魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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反応するお前が悪い。打ち上げか、告白大会にフォークダンスか、軟派な内容だが……最後の文化祭なら参加しておいた方がいいんじゃないか?せっかくなら俺もこの文化祭とやらを最後まで楽しんでみたいしな。
(こちらを攻めるような言い方をされても、さらりと相手へとまた責任転嫁をし返す。愛しい人がこちらに反応するのを悪く思うはずもない、もっと構いたくなってしまうのが心情というものだろう。実際何度囁いたってきっと相手は文句を言いながらも受け入れてくれるのがこいつだ。文句を脇目に耳朶にキスを落としておいた。こうやって軽く触れ合うのも2人だから許される時間なのだから。腕の中に相手を収めたまま後夜祭の説明を受ける。強烈に興味を引かれる内容ではないが、相手にとってもそして自分にとってもこれが文化祭に参加する最後のチャンス、特に相手にとっては長らく過ごしてきたこの学校で過ごす最後の文化祭となればなるべく多くの思い出を作って置いた方が良いだろう。2人で遠目に後夜祭を眺めるだけでも楽しそうだ。好奇心の塊である相手がそれを許すとは思えないが。問いかけに頷いて返事を返しながら、相手の意向を確認しようと目線をその顔へ向けて)
屁理屈じゃん、好きな人の声には反応しちゃうって。ゲイツがそう言うなら参加しよっかな。夜なら周りも暗くてあんま目立たないと思うからさ…一緒に踊ってくれる? 俺のナイト様
(仕掛けたのは相手のはずなのに責任転嫁されると再び文句を口にして。恋人に耳元で囁かれたら大抵の人は反応してしまう事だろう。拗ねた事を呟きながらも愛でる様に耳朶にキスを落とされるとそれだけで機嫌が良くなって許してしまうのだから我ながら相手に弱い気がする。てっきりそんな浮かれたことには興味が無いというかと思ったが一緒に過ごすイベントの1つとしては興味があるらしい。自分だってどうせなら文化祭を楽しみ尽くしたいという気持ちはある。相手と一緒なら尚更だ。あっさりと参加を決めれば、まだまだ今日は楽しめそうな予感に表情も緩む。後夜祭は文化祭が終わってから、つまり夕方から夜に掛けて行われる。日中よりも視界の悪い中では少し大胆なことをしても注目を浴びることもないだろう。腕の中でも少し身体を捻って相手の方に顔を向ければ少し仰々しい言い回しでダンスのお誘いをして)
そんなに拗ねるな。それに俺もお前の声には抗えない。な、……お前、それはどこぞの姫が言うようなセリフだろう!お前は王様だろうが!……まったく___よろこんで。
(口をとがらせてはいるものの相手はご機嫌な様子、宥めるようにお腹を摩ってやる。自分の想い人の声は自分が認識している以上にこの耳でその声を捉えようとしている気がする。今なら遠くでその声が聞こえようと相手のものだと分かる自信があった。そんなふうに最も求めている声が耳元で聞こえてしかも自分の名を呼ぶとなれば体が震えるのも当然だろう。そしてそんな相手は今腕の中に収まっている常磐ソウゴしかいない。そんな相手がこちらを振り返る。何事かと思えば仰々しくウォズとはまた違った芝居のようなセリフに目を見開いた。ナイトと呼ばれた気恥しさとダンスに誘われた嬉しさが入り交じって変に胸が跳ねる。渋滞した感情を払拭するため、両頬を掴んでそのくちをぶにゅと潰してやる。呆れたようにため息をつくもダンスに誘われたことは嬉しいのだ、それ手を繋いで校内を堂々と歩いた今となっては暗がりでダンスを踊るくらいならばできる。ここは相手にのってやるとしよう。頬を潰していた手を離すと相手の手を取り目線の高さまで持ち上げる。そして騎士が姫に行う誓いのキスの如くその手の甲に口付けを落として)
