2人掛けの玉座 【〆】

あぁ、2人で体を動かす日を過ごすのも悪くない。が……多少は気合いを入れた方が良さそうだな。そうしたらいつかお前もそれなりの体になるだろ。それならスポーツウェアも必要だが……ここら辺が良さそうだな。
(またひとつ約束が増えたのは嬉しいことではあるが、こうも露骨に安心した顔を見せると少々悪戯をしたくなるもの。先程の言葉から若干手のひらを返して口の端をあげ笑っておく。実際はそこまで厳しくするつもりはないが甘やかすわけでもないのだ、多少なりとも覚悟は持たせて置いた方がいい。相手がもう少し筋肉が欲しいというなら尚更だ。そうと決まればスポーツウェアを2人して買う事になるのは当然だろう。言葉には出さないがいつかのストラップと同じようにお揃いの服が良いとこちらも考えて、カラーバリエーションの多い服が並んでいるところの前で立ち止まる。今まで何かとお互いの装甲の色に合わせたものに縁があったが果たして今回はどうするか。装甲の色に似た灰色地にピンクのライン、赤地に黄色のラインもあるが、他にも青に黄色のライン、白に緑のラインと様々な色の組み合わせがあり、それらを次々手にして悩んでおり)

お、お手柔らかに…。初めは筋肉痛で動けなくなっちゃう気がするし。 そうだね、色が沢山あるから良さそう。んー、どれがいいかな。あ、これとかちょっと王様っぽくない？
（安堵したのも束の間、少し厳しいことを言われると一瞬表情固まっては少し弱気になり。相手の性格上良くも悪くも手を抜いてくれそうにない。初めての試みに多少覚悟を決めると同時にきっと始めたばかりの時は筋肉痛に声を上げる未来も見えて苦笑いを零す。色々と心配ではあるが相手と共に過ごす時間が約束されるのは楽しみでもあった。相手の立ち止まったスポーツウェアの並びを横で同じように手を取る。特に何も言わないが自然と同じモノを買う流れになっている。またひとつお揃いの物が増えそうだ。一つ一つ服を確認しながらどれにするか悩み込む。ストラップや装甲に似た色も気になるが端の方にあった黒地の物が妙に気になってハンガーごと取り出してみる。黒に王冠に使われてそうな金色のラインが太めに入っていて大分派手なデザインだ。関係性も変わり王様を目指す身としてはお似合いだろうと考えれば相手に見せてみて）

その時はマッサージしてやる。それに筋肉痛は筋肉が育っている証拠だ、きちんとトレーニングできている証拠……っ！！だめだ、その色は絶対にダメだっ！それよりこっち、この白に金のラインの方が王らしいだろう、こっちにしろ！
(トレーニングに筋肉痛は付き物だがそれと上手く付き合っていくのもまたトレーニングの楽しみでもある。体が痛んだ時の対処法も心得ている、マッサージをすればついでに相手の体の状態も確認できて一石二鳥だろう。そんなことを考えながら相手が王様っぽいと言って選んでこちらへ見せてきた服のカラーリングをみれば、一瞬で眉間に皺がより険しい顔つきになる。まるでこの時代で初めて相手にあった時のような顔だ。その理由はこの服のカラーリング、黒地に金のラインとはかの魔王オーマジオウの装甲と同じ配色だ。まさかこんな所で相手の魔王の片鱗をみるとは、油断も隙もない。その魔王にしないのが自分の役目、相手の手の中にあるハンガーを素早く奪い取ると代わりの服を探す。相手のことだおそらく金色は王冠のつもり、ここは変えられない。となると黒の反対色、白地に金色のものがいいだろう。お目当てのカラーリングの服をハンガーごと取ると相手に突き出して)

