少年D 2021-02-22 00:09:26 |
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>鬼灯 奏 (/>>22)
(準備は万端。残すは込めた力をバネにして飛び出すだけとなったがそれを引き止める様に一歩踏み出した彼女。視界の端で揺れる赤茶色の髪、巻き上がる土煙。表情にこそ笑みを浮かべているが突然距離を詰める様子が"行くな"の意だという事は明確であった。反射的に身体が強ばり、足にブレーキを掛けるようにして立ち止まった。更に紡がれた言葉達には思わず片眉を吊り上げる、口からは"アァ?"と声が漏れた。濁点の着いた濁った声は不機嫌さを隠すこともせず獣が唸る様なそんな音だった様に思う。込められた力を緩め乍、体制を起こして睨む様な鋭い視線を送る。あれをするなこれは危険だ、やれ協力だやれみんなでと口を酸っぱくして突っかかる幼馴染の姿が脳裏をちら付けば彼女を引き返す事はあまり賢い選択肢に思えなくなってきた。ならば彼女を同じ進行方向上に置き、お互いに邪魔をしない範囲で協力をする他ないのか一-それは、再度脳裏で作戦を組み立て始めた時だった。彼女の後ろに並ぶビルの隙間から不意を着いた様に仮想敵が飛び出してきた。それは一瞬の出来事で、此方に意識を遣る彼女が其れに気付くのは恐らく難しい。思えば地面を強く蹴り飛び出し、弾く様な叫び声を上げた)一一ッおいツノ!そこ退けッ!
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