ドクターのアフターストーリー《〆》

何故そうなる……。 外科医の手術もあるのに、それから俺の病院に来るつもりか？
(気負わずに今まで通り過ごしてくれという意味合いで発した言葉にも関わらず違う方向に捉えた上で持ち前の即断即決でこちらの合意なく物事を進めていこうとする相手に思わず頭抱え。エグゼイド達はともかく彼の父である院長などが簡単に許可しない案件のはずであるが一度決意決めた相手が折れる様な未来想像出来ずにいるも確認の為に質問飛ばし。)

あぁ外科医としての仕事は継続して、CRとしての仕事をお前の所でやる。CRは今や九条貴利矢もパラドもいて人員は豊富だ。だから俺がそっちに行っても問題ない。……俺に今までの埋め合わせをさせてくれ。迷惑か……？
(ゲーム病の大流行は収まりCRはより根源の治療へと注力している。その段階になれば数は必要なく、永夢とパラドがいればCRは成り立つはずだ。病院と医院の行き来も問題ない。だが頭を抱える様子をみれば、こちらの希望を言っているだけにしか過ぎないという思考が頭をよぎる。ただもっと相手のことを知りたいと願う気持ちは確かで、祈るような気持ちで最後に問いかけて)

…別に、迷惑とは言ってない。 うちには大した物置いて無いから要るものは自分で持ってこい
(病院と医院の往復が大変だろや他のCRのメンバーにどう説明するんだなど出てくる言葉こそあれど迷惑という想いが一つ浮かばなければ他人を自分の内側に踏み込ませるのが怖い言い訳だと気付き。真摯に想いを伝える相手の視線受ければ跳ね除ける理由などなく、寧ろ相手とならもう少し深い付き合いをしてみたいと考えれば口調こそ素っ気ないものの承諾口にして。 色々考えすぎて相手の理論通り糖分が欲しくなれば今し方4等分された相手のシュークリームの一つに手を伸ばせば｢貰うぞ｣とだけ声掛けそのまま自らの口に放り込み)

、……感謝する。それじゃあ俺は一度病院に戻って永夢達に事情を説明して荷物を取ってくる。お前は医院で待っていてくれ。
(承諾と取れる言葉が相手の口から発せられると自分で質問しておきながら目を開いて瞬きをする。そして少々無遠慮にシュークリームがひとかけ取られると、それが一歩近づくことが許された証のようにも思えて思わずはにかんでしまった。善は急げ、親父にもCRのメンバーにも説明が必要だ。席を勢いよく立ち上がると相手とまだ手のつけていないケーキを残してその場から駆け出し病院に向かってしまって。)

おい、このケーキどうすんだっ。 …急ぎ過ぎだろ
(自分の答えに驚きながらも嬉しそうな表情見れば承諾して良かったとふと思いつつも勢い良く立ち上がったと思えば告げられる一方的な宣言に言葉挟む暇もないまま相手が店外へ向かえば背中に声掛けるも既に遅く、大量のケーキと共にその場に残され。 猪突猛進という言葉が似合うような素早さに愚痴と共にため息つくもその口角は上がったままで。手をつけた分のケーキだけは胃に収め、残りのケーキを店員に箱に詰めて貰えば医院に戻り、空っぽに近い冷蔵庫に箱入れ)

……邪魔するぞ。変わり映えしない場所だな。
(幾分か時間が経ったあと、ガラガラと大きめのスーツケースを手に花家ゲーム病クリニックを訪れ建物内へと入っていけば主治医の部屋に居座る相手を見つけて。かつて怪我をしてここに運ばれてきた時からなんら変わらない古くて少々薄暗いこの場所に、まさか住み込むことになるとは思わなかった。あの時はこの部屋をあまり観察する余裕もなかったが今は違う。物珍しげに周囲を見回し医院の環境を把握しようとしていて)

本当に来るとはな。 …そんなにジロジロ見てもあまり面白い物はねぇぞ。それと隣のこの部屋、使いたきゃ好きに使え
(医院で簡単な事務処理に取り組む途中、入口が開く音とスーツケース引き摺る音すれば作業の手止めて、訪問者の方を向き口から出任せでは無かったのかと口にして。必要な物が無造作に置いてあるだけの部屋を観察されるのは居心地が悪いのか面倒そうに口を挟みつつも立ち上がって真隣の簡単に清掃施した病室に案内すれば簡単に説明して)

