302号室 ／ 〆

おかえり。…あらまあ探してた？士郎さん、大体はベランダで一服してるからね。居ねえと思ったら覗いてみ。九割の確率でエンカウント出来ますよ（　二本目の煙草押し消し室内に足踏み入れ ／ 相手の挙動に仄かに破顔し　）

　探したよ、ベランダに居たのか。それは良い情報を聞いた、今度はベランダを覗いてみるよ…って、その格好！──やっぱり冷たいじゃないか。直ぐに温かい飲み物を淹れるから…珈琲でいい？(　ベランダから声が聞こえれば姿を捉え傍へ寄り ／ シャツだけの相手に驚き体温を確かめるように頬に触れては冷えた肌に眉下げ　)

おー…、珈琲で淹れてくれんの？勿論貰う。俺も随分役得だねえ。ただ喫煙してただけなのに、陽人直々の珈琲飲めちゃうんだもん（　頬に触れた温もりに心地良さ感じ得て僅かに瞼を落とし ／ 提案に喜々と頷き、どこか達観した言葉連ね　）

　ここは俺と士郎の家でもあるんだから寛いで良いに決まってるだろ。何かあれば色々するし、楽に過ごしてよ。──直ぐに淹れるから。 (　手を離し頭を一撫ですればキッチンへ行き珈琲を淹れる準備をし　)

んー…ふふ。陽人さんってば、俺に至れり尽くせりじゃん。そんじゃ、思いっ切り寛いじゃおっかな（　ソファーに腰落ち着かせては身を反転させ、キッチンで作業する相手穏和な眼差しで見守り ／ ぽつり吐露した言葉静かな部屋に溶けて　）陽人の事娶りてえなあ…。

　きっと仕事してる士郎もカッコいいんだろうけど…ここでは俺しか知らない士郎がいて、それは日常の事だから見れて触れられて幸せなんだ。士郎はドーンと構えていてよ。──士郎？最後に何か言った？……っと、お待たせ。 (　仕事や暮らしの想像をしながら愉しげに話し ／ 珈琲を淹れるのに集中していたのか聞き取れず首を傾げカップを２つテーブルに置けば　)

ドーンと構えられる度量はねえから、陽人と同じ歩幅と目線でいたいよ、士郎さん的にはね。ついでに言やあ、俺も素顔の陽人の日常に溶け込めて幸せ。…いいや、何でも。今夜も同居人が男前だねえって惚気。珈琲ありがとね（　微笑と共に目許伏せ沁々と応答 ／ 当たり障りの無い本心で誤魔化し、珈琲カップを冷えた掌で包み　）

　…ありがと。俺も士郎が感じる事、同じ景色を見れたら幸せだ。俺の日常なんて平々凡々で楽しくないのに…でも、こうして一緒に珈琲を飲める事が幸せなんだろうな。──男前って…ただ珈琲を淹れただけなのに？士郎の方が男前でしょ。 (　口角を上げ微笑みゆったりとした空気に和み ／ 何をしても様になる相手を珈琲を飲みながら見つめ　)

士郎さんはこの先も同じ景色を見て、珈琲一杯分の幸福を分け合いたいよ。…なあんて気障過ぎた？背格好は勿論だけど、珈琲を淹れるのが様になってんの。気付いてねえ？俺の知る限りじゃ一番男前だよ、贔屓目抜きでね（　珈琲一口飲み、ほうと息吐き ／ 眼鏡奥の双眸緩やかに細め　）

　いや、そんな事は無いけど…今日は雰囲気が甘ったるい感じがするのは気のせい？──それは店でやってるからとか…。でも士郎の中で一番かァ…何か照れくさいな。崩さないように男前でいなくちゃな。…あのさ、お願いあるんだけど。(　カップを置き、ふと感じた思いを述べ ／ 相手の言葉は本心だと感じ嬉しさで頬を緩ませれば少し言いにくそうに　)

偶々じゃねえの。俺はいつだって陽人には特別甘ったるく接してるつもりだけど。──ッふは、素で良いよ。崩さねえように頑張るお前も見たいけどね、…面白そうだし。ん？なあに（　冗談半分に片眉上げて ／ 珈琲カップ置けば相手の次ぐ言葉に耳傾け　）