ほんと? なら後から試してみようかな。 ふふ、王様を守るナイトだっているはずでしょ?だからこれで合ってるよ。…っ、本当にナイト様みたい。じゃあ宜しくね、ゲイツ。……あ、そろそろ時間だ
(自分の声には抗えないなんてなんとも魅力的な話だ。お互いがそれぞれの声を好んでいて紡がれる言葉に揺れ動かされている。そう思えば嬉しさの方が勝って後からでも検証してみようと何処か楽しげに企み口にして。芝居っぽい言い回しは成功したようで目を見開く相手を見れば思わず笑みが零れる。両頬を潰されるのも照れ隠しの癖だと分かっていれば可愛らしく思えて、されるがままにしておきながら相手を見つめて。自分に甘い相手ならその誘いも承諾してくれるだろうという自信はあった。だが、自分のノリに合わせて本物の騎士のように誓いのキスを手の甲に落とされるとは予想出来ずに思わずどきっと鼓動が跳ねる。こんな事をされるのなら姫などが騎士に惚れてしまう気持ちも今なら分かる気がする。自分から仕掛けておいて照れるのも情けなくて熱が上がる前に話をまとめれば頬にキスを返して名前呼び。また一つ店番を頑張る理由が出来た。ふと腕時計を見ればそろそろ良い時間で名残惜しいもののその事を相手にも伝えて)
…2人だけの時にしろよ。俺がお前の側近なら騎士というのもあながち間違……っ、まったく普通に頼めないのか。もうそんな時間か。頃合いを見て店には寄らせてもらう。お前の執事姿なんて一生見れないだろうからな。
(相手の声に抗えないのは事実だがそういうことになると大抵は理性を保てなくなる。不甲斐ない姿になるのは確実だ、そんな姿を見せられるのは相手しかいない。だがそれが嫌なわけではなくて、結局ボソリと呟いて釘を刺すのに留まった。向こうのノリに合わせて似合わぬことをしてみたが虚をつかれて動揺しているのが抱き締める腕からよく伝わる。さらに追い打ちをかけてやろうとするが、その前に頬に口付けられて今度はこっちが虚をつかれてしまった。らしくないことをしたのも相まって照れが湧き上がり、最後にはいつも通り文句を口にしていた。時計を見ればもうそろそろ良い時間だ。この温もりを手放すのは名残惜しいが、相手の新たな姿を見逃すわけには行かない。体に巻き付けていた手を解いてやると立ち上がるように合図と応援の意味を込めて背中を軽くトントンと叩き)
なら家に帰るまで御預けかな。 何となく今日はそういう気分だったんだよね。ふふ、たまには執事とかでカッコイイとこ見せないと。じゃあ、行ってきます
(本来ならこういう戯れは2人きりでするもの。ならば今よりもクジゴジ堂に戻ってからの方が良い。行為自体は否定されないことを良い事に楽しげに宣言をして。2人同じ制服を着て同級生として文化祭に参加するという前提だったのにいつものように王様や側近という会話をしていて、そのちぐはぐ感が何とも自分達らしいと思えた。他の人に言えば呆れられてしまうことも相手なら受け止めてくれるという信頼がある。その関係がとても心地好くてつい確かめたくなってしまうのだ。離れるのが寂しいと気持ちも勿論あったが背中を叩かれると相手をいかに驚かせるかの方に思考が傾く。調子の良いこと言いながら相手の足の間から抜け出せば相手の方に振り返り挨拶告げ、バタバタと自分の教室に向かい)
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おかえりなさいませ、お嬢様。 こちらにどうぞ
(店番として教室に戻ってみれば昼も少し過ぎた頃でゆっくりしたいと思った客が押し寄せたのか客で賑わっていて着替えると直ぐに接客に駆り出されて。試着の時よりも胸元のボタンを一つ上まで締めた燕尾服を着込み立案者の女子によって髪も多少セットもらえば自分で言うのもなんだかそれっぽい気がする。相手がどんな反応するか楽しみにしながらも接客していれば最初は照れ混じりだった台詞も随分とスラスラと言えるようになってきた。客足も比較的落ち着いてきたのを感じつつお客さんをまた席に案内して)
別にやっていいと言ったわけじゃ……おいっ!