ゲイツは色々知ってるんだね。 っ、だ、駄目なの？ カッコイイと思ったのになあ…。じゃあこれにしようかな、王様っぽいらしいし。 ゲイツは何色にする？
（トレーニング方法だけではなく筋肉痛の対処法まで知っているとは流石というべきか。それだけ鍛錬してきたのだろうということが伺える。その時は素直にマッサージを任せようと考えてその時に使うトレーニングウェアを見せたつもりだった。しかし思っていた反応とは真逆の険しい表情になったかと思えば頑固否定され、その圧にビックリして狼狽えてしまう。特に理由もなく無意識に良いと思って手に取ったカラーリングは相手にとっては駄目な色のようであっという間に奪い取られてしまった。素直な感想呟きながらも代わりに押し付けられた服を受け取る。自分の意向を汲んでくれたのか金色のラインはそのままだ。確かにこれも王という感じで悪くない。相手の選んでくれたこの服に決めれば次は相手の色だと服選びはじめて）

カッコイイか……つまりオーマジオウの装甲はお前の王のイメージそのものということだな。そっちの白にしておけ。俺のは、そうだな……この青地に黄色のラインか、赤地に金色のラインか……どちらがいいと思う？
(思わず額に手を当ててため息をつく。黒地に金色のカラーリングは確かに荘厳な雰囲気ではあるがあの魔王の姿を思えば禍々しくもなる。なんの説明もなしに服をひったくられて狼狽える相手に補足するよう魔王の名前を出しておいた。いくらなんでも気にしすぎだったろうかと思考が巡ってまた眉間の皺が深くなっていくが、とりあえず相手が納得しているのだから良しとしておくことにした。あのカラーリングの服で相手にうろつかれるのは心臓に悪い。考えを切り替えいざ自分の服を、と物色を始める。いつもと違うカラーリングで目に止まったふたつを取り出すと相手へと見せて)

オーマジオウ…。うん、こっちの方がロイヤルって気がするもんね。俺はこれが好きだな、お揃いの金色だしゲイツって感じがする
（そんなに間違えた選択だっただろうかと考えた所で思いもしない単語が出てきた。最低最悪の魔王であり未来の自分とされる相手の恨むべき敵。無意識に選んだ色がそれと同じと言われると何とも言えない気持ちになる。ともかくそれを連想させるような色の服を相手の前で着るのは確かにあまり良くないだろう。それに結果的に相手の選んでくれた色の方がこれから目指す未来のイメージとしては適している気がして気に入ったとアピールして。自分の物が決まれば次は相手の服だ。悩んだ末に見せられた2つ服はどちらもいつもの相手とは違う組み合わせだが何となく似合うような気がする。その中でも特に赤地に金色のラインの入っている方に惹かれると素直に其方を指さして。同じデザインのウェアに同色のラインなど正にお揃いと主張しているようだが基本的には室内で着ることになるから問題ないだろう。自分の手元にあるウェアを赤地の方の横に並べればどうかと視線向けて）

……俺の考えすぎかもしれんが、そっちの方がお前らしいと俺も思う。だから俺もお前が選んだ方にする。……まるで正月だな。
(過剰な反応をしすぎたかと少々気まずげな顔をするが、相手の表情を見る限りこの色で良いらしい。こっちの我儘を受け入れてくれたことに感謝しつつ、また嬉しく思いながら相手の指定したカラーの方だけを残し、もう片方はラックへと戻す。お揃いのデザインにラインまで同じとなると言い逃れができないお揃いデザインだが、一緒にトレーニングをするならそんな繋がりだってひとつのやる気になるだろう。金のラインだ、王とその従者に相応しい。が、ふたつのウェアが並べられそれを暫く眺めていると既視感を覚える。図らずしもふたつの服は紅白模様になり更には金色のライン。まるでお祝いごとの服装か下手すれば芸人のそれだと思えば一言呟いたあと、じわじわ面白くなってきて、それを誤魔化すために相手の方に視線をやり)

お互いの奴を選んだみたいになったね。…ほんとだ。おめでたい色だし新しい門出としてはアリじゃない？ ツクヨミとかウォズが見たらびっくりするかもしれないけど
（自分の選んだ方を残すと判断してくれると自然と笑顔が深まる結果的にはそれぞれ相手のウェアを選んであげたような形になった。何となくそれも恋人っぽいなという気がして並んだ2人のウェアを眺める。お互いの色が対称的だなとは自分でも思ったが正月というピタリとくる表現をされるとますますそう見えてきた。何だか面白く感じてくすくすと笑みが零れた。紅白に金というなかなか個性的な組み合わせになったがどちらかを変えようと微塵も思わず、寧ろ新しい関係性の2人にはピッタリにも思える。そんな前向きな事を告げながらも同居人や神出鬼没な預言者が見たらどんな反応をするかとちょっと気になってきて悪戯そうに話して）

