アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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……やった!!
(親方から昇格試験を言い渡されてから3週間、アルバートと違いトリッキーなことを始めたアイリスの特訓は順調とは言えなかった。筋力不足を補うために考えたそれは、魔法で空気を収縮・爆発させた勢いを動きに利用するという非常に高度なもので。確かに試す度に吹っ飛んで生垣に突き刺さっていた初日よりは成長した。ポーンポーンと跳ねるように歩けた時は感動したものの、曲がることもできず走る速度で使用すればまた生垣のお世話になるレベルで、とうとう訓練場でアイリスが生垣から生えていても気にする者はいなくなった。親方だけが愉しげに目を細めているのにアイリスは気づいていない。
それは依頼のモンスターの駆除だった。このモンスターはアルバートであれば難なく首を落とし、筋力がないアイリスでも複数の急所を突き狙うことで危なげなく倒せるレベルだったが、不意をつかれ突進してきた相手への反応が遅れた。その時、特訓の癖か地面を蹴った足に無意識に魔法がこもりアイリスの体が宙に浮いた、予測しない方向に弾かれていた訓練場の時とは違って、ふわりと浮いた体は空中でバランスをとりモンスターの背後に着地する。モンスターが急に視界から消えたアイリスに驚き戸惑っている隙を狙ってもう一度地面を蹴る、今度は浮いた体をモンスターの首の上で安定させ、位置エネルギーをたっぷり利用してその首を地面に落とした。)
アルバート、休憩?
(依頼から帰って報告をすませ、感覚の残ってるうちに練習しようと訓練場へ向かうとアルバートが座っているのを見つけて上機嫌に声をかけ。今日の成果を、唯一自分の特訓を馬鹿にせず、アイリスならできると言ってくれた彼にはぜひ見て欲しいと思いつけば、「ちょっと見てて」と答えを待たずに鼻歌交じりに座っている前に立つ。そのまま昼間モンスターを前にしたように足に魔法を込めて、助走もなしに自分の身長の倍ほどふわりと跳び上がった。レイピアも木刀も持っていなかったため、少しバランスを崩して着地はもたついたが、アルバートなら褒めてくれるに違いないと嬉しそうにほほえんでくるりと振り向いて。)
え、ま、まさか……!
(楽しそうに声を掛けてくれたアイリスの姿にバッと顔を上げると、まさに危惧していた現実がそこには待っていた。それは、ジャンプというには余りにも緩やかだった。緩く、長く、高く、間違いなく浮いていた。着地に手間取ったりと未だ「完璧」とは言えないのが、寧ろその技能の伸びしろを表しているように思えて。「完璧」にマスターしたらどうなるのか。空中を自在に飛びまわり、三次元での戦いを見せる魔法剣士の姿──その横で地味に剣を振るう自分の姿──考えたくなかった将来のビジョンにガーンとショックを受けてしまい、アイリスのこの姿をもし物陰で見ていたりしたらきっと手と膝をついて落ち込んでいただろう)
す、凄いなアイリス!流石だな…ハハハ……
(しかし眼の前には嬉しそうに自分へその成功を見せてくれるアイリスが居た。そんな彼女の眼の前で、そんなことは出来ない。完全に自信を失ったことを何とか隠そうとしつつ、空元気を振り絞って先程の光景を褒め称える。この発言も確かに本心であるのだがやはり内心ではショックの方が大きく、追い付いたと思っていたら再び引き離されたような、それもかなりの差を付けられた、その思いが頭をもたげており。普段なら俺も負けねえからな!くらい言いそうな所で微妙な愛想笑いを浮かべてしまう。──果たして、将来自分はアイリスの隣で立派に胸を張れているのだろうか。身長だって伸びてはいるが、それも果たして平均以上になるかどうかも分からない。焦りが不安となって心を覆い、なんとも言えない浮かない表情をしてしまっていた。
浮いたアイリスとは対象的に(小声))
……。今日の依頼がモンスターの駆除じゃなくて、護衛依頼だったらと思うとゾッとする。
(着地して気持ちよく胸を張りながら賞賛の声を待つ。"すげえ!やったな!"いや、今なら"俺も負けねえからな"あたりかなと勝手に予測をつけて待った声とは裏腹に、届いた笑い声はアルバートにしては気弱な平坦なもので。その虚勢のまじる声に聞き覚えを感じて、そのまま彼の前に立つとその姿を見下ろす。アイリスを見上げるその似合わない愛想笑いの中にも既視感のある苦いものが混じっている、自分はその苦みに耐えられなくて先日目の前に噛み付いたばかりだ。性別的にどうしても手に入らない力に自分が嘆いたからこそ、魔法を使わない彼が自分のように戦うことが出来ないことに苦しむ痛みが、置いていかれる焦りがよくわかって、同情しないように深呼吸をしながらその頬に両手を添えて視線を合わせる。自分がされて一番辛かったのは同情だったから。自分を救った強いライバルでいたかったアイリスを認めてくれた言葉を思い出して、大事な人を守りたいという彼の夢を肯定する言葉を必死に探すも、漏れた言葉は上記の通りで、嘘ではないが伝えたいことの少しも伝わらない自分の口下手さに辟易しながらそっと手を下ろす。)
あー、だからね、うん。
今の私は"コレ"で前より強いモンスターや悪党を倒せるかもしれない……けど、そこに人がいたら救えない。
でも今のアルバートならその人たちを逃がす時間を私より多く稼げる。
(素直に相手を褒めようとすると逃げ出したくなるのを唸りながら必死に耐えている顔は滑稽かもしれない。それでも今度は自分の言葉が彼に届く事を祈って、アルバート見下ろしたまま必死に言葉を重ねる。グダグダと苦手な言葉を重ねながら、それから最後に心底悔しそうに言いたくなさそうに、この3週間スポンジが水を吸うように成長していくアルバートの剣術を見て思っていたことを口にする。)
それに親方は魔法は使えないし……
それに、それにね。多分、今のアンタと戦ったら私負けるわよ。
(/こちらが未熟でレスに組み込めなかったのですが、最後の浮いたアイリスと対象的に浮かないアルバートくん不意打ちで吹き出しました笑)
アイリス……
(優しい言葉だった。それはもう、普段のアイリスと比べればどうしたの?熱でもあるの?って言いたくなるような…いやまぁ叱られるから言わないか。ともかくその言葉に顔を上げて、相変わらず若干落ち込んだ表情で口を開いて)
うん、知ってる。そりゃ今は俺のほうが強い
(シレッと、何事も無かったかのように、当たり前のように言い放った。元々拮抗していた強さだったのに、そこへ基礎の上積みをしたのだから、単純な計算で行けばそうなることは必然だった。相手の気遣いを、なにいってんだよと言わんばかりにあっさり無碍にする。無論そんな言い方をするのは、今一時的に自分の方が強くなってもアイリスなら必ず追い付いてくる、そういう信頼があっての言い草だった。どっちにしろアレだが、今はそういう言葉遣いに気を使う余裕が無かったのだ、何故なら)
そーじゃないんだよ…アイリスのそれってさぁ……超カッコいいじゃあねーかよぉおおお……俺にくれ!俺も飛びたい!飛んでカッコよく敵を倒すとか、俺もそういう必殺技みたいの欲しいの!!わかる!?今お前がどんだけカッコいいか!!来月の月刊ギルドの表紙飾れるレベルだからなそれ!!……ほんっとにめちゃくちゃ羨ましい……
(それは魂の叫びだった。強さ云々は兎も角として、男の子としてめちゃくちゃ羨ましいものだった。それをライバルが手に入れた、その事実に打ちのめされていたのだった。因みに月刊ギルドの表紙を飾るのはギルドに所属する大体の者にとっては一度は見る夢であり、それを現実のものとするほどのインパクトにアルバートは強い敗北感を覚えていたのだった。人目もはばからず、膝と手をついて落ち込むアルバート、それも超どうでもいい事で。蹴られてしまえ)
(/ここはネタパートと言うことで…実際ずっと個性について悩んでて強さ云々は気にしてないアルバート。蹴ってあげてください←)
なあんだ、思ったより凹んでないみたいで安心した。あなたにに元気がないと心配だもの。ふふ。
(冒険者としてだけではなく、勉学でも優秀なアイリスにもどうしても理解できないものはいくつかあるが、男のロマンというものはその最たるものである。幼馴染の失礼極まる発言も、魂の叫びもキョトンとした顔で見つめていたが、地面に膝と手をついたアルバートに甲斐甲斐しく駆け寄り、それはそれは優雅に自身も膝が汚れるのを厭わず地面に膝をついて、アルバートの顔を先程のようにつつんで上向かせると穏やかな声で上記。アルバートと宿舎で下世話な話で盛り上がる同年代の連中からしたら垂涎ものの扱いで、実際に訓練の手を止めて物凄い形相でアルバートを睨む同年代の姿がチラホラ見える。その剣幕といったら安心して心と体を休められるべき宿舎で、身の安全を警戒した方が良いレベルである。しばらくは寝首をかかれぬよう祈った方が良いかもしれない。しかしもし、アルバートに昇格試験を親方に言い渡された日の記憶があれば、はっきりとその身の危険を感じられたはずである。ギルドの親方でもある実の父親を正拳突きで吹き飛ばした時かそれ以上に、うっとりするほど美しい笑顔がアイリスの顔にうかんでいたからである。とはいえここでアルバートが身の危険を察し逃げようとしたとしても、"優しく"頬に添えられた両手がそれを許さないだろう。)
いーい度胸してんじゃないの泣き虫のくせに!剣を拾いなさい!ぶっ飛ばしてあげるわ!!
(頬に添えられた両手に力が加わりアルバートの頬がギリギリと伸ばされる。周りからは幼馴染の微笑ましい戯れに見えるかもしれないが、その握力といったら、流石あれ程現実にうちのめされても剣だけは離さなかっただけはあるなんて冗談も言ってられない、万力でもしこんでいるのかという程の握力であった。うわ剣士の握力怖い。これ以上伸びない、本当にこれ以上肌の弾力の関係で伸びていないだけという程いいようにその頬を引き伸ばしてから、地面に叩き捨てるように手を離して立ち上がる。転がっていた木剣を投げつけると自身も獲物をスラリと抜く、依頼帰りであるから腰に下がっているのは勿論真剣だがなに、今は彼の方が強いらしいので問題はないだろう。決めた、今決めた。負けるなんて何を弱気な、前言撤回、魔法でもなんでも使ってギッタンギッタンにのしてやる。大人気ない所ではない様相はいつも通り、と言うには少し過激だが、アルバートが落ちこんでいなかったことに安心したことだけは事実で。ちなみに立ち上がる際に膝がいつかの傷を抉るように、その顎を蹴りあげたのは偶然ではないかもしれない。「ごめんあそばせ」と微笑んでおいた。)
(/>34のレスを見落としていたことに今気がづきました。申し訳ありませんでした。確かに返信に少し悩んでいた間に入れ違ってしまったようです。が、お陰様で今回はかなりはっちゃけて遊ばせて頂きました。とても痛そう。。しっかり蹴らせていただきました←
レスの返信速度がまちまちになってしまって申し訳ありません。1日1度は返せるようにいたしますので引き続きよろしくお願いします。
入れ違いについては以後気をつけます、本当に失礼致しました。)
え、ア、アイリス?な、なんか変なもの食ったんじゃあばばばばばばば!?──グハッ!!?
(ひとしきり悔しがったあと、再び掛けられてくる言葉、そして何だか見覚えのある笑顔。しかし親方の一件は頭から抜けており覚えてなかったらしく逃げはしなかったものの、その姿と先程から優しいアイリスの様子に違和感を覚えてとうとうヘンナモノクッタノカと尋ねようとした、が、引き伸ばされる頬がその続きを言うことを阻んだ。餅のように平べったく伸びる頬、ワタワタと両手をバタつかせなんとか離れようと試みるも、その細さとは裏腹に力強い手は脱出を許してくれない。そしてようやく解放されれば赤くなった頬を抑えるが、ゲシっと顎を跳ね上げられ悶絶。周囲の視線が殺気から憐憫に変わった気がした)
いったたたた…おいアイリス!なに済ん……いやあの、アイリスさん?それ真剣でございませんこと?ちょっ、待っ!やめっ…う、うわああああああ!!??
(──その瞬間を見ていた同僚のB氏は、後にこう語った。「一切の無駄のない動きで、笑みを浮かべながら、魔法と真剣で逃げ回る憐れな男を追いかけ回す……アレは勝負ではなく、まさに"狩り"でしたね」──その日、アルバートは思い出した、怒ったアイリスの恐怖を。そしてそのあと滅茶苦茶謝罪した。あと、宿舎に戻っても幸い襲われることは無かったが、翌日生暖かい目で皆おかずを一品分けてくれたりして、逆に辛かった)
……別の意味でアイツの隣に立ってられるか不安になってきたな。ハハハ……
(そして更に一週間、落ち込んでた時期は流石に過ぎて真面目に練習へ戻った結果、おぼつかなかった基礎も大分形になり、アイリスの新技完成に付き合う余裕も出てきて。その新技に関して、最近はギルド内でも度々話題になっており、アイリスに関しても「やはり天才か…」「大した奴だ…」という声が上がっており、昇格試験に次ぐギルドの関心事となっていた)
──だからさぁ、俺は"エアマスター"が良いと思うんだよな。かっこいいし、空中を支配してる!って感じが出てるしさ
(訓練の休憩中、皆が集まるギルドのラウンジにて現在一つの話題で盛り上がっていた。それはズバリ"アイリスの新技の名前をどうするか"であった。「シンプルに"飛翔"」「"舞空術"」等々…当人そっちのけで議論が白熱していた。勿論アルバートもそれに参加し、中々にイタイネーミングを捩じ込もうと画策していて)
それにしてもやっぱアイツは凄いよな……俺も負けてられないな!よし!
