名無しさん 2020-09-21 17:57:58 |
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目の端で、柔らかな髪がふわりと揺れて、微かに春の香りが漂う。色鮮やかな思い出の中に、彼女が現れる。──一瞬、まゆりが帰って来たのかと思った。しかし、そこに居たのはまゆりではなく、彼女の親友の夏川陽菜だった。『……陽菜』、ぽつりと彼女の名前を呼ぶ。その声には、落胆の色が混じってしまっただろうか。陽菜は今日も変わらず、清楚で、可愛らしく、そして健気だ。まゆりが居なくなって辛いのはきっと彼女も同じなのに、俺を気遣って努めて明るく話しかけてくれる。それが分かるから、俺も笑った顔をつくる。けれど、俺が今一番会いたいのは、愛しいのは、彼女ではない。
「 ……ごめん。今はあまり食欲が、 」
最初は断ろうと思った。まゆりが居なくなってから食欲も無く、まともに食べ物の味なんて分かる気がしなかった。しかし、大学に来て、押し潰されそうな程のまゆりとの思い出に触れたからだろうか。またあの一人きりの部屋に帰り、まゆりのことを考え続けるのは、辛いを通り越して怖い気さえした。『……やっぱり頼んでもいいかな』。一度切った言葉の後に、訂正するように続ける。陽菜と二人並んで歩く講義棟への道程は、先程よりほんの少しだけ足取りが軽くなった気がした。
(/ お世話になっております。そしておまたせしておりまして申し訳ありません。
諸事情によりあと二日程かかりそうでして、もう少しお待ちいただけたらと。すみません! )
( / こちらこそお世話になっております。そして、わざわざご連絡ありがとうございます。
お相手をしていただけるだけで有難いので、返事は余裕のある時で大丈夫ですからね。お待ちしております! )
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