魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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あぁ分かってる!王として万人に、平等に、優しく守る…それが王たるお前なんだ、そうじゃなきゃお前じゃない。お前じゃないが……____
(今まで共に過ごしてきた時間で相手が民たる人間に優しくするのは十分に分かっていた。そんな面だって自分が惹かれたところ、相手の語る言葉に何一つおかしなことは無い。これまでの時間見つめてきた相手の象と何一つ矛盾はしない。それなのにいつもなら何も思わないそんな面が今はこの胸を不安で埋め尽くす。あの誠実な告白を聞いてしまったせいだ、きっとこれからもこいつはあらゆる人間に愛される。それは王になる相手にとって大切なもの、それ以前にきっとこいつにもともと備わっていた長所だ。それを批難するなんて、相手そのものを否定するのと同じなのに。相手が輝く王になって欲しい想いと自分だけの物にしたい独占欲、そのバランスが今は崩れてしまっている。こんな怒り方まるで子供だ、自分でもきちんと理論だてることができないのに言葉にして相手に伝えることなど不可能で、ただ不機嫌を撒き散らしているだけ。空気が重くなっていく、間違いなく自分のせいだ。勝手に相手が告白を受けるところを盗み聞きし、どうしようもない気持ちを抱えている。相手が何かを言いかけて言葉を止める、そして呼びかけられる。このまま言い合ってもどうしようもない、一呼吸おいて少しだけ冷静さを取り戻してから背けていた顔を戻して相手と視線を交える。だがその顔はまだ拗ねた子供のように苦々しくて)
…、王様としての俺は皆の物だけど、それ以外の常磐ソウゴは全部ゲイツの物だよ。 俺が特別扱いしたいのも色んな所にデートしに行きたいのもキスとかしたいのも全部ゲイツだけ。 …それにね、もしもゲイツが本当に俺を独り占めしてしまいたいと思ったなら何処かに駆け落ちしてもいいよ。
(いつもは理性的な相手が感情のまま言葉を吐く。こんな姿は初めて見るようで相当傷付けてしまったと思う一方でそれだけ自分を独占したいと思ってくれていると伝わってくる。こんな状況なのにそれを嬉しいと思ってしまうなんて本当の魔王みたいだ。名前を呼べば苦々しい表情ながらも此方を向いてくれた。少し目線を交わせてるだけの時間を持ってから話を再開する。さっき言った通り王様としての自分は相手に全てあげることは出来ない。だが、それ以外の自分に関しては全て相手の物だ。。好きという感情も何処かに行きたいという希望も今世や来世の人生までも相手に捧げても良いと思っている。この想いは嘘偽りない物だと伝わるように相手の頬に手を添えて、いつにない真剣な表情で伝える。そして一呼吸置いて新たな話題を切り出す。自分が自分である限りは王様の夢を諦めることは出来ない。だが、仮に相手が本当に独り占めにしたいと思って自分を何処かに連れ出したりするのなら、その手を振りほどくつもりはない。その事を話す頃にはいつもの緩い笑みが戻っていて真っ直ぐと相手を見つめながら想いを伝えて)
__お、まえ……俺は、この学校の連中…彼女に比べればお前と過ごした時間は少ない、生まれた時代も違う。だから、お前ともっと近くにいるためには……俺たちだけの世界に行ってしまう方がいいかもしれない。だが……そんなことできるわけないだろう。俺は……俺は、お前とお前の夢を守らなければならない男だ!
