日常と非日常の狭間にて

えぇ、風邪は引かないですね
（自身が風邪を引くことを心配されるとクスッと小さく笑って。元々一人で生活していてその生活に慣れていたつもりだが、相手との生活は楽しくそれが日常になっていたのだなと感じて。「ではまた。おやすみなさい」と相手に小さく手を振ってしばしの別れを告げると駅へと向かって歩き始めて。駅へと向かいながら気が早いものの、相手の実家で四人集まっての月見に思いをはせ、きっと楽しいものになるだろうなと考えれば電車に乗ると行真へとお誘いメールを送信して。行真が今の自分の口調に慣れてしまわないようメールの文面は昔の自分の口調にすれば、今の自分と会った時の彼の反応を想像して思わず微笑みを浮かべて）

（/こちらこそお世話になっております！そうですね。私としてはやりたいことは出来たので、キリが良いところで翌日に切り替えて頂いても大丈夫ですよ！）

はい、おやすみなさい。
（挨拶を交わし、手を振る相手に自分も笑顔でひらひらと手を振って見送り。彼の姿が夜に紛れるように見えなくなると、周囲はしんと静まり返って相手が行ってしまったのだと実感する。数日ってどれくらいだろう、自分の出来次第なのかなと考えながら家の鍵を開けて中に入って行き）

（翌日。胸の高鳴りと不安の両方を抱きながら書斎に入ったのは陽が傾き、室内に橙色の光が射し込む夕方だった。しかし一時休憩で書斎から出て来るとすっかり日は落ちて、窓の外はぼんやりと青い。書斎にいると窓がないためか時間の感覚がやや曖昧になる。それでも夜永から言霊の使い方の他にも月見酒の誘いをしたり、両親の思い出話を聞いたりして新鮮な時間を過ごしていた。しかしふと夕食の準備をしようとキッチンへ行くと、いつの間にか相手の好きな和食で献立を考えており。お味噌汁とおすましどっちがいいかな、お腹空いてるかな、と彼に聞きに行こうとキッチンへ出たとき、普段とは違う家の間取りにハッとして。「あ、そっか…」今自分は実家にいることを自覚する。自分でも気付かないうちに相手と過ごす日々が当たり前になっていたんだと感じて小さく笑みを浮かべ。ご飯を食べ終えた後にでも連絡しようかなと考えて）

（ / ありがとうございます！お言葉に甘えて翌日に切り替えさせて頂きました！）

（翌日、昼過ぎに目を覚ましスマホをチェックすれば行真からメールが来ており内容を確認して。メールは昨夜送った集まりへのお誘いへの返信であり、用事と重ならければ積極的に参加したいと記載されていて現在時点での予定のある日時が書かれていて参加したいという意気込みが感じられて嬉しくなって。了承の旨を書いてメールを返信すれば相手にも行真から色よい返事をもらえたことや行真の予定と自分の予定を書いてメールを作成して。作成したメールを送ろうかと思ったものの、最近新しいバイトが入りシフトの組み直しだと店長が言っていたことと思い出して。新人は昨日からバイトだったはずなので今日のバイトで自分のシフトが変化していないか確認してから必要なら文面を修正してから送ろうと考えて。いつものように過ごして夕食の時間になれば相手の分も作ろうとしてしまい自分の分だけの材料に減らして寂しく思いながらも夕食を終えて。その後はいつもより少し早めに家を出てバイト先へと向かえばシフトを確認し、メールを修正して相手に送って。シフトを確認した時に気付いたが、偶然にも今夜のバイトは新人のバイトと2時間ほど勤務時間が重なっていて）

（/翌日への切り替えありがとうございます！）

（夕食を食べ終え、スマホを確認すると相手からメールが来ていてパッと表情が明るくなり。そして行真さんも参加出来るという旨の文面に良かったと微笑を零して。夜永は月見酒の日時はいつでも良いと言っていたため、2人の予定と合わせようとスマホのスケジュール帳を起動させて。さすがにそろそろ仕事に復帰しようと職場に相談しており、自分の出勤日等の予定を把握すればメールには《夜永も月見酒の提案にはとても喜んでおり、エネルギー源ではないがお酒も呑め、縁側での月見酒も出来るとのこと》《せっかくなのでお摘みを作ろうと考えていて。しかしお酒は好みがあると思うので各自好きな物を持ち寄ってはどうかなと提案》《最後に皆の都合の合いそうな日付を記載し、この日はどうかなと尋ねて》メールを送信し。こういう相談をしていると月見酒が更に楽しみになって機嫌良さそうに笑みを浮かべ。それから食器を洗い、お風呂も入り終わればもうそろそろ書斎へと戻る時刻に近付いて）

