真夜中のピエロさん 2020-09-17 20:12:21 |
通報 |
………見た、か?
(相手の声に反応して顔を上げ、白塗りの顔に笑顔と涙を浮かべたまましばらく無言で相手の瞳を見つめていたが、やがて唇を微かに開いてドイツ訛りの目立つ英語でそう呟く。片手に引きずったままだった皮膚の溶けた死体の首をどこかに放り投げ、「……お前…美しい、な。」白塗りの顔に微かな笑みが浮かび、ドイツ語でそう呟くと相手の方へと手を伸ばし)
自分もすぐに殺されるのかと思いきや、そんなことは無く少し見ていれば相手から話しかけられて、かなり訛りの目立つ言葉だったもののなんと言ったかは理解して、見た以外の言葉なんて言っても無駄だとは分かっているため頷いて。人の首を軽く投げるのを眺め後ろに転がっている死体をぼーっとみていれば相手が何かを言ったのは分かったもののいくら本を読んでいたり勉強をしているとはいえ、なんとなくの言葉の雰囲気からドイツ語かなぁと思う程度でよく分からないといった様子で「……何?」と首を傾げて。言葉を話したり微かに笑みを浮かべる相手に、殺人鬼だのなんだの言われてるいてもやはり1人の人間なんだなぁなんて思いながら此方に伸ばす手に応じるかのように相手の方へと少し近付いてみて
…………
(男はその問いかけには答えようとせず、微笑んだまま近寄ってきた相手を静かに抱きしめた。「……おいで。」今度は英語で、そう呟いて)
近付けば、まさか抱きしめられるなんて思っていなくてただただ驚いていて、今度の言葉の意味は理解して、ついて行けばこのまま抗うよりも面白いことが起こってずっと同じようなことの繰り返しだった生活から抜けられるかなぁ、なんてことを考えればどうせなら面白そうなことの方がいいしと相手の言葉に頷いて
………良い子、だ。
(男は頷いたのを見ると満足げに笑い、耳元で静かにそう囁く。「………家へ。」相手の手を引いて街の裏路地を暫く歩き、辿り着いたのは一軒の洒落た外観の邸宅。男が扉を開くと中にはソファーや薄型テレビ、テーブルなど全体的に趣味の良いインテリアが配置されたリビングルームがあった。だが男は更に手を引き、リビングルームの奥の部屋へと相手を連れていく。リビングルームよりも少し暗い、その狭い部屋には一人用の椅子とテーブル、シングルベッドが置いてあり、壁にはなぜか一昔前に流行った映画のポスターが貼ってあったりグラフィティアートが描かれていた。「…ここで、大人しく、していてくれ。…飯を、持って、くる。」男はそう告げ、部屋の扉を閉めてしまった)
良い子だなんて褒めるような言葉なんて聞いたのは何年ぶりだろうか。その擽ったさに思わず下を向いて。相手に手を引かれれば相手の後ろをただついて行き、今までほとんど通らなかった路地裏の景色をキョロキョロとみていれば相手の目的地に着いたようで。着いた場所は特に変わったものでもない邸宅で。連れていかれるまま奥の部屋につけば相手の言葉に「分かった」と頷く。部屋に1人きりになれば特にすることもないので壁にあるポスターやグラフィックアートを物珍しそうに一つ一つみて、鞄に入れていた携帯の電源を落とし机の上に置いて、シングルベッドに腰を下ろせば緊張が解けたのか襲ってきた眠気に抗うことなく意識を手放して
……待たせ、た。
(男はトレイを持ったまま静かに扉を開いたが、相手が寝ているのに気付けばテーブルにトレイを置いて側へと歩み寄る。「…………美しい。」愛に蕩けるような笑みを浮かべ、愛おしげに相手の髪を鋤いて口付けを落とした)
「ん……」
(人の気配を感じれば目を覚まして、まだぼーっとする意識の中で、気配の主を探そうと少し動けばすぐ側に相手がいて此方を柔らかく見つめているのに気付き目を合わせば少し嬉しそうにして相手の方へと手を伸ばして)
………起きて、いたのか?