(手が頬に添えられる、じんわりとその温かさが伝わってきて歪んでいた顔は少しずつ解けていった。その状態で告げられる危険な誘惑、それこそ魔王がするそれの如く今現在の自分にとってこの上なく幸福で乱れた精神に寄り添う言葉だ。王を支える自分と恋人を独占したい自分、そのバランスが狂った今の状態では限りなく魅力的な言葉だった。知らない相手をもっと知るべく自分だけのものにしてしまう、きっと相手はそんな事だって許してくれるだろう。思わず相手の両腰に手を添えた、その体を逃がさないためにだ。だが添えられた手の温かさが乱れていた思考をゆっくり正していく。軽く息を吐いて自分が真に望むことに目を向ける。物理的に相手を近くに置いたって意味が無い、心が互いを向き合っていないと意味が無いのだ。そして2人の夢は自らの望みと世界も救う道へ繋がる、そこから外れるわけにはいかない。ようやく胸のつっかえが取れて自らの意思で動き出す。自分は相手を守り支える側近で、そして恋人だ。王は皆のものであっても常磐ソウゴは自分だけのもの。たったひとり、特別な関係なのだ。)
……ふふ、それでこそゲイツって感じがする。分かってるよ、2人で夢を叶えるって約束だからね。…さっきのは半分冗談だけど、俺がどれくらい特別に思っているか分かってくれた?
(相手に触れた手から少しずつ表情が変わっていくのが分かる。それに続いて力強くお誘いを否定されてしまえば一瞬ばちりと瞬くも何とも相手らしい返答に思わず笑みが溢れる。2人の夢の為に自分を信じてくれて、一度決意を固めたら揺るがない。それが自分の惚れたこの男だ。好きになって良かったし、相手が自分を好きになってくれて良かったと改めて思う。本当に相手になら全てを独占されても良かったなんて暴走しがちな仄暗い感情を冗談だと茶化す。聡明な相手にならバレているかもしれないけど。自分が王様になって夢を叶える為の過程でこれからも相手を巻き込んでしまう事がきっとあるだろう。傷付けてしまったり、不安にさせてしまう事もあるかもしれない。そうだとしても自分の夢は諦めきれないし、大きくこの考えを変えることもなくて、その上で相手も側にいてくれなんて自分のエゴだ。それでも自分を守りたいと言ってくれる相手が嬉しかった。そんな相手が自分にとってどれだけ大切かと伝えたくて頬を撫でてから手を降ろせば今一度確認する様に問い掛け)
……あぁ。お前は願えばそれを実現する男だ、そんな奴が自分はお前ものだと言ってくれるなら十分だ。____すまん、さっきお前が呼び出された時、実は着いていって2人の話を聞いていた。そこで……彼女がお前を想う気持ちがあまりに真っ直ぐで、よくお前のことをみていて……悔しかった。俺の知らないお前を知っていることも、俺以上にお前に近づこうとしていたことも。……俺はお前の1番傍に居たいのに
(頬を撫でる手が心地いい相手は有言実行の男だ、望むことを自らの手で掴み取る運命にある。そんな人間が自分と一緒に居たいと願ってくれているのならこの上なく幸福だ。同時にこちらが願えば2人きりの世界に閉じ込めてしまうこともできてしまう事実に邪な気持ちがぐらりと蠢きもしたが。相手の気持ちは伝ったが、こちらは言わなければならないことがある。相手へ一歩近づいてその背中に手を回した。周囲に人は山ほどいる、視線はステージに集まっているとはいえ普段の自分なら絶対にしない行為だ。だが今はこの距離で居たい、また気持ちが揺るがぬように、そして相手を決して離さないために、だ。一呼吸置いてから謝罪を切り出す。盗み聞きしたのは事実、本来彼女と相手との間だけの話なのだから真実を伝えておく意味も込めて相手には告白の現場に居合わせたことを伝えておきたかった。だがその謝罪のうちにまたあの光景が思い出される。相手の傍へ行くことを望む他人の存在、他の人間に自分の恋人を決して渡したくない独占欲と自分の方が相手を想っているはずだという嫉妬、胸に渦巻いた感情は相手を抱きしめる腕に伝わって、徐々に抱きしめる力が強くなっていき)