（深夜のコンビニバイトが終わりスマホをチェックすると相手からのメールを着信しており楽しみにしながら内容を確認して。内容を確認すればどう返すか考えながら帰宅して。帰宅して着替えたり寛げる状態になってからメールの返信内容を打ち込んでいき。夜永へのお礼を含めた月見酒の集まりであったため夜永が喜んでいるということを聞いて安心すると共に自分も楽しみで。摘まみについては自分も何か作っていこうと考え《自分も何か摘まめるものを作ろうと考えていること》《お酒の持ちよりについては同意》《月見酒の実行日について自分は問題ないこと》《行真に月見酒の日とお酒の持ちよりについて伝えておくということ》を記載して。時計を見ればそろそろ夜明けの時間帯で、相手へのメールは送信予約を12時に設定した後、行真にもメールを作成すれば用件だけを打ち込みさっさと送信して）

（翌日のお昼。言霊を使う練習をした反動で、身体に疲労感を覚えて昼食は手抜きご飯。野菜炒めとお米を食べ「作っただけわたし偉い」とポジティブな自賛をするが、当然ながら返って来る言葉はない。しんと静まり返る室内に何となく窓の外を見ると、空は青く澄み渡っていて。 " 上月さんは今寝てる時間かな " とそんなことを考える。昼食を摂り終え、届いていたメールの時刻に気遣いを感じ小さく笑みを浮かべながら確認すれば、返事は相手が起きているであろう夕暮れ時に送って。メールなら普段よりもちょっとだけ素直になれて）

メール内容：
こんばんは、上月さん。
実家にいるのに何だか落ち着きません。きっと静か過ぎるせいですね。そしてそれはきっとあなたが近くにいないせい。…なんてね。元々御守りを作るために自ら実家に残ったんです、上月さんのせいではありませんね。

月見酒の件、行真さんにも伝えてくれてありがとうございました。
上月さんの作るおつまみも楽しみです。おつまみは実家のキッチンを使って貰っても、お家から持って来て貰ってもいいのでその辺りはお任せするね。
今日、上月さんはお仕事かな？わたしは18時から書斎でお勉強です。頑張ります！

（昼過ぎに目を覚ましのんびりと過ごしていると陽が暮れてきた頃に相手からメールが届きすぐに確認して。メール内容に相手も寂しさを感じてくれているのだと感じて嬉しくなって。少し手間ではあるが、メールとして形に残るためこういうやり取りもいいなと考えれば文面を考えて打ち終わってから再読して送信して）

メール内容：
こんばんは、秋月さん。
俺の方も家が静かすぎて寂しさを感じています。一人で食べる食事も味気なく、秋月さんがいる生活がすっかり普通になっていたのだなと感じました。お守りは楽しみですが能力の練習をするのは大変だと思います。無理はしないように気を付けてくださいね。

いえいえ、せっかくなら人数が多い方が楽しいですからね。
行真も飲食出来るとのことなので人数にはカウントしておいてください。
分かりました。その辺りを考慮しながら摘まめるものを考えておきます。
今日も今日とてコンビニバイトです。書斎でのお勉強頑張ってください。俺は俺でバイトを頑張ってきます。

（その日の夜。書斎から出てリビングに来ると、机上に置かれたスマホの着信ランプが点滅していることに気付く。直ぐにパッとスマホを手に取って内容を確認すると、相手も自分と同じことを思ってくれているのだと分かって嬉しさに疲労も飛ぶようで。しかし時間帯的に相手は今仕事中、少し考えてメールを送りたいことも考えると寝る準備を済ませ、自室のベッドに潜り込んでからメールを打ち。彼の仕事が終わる明け方に送信予約をセットすれば、この日は就寝して）