(白熱した議論も、結局「アイリスが決めるんだから俺らで話してもしょうがない」という結論に終わり、皆解散していって。自身も再び訓練場に戻れば気合を入れ直して基礎を固めることに勤しむ。眼の前の自分のやることをこなして行けば、きっと自分もアイリスに負けない何かを掴めるはず…迷いや焦りは今はなく、ただ黙々と訓練用の木剣を振るっていて──)
っ…また、か…
(すると突然、左足につったような痛みが走って。無理に修行は続けずケンケンで動きながら壁にもたれ掛かり、その痛みが引いていくのをジッと待つ。その痛みの原因は、体の成長にある。今現在成長期でそのため体の栄養消費が激しく、その上で運動をすると栄養不足からか足がつりやすくなっていて。悩ましくもあり、体の成長に伴う致し方のないことでもあるが、もしこれが試験中突然襲ってきたらどうするか、目下の悩みはそれで)
片方でも戦えるよう…出来ねえかな
(ようやく痛みが引けば再び訓練に戻り、片足で立ってバランスを取りながら剣を振ってみるがあまり上手く行かず……傍から見れば変人である。或いは、アイリスに差を付けられてなんとかオリジナリティを見つけようとして頭がおかしくなったのか、とか思われかねない動きで。しかし当人は至って真面目、片足で戦えないか試行錯誤を繰り返していて)
(/いえいえ、此方が少し過敏になっていただけですのでペースに関しては背後様のペースで大丈夫ですよ!……あ、でも楽しみに待ちすぎてていつも通り返ってこないと不安になったので、やっぱり背後様のせいですね!反省してください←)
まあ、"エアマスター"はないわよね。
(そもそもの男女の絶対数の関係でアルバートほど多くは無いが、アイリスにも同性同世代の友人がいる。彼女に負けず劣らず気の強い連中で、"狩り事件"の話を聞きつけてくると羞恥するアイリスを半日にわたってネタにし、イジり、笑い倒した、まあ気の置けない友人たちである。依頼の帰りに通りがかったラウンジから聞こえてきた話題にも「あの連中、必殺技とか好きよね」「仕事中に技名叫んだら相手逃げるでしょ」と中々辛辣な物言いで。「実際どうするの?」という問いには聞こえた中で一番酷いセンスのものを斬り捨てておいた。
実際、一つ一つの動きの足りない力や速度を補うことが目的であって、先週の依頼の時のような大振りの技は、まだモノに出来ていない未熟さによる苦肉の策。いつかは戦闘中常に使用し続けることを想定しているなどと公言すれば、気の狂った生垣の花から挽回した名誉もまた地に落ちるに違いない。皆の関心には言及せず、近づきつつある昇格試験に向けてその精度を磨く日々で。)
大丈夫?何やってんの?
(依頼の報告を済ませ友人達と別れて訓練場へ。一週間前に一度コツを掴むと、小走りで訓練場を人や器具を避けながら横切る、それに脚力ではなく魔法を使っていると気づかれないほど自然に使える程に成長した。長時間行うと元から無い筋力を更に落とすため、予約したスペースにつくと魔法をといて一息。誰か訓練に付き合って貰えそうな相手はいないかと見回せば、恰好の相手を見つけた。奇妙な動きをしている相手に、怪我でもしたのだろうかと首を傾げて声をかけ。)
(/ありがとうございます。
お待たせして申し訳ないです笑
こちらも一日の使える時間のほとんどを使うほど楽しませていただいてます!)
ん?ああこれな、実は…
(カクカクシカジカでさ、と現在それをやっている理由を話す。あまり意味のないこと…と一見思うかもしれないが、一応体幹を鍛えたりだとか、そう言う意図は存在しておりあながち無駄、という訳でも無い。それをアルバートが自覚しているかは別として)
まぁこれ、結構バランス取るの難しいんだよな。だからちょっと離れて──っ!?
(そう言っていると、突然ヒューンとどこかから木剣が飛んでくる。恐らく別の場所で素振りをしていた誰かの物がすっぽ抜けて飛んできたのだろう。それがコーンと小気味よい音を立ててアルバートの頭に当たると、ただでさえ悪かったバランスを大いに崩し、ワタワタと両手を回してバランスを取ろうとするも叶わず、アイリスの方へ向かって倒れ込みそうになってしまって)
(/実際はホントに楽しみに待たせて貰ってます、いつもありがとうございます!
そう言っていただけると光栄です…!これからもよろしくお願いしますね(*ーωー))
危ない!きゃあっ……!
(倒れ込んだアルバートを咄嗟に伸ばした腕で支えたまでは良かったが、さらに跳ねた木剣が二次被害を引き起こすのを防ごうと、もう片方の手を伸ばしたのがいけなかった。木剣とアルバート、両方キャッチすることは出来たものの、バランスを崩してそのまま後ろに倒れ込む。)
いたたた、アルバート重いからどけて……大丈b……ひっ!
(女とはいえ普段から鍛えている身、バランスを崩したアルバートに押し潰されたくらいではまともに入ったとしても大したダメージはない。しかも受け身も取れたのでほぼ無傷、口から漏れた「いたた」も形式的なもの、正直全く痛くないが形式美だ。そして形式美といえば、古来より男の子が女の子を巻き込んで転んだ時のダイブ先の相場は決まっている。木剣を飛ばした者と、人の多いところで危ない体制をとっていたアルバートへの叱責、どちらもまずは起き上がって両者の無事を確認してからでいいだろうと頭をあげたところで飛び込んできた視覚情報にピシリと固まって。まずは木剣をとばした歳の頃は13ほどの少年、真っ青になって謝り倒しているが怪我はないらしい、それは大変喜ばしいことだ。そして問題の幼馴染だが、下敷きのアイリスが無傷なのだから、人の1番柔らかいところに頭からダイブした人間の無事は確認すべくもないだろう。狙ってできることでもないのだからアルバートが悪い訳では無い、そう悪くないのだ、それでも拳を振りかぶってしまうところまでが形式美なので仕方がない。)
(/こちらこそです!よろしくお願いします??)
いった…く、な、い…?何だ、この柔らかいの……
(ふかふかであった。それは、倒れたというのにおかしな感触である。頭を柔らかい何かに包まれているような、言うならば高級なクッションに頭を突っ込んでいるような感触だろうか。高級クッション触ったことないけど。少し気が動転してしまっていたせいかちょっと堪能してしまったあと、冷静になり何だろうかと思い体を起こす。そしてそれは、触れてはいけない禁忌だった事を悟るのに時間はかからなかった──)
アイリス、お前……太っtグフッ!
(そして出た言葉は謝罪、ではなく。よりにもよって体型への言及、しかもアイリスの体型は見事なまでにS字ラインを示しており、それは日頃の努力の賜物だろうと大抵の人間であれば察しが付くのに、この無知鈍感唐変木な愚か者は、あろう事かそれとは真逆の認識を抱く。言い終わる前に遠慮のないストレートパンチがアルバートの顔面を襲う。10割自業自得であった。先程の木刀と合わせて大ダメージ、何時ぞやの親方を彷彿とさせる流れでバタリとその場に倒れれば、白目を向いて気絶してしまうが、その姿に今回ばかりは周りの目も同情的なそれは一切なく、被害者であるアイリスにかけより、気絶するアルバートへゴミを見るような視線を向ける者がほとんどだった)
(/テンプレにお付き合いいただいてありがとうございます笑
この次のレスですが、これ以上は死体蹴りになりそうなので()場面転換をしようかと考えているのですが、昇格試験を前にやりたいロルはございますか??
アルバートくんの片足戦法の訓練描写があればそちらにに遭遇するシーンに転換しますし、もしなければ昇格試験でその完成系をババーンとお披露目という形で、そろそろ当日の朝に移ろうと考えております。試験内容はあのモンスターを1人で倒すことになるかと思っております。)
(/寧ろ付き合って貰ってるのは此方です、いつも楽しい返しをありがとうございます!
場面転換了解です。やりたかった物(ライバル、ネタ、ラブコメ?)は全てできたので問題ナッシングです!
当日の朝で大丈夫ですよ!試験に合格出来るよう頑張りましょう!あと、片足戦法に関しては実はアレやりたかっただけなので今後出番があるかは未定です(小声←))
いってきます。
(今日に備えて早くベッドに入ったこともあるだろうが、昇格試験の日はいつもより早く目が覚めた。この日のためにできる限りのことをしてきたため思ったより緊張は感じない、寧ろ父の方がソワソワと視線が五月蝿かったくらいだ。階段を下る途中の背中にやっと「期待してるぞ」と声と届いて、その場では「親方が贔屓して良いんですか?」なんて強がっておいたが、父に期待されるなど第二次成長を終えてからはしばらくぶりで、必死にニヤつくのを抑えて試験場までの道を駆け抜けた。)
失礼、失礼すみません、通してくださる?
(昇格試験は、ギルドに所属する全ての者に受験資格が与えられており、余程の事情がない限り殆どの者が受験する。1日でその全てを終えるのは到底不可能なため、最低で1週間の日程が組まれている。とはいえ通常の任務を放棄するわけにもいかないため、皆自分の受験日以外は通常通り仕事をこなしている。特定の難易度の依頼が何日も保留することのないよう上手く組まれた日程の中で、アイリスとアルバートの受ける試験は最終日をまるまる使って執り行われ、場合によっては2日や3日と長引くこともあるため1番最後に配置されている。試験内容はそれぞれの階級によって異なり、同じ階級の者と手合わせして上位の数人が昇格する階級や、ギルドに入ってまだ短い階級の試験では応急手当の方法などをメインとした座学のテストなどの試験も存在する。2人の階級は試験で昇格する最後の階級であり、これ以上は日頃の活躍の度合いで評価されることになる。勿論実力次第ではあるが形式上全ての依頼が受注可能、北の渓谷に立ち入る許可がおり、活動の制約の全てが取り払われる。ここまで昇格するのに何十年もかける冒険者もいる階級で、今回の受験者も2人を含めて5人、アルバートとアイリスはかなり若くしての受験となる。今回の試験内容は、アルバートとアイリスが遭遇し不意をつき危機一髪で倒したあのモンスターを"1人で"倒すこと。倒すだけではなくその戦いぶりでも判断されることになる。受験者の人数分、5体のモンスターを無傷で生け捕りにした親方含むギルドの化物及び精鋭の集団が評価と万が一に備えて配備されているため、冒険者以外の見物もかなり集まり、陽気が良ければ調子の良い出店まで出るようなこの階級の試験は毎度ちょっとしたお祭り騒ぎである。訓練場にコロシアムのような試験場があるのはこのためで、実はギルドにとってそこそこの収入源であったりする。前回はアイリスもアルバートと呑気に出店を冷やかしてから見物し、案の定無意識にたっぷりとイチャついたりなどした。そんなアルバートであるが、胸にとびこんだ挙句暴言を吐いた件で鉄拳制裁を喰らい、たっぷり1週間以上アイリスから無視されていたが、無事仲直りを果たし現在は元通りである。周りからの目は未だかなり冷たい時もあるようだが。
試験開始にはまだ時間があるが、既に混み合い始めている訓練場を通り抜けて試験場へ向かう、受験者の顔は知られているため会場に着くまでに主に好意でではあるが、何度も呼び止められ足止めされもみくちゃにされ、かなり早めに出たアイリスでさえこれなのだからアルバートも大変だろう。関係者以外立入禁止のスペースにつくと流石に安堵の息が漏れた。一番最初の試験開始まで出店でも覗こうかと思っていたが、これでは試験前に体力を消費しかねないので諦める。前の人間の出来によっては今日中に自分の番が来るか怪しいが、控えスペースにはまだ他の受験者が来ていないため、1人でストレッチや剣の手入れをしていたが流石に手持ち無沙汰になってきて。)
(/こちらこそアルバート君に泣かされ、笑わされ、毎回レスを楽しみにしております!
片足はそういうことだったのですね、レスを読んでこれはラキスケ展開!と1人でテンションがぶち上がったので()あっていたようで良かったです笑
お言葉に甘えて試験の日の朝にさせて頂きました、アルバート君の戦いぶりが楽しみすぎてちょっと気合いが入りすぎたかもしれません。試験内容はお互いロルを1人で回すことになると思いますが、前後でライバルしたりイチャつけたら幸いです( ? ? ? ))
だからアレは事故だって!わざとじゃねぇ…不吉なこと言うなよな!
(所変わって男子宿舎、先日の一件以来益々同僚からの羨望と僻み、妬みを買いそれは試験当日の今も続いていた。やれ落ちちまえだの、あのラッキースケベで運を使い果たしただの、勿論冗談交じりではあるがアルバートへのブーイングが続いていた。朝のアイリスの状況とは真逆な、男子諸君からの熱い友情()を背に受けながら食事を終えて自室で用意を初めて)
……ようやくだな
(この試験のために、今まで貯めていたお金は殆ど使った。鎧・武器・盾を新調したのだから当然といえば当然だ。鎧は丈夫さよりも動きやすさ、軽さを重視、盾も普段より小さめで取り回しの良いものを、剣だけは形状自体は何時もと変わらないが、鞘を含めより上質且つ丈夫な素材で作られたものを購入した。それも全て、今日の試験に合格するため。準備を整えればいざ試験会場へと向かっていって)
うわ、相変わらずすげえ人混みだな……
(当然これが初めてではないが、いつ見ても最終試験時、つまり自分が受ける試験当日のギルドの雰囲気は異様と言えるモノだった。一週間行われる試験の内、座学や野外での試験は当然一般人が立ち入れる物ではないが、コレだけは別。多くの観衆から見られているプレッシャーの中、上位のモンスターを一人で倒さなければならない。今までは自分もその観客側だったが、今回はそうではない。自然と胸が高鳴り、程良い緊張感に武者震いを覚える。色々とあったが、今日に至るまでやれることはすべてやった筈だ。一から始めた基礎作り、それを元にして自分なりの戦い方を模索し、最後の一週間に(ラッキースケベによりアイリスから無視されてたため)一人で特訓しようやく身に着けられたのだ。無論、アイリスの身に付けた技ほどの派手さはないが…それさえ出来れば間違いなく合格出来る、そういった確信があった)
よぅ、おはよ…流石アイリス、早いな
(独特な場の雰囲気に気持ちが昂ぶるのを抑えられず、落ち着いた場所へ行こうと控えスペースへ急ぐ。するとそこには一番見知った顔の相手が居た。まだ時間的には開始時刻には早く、自宅がそこのアイリスならもう少し自室のリラックスした空間に居ても大丈夫だが、それでも最初に此処に居る。それだけで分かる、如何にこのライバルが向上心を持ち、高い場所を目指しているのかが。そんな姿に自分も負けられないとの思いを熱くさせ、気持ちを抑えようとしたはずが寧ろ更に激しく燃え上がる。いつもと違う、どこかギラつく雰囲気を纏わせて)
いよいよだな、試験。言っとくが、俺は落ちる事なんて考えて無いからな……ちゃんと付いて来いよ、アイリス
(負けたくない、その思いはきっと相手も同じだろう。そう思いながらアイリスの方を向けば不敵な笑みを浮かべ挑発的な言葉を述べる。ライバルとして、隣を走りたい気持ちは当然ある。しかしそれは、歩幅を合わせるというものではない。どちらかが先に行けばそれに追いつき追い越し、それを繰り返して二人でどこまでも競いながら走っていく、二人が望むものはそれであろう。ならこれに落ちる訳には行かない、自身へ言い聞かせる意味合いも込めて発破をかけて)
あ、そうだ……折角だし競争しようぜ!んで試験終わったあと、討伐タイムが遅い方は早い方へ屋台で奢る…ってのはどうだ?燃えるだろ?
