アル 2020-08-16 00:24:07 ID:b880c11d9 |
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……よっと…やった、綺麗に巻けた…!
(溶き卵に少しの塩、それから醤油を回し入れてからさらによくかき混ぜる。卵焼きを焼くためのフライパンに少し油を引いて温めれば、サッと流し込む。それから数回に分けてクルクルと巻けば、皿に盛り付けて1口大に切って盛り付ける。同時に焼いていた鮭をコンロから出し、味噌汁にネギを散らして、茶碗にご飯を盛る。机に自分の分とギルガメッシュの分を並べれば彼の名前を呼ぼうと口を開きかけて、アッと口を噤む。慌ててキッチンに戻ればすりおろしていた大根おろしを卵焼きの横に盛り付けて。全て揃ったのを確認すれば、なんとなーく彼がいるような気がする方を向いて虚空に声をかける)
王様、お待たせしました。できましたよ。
ほう、気付くか、解ることは解るようだな。
──ふむ、我の口に合うのだろうな?
(財宝を眺めていようと考えていたのだが、己のマスターを観察しているうちにそんな時間無くなってしまった、相手が動く事に目線をズラし、様子を眺める、やはり魔術師という器でもなく、それどころか自分のマスターという器でもない。
それ故に、興味は湧く。
そして、マスターに気付かれて呼ばれると霊体化を解き、相手の盛り付けた食事に目を通し、一言聞いて)
…王様と出会ってからまだ日は浅いですけど……何となく味の好みは分かったので、多分大丈夫だと思い…ます……
(何も無い空間から突如として現れた彼に、一瞬ビクッとするも、珍しくハッキリと上記を告げる。最後はうやむやになってしまったが、きちんと味見はしたため大丈夫なはず。
椅子を引いて座れば、手を合わせて「いただきます」と呟く。が、王様の反応が気になるのでまだ箸は付けておらず、ちら…と彼の方を見て)
貴様が我を語るか。
…いやよい、貴様の語る我がどれほどか、我自信が食して図るのみよ。
(現界する時に聖杯から知識は提供された例えば箸の使い方や食事の作法、必要ないと思っていたが、役に立つならそれでいい。
己を語るのは片手の指が満たないほどしかいない、相手が相手ならば有無を問わず串刺しにしているところだ、しかし今回は殺してしまうメリットより生かすメリットの方が大きい、感情的ではあるものの、物事は見据える。
そうしてマスターと同じくして椅子を引いて玉座のように腰をかけると箸を持ち、卵焼きを1切れ挟み、口に運んで)
ッ、…ど、どうでしょうか……?
(卵焼きを一切れ、食べるのを待っているだけなのにこんなにも緊張する。まぁ自分の生死がかかっているというのもあるかもしれないが、純粋に感想が知りたいのと、あわよくば彼の喜んだ、笑った顔が見たい。そんなことを言っては自分の寿命を縮めるだけなので実際は何も言わずに待っているが、やはり自分が好きになった人には喜んでもらいたいと思ってしまう。……恋なんてした事ない私がこんなにも必死になって。自分でも少し笑えてしまう。)
──雑種ごときが我を語った時は些か殺してやろうと考えたが……いいだろう、喜べ雑種、貴様の命はまだ在れるぞ。
(威圧感を含んだ言葉で初めに口を開き、僅かな間を置く、そして、ニヤリと口元を歪ませて笑い、マスターの方を見る。
要するに口に合ったということ、生前では食事こそ豪華であったものの、料理人というものがあまり存在していなかった、故にマスターのような今の世界の料理は思いのほか口に合う、新鮮、と言った方が正しいのかもしれないが。
どちらにせよ、マスターの命が伸びたということに変わりはない)
ほ、ほんとに…?、、よかったぁ……
(回りくどいが、美味しい、と受け取ってよいのだろう。その言葉を聞いて、なんだか一気に体の力が抜けた。ふにゃ、と力なく笑い自分も卵焼きをひと口ほおばれば、ようやく実感が湧いてきて嬉しそうにそのまま食事を進めて。喜んでもらえた、それが何より嬉しかった。)
だが、我を飽きさせぬよう励め、食事も、同じものを続けて出すようならばその首即刻切り落とす。
(黙って食事を続けていたが、喜ぶマスターを見ていると本当にマスターという自覚はあるのかと思い、緊張感と恐怖を植え付け、絶やさず、その心にこの英雄王に仕えていることという事実を植え付けて)
もちろんです!料理は得意な方ですし、王様も食べてみたいものとかあったら言ってください!
