。
ん、ありがとう。
(やはり相手の方が先にリビングに戻ってきていたようで洗い物のお礼を言われるとついでだから、と述べコートを受け取る。相手の来ているコートは自分が前に買い与えたものでよく似合っている姿に笑みを浮かべてしまう。一緒に玄関を出て鍵を閉めれば同じ時間に家を出ることが久しぶりだと言った。確かに最近はお互い時間をずらしていたりどちらかが休みだったりと一緒に出ることがなかったから嬉しい気持ちになる。そうだな、と同意してその気持ちを述べればそれぞれの目的地に向かう分かれ道までは言い聞かせ、そっと手を重ね、指を絡ませて)
そうだな・・・俺かお前のどっちかが先に出るから、重なるなんて最近はなかったな。でもやっぱり一緒に家を出れるのは嬉しい。
そうだね、こうして一緒に居る時間が少し増えるだけで幸せだ。
(夜になり少し冷えた空気の中、相手と指を絡ませて静かな夜道を歩くこの時間がとても幸せで嬉しそうに微笑みつつ頷いて。相手と方向が別れる道まで来ると、少し名残惜しく思いながらも相手の手を離し、日付を跨ぐ頃にまた店の近くで会おうと約束して。もし仕事が長引くようだったり何かあればメッセージで連絡すると言って軽く手を振ると、店へと向かって歩き出し。)
…それじゃあ、気を付けて。後で店の近くで会おう、もし遅くなりそうだったら連絡する。いってきます。
了解、お前も気をつけて・・・行ってらっしゃい。
(少しの間だけでもこんな風に触れ合って歩く時間は幸福で、相手と同じ気持ちであったことが余計に嬉しかった。分かれ道まで長いようで短く、あっという間に到着してしてしまい触れ合っていた体温が離れれば寂しく感じる。相手と約束を交わして何かあればメッセージをくれるという相手に手を振り返すと行ってらっしゃいと声をかけてその後ろ姿が見えなくなるまで見守っておく。相手の姿が見えなくなると自分も目的地へ向かおうとつま先を向けて歩き出して。
今日の任務地は相手の働く店の反対方向で急いで終わらせなければ約束の時間に間に合わなくなる。少し早足で向かいながら討伐対象を探るがこの時に限ってなかなか見つからず苛立ちを隠そうともせず路地裏や人気の少ない場所を探して。
しばらく時間がたち、やっと仕事が終わったとため息をこぼした。自身に怪我はなく、討伐対象もさほど強い者ではなかったがちょこまかと逃げ回るのが上手く、思いのほか時間を食ってしまった。近くの店で時間を確認すると日付が変わる数十分前。後処理に来た職員に後のことを任せれば駆け足で相手の働く店の方へと向かっていって)
(相手と別れて店に向かうと、制服に着替えてからいつも通りホールに立つ。バーレストランというだけあって店内は夜が最も賑わい、洒落た格好でディナーを楽しむ人たちを相手にオーダーに配膳にと忙しくしていてはようやく上がれたのは日付を跨いで10分ほどが経った頃で。遅れる場合は連絡をすると言ったのに少し待たせてしまったと、急いで服を着替えて店を出ると店の近くで待つ相手を見つけて駆け寄って。怪我がない様子にホッとしつつ待たせてしまったことで少し冷えている相手の手を取りながら謝り、任務を終えた相手に労いの言葉を掛けて。)
──テオ、お待たせ、!ごめん、バタバタしてて連絡出来なかった、…お疲れ様。
お前こそお疲れ様。実は俺もちょっと遅れたんだ、だから気にしてない。
(急いで店の近くに行けばまだ相手は上がっていないようで少し安心する。近くの壁によりかかり息を整えながら店内に時々視線を送れば賑やかで忙しそうな声が聞こえてくた。次第に息が整えられてくれば走ってきて上がった体温が下がり、夜の冷たさが体にしみる。もう少しかな、と考えていれば慌てた様子で店を出てくる相手が見えて軽く手を上げるとその手を取られ遅くなってしまったことへの謝罪と労りの言葉をかけてくれた。自分からも労りの言葉を返し、実は自分も遅くなってしまったのだと正直に話せば少しだけ苦笑いして。ふとそこで急いで着替えてきたのだろう、シャツの襟が曲がっていることに気がつき手を伸ばして直せば、デートしながら帰ろうと促して)
ふは、急いできたんだろ、襟曲がってるぞ。・・・よし、直った。じゃあデートして帰るか。
それなら良かった、…ありがとう。
(相手がいつも通りの様子で待っていたため走って此処に来てくれていた事は知らず、あまり待たせなくて済んだのなら良かったと微笑んで。不意に相手に襟元を直されると、急いで着た事で襟が曲がっていると聞き恥ずかしそうに笑って、直してくれた事に礼を述べて。相手の言葉に嬉しそうに頷くと手を取り、行きと同じように指を絡めて歩き出すも流石に日を跨いでいるため既に帰宅したか、店で楽しんでいる人が多いのだろう、行き交う人は繁華街とはいえ然程多くは無く。家へと向かって歩いていると以前相手と会っていたBarの辺りの道に差し掛かり、既に懐かしいと表情を綻ばせると相手に提案して。)
この辺り、最近来てなかったね。…一杯だけ飲んで帰る?