(更に思い付いたとばかりにニシシと笑いながら上記を述べる。競争、負けた方は奢り、というよくあるモノ。因みにどっちが勝っても負けても屋台に行くことになるため、さり気なくデートの確約をしようとしている訳である、当然無自覚、コイツほんま…)
そういや順番はどうだったっけ?ま、出来れば最初と大トリは避けたいよな…
(最終試験は一人一人行うが、基本的に公平を期すため順番はランダムである。やる気は十分ではあるものの、それでもやはり気持ちとしてはその2つは避けたいというのが人情である)
(/試験、祭り……いつもいつも背後様の用意してくださる舞台は素晴らしい……!早速その設定を使わせてもらってライバル&イチャコラの雰囲気作りをしてみました!
そして順番についてですが、ここは思い切って最初と大トリこの二人がやるというのはどうでしょう?どっちがどっちになるかはお任せします!)
おはよう。
それはこっちのセリフよ。アンタがどうなろうが私の結果は変わらないわ。1人落ちてべそかかないことね、アルバート。
(扉が空いた音に立ち上がって振り返る。よく見知った相手の雰囲気がいつもと違うように見えるのは、身につけている武具などのせいだけではないだろう。昇格試験が言い渡されてから、良くも悪くも手の内を晒しあって共に訓練していた相手だが、最後の1週間によって彼がどう成長し、今日どんな戦いをするのかは予測することしか出来ない。しかしまだ少年らしさの残る顔立ちの中に浮かぶその自信が、実力に裏打ちされたものだということは嫌という程知っている。瞳をギラつかせているライバルに此方も自信に満ち溢れた笑みを浮かべて挑発に乗ってやる。口ではキツいことを言おうとも、切磋琢磨してきたライバルと2人今並んでこの場に立てることは素直に嬉しい、願わくはそれがこの試験が終わった時も続いていますように。)
いいわよ、誰かとまわる予定なんてないもの。奢ってもらえるとわかってて受けない手はないわね。
(それでやる気が出るならばなんて安上がりで可愛らしい、どこまでいってもどこか締まらないいつもの彼につい笑みが漏れる。まあ、そんな彼に惚れたのだから仕方がない。予定がないもなにも、ほかの男からの誘いは全部断っておいてこの言い草、少しは素直になったらどうなんだこの女は。)
……アンタ、知ってて聞いてるんじゃないわよね?
(まあそんな嘘をつく必要は無いか、スペースに入ってきたタイミングが悪く聞き逃したのだろう。簡素なスペースの真ん中に置かれたテーブルに順番の記された紙をすべらせてアルバートに渡した。つい先程内外に向けて発表された試験の順番は、最初が彼、大トリが自分。客席の方でもすでに周知されており、かなり若くしての受験である上、それが同い年で2人、しかも幼馴染でライバル同士、そんな2人が最初とトリを引き当てたことに、かなり場内は盛り上がっている状態だ。正直故意に客寄せを狙ったのではないかと邪推してしまうほど美味しい巡り合わせである。)
(/そう言っていただけると嬉しいです、ありがとうございます。此方の稚拙な振りにも熱いロルを返してくださる背後様のおかげで、とても楽しいです。
順番の案最高ですね!前のレスでアイリスが確実に最初ではなさげな描写を入れてしまったので、こうさせていただきました。アルバート君の戦いぶり、とっても楽しみにしております!)
言ったな?後からやっぱ無し!は通用しないからな。
(単純なモノだがやはり賭けるものがあると気持ちも盛り上がる。傍から見ていてもバチバチと二人の間に見えない火花が散っているのが分かるだろう。二人が素直にデートしたりする日は何時来るのやら──)
エ"ッ…マージかよ……
(自身の危惧が大当たりし、ガクリと肩を落とす。素直な見方をすれば、アルバートは一回アレと戦った事があるし、アイリスもトドメを刺しているため戦闘経験有りと言ってもよく、それ込みでの最初と最後という組み合わせなのかもしれない。……やっぱり客寄せの匂いが強い気がしないでも無いけど)
けどま、その方が燃えるっちゃ燃えるしな。いっちょ盛大にぶっ倒して勢い付けてやるか!
(緊張も高まるが、同時に注目度的な意味でも気持ちが燃える。落としていた顔を上げて直様気合を入れ直していると、係員からそろそろ用意を、との声がかかる。武器を持って部屋を出る前に、アイリスの方を振り向けばニッと自信満々な笑みを浮かべ、グッと親指を立てるサムズアップのポーズをしてから会場へ向かっていって)
(──十数分後、会場に向かう。訓練場の隣にある普段はあまり使わないコロシアムのような場所。設置されている観客スペースは既に満員といった様子で、ワーワーと観客の歓声が聞こえ、闘技場に立っていてもその熱気が大いに伝わってくる。だが、それは敵も同じだった。あの時、大苦戦しアイリスに助けて貰った時のモンスターが特殊な檻に入れられて解放されるのを今か今かと興奮気味に待っている。再び武者震い、あの時の借りを今ここで返してやる。自然と武器と盾を握る手に力が入る。しかし、体は熱くても頭はあくまで冷静に。アイリスとの特訓で身に付けた力を持って、今度こそ一人で勝ってみせる。短い深呼吸をしたあとで、試合のカウントダウンが始まった、3、2、1……)
──っし、行くぜ!
(試合開始を告げる合図の笛が鳴り響き、檻が開放されて勢いよくモンスターが飛び出してくる。二人の気合は十分、アルバートも負けじと駆け出して二人の距離がドンドンと縮まっていく。そして二人が接触する、そんな瞬間アルバートは小型化された盾を突き出し敵の攻撃を受け止め──ない。身体が成長したとはいえまだパワーの足りないアルバートは、僅かに盾を向ける位置をズラし、敵を攻撃を力で受け止めるのではなく、小さく力を加えて滑らせるように受け流していた。そしてそこから後は基礎通り、隙きを見せたモンスターを剣で斬りつける。受け止め弾くことより受け流す方が力はいらない分高い技術が要求されるが、元々我流で戦えるほど技術自体はあったのだ。そこに基礎が加わればそれだけの動きを行うのは造作もないこと。きっと驚く同僚や観客達の中で、唯一アイリスだけが今の自分の姿を当然のものとして感心しつつ見ていてくれているだろう。
初撃の流れで戦いを優位に進めるアルバート。しかし受け流すという戦い方は常に高い技術を必要とする分ミスが起こりやすいもので、その上いくら基礎を練習しているとはいえ実際に習ってからまだ1ヶ月程度、応用を使うには少し足りない部分もある。そのため時折受け流しきれず、モンスターのパワーに押されそのまま攻撃を喰らってしまいそうになる瞬間もあったが、そこは流石の身体能力と言うべきか、動く馬車を馬跳びで越してしまうバカげた動体視力も相まって攻撃を紙一重で躱す。足りない技術やセンスは身体能力でカバーするつもりなのだ。
戦いは、受けて、避けて、攻撃する、その基本姿勢を崩さないアルバート優位に進んでいった。派手な攻撃や動きこそ無いが、堅実な立ち回りで着実に敵モンスターを追い詰めていく。そのまま終盤に差し掛かってきたところで観客も、或いはアルバート自身も、勝敗は決したとそう思った。しかし…)
グッ…足が…!
(その時、恐れていた事態がアルバートを襲う。それは足の痛みであった。左足に力が入らない。いくら最小限の力を持って攻撃を受け流していたとはいえ、片足が使えねば動きも緩慢になり受けきれない。唐突に立場は一転する。押されぱなしだったモンスターの攻撃は既に鈍重なものになっているにも関わらず、アルバートは防戦に徹さざるを得なくなった。しかし、動きやすくなるため盾を小さくしたこともあって衝撃を受けきれない。押され始めるアルバートの姿に、単調だった試合に少し飽きていた観客はまた盛り上がり始める。再び上がった歓声に、モンスターも興奮し、更に攻撃の勢いが増す。このままでは……打開策を考えていたが、押されに押され、アルバートはいつの間にか壁を背にしてしまっていた。もう避けられない、ここぞとばかりにモンスターが勢いよく仕掛けてくる)
──ンなろぉ!
(それに対し、何を思ったのかアルバートは盾を投げ捨てた。突然の行動に観客が驚く中、アルバートは盾を捨てた方の手で剣を、そして剣を握っていた方の手で剣の"鞘"を握り、そして剣を地面に突き立ててればそこを足場として使える方の足で蹴り飛び上がってモンスターの身体を飛び越える。確実に仕留めるため突進する敵はそれに反応しようと腕を頭上に振るが、アルバートの自由が効かない左足を掠めるだけで、勢いそのままに壁へ激突し、大きな隙きを晒す。その間にアルバートは急ぎ動かない足を引きずりながら、両手で鞘を握りしめて、渾身の一撃をモンスターの頭上に喰らわせる。
ドサッとその体を地面に倒したモンスター、そして少しの静寂の後、試合終了の笛が鳴り響く。思わぬ逆転劇に観客が湧く中、動かない左足を引きずりながら闘技場を後にするのだった)
あ"あ"、いっで?……
(その後、医務室にて。先程まで勇敢に戦っていた戦士とは思えない声を上げながら治療を受けていた。盾を持っていた左腕にヒビが、最後に攻撃を食らった左足の甲が折れていた。正に辛勝といった様子であるが、大怪我という訳ではないため回復魔法を受けて適切な処置をしてもらった後はある程度自由に動けるだろう。少なくともアイリスの最終試合には間に合うはず…それを聞けばホッとした様子を見せて。因みにアルバートの試合結果は48分34秒、そこまで早くもなく遅すぎるということもない成績、寧ろ左足のアクシデントを考えればそれなりだろう。ただアイリスとの約束的には大いに不安の残る、そんな成績だった──)
(/2回に分けて書こうかと思いましたが1回にまとめてみました!見づらい点があったら申し訳ないです。アイリスちゃんは果たしてこの微妙な成績を超えられるのか!乞うご期待、しておきます!←)
(試合開始の笛をアイリスは関係者スペースから聞いていた、試験場の全てが見渡せる特等席だ。アルバートの試験は激しいと同時に楽しいものだった。共に行った特訓の成果が見えることもアイリスにとっては勿論楽しいが、そもそも街中をパルクールのように走り回るアルバートはギルドの外でも知名度と人気が高い。その気さくな性格も手伝って街中から微笑ましく長年見守られていた彼が、この最後の試験を受けるとなれば、そもそも最初から観客の多くは彼のファンのようなものだ。応援も身内からのような楽しげなものが多く、好意的で笑い声が絶えない。攻撃を受けた時でさえ、叱責ではなく純粋な心配や応援が投げかけられ、盾を投げて飛び上がった時など会場中大興奮だ。敵を切り伏せるだけではない、ギルドへの親近感を沸かせ、依頼をスムーズにこなすため彼の人気はギルドにとって大きな財産になるだろう。モンスターが地面に沈む衝撃音は、街中から愛される冒険者の誕生を派手に彩るようだった。)
そうですか、ありがとうございます。
(あれからアルバートの時ほどとはいかずとも、大いに観客をわかせながら試験は進行した。中にはモンスターに嬲られ精鋭に助けられた受験者もおり、あのモンスターの強さが伊達では無いことが証明される。試験後からずっと医務室前でアルバートの帰りを待っていたが、とうとう自分の番がやってきてしまい試験前に顔を見ることが叶わないまま待機場所へ。アイリスの試験までには医務室を出られるだろうという事だったので、ひとまず安心し試験に集中することが出来た。)
(試験場の真ん中に立ちモンスターの檻を前にして、あの素晴らしい立ち会いを見せてくれたアルバートのライバルに何かを期待した観客のざわつきが煩わしく耳に響く。生まれた時からギルドで育ったアイリスは、街の人々からの信頼がいかにギルドにとって大事か身に染みている。信用のない人間が武器を持つことを人々は良しとしない、良き冒険者は信頼される人物でなくてはならない。誰からも愛されるライバルのようには振る舞えない自分が、勝ち取れる唯一の信頼は"親方の娘"として常に同期の誰よりも優秀であることだ。自分の夢の為ならば、親の威光でもなんでも利用して、今ここでハッキリと観客達に自分が今日の誰よりも、アンタたちが大好きなアルバートよりも優秀であることを見せつけてやる。レイピアを抜いて音を立てて振るうと、檻の中のモンスターのギラギラしたそれと目があった。)
3,2,1……
(タイミングを合わせるように、カウントダウンに合わせて自分でもカウントを呟く。笛の音と同時に檻を開けられたモンスターとアイリスがお互いに向かって突進し距離を詰める。魔法を込めて地面を蹴るアイリスの速度は確かに人間としては逸脱したものであったが、そもそも体躯からして巨大なモンスターにとっては対応できないほどではない。モンスターが頭を振り下ろしてアイリスを噛み砕く、と思われた直前でアイリスが速度を落としたことでモンスターが空を噛み、狙いやすい位置に下げてくれた目をアイリスのレイピアが突き刺した。もしアイリスがただ足を止めただけならばモンスターは気づいたはずだ、それを見越してアイリスは初っ端から魔法を使って全力で走り、フォームはそのままに魔法を切って速度だけを落としタイミングをずらしたのだ。悶絶したモンスターが頭を無茶苦茶に振ったことでレイピアが目から抜けて、体が上空に投げ出される。それがどうした、暴走した魔法で吹き飛ばされて生垣に突っ込む時よりよっぽど威力も方向も予測可能な範疇だ。そのままモンスターの背後に着地すると、姿勢を限りなく低くしてモンスターの足元を一閃。自分より大きい相手と戦う時の戦術は、何度も手合わせしてきたアルバートの十八番だ。案の定背後から足元を切り込まれたモンスターの体が傾いたが、右側を下にして倒れこんだモンスターの左側から切りつけたアイリスの剣はその脚を掠っただけのように見えた。すぐに立ち上がったモンスターにそれ以上の追撃はせず、飛び退いて距離をとる。高度な魔法も、見えなければ一般の観客には伝わらない。脚はかなり早いようだが魔法戦士でありながら魔法も使わず、先程からモンスターがタイミングをミスしたり、たまたま背後に飛ばしてくれたから足元をすくえたり、それも狙いをはずし掠っただけ、幸運なだけで地味な彼女に観客のテンションが下がっていく。)
大型モンスターの命は自重を支える脚であるってね。
(今朝の試験と対照的に野次すら飛び始めた試験場に、左の脚の健から血を吹き出したモンスターが先程とは反対側に倒れ込んだ音が響き、その野次を黙らせる。1回目に倒れた時に自重で右足も痛めただろう、今度はすぐには立ち上がれずにもがくモンスターに助走をつけて近づくと剣を振り上げる、今度は観客でも確実に魔法だとわかるだろうほど遥か遥か高く跳躍するとその首を狙って剣を振り下ろした。
しんと静まり返った会場が、試合終了の笛によって正気を取り戻したかのように大トリに相応しい温度を持って沸く。モンスターと観客に向けて優雅にお辞儀をしてから、今日の誰より早いタイムをたたき出し、軽やかな足取りで試験場を後にした優等生は、観客の目が届かないバックグラウンドに足を踏み入れた瞬間、意識を失って冷たい地面に向かって倒れていった。
アイリスの武器は剣と魔法だけではない、むしろ執拗なまでに情報を調べ対策をねる執念が、力も体力も男に劣る彼女をここまで支えてきた。その彼女にとって敵の正体が判明し、しかも一体のみというこの試験の条件は相性がよく、今日のモンスターの強みや急所は調べ尽くし頭に叩き込んであった。この1週間で更にあの魔法を磨いて判明した弱点に、体力の消費が著しいというものがあった。足の防御とともに爆発を狙った威力で、しかもそれを足で行う集中力を考えれば当然だろう。長期戦に持ち込めば勝ち目はないと判断したアイリスは、考えうる全てのシナリオを作り上げて試験に及んだ。自分の体力と魔法の限界、獲物の距離と速度を判断し噛み付いてくる賢さ、急所である目をどのように狙うか、暴れた時の首の可動域に、足回りの筋肉の位置。このまま倒れても医務室に運ばれ、目を覚まして体力の問題だと分かれば帰してもらえるだろう。でも、この期に及んで気になるのはアルバートとの賭けのことで、医務室に運ばれたら出店は許して貰えないだろうなと地面に叩きつけられるまでぼんやりとそれだけを考えていた。)
(/熱い戦いに長さに気づかないほど一気に読みこんでしまうほど、とっても読みやすかったです。こちらこそ更に長くなってしまい、拙い点も多く申し訳ございません。アイリスはこの後何がなんでも出店に行きたがると思うので、アルバート君に食い意地が張ってると思われそうですね←)
ああ、良かった。間に合ったぜ……
(松葉杖を付きながら急いで会場へ向かい。関係者スペースに辿り着いたのは、丁度カウントダウンが始まったタイミングで。ホッとしながら椅子に座り、ライバルの試合に集中する。既に自分の試合が勝利で終わっているためか、その表情には余裕と安堵が浮かんでいた。しかし、アイリスの動きを見た瞬間表情は一変する。恐らく観客は気付いていないが、普段から一緒に居るアルバートや、聡い他のギルド団員なら気付いているだろう、今のアイリスの、動きの異常さに)
アイツ…跳ぶだけじゃなくてそんな所にまで…!