あぁ、……この服も大事にしなければな。なるほど、新しい門出か。まぁ間違ってはいない。ツクヨミは呆れるだろうが……ウォズがどんな反応をするのか興味はあるな。お前をフォローするか俺に毒づくか。
(口に出すわけでもなくお揃いの服を選ぶことになり互いの色を選び合う、たった一着のスポーツウェアだが今こうやってやり取りを経て手にとった2枚を忘れることはないだろう。またひとつ相手との思い出が増えたと言うことだ。それがこんなおめでたい色で、相手が笑うのにつられてくつくつと笑ってしまう。お揃いの服をこんな華やかな色で揃えてきたのをみれば、ツクヨミが怪訝そうな顔をするのはすぐに目に浮かぶ。今度は自分が選ぶとも言い出しそうだ。預言者の方の反応は予想がつかなくてある意味みてみたい。あの顔が歪むのを想像するだけでまた笑いそうだ。2人のウェアも揃ったところでそろそろスポーツ店での買い物は終わりだ。両手に荷物を抱えこむと、レジに向かうよう相手に合図を送り)

そうだね、良い物が見つかって良かった。どうだろう、案外自分もお揃いが欲しいって言い出したりして。これは2人だけだから駄目だけどね、また別のにして貰わないと。…なんだかんだ沢山買ったね
（相手の言葉にこくりと頷き。自分1人なら手にも取らなかったであろうこのスポーツウェアは2人が出会ったからこそ買うことになったと言える。また1つ相手と関係のあるものを持つことになったのは嬉しくて素直な感想告げて。確かに預言者の方は自分がこの服を選んだセンスを褒めてくれそうでもあるし、ゲイツには自分と同じデザインであることに不機嫌になって似合わないとも言い出しそうだ。または同じ物を欲しがるかもと冗談半分に告げてみる。だがこの服は相手と自分の2人だけのお揃いでありたい。そんなワガママっぽいこと呟きつつもウォズとツクヨミとも仲間としてお揃いの物を持つのも悪くないかなと少し考えて。相手の合図を受ければレジに向かい、買うものをバーコードを通して貰う。相手の物だけ買うつもりが自分の物も買うことになってそこそこの量になった。この調子なら今日は沢山の物を買うことになりそうだと笑って）

…確かにあいつなら言い出しかねんな。まぁ4人で揃えるなら許してやらんでもない。…そうだな、最初の店でここまで大荷物になるのは予想外だったな。あとは本棚だけでも買って帰りたいんだが、持てそうか？
(我が魔王我が魔王と相手の周囲を彷徨く預言者は最初こそどこか一歩退いたところから物事を話す奴だったが、最近距離が近づいているように思う。駄々をこねる可能性はなくもない。だが相手と預言者2人だけでお揃い、なんて許せるはずもない。自分にとって預言者はレジスタンスの裏切り者、そうそう許せる人間じゃない。第一ソウゴの恋人は自分なのだ、お揃いの権利があるのは自分だけだろう。そんな独占欲を体のうちに渦巻かせていると、相手からも独占欲を漂わせる発言が聞こえてきて擽ったい気持ちになった。お互い相手を渡したくない気持ちは一緒かと思うと幸せが満ちる心地がする。とはいえ預言者を黙らせることも必要だろう、ツクヨミも拗ねるかもしれない。そうとなれば妥協点は全員一緒のもの、だ。これならば許容範囲だろう。会計も終わり袋詰めも終わると両手にそれらを抱えるダンベル2個に運動用のマット、それに服となればもうこちらの抱えられるいっぱいの量だ。あとついでに買っておきたいものは本棚だが、それは必然的に相手が持つことになる。確認の意味を込めて問いかけてみて)