俺は一度言ったことを変える人間じゃない。……本当になにもないな。お前、病院用のベッドで寝ているのか？
(せっかく今まで遠ざけてしまっていた人物の、そしてこの胸を揺らす人物の近くにいる機会を得たのだ、それを逃すほど馬鹿ではない。案内されるまま隣の部屋を覗くもそこにあるのは相手の部屋とおなじく質素な病室だ。豪華な部屋を期待していたわけではないが必要最低限のその空間には性格がよく現れている。部屋とはいえそこはただの病室、病人が寝るベッドと相手とを順番に見ながら、顔には信じられないといった色を滲ませつつ聞き)

…エグゼイド達にはなんて説明して来た？ だから言っただろ、不満なら自分で何とかしろ。 ああ、そのベットか診察台で寝ているが
(諦めるとは思わなかったもののここまで直ぐに行動力に移した相手が病院に戻ってエグゼイド達に説明したであろうここへ来る理由が気になれば問いかけ。ゲーム病治療を専門に扱う様になった現在、入院患者など殆ど居らず当初のままの病室に零される感想にニコが押し掛けて来た時もそんな事を言っていたとぼんやり思い出し。 身体を休める為の場所にそこまでの機能性を求めないのか簡素に質問に答えながらもわざわざその質問をしてきた意図とありえないものをみる視線に僅かに首傾げ)

特別なことは何も言っていない。無免許医の所の手伝いに住み込みで行くと言っただけだ。驚いてはいたが……止められはしなかった。むしろお前のことをみんな心配していたから丁度いいと言われた。さすがに診察台の上で寝ているような状況だとは思わなかったが……
(相手の質問の意図が分からず不思議そうな顔を浮かべてCRに伝えた内容をそのまま言う。一時騒然とはなったものの、外科医としては病院に残るなら問題ない、という結論となった。とはいえ生活環境は思った以上に芳しくなく、とりあえずベッド一式を取り寄せようかと脳内で考えており)

まあ驚かれるだろうな…、…そうか。 診療台は流石に仮眠だけだ。 あと、さっきのケーキは俺の部屋の冷蔵庫に入れてある
(和解したとはいえ、積極的に関わろうとしなかった彼が自分の元に手伝いに来ると聞けばCRのメンバーの反応は容易に想像つき、後々レーザー辺りが茶化しに来そうだと感想零すも皆が心配していたと聞けば擽ったい様なよく分からない感情に簡素に相槌打ち。 誤解招きそうな呟きに何処かズレた訂正行いつつも先程のお持ち帰りしたケーキの所在伝えれば説明は済んだと自分の部屋である主治医室に戻っていき)

西馬ニコがいなくなってお前の面倒を見る奴がいなくなったから丁度いい、と九条貴利矢が言っていた。……じゃあ仮眠では無い時にはどこで寝るつもりだ？
(相手の予想通り先の報告で1番騒いでいたのは九条貴利矢であり、次いで親父だった。親父は主に泣き声だったが。とりあえず今は数日泊まる分の衣服しか持ってきていない。他に揃えるものはケーキと共に飲むコーヒーくらいか。あとはどうとでもなるだろう。隣の部屋へと引っ込んでいく相手を追うようにしてついて行くと、冷蔵庫をみつけ中を確認。今日の分はこれで十分だろう。ここまでケーキを持ってきてくれた相手には「感謝する」と短く伝え)

俺が、アイツの面倒を見ていたの間違いだ。 どいつもこいつも人の事なんだと思ってやがる…。 …他のベットか待合室のソファで寝ればいいだろ
(ニコが面倒を見ていたという意味合いの言葉聞けば自分が面倒を見ていた方だと強調して抗議の声あげて。褒められる生活こそしていないものの問題なく生活をしており、また院長を除けば1番年長である自らが心配されているのは癪に障るのか眉を顰めながら愚痴零し。 パソコンの前の椅子に腰がけ追いかけてきた相手がケーキを確認するのを横目に眺めながらも一番新しくここ最近就寝に使っていたベットのある部屋を相手に貸し出した為か僅かに言葉に詰まるも他の病室などで寝ると答えて。)

