めるてぃ。 2021-02-16 00:06:13 |
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-STORY-
_________春。
桜の花弁が新入生を歓迎するように舞い散る日、校門を潜る彼等の姿をぼんやりと見詰めながら"自分達も去年はあんな風だったのか"と巡る思考は皆同じで。
2年になってクラスも一新し、新たな顔触れが続々と教室に揃う中、とある6人の生徒が窓際の席に固まって談笑していた。
集まる女子の視線にふわり、と笑顔を向ける者。
同じく笑顔で手を振って見せる者。
対照的にぷいっと顔を背けてしまう者。
少し気まずそうに目を伏せる者。
視線など気にせずに騒ぎ続ける者。
興味が無いと言ったように視線を動かす者。
6人がそれぞれ違う「色」を発していて、反発するかのようで、それは上手い具合に中和して。
美しく光を、放っていた。
彼らがこうしてそれぞれの色を主張しても違和感ひとつ感じないのは__幼い頃から時を共にしているから、だろう。
だが、近頃彼らの間に紡がれた糸が、徐々に解れ始めていた。
理由はひとつ、
互いを想う気持ちが擦れ違い始めたから、である。
相手を想っている、恋焦がれているのに、相手が想いを注ぐのは別の友人で。
友情が壊れるのは怖い、けれど相手を自分のものにしたい、溢れる欲望が彼らの気持ちを揺らがせる。
__けれど、ただ一つ揺るがないのは、
彼らに繋がる糸は解れたとしても決して切れない、ということ__。
"幼馴染"という鎖で繋がった彼らの運命を決めるのは、この物語を紡ぐ貴方達。
さぁ、さぁ、______頁を捲って下さい。
口に含んだビターチョコレートが溶けてしまう前に。
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