宿命　／　非募集　

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……確かに。
（　なるほど、そもそも見せてもらえないのか。玲の妙な説得力に思わず納得してしまう。宿題を見せろと言われれば見せるのが当たり前になり過ぎて、断るという選択肢が頭から抜け落ちていた。こいつも意外と色々考えているんだな、と、少し感心する。『お前が甘やかすから鴫野が付け上がるんだ』と謂れのない説教を受けたこともあったけれど、俺が見せなかったところで玲が宿題をするかと言ったら恐らくしないだろう。じゃあいいや、と開き直ってしまうタイプだ、こいつは。『お前のせいで鴫野が高校に行けなかったらどうするんだ』とも言われたけれど、多分それは俺のせいじゃない。むしろ、宿題を見せている分、内申に貢献しているんじゃないだろうかとすら思う。大人はいつだって理不尽だ。まあ、元はと言えば玲のせいだけど。こいつの行いのとばっちりを受けるのはもう慣れっことはいえ、このまま良いように使われ続けるというのも何となく癪で、ちゃっかり次の予約まで入れていく背中に「肉まん」と単語で返す。人生はギブアンドテイク。何処かで見た一文を頭の中で唱えてみる。意味はよく知らない。玲がとっくに席に戻ってしまってから、ついでに席替えのまじないも聞いておけば良かったかな、と思う。そんなものがあるなら、俺も近くになりたい。窓と、それから教室後方に備え付けられたロッカーと。まあ、席替えは5時限目らしいから後でいいか。担任の話を適当に聞き流しながら、窓の外へと目を向けた。　）