俺も同じ事考えてた。今度は4人で買いに来るのもアリかもね。 それは大丈夫だけど、…本棚買うまで1個くらい持つよ。重たいでしょ？
（正に自分が考えた事をそのまま言われると一瞬ビックリした顔をした後、笑みが零れる。こうやってお互いの考えている事が分かるようになったり伝わったりするのもきっと関係が深まった事を表している様で嬉しい。一番好きで大切なのは相手というのは変わらないが二人も自分の大切な仲間だ。出来るなら4人共々仲良しで居て欲しいとも思う。立場上駄目と言われそうとも思ったが相手から許諾が貰えれば上機嫌に予定口にしたりして。会計も終わり改めて買った物を見る。本棚を見て持ち帰るのも勿論手伝うつもりだが相手だけ大荷物を持たせているのが気が引ける。相手の性格上重さを半分こはさせてくれ無さそうで、せめてと比較的軽そうなマットと服の入った袋を少し強引に奪い取って。そのまま本棚が売ってそうなインテリアコーナーに歩み進め）

、そうか。だが4人お揃いのものを持つのはウォズが面倒なことをした時だけだ。それかツクヨミが拗ねた時だな。タダでお前とお揃いにはさせん。あ……あぁ、感謝する。俺が買いたいのはそれほど大きくない、これくらいで十分だな。
(全く同じことを考えていたと言われると思わずこちらも目を丸くする。独占欲も同じだと思ったが、その折衷案まで同じとは。こうやって思考回路が合うのは珍しい気がして擽ったさに拍車がかかって必死に緩む口元を引き締める。それでも口角を上げるのは止められなかった。違う時代に違うように生まれ育った相手だが、こういった奇跡的な事が時々起こるからこそより愛おしくてより大切にしたいとおもう。口元を引き締めるついでに4人お揃いのものを買う条件を付け加えておいたが、それよりも意識は相手と思考までお揃いであったことに向いていた。上機嫌にスポーツ店を出ると荷物を不意打ちで奪われてしまう。だがそれもこちらを想う故の行動であるのは考えなくても分かるだろう。そこまで強引なことをしない相手が気付かぬうちに荷物を奪ったことに驚き、少し置いて今度は耐えきれずに微笑んだ。自分のものだから全部1人で抱えてしまおうと思っていたのに、あいつは意図も簡単にそれを奪っていく。それでこそソウゴだと胸にじんわり暖かいものを広めつつ、インテリアコーナーへと足を進める。買うものは既に粗方決めてある。背の低い小さめの本棚だ。本は溜め込む主義では無いため数十冊が入れば十分だろう。しばらく本棚のコーナーを眺めたあと、2弾積み程できるものを選び出し)

うん、分かった。二人に強請られるまでは秘密にしておこっか。せっかくのお揃いだもんね。 これくらい当然だって、寧ろもっと頼ってよ。 ほんとだ、ちっちゃいしこれなら普通に持てるね。色もこれでいい？
（同じ思考回路だと相手も気付いたのか自分と同じように口角上がるのを必死に引き締めようとするが我慢しきれずにぎこち無く緩んでしまっている姿に愛おしさが募る。きっと今まで同じような事があっても仏頂面に隠されてしまうことが多かったはずだ。それが今は口元が緩む方が勝っている。それだけ気を許してくれるんだと思う。付け加えられる条件にも独占欲を感じて素直にそれに従う事にした。二人だけのお揃いの魅力は何物にも代えがたい。殆ど強引に荷物を奪ってしまったがこちらの意図は伝わったらしい。こちらに何の相談も無しに全部荷物持ってしまった相手は今回のこと以外も何かと色々抱えてしまいがちな気がする。例え王様と側近だとしても相手にだけ負担をかけるのは嫌だし、それ以前に恋人であるのだから負担も全部半分こしたいと思う。当たり前の様に頼って欲しい。荷物を持ちながらもその事を真っ直ぐと伝えてみて。迷いなく本棚のコーナーに向かう相手に続きながらも一緒に商品を見て回る。てっきり立派な壁一面の本棚を想像していたのか実際に相手の選んだ物を見れば素直に感想呟き。これなら余裕で持てそうだとちょっと安堵しつつ問題ないかと尋ねて）

