主 2020-09-04 21:16:31 |
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は、はい!お待たせしました!召し上がっていただいてもよろしくてよ!
(呑気に笑っていてすっかり弁当のことを忘れていて、食べてもらうのかと考えれば今になって緊張してきて何やら可笑しな言葉遣いになってしまっていて。ぺたりと彼の横に座り込んでは、空を見上げて「そうですねえ。熱中症になったら先輩に会えませんし…あ、でも熱中症になったら先輩お見舞い来てくれます?」と彼にちょっとした冗談を言って。本当になった場合は来てほしいな、と言う言葉は腹の裡で呟くだけにしておいて)
いや、日本語がおかしい、何故そうなった……って、突っ込むだけ野暮か。とりあえずいただくな
(妙な言葉遣いで弁当を勧めてきた彼女の口調にツッコミを入れるが、彼女が少し、いやかなり変わっているのは今日に始まったことではないため真剣に考えるだけ無駄だと思考を放棄して、自信作というだけあって見た目には彩りの綺麗な弁当へと箸を伸ばし。もしもそうなっても転んでもタダでは起きないのが彼女らしいというべきか、期待するような目を向けてくる彼女に「行かないな、その理由もないし。…あと、もし行くと冗談でもそう答えたらお前のことだから本当に熱中症になりそうで怖い」あくまでも自分と彼女は校内での付き合いだけの知り合いに過ぎないという自らの考えを告げた上で、普段の様子を見ていると間違ってもお見舞いに行くと答えた時の反応が怖いと軽く身震いして)
あはは、ちょっと緊張しちゃって…どうぞどうぞ、隠し味は私の愛情です!…あ、でもこれじゃあ隠してないですね、うっかりしてました!
(苦笑いをしながら相手にそう言うと、自分の作った弁当に箸が伸ばされていくのを見て少し間を開けたあとに『隠し味』を相手に伝え、よくよく考えてみれば相手に言ってしまっている時点で隠し味ではないと言うことに気づき、笑いながら相手にそう告げて。自分が熱中症になっても彼がお見舞いに来ないと知れば「ええ、来てくれても良いじゃないですか!…というか、もし来てくれるとしてもわざと熱中症にはなりませんよ。そんなことするなら直接先輩に会いに行きますから!」少し残念そうにしていたが、すぐに元気になって彼にそう話して)
愛情では腹は膨れないし味はしないと思うけどな……とはいったけど、なるほど確かにこれは中々…でもそうだな、この唐揚げは少し漬け込みが足りてなくて味が中まで染みてないのが惜しいな、もし短い時間で味をしっかり染み込ませたいなら予め肉をフォークで刺しとくと結構変わる…それと、これは個人の好みの話しにはなるけど卵焼きはもう少し甘めの方が俺は好きかな
(定番ともいえる愛情調味料のくだりを嬉々として語る相手に一つ息を吐き、冷めた意見を口にしながらおかずを一つずつ味わっていき。肝心の完成度については思っていたよりずっと高く一品一品納得した様子でうんうんと頷きながら噛み締め、その中で気になったことを率直に意見して、アドバイスを添えて。来てもらうのを待つよりも自分から会いに行くなんて言葉に彼女らしさを感じてしまうと、そんな風に思考回路が理解できてしまう程度には彼女とも浅からぬ仲になりつつあるのだと気づいて「本当か?なら、もしお見舞いに行って1日付きっきりで看病してやると言っても勿論ワザとなんて考えはしないな?」仮にそこに加えて彼女の好みそうなシチュエーションを付け足した時の反応を見ようと単純な興味本位でそう尋ねてみて)
愛情は大事です!普通に作るよりも、大切な人のことを想いながら愛情を込めて作った方が美味しくなるに決まってます!…なるほど、なるほど。勉強になりますね、ありがとうございます。あ、やっぱりそう思いますか?私も、もう少し甘い方が良いかなって思ってたんです。今度つくるときはそうしてきますね!