メール内容：
わたしも上月さんと同じことを思います。
一人は慣れてると思ってたけど、実際は全然違ってたみたい。一人より上月さんと食べるご飯の方が美味しいし、見晴台から見た夜空も上月さんと見た方がずっと綺麗で楽しかったな。
労いの言葉もありがとうございます。

お摘みの件も了解しました。
一方、夜永さんは人間の食べ物は沢山は食べられないそうでお摘みは少しだけ、メインは絵の具を食べる、と仰っていました。絵の具を食べると色褪せず、毛並みも良くなるそうです笑　絵の具は此方で用意しておきますね。
今日もお仕事お疲れさまでした。お返事はいつでもいいしこちらは気にせず、ゆっくり休んでね。

（ / 度々失礼致します。この後は最終日までスキップしようか考えていますがいかがでしょうか…？勿論このまま継続して絡んで頂いても大丈夫です！）

（いつものように深夜のコンビニで勤務をしながらたまに来るお客に話しかけたりして過ごして。この時間、相手はすっかり夢の中なのだろうなと思いながら無理をしていないだろうかという心配もあって。様子を見に行きたい気持ちはあるものの心配のしすぎな気がして。力を使う練習が長引いた場合には様子を見に行こうと決めればカウンターへやってきたお客の対応を行って。そうして業務を終えればバックヤードでスマホの確認をし、相手からのメールに気づけば内容を読み昼頃に届くよう送信予約を行えば帰宅し就寝して）

メール内容：
秋月さんが同じように思ってくれていて嬉しいです。
通勤や帰宅時に星空を見上げ、一緒に見た見晴台からの景色を思い出します。あの時見た景色は本当に綺麗で、食べ物を摘まみながらゲームをしたことも凄く楽しかった。

絵画の怪異だからなのでしょうね、絵の具を食べるというのは。少し驚きましたが納得です。絵の具については了解です。絵の具の色によって味や触感など違うのか聞いてみたいところですね笑。
ありがとうございます。おやすみなさい。


（/お声がけありがとうございます。月見酒の集まりについての打ち合わせも行えましたし、最終日までスキップして大丈夫ですよ！）

（実家に残って4日目のお昼。縁側で庭を見ながらぼんやりとした表情で物思いに耽っていると、スマホの着信が鳴って内容を確認し。好意的な返事に胸が高鳴る一方、いずれはただ一緒にいるだけでは物足りなくなる予感がして。少しの間考えてから、自分も嬉しく思うこと、確かに夜永は味覚があるようなので絵の具の味や食感を楽しんでいてもおかしくないかもと冗談半分に打って、夕方頃にメールを送って）

（それから更に数日後。完成した御守りは各々アクセサリーになり、無事に作れたことに喜びと安堵を瞳に滲ませて。そして月長石をそっと手に取り部屋の蛍光灯に翳す。くるくると石を指先で回すとその仕上がりに満足そうに口角を上げて。改めて2つの石を並べ手を翳すと、御守りとしてのエネルギーを感じられ一つ頷いて。上品な深緑色の箱には行真さんのブレスレットを、夜空のような藍色の箱には上月さんのネックレスを入れて包装を。相手に御守りが完成したことを報告し、しかし今日はもう遅いため帰る日は折り返し連絡する旨を書いてメールを送信し）

（ / ありがとうございます！そして少し考えてみたのですが、もしこの後の展開で月見酒をするのであれば、このまま実家に上月さんと行真さんも合流して貰ってもいいかと思ったのですがいかがでしょうか。その前に2人の時間を取るなら、思いの他御守り完成まで時間が掛かった楓を心配して、上月さんが月見酒当日早めに来て様子を見に来て頂くのはどうかと考えています。
　もしくはこのまま上月さんの家に帰っても全然大丈夫です。それはそれでまったり出来ていいかと思いますのでやりやすい方で問題ありません…！）