ん、あったかいね。……、そっか。こんな事思うのは本当は駄目かもしれないけと、ゲイツがヤキモチ妬いてくれてるのすっごく嬉しい。…過去はどうしようも出来ないけど、俺の今とそして未来で一番傍に居てくれるのはゲイツでしょ?…俺も傍に居るのはゲイツじゃないと嫌だ。
(更に相手との距離が近くなって腕の中に収まる。夜に近くなった気温では相手の体温も傍で感じる匂いも安心出来て自らも背中に腕を回す。周りの事など今はどうでもよかった。この温かさが相手にも伝わって少しでも不安が溶けて無くなれば良いのになと思う。また一呼吸置いて話が切り出される。告白の様子を見られていたと聞けば先程の不安げな態度も納得がいく。恋人が誰かに告白されるとこなんて見ていて良い物でもないだろう。自分が反対の立場ならと考えたら想像に難くない。盗み聞きされていた事に対しては嫌だとも思わなくて寧ろわざわざ申告して謝罪してくるのが相手らしいという感想の方が浮かぶ。続いて自分の心情を説明しようとしてくれながら強く抱き締められる。独占欲と嫉妬、決して綺麗とだけじゃ片付けられないそんな感情さえ自分に向けられた物だと思えば相手には申し訳ないが嬉しいという想いが上回ってしまう。それだけ自分のことを思ってくれている証拠なのだから。その事を素直に白状しながらもぽんぽんと背中を撫でる。安心させることが出来るような上手い言葉は浮かばないが、自分が一番傍にいて欲しいのはゲイツであることは変わらない。相手もずっと傍にいてくれると約束してくれた。ならばそれはもう決定事項だと断言するような口調で告げる。強調するように自分が望むのは相手だと子供みたいな言い方すれば今一度強く抱き着いて)
、…お、前な……これからの時間お前の1番傍に居るのは俺だ。今までお前を知れなかった分これからお前との時間を重ねていきたい……だから、今も、…今すぐにでも…お前のことが知りたい
(背中をあやす様に軽く叩かれる。しかし耳元で聞こえる相手の言葉はやはり自分の歪んで拗れ子供じみた感情を受け入れるもので胸の内がどろりと粘性の高いもので満たされていくようだ。嫉妬なんていう醜いものまでこいつは嬉しいと言う、理性や使命で正されていた思考がまた揺らぎ出した。常磐ソウゴが全て自分のものであるなら、相手を独占したい欲望も自分が誰よりも相手を愛しているはずだと他人を妬むことも受け入れられるなら、相手を支配して全てを自分の手中に収めたいだなんて歪んだ感情が疼く。だが相手はそれさえも、相手の願い全てを捨てさせ2人きりの世界に行くのも許してくれる。口では何とか相手の言葉に応えるように誠実な言葉を吐くが、体は制御が効かなくて相手から強く抱きしめられ子供じみた願いが発せられると最後のタガは外れてしまった。より強く抱きしめるために腕に力がこもる。きっと相手が痛みを感じてしまうだろうが、湧き上がってくる衝動を抑えることは出来ない。首元に顔を埋めると相手を喰らいたい現れか、無意識のうちその首筋に軽く噛み付いていて)
…うん。 ずっと傍にいて、俺の1番でいて。…ゲイツ?…っ、ん……
