名無しさん 2021-01-12 19:16:08 |
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菫は、昔からおばの言っている言葉の意味が分からなかったが、それでも自分が悪いと言われていることだけははっきりと分かった。何が相手を怒らせてしまったのか、どこをどうやって間違えたのか、なぜ自分が悪者にされるのかは分からない。端から反論する術は持たず、分からないから憤怒する意気もない。そうして容赦なく研がれた悪意が、解釈の余地もなく刷り込まれていく。そう、私が悪い。食い締めていた唇は乾燥が酷くひび割れており、ピリッとした痛みを伴って鉄の錆びたような味が口に広がった。
タイヤが跡を引く音が遠ざかっていき、三月の青白く柔らかな日差しが、取り残されたかのようにぽつんと玄関先で佇む二人を照らしている。二人の間には白けたような沈黙が流れていた。それをどうこうするでもなく、菫は顔を俯かせ押し黙ったまま。むしろ、こんなことは慣れっこだとでも言うかのように微動だにしない。
「…………」
男性の悪態によってようやく沈黙が打ち破られ、次いで中へ入るよう促されると、菫は頼りない足取りで中へと進んだ。こちらを気遣うような男性の発言は耳に届いておらず、お邪魔しますの一言もなく玄関へ。潰れてしまったスニーカーの踵部分を擦り合わせ、もたつきながらも何とか片足ずつ脱いでいく。しかし脱ぎ捨てたスニーカーはそのまま、左の方は起き上がれない虫のように腹を見せているが見向きもしない。そして、そのまま奥へと続く部屋へは行かず、一、二歩進んだところで腰を下ろし膝を抱える形で座り込んだ。
(/PLについて、ありがとうございます。菫の置かれている状況を考えると言うのも憚られるのですが、「二次元の世界であれば……」のところ、本当だよなぁとクスッとしてしまいました。何だか奇妙な巡り合わせですが今後の展開が楽しみです。菫も自発的な言動は少なく、沈黙や簡易な単語での返答が多くなると思うのですが(防衛機制が働いている/学習の遅れがあるため)、進行の妨げにはならないよう努めますのでご容赦ください。その辺りは邦鷹さんとの関わりを通して変わっていければと考えています。ですが、もしこちらが受け身すぎるなどで背後様が負担に感じられるようであれば遠慮なく仰ってください!)
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