(アイリスは魔法剣士であり、その魔法の使い方は昔から巧みだった。前に手合わせした時も、ここぞと言うタイミングでフラッシュを使う、そしてこの一ヶ月は足元をカバーしながら魔法で大きく跳躍する等、派手さはないが実用的で的確だった。そして今、アイリスの動きは傍目には地味だが分かる人間にとっては恐ろしさすら感じさせるものだった。通常人間はスピードを緩める際それが動きに現れる。勿論単なるフェイントとしてそれも十分有効であるが、アイリスのそれは1段階上、「動きを変えず動きに緩急をつける」これをやられてしまえばどんなモンスターも、或いは相手する人間もお手上げだろう。最初はアイリスの試合を楽しむつもりだったが、いつの間にかその動きにアルバート自身も圧倒されていて。自分ならこう対応するだろう、こう対策するだろうと、次にアイリスと勝負する際の自分の動きのシミュレーションを真剣に始めていて。一見地味な戦いのため、観客から野次も飛ぶが、それすら耳に入らないほどアイリスの動きの観察に集中していて)
凄え……!あ、いってぇ……
(そして決着が付く。その頃には流石に観客も、自分を含めた今までの受験者が散々苦戦した敵を翻弄するアイリスの動きに対し驚愕し、惜しみのない称賛を送っていた。自身もそれは変わらず、思わず立ち上がって拍手をしてしまうが、それが傷に響いてしまい涙目になっていた。ともかく、直接この気持ちを伝えようと慌てて松葉杖を取ってアイリスの元へ向かう。しかしアイリスの元にたどり着くも、そこには倒れ込み医務室に運ばれるアイリスの姿があって)
……そう、だよな。アレだけの動きして身体が無事なわけ……なぁ、アイリス。やっぱお前、すげえよ……
(華麗で誰よりも早く、まるで苦もなく打ち払ったかのように思えたそれも、実際にはギリギリだったのだ。人体には無茶な動きをすればこうなる事は必然であり、改めてアイリスの凄さがどこにあるのかを思い知る。やると決めたら絶対にやり遂げる、鋼とも呼べる意思の強さ…運ばれるアイリスに付き添い、その目が覚めるまで一緒に居ることにして──)
──だからダメだって言われただろ?今日はもう一日安静だって。え?タイム負けたから僻んでるって……べ、別にそれ関係ねえし!大体左足のアクシデント無かったら絶対お前より早く倒せてたっつーの!
(そしてその後、目を覚ましたアイリスと医務室にてギャーギャー騒ぐ二人の様子が見受けられた。出店に行きたいというアイリスに、駄目だというアルバート。アルバート本人はこう言ってるけど、多分タイムで負けたことは相当根に持って悔しがっていると思われる。あと別に左足の件が無くても絶対タイムは負けてた)
大体なんでそこまで出店に行きたいんだよ……お前って、結構食い意地張ってたんだな。いやまぁ気持ちは分かるけど……
(デートなんて微塵も思っていないためだろうか、相手のどうしても出店に行きたいという気持ちが「食い意地」からという認識になっていて。うんうんと同意するように深く頷きながらも、賭けは賭けだし、何か別の埋め合わせをと考えて)
じゃ代わりに今度どっかアイリスの行きたい所行こうぜ、そこで俺が奢るからさ。それでどうだ?
(そして結局デートの約束である。騒ぐ彼らをヤレヤレと眺めていた医務室のおばちゃんが、若いねぇとニヤニヤしながら此方を見ている気がする)
(/めちゃくちゃアイリスちゃんカッコいいですね……最後に弱いところを周りに見せたくないという所まで含めてイケメン過ぎますね……
そして少し勝手にキャラを動かしてしまいましたが、大丈夫でしょうか?もし気になったら書き直しますので!)
行く!行きたい、約束よ!絶対だからね。
(目覚めた第一声から「出店……」で医務室中から怒られた。倒れる前の予想通り帰宅は認められたが、まっすぐ帰ることと一日安静にすることが条件、話を聞きつけたらしい父から片付けが終われば迎えに行くからそこで待っていろと伝言で念を押され逃げることも叶わず、本人のアルバートにまで叱られれば完全に拗ねて嫌味のひとつも言ってやりたくなるのが人情で。周りの目も気にせずにグズグズと騒いでいたが、アルバートに多少理由が的外れながらもデートに誘われればみるみる機嫌を治して目を輝かせる。ベッド脇のテーブルに手を着いて身を乗り出すと、真っ直ぐに見つめて念を押す程の力の入りようで。そうして少し落ち着くといつもの調子が戻ってきたようで、ベッドに大人しく戻りながらアルバートの松葉杖に目を止める。)
あ、でも……アンタの足がこれじゃあしばらく先になるかしら。それにしても、1週間でとても強くなってて驚いた。
(アルバートの足を見て試験を思い出すと、先程までの子供っぽい態度はなりを潜め、今日の試験についていつもの特訓の時のような分析が出る、それ以外も観客席の反応やら色々、本当は自分の試験の前に話したくて仕方なかったことをやっと口にすることが出来た。疲れや冷めやらぬ興奮などから少し素直になっているようで、珍しく手放しの褒め言葉が並び、極めつけにアルバートの手をとるとそれは嬉しそうにほほえんで、最大級の賛辞を。)
私、今日何度もアルバートのライバルなのが誇らしいっておもったわ。
(/ありがとうございます。此方の意図を正確に読み取っていただけて嬉しいです。
勿論大丈夫ですよ!試験が終わったら渓谷に行く前にデートもやってみたいな、とか思ってます←)
あ、ああ……まぁ怪我も実戦に戻るのがちょっと長いくらいで、どっかに出かけるくらいなら2週間もすりゃ大丈夫って言われてるしな、そう待たせることはないと思うぜ
(怪我の具合に関しては、腕はあくまでヒビだけで、足の怪我も、折れた部位が足の甲ということもあってそこまでの大事には至らなかった。とはいえ骨折は骨折、医療魔法を用いても完治までには1ヶ月ほどかかり、その間動けないのはもどかしい。そんな中誰かと出掛ける予定が作れたのは嬉しいことである。その反面、かなり食いつきがいいのを見て果たしてどこへ行ってどんなものを奢るのだろうか…という若干の恐怖もあった)
ああ、それもこれも全部アイリスのおかげだよ。アイリスが教えてくれたから俺はこうやって……ッ…それは、凄え嬉しいな……
(それを全て可能にしてくれたのは他でもないアイリスの存在があったからこそだった。丁寧な指導も、切磋琢磨していくライバルとしての存在も、自分にとってかけがえのない物である。それを担ってくれるアイリスあっての自分という自覚がより強くなってくる。そんな中、いつも以上に優しく柔らかな笑顔を向けてくれるアイリスが自分の手を握ってくれる姿、そしてライバルとして自分を賛辞してくれる姿に、今まで気付かなかったトキメキのようなものを感じて。ドクンと少し心拍数が上がり、頬が赤くなる。それを何となく悟られたくなくて、ぎゅっと手を握り返しながら俯く。傍目には褒められて照れているようにも見えるかもしれない)
そ、それに…俺も今日のアイリスの戦い振りを見て、ずっと凄いって感じてた。あんな高い技術と、誰よりも強い意思を持ったアイリスがライバルで居てくれたから俺はここまで来れたし……これからも、そんなアイリスと一緒なら二人でどこまでも行けるって、そう思ったんだ。
(照れ隠しのように自分の話題から逸れて、お返しにアイリスに対して今日思ったことを素直に告げる。話していくうちの顔の赤さも消え徐々に顔を上げていき、最後にはニッと笑みを浮かべながら同じようにアイリスへの惜しみない賛辞と自分の気持ちを送って)
(/では次は2週間後くらいにデートへ行くという場面からやっていきましょう!……アルバートはちゃんと女の子との外行き用の服とか持ってるのかな…←)
うん、ありがとう、嬉しい……
(手を握り返されれば今度はアイリスが赤くなる番で、アルバートの言葉に同じように俯いてはにかむとしおらしく小さな声で上記。自分から始めたこの会話に何を続ければいいのかわからなくなって、それでも終わらせるのがおしくて、少しかさついた身長の割に大きい手を離せずにいたところで、「待たせたな!」と医務室の扉がやかましく開いた。どうやら片付けを終えて上機嫌らしい父がズカズカと医務室に入りこみ、元々そこまで広くない医務室が大男が増えたせいでさらに狭くなる。あまりのタイミングに手を離すことも忘れ固まっていると例のごとくデリカシーの欠片もない口が開いて「なんだ、とうとうくっついたのか?」普段であれば最後まで言わせはしないが、疲労の蓄積した体ではそれも叶わず、悲鳴をあげながら寝具に顔をつっ伏すしか無かった。)
違います!!!!!!!!!
