太宰治 2021-03-13 14:49:29 |
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あッ、いらっしゃいませ!社長宛のお客様でしたよね…?僕は、武装探偵社の中島敦です。はい、社長から話は聞いています。お客様は確か異能力を御持ちで、太宰さんにスカウトされて探偵社に来たとか。すぐに社長と太宰さんを御呼びしますので、少し座って御待ち下さいね。
( "客が来るから敦くんが接客して"。そう太宰さんに命令されたのは、ついさっきの事で。客人が尋ねてくる事は少し前から知っていたが、自分が接客するだなんて聞いてすらいない。話を聞くに、太宰さんや国木田さんと一緒に対応するのではなく一人で接客しなければならないのだ。そのお願いを快く受け入れる程、自分が強くなった覚えはない。戦闘する分には強いから武装探偵社に居れているのかも知れないが、自分が臆病なのは変わっていない。必死に首を左右に振って、必死に命令を拒否した。拒否をする自分の方をしっかりと見詰め、呆れたように肩を落とす太宰さん。すると、いきなりがっちりと力を籠めた手で自分の肩を掴んでくるのだ。真剣な目付きと、珍しくちゃんとした事で頼ってくる太宰さん。こんなシーン、もう二度と見れないだろう。少し迷いが出ている心の隙を埋めるように、太宰さんが口を開いた。"君しか頼れないんだよ、敦くん。今回来る人は異能力者でね、私がスカウトした。とても優しい人で、笑顔を絶やさない人だったよ。勿論だが、話はちゃーんと通じる人だ。敦くん、無理は言わないよ。私と皆がどうしても外せない用事で、君しか頼る人が居ない。頼めるね?"。首を小さく傾げる太宰さんの表情は真剣そのもので、断れる筈がない。こくり、なんて効果音が付きそうな勢いで首を縦に振る。すると、太宰さんの表情がいきなり柔らかくなりルンルンとスキップしながら立ち去ってしまった。あ、これ騙されたな。と、まんまと騙されて仕事を任されてしまったのだ。客が来る時間になる少し前に、綺麗に皆は用事で探偵社を立ち去る。太宰さんと社長は会議室で会議をしているが、国木田さんは予定ぴったりの時間に手帳を作っている会社へと向かい、乱歩さんはお菓子を買いに賢治くんと駄菓子屋へ、その他の皆さんはデパートに買い物に行ってしまったのである。何かが可笑しい。太宰さんは外せない用事と行ったが、手帳の会社に行く事や駄菓子屋さんに向かう事。ましてやデパートに行く事なんて、別に外せるのではないか。やはり騙されていた。まぁ、軽々しく嘘を吐かれて見抜けない自分がいけないのだろう。そう自分を納得させるように頭で連呼しているうちに、扉の方から声がする。女性の声だ。"やっほー…。太宰さんに呼ばれて来た、包帯の人……。居る?"。何とも言えない眠そうな、何処か気怠そうな表情の人。その声の主である女性の後ろには、此方を睨み付ける男の子の姿が。年齢は6歳近くと言った所か、弟さんだと思われる。何とも微笑ましい。にっこりと柔らかな笑みを浮かべると同時に、緊張していた気持ちが和らぎ近くの椅子へと指差しながら伝えるべき事を伝えて )
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