(一方で昔からクラウスがあのBarを気に入っていることを知っていたイザベラが、彼に会うべく身を潜めつつ辺りの様子を窺っていたのもBarの近くで。当てが外れたのか一向に会えずにいたものの、先日出会った焦茶の髪の長身のハンターと見覚えのあるブロンドの髪の2人が歩いてくるのが見えると、ようやく見つけたとばかりに笑みを浮かべて2人の前に姿を現して。)
──久しぶりね、クラウス。ハンターさんはこの間ぶり。
どういたしまして。あぁいいなそれ、たまには行くか。
(手を重ね指を絡めて歩き出せば夕方の思い出が頭に浮かび疲れが癒される。周りには人が少ないのと、酔っぱらいしかいないため自分たちが手を繋いで歩いているのはさほど気にならないのだろう。楽しく会話しながら歩いていればここに通いつめていたBarの近くの道で一杯だけ飲んで帰ろうかという提案に頷いた。懐かしいBarで飲むのは久しぶりで、たまにはいいと微笑んで足を向けていれば暗い路地裏から聞き覚えのある声がしてそちらを向く。先日、自分に絡んできた、相手を探している女吸血鬼。ずっと目を細め彼女を睨みつければ不機嫌そうに舌打ちをして)
・・・くそ、あんたのせいで最高の気分が最低になったわ。
──イザベラ、…本当に来てたのか。君に探される覚えは無いな、僕らはもう無関係だ。
(相手が同意してくれた事に嬉しそうにして、久し振りに懐かしいBarで相手と飲めると喜んだのも束の間。聞き覚えのある声と共に目の前に姿を現した彼女と視線が重なると、折角のデートが台無しだと溜め息を吐いて。彼女がこの街に居る限り逃げ切ることは出来ないだろうと思ってはいたが、何もこのタイミングで無くても良かったのに。何年かぶりの再会ではあったが特別な感情が湧く訳でもなく、寧ろ随分と前に別れた元恋人に探されるというのは可笑しなもので、相手に探される理由が分からないと肩を竦めて。)
ふふ、つれないわね。会いたかったっていう理由だけじゃ駄目なのかしら。
(どうやら昔の恋人は再会を喜んではくれないらしい。まぁそれもそのはず。自分から彼のことを捨てて違う恋人とこの街を出ていったのだからこんな対応になるのも理解出来る。それでも二組の目に睨まれて恐怖という感情はなく、逆に口に元に指を当ててくすくすと笑を零し、つれないわね、と零して)
それにしてもやっぱりハンターさん、クラウスと関係あったのね。ねぇクラウス、ハンターさんあなたとの関係私に隠して教えてくれなかったのよ、酷いと思わない?
