宿命　／　非募集　

(　朝起きてから、寝癖も直さずに家を飛び出す。家から学校までのミニマラソン。後少しで予鈴が鳴るであろう時間。これは言わずもがな寝坊だ。もう恒例だから慣れっこだけれど。走りながら、ブレザーじゃなくて良かった、と少し思う。なぜならわざわざネクタイを結ぶ時間が短縮できるから。勿論憧れがないわけではないけれど、今は学ランであることが有り難い。"廊下を走るな"と書かれた注意書きを完全に無視して、すれ違う教師の視線も構わずに。チャイムの音が鳴り響く数秒前。教室に滑り込み、「ギリセーフ！」と幼馴染みに向かってVサインを掲げる。当然のように教師から「アウトに決まってるだろうが！」と注意を受けるが、そんなものはどこ吹く風。平然と自分の席に荷物を置いて、それから彼の机へと手を着く。いかにもわざとらしい素振りでねだってみるのも、またいつものことであると言えるだろう。願いを聞いてくれなかったのなら、放課後肉まんでも奢ってあげるつもりでいて　)
おはよ、斗真。なー、一限俺当たるんだけど、宿題やってねーんだよな。答え見してよ。