むしょうの関係

( 自身よりも少しばかり大きな体躯の相手が、此方の所作ひとつでこんなにも愛らしい反応を示してくれることに年甲斐もなく胸の昂りを感じざるを得なく、ふと感じた頭への感覚に気の抜けた笑みを小さく零し )タートルネックとかいう服、あれでいいじゃん。凩くんが着たらやらしい感じになりそうだけど。( だからこんなところに付けてやったのだと間接的に告げると顔を上げ、「なんなら、おじさんにも同じように困るようなことしたって構わんのだよ？」と自ら襟を少しずらして促してみせるも、「あ、付け方わかる？」などとおちょくるような余計な一言を添え )

やらしー想像すんのは、おっさんだけだろ？( 頭の中がいっぱいいっぱいになって甘く蕩けてどうにかなってしまいそうな雰囲気が、少しだけ和らいだことに安心している自分と、もう少しと望んでいる自分がいて。そんなこと相手にバレたら、からかわれるだけだと何とか心に秘めつつ、ぼんやりタートルネックを着た自分を想像したが、想像力が足りないのか不思議そうな声を漏らし )あ゛？そんくれぇ、できるわ( 安い挑発とわかっていても、乗らずにいられなかったのは少しでも自分と同じくらい戸惑えばいいという気持ちからで、身を乗り出し首筋へと唇を寄せ食み吸い付くと、首筋を辿って鎖骨まで複数個の証を付け始め、時折上目遣いに視線を上げ )

分かってないなァ凩くんは。( 何処か不服気に感じる相手の様子に意地悪く口角を上げると、なんの前触れもなく腰から脇下へかけて柔く撫で上げ、「こんな体にあんなタイトな服着せたらとんでもないでしょうよ」と告げて首をわざとらしく傾げてみせ )ん……、ッあ！？おいおい…こりゃあおじさんもお揃い必至じゃねェかよ( 精々付けられても一つや二つと予想していたにも関わらず、此方の反応を伺うような相手の視線に止める間もなく幾つも付けられてしまうと、先程相手に提案したような服を自分も着なくてはならない結果になってしまったことに口端を引き攣らせ )ていうか、随分手馴れたもんで…ちょっと妬いちゃう。

ん？っぅぁ…っ、じゃ、じゃあ、めちゃくちゃデケェ服着っから…！( 自分の想像力が足りないのだろうかと考えていたところで、不意打ちで身体の線をなぞる指先に思わず声を上げ。折角落ち着いたばかりの熱が帯びるように、耳まで紅く染まると必死といった様子で訴えてみて )っは、…ん。いいじゃねぇか、俺が選んでやっからよ( 複数個付けたことで満足そうに顔を上げては唇をちろりと軽く舐めては何処と無く嬉しそうな口振りで話し、続く言葉にキョトンとした表情をみせるもののすぐに小さく笑えば相手の首元へと両腕を回し抱きつくような体勢になり )飯沼さんの真似。上手くできて良かったわ。

ううん、それはそれで…( どちらに転んだとしても自分にとって相手が魅力的に見えることに変わりないと熟れた林檎のような相手の表情を見るなり目を細め、「ほんと、弱いねェ」と小さく零すとゆっくりと胸の上へ指先を這わせていき )なッ……あーっクソ………拗ね損じゃん…返せ。( やられたと腕の中で悔しそうにぐりぐりと額を相手の首筋に埋めれば無茶を吐き捨て、不貞腐れるようにして痕を付けるわけでもなく無意味に首へと口付けを何度も落として )

…飯沼さんのツボがわかんねぇ( 提案したのにも関わらず良い反応を示さないというわけではないが、少々呆れを含んだ声で呟き、指先が肌を辿っていく感覚に肩を震わせては「もう、わざとだろ…っ」反応せざるを得ない自分に対して恥ずかしく思っているのか、熱は引かないまませめてもの抵抗と言わんばかりに訴え )ふは。やられっぱなしじゃねぇ…っ擽ってぇって！( 相手の様子が嬉しくて可笑しくて声を上げて笑い声を漏らすも、何度となく吐息がかかるとすぐに笑いが引っ込み不満そうに訴えるも、抱きついたまま離れようとはせずにいて )

分かんなくていいよ。勝手に好きになってるだけだ。( 困らせるような事ばかりを言っているのだろう自覚はあるがそれは好き故だと惜しまず伝え、「こういうところも全部好きなんで」と熱そうな相手の頬へと手を移し、羞恥で震えていた声を塞ぐ様に口付けし )なに、そんなこと気にしてたの？( やられっぱなしと言う単語に首を傾げ、必然的に背の高い相手の顔を覗き込むようにして問いかけるとくつくつと喉奥で笑い )やっぱり可愛いなあ君は。肉食っぽいのに、反応が小動物みたいで…あ、いや、これは褒めてんだよ？( つまりは序盤で話していたギャップ萌えというものだと相手の腕の中でうんうんと頷いて )

…不意打ち、ずりぃ…っん( 予想外の言葉はあっという間に身体を硬直させ、言われて嫌なわけでもなければ事前に告げてくれと言いたいわけでもないのだが、せめてもの反抗とでも言えるような言葉を残し。唇を塞がれたことでそれ以上の言葉を紡げず目を伏せれば、此方から啄むように口付けを返し )うるせぇ…( 笑われると予想していたようで不満そうな声を漏らすも、何やら一人納得した姿に呆れたような雰囲気を醸し出し )飯沼さん、まだ名前教えてくんねぇの？( そういえば、と言った様子で一度腕を解き隣へと座り直せば不思議そうに首を傾げて )