(自分を睨みつけるハンターに視線を向けては目を細める。やはりこのハンターは彼のことを隠していた。あのピアスも彼と分け合ったのだろう。なぜ、そんなことをと考えながら先日会った時に彼のことを隠していたことを伝えて)
君に伝える必要が無かったからだよ。僕が誰とどう関係を持っていようと、君に探られる筋合いは無い。
(彼女が自分を探しているとわかった上で、相手は自分との関係について口を割らないでいてくれたのだと、彼女の言葉で自分を守ろうとしてくれた相手の優しさを知る。今や赤の他人である彼女に関係性を明かす必要もなければ、探られる理由もない。相手の判断は正しいと言いながら、万が一にも彼女が相手に危害を加える事がないように警戒心を露わにして。恋人との間に何かあったのだろうが、今の自分には関係のない事。自分の他にも元恋人は大勢いる筈で、そちらを当たって欲しいと告げて。彼女の望むような手助けは出来ないし、するつもりもない。自分の中で彼女は既に過去の記憶のひとつでしかないのだと言って。)
──イザベラ。何があってこの街に戻ってきたのかは知らないけど、当たるなら他を当たって欲しい。僕は君の役には立てない。昔のような関係に戻りたいと思った事も無い。
・・・そう、残念ね。私はあなたのことを想って探していたのよ。なのに人間と・・・ハンターと一緒だなんてあなたが悲しむだけよ。
(彼には何を言っても揺らがないのだろう。真正面から自分を見る目とチクチクと刺さる警戒心がそう訴えてきて機嫌が降下していく。きっと人の近くにいれば、ハンターの近くに散ればいつか吸血鬼の本能をさらけ出して殺されてしまうかもしれないのにと考えていれば、ふと、彼の本性をハンターに見せれば離れて行くかもしれない。ちょうど良く満月の近い日だ。にこ、と可愛らしい笑みを見せれば先程吸い殺したばかりの男の襟をつかみ2人の前へと放り出す)
ね、ほらクラウス・・・私と一緒に前と同じように暮らしましょう?人を吸い殺し、無惨に捨てる・・・それがあなただったじゃない。
──、!
(相手が知っている昔の自分は彼と共に生きると決めたその瞬間に捨てたのだと、相手に何を言われても彼と離れるつもりはないと、そう言い返そうとした言葉は不意に止まる。息の詰まるような濃い血の匂い、足元に投げ出された人間の身体、この状況は不味いと理解した時には背筋が粟立つような感覚と共に、強い渇きとそれを満たしたい衝動に襲われて。人を殺めることはもうしないと彼と約束したのだと、咄嗟に縋るように彼の手を握り締めたものの一瞬にして紅く染まった瞳は足元に倒れた男を捉えて離さず、血の流れる首筋に噛み付きたい衝動に駆られていて。本能のままに行動することをギリギリの理性だけで繋ぎ止めている状況で、呼吸が浅く乱れ。)
(二人の会話に入るものでは無いと口は閉じ、様子見していたがどうにも諦めが悪い彼女に眉を寄せる。ただでさえ今夜は満月の前、寝足りないのだと体調が万全でないことを教えてくれた日だというのに、とため息を零した。物のように投げ出された吸い殺された遺体。首から流れる血が相手の本能を呼んだのだろう、相手の目が赤く染まり、縋るように手を握る力が強くなる。きっとここで手を離してしまえばすぐにでも貪りつくだろうが、ギリギリで止まる相手を腕を引いて寄せると片手で抱き上げ、もう片方の手で相手の後頭部を自分の肩に押し付けるように撫で付けて。少しでも血の匂いを嗅がないよう、遺体を見ないようにし、我慢することのできた相手の頭を撫でながら優しい声で褒めて)
クラウス、偉い偉い。よく止まれたな。家帰ったら俺のをやるからもう少しだけ我慢してくれよ。
(本当なら今すぐここで殺してやりたい。人の恋人を誘惑するなど、相手の本能を呼び覚まして誘い出す彼女なんて最低を通り越して吐き気がする。それを飲み込みながら、相手を止める自分を睨みつけてくる彼女に嘲るように笑えば軽く首を傾げて問いかけて)
・・・にしても躾がなってねぇな。人のモノは取っちゃいけません、って習わなかったのか?