(愛情では確かに腹は膨れないが、相手を想う気持ちがそのまま味にも反映されるという確かな自信を持っているようで。相手のアドバイスは真剣に聞いていて、何処からか取り出したメモ帳にそれを書き込み、しっかりとお礼の言葉も伝えて、彼の好みの話なども聞けば自分もそう思っていたと相手に話し、いつ来るか分からない「今度」に備えようとしているみたいで。彼が興味本位で聞いてきたことは自分の好みにドストライクなシチュエーションであったことは黙って「当たり前ですよ、それで先輩が看病してくれたとしても、私は罪悪感で先輩の顔をちゃんと見れません!…いや、まあ、本当になったときは来てほしいですけど…」真剣な表情で彼に向かってそう言うが、最後の言葉は髪を弄りながら小さく言う程度で)
残念ながらそこに関しては永遠に分かり合え無さそうだな…でもその柔軟さと素直さはいい、人の意見に耳を傾けることが出来るのもまた才能だからね
(自分と彼女の意見の相違、どうやら彼女もこの件については引くつもりはないようでそれについてはどれだけ話したところで平行線だろうと考えてはこれ以上の議論は終えて。その一方で、こちらの口にした改善点などを素直に聞き入れて次回以降に活かそうという姿勢はいいことだと肯定的に頷いて。彼女の普段の傍若無人っぷりを見ていると、もう少し手段は選ばないタイプかと思っていたが、意外にも罪悪感という言葉が飛び出すと彼女に対する認識を改めるべきかもしれないと思い「…まあ、顔を出すぐらいなら、な?」これまでよりも幾分か態度を軟化させればもしもそんなことになった時は顔を見せるぐらいならと言って)
むう、ちょっと残念ですけど…先輩、さりげなく褒めてきますね…ありがとうございます、これからも頑張ります。
(右頬を小さく膨らませ少し不満気にそう言うが、彼からの肯定的な言葉を聞いて照れたのか耳を赤くして口元を隠して、何時もはうるさいほどよく喋るくせに、急に口数を減らしてしまい。少なくとも頑張ろうと言う気持ちには偽りはなく、更に彼が顔を見せるくらいならと言えば「え、本当ですか?…ふふ、本当になったときは待ってますからね。」彼を見つめてきょとんとして、少し間を空けて嬉しそうに笑って彼にそう伝えて。それからまた少ししたあとに、そう言えばと言った風にスケッチブックを取り出して)
時々お前って変なことを言うよな、いいと思ったところは褒めるし違うと思えばそれは違うと言う、それだけのことだろ?
(別に彼女が言うことを頭ごなしに間違っているなどと否定したりなんてするつもりはなく、私情を抜きにして自分なりに率直に評価をしているまでのことであり、まるで自分が褒めることが珍しいことであるかのようなリアクションをとる相手には心底不思議そうな表情を見せて。よくもまあこちらの言葉一つでそれだけ気分を大きく浮き沈みさせられるものだと、そんなことを考えながら彼女の嬉しげな笑顔を見ていて、例のスケッチブックが満を持して出てくると軽く身構え「やっぱそれは出てくるんだな…それは一体なんなんだ?」ずっと使途不明なままのそれが一体なんなのか、いよいよ核心に触れて)
うーん、さすが先輩です。今どきそれができる人は中々居ないと思いますよ?…ふっふっふ、遂にこれの出番のようですね。私は先輩が大好きな訳です。ですが、先輩は私に全くそういった恋愛感情を抱いていない…なので、まず最初に『日向彩芽と付き合うメリット』というものを書いてきました!読みやすいように漫画形式で書いてます!
(彼の言葉を聞いてうーんと唸り、尊敬の眼差しを彼に向けてそう言って。相手からそれは何なんだと聞かれればスケッチブックをばっと開いて相手に見せれば、そこにはデフォルメされたキャラクターと、それに全く似合わないほどの達筆で書かれているタイトルがあり、それだけでインパクトは十分すぎるほどで。書いているときになにも思わなかったのか、デフォルメされたキャラクターは「YAPASU!」と言う謎の声をあげていて、逆に此方はミミズの這ったような字で書かれており、タイトルの時点で既にお腹いっぱいになるほどツッコミどころに溢れていて。しかもそれを書いた本人はやたらと堂々とした態度で相手からの言葉を待っていて)
これは…なんの真似だ?全くもって意味不明な上に表紙の時点で既に次のページをめくりたいと思えないんだが…メリットどころかデメリットしか今の時点だと感じられないぞ
(自信満々に見せつけられたそれの表紙を見れば思いっきり眉を顰めて、タイトルの時点で食指が全く動かないのは当然のこととしてギリギリ読み取れる表紙のキャラクターが口にしている単語も『YAPASU!』などと意味不明で頭を抱えれば、素直に読みたくないし読んでもデメリットしか感じられなさそうだとハッキリと言ってのけてはページをめくることもせずに突き返して)
えぇ、そんな!おかしいですね、真面目に作ったんだけどな…ま、まあまあ!メリットもちゃんとありますから、次のページに行きましょうよ!タイトルだけでは判断できませんよ!
(自分では良くできたと思っていたタイトルが思っていたより不評でがーんとショックを受け、何がダメだったんだろうかと腕を組んで考えたが何がいけなかったのかは分からず。相手に自分と付き合うメリットを説明することでちょっとでも
好感度を上げようという目的のため、もはや少しやけになって相手にスケッチブックを見せて、ページをめくるように推し進めて)
気乗りはしないけど仕方ない…
(正直最初に感じた印象からして先をめくる気には到底なれなかったが、確かに中身を全く見ずして否定してしまうのはいくらなんでもあんまりかもしれないと思えば、あんまり気は進まないが渋々といった風にスケッチブックのページに手をかけて最初の一枚をパラっとめくって)
ふう、良かった…じゃあ、まず一つ目ですね!
(安心したように溜め息を吐き、彼によってページがめくられれば『メリット1 毎朝彼女が家に迎えに来てくれるようになる!』と書かれていて、四コマ漫画の様な形式で作られたものは、背景やトーンなど何故かやたらと完成度の高い漫画が現れてきて、最初の表紙のような物の異質な雰囲気とは別に普通の漫画くらいにも見えるほどで、メリット1に書かれていた通りの内容が漫画にも描かれていて)
おお…なんか急にマトモな感じになったな。だが、ちょっと待て、これがメリットになり得るのはそもそもお前のことが好きな奴ぐらいじゃないのか?
