龍人族の青年 2021-01-04 08:55:51 |
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うん、うちに来なさい、そこならどれだけ見ても構わないよ
(きらきらと目を輝かせては、様々な角度から自分をまるで観察するように自分を見る彼を怒りもせず、それどころか微笑ましげに自分の周りをうろつく彼を眺めて。このまま彼を外に放るわけにもいかないし、かといって知り合いの家に突然預かってくれと放り込むのもあまりよろしくはないだろう、となると必然的に自分の家か。1人納得したようにこくん、と頷けば、彼も着いてきやすいような誘い文句をつけて、)
え、良い、んですか…?お邪魔、では…(相手の思考なんて気にしないままに相も変わらず遠慮無く相手の身体の不思議やどんな人物かという不思議、それらの解明をせんと視認していれば相手からの思いがけない提案に目を丸くし。流石に会って間もない相手の家に転がり込むのは如何なものか、なんて思うも相手の誘い文句はとても魅力的であり、少し不安げな言葉を紡ぐもその声色は嬉々としたもので)
だって、行く宛てないだろう?
(なぜ彼がそんなに申し訳なさげにするのか、理解に苦しむ。そもそも彼は行く宛てなどないはずだ、ならば自分の誘いに乗るのが理想だろう。す、と彼に向けて指輪をしている方の指を向け、)
いや、まぁ確かにそうなんですけど…(相手からの指摘は当然なもので、少しバツの悪そうにホホを掻く仕草をしながらポツリと呟いて。確かに行く宛もないしそれなら助けてくれたこの相手の家に転がり込む方が幾分かマシかもしれない、そんな結論を割と早めに頭の中で纏め上げれば「それじゃあ、不束者ですが宜しくお願いします」とペコリと頭を下げ相手の家に厄介になる旨を告げ)
どうぞ、ここ家なので
(そうと決まれば、にやりと怪しげに笑ったかと思えば彼を担いで空を飛んだのが数分前。すとん、と爽やかな草木の香りと、木漏れ日が漏れてさらさら光るような先程とは違う明るい森の中、その中にある大きなログハウスと煉瓦造りを足して2で割ったような、童話にある家の前に彼を下ろすと玄関を開け、)
わ、ぁ…(再び相手に担がれたかと思えば再びの空中飛行に改めての驚きながら到着したのは明るい森の中にある樹と煉瓦の美しく組み合わさったこれまた現実味のない家屋。やはりここは自分のいた世界ではないのだと改めて実感しながら感嘆の声を漏らしてはいつの間にか自分の足元に置いてある自分の鞄にも若干驚きつつそれを手に取り相手に促されるまま「お邪魔します…」と軽い会釈と共に家屋内へ足を踏み入れ)
ようこそ、迷子の人間よ
(彼が部屋に入れば、自分もその後に続いて。ドアを閉めた訳でもないのに自分が完全に部屋に入るとひとりでに扉がしまった、この家にはそういう魔法をかけてあるのだ。見た目からは分からないだだ広い部屋の中、柔らかく、高級そうなソファをばすりと叩けば、どうやら座れ、と促しているつもりのようで、)
っ…(異世界の家屋の中に初めて入る高揚感、偶然部屋の中を見回して視界の端に映り込み気付いたひとりでに閉まる自動ドアではない一般的なドア、そしてこのような家屋の主である相手そのどれもが興味をそそられるもので。そんな中で相手に見るからに高そうなソファーに座るよう促されているのに気付けば少し申し訳なさそうにしつつゆっくり座り)
…どこから来たの?