　士郎って恋人いたりした？…士郎が甘すぎて珈琲まで甘い気がする。ン、ありがと。面白そうって…前髪上げてキメ顔したりとか？──今日は一緒に寝たいなと思って。もう眠いならいいんだけど。 (　鼻から抜ける珈琲の匂いさえ勘違いしそうになり ／ 控えめに言葉を紡ぎ　)

そりゃあいい大人なんで勿論。最近は色恋沙汰とは縁遠い社畜だけど。あは、なあにそれ。更に甘く出来るように試してみる？方向性が極端なんだよなあ陽人さんは。確かに面白そうだけど、それは俺がヤダ。…何となく（　理由述べようにも躊躇し曖昧に濁し　）何言われんのかとドッキドキだったんですけど～。──まだ眠くねえから平気だよ。それに、んな可愛いお誘い無碍には出来ねえしさあ。ベッドまでエスコートする？（　頬杖付き甘い笑み浮かべ訊ね　）

　そうだよな…一時でも士郎に愛されて羨ましいよ。更に甘くしたら溶けて無くなりそうなんだけど。…やめる…これこそ気障だよな、やったら士郎の中の俺が壊れそう。 (　何となく察し視線反らし　) ゴメン…次からはちゃんと言うよ。──エスコートって王子みたいだな、今夜は甘えてしてもらおうか。(　ホッと胸を撫で微笑み掛けては　)

そういう陽人こそ恋人は？そりゃあ困っちゃうね、折角淹れてくれた珈琲も勿体無え。よしよーし、良い子。変な虫追払う羽目になんのは、標的がお前じゃあ特に骨が折れそうだし（　片腕伸ばしわしゃりと頭一撫でし　）ん、存分に甘えてくれたまえ。──エスコートするって言ってもなあ…俺の部屋でいっか。はい手ぇ出して（　勝手知ったる場所指定し ／ 席から腰浮かせ相手の眼前に佇めば片手差し出し　）

　俺？…いた事はあるけど、苦い思い出しかないから。ン、珈琲が甘くなる程度が一番かも。…虫除けにさっきの練習しておくのあり？ (　撫でられると破顔させ呟き　) その言葉に二言はないね？──士郎の部屋…ここに来てから初めて入る。直ぐ其処だけどお願いします。 (　行く前から心臓が高鳴り ／ 相手の掌に手を乗せて　)

へえ…？それじゃあ深堀は無し。イケメンにはそれなりの苦労が付き物なんだねえ、つー事でこの話はお終い。毎度甘くしていったらブラックが飲めなくなりそうね。…逆に寄って来るんじゃねえの（　僅かに不安芽生え ／ 眉間に皺　）二言はねえよ。狡い話だけど寝落ちたら御免、とは先に言わせといて。奮発して評価の高いセミダブル買ったし、ギリ成人男性ふたりはいける、…部屋も多分綺麗だし。多分（　指絡め手を引いて自室前へ ／ 曖昧に呟けば扉押し開け　）さ、入って。面白いモンなんか無いけど俺が居りゃいいでしょ。

　…ありがと、同居人が優しくて良かった。二人して甘党になったりしてね。えっ…じゃあ、やめとく。不細工な顔作って歩く。 (　一度やってみようとするも手を止めて　) ──ン、遅くまでありがと。蹴って寝ちゃってもいいから。士郎に抱きつけばイケるでしょ。……お邪魔します。 (　同じく絡め部屋へと向かい ／ 辺りを見渡しながら中へ入り　) 急に一緒に寝たいって言った俺が悪いんだし…今夜はもう寝よう？

偶には良いんじゃない？この時期って人肌恋しくなるし、俺も今度陽人の部屋にお邪魔しちゃおっかな。うん、そろそろ寝ようかね。俺も適度に蹴らせて貰ったし、これに返事は不要だよ。おやすみ、陽人。今夜もありがとね（　眼鏡外しベッドサイドに置けばスペース空け寝転がり ／ 欠伸噛み殺しつつ手招いて　）

　今度は俺の部屋も案内するよ。俺の方こそ遅くまでありがと。良い夢を…お休み。(　布団の中へと入り眼鏡を外した相手に惚れそうになりながらも密着し眠りにつき　)