(いつもの調子に戻ったように見える相手に安堵する。自分は相手のモノで、相手は自分のモノ。結局は結ばれた日に語った物と変わらない結論だが、より強くそう思うようになった。これからどんなに魅力的だったり優れた人が現れようとも相手に代わるような人物はいないはずだ。外見とか能力とかそんな部分では測れない所で相手に惚れてしまっていると他の人に告白されて身に染みて感じる事が出来た。少し苦しいくらい強く抱きしめられているこの腕の中こそが自分のいるべき場所だ。くすくすと相手の耳元で笑いながらも今一度おまじないのように傍に居ることをお願いする。今まで生きてきた18年よりもこれから生きる年数の方がずっとずっと長い。今はお互い知らないことも多いだろうが、一緒にいて同じ時を歩むうちに色んな事を知って名実ともに1番になるはずだ。そんな幸せの中、更に抱きしめられる腕の力が強まれば流石に不思議に思って愛おしい相手の名前を呼ぶ。直後に顔が首元に寄り、首筋に歯を立てられると予想外のことにぴくりと身体が強ばる。欲のまま此方を喰らうような行為は多少の痛みを伴うものの求められていると感じる事が出来てゾクゾクと興奮が走る。無意識に顔を背けて相手が噛みやすいように首元さらけ出せば背中に回していた腕は制服をぎゅっと掴み大人しく身を預けていて)
…ソウゴ、……こっちだ
(タガが外れただでさえ理性が保てなくなっているのに、その口で名前を呼ばれるとさらに体は暴走を始める。すぐ側では後夜祭に熱中する生徒たちがいると言うのにそこから少し離れたこんな場所で恋人の首に噛み付くなんて、本来許されることじゃない。しかし今は相手を知りたくて欲しくてたまらない。こいつを1番思い愛しているのは他の誰でもない自分だと証明したい。こちらが噛み付いたのに応えるように柔らかな首筋の肉が晒される。こちらを煽る仕草に体が震えてしまいそうなほど劣情が一気にせり上がる。突発的に上がった熱を逃がすよう熱い息と共に相手の名を呼ぶ。ここでこのまま噛み付いてしまいたいが、その表情を誰かに見せることなんて許されない。それこそこんな常磐ソウゴは自分だけのものだ。一言だけ声をかけると相手の返事を待つことなくその腕を掴んで移動を始める。近場にある建物に目をつけると周囲の目を盗んでその中へと入る。扉に鍵がかかっていなかったのは幸運だった。そこは体育に使う用品をしまう倉庫のようで、鉄やら白線の独特な匂いが漂っている。無理やり引っ張っていた腕は掴んだまま、それをこちらに無理やり引き寄せるとまたその体を抱きしめる。再び腕の中に戻ってきた体、その体温にクラクラと脳を揺さぶられる。そして先程の続きと言わんばかりに首筋に再度顔を埋めると先程とは違う箇所に噛みついて)
…ん。 …ゲイツ、好きだよ世界で一番。…っ、俺の事、噛むの好き?
(首筋にまた一つ薄い跡が残る。ここは野外で生徒たちが少し目線を外せば見えてしまうような場所で行うには相応しくない行為。もしかしたら告白してくれた彼女もグラウンドに戻ってきてるかもしれないのにこの行為を止めようとは思わなかった。至近距離で呼ばれる名前は分かりやすい熱を孕んでいて、その声と吐息が思考を惑わしていく。その状態で腕を掴まれて引っ張られるとこくりと小さく頷いて相手の後ろを着いていく。このまま何処か知らない世界に連れて行かれてもいいかなとさえ思いながらもたどり着いたのは体育倉庫だ。ここなら後夜祭の終わりまでは滅多に人が寄り付くことはないだろう。誰かに見られてしまうからという最後の理性が途切れるのも時間の問題だ。相手も同じ状態なのかいつもよりも幾分強引に移動してきて、引っ張られると再び腕の中に収まる。密着した身体は2人きりの空間への予感に少し熱い気がした。此方からももっと相手に触れようと腰や背中に手をまわして抱き着く。どくどくとお互いの心音が聞こえてかかそうだ。少しそのままでいてから自分の1番傍に居たいと随分可愛らしい事を言ってくれた相手に改めて耳元で甘く囁く。心配しなくて大丈夫だと、そしてもっと自分を求めて欲しいという粘性の高い想いを密かに覗かせて。再び首筋に顔が埋められると先程の続きだと直ぐに分かって、抵抗せずに首筋を相手に晒け出す。予感通り首筋に噛みつかれると鋭い痛みに息が一瞬詰まって、ぴくりと身体が震える。だが直ぐにそれは治まって代わりに甘い痺れのようなものが広がる。相手にされていると思えばその痛みや痺れも嫌ではなくて、寧ろ癖になってしまいそうだ。そのまま大人しく身を預けながらも最近首筋に良く口付けや噛み跡を残すようになった相手に悪戯っぽく問い掛けて)