いえ、人と待ち合わせしてるので……
(遠慮するアルバートと共に問答無用で父に担がれて帰ったあの日から2週間後の土曜日、試験の合格発表を明後日に控えて、今日はアルバートと出店の代わりに約束したお出かけの日で。あれから怪我をしたアルバートは勿論、アイリスも自分の限界を見極めずに動いたことを親方にこってり絞られ、合格発表の日までは依頼は当然のこと、訓練も体力を落とさないレベルのもの以上は禁止され暇を持て余している日々だった。それ故に久しぶりの訓練場以外への外出もあってかなり上機嫌で家を出たのが今朝のこと。アイリスがアルバートとのお出かけ先に選んだのは、ギルドの近くで週末に行われているマルシェ、日用品や雑貨以外にも、食べ歩けるような料理の店が多く並ぶ賑やかなもので、噴水広場での待ち合わせに30分近く早く着いてしまったアイリスはそれはベタなテンプレのナンパに絡まれていた。膝上丈の可愛らしいがマルシェの雰囲気にあった気合いのはいりすぎないラフなワンピース(家中のワードローブをひっくり返してあーでもないこーでもないと大騒ぎして選び抜いたとっておきだ)に下ろした長い髪の綺麗な少女が、あまりの執拗さにそろそろ自分の方の身の安全を確かめた方がいいほど拳をキツく握っているとはナンパも気付いてないのだろう。)
(/ありがとうございます。
デートの途中に、暴漢かひったくりを追って入った路地とかで、謎の組織の下っ端に遭遇するというのを考えたのですが如何でしょうか?魔力のある子供を誘拐しかけていたとか、直接対峙しなくてもモンスターを凶暴化させる実験をしてる連中の噂を聞くとか、渓谷に行った時になにかヒントになる情報をここで得ておくのはアリかなと思いまして。イチャイチャも、お互いの体調が万全でない状態で協力するライバルも、メインストーリーも盛り込めるかなと、勿論ただのイチャイチャデートも大歓迎ですので(´ー`))
(親方にくっついたのか、と言われるもアルバートはやはりどういう意味か気付いておらず。その場は同じように親方に連れられて帰っていった。しかしその後、治療のため週に一度訪れる医務室において、「彼女とのデートまでに治さないとね」なんてことを言われようやく親方の発言の意図を知る。但しそれでもやはり当人に自覚は無い様子で、その場では「いやいやそんなんじゃ無いって」と照れた様子もなくあっけらかんと否定する。だが、宿舎の自室に戻ってふとこの前医務室で見たアイリスのしおらしい態度や表情を思い出し、それを先程の彼女発言と重ねると、さしものアルバートも少し顔を赤くし、モヤモヤとした何か不思議な感情が胸を締め付ける気がしていて。ブンブンと頭を振ってしまえば振り払えるだけまだ幼い感情ではあるが、確かに『それ』はアルバートの中に芽吹いている様子だった。
因みに──回復系の魔法には、通常の回復魔法、医者の使う医療魔法と、僧侶の使う治癒魔法、大きく分けてこの3つが存在している。回復魔法は失った体力を元に戻したり、痛みを和らげる魔法。医療魔法は患部の治療促進を促すいわば薬のようなもの。そして僧侶の使う治癒魔法は上記の回復魔法と医療魔法、両方の効果を有しており、更に神の加護を受けた肉体に対してはその効果が増大し、通常であれば数ヶ月の入院が必要な怪我も立ちどころに治してしまうとされていて、少人数の勇者パーティーが大戦果を挙げるもっとも大きな要因は、この神の加護による治癒能力促進にあると言われている。僧侶の治癒魔法がしばしば『奇跡』と呼ばれる理由もそこにある。──メ=ラタデ書房刊「回復系魔法の歴史」より)
(動けない間は(普段本に興味がないアルバートでも笑いながら読めるレベルの)そんなくだらない本を読んでいたこともあり、アイリスとデートの時のネタにでもなれば良いなと思いながら……いや、デートではない、単に一緒に遊びに行くだけだ、決してデートでは……そんな謎の葛藤をしつつも当日。胸元に紐のついたレースアップのシャツという無難な格好を選択、まぁそもそも他に外行き用の服が無かっただけであるが。髪型は普段よりしっかり整えることを意識し、少なくともアイリスに手直しして貰わなくとも大丈夫な状態にして。そしてソワソワする気持ちを抑えられず、少し早めであるが20分前くらいに付くよう宿舎を出て待ち合わせ場所に向かって)
ん?アレは……
(待ち合わせ場所に近づくも、どうやらまだアイリスは来ていない様子だった。代わりにストレートヘアーの見知らぬ綺麗な少女が、ナンパ男達に絡まれているのを発見する。見るからにその少女は困っているようで、見かねたアルバートが急いでその少女と男達の間に割って入って)
お前らやめろよ、その子困ってるだろ!
(背丈こそ無いものの、普段から戦いの中に身を置くアルバートにとってナンパな男を威圧し引かせる事は造作もないことだった。男達が引いたあと、ふぅっと一息付きながら「大丈夫だったか?」と振り向くと、そこには先程まで別人だと思っていた幼馴染の姿があった)
え、あれ…アイリス?
(少し離れたところから慌てて駆けつけたためちゃんと見ることが出来なかったとはいえ、いつもなら間違えることは無かったであろうが、髪を下ろしているのと、いつも以上に女性らしい格好と雰囲気が見間違えさせたのか。無論普段もかなりの美人であり女性としての魅力に溢れているが、今の彼女はそれよりも綺麗だった。それこそ間違えてしまうくらいに)
あ、わ、わりぃ……その、凄く綺麗で……
(一瞬見惚れて反応出来なくなっていたが、2週間前から少しずつアイリスに対して感じていた淡い気持ちと相まって顔を赤くして、そのうち直視できなくなる。頬を掻きつつ、ひとまずは別人と間違えてしまったことを謝罪しつつその理由を述べて)
(/おお、良いですね!末端が人の目につくと、それくらい組織が拡大しているって感じがしますね。
魔力のある子供が誘拐されているのを助けて、最近子供だけでなく魔力の強い人が度々拐われる事件が起こっており、その拐われた人が何故か北の渓谷で見つかったりっていう話を聞くとか。そういう感じでどうでしょう?勿論前後でイチャイチャもしつつ←)
は、え?……な、何言って、、その、ありがと……その、アルバートも、?ッなんでもない!!
(それがあと1秒でも遅れていれば、自慢の右ストレートをナンパの顔にお見舞してやるところだったが、スレスレで聞きなれた声が聞こえてその拳を下ろす。好きな人にナンパから救ってもらうという胸きゅん必至なシチュエーションであったが、此方も戦い慣れた身であり残念ながらイマイチ響いてない様子で、むしろアルバートの"この子"などのどこか他人行儀な様子に意識を取られていたらしい。どうやら自分だと気づいていなかったらしいと察すると少し機嫌が悪くなったが、その理由はほかの女の子に優しくするアルバートを想像して嫉妬したためである。アルバートの普段見なれていない仕事服以外の服が新鮮に映って、こんな彼に助けられたら好きになる子も絶対いると思えば胸が痛んだ。しかしその彼の間違えた訳を耳にするとみるみる真っ赤になって、口をパクパクさせる。なんとか尻すぼみな感謝を口にしたがとうとう耐えきれなくなってプイと視線を逸らすと、マルシェのある通りの方へ向けて、アルバートの手をとってずんずん歩き出す。それが医務室にいた時と同じ手だと気付くのにはしばらく時間がかかりそうだ。)
ほら!さっさと行こ!!売り切れちゃう!
(/良いですね!それではその方向でよろしくお願いいたします。)
お、おう!そうだな!
(いつの間にか二人に漂う甘い空気。それは決して嫌な物ではなく、寧ろ居心地の良いものであるがどこかむず痒い。そんななんとも言えない状況を振り払うようにアイリスから引っ張られると、フッといつもの二人に戻ったような気になって。心に去来するのは安堵、そして少し残念なような気持ち。後者には気づかないまま二人並んでマルシェを歩いていれば、その様々な物が置いてある楽しい空間に、次第に心を踊らせていく。もしかしたら誘った側のアイリスよりも興奮しているかもしれない)
これ凄いな、こんな料理見たことない……あ、アッチもなんか変わったもん置いてある!行ってみようぜアイリス!
(大勢の人混みのなか、並ぶ屋台に興奮しっぱなしで。元々こういう場所が好きなタイプであったが、お祭りの時の屋台とは違うそのラインナップに子供のようにはしゃいで居て。いつしか引っ張る側がアイリスではなくアルバートになっていたが、そのことに気づかないまま種々多様な屋台を見ては目を輝かせていて)
──ん?アレは………待て!!
(そんな風に半ばアイリスを振り回しながら屋台巡りを楽しんでいると、突然叫び声が聞こえてくる。「ひったくりー!」という高い女性の声だ。声のする方を見れば、男が女性物のカバンを抱えて走り去っているところで。見過ごす訳には行かないと、アイリスとアイコンタクトをすればその場から走り出して。人混みで中々上手く進めないが、ここはギルド近くの通り、子供の頃アイリスといつも遊んでいた二人にとっては勝手知ったる庭のような場所だ。アルバートが男を追いかけて、アイリスは違う道から男を路地裏で挟み撃ちにする、さっきのアイコンタクトはそういう算段で送ったもので。まさに阿吽の呼吸といったところ)
こら、前見なさい!
(マルシェの人混みの中をはしゃぐアルバートを窘めるアイリスだが、内心は引っ張られる手の温度や、周りからカップルに見えるかも、などマルシェとはまた違った理由でいっぱいいっぱいになっていて。色々な屋台によそ見している窘めつつもずっと頬を上気させてホクホクと嬉しそうについてまわっていただけに、空気を読まないひったくりへの憎悪は私情が大いにからんだ激しいものだった。アルバートのアイコンタクトに応じて路地へ飛び込むと、低くとび出たベランダや乱雑したガラクタを器用にくぐり飛び越えて、時には壁を登って駆け抜ける。街の外での活動が多いとはいえ、ギルドの冒険者は市街での戦闘すらも想定した訓練を叩き込まれる、ましてや完全なギルドのホームで小悪党を逃がすような2人ではない。ものの数分で逃げ場のない1本の路地でアルバートに追われるひったくりと正面から鉢合わせすれば、そのまま速度を緩めることなく自慢の飛び蹴りをお見舞いしてやった、いやしてしまったという方が正しいかもしれない、今日の自分の格好を忘れて。顔面にしっかりとくらって気を失ったひったくりはともかく、だいぶ追いついたとはいえ少し離れた距離にいたアルバートにはバッチリだろう、何とは言わないが。)
……ったく、このまま憲兵に突き出してやりましょ。
(自分のやらかしには気づかずに気を失ったひったくりを転がしてカバンを取り上げ、ゴミ捨て場から拝借した縄で縛り始める。せっかくのデートの時間を邪魔されたが、今からコイツを引き渡してすぐに戻ればまだ時間はあるだろう。ふと顔をあげると、アルバートの後ろで小さな子供が猫を撫でているのが目に入る。身なりやお世辞にも治安のいいとは言えない場所からも、貧民層の子供だろう、もしかしたら孤児かもしれない。どの街にも暗い側面はあるものだ。アイリスにも思うところはあるが、いちいち手を差し伸べていたらキリがない、せめてひったくりを引き渡すついでにもう少し治安のいい場所へ誘導してから戻ろうかと考えて、アルバートに視線で背後をさして提案しかけた瞬間、子供の背後からにゅっと大きな手が伸びて子供の口を覆うのが見えた。あっけないほど静かに路地の影に引きずり込まれた子供に一瞬目を疑うが、明らかにその足が目が助けを求めて暴れていて)
アルバート!後ろ!!走れ!!!
(詳細を説明している暇はない、あの角まで走ればすぐだ。その姿を見れば誘拐だとすぐわかるだろう。まだひったくりを縛り終わっていないため、多少雑になってしまうが焦って結びながらアルバートに叫んで。)
見えっ!?………あ、いや、じゃちょっと行ってきマス
(──白、か。一瞬見えた桃源郷の景色に思わず心奪われるも、すぐさま表情を切り替える。見えたのがバレればまず間違いなくあの飛び蹴りを自分も喰らうことになるだろうから。紐で縛り付けているアイリスの言葉にぎこちないまま頷けば、路地を出て憲兵を呼びに行こうと歩き出すが)
えっ…わ、わかった!
(突然叫ばれては驚きつつも、その声色に尋常じゃないものを感じ言われたとおりに後ろへ走り出す。するとそこには黒尽くめの男が、明らかに嫌がり離れようと暴れている子供を抱えて連れ去ろうとしている所を発見して)
ッ!?何してんだテメエ!
(その姿に激昂し、拳を握りしめれば迷わず男を殴り飛ばす。子供を抱えていたということもあってか男は避けきれず、たまらず子供を持っていた手を離して。しかしそこまで効いた様子も無いまま直ぐに立ち上がると、軽い身のこなしであっという間に路地の闇に消えていって。慌てて追いかけようとするも、先程の全力疾走に加えてまだ完治していない左足がズキッと痛んでしまい、ギリッと歯を食いしばり悔しそうにして……ひとまず助けた子供と先程捕まえた男を連れて、憲兵の元へと向かって)
(ひったくり犯を憲兵に突き出し、子供に関してはやはり孤児だったらしく、彼に関してはひったくりに合った女性が助けてくれたお礼にと代わりに教会まで連れて行ってくれることになって。一先ず問題が解決したものの、先程の黒尽くめの男のことが気になり、何かあるのかもと思い憲兵とアイリスに話すことにして)
…明らかにただの誘拐犯って感じじゃなくてさ。それにあの身のこなしは、何か特殊な訓練を受けているとしか思えない…
(と、軽くアルバートが説明をすると今度は憲兵が何か考え込むような仕草を見せて。そして神妙な面持ちで「実は最近、街で子供大人含めて失踪しているが増えていて…」という話を始めて。それを聞く限りではやはりあの黒尽くめの男は、その事件と関わり合いが深いように思えて)
そんな事があったなんてな…くっそ、あの時俺がアイツを捕まえてれば……
(憲兵と別れ、少し浮かない気分になりつつ街中を歩いていて。再びあの黒尽くめの男を思い出せば、取り逃したことを悔やんでいて)
……アイリスはこの事、どう思う?可能性としては奴隷商人が売るために拐ってるとかだけど……拐われてるのは子供だけじゃないんだよな
(可能性の一つとして奴隷商人による人拐いを考えてみる。嫌な話であるが、現実として無い話ではなく。しかしその場合、抵抗されたり逃げ出される可能性の高い大人まで拐うというのは考えにくいことで。そもそも問題になるほど失踪が相次いで居るのなら奴隷商人レベルではない、何かもっと大きなものが背後に蠢いているような気がして)
痛いところはないかな?触るよー。
(一足遅れて角を曲がるとアルバートに1発入れられた誘拐犯が起き上がるところだった、アルバートに変わって影を追って角を曲がるも、その姿は既に霧のように消えてしまっていた。
仕方なく2人の元に戻ってくれば落とされて蹲っている子供の脇に屈み、怪我がないことを確認してからその体を持って立たせてやる。やっと状況を把握した子供がわっと泣き始めると汚れるのも構わず抱き寄せる。話を聞くと、同じように孤児だった姉がいつからか帰って来なくなってしまい、最後の目撃情報があったこの場所へ来れば会えるかもしれないと考えたらしい。「姉ちゃんも俺も、魔法が使えるから。」と、姉が炎や安全な水を売り、彼は小さな傷なら癒すことが出来るそうで、姉弟2人で細々と暮らしていたらしい。やっと落ち着いた彼に教会の話をすると頷くのを確認し、立ち上がると手を繋ぐ。少し時間がかかってしまい、焦って縄がくい込むのも構わず縛り上げ治安の悪い場所に転がしたままだったひったくりが泣きわめいていた。)
奴隷商人ね……確かに魔法が使える孤児は確かに高く売れるらしいけど……
(正直、裏通りとはいえ土地勘のある場所で撒かれたことにはアイリスも驚いたため、アルバートの訓練を受けた者という意見を強調するように頷いておいた。道を歩きながらアルバートと同じように悔しそうな表情で俯き、女性に手を引かれていく際、最後に振り返った子供の「姉ちゃんが見つかったら俺は教会にいるって言ってくれ」という言葉を思い出して唇を噛んだ。)
……失踪した人達の記録がギルドにあるはずよ。共通点とかあれば防げるかも。
(もはやデートどころでは無くなってしまい、完全に冒険者モードで思案しながら、アルバートに手を差し出す。路地裏の時点で彼の足に気づいて気になっていたのだが、冒険者として子供の安全や憲兵の聞き取りを優先せざるを得なかった。ギルドの方にも医務室はあるため、どっちにしろこのままギルドに向かえばいいだろう、運が良ければ失踪について調べている仲間もいるかもしれない。勿論さしだした手も下記の言葉も100%純粋な心配からであることは確かである。)
ついでに医務室ね。その足、渓谷探索に間に合わなかったら親方達に迷惑でしょ。
ああ、これ以上好きにさせてたまるか…!
