歪みの門 2020-12-28 21:27:02 |
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【霧の中】
(爆炎の向こう側、空虚なオデッサの戦場で鳴り響くは死神の哄笑――通じ得なかった意思と憎悪の交差は砲火の中へ消えていった筈だった。)
――私は…死に損なった訳か、お前たちも
―自分らも消し飛んだ筈だったんですがね中尉。
一体此処は…
(自爆して消し飛んだ筈の機体、何事も無かったかの様にその状態及び兵装の残弾が作戦開始前のままに“戻って”いる事、自爆して果てた筈の部下二名がやはり機体もそのままに生存していること…突然の濃霧の向こう側――晴れた先が整ったインフラがある幹線道路であると言う点―何もかもが悪い白昼夢だったのだと嘲られている様な奇妙な苛立ちを覚えながらも、アリーヌ・ネイズン中尉は―目下の厄介ごとに関しての解決を迫られる羽目になっていた。)
――周辺警戒、もっと見通しの良い場所を探すぞ。
―了解
―了解です。
(そうして霧の中、舗装された幹線道路を無限軌道で進む、3両の“MSもどき”そのサイズと剣呑な兵装からして隠密行動にはとても向いていない代物、陸戦強襲型ガンタンクは、周囲を警戒しつつ現在の状況の把握に努めていた。)
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