(こちらが拒否しなかったのをいい事に未来の約束事のようにされてしまう、残念ながら制止するのは間に合わなかった。前までなら調子にのるな、と一言言ってやればこの流れを強制的に終わらせることができたのに、今や相手のペースに巻き込まれるどころかあんな勝手な行為さえ受け入れてしまっている。甘くなったものだと自信にため息をつきながら忙しなく屋上を出ていく相手に軽く手を振っておいた。1人になると暫く屋上の風にあたってからゆっくり立ち上がり文化祭の喧騒へと戻っていく。一人で制服を着て歩き回るのは多少居心地の悪さがあったが外部の人間も多いおかげでそこまで悪目立ちはしなかった。時間つぶしにダンスやら演奏やらが行われていたステージを遠目に眺める。だが心は恋人が開いているという喫茶店の方に向いていて、早くその姿を見たいと思いが募るばかりだった。)
………………
(店番の開始時間より少し間を置いてから喫茶店、一歩足を開いて驚きで目を見開いてしまった。女子はメイド、男子は執事の格好をした部屋の中はなかなかの異空間だ。大半の男客はメイドが目当て、逆に女客は執事が目当てといったところだろう。店全体がどことなく色めきだっていて、これを普通の喫茶店とは呼べなさそうだ。暫く店内を見回すが相手の姿は見つからない。時間を間違えたかと思ったが、今しがた席に客を案内し終えた執事の姿を見て心を掴まれる感覚に襲われる。そこに居たのはまさしく自分の恋人だ、髪型を変え燕尾服に身を包むとこうも印象が違うとは。馬子にも衣装だな、なんて言ってからかってやろうかと思っていたのに。普段とかけ離れた雰囲気に体を固めてしまうと、ただ相手の方を見ることしか出来ないでいて)
あ、ゲイ、っ、ごほん…。お帰りですか、ご主人様?
(席に案内しメニュー表の説明が終われば次の客の案内をと入口に視線を向けた所で相手が棒立ちになっていることに気付く。約束通り店を見に来てくれた恋人の存在の元へ直ぐに向かい、いつもの緩んだ表情で名前を呼ぼうとするもすんでのところで言葉を止め咳払いをして誤魔化す。今はせっかくの執事役なのだ、いつもと違う所を見せなければ。見知った人の前でいつもと違う自分を演じるのは気恥ずかしいものもあるが小さく一息をつけば改めて相手と視線を合わせる。すっかり固まってしまった様子は見ていて少し面白いがせっかくなら楽しんで貰いたい。執事らしくかしこまった言い方しながらも声を掛けて)
、ごしゅ……あ、あぁ………案内を、頼む…
(暫くすると向こうはこの存在に気づいたようだ。先程まで凛々しい振る舞いをしていたのにこちらを見つけた途端にそれが崩れていつもの緩い笑みが浮かぶと、あまりのギャップに胸が強く跳ねる。相手の変わりようも忙しいがそれをみたこちらの心臓も忙しない。ただでさえメイド喫茶や執事喫茶には慣れていない。いつもなら相手の見様見真似をすれば良いが今回に限っては相手を頼ることはできない。こういう場合はロールプレイを楽しむべきなのか、それとも普段通りであればいいのか。余計な思考が巡っていたせいで返事は鈍くなる。とりあえず調子を合わせておくことを選択すると少々堅苦しい口調で返事をし)
ではご案内させていただきますね。 …、ご主人様の席はこちらとなっております。 本日御奉仕させて頂く常磐です、ご注文があれば何なりとお申し付けください、ゲイツ様。
(気恥ずかしい気持ちも幾らかあるか狼狽えたような反応を見せる相手を見れば何だか楽しくなってきた。こうなればとことん執事らしいとこを見せようと変な方向に内心張り切り始めて。基本的には女性客は執事が男性客はメイドが接客を担当することになってはいたが、真っ先に自分が反応した為かクラスメイトも担当を譲ってくれたみたいだ。そのまま相手を連れて少し離れた所の席へと案内する。執事らしく席を引いて座って貰うことも忘れないでやっておく。 メニュー表をテーブルに差し出しながら簡単に自己紹介するが相手の前だとどうしても表情が緩みそうになる。何とか律して決められた台詞告げつつも悪戯っぽく名前を呼んでみて)