(彼らの存在は自分にとってそう遠いものでは無かった。両親の遺産や周りの皆の厚意によりああいった境遇にこそならなかったものの、孤児として、両親の居ない寂しさ、辛さは痛いほど分かる。そんな彼らを更に傷付けるようなこの事態に憤りを覚え、胸元の琥珀のネックレスをぎゅっと握っていると、ふと目の前に手が差し出されているのに気付いて)
あっ……そうだな。先に医務室に行くか
(アイリスの此方を心配する言葉に熱くなっていた頭が少し冷える。冷静さを取り戻せば、いつも自分を支えてくれるその手を取り、一緒にギルドの医務室へと向かって)
(医務室で検査を受けたところ、幸い今回は足に異常は無かったものの無理をさせるなと注意を受けて。包帯の取替と軽いケアを行ってから医務室を後にした。それから様々な書類や記録を保存してあるギルドの資料室へと向かい、そこでここ最近の失踪者について調べることに。調べた結果、ここ数ヶ月での失踪者の数が例年よりも多く、年齢や住んでる場所、拐われた時間はバラバラであるが、共通点としては拐われた人の多くが魔法関係の仕事をしている人や魔法学校に通う子供であるという点が挙げられて。記録に残るだけでもそれだけと言うことは、先程の孤児のように身よりのない子供で魔法の使える子が更に多く拐われているのは想像に難くない)
いつの間にこんな…
(そうやって調べていると、丁度事務員の一人が入ってきて何をしているのか尋ねられ、最近の失踪事件についてと伝えると少し驚いた顔をしつつ「実はそのことでお達しがあって、ギルドの掲示板にも張り紙を貼ってきたところなの」と伝えられる。張り紙の内容は、魔法を使える人の失踪事件が相次いで居ることについて、外に出るときは注意するように等々…といった注意喚起のもので)
どうも憲兵側も事態を重く見てるみたいだな…これで少しは被害が減るといいんだけどな……
そうね、裏通りの方もパトロールしてくれるって言ってたし抑止力になるといいんだけど……
(自分で言いながらあの誘拐犯の動きを思い出せば、あまり本気でそうなるとは思えずに表情が晴れない。本当に解決するためにはやはり犯人を捕まえるしかないだろう。慣れた様子で失踪以外の資料も手に取りながら、アルバートもいるため手早く資料からめぼしい情報を自分の手帳にメモしていく、後でまた1人でゆっくり調べ直しにこよう。)
……?これ、場所間違ってない?
(その中の一冊、失踪者のファイルでも解決済み、つまり発見されたり帰ってきた人達のファイルを捲っている手を止めて首を捻る。それは丁度失踪者の増え始めた時期に失踪し、先月見つかった魔導武器の鍛治職人の記録で、ギルドのメンバーに声をかけられると発狂したように暴れ回り、威力の高い魔法を連発し昏倒、まだ意識を取り戻していないらしい。取り押さえる際に此方に軽傷者を出したと追記がある。気になる点はいくつもあるが、間違っているのではと首を傾げたのは、声をかけた場所があの北の渓谷となっていて。渓谷はそのエリア自体も勿論極めて危険な場所だが、そこにたどり着くまでにも危険度の低くないエリアを通らねばならず、一般人がそうそう迷い込める場所ではない。また同じ魔法使いといえど、このギルドに属する魔法使い達と職人系の魔法使いの得意とする魔法は違う。昏倒して一月も目を覚まさないほどの威力の魔法を、そもそも使えることに、そして敵意がなかったとはいえギルドの冒険者に怪我をさせる程の動きをしていたとが俄に信じられない。)
あ、発見した部隊父さんのところだ。……聞きくる?
(そもそも渓谷に立ち入れる部隊が限られているのでもしやと確認すれば、やはりページの最後の報告者の欄に知っている名前を見つけて、ギルドの天井つまり2階を指し示す。)
え?あ……ホントだ。なんでこんな場所に…?
(先程のこともあって失踪事件は殆ど誘拐が絡んだものであることが考えられる。誘拐…身代金目的でも無ければ奴隷として売るとか、強制労働で働かせるとか、そう言ったイメージがあるが、今見ている解決済のそれは全くもって不可思議だった。他の失踪(誘拐)とはまた別の内容なのか、それとも……考えてもあまり関連性は見えてこない。しかし、『発狂して』『魔法を連発』という部分にどこか引っかかるものがあり、アイリスの提案に頷き、今日も親方の話を聞くに行くことにして)
……そういやアイリスが飯作ったりすることってあるの?なんかあんま家に居るときのアイリスって想像出来ないんだよな
(そんなこんなで本日もアイリス宅にて夕飯をごちそうになることに。自分達は休みだったが親方はまだ仕事中であり、そしてアイリスのお母さん、もといおばさんは現在食卓で夕飯の準備をしてくれている。なのでダイニングルームでアイリスと二人、何気ない会話を交わしていると、ふと気になったことを聞いてみる。仲間・ライバルとしての彼女、或いは友人・幼馴染としての彼女のことはよく知っているが、家で何をしているかというプライベートなことはあまり知らない。今までのアルバートならあまりそう言ったことは知ろうとはしなかったが、今は多少心境に変化が訪れているらしいことが伺える)
(/レスが遅れて申し訳ありません。
私情で申し訳ないのですがリアルの方が忙しく、月曜日にお返事致します。これからも週末は返信が不確実になってしまうのですが、平日にはいつも通りの頻度で返事ができると思います。
いつも本当に楽しませていただいて、暇さえあればトピックを覗いてページの更新を連打する毎日です。
本当に毎回素敵なレスをいただくので、こちらも未熟ではありますができるだけクオリティを保って返信をしたくお時間を頂けると幸いです、よろしければ今後もお付き合いお願いいたします。)
(/ペースに関して了解です!クオリティに関してはいつもいつも感心するばかりで、寧ろこちらの方が果たしてそれに合わせられているのか度々不安で、朝も起きれません←
こちらこそコレからもお相手をお願いしたく思っております!週一ペースでも満足なくらいですからお気になさらず、また返事をくださると嬉しいです!)
えっ!?あ、その……あんまりない、わね。
その、アルバートも……女の子は料理できたほうがいいと思う?家庭的な子がタイプとか……?
(父の帰りと夕飯の出来上がるのを待つ間、皿を並べつつ談笑中していると気持ちも少しは宥められるようで、夕飯を共にできることも相まって表情を緩ませていたが、アルバートの質問に明らかに顔色を変えて固まり、急に静かになったダイニングにキッチンから母が面白そうに吹き出す声が漏れ聞こえてきた。取り落としかけていた皿をキャッチしてなんとかテーブルに置くと、恐る恐る顔を上げながら蚊の鳴くような声で上記。というのも、子供の頃から訓練や仕事で家にいる時間がかなり少ないということを差し引いても、アイリスは掃除以外の家事がお世辞にも得意とは言えない。料理に至っては不得意を通り越し壊滅的な腕前であることを自覚しており、この家でアイリスが料理に関わることを許されているのは皿を並べるまでという体たらくだったりする。基本的に真面目で働き者なアイリスが、母に夕飯の準備をさせて自分はアルバートとお喋りしながら待っているだけという状況が生まれている理由はこれである。決して最初から怠っていた訳ではなく自分なりに努力もしてみたが、料理をすれば消し炭か生焼けの山と、裁縫をすれば針で刺した自分の血で染まった布たちに心が折れた。そのため彼がライバルではなく自分自身に興味を持ってくれている珍しい事態に気づかず、俯いて大きな目で上目づかいにアルバートを覗き込む顔からは普段の凛々しい表情が消え失せ、元の童顔気味な顔立ちも相まって怒られるのに怯える子供のような印象で。)
(/勿体ないお言葉ありがとうございます、毎回こちらの意図を組んでいただいた上でさらに面白いお返事をいただけて、こちらこそ釣り合っているか不安で夜しか眠れないほどです←
そう言っていただけて安心しましたが、週末以外は1日以上返信出来ないことがあればまた連絡するように致します。本当にリアルの方が週末にかけて忙しいだけで、飽きたとかそういうことでは全くないのでこれまで通りよろしくお願いいたします。)
ッ……!い、いやぁ?別にそんな事はねえよ……?
(上目遣いッ…今までは身長差が無かったためアイリスのそういった表情を見ることは叶わなかった。しかし今、成長し少しばかりの身長差が生まれ、更にアイリスが俯いて此方を覗き込むような形になっているためそれが実現している。また、心なしか瞳が潤んでいるように見え、その上今の表情は凛々しさが消え、あどけなさだけが残っており、それがアイリスの可愛さを引き立たせているという大きな魅力の+α。それらはこれまでなら気に留めなかったことだが、今はアイリスに対して無意識ながらも心が強く惹かれている状況、必然意識はそういった今際立っている彼女の魅力に気付きアルバートの鼓動を早くさせて、顔を赤くする。思わず、「いや」という返答の声が上擦り妙に高くなってしまう。それ以上顔を見ていると心がどうにかなってしまいそうで慌てて顔をふいっと横に逸して)
俺は……何でも良いからさ、好きなこととかやりたいことを頑張ってる子が好き、かな……だ、だから……
(顔を横にし少し落ち着いてからアイリスの質問について考える。女の子の好きなタイプ…そう言われ頭に浮かんだのは勿論アイリスだった。それは当然一番知ってて一番好きなトモダチだから…うん、そう、トモダチ……何か別のことが頭に浮かびそうになるが、それを考えない様にしてとにかくアイリスの質問に答えることだけを考える。アイリスのどういうところがトモダチとして好きなのか…間違いなく言えるのは、頑張っている所。自分のために、誰かのために、俺のために、頑張ってくれている、優しいアイリスが好きだ。一先ずそれを伝える。だから俺も一番アイリスのことを守りたい…アレ、この好きは本当にトモダチなのか?いや、えっと、えーっと……
「ただいま、今戻ったぞ!お?アルバートも来ていたのか……どうした二人共、そんなに顔を真っ赤にして、まるでお見合いでも……さて、晩御飯の前に風呂にでも入ってくるかな!」
──アルバートがあたふたと続きを頭の中で考えていると。それを遮るような親方の声が家に響く。そしてプシューとショートするアルバートの脳みそ。もともと良く出来ていないため現状と、アイリスへの気持ちとがまぜこぜになって答えを探して居たところに親方が来たため、そうなってしまった。そんな二人の邪魔をしたという自覚のない親方は、更に無自覚な発言をしようとしたところ、妻の殺気に気付いたのか逃げるように風呂場へと向かっていったのだった←)
(/それは良かったです、そしてお互いに健康で何よりです!←
了解です。いつも丁寧な対応をしてくださり本当にありがとうございます。ただ無理はなさらないでくださいね。もし長期間空く場合でも此方はずっと待っていますので、遠慮せず仰ってくださいね。こちらこそ、これからもよろしくお願いします!)
そう……勘違いしないでよね。私じゃなくて……アンタのファンに聞かれたの。
(アルバートの様子がおかしい、どんな時も考えたことをそのまま口にしてるかのように澱みなく話す彼が何か考えこんでいるような……私がすぐ怒るから?本当は家庭的な子が好きだけどそんなことを言ったら殴られるとか考えているのかも、と長年片思いを拗らせた思考は、彼が自分を好きになるという可能性に行きつかず、的外れな方向へ走っていく。トドメにふい、と顔を逸らされて、それだけでもかなりショックだったが、よく見えるようになった頬が耳がうっすら赤くなっていて、質問に答える口ぶりもどこか具体的で、きっと彼には好きな人がいて、その人のことを思い浮かべて話しているのだ。ガサツで満足に料理もできない自分とは違って家庭的で、頑張っている子……苦手な家事から逃げている自分とは正反対じゃないか。魂が抜けそうになる口を抑えていると呼吸が苦しくて顔が赤くなる、そこに空気を読まない父が帰ってきて呼吸を思い出したが、普段からデリカシーがないが輪にかけて最悪のタイミングの発言に更にテンションが下がり、低い声で上記を。言い回しこそ普段の照れ隠しだが、その冷たい声音は本当にアルバートに興味が無いかのようで。)
あ、母さん。私運ぶよ。
(このまま顔を合わせていると泣いてしまいそうで、アルバートをダイニングに残してキッチンへ向かうとちょうど料理が出来上がったところだった。彼に好きな人ができたのなら今更手遅れだが、家庭的で頑張ってる子が好きと知って未練がましく、盛り付けを申し出る。ポトフの鍋を持って慣れない手つきで4人分の皿によそっていると父が風呂から戻ってきた。そしてアイリスを見ると悪戯っぽい笑みを浮かべて「おお珍しいな。アルバートの前だからって格好つけて。」の珍し、まで言ったところで母に耳を掴まれて他の部屋に消えていった。さて、この家の純粋な腕力の強さの順こそ父、娘、母だが、家庭内の序列はその全く逆である。一日仕事をして腹を空かせて帰ってくると妻に殺気で風呂場に追いやられ、戻ってくれば問答無用で耳を引っ張られみっちり叱られ、散々な目にあった大黒柱がギルドでの様子からは想像がつかない程しおしおにしぼんで夕食の席に着いたのはしばらくしてからだった。「アルバートくんを待たせるから。」という理由でそれでも早めに解放されて、あまり均等とは言えない盛り付けのポトフを囲んで4人で食事を始めれば、2人が切り出す前にアルバートに向かって口を開いて。「それで、完治はいつ頃だ?渓谷に行くんだろう?」)
(はい、よろしくお願いします!)