（相手の居ない日常を数日過ごした後、やがて相手から御守りが完成したというメールをもらって。思っていたよりも完成までに時間が掛かっているなと感じていたため、知らせを受けて一安心して。帰る日取りについては了承したこと、月見酒を行う日は早めに実家へ向かう予定であることをメールに記載して送信して。
月見酒を行う当日、摘まみや飲むつもりの酒を準備すれば相手の作ってくれた御守りや月見酒を行うことを楽しみにしながら家を出て駅へと向かって）


（/こちらこそ時間経過の描写等ありがとうございます！
そうですね。このまま秋月さんの実家に合流するということで問題はありません。合流の仕方としてはご提案頂いた、上月が当日に早めに様子を見に来るという方にしようかと思っています。理由として御守り完成までに時間がかかって心配になったというのも良いと思いますが、準備を手伝うということや普段の自分を見せて行真を驚かせ、反応を秋月さんと楽しむためという理由も追加しようと考えています）

（集合時間より早めに来るという相手に了解と御礼を告げ、そして月見酒をする当日。プレゼントの御守りはテーブルの上に、お酒は既に冷蔵庫にいれて。キッチンでおつまみを作っていると、ふと顔を見上げて窓から日暮れの景色を眺めて。橙色の空の中に薄っすらとした白い月が目に入ると、前回一緒に彼と見た見晴台での景色が思い出される。あれから直接会うのは凡そ十日振りだろうか。御守りが完成した日は月見酒を行う日と近かったため結局戻らず実家に残ることを相手に伝えていて。連絡を取り合っていたとはいえ、その間も会いたいと思う気持ちは募るばかり。しかし相手を家で待っていると何だか落ち着かず、ちらちらと壁時計を気にしてしまって）

（ / こちらこそシーン切り替えありがとうございます！
当日早めに来る理由についても了解しました。準備を手伝って頂けると助かると思いますし、その場で行真さんの反応を見れるのも楽しみです！
そしてこれは此方の不手際で申し訳ないのですが、以前両親のことを話してから2人をくっつけたらどうかと提案致しましたが結局話せず終えてしまいすみません。そのため少しやり方を変えて、『好きだけど甘えたり欲は言わずただ一緒にいたいだけ』という無欲な心情を、上月さんとやり取りを重ねて変化させていこうと思っています。）

（日が暮れてすぐに家を出たおかげか人の通りが多く普段とは違う光景に新鮮さを覚えながら電車に乗って相手の実家まで向かって。雪夜見駅に到着すれば相手に教えてもらった道を進んで相手の実家まで向かい。メールでのやり取りはしていたものの実際に会うのは十日振りで、早く相手に会いたいと気持ちで。相手に会えば色々と話したいこともあるものの、月見酒のことも考えて話題を選ばないとなと考えれば小さく微笑んで。もちろん、行真や夜永と話すことも楽しみで。そんなことを考えていれば相手の実家へと到着しすれば玄関のチャイムを鳴らして）


（/ご両親についての話についてはお気になさらずです！むしろこちらも調べものをした時にご両親のことを聞かずすみませんでした。ご提案頂いた内容でのんびりとやっていきましょう）

（おつまみを作り終えた後、玄関のチャイムが鳴ってふと時計を確認すると相手が来る頃合いで。恐らく彼だろうと玄関扉を開けて「はーい」と顔を出せば、相手の姿が目に映り。十日は短いような長いような、しかし久しぶりに会った感覚がして思わず表情が緩んでしまって。「こんばんは」とひとまず挨拶をしつつ、少しの緊張と照れ臭さのようなものを感じて小さく笑みを浮かべると「手伝いに来てくれてありがとう。とりあえず入って入って、今おつまみ出来たとこなの」と玄関扉をもう少し大きく開けて相手を招き入れれば中に入って）

（ / いえ全然です、こちらこそ割とサクッと流して書いてしまいましたしお気になさらないで下さい…！むしろ情報量が多い中お付き合い頂きありがとうございました！
　諸々了解しました、此方のお返事は特に何か無ければお返し頂かずとも大丈夫です。）

こんばんは。こうして会うのは久しぶりですね
（チャイムを鳴らして少ししてから相手が出てくれば十日振りに見る相手の姿を見て嬉しそうに微笑んで。相手に促されるまま玄関をくぐりながら「いえ、少しでも早く秋月さんに会いたいという思いもありましたから。ではあとは縁側での準備などでしょうか？」とおつまみはもう出来ているのであれば他の準備はと考えて質問して。幸いにも今日は夜も晴の予報が出ており「今夜が楽しみですね」と相手についていきながら言って）

