誇大妄想狂 2020-08-20 11:06:10 ID:5a7104027 |
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>堺、餓狼達
(見上げる程の相手を前に、両手で握りしめた模造刀は恐ろしい程頼りなく思えた。
首筋を伝う汗は熱気から来るものでは無いだろう、しかしそれでも両足は確りと踏みしめる。
この巨体相手に「受け」等考えてはいけない、集中し見極めるのは、相手の攻撃の「起り」のみ)
ふー……!
(静かに長く息を吐いた。
巨人が拳を作る、小さく振りかぶり、踏み込む為の足が微かに浮く。
――今、と、考えるより早く身体は動いた)
やあぁぁあああああああーーーーーーーッッッッ!!!!
(全霊を籠めた気合い、体を沈めて前方へ突進する。
沈めた刹那跳ねた髪の先を巨人の拳は掠め、深紅の毛髪を数本宙に舞い散らせた。
背後で響く着弾の轟音等気にも留めない、機動力が全て、一瞬の攻防が全て、一度でも捉まれば「終わる」イメージは脳裏に鮮明に浮かんでいる)
(「出力」は、身体を動かし続けられる限界値!狙いは比較的筋肉の薄い関節部!)あああああああッッッ!!!!
(模造刀は模造刀だ、金属製とはいえ半ば木刀に近い軽量で、切れ味等は当然皆無。
だが、エステラがそれを握りしめた途端、刃の軌道上に青白い電流を散らす立派な武器へと変貌を遂げる。
軽く触れるだけで常人ならば気が遠くなる出力、それを、巨人の膝へと駆け抜け様に思い切り打ち付けた)
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