あ、ぁ……あーそうだな……それじゃあ、このクッキーと紅茶のセットをひとつ頼む。___普段とは別人だな。
(ご主人様だなんて一生呼ばれることのない呼び名、さらにそれを言うのが恋人なのだから普段とはかけ離れたすぎた状況に頭がクラクラしてきた。目の前の相手だって普段とは違う清潔感溢れる大人の雰囲気を醸し出していてこっちの方が照れてしまう。仰々しく引かれた席になんとも言えぬいたたまれなさを感じ座るも胸はソワソワと落ち着かない。オマケにその状態で名前を様付けで呼ばれるのだから胸も変に跳ねてしまう。とにかく今は冷静にならなければと一旦相手から目を逸らしてメニュー表を見る。内容はごく一般的でシンプルだ、メニューよりもメイドと執事に気合いを入れていたと聞いたがその通りのようだ。とりあえず手頃なものをと注文するためまた相手へ目線を向けるといつもとは違って煌めく姿がそこにある。観覧車で相手を見た時は荘厳な姿とさえ思ったが、それとはまた違った輝きをもつ様子に今度は耐えきれず小さく吹き出してしまう。髪型と衣装だけでこんなにも変わるものなのかと滅多に見られない姿をまじまじと上から下まで眺めていて)
承知致しました。 …へへ、自分でも鏡見てちょっとびっくりしたくらいだからね。…カッコイイ?
(あくまで役ではあるものの座った相手の隣に立って用件を待つなど滅多にないことだ。心惹かれる者に仕えるとはウォズも普段こんな気持ちなのだろうか。相手の視線がメニュー表に向かっていることをいい事にどうにか表情を繕おうと模索して。何とか凛々しい表情に戻してから注文を受け付けると裏で控えている給仕役の生徒に事前に決めてあるオーダーの合図を送り。再び相手の方を向けばまじまじと観察するように視線を向けられていて、照れが戻ってきそうだった。教室の中を一旦見渡すが特に今やる仕事がないみたいだ。ならもう少し相手の傍に居ても大丈夫だろうと他の生徒に背中を向けて少し近付く。ゆるゆるとした服を着る事が多いせいかピシッとしたこの服を着ると自分から見ても違った雰囲気を感じた。相手を驚かせる企みは成功だと口元にいつもの笑みを浮かべながらこっそり話しかけて。だがもう少しだけ自分の今の姿への評価が聞きたくてさらに踏み込んで問いかけ)
……本当は馬子にも衣装と言ってやるつもりだったが……よく似合ってる、格好良い。いつもより大人びて見えるな、今の格好なら俺より年上に見られるんじゃないか?
(客足が比較的落ち着いているおかげか相手はこちらの相手をし続けてもいいらしい、こんな珍しい格好をしている恋人を独占できることを内心喜びつつ観察を続ける。不意に執事の格好のままでいつもの緩い笑みが浮かぶとそのギャップにまた胸が揺さぶられた。先程とはうってかわって愛らしい笑みの顔にはちょっかいを掛けたくなる。当初予定していた台詞を言おうとするも、現実はあまりにかけ離れていて素直に執事姿を褒める。普段あんなに緩い服を着るから緩い性格や顔になるのではないだろうか。燕尾服のように締まる格好をしたらそれなりの正確になるかもしれない。しかしこの緩い笑みが失われるのはあまりにも惜しくて、結局は執事の格好をするという今の状態が1番良い気がする。いつもは背丈やこちらがいつも仏頂面をしている関係で本当は同い年ながらこちらの方が年上に見えているが、今ならその印象が逆転するかもしれない。上機嫌でどこか得意げな様子がおかしくて口元を緩ませながらその姿を眺めており)
やった、1週間準備した甲斐があったかも。言葉遣いとかもちょっと練習したからそれっぽかったでしょ。ゲイツよりも年上か…、…頼ってくれてもいいよ?