へ?ああ、ファンね…ファン……
(アルバートにおいても、自分がアイリスに特別な感情を抱いているという自覚は少なからずあるものの、アイリスが自分に対しそれが有るとは思っておらず。お互いがお互い、自分の感情への自覚は大なり小なりある癖に、相手からの感情には全くの無自覚という有様。まぁアルバートに関してはこれまでの無自覚鈍感唐変木の積み重ねでアイリスにそう思わせてしまったのであるから、仕方ないこと。流石にアイリスのまるでこちらに興味のないような発言にはガクッと肩を落とし、落ち込んでいる様子だが、それも元はと言えばアルバートの無自覚さがアイリスにもうつったようなもの、当然自業自得である事に気付いてはいないが)
うん、あと2週間くらい。けど別に今も動けない訳じゃないし、出来るなら今すぐにでも行きたいんだけどな……アイリスにも待ってもらってるし
(親方の扱いについては昔から度々見かけることもあってか、あまり深く突っ込まないことにしている。きっとアレも愛の形なんだろうとか何とか思いながら微笑ましく眺めて。食事が始まりやってきた質問に対しては、先程の痛みのことはもう忘れたのか気ばかり急く様子で歯がゆそうに応える。「あ、そう言えば渓谷で見つかったっていう失踪者の話聞きたいんだけど…」)
嘘、今日みたいに動けなくなったら今度こそ死ぬわよ。
(やたら人参ばかりの皿をスプーンでかき混ぜながら、歯がゆそうに答えるアルバートに釘を刺す。2人の言葉に「今日何かあったのか?」と首を傾げた親方に掻い摘んで説明し、そういえばデートだったんだよなと舞い上がっていた今朝のことを思い出せば、まずいことに気がついて。アルバートに好きな人がいるなら自分とデートしたことをその人に勘違いされたらアルバートが困る、どうせ彼は今日の外出を一瞬でもデートだなんて考えもしなかったのだろうとため息をつくと、あとで必ずデートを否定しておかなくてはと心に決める。一瞬黙っていれば彼が失恋しチャンスが巡ってくるかもと卑怯な考えが頭をよぎったが、頭を振って邪念を振り払うと失踪者の話に集中して。)
本当に間違ってなかったんですね……
(しかし親方の話は報告書以上のものは特に何も無かった。というのも、本隊も急に現れた魔法使いに問答無用で襲いかかられて、何とか拿捕するも意識を失い、それ以降目を覚まさないのだから情報も何も無い。むしろ失踪者のうちの一人だと判明できただけすごい、本隊レベルになるには戦闘だけでなく調査能力もまだまだ及ばないと身がひきしまる思いだ。最後まで話し終えた親方が少し逡巡してから口を開く。「報告書にできるようなことじゃあねえ、根拠もねえ俺の勘だが。」そう前置きすると以下のことを語り出して。その魔法使いは意思を感じられず、知能の低い獣のようにただ暴れているような印象を受けたということ。意識を失ったのも、試験のアイリスと違って気が抜けた瞬間などではなく、体力と魔力の限界で倒れるその瞬間まで高火力のまま暴れ回っていたという。そんなことが生物に可能なのだろうか。またあんな場所にいたにも関わらず、着の身着のままで何も持っていなかった。まるで置き去りにされたかどこかから逃げ出したか……あの危険な地域でそんなことが可能だとは信じ難いが。そこまで聞いて『北の渓谷』『不自然な凶暴性』というワードにいつかのモンスターが思い出されたが、これ以上は現時点では判断しかねて口に出すことは無かった。それから話題はこの件のことや、全く関係ない笑い話を行き来しながら美味しい夕食の時間は進む。渓谷へ行く日取りも完治してから、2週間後だとアルバートは親方からも軽く叱られたりして、そろそろ先程のデートの否定も兼ねて、いつかのようにアルバートを訓練にでも誘ってみようかと考え始めた頃で。)
とにかくまた北の渓谷に行ってみればなにか分かるかもしれないな…うー、待ちきれねーな……
(今日久しぶりに体を動かしてしまったせいか、アルバートの心に火がついてしまったようで。落ち着いて自身の力量や話の奥深くまで考えるアイリスとは対照的に、あまり落ち着きのない様子を見せていて。それを見た親方からは呆れながら「全く、お前はもう少し落ち着きを──」と叱りを受ける。勿論それは軽いものであり寧ろ食卓の雰囲気を盛り上げるような明るいもので。先程までの暗い様子もどこかへ消え、アルバートもアイリスも一見いつもどおりに戻れたようになって。それを感じてか、今ならとアルバートもアイリスを訓練に誘おうと思っていると先にアイリスから声をかけてきてくれて)
え、訓練?それ俺も丁度言おうと思っててさ!それに強くなったアイリスとまだやれてないもんなー…治ったらすぐ!すぐな!約束だぞ!……う、ハーイ
(興奮冷めやらぬといった様子でアイリスの提案に勢いよく乗っかるアルバート。その様子に再び親方から「落ち着き」という一言を貰ってはギクッとなったように乗り出した身を戻し椅子に座って少し縮こまっていて)
うん、約束ね。さっさと治しなさいよ。
(結局結論は1か月前の"渓谷へ行ってみる"というところへ逆戻りしてしまい、それでもとりあえずアルバートが完治次第いつでも行けるだけの実力と立場は得られた。地味だが確実な1歩に気持ちがはやるのはアイリスも同じで。叱られてもなお落ち着きのないアルバートに苦笑するも、自分もいい加減じっとしているのが辛くなってきた頃。訓練の約束には私的な感情はなく素直に楽しみに思って頷いて。)
さ、今日は遅いし送ってくわ。
(我が家の団欒にアルバートがいるのが珍しくなくなって長いが、そのためつい時間を忘れて話し込んでしまう。食後のお茶も終えて時計を見ればかなりいい時間になってしまっていて。普段であればこのまま解散となるところだが、ギルドの付近の治安も良くないと昼間に実感したばかりで負傷中のアルバートを1人で歩かせるのは気が引け、椅子を引くと立ち上がって上記。デートの件も早めに解決しておきたかった。)
え…いやでも、俺を送ったらアイリスは一人で帰ることになるじゃんか。だから良いよ、それに女の子が一人で夜歩いてる方が危ないだろ?
(治安が良くないことをアルバートも昼間知ったため、それを踏まえてのアイリスの気遣いだろうと思っていて。しかしそれは自分だけじゃなく彼女にも言えること。寧ろ魔法を使う彼女のほうが危険という可能性もある。あとそもそも女の子だし…という最もらしい考えもあって、アイリスの申し出は断って)
今日はスゲー楽しかったよ、久しぶりにアイリスと遊べてさ。俺、アイリス以外の女の子とは遊んだりしないから、ああいうのあんま知らなかったんだよな。まぁ今日はちょっと途中で邪魔入ったけど…また誘ってくれよ。
あ、勿論あそこに行きたいってだけじゃなくて……最近さ。俺、アイリスと一緒に居るとドキドキするっつーか……なんか、前以上に一緒に居られると嬉しくなってくるんだよな。だから、良かったらまた一緒に行こうぜ。あ、でも今度は割り勘な!
(そして別れ際、今日のお礼と楽しかった旨、そして最近自分がアイリスに対して抱いている十中八九恋的なアレの気持ちを彼女に伝える。勿論これは当人にとって告白のつもりではなく、ただ自分の素直な気持ちを理解しないままに伝えているという、果てしない鈍感さ故の発言である←。図らずもアイリスの悩みを解決する(?)言葉を残して、ポカンとするアイリスと、やたら暖かい視線を送ってくる親方とおばさんに手を振りながら、言いたいことを言えてスッキリしたアルバートは自宅へと帰っていくのだった)
ウ、ウン。ワタシモ、マタネ……
(今までも何度か送っていこうかと尋ね断られたこともあり、断られたまでは「そう?気をつけてね。」と流暢に返事をすることが出来ていた。だがその理由に「女の子」が付けられたのは初めてで、嬉し恥ずかし階段までの手足が既に左右同時に出ている。更にもはや告白に近い言葉に真っ赤になると、あまりのことに言葉を失って何とか絞り出すように状況。先程からのもやは吹きとんだが、破壊力が大きすぎるわ。アルバート君そういうところだぞ。彼が帰ってからもしばらく真っ赤なまま微動だにせず、流石に心配した母に声をかけられるまで突っ立っていた。)
(それから数日後には試験の結果が発表され、あの階級からは2人だけが昇格となった。とはいえデートの日の晩に親方が渓谷に行く日程を口にしてしまった時点で合格は知っていたようなものだったが。プライベート時の父の甘さ加減に不安をおぼえつつ、何はともあれ正式な2人揃っての合格に胸を撫で下ろした。そんなアルバートとはあの爆弾発言以降顔を合わせていない。ギルドに復帰した自分と、半強制的に安静している彼ではそもそも機会が少ないということもあるが、意識して仕事を増やしている節がないとは言えない。……だってどんな顔して会えばいいわけ!?と内心大荒れで依頼に没頭するアイリスの成績は目を見張るものがあり、昇格して一皮剥けた、声をかけ難い迫力があるだのと噂は絶えなかったが、真相はそんな乙女心だったりする。アルバート復帰の日も以前であれば、誰よりも早く聞きつけてはツンデレたっぷりに激励をしに行ったに違いないが、いつまでたっても声をかけられないまま訓練の約束の日がやってきた。)
……アイツのことだから深い意味はなかったんじゃない?
(約束の時間の前にアルバートに依頼が入っているのをギルドの掲示板で確認すると、先に訓練場へ向かい木刀などの準備をしながらポツリ。そう思ってみると実際そうな気がしてきた。彼に好きな相手がいるということこそ勘違いだったようだが、自分を好きなんてこと有り得るわけが無い。きっとあれは親友としてとかだ、そうに違いない!と、かなり決定的な言葉を聞いてもなお、長年拗らせた片想いは完全にアルバートへのそういう意味での信頼をなくしており、たどり着いた結末に避け続けた数日間が嘘のように気持ちが晴れてくる。道のり長いな……。若干悲しい気はしなくもないが、きっとこれから来るであろうアルバートにも、いつも通りの態度で話せるに違いない。つかえていたものがとれてスッキリすると、ライバルとしてのワクワクがもたげてくる、アルバートはどれだけ強くなったのだろうか、どんな手でを使おうか、などとじっとしていられず素振りをしながらアルバートを待って。)
(──怪我が治るまでの間、そして怪我が治ってからの数日、アイリスと交わした言葉は殆ど無かった。それもそのはずで、アイリスの仕事量は普段以上に増えていたのだ。その上、治るまではそもそも顔を出す機会が無いし、治ってからも休んでいたこともあって自分の仕事が忙しかったため必然的に会う機会は無かった……と、アルバートは思っており、避けられているとは露知らず。寧ろ頑張っているアイリスの話を聞く度に「俺も負けてられないな!」とか思ってライバル心を滾らせていたくらいだった。デートの時に意識した気持ちはすっかり忘れ、また再びライバル心を燃やす幼馴染な二人という関係に戻ってしまっているようで。1歩進んで2歩下がる、二人の恋路はそんな調子だった)
おーい、アイリス!
(任務から帰ってくれば、そんなスッキリしたアイリスに向かっていつもの調子で声をかけながら、上述の通り避けられていた自覚もなく、わだかまりの一切無い様子で彼女の元へ駆け寄ってくるアルバート。幸せな性格である。手にはこの前の試験で使ったのと同じくらいの大きさの盾、所謂バックラーと呼ばれるタイプの盾と、昔から使っている剣を持っている。勿論練習用のもの。まだ少し病み上がりで任務が終わってすぐだというのに疲れた様子も見せず、既にやる気満々と言った様子で)
よーやくやれるな!俺ずっとアイリスが頑張ってる、活躍してるって話聞く度にすげえ今日が待ち遠しくなってってさ…どんだけ強くなってんだろってワクワクしてたんだ。さ、早くやろうぜ!
(ニコニコと楽しげに話をするアルバート、やはり心の奥には意識したことが残っており、ライバルとしてだけではなく純粋にアイリスと会うのが嬉しいが故にいつもより少しテンションが高めで。まぁ多分今までの行いが行いだけに、ライバル心を滾らせているくらいにしか見られないだろうけども←)
アルバート!ええ私もよ。
(アルバートの声に素振りを止めて振り返れば、こちらも問題を解決した嬉しさに上機嫌に上記。片思いを拗らせアルバートとはまた違った意味で鈍感さを発揮した残念なアイリスだったが、問題さえ解決すれば久しぶりに会えたことは素直に嬉しく、ライバルとして素直な言葉を。勿論アルバートのテンションが高い理由には全く思い至っていない、コイツ手合わせ好きだなーくらい←)
"今回も"負けるつもりはないわよ。
(そういってコートを脇に投げるように除ければ、手に馴染んだ木刀をヒュッと音を立てて構える。先程までのニコニコした表情を、挑発的な笑みに一変させ。珍しいほど上機嫌なその様子からは訓練場に来たばかりだと言うのに既にやる気を見せているアルバートに負けず劣らず、ライバルとの手合わせに期待していることが漏れ出ていて。)
へっ、"今回は"俺の勝ちに決まってるだろ!
(自信満々に挑発を返した同じく盾と剣を構える。その姿は、前に試験で見せたアイリスの教えてくれた基礎を元にした物より更に改良が加えられていて、より攻撃的な面を押し出したものになっている。恐らく怪我をしている間、動けないながらにアルバートも勉強をしていたことがそれで伺えるだろう、書籍や話を聞いてインプットした戦闘の知識を、ライバルとの模擬戦という絶好の機会で試すことが出来る、それもアルバートの気持ちを押し上げていた要因で。そして、ギルドの中でも最上クラスとなった二人の模擬戦ということもあってか、俄にギャラリーも付き始める。それはその場でどっちが勝つかの賭けが行われる程に盛り上がっていた。しかしそれは気にならない、何故ならそれ以上にいま自分の実力を試せることと、アイリスとの時間であることに集中しているからだ)
いくぜアイリス!