あぁ。なんでもお揃いにしても価値が下がる、あいつらには黙っておく……約束だ。そうだな、それじゃあ……色はその隣の物がいい。それを持ってくれないか？
(2人だけの秘密、そして約束。どこか甘美な雰囲気をも漂うその言葉がまたひとつ増えて子供のように浮かれてしまいそうだ。こんな2人だけの約束や思い出が積み重なって2人の時間は紡がれていく。いつか振り返った時にそれらどの時間もきっと幸せなものであるに違いない。どこか悪戯心も含むようなその言葉に同意する、4人なら、と断ったばかりだが願わくばこのままお揃いのものを持つのは2人だけで、とも思ってしまう。そうやって特別に思う相手だが、自分は少々過保護なようだと気付かされる。自分で買ったものだからと自分で全てを持ってしまったが、確かに相手を頼るという選択肢を持っていなかった。先程の黒と金のウェアもしかり、恋人になった相手を大切にしたい思いが拗れてしまっているような気がする。こうやって弱いものと扱うのは相手も不服だろう。第一こいつは自分より強い。だが如何せん他人に頼るということを簡単にできない性格、相手に言われるまで目の前の人間のことを頼っていないなど、そんな発想もなかった。しばしの間口ごもる。誰かを頼ることは誰かに甘えること、それは断じてすべきでは無いと思っていたが、恋人である相手はそんな自分でも受け入れてくれる気がする。心が決まると、相手の目の前にあるものの隣にある色違いの本棚が欲しいと願望を口にする。些細なことも隠さず心の声を相手に伝えると、改めて相手にお願いし)

俺とのお揃いは高くつくよ。…なんちゃって。 約束がいっぱいだね、今もこれからも。 …！オッケー、これね。 さくっと買っちゃおうか。
（確かに色々やっていたら価値が下がるというのは一理ある。元々本当に好きだったり大切な物だからこそお揃いにするのだろう。ちょっと王様っぽくキメてキザな冗談吐いてみるも直ぐに恥ずかしくなって誤魔化すように笑い。言葉にすると照れるが自分がお揃いにしたいと思うのは相手だけで安っぽく誰とでもしたいという訳では無い事は事実だ。そんな一つひとつは細かいことかもしれないが二人の間で出来た約束はかなりの数になっているはずだ。その約束を叶えた日にはきっとまた新しい約束が出来て未来へと繋がっていく。それはきっと楽しくて幸せなことだろうと微笑みが溢れる。だからこそ相手には自分を必要として欲しいし同時に頼って欲しいとも思う。昨夜ワガママを何でも聞いてくれるという話をしたが、自分だって出来ることなら相手の願望はなんでも叶えてあげたい。自らの発言の後、口ごもってしまった様子に少し恩着せがましかったかと反省しかけるが相手から願望が聞こえてくればぱあっと表情明るくし。慣れないながらも頼ってくれている態度が嬉しくて、特に難しいお願いでも何でもないのについテンション高く返事しては相手の希望する本棚を持ち上げて。）

恥ずかしがるなら言うなっ。約束するだけじゃなく、これからどんどん叶えてもいかなければな。っ、……それを買って今日は終わりだな。さすがにこれ以上は持ちきれん。
(慣れない台詞を言って自分で恥ずかしがっていては意味が無い。少し前なら本気で突っ込むところだが、今ならちょっととぼけた行動も愛らしいと思ってしまう。だがやることは同じだ、人差し指を立てるとその頬をぶにと突っついておく。2人の約束が重なってそれを2人で実現していくのもまた楽しみのひとつだ。未来を思わせる微笑みにこちらも口元が緩む。つくづくこいつといると、今とそして未来を思わされる。そして当然どの時間でも相手と一緒にいたいと願う自分がいた。そうやってこれからも長く一緒にいたい相手なのに、こんな不意打ちの笑顔にはやはり慣れない。明るくさせた顔を見て胸がドキリと弾む。もう緊張しなくてもいいはずなのに思わず目を逸らしてしまい、耳の端が赤いのがバレる前にとレジへと早足で進んで)