っ、……ソウゴ、…お前を少しでも取り込めるから、お前が許してくれるなら何度でもこうしたくなる……俺もお前が好きだ、世界の誰よりも……
(相手を求める欲深い感情は耳元で囁かれる甘い言葉でさらに煽られる。吹き飛ばされまいと必死にしがみついていた理性も簡単に取り払ってしまう程に相手の一言はこちらの思考をぐちゃぐちゃに掻き乱すのに十分だった。相手の腕が腰と背中に添えられる、そこから伝わる熱でゾクゾクと身体は疼いて、欲望のままに相手を手に入れることを望む。同じことを相手も望んでいるのだから余計に歯止めが効かない。気がついた時には甘噛みとは言い難い、相手の柔肌を傷つけるほど強くその首筋を噛んでしまった。跡が残る甘噛みと違い、血が滲むほどの明確な傷跡。しかしそれが鬱血痕よりも遥かに長く相手の体に刻まれる自分が愛した証だと思えば興奮は高まるばかりで、つくづく自分の愛は暴力的だと俯瞰で事を眺める自分が嘆いた。しかしそれで止まれるほど冷静な頭も身体も持ち合わせていない。相手に呼応するよう甘い言葉を囁く、しかし次にした行動はそれとは全く裏腹だ。相手の体を後ろに強く突き飛ばす。その体が突き飛ばされた先には体育用のマットが引かれていて、相手の体はその上に転がるだろう。まな板の上に転がる魚の如く。間髪入れずに倒れ込んだ相手の体に拘束するように馬乗りになると、そんな暴力的なことをしながら、片方の手を相手の片手と合わせて指を絡ませ繋いでしまい)
…ふふ、ゲイツって犬みたい。 俺も、噛まれるの嫌いじゃないよ。わっ!? …、…ゲイツ。
(欲を含んだ声で呼ばれる名前も回されたままの腕も痛む首筋にも相手の想いを感じる。単なる戯れの甘噛みとは違って思ったより深く歯が食い込んだ首筋には誰が見ても明確な傷跡が残った。未だずきずきと痺れが残る。だがそれさえも相手の愛故だと分かればつい口元が緩んで笑い声が洩れる。ひたすらに自分を求めて、好きだとアピールするように噛み付いてくるなんて以前の印象通り犬の様だと率直な感想が浮かぶ。こんな荒っぽい愛し方すら悦びを覚えてしまうのだがら随分と相手に惚れ込んで重症みたいだった。返ってきた甘い囁きにまた体温が高くなって、後ろ手に相手の髪を撫でて相手の行為を肯定する。そんな甘い時間だったからこそ相手に突き飛ばされるとは思わなかった。バランスを取る余裕もなく押された力のままにビックリしたような声を上げながら反射的に目を閉じて後ろに転がってしまう。マットのおかげが思ったより衝撃や痛みは無かったが、何が起こったか分からなくて瞼を開けばその隙に相手が自分の上に跨る。仄暗い密室の中、自分を見下ろす相手と目線が合う。自分よりも体格の良い相手が上に乗った状態ではちょっとやそっとじゃ逃げることなんて出来ないだろう。このまま首でも絞められたらあっさりと殺されてしまいそうだ。そんな状態でも不思議と恐怖なんて何一つ浮かばなくて繋がれた手を此方からも指を絡ませるように握りしめる。好きな人のやりたい事なら全部受け止めたい。どくどくと早くなっていく鼓動を感じつつうっとりと目を細めて愛おしい名前を呼んで)
俺を犬に例えて許されるのはお前だけだな。……そうやって俺になんでも許すから、お前を欲しい気持ちを抑えられなくなる……、ん……