(温かい紅茶を淹れ、その中に木苺のジャムを溶かす。自分お気に入りのクッキーとその紅茶を片手に、彼が座るソファの前に置いてあるテーブルにそれらを載せて。特に意識した訳では無いが、彼の隣に座ればずい、と顔を覗き込み、)
っ…!ど、何処、って日本から…つっても分からない、ですよね?(ソファに腰を下ろし少ししてから鼻を擽る甘い香りに無意識に心が落ち着いてきて。そして目の前のテーブルに紅茶とクッキーが置かれたかと思えば顔を覗き込まれては、その美しい顔立ちの相手に思わず頬を僅かに赤らめつつふい、とそっぽを向きながらそう言葉を返して)
にほん…か、日本、名前だけ知ってますよ
(頬を僅かに赤らめた彼にまだまだ子供だな、なんて思いながら、彼の頬に指を沿わせて。ちょっとからかうつもりで、優しく優しく彼の頬を指で撫でる。日本、それはいつかどこかの書物で見たことがあった。といっても、本当に名前だけしか知らなくて。どうすることもできないと悟れば「災難、だね」なんて一言、)
っ…(相手の指が頬を撫でてくるその感覚にビクッと肩が跳ねより一層頬の赤らみが増したような感覚を覚えて。そんな時に名前だけは知ってる、という相手の言葉に何か情報を知ってるのか、なんて考えるも続けて言われた災難という言葉に落胆し。日本へ、現実世界に帰る術がない。それを理解するのには充分すぎてしまうその一言にこれからどうしよう、なんて頭を悩ませ)
そう悩まないで、俺が1から…教えてあげますからね
(目に見えての落胆。それはそうだろう、突然一人で異世界に飛ばされ、しかも帰る目処も立たないと来たのだから。彼とは対象的に、それが分かっていたかのような落ち着いた態度で彼ににこりと笑いかけ。紅茶飲んでてね、と告げればおもむろに立ち上がり、)
…ありがとう、ございます(右も左も、何もかもが分からない世界、そこから出る方法なんて当然思い当たらない。だからこそ、相手の提案はとても興味があり、それでいて心安らぐような、そんな感覚に少し落胆や不安の表情が和らぎながら感謝の言葉を述べ。そしてふと自分がまだ名乗ってないような気がしては「えと、俺…三河 玲雄(みかわ れお)って言います。玲雄の方が名前、なので玲雄って、呼んでください」と名乗り伝えて)
分かりました、レオ_すごくいい名前だね、
(彼の名前を復唱しては、はにかみながらそう褒めてやる。近くの棚から本を数冊取り出しては片脇に抱え、それらを彼の前にどさりと置き。”この中にこの世界のこと書いてあるから、読めます?”彼は日本という国から来たんだ、流通している文字がこちらと違っていても何ら不思議はない。紅茶を啜りながら思い出したかのように、)
俺はね、レイティって名前です、
……読めない、です…(相手から読むよう促された本を1つ手に取りパラリと開いて読んでみようとするも文字は上手く読み取れなくて。相手の言葉が分かり、自分の言葉が伝わってるのは恐らく対話専用で何かしらのスキル的なものがあってそれで翻訳がされているのだろう、なんて脳内で勝手に理解してれば「レイティ、さん…ですね」相手の自己紹介に相手の名前を呟くように復唱して)
読めるようにしますね、今から
(読めません、と予想通りの答えを返してきた彼ににっこり笑いかけ。この世界で、文字すら読めない、言葉も分からないじゃ生きていけない。ゆっくり彼の額に手を翳し、ぽそぽそ呪文を唱え終えれば手を下ろして、再び読めるかどうかを問いかける、)
っ…!(相手の紡ぐ言葉は全く理解が出来なかったものの、その言葉が終わった直後にはズキン、と頭が痛むような気がして一瞬目を閉じて。しかしすぐにその痛みもなくなり、ゆっくりと目を開いては読めるかと再び問われ、本を見やればそれに書かれている内容もしっかり読める、その事実に目を丸くしながら「読め、ます…!」と驚いてる様子で呟いて)
これで、ここでの意思疎通は困らない
(彼が元々わかっている言語はそのまま、こちらで流通しているものを彼の常識の中に組み込んだ。普段は使わないような高度な魔法。勿論上手くいくとわかっていて使ったわけだが、彼の反応がみたくてクスリと笑ってみせ、)
す、すごい…(この世界が自分の住んでいた世界と明らかに違う魔法。それのお陰なのだろう、この世界の常識までもが脳内にインプットされていたようであり、物の名前や為替についての知識を自分の脳内で復唱し。幸いにも大抵のものは呼び名が違うだけで元の世界にあったものが殆んどであり、為替も簡易的なイメージで成立したためそこまで苦労はなく。むしろその身で感じた魔法の存在の方も気になってしまい「あの、俺も魔法……使えますかね…?」と気になったことを問い掛け)
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