──…
(相手に引き寄せられ、肩に顔を押し付けた事で血の匂いは僅かに遮断されたものの一度湧き起こった衝動は直ぐに収まる事は無く、苦しそうに肩を震わせて。相手の咄嗟の行動と今夜が満月では無かった事とのお陰で辛うじて理性を完全に手放す事は無く、強い吸血衝動にじっと耐えていて。)
…あら、クラウスが貴方の物だなんて知らなかったわ。教えてくれなかったのは貴方でしょ?──それより、随分残酷なことをするのね。可哀想なクラウス…貴方のエゴが彼を苦しめているって気付かないの?
(此方を嘲笑うような言葉に、相手の物だなんて知らなかったと肩を竦めて見せつつシラを切り通し、彼を宥めるようにして抱き支えている相手に視線を向けると嫌悪感を露わにして。吸血鬼の本能を無理やり押さえつけることで彼を傷つけているのは相手だと責めるように言いながら相手を睨みつけ。)
白々しい・・・気づいてただろう?俺とこいつに関係があるだなんてことは。
(知らなかった、とシラを切る相手にため息を零す。自分の耳についているピアスでクラウスと関係を持っていることに気づいていたくせに、と吐き捨てれば睨みつける目と、責めるような言葉にふは、と笑って。確かに自分の行動は相手の苦痛を増長させるもので、労るならば吸血させるのが1番の手なのかもしれない。しかし、これまで罪を償いたいと、これ以上人を殺したくないと訴えて努力する相手を手助けしたいという気持ちも強く、それを尊重したいという気持ちの方が強かった。たとえそれが自分のエゴだと、残酷だと言われても自分が責められるだけならばいくらでも受け止められたのだ。)
俺のエゴ?まぁ確かにな。でも選んだのはこいつで、俺はそれを助けてるだけさ。
・・・それの何が悪い?
嘘よ、この人はそんな事に罪悪感を感じたりなんかしない。貴方も今に首を食い千切られるわよ。一度衝動に襲われたら渇きを満たす事しか考えられないの、目の前に餌をぶら下げられて耐えられるわけ無いわ。……ねぇ、クラウス。楽になりたいでしょう?
(相手を自己嫌悪に突き落とそうとしたのに、動揺する素振りすら見せず落ち着いた様子で言い返してくる相手に苛立ちが募り、徐々に余裕のない口調に変わって行き。何を言っても揺らがずお互いがお互いを絶対的に信頼しているように見えるこの二人の関係性が癪に触り、どうにかして彼を此方に引き戻したいという欲求が強くなっていく。血の匂いを嗅ぎ本能を引き出されている彼の忍耐も限界に近いだろう、相手も血の通った人間なのだから、今に自我を手離して顔を埋めている相手の首筋に噛み付くだろうと笑みを浮かべて。此方に背を向け顔を見ることもできない彼に声を掛けると、早く血を貪れば良いと優しい声色で誘導して。)
時間が流れれば人は変わる。それは吸血鬼だって同じことだろ。いつまでも過去のこいつに縋ってんじゃねぇよ。
(こちらを揺さぶる言葉に動揺することなく返してれば苛立ちを隠そうともせず過去の彼を引き合いに出してくる。いつまで過去の姿に縋るのか、とうに消えた幻影を取り戻そうする姿が滑稽に見えてきてくくっ、と笑みがこぼれてしまう。吸血鬼としての冷たい過去の相手を取り戻そうとする相手に、時間が経てば誰だって変わることが出来ること、いつまでも過去に縋ってないで諦めろ、と、睨みつけて)
…っ、今に後悔するわよ。幸せで居られると思わないで、貴方からクラウスを取り返すまで諦めないわ。
(嘲るように笑う相手の言葉に唇を噛みながら睨みつけ返すと、この場で彼を取り返すのは無理だと悟ったのか捨て台詞を吐いて。彼は理性を飛ばさないよう耐える事に精一杯で話を聞いてくれる様子は無いし、目の前の相手に今何を言っても感情を揺さぶる事が出来ない。時間の無駄だと、相手を睨みつけたままそう言っては絶命した男の身体はそのままに踵を返して。この街を大人しく出ていくつもりは無い、二人の絆を引き裂いて以前の彼を取り戻すと誓いながら路地の闇に紛れて。)
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