(力任せに相手を倒して動けないよう跨っているというのに、相手の顔は惚けていて甘い声で名前を呼ばれる。自分の下で全てを受け入れる相手にまたゾクゾクと体が昂り震えるのが分かる。本当にこのままもっと酷いことをしたってこいつはこの誘うような笑みで許してくれてしまいそうだ。噛む以上のことをしてこいつに自分の跡を刻む、そんな暴力的な願望を何とか飲み込み胸の内に留めた。ゆっくりと繋いでいない手を相手の首元に伸ばす。ともすればそのまま首に手をかけてしまいそうな仕草だったが、その手が伸びた先はネクタイで、この学校指定のそれを解いて首から外してしまう。シャツだけになった胸板にゆっくり手のひらを押し当てると少しだけそこを圧迫した。肺から空気が出すぎないようにほんの軽く、そこを押す。同時に口からは体の中で蠢く深い願望が吐き出されていて、まるで相手に責任を擦り付けるようにしながらゆっくりと上体を倒した。片方の手は繋ぎ、片方の手は緩く胸を押さえたまま唇を重ねる。優しいそれではなく最初から舌を相手の口内にねじ込んでしまう、胸を押さえられ通常通りの酸素を確保できない恋人はさぞ息苦しかろう。それを分かっていながら蹂躙するようなキスを止めるつもりはなくて)
恋人特権って奴? …、それでゲイツが俺だけを見て、夢中になってくれるなら…んん、…っ、…は、……
(自分だけ、なんて魅力的な言葉だ。いつもは優しくて何かと気遣ってくれる相手がこうやって欲のままに行動している姿もきっと自分だけしか見れない物なのだろう。やり取りの口調こそいつもの様な掛け合いだが、二人の間に流れる空気感は違った物の様に感じられる。そんな恋人の手がゆっくりと首元に近付くと一瞬浮かんだ想像に思わず身構えてしまうが実際の目的はネクタイだったらしい。ネクタイと共に緊張解けると以前つけられた薄い跡と昼前の噛み跡、そして先程つけられた傷跡が残る首周りが露出する。学校という場では本来は隠すべきな秘密の物。遠くに聞こえる後夜祭のステージの音が余計に背徳感を煽る。そんな中で薄い胸板を軽く押されるとその分息が吐き出される。首を締められるよりも軽く、だけど確実に感じる圧迫感。同時に告げられる重たい感情が今は心地好く感じられる。こうやって相手の行為を全て受け止めるのだって優しいからだけじゃない。相手の欲や感情を独り占めして夢中にさせて自分から逃がさない為の打算的な行為だ。胸を押しながら近づいてくる顔に扇情的な微笑み見せながらも唇を重なった。スキンシップなんて可愛らしい言葉の似合わない恋人を求めるだけの口付け。此方からも舌を伸ばして応じながらも圧迫されいつもより容量の少ない肺では直ぐに息苦しくなった。足りない酸素を取り入れようとしても上から押さえつけられる様なキスでは上手く呼吸のタイミングが掴めなくて寧ろ声が洩れるだけだった。助けを求めるように繋いでない方の手でとんとんと相手の背中を叩く。だがそれも相手を突き放す為の様な本気の抵抗でも無くて、相手の下で注がれる欲に乱れるばかりで)
…ん、っ……は、……ぁ……こういうことだ。お前にとっての俺もそう、こういうことをして許されるのは恋人特権だ……俺を煽ったこと後悔するなよ
(相手の顔が脳裏から離れない。肺を圧迫して今まさに襲われようとしているのに、この恋人と来たら相変わらずこちらを誘う扇情的な笑みを浮かべておて、ギリギリで守らなければ行けない一線でさえ超えてしまいそうだ。相手を支配しようと蠢く舌に答えるよう相手の物が絡まる、生暖かいその感触に脳内の神経全てが組み敷く体を求めるよう命令を発していて正常な思考を狂わせる。明かりもない体育倉庫の暗がりのなか2人の吐息と口の端から時折漏れる水音だけが響いていた。胸を圧迫した体は予想通り直ぐに苦しげな声を上げ始める。しかしそれが深い口付けに混じってしまえば甘く喘いでいるようにしか聞こえなくてこの体を煽る材料にしかならなかった。