っん、くく…お互い様( 反撃があると思っていなかった為ピクリと身体を固まらせたも小さく笑い、拗ねた様な口振りの相手が愛らしく無意識に頭を撫でるように手を乗っけて )あー…名前、ね。いやあ、教えようと思ってたんだけどさあ…凩くんの方から教えて欲しいってせがまれるまで待とうとか思ってたんだよね。( 乞う姿を見たかったと悪質な願望をさらけると「知りたくなった？」と気の抜けた声色で問いかけて )

…ふ、そうだなァ( 頭を撫でるような手は不満なものの嫌な気が起きなくお互い様という言葉に納得したのか楽しそうに笑い )！…騙された気分だ( 緩く首を傾げていたが、意味を理解すれば不満そうに訴え「知りてぇよ。好きな奴のことだからな」ひとつ頷いて素直に伝え「ほら、名前」距離を詰め促せばジト目で見詰めて )

( 人聞きが悪いと言いたげに、意地悪く微笑みかければ縮まった距離を此方からも埋めるように身を寄せ、耳元まで顔を近づけ )たけひと。飯沼岳人っての。( 小さく囁き、顔を少し離すと「タケちゃんとかって呼んでもいーのよ？｣とからかいを含めてにんまりと口角を上げ )…君の名前は教えてくれるのかな？

岳人…かっけぇな( 耳元で脳に響くかのように囁かれるような声に小さく肩を震わせるも、きちんと名前を覚えれば感想を漏らし )タケ？( 相手の言う通りに名を呼ぶのは何だか癪だったので少し悩むような素振りの後に敬称なしで呼んでは様子を伺い )まさき。…凩政樹だ( 名前を隠すわけでもなくゆっくりと名乗れば、名を教えただけだというのに妙にむず痒く恥ずかしさが込み上げてきたようで、ぎゅうと抱き着くと相手の首筋へと顔を埋め )

…そうか？名前褒められるなんてまあないから、おじさん真に受けちゃうよ？( 不意に放たれた言葉に照れた様子で一瞬、きょとりと間を空けると自身の後頭部を乱雑に掻きながらへらへらと笑みを浮かべる。最中、愛らしい反応を見せた相手に面を食らうと顔を隠してしまった相手の頭を宥めるように何度も上から下へ、掌で撫でることを繰り返し )政樹。…良い名前だな。( 相手の耳元へ顔を寄せ、控えめにそう告げると「なんで顔隠すの」などとわざと茶化しを入れ )

本音で言ってるから、素直に受け止めて調子に乗りゃいいだろ？( 少々甘えるような姿勢のまま心底不思議そうな声を出してしまうのは素で言っているからのようで。頭を撫でられる感覚に心地良さを覚えていたのだが、予想を裏切らない茶化しに小さく肩を震わせ。相手の首元へと腕を回し直し、少し身を離すことで顔を見せつつ視線をあげれば )タケさんにからかわれるって思ったから。…っつか、名前名乗んのが、恥ずかしいって初めて思った。（ 片手で頭をガリガリと掻きながら素直に感じたことを呟けば、相手も同じだろうかと視線を上げて ）

んん…参った。ホントに調子に乗る。( 顔を見えるようになった事で見えた愛らしい反応の追撃に二重の意味で調子に乗りそうだと背徳感すら感じ、相手の顔を再び伏せさせないように掬う様に口付けを交わし )恥ずかしかったって…改まって自己紹介ってのが恥ずかしかった？( ニヤつきを隠さず、近い距離のまま問いかけ )

返事が遅くなっちまって、申し訳ねぇ( 頭下げ )年末年始の私生活の忙しさがあって、漸く落ち着いた。まだお相手してくれるなら、相手してもらえると嬉しい( 様子を伺うように視線をあげ )

お久しぶりぃー( 頭わしわしと撫で )あけましておめでとさん。今年もよろしくな。…って言葉で、返事としては良いか？( へらり )こっちも忙しくて大分返事遅かったし…ごめんな。おじさんがルーズなのは知ってると思うから、気の向いた時に反応してくれるだけで十分よ。

久しぶり( 素直に撫で受け )あけましておめでと。ことよろ。ん、充分( 安心したように笑い )いいよ、俺の方が…とかいうのはうざってぇから、とりあえず…タケさん補充させて( 相手の背に腕を回しぎゅうと抱き締めれば、さり気なく首筋へと顔を埋めて )

うわあ、それおじさんも言やぁ良かった。ことよろ。若い感じあったのになぁ。( してやられたと言うように眉を顰め )おお、今年初甘え( 機嫌良く受け止めると相手の髪へ口付けを落とし )やけに素直だけど、そんなにおじさんのこと恋しかったの？

ん？別に若い感じしねえよ？( 何が、と言いたげに首を傾げていたものの意味を理解すれば楽しげに笑い声をあげながら見詰め )仕事忙しくて……恋しかったよ。悪ぃ？（ 常に素直だと言いたげな様子で答えると視線を向けては何か言いたげに、じっと見詰め ）