(この服装についてクラスメイトやお客さんにも色々と褒められたが、恋人からの褒め言葉はやっぱり特別な物で無邪気に喜びを現す。冷静沈着で凛々しい行動が求められる執事としては失格なような気もするが嬉しいのだから仕方ない。いつもと違う姿を見せて褒められただけでこの服装や店の内装も含めて準備してきた甲斐があるというものだ。たまにはこうやってちょっと変わった服を着るのも良いかもしれない。入店した時はこちらのいつもと違う言動も相まって棒立ちだった相手もこの姿も見慣れたのか口元を緩めていてすっかりいつもの2人の空気感だ。普段は自分が相手を振り回して、相手がそれに仕方ないとついてくる場面が多い。確かに相手の方が年上と見られることが多そうだ。それが今は逆転していると言われると優越感に似た物擽られて口角があがる。そのまま揶揄うように年上っぽい言葉口にして)
あぁ、いつものお前からは想像できない姿だ。お前にあんな丁寧な言葉遣いをされるのも今日だけだな。……調子に乗るな。頼れと言うが、つまりは執事ならどんな注文でも聞くわけか?
(クジゴジ堂で夕飯を食べる際に進捗状況は時折聞いていたがそれだけ時間をかけて準備した成果はバッチリと出ている。先程までの立ち振る舞いは執事として満点だ、中身が別人だったと言われても驚きはしないだろう。だがそれが一転して今や嬉しそうに笑みを浮かべている、こういう姿が自分よりも幼く見える原因であることを分かっていないらしい。だがそういうところを含め燕尾服で笑う相手は愛らしくて、どうにも弾けそうな感情を押さえつけるべく、笑みが深まっていたその頬を指でつついてやった。せっかく今は主人と執事の立場、早々にない立ち位置となったわけだ、これを楽しまないわけにはいかない。とりあえず言質を取っておこうと確認するように問いかけ反応を伺い)
たまにはいつもと違うカッコイイ所も見せないとね。確かにウォズの真似でもしない限りはゲイツに敬語を使う機会とかないかも。へ、…まあ、今日はゲイツの執事だからね。 …何かご所望ですか、ご主人様?
(ずっと準備していた執事姿を褒められると自分の思っている以上に嬉しく感じて得意げな顔を見せる。当初は最初から最後まであの凛々しい態度で接客してびっくりさせてから後から感想を聞こうと思っていたのに、実際に相手を目の前にするといつの間にかいつもの調子に戻ってしまっている。すっかりこの距離感の方が馴染んでしまってるらしい。さっきみたいに相手に敬語で話したり仕えるような仕草をする機会も特別な場を設けない限りはほとんど無いだろう。そういう意味でも今日はなかなか貴重な日かもしれない。緩んだ顔を指摘するように頬つつかれるのも楽しげに受け入れていれば予想もしなかった相手の言葉に一瞬キョトンとしてしまう。そのまま今は相手に仕える身の役だと肯定を口にした所で何となく相手の意図を察する。肝心の「注文」が何を指すかは分からずとも楽しげなロールプレイの予感に思わず食いつけば改めて執事の口調に戻って用件伺い)
…あいつの真似をして突然大きな声を出したりするなよ。それじゃあ、執事なら注文したクッキーを食べさせてもらおうか。俺の手は綺麗なままにしておきたいんでな。
(今の身なりでウォズのような言葉遣いや立ち居振る舞いをすれば大人びて格好よくもなるだろうが吸収するのはそこまででいい。前にウォズの真似をやってもらったこともあったがあれは2人きりだからこそできること。この場で、しかも執事喫茶なんて特殊な場であの祝辞を述べられれば目立つどころの話ではない。とはいえ相手がこちらに敬語を使うなんて一生ないくらいの機会だ。同時に主人面できるのも今日くらいのものだろう。いつも振り回されている分こっちが突拍子も無いことをしてやるかと悪い笑顔を浮かべた。そしてもうすぐ運ばれてくるであろうクッキーを絡めて「ご主人様の命令」を下す。思いつきの注文だが今思いつくなかではこれが一番理由のないワガママだ。すました顔を浮かべつつ執事である相手の方を見て反応を伺い)