……――わたしも。あなたに会えなくて寂しかった。
（玄関の鍵を閉め中に入ると相手からさらりと会いたいという言葉が聞こえて心臓が跳ねる。心に響いて来る言葉に照れ笑いを浮かべながらぽつりと本音を告げ。相手がこの十日間どう過ごしていたのかも気になりつつも、続く質問にふと縁側に目を向けて。縁側は掃除はしてあるものの今は窓は閉めたまま、特にまだセッティングもしていない状態で。「うん、そうなの。おつまみ作って、後は掃除機掛けたくらいかな。――あ、持って来たもの冷蔵庫に入れて貰って大丈夫です」と一先ずキッチンの方へと足を運んで、相手は何を持って来たんだろうと興味津々に袋に視線を落とし）

そう思って頂けて嬉しいです
（相手から寂しかったと聞けば照れくささを感じながらも嬉しいという思いの方が強く笑顔で相手を見つめて。能力を使っての練習や御守り作りなど聞きたいことは色々あるが、それは月見酒が始まってからにしようと考えて。月見酒の準備がどれくらい進んでいるか、冷蔵庫の使用許可をもらえば「椅子なども用意した方がいいでしょうか」と尋ねて。冷蔵庫に入れておくため相手について行って。持ってきた袋の中には日本酒とタッパーが二つ入っており、袋を覗く相手に気が付けば「チーズ春巻きときゅうりの浅漬けです」とタッパーの中身を答えて）

（相手の言葉に顔を向けると嬉しそうな笑顔の彼と視線が重なり、惹かれるように思わず数秒黒い瞳を見つめ返して。しかし好意が相手に伝わってしまいそうな気がしてパッと視線を横に逸らせば「あ、えっと……」と口籠り、返事の代わりにこくんと一つ頷きを。そこでリビングの椅子とテーブルが目につくが、縁側で月見酒をするには些か大きいため「確か押入れに座椅子とローテーブルがあったかな。それにする？　それとも座布団を縁側に並べて食べる方がいいかな？」そして持って来た料理の品目を聞くと瞳に喜びが滲み「あ、いいねっ。わたしは鯛のカルパッチョと出汁巻き卵作ったの。みんなで食べるのが楽しみですね」袋を受け取り日本酒と料理を冷蔵庫に仕舞って）

（相手の反応を可愛らしいと思っていると座椅子とローテーブルの話になり「そうですね……まずは縁側に座布団を並べておいて、足りなそうなら座椅子とローテーブルも出すというのでどうでしょうか？座椅子とローテーブルはすぐに出せるように近くの部屋に置いておくと」と答えて。座布団だけで足りるとは思うものの、何か不便なことがあってはいけないからと準備しておくことを提案して。相手の用意したおつまみを聞けば「どちらも美味しそうですね。楽しみです」と答えながら袋を手渡しお礼を言って。「どこの押入れですか？」と座椅子やローテーブルがどこにあるか確認しようとして）

なるほど、備えあれば憂いなしですね。じゃああそこに立て掛けておきましょうか。みんな折り畳み式なので持ち運びやすいと思います。
（縁側に面している部屋は主にダイニングとリビングのため、キッチンのカウンターからダイニングの隅を指差し。そしておつまみを見た感想が聞こえると"ふふ"と嬉しげな笑い声を漏らし静かに冷蔵庫を閉めて。「全部和室の押入れに仕舞ってるの。こちらです」くるりと踵を返しキッチンからダイニングを通ると、和室の引き戸をスライドさせる。和室は家の構造上、縁側とは面していないため確かに直前に慌ただしくダイニングを通過して縁側まで運ぶよりは、念の為最初に出して置く方がスマートだろう。押入れを開ければ下段には手前に1m程のダンボールに収納されたテーブル、その奥には一つ一つビニール袋に入った座椅子、そして座布団。手前のテーブルから出そうとするが重く、ずるずると引き摺ってしまい）