今なら王様っぽいこと言えるかなと思ったけど難しかった…。 そうだね、大忙しになるかも。でもゲイツとなら全部楽しい思い出になりそう！ 了解。家に帰って場所とかも決めないとね。
（若干背伸びをしてカッコイイ事を言いたくなったがやはりまだ早かったみたいだ。ちょっと照れくさそうにしながらも頬つつかれるのを受け入れる。もう少しだけ格好がつくようになってから再挑戦しようと心に決めて。約束は叶えてこそだ。現時点でも結んだ約束は幾つもあって全部叶えようと思えば時間も手間も大分掛かるだろう。だがずっと一緒にいるという約束がある限り全部叶えるのも不可能では無いだろう。具体的な形がない口約束だとしてもきっとゲイツなら叶えてくれるだろうという信頼もあった。こうやってお互い口元を緩ませて未来について語るのも悪くない時間のはずだ。今回の買い出しの主役から終わりが宣言されると軽く頷く。正直まだ色々と見て見たい所はあるがこの大荷物では大分疲れてしまいそうだ。その用事はまた今度に回すことにして、ひとまず本棚を購入することにして。目を反らしてレジに向かってしまった相手を追いかけては若干耳の端が赤くなってるのに気付くも言及しないことにして、そのままレジに通して貰い。家具を買ったら次は配置だろう。と言っても物自体の数は少なくて直ぐに決まりそうだが今日も部屋に入り浸るちょっとした理由が欲しくて期限良くそう宣言して）

お前に王らしい貫禄が出るにはあと10年は必要だな。……お前との約束や思い出なら、いくらあってもいい。まずは模様替えからだな、帰るぞ。
(相手に時折王たる荘厳さをみるのは事実だが、日頃からそんな重い雰囲気が出ているかと言われるとそうでも無い。この緩い雰囲気こそ今のソウゴではあるが、いつかもっと貫禄みたいなものがでるのだろうか。オーマジオウのような空気はごめんだが、少なくとも今の相手に決めゼリフは青臭い。10年の時が経った時も当然自分は隣にいるだろう、相手がどんな王になっているのか楽しみであると同時にこの緩い高校生の姿も残って置いて欲しいと願う自分もいる。せめて今の姿を覚えておくように頬はもっと突っついてやろうと心にきめておく。そしてその間にも様々な約束とそれを実現した時の喜びと瞬間瞬間の思い出が刻まれていく。それは先日の遊園地のような一大イベントもあるのだろうが、こうやって2人で買い物をする時でさえ刻まれるものだ。今両手に抱えるものを見る度に、きっとこの日のことを思い出す。いつか自分の身の回りにあるものが相手との思い出で満ち溢れる時もくるのだろう。まずはその第1歩だ。会計が終了すると家へ帰ろうと促す。当然家具の配置を決めるのは相手と一緒に、だ。もはや相手抜きでは自分の時間は考えられなかった。)

10年か、大分遠いな…でも案外あっという間だったりするのかな。うん、これからも沢山約束や思い出作っていこうね。はーい、どんな部屋になるかな。
（このセリフが似合うのはあと10年らしい。その年月は自分の生きてきた半分以上のことで随分と遠く感じられてぽつり呟きを零す。それよりも遠い未来からきた相手の前では過去のことだったかも知れないが自分にとってはどっちも未知の未来で何が起こるかは具体的には想像が出来ない。だけど相手がこの時代に来て今日まであっという間だったような気がする。こうやって一日一日が過ぎてしまえば10年後という遠い未来も直ぐにきてしまいそうだ。その時もきっと相手は隣にいて彼のいた時代とはまた違う未来を描いているのだろう。その過程で沢山の約束や思い出が出来ていけば良いと緩い笑みを向けて。会計も終われば本棚を抱え直す。随分と大荷物になってしまったが半分に分け合ったからそこまで負担でもない。返事をしてショッピングモールを後にする。当然のように模様替えも自分が参加することになっているようだ。どんな配置にするか色々想像しながら帰り道を歩けばクジゴジ堂に辿り着いて）