一人になってからきちんと食事を取ってないやつが言えるセリフじゃないな。それに生活スペースも成ってない。医者の不養生どころではなかったな。……これで良し。俺はこの後隣の部屋の支度をして今日は寝る。明日にはこの部屋ももう少しマシになってるはずだ。
(相手の生活を思えば世話をやかれていたほうだろう、それだけ西馬ニコは相手にとっての支えだった。その人物がいない間にこうやってここに転がりこんだ罪悪感に少し胸が痛むが、それでも自分がここにきたいと、花家大我をもっと知りたいと思ったのは事実だ。今は自分の言ったことを実現しようと心に決めるとお持ち帰りされてきたケーキを全て冷蔵庫から取り出す。今からこれらを全て食べる気でいるのだ。ケーキの箱を持つ手と反対側でスマートフォンをしばし触ったあとひとつ頷きそれをしまう。そろそろ休む旨を伝えると、何か他に用はないか問いかけ)

っ……。 つーか、今からそれ全部食うつもりなのか
(自覚はそこそこあるのか言葉詰まらせてしまえばこれまで通りの生活が出来ない予感に面倒と思う一方で何処か人と一緒に過ごす事に嬉しく思う感情もあり。 スマホを操作し零される呟きに不審な目向けるもそれよりもケーキ屋の箱を当たり前とばかりに全て持つ行動に視線奪われ、本日何回目かの信じられない物を見る表情向け。 あっさりと帰っていく相手にここで食べていくか、と声に出しそうになるもらしくもない発言と相手にも一人の時間が必要だと考えれば｢……おやすみ。｣とだけ声掛けて事務作業に戻る為に背中向けて)

あぁ当然だ。……なんだ、食べたいのか？
(不摂生に関しての反論はない、やはり自覚があるじゃないか。自身の栄養バランスには気を使っている方、こいつにも同じ食事を取らせて健康体にした方がいいだろう。そんなことを勝手に自分の中で決めつつ、ぶっきらぼうに発せられた「おやすみ」に少々違和感を覚えた。何か言いかけたような、そんな背中をこちらに向けている。真意を確かめるためケーキの箱を持ったまま相手の背後へと近づいていき)

ケーキならさっき十分な程食べた。 ……、どうせならここで食べていったらどうだ。
(また明日話せばいいなどと考えながら会話を打ち切るように発した言葉にも関わらず会話を続けるように疑問投げかけてくる相手に適当に答えるものの立ち去るどころか近づいてくる相手に気付かないフリを続け。少しの間放置するも答えを聞くまで動かない様な態度にこちらが折れてしまえば渋々といった様子で振り向いてからケーキの箱、そして相手の顔に視線向ければ断られるかもしれないと思いつつも相手の反応伺うような様子で誘いをかけて。)

……あぁ、ここで食べる。1人で食べるより誰かと会話しながらの方が体にも良い。
(想像だにしなかった誘いがこちらに飛んできて数秒固まってしまう。ようやく一度瞬きをしてから事態を飲み込めてきた。まさか向こうから一緒にいる時間を設けてくれるとは思いも寄らなかった。胸が熱くなるのと同時に口元が緩んでしまう。当然だ答えはイエスだ。傍らに放置されていた椅子を側へと持ってくると並ぶようにして座る。箱の中に残されたケーキは5つ、その個数分だけはこの席に座っていられそうだ。さっそく1つ目を取り出し澱みない手つきで切り分け)

ん。 …いつでも持ってるんだな、それ
(数秒の沈黙に居心地悪く発言取り消そうとした矢先、口元緩ませながらも提案に乗ってくれれば自分に関わることでも笑みを見せてくれるのかと内心驚きを見せ。 机の上のものを簡単に片付けてスペース作りながらも隣に並ぶように座る相手の横顔ちらと視線向け、何処か嬉しげな表情に心チラつくもの感じて。インスタントのコーヒーでも常備しておくべきだったと後悔しながらも綺麗なナイフさばきが目に入れば自前と思われるケーキナイフに話題触れ)

感謝する。あぁ、出先ではその店のものを使うが家ではこれを使う。銀製で毎日欠かさず磨いている。
(机の上にスペースを開けてくれたことに感謝を述べつつ切り分けたケーキをひとつ食べる。この状況とケーキの甘さが相まってまた口元が緩んでしまった。ケーキ屋のように向かい合うのもいいが、こうやって隣に座るのも悪くない。それどころか先程より距離が近くて、その場所に居るのを許されていることが嬉しかった。手に持つナイフのことをきかれれば、キラリとそれを輝かせつつ相手へ見せる。使用する食器にまでこだわるのはケーキをより完璧に切るためだ。またナイフを動かせばケーキは完璧に綺麗な断面を見せて切り分けられ)