頭では相手が息苦しいだろうと想像できるのに本能が体を支配して止められない。合図のように背を叩かれても暫く激しく深い口付けを続けた。しかし口から漏れ出す吐息がこれ以上はマズいといった荒さになったところで、ようやく口を離す。本能のまま口付けを交わしたせいか、口の端にはどちらのものとも分からない液体が付着し光っていて胸を抑えていた手の甲でそれを拭う。だがまだ足りない、もっと相手が欲しい。その欲望を隠さぬように欲深い言葉を吐きながら、また同じように胸板に手の平を押し当てる。しかし今度は先程よりもより強い力で、だ。呼吸の整わない相手の上に跨り見下ろしながら、苦しげな相手に興奮してしまっている自分に多少の後ろめたさを覚えながらも、その手は相手を求めるように胸板をゆっくりとさすっていて)
…ッ、…は、ぁ…はぁ…、そう、だね。 ……もう1回、…ンっ、…
(二人の漏れ出る声と水音が響いて酷く官能的な空間だ。別の生き物のように絡まる生暖かい舌に好き勝手に口内を荒らされる。まともに息をするのも許してくれないみたいで、苦しげに喘ぐ。風邪を引いたみたいに熱もった身体のせいか、酸素不足か、またその両方か。段々と思考が蕩けていって、まともに動こうとしてくれない。ただ目の前の相手に溺れるだけ。呼吸も出来なくて息苦しいはずなのに相手にされてるせいか気持ち良くて身体がバグってしまったみたいだ。だが、それも限界に近くなり意識が少し危うくなった所で漸く解放される。戦闘後みたいに胸が上下に動いて荒く息を繰り返す。相手よりも体力がないせいかへばってしまって呼吸を整えようとしながらぼんやりと潤んだ瞳で相手を見つめる。こんな事をされても許してしまうのは確かに恋人である相手だけだ。それどころかもっと求めて欲しいとさえ思い始めてくる。呼吸の間に何とか肯定の言葉を呟く。また手のひらが胸板の上に乗り力が込められる。その分息が吐き出されて次への予感に繋いだままの手をぎゅっと握りしめる。苦しいと分かっているのにそれが相手の欲だと思えば欲しくて堪らない。呼吸が若干落ち着いてくれば余計な悪戯心と対抗心が顔を覗かせる。かといって此方から動く元気もなくて、背中に触れていた手を動かして相手の制服のネクタイを掴む。制服デートしたこの格好だから出来ること。そのまま此方に引っ張って顔を近付けさせてから相手の言葉のお返しとばかりにお強請りの言葉を吐いて今度は此方から唇を重ねて)
っ、!……ソウゴ……ん、……っ、……
(下に組み敷く相手は荒く息をしていて跨っている足から激しく上下する肺の動きが伝わってくる。酸素を制限した自分に要因があると頭で分かっていても、相手がたった一度の口付けで目を潤ませ体を熱くし乱れた呼吸をして厭らしく乱れているようで、気持ちの昂りは留まることをしらない。それに伴ってこちらも体が熱くなっているのが分かる、鼓動は早く吐く息も熱い。自らの暴走を抑えるために呼吸をしていたのに、背中に回っていた手がネクタイを掴んで引き寄せられる。思わず目を見開いてしまった。息を詰まらせ苦しい思いをさせているのに「もう1回」と強請るなんて、自分はこいつにどこまで許されているのだろう。胸に幸福が満ちる、当時に嗜虐心が駆り立てられる。高揚と相まって頭がどうにかなってしまいそうだ。またひとつタガが外れる、繋いでいた手を離し相手の頭を固定するように押さえつけるとさらに逃げ場をなくして呼吸の余裕を奪ってしまった。胸においた手のひらは相変わらず強く圧をかけたまま、その状態で重なっただけだった口内に再び舌をねじ込むと、2人の唇をぴたりと重ね合わせる。口内を蹂躙しつつ、唇を食むように動かすが決して離しはしない。互いの舌が混ざり合う音を時折倉庫に響かせながら暴力的なキスを続け)
…、ん、んぁ……ふ…、げい、つ、…ン…