(不安を煽る表紙からすればかなりマトモかつ漫画としては中々の完成度を誇るそれに感嘆を口にしながら目を通して、内容を確認すれば前提からして彼女にとって都合のいい解釈が入っており自分にとってのメリットとは言えないとバッサリ切り捨てて「…だがまあ、お前にこんな才能があったのには正直驚いたな。せっかくだから次のメリットとやらも目を通してやるか」そうは言いながらも漫画の出来栄えの良さに関しては文句のつけようのないものであったのも確かで、最初気乗りしなかったのが嘘のように続きを読んでみてもいいという気持ちになっていて、再びページをめくり)
あ、バレちゃいました?これを見せることで先輩が私の事を好きだと錯覚して、そのまま本当に好きになってしまうという手を考えていたんですけど…冗談ですよ?取り敢えず、次に二つ目です!
(まず、そもそも自分にとって都合の良いシチュエーションであることを指摘されれば、てへっと彼に向かって笑って冗談を言いながら、一応、という風に彼にちゃんと説明をしておいて。漫画の方はそれなりに評価されていると思ったのか「知り合いにこう言うものに詳しい子がいるので、その子に教えてもらったんです。完成度には自信がありますよ!」次のページには『メリット2 手作りのお弁当が毎日食べられる!(食費が浮きます
!)』そう書いていて、またまた完成度の高い漫画が描かれており、今回は弁当の中身などもしっかり作り込まれていて)
そんな風に自分を安売りするな、錯覚の恋なんてどうせすぐに冷める、なりふり構ってられないという気持ちはわかるけど掴んだものが中身のない空虚なものだと知った時は堪えるぞ
(冗談めかしているが、きっと少しぐらいはそんな考えが頭の片隅にあったであろう彼女の顔を真っ直ぐに見据えて、そんな考えで想いを成就させても本当に欲しいものは手に入らないし自分の想いにはもっと真摯に向き合うべきだと、自身の言いたいことを少し説教っぽくなりながらも伝えて。これを作り上げるためにわざわざ友人を頼って彼女なりに苦労をして作り上げたのだと知り、よくもそれだけ頑張れるものだとそんな風に考え「まあ、確かにさっきの弁当は中々美味しかったけどな…でも別に俺は食べるに困っている訳でもないし、その為に付き合うってのはな…それに弁当なら俺でも作れるし現状では俺が自分で作った方が美味い」メリットについて目を通して、彼女の言わんとすることは理解できるがそれを付き合うという方向に結びつけるのはちょっと難しいのではないかと口にして、その上で思い切り厳しい意見を突きつけて)
う…ほんと、それについては何も言えません、反省します。…というかこれ、改めて読んでみたら、ほとんど私にとってのメリットですよね?…これ作った人深夜テンションで作ってますよね。だってまともな思考してませんもん、これ!…ああ、これ作ったの私ですね。すみませんでした…
(相手の真っ直ぐな視線に言葉を詰まらせて、自分の考えが浅はかであったと深く反省する様子を見せて。何かがおかしいと思ったのかスケッチブックに書いてある漫画をペラペラとめくって、一度全てのページに目を通してから自分にとってのメリットの方が多いことに気づいて冷静にそう話し。ぐうっと喉を鳴らして、自分の書いたものに文句をいったあとに間を空けて、自身がやっていたことを理解したのか自分自身に心底呆れたようで、どんよりとした雰囲気を纏いながら申し訳なさそうに相手に向かってそう言って)
確かにそうだな、でも人と付き合うのに自分が幸せになれない道を選ぶのは愚の骨頂だよ。…お前にとって俺と付き合うということはこれだけのメリットを見出せるということなんだよな…
(描かれた内容が彼女にとって独りよがりと言っても良い内容であることは否定しようのない事実であり、確かにその通りだと頷くが同時に幸せと思えない人付き合いはするべきではないと内容については肯定的な意見も口にして、内容をパラパラとページをめくってザッと確認をすれば本当にここまで自分と付き合うことにメリットを感じて想ってくれているのだとわかって、なんとも胸の奥が熱くなるような気になればポツリとそう呟いて)
そうですね…今度はもっとちゃんとしたものを作ってリベンジさせてもらいますね!…はい、考えてみたらどんどんと出てくるんです。私にとって先輩はそれくらい大切な人ということですね!
(彼の言葉を聞いて、今度は彼にも納得してもらえるような作品を作ろうと意気込んで。彼の呟いた言葉を聞いて、何故か胸を張って自信満々にそう言って「…と言っても、私から先輩にアタックするだけじゃ意味がないですよねえ…よし、これからも先輩から好きだと言ってもらえるように頑張ります!」本人の前で言うことに躊躇い、恥ずかしいなどといった類いのものは全く無いようで、堂々とそんな事を話して立ち上がり)
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