そんな事しないって。今のゲイツに注目集めたくないし。っ、ふふ、ほんとにご主人様みたいな注文だね? ……じゃあご主人様、こちらを
(従者といった面では同じだがウォズは執事っていう感じはしない。あくまで立ち振る舞いが似ているという話のつもりだったが、相手が彼にどんな印象を抱いているのか垣間見えて少し面白い。あの行為も仲間内だけでやるから楽しめるものだ。それにいつも仏頂面の相手が今みたいに自分に見せる緩んだ表情をクラスメイトや女性客に見せたくなかった。だからこそ端っこの少し離れた席に案内したのだから目立ってしまったら意味が無い。そんな主人役の相手が下した命令に一瞬呆気にとられた。悪い笑みを浮かべていたから此方をもっと困らせるような内容かと思ったが、随分と可愛らしいワガママだ。言い方も気取った主っぽさが出ていて、思わず口元が緩みながらもそれを承諾する。丁度良いタイミングで紅茶とクッキーをメイドの子が運んできてくれた。親しいと言える程の友達がいない自分が特に仲睦まじく相手と会話をしていたことに彼女は少し驚いた様であったが、運んできてくれた礼を伝えれば感性が合う友達がいたんだと納得し、軽くからかって来ながらも持ち場に戻っていった。それなりに彼女が離れたことを見届ければ命令通りバニラとココアのアイスボックスクッキーを一枚手にとり、主の口元に差し出して)
なんだ独り占めのつもりか?ご主人様っていうのは基本傍若無人なものだろ。ん、……美味いな。……んん"、あと紅茶に砂糖を入れてくれ。少しの量でいいからな。
(あまり人目のつかない席に案内したのも他人の注目を集めないだめだろうか、ちらりと独占欲をのぞかせる相手に特別な扱いを受けている気になって心が満たされる。冗談めかした言い方で照れ隠しはしたが。自己鍛錬に重きをおく自分にとって他人を良いように使うなんて所業は縁遠い、誰かに自分中心の命令するだけでも慣れない、それ故に加減が分からなくて先程の命令でさえこちらにとっては充分理不尽なことを言ったつもりだった。すんなり受け入れられたことに機嫌を良くする。給仕係のメイドがいなくなればまた2人だけの世界だ、こんなロールプレイができるのも周りに人目が無いおかげだろう。差し出されたクッキーを口の中にいれる。その時にクッキーを持っていた指と食べに行った唇が触れてしまった。軽く目を見開くも反応するのもおかしい気がしてそのまま咀嚼する。取り繕うように咳払いをすると、次なる命令を下してお茶を濁そうとして)
そう、俺だけの独り占め。んー、確かに?でもこれなら何時でもやってあげるのに。…、ホントだ、美味しいね。 はーい、…これくらいで良かった?
(冗談めかして問われた言葉をさらりと肯定しては改めて独占欲露わにして。格好のせいかいつもは照れくさいキザったらしい言動も今ならできそうな気がする。自分が目指す王様としてはそのつもりはないが主人即ち上に立つものは己の目的の為に下の者を好きに使うのが多いのも事実。そう聞けばクッキーを食べさせて貰うというのも立派な命令かもしれない。だが、相手にこうやって食べさせてあげるのは恋人の自分としてもやりたい事の一つで、寧ろ得をしたとさえ思ってしまう。この程度なら主人と執事という立場じゃなくても幾らでもやるのにと呟き洩らして。差し出したクッキーを齧る際にふと相手の唇に指先が触れ、相手の目が軽く見開かれた。一瞬感じた柔らかな感覚と誤魔化すような咳払いに少し悪戯心芽生えると残ったクッキーを味見するという口実で指先を自らの唇に当て、間接的にキスするとこ見せるように感想呟き。次なる命令が下れば口元に笑みを浮かべたまま承って、砂糖をティースプーンで少なめの半量程度掬って紅茶に入れ、くるくると混ぜながらも好みの量かと問いかけ)
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