(お互いの吐息すら感じられるような至近距離で戦士として敵を何度も睨みつけてきたであろう瞳が見開かされる。そこに感じるのはどうしようも無い程の優越感と独占欲で、無意識に口の端が吊り上がる。取り繕う事の無い欲のままの愛を独り占め出来るなんてどんなに幸福なのだろうか。押さえつけられて十分に酸素が取り込めない肺に一秒でも長くキスが出来るように息を吸い込んでから唇を重ねる。馬乗りにされて、頭まで固定されて。張り付けにされた蝶の標本のように動けない状態で触れるだけだった唇の隙間に舌が侵入してくる。此方からも舌を絡めたり唇をなぞったりしてみるも口内までも支配し尽くそうとする動きに翻弄されてすっかり主導権は奪い取られてしまった。十分に呼吸が整わない状態で、更に肺を圧迫された状態では息苦しさを覚えるのも早い。酸素が足りないと危険信号を発する頭に熱と幸福感を注がれ、何もかも相手に塗り替えられていくような錯覚。生活を共にして同じシャンプーやボディーソープを使ってるはずなのに汗と混ざり合って自分とは違う匂いがする。相手特有の匂い。明光院ゲイツに愛されているのだと改めて認識して、深すぎる幸福感に溺れそうだった。残り僅かしかない酸素を使って苦しげな喘ぎの間に縋るように名を紡ぐ。苦しいのに幸せで、そんなちぐはぐした感覚に襲われながらも引き寄せたネクタイは手放さずにされるがまま受け止めて)
、…は、………好きだ、ソウゴ……ん、……欲張り過ぎだ
(相手の体を押さえつける両腕と重ね合わせている口の呼吸の仕方から、相手の苦しみがよく伝わってくる。酸素を欲して呼吸は短く体は痙攣する、それらが全てこちらが与えた刺激の反応だと思うと愛おしくて堪らない。おまけに未だこちらを引き寄せるネクタイは掴まれたままで、こんなにも乱暴な行為なのにそれさえ受け入れられてしまうと僅かに残っていた罪悪感まで溶けてしまいそうだ。本能的に空気を求めるようとしている舌さえ絡めとって愛してやるようにそこをなぞる。身体はもっと相手を追い詰め支配することを望んでいたが、そろそろ相手の体が持たない。キスに溺れると文学的な表現にあるが、このままではその言葉通りになってしまう。唇はゼロ距離のまま愛しいその名と愛の言葉を口にし最後に唇を優しく合わせたあと、漸く僅かに顔を離して呼吸を許す。胸板を押さえつけていた手を離すとネクタイを引っ張る手に添え緩めるように促した。これで酸素を取り込める状態になったはずだが頭はまだ冷静になりきれていなくて、本来ゆっくり呼吸をさせてやるべきなのにそれを邪魔するように耳元に口を寄せて口付けを落とす。深い口付けと呼吸困難で熱くなった柔肌に唇が触れるのが気持ち良くて耳の裏や耳たぶにまて何度もキスを落としていて)
…んん、…はぁ、…それは、お互い様でしょ。
(深くて長いキスは身も心も溶かしていく。 呼吸を求める舌同士が絡みつき、水音が立つ。相手のことしか考えられなくて、その口から自分の名と愛おしい言葉が紡がれると多幸感に包まれた。もう一度唇を重ねた後にお互いの息を感じる事が出来る程度にだけ離れると漸くまともに呼吸が許される。胸の圧迫も解かれるとネクタイから手を離し、足りない酸素を補おうと荒く呼吸を繰り返す。どちらのものか分からない程混ざり合った唾液をごくりと飲み込んでは愛おしい相手を見上げる。募った熱を直ぐに逃してしまうのも少し惜しい気がして、相手の背中に手を回して密着してちょっとでも冷ますのを遅らせようと模索する。その間にも熱く敏感な耳元にキスが落とされると擽ったくて身動ぎしながらも口元が緩む。相手を何処までも求めてしまうのはきっとお互い様だ。くすくす笑いながら余韻楽しんで)
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