(その掛け声と共にアルバートが駆け出せばワッと歓声が上がる。動きの速さ、それ自体は以前の模擬戦から大きく変わらっていないだろう。しかし、やはりというべきか盾や鎧を小型・軽量化したことも相まって動きの『キレ』そのものは大きく上がっている。無論その『キレ』を生み出しているのはアイリスの指導してくれた基礎の上に成り立っているのは言うまでもない。そんなアイリスへの感謝と闘志を込めたアルバートの木剣の一振りで二人の闘いは始まっていって──)
──だから、アレは俺の勝ちだったんだって!最後医務室で起きたのは絶対俺のほうが早かった!
(成長した二人の現在が見えた模擬戦から早や数日が経ち、今日は初めての『北の渓谷』調査の日。今日ばかりは遅刻しないようアルバートも前日早めに就寝したのか、調査隊の待ち合わせ場所へ同じ調査隊の先輩メンバーの一人と共に向かっていた。その道中、先日の模擬戦のことが話題に出たらしく、その結果について引き分けだったんだろうと言われた瞬間アルバートは熱くなって上記を述べた。あの模擬戦、最後は互いの一撃が入り両者気絶で引き分けという幕引きだったのだが、当然納得はいっておらずアルバートはそんな子供のような理屈をこねて自分の勝ちを譲らなかった。それは今も引きずっているようで、その話題が出る度そう言い張っている。その様子には、初めての調査というのに緊張は見られず、極めて自然体のようである。それはその先輩の気遣いで、緊張をほぐす為の会話をしてもらったおかげなのだが、どうにも効き目が良すぎて、もう集合場所に近いというのにそんな風に熱くなってしまっていて)
(/結構一気に飛ばして、模擬試合も勝手に引き分けとしてしまいました…すみません)
おはようございます先輩。コイツが煩くてすみません。今日はよろしくお願いします。
(アイリスが親方と待ち合わせ場所にやってきたのはアルバート達の来る5分程前、既に広場は調査隊でそこそこ賑わっている状態だった。これだけの人数とフィールドに出るのはギルドに加入し初めてフィールドに連れて行ってもらった時以来で、『北の渓谷』の危険さを改めて実感する。昇格したばかりのアイリスはアルバートとともに1番の後輩であるため、アルバートがこの場に来た時は先輩方に挨拶をしてまわっているところだった。勿論アルバートと共に来た先輩にもにこやかに挨拶をしてから、先日の話をしているアルバートにはべっと舌を出して見せた。目を覚ますのこそ遅れたが、お互い気絶に至った一撃の傷は自分が先に治ったので自分の勝利だとアイリスは主張しており、理屈の子供らしさでもいい勝負である。それから年相応にクスクスと笑って「またね。」とはにかむと、その金のポニーテールを翻して人の群れの中に戻っていった。)
おはよ、さっき会ったけど。眠れた?
(全員集まり街の門への移動が始まれば、初めて渓谷に行く2人の配置は隣だったためアルバートの隣に戻って来て。ギルドのメンバーの前のため、取り繕っているもののその表情にはアルバートでやっとわかる程度だが緊張が滲んでいて。)
(/場面転換ありがとうございます。展開に少し困っていたので助かりました。これからの流れですが、なにかお考えはございますか?
確実なのは渓谷であのモンスターに遭遇、最初のモンスターにへの違和感を確実なものにすることですかね。
そろそろ謎の組織の存在と誘拐に気づいてもいい頃かと思うのですが如何でしょう。モンスターを倒した後、渓谷でまた凶暴化した魔法使いを助けて、今度は魔法使いから話が聞けるとスムーズかなと思います。それ以降は謎の組織について直接調べていくイメージです。そこで謎の組織の真の目的をお考えでしたら、ロルの中で教えていただけると幸いです。
現時点で何となく親方のキャラがぼんやり固定されているかとは思うのですがw 謎の組織にもそのようなキャラを作れれば幅が広がり、以前仰っていた誘拐ネタも可能かと考えているのですが如何でしょうか。)
(/連投失礼します。展開について思いつきなのですが、渓谷調査の後で2人でちょっとした旅をするのは如何でしょうか?助けた魔法使いさんから今の街ではなく他の街で攫われたと聞いたところに、丁度その街へ荷物を運ぶ依頼があったとかが自然ですかね。そこで謎の組織の下部と初対峙するイメージです。誘拐ネタも絡めて、旅先ですし誘拐失敗からの組織の支部壊滅とか完全なハッピーエンドだと後味いいと思います。最終決戦はフィールドか今までの街になるとは思いますので、軽めに組織の存在とか目的などを知れたら良いかなと。
それ以外にも道中で助けた人が本当は偉い人でパーティに招待されるとかベタな展開も楽しめそうですし、ちょっといつもと違う雰囲気の旅行先でイチャイチャも良いかと思いまして!もちろん他のお考えがありましたらそちらを優先したいと思います。)
眠れた!……けどあんま夢見は良くなかったな。
(流石のアルバートも昨日は早めに就寝したようで、加えて先程の先輩の気遣いもあって緊張した様子は無く、アイリスの質問にも元気良く答える。しかし、あのモンスターと初めて出会った日の夜と同じく、例の夢を見てしまったようで、少しだけ顔色が悪かった。またその夢を北の渓谷に関わるタイミングで見たことで何か関係があるのでは、と表には出さないものの内心うっすらと感じていて。とにかく、あの日に感じたモンスターの違和感、失踪事件の秘密……今日の調査でそれらの一端が見つかるかもしれない。緊張し過ぎもよくないが、全くリラックスしているというのもまた良くない、渓谷へ近づけば少し心を引き締め直し気合を入れて)
「──敵だッ!!」
(いよいよ北の渓谷に入り、調査が開始されると同時、いきなりあのモンスターの群れが襲い掛かってきたようで、前方より声がする。無論、親方含め熟練の戦士達が揃うこの調査団、しかもその前衛ともなればそれに遅れを取ることもなく、後衛に居る自分達の出番もなく戦闘は終わる。その戦闘を後ろで見ていたアルバートは、親方達の動きに舌を巻くと同時に、冷静に様子を見れたこともあってかあのモンスターに対して覚えていた違和感を確かなものとしていた)
やっぱ、あの時のあのモンスターは違ったんだな…
『ほう、来たか……』
(一方その頃、渓谷のとある場所にて……水晶に映る調査団を眺めている仮面を付けた怪しげな男が一人……)
『"アレ"を出せ。最終チェックには丁度良い相手だろう……なに、我々の計画は既に次の段階へ入っている。今更"アレ"を調べられたとて、もはや阻む術等はないさ……それに最終チェックが済み次第、ここは焼き払う手はずだ。奴等に渡る情報等たかが知れている。我等の計画に支障は無いさ』
(どうやらそれは『組織』らしかった。"アレ"を出せ、との支持を受けて部下らしき人物は、扉を開きまるで廃人のような実験体を連れ出し、その耳元に呪文を囁く。すると、その実験体はビクッと大きく体を動かし顔を上げて、明らかに狂った様子で外へ出ていき調査隊の方へと向かっていって。その様子を満足そうに見たあと、仮面の男は再び水晶へと目を移した)
(/謎の組織の真の目的は、ちょっとロルで上手く表現出来ませんでした、すみません(´`;)
人間を強化する薬を作って支配下に置いて、それを兵力にして国家転覆を狙ってるテロ組織みたいに思ってもらえれば……
今後の流れに関しては背後様の仰ってくれた内容で進めていけたらと思います。あんまり考えまとめれなくてすみません…)
……いつでも……ううん、無理するんじゃないわよ。
(相手の顔色が良くない理由を緊張から来る寝不足かと思っていたため、元気な返事に不思議そうな表情をして、すぐ続けられた言葉に言葉につまる。『いつでも』に続く言葉は、"家に来ていいから"、"味方だから"、"大事に思っているから"などだったが、どれもわざとらしかったり、彼の家族の代わりになれない自分が言うのははばかられて、在り来りな言葉しか口にできず自己嫌悪する。それからは渓谷まで話しかけられれば反応したが、アイリスから口を開くことは無かった。)
そうね、確かに気性は穏やかではないけどあんなに凶暴じゃないわ。個体差にしては……
(自分が一体に苦労したモンスターの群れを軽々と蹴散らす先輩方を半ば見惚れるように観察していたが、アルバートの言葉に其方に頷きながら振り向いて。その際に彼の背後の崖の上方に、魔法特有の鈍い光が見え剣に手をかける。その瞬間爆発音が響き視界が地面にへばりついた。寸前とはいえアイリスが気づけたのだから、周りはとっくにその異様な気配に気づいており、呑気な後輩たちをかなり強引に伏せさせてくれたらしい。顎を地面にしこたま打ち付けたが、その頭上数センチを吹き飛ばされた石が横切り、アイリスの脇に立っていた木をなぎ倒して落ちたのを見てゾッとする。当たれば片足くらい軽く持っていかれただろう。立ち上がる砂埃の奥がバチバチと光る度に、轟音と共に岩が降る、防衛魔法が得意な者が前衛でバリア張ると、今度は無理やり立ち上がらされて『邪魔だ!!』と爆発と逆の方向に突き飛ばされた。完全な戦力外通告に落ち込む暇もなく、後方の茂みに飛び込む。戦闘を得意とする者はほとんどが背後の前衛に回っているらしく、茂みの中は回復魔法を得意とするメディック達が主である。ここをモンスターに襲われでもすれば一溜りもないと、レイピアを抜いて背後に警戒していると小さな人影が反対の茂みから飛び出して来て、アイリス達のいる茂みに腕を向けたかと思うと、その手に炎が宿り、)
……ッ!!
(咄嗟に自身も魔法を使って地面を蹴り、その腕を上方へ弾く。間一髪炎は空へ放射されたが、すぐにまた新しい炎が手の中に宿るのが見えて今度は地面へ向けて剣を振り下ろす。腕を切るつもりで振るったにも関わらず、その不自然に筋肉の強ばった腕は硬く、アイリスの力では弾くのが限界だ、試験のように落下エネルギーを使うには、その子供の動きが早すぎる。弾いても弾いても腕と虚ろな視線が機械的に茂みに向けられる、まるで意思のないロボットかのように。メディック達の力は確かで、火傷は瞬時に回復し、体力も強制的に魔法で繋げられているが、決定打がない戦いに精神が消耗する。前衛からは未だ爆発音が途切れることは無く苦戦が伺え、デートの日に得た情報を鑑みれば長期戦も在りうる。轟音の中、声は前衛に届かない、彼が近くにいることだけを願って叫んだ。)
アルバート!!!
(/あああ、魔法使いを助けた後に彼の口から語って貰えたらってことだったのですが説明不足ですみません!!展開を考えるためだけなので、ロル外でも勿論大丈夫です。失礼しました。お陰で組織のイメージを掴むことが出来ました、ありがとうございます。
偉大な先輩方が沢山いる中でアイリスとアルバート君が魔法使いを倒す方法が浮かばず、勝手に魔法使いを2人にしましたスミマセン。テストのついでに野望の邪魔になるギルドの精鋭を減らす、あわよくば焼き〇して全滅させるって作戦だったとかですかね……。
本当に楽しくて此方が勝手に先走って考えただけですので、お気になさらず……!その都度ご希望があれば仰ってくださいね。本当に未熟で申し訳ないです。)
う、うーん……アレ?
(強引に伏せてもらったとき同じくアルバートも顎を打ったが、その際打ち所が悪かったのか何なのか、頭が揺れて少し気を失ってしまって。模擬戦のときもそうだったが、アルバートはどうも顎を打って痛い目に合うことが多いらしい、もはやちょっとしや呪いである。暫く使い物にならなかった彼であったがアイリスが謎の子供と戦い始めた頃にようやく目を覚まして)
!!
(そしてアイリスの自分の名を呼ぶ声に顔を上げると、その少年が此方に向かい炎魔法を放つところで。茂みから一歩外に出れば盾を構え、その魔法を何とか弾けば急いでアイリスに加勢して。そして走る勢いそのままに、アイリスが作った僅かな隙きをつき少年の後頭部に思い切り剣をぶち当てる。一応峰打ちである。それを喰らった少年は、それでもまだ狂ったように攻撃を行おうとするが、流石に耐えきれなかったらしくバタリとその場に倒れ込む。しかし、その最後の一瞬まで攻撃のポーズを崩さなかった姿には恐怖を感じるものがあり、メディックに運ばれる信じられないものを見るような目で見ていて)
……何なんだ、アレ……
(その後、渓谷調査を続けていくと謎の施設が焼き払われたあとが見つかって。施設の跡から、何らかの実験が行われていたこと、その実験に行方不明者が使われていたこと等が分かったものの、それ以上の手がかりは見つからず。ただ今回捉えた襲いかかってきた二人のうち、一人がなんとか奇跡的に意識を取り戻して……そして彼の話によると、謎の組織が魔法を使える人を集めて、兵士にする実験が行われていたことが明らかになった。そのことについて情報共有と話し合いをした結果、今後は各ギルドでの協力を蜜にし、謎の組織を追うための臨時態勢が取られることとなって。無論それは秘密裏にであり、アルバートやアイリスの所属するギルドでも今回調査にいった最上級クラスのメンバーにのみそれが通達されて。そんな中、アイリスとアルバートには他の街への荷物の輸送、及びその街での行方不明者についての情報収集…という、まぁ有り体に言えば最上級クラスでも下っ端の二人だから、失敗しても大丈夫なものを…という意図も籠もった、少し簡単に思えるものが言い渡されて)
(/ちょっと二人以外に組織やギルドとか、色々動かしすぎて分かりにくくなってしまいましたね…もう少しアイリスちゃんとアルバートの二人中心で話を展開していったほうがやりやすいのかなと思って、大分端折って見ましたが……構いませんでしょうか……|ω・)チラッ)
(/返事が無くなり一週間が過ぎましたが、やはり返しにくい文章や内容ばかりになってしまっていたのでしょうか。本当にすみません……。
無言失踪に関しては、上記の通り此方の力不足と、また自分も過去には散々同じようなことをして来たため、されてしまうのは当然のことだと思っております。なのでもしこの文を見た場合にも返信は不要ですので、気になさらないで下さいね。
此方はとても楽しくロルを回させて貰いました、本当にありがとうございます。もし別の場所で会うことがあれば、その時はまた気持ちを新たにお相手してもらえれば幸いです。
それでは(*´∀`*)ノシ)
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