(男は少し驚いたような様子を見せたが、伸ばされる手を躊躇することもなく掴んだ。と…「エドモンド~!ご飯ちょうだ~い!いないの~?」そのロシア語は間違いなく男の声だったが、今相手の目の前で柔らかく微笑んでいる男よりも随分と若々しく高い声で。その声の主はノックひとつせずに扉を開き…「ありゃ?それ誰。エドモンドの恋人?ねえ君、名前なんて言うの?」その若く瑞々しい、片手には動物の臓物を掴んで唇の端には血を飛び散らせた男は貴方を発見すると、輝く瞳で矢継ぎ早にロシア語の質問を重ねてエドモンドに頭を小突かれた。)
「ううん、今起きたところ」
(相手の手を借りればすっと起き上がって。そういえばご飯を持ってくるって言ってたっけと思い出していれば、男性であろう声が聞こえてきて先程はいなかったし来客?だなんて考えていれば此方の部屋にやってきて相手に用があるだろうし自分は蚊帳の外だと思っていたら自分に気が付いたのか話しかけてきてけれど、その言葉の意味は自分には理解できなくてどうしようと相手を観察していれば来客の手元にある臓物のような物に気付いてそこから相手の口元の汚れが血であることはすぐに血だろうな、なんて冷静に分析していて普通の人ならここで悲鳴をあげたり、それが何かなんて気にもしないだろうなんて思いながらも自分の興味の惹かれるまま「それは何?」と少し楽しそうに英語で言った後英語分かります、?なんて聞いてみて)
(「へ、英語…あ、もしかしてロシア語分かんないのかな?ごめんごめん。」若々しい彼はきょとんとした表情を浮かべたが、気付いた様子で英語で謝る。「これ?俺の昼ごはんだけど…キミの名前なんて言うの?」手に持っている臓物を軽く掲げ、子供のような表情のまま相手にそう問いかけて。「……コイツ、は……友人、だ。名前は…ロノヴェ。」エドモンドは小声で呟くようにそう答えて)
(ロシア語と言われれば納得して、なるほどと零しこの2人と満足に話すためには2ヶ国語を取得しないとなぁなんて考えて。ご飯だと言われれば珍しいもの食べるんだな、と思うだけで不審がる様子なんてなくあっさりと受け止めながらやはり興味はあるようで。名前、と言われれば自己紹介は2人ともにまだしてなかったと思い「ノーマン・ルーク・アシュリー」アシュリーは女の子みたいだから呼ぶ時はノーマンにしてねとニコッとして言って。友人であればさっきの2人のやり取りだって納得のいくもので。来客の名前はロノヴェだと分かったもののピエロの彼の名前はまだ知らなくて「ロノヴェさん、か。そういえばピエロさんの名前は?」といえば嫌ならこのままピエロさんって呼ぶんですけど、と付け足して)
(「ノーマンね、覚えた!」ロノヴェは楽しそうに笑い、また臓物を食べ始めた。「……エドモンド。俺は、エドモンド…だ。」エドモンドはそう答え、静かに微笑んだ)
2人の名前を聞けば満足したようで、少し頬を緩めて2人の名前を復唱するように呟いて微笑み返して。そういえば彼はご飯を持ってくると言ってこの部屋から出たのを思い出して周りを見れば机の上に置いてあるのが分かって、そしてそれと共に自分が持っている携帯がまた回収されてない事が不思議で何故だと少し考えていて
(「あ、そーだエドモンド、この子のスマホ回収しないの?」ロノヴェの方が先に気付き、机に置いてあった携帯をひょいと取り上げてエドモンドに渡す。「……回収?…何故、だ。」「え、そりゃ…普通の子は通報するでしょ~。こんな変じ…ってまだメイク落としてないの?」ロノヴェは首を傾げるエドモンドに呆れた表情でそう返し、彼の顔を指差す。「俺がこの子とお話ししとくからさ、メイク。落としてきなよ。」エドモンドは頷き、リビングルームの方へと歩いていく。「ふー…君も変わってるねぇ。エドモンドのこと怖くないの?」)
(「壊すなりなんなりしてもらっていいですよ」誰とも連絡なんて取り合わないしもはや音楽を聞くためだけの媒体となっていたものだしと思いながらそう言って。2人の友人らしいやり取りをぼーっと眺めていれば話は一旦終わったようで、エドモンドはリビングに行きロノヴェは自分によくある質問をする、質問された言葉を咀嚼し少し考えてみる変わってる、なんて何度他人に言われたことか分からないしそして何より自分が一番他人からすれば変わった人間であることを理解している。変だと言われるように自分はエドモンドが怖いなんて会った時から少しも思っていないからキョトンとした様子で「怖い?思ったことすらないです。」と答えて。思うようにやっているように見えたことと久しぶりに掛けられた言葉に絆されてしまっただけなのかもしれないし同じような生活からの脱却を手伝ってくれた相手、というのがあるのかもしれないが少なくとも今まで周りにいたすぐに人をなんだかんだと言う同級生達や大人よりはよっぽど話してみたいと思った相手で。そんなよく分からない気持ちを全て言い切ることなんて今の自分には言葉が足りないしそれにまだ目の前の男を信用しきれていない。もしかしたら相手は興味本位で聞いただけで理由までは聞いてないのかもしれないが、なんとなく「理由をはっきりとは言えないですけど、今まで関わってきた人の中で1番話してみたいと思ったから、ですかね」と言ってこんなこと言ってるからまた周りに変だと言われるんですけど、、、と付け足すように零して
(「や、そんなのしないけど…ふうん…君、俺と似てるね。」ロノヴェは臓物を食べ終わると最後まで静かに行儀良く聞いていたが、やがてそう答えて。「俺もエドモンドと友達でいる理由なんて大体それだよ。アイツはあれで結構面白いし、本もいっぱい読むから色んな事知ってるもん。」彼は心底楽しそうな笑顔を浮かべると「そろそろ戻ってくるんじゃないかな。」そう言い終わるのとぴったり同じ瞬間、扉が開いて驚くほどに美しい顔立ちの男が顔を出す。絹糸のように細く繊細なブロンドの髪を無造作に束ね、頬は少し痩せていた。「ははっ、エドモンド~!相変わらずキレーな顔してるねぇ。」)
「」
似ているなんて言われればそれは相手も変だなんだと言われる側なんだと知り、面白いことは勿論何も無い平凡な日常よりも大事なことで、本を読むということを聞けば図書館いたのも納得がいくもので、笑顔の彼を見れば本心なんだろうなと考えて。彼が戻ってくるというタイミングが恐ろしくピッタリなことに驚いて、そしてそれはピエロの時から分かっていたことだかその整った目鼻立ちを目の前にすれば「確かにピエロの時からですけど綺麗ですよね」と部屋入ってすぐ2人から綺麗だとか言われるなんて少し嫌だったりするかと少し思いながらも、思ったまま口にすれば相手の方を嬉しそうに見て
(話すことに集中していたため、いつしかエドモンドが持ってきたトレイのことを忘れていて、言われてやっとそういえば、、と思い出して「折角なので頂きます。。」ベットから立ち上がり机に移動すれば誰かが作ったものを食べることも食べる時に誰かといることも何年ぶりの事だろうかと考えながら黙々と食べていて)
トピック検索 |