(彼の言葉に怖気付くどころか、やる気満々といった感じで返事をする。お昼ご飯と夜は何にしようか、何なら彼は喜んでくれるだろうか。先程まで若干怯えた様子があったのに対して、今は彼に喜んで貰う方が大切といったようで。恋は盲目とはまさにこのようなことを指すのかもしれない)
───そうか。
(ここまで意気揚々と受け止められ、答えられると、念押しする気が失せる、英霊一人は戦闘機一機分に相当すると言うのに、やはり自覚が足りていない。
だがこれ以上言及する気はなく、大人しく食い下がると黙って食事を終えて)
……ごちそうさまでした。あ、食器下げますね。
(しばらくしてから食事を終えると、立ち上がって食器をキッチンへ下げていく。これから王様はどうするんだろうなどと考えながら片付けていると、シンクの中で積んでいた小皿が落ち、音を立てて割れてしまい。驚いたものの、すぐに袋を持ってきて片付ける。が、途中で破片で指を切ってしまい、赤い血がタラ…と溢れてくる)
いッ…!…あー…やっちゃった……
…雑種、貴様。
(食器を下げられると蔵の中から金の器とワインを取り出す、これは食事ではなく、この時代のワインは香りも程よく、嗜好品として丁度いいからだ。
そうして器をゆらゆらと回し、ワインの香りを楽しんでいると放っていたマスターが声を上げる、大体を把握すると器をダンッ!と強く叩きつけ、マスターの側まで歩み寄ってくると短く呼んで)
ぁ……ご、ごめんなさい…ッ、うるさかったですよね……
(気に入っていたお皿だったのになぁと呑気なことを考えながら割れてしまったお皿を片付けようと手を伸ばした瞬間、後ろから机を叩く音が聞こえてきてビクッと肩を震わせて振り返り。すぐ後ろに自分を見下ろすギルガメッシュが立っていて、まずい…と本能的に悟り咄嗟に謝って。)
五月蝿くはあるが、不快には思わん。
(謝るマスターを他所に自分の意を述べ、すぐさまマスターの手首を掴んで立たせ、軽く捻りながら破片で切れた指の傷を探し、見つめる。
少しの間見つめたのち、大した傷ではないが感染症で死ぬ人々を見てきた己からすると危険は排除しておきたく、宝物庫の中から霊薬を引っ張り出し、マスターの傷口に中身を何滴か滴らせる、そうすると傷はみるみるうちに塞がり、霊薬を宝物庫に戻して)
えッ、ぁ……え!?凄い…!治った…!なんで…!?
(手首を掴まれて咄嗟にぎゅっと目をつぶったものの、何かされるわけでもなく、ただ、立たされて。そのまましばらくじっと傷口を見られたあと、どこからとも無くちいさな小瓶のようなものを取り出してきて。それから中身を数滴、傷口に垂らされれば、みるみるうちに傷口が塞がり何も無かったかのように綺麗になって。
突然の魔法のような出来後に目を丸くしながら何度も自分の傷があった指を見て。触ってみても何も無い指に目をパチパチとさせながらすごい凄いと子供のように感心して)
治癒の霊薬だ、普段ならば雑種如きに使う代物ではない。
……このことは、我と貴様だけ話だ、他の誰にも口外するな
(子供のような反応をするマスターに付き合うのも馬鹿らしく、とりあえず説明と使うべきものでは無いことを伝えて、そして口止め、これを使ったことが魔術師にバレたら令呪を奪ってでも、それこそ殺してでもマスターの座を奪おうとする輩が現れるだろう、それならばまだこのマスターの方が幾分かマシというわけだ)
……それって、二人だけの秘密…ってことですか…?
(感心したようにずっと治った指を見ながらギルガメッシュの話を聞いていたが、我と貴様だけの話だ、と言われて少しドキッとする。ポツリと上記を呟いてはすぐにハッとして顔を赤くする。…何を言っているんだ自分は。慌てて誤魔化すように立ち上がれば、割ってしまったお皿を片付けようと手を伸ばして)
意味合いでは同じだ、秘密ならば守り通せ。
(多少相手に呆れ、一応意味合いでは同じではあるものの、バラした時の危険性はそこら辺の約束の比ではない、だからしっかりと念を押し、バラさないようにして)
は、はい…!絶対誰にも言いません…!
(ギルガメッシュの声を聞きながらこくこくと赤い顔で必死に頷けば、割れた皿を入れた袋を結んで。それからゴミ箱へ捨てて手を洗ってから、ふと、彼に問いかけて)
そういえば王様、今日のご予定は?…私は今日学校休みなので課題しつつ、お昼ぐらいから買い物にでも行こうかな?と思ってますが…
この世界の至宝を我が手に収める、人間どもに価値はないが、それが生み出したものに価値がある。
(予定を聞かれるとそう答える、何せ、この世の財は全て自分のもの、人間如きが持ちうる宝ならば当然我のもの、傲慢だが当然のこと。
つまるところ略奪だ、被害者はそう言うだろう)
え゛ッ……
(ギルガメッシュの言葉に、それはまずいのでは!?と本能的に察知して。そんなことしたらまず目立つ。次に警察沙汰になりかねない。それは絶対に避けなければいけない事態だろう。どうにかして王様を止めなければいけないと思い、必死に考えて一か八かの賭けに出て)
あ、の……王様、数学は得意でしょうか……?
できないことはない、が、我がそれを行う理由にはならん。
(数学、現代においての学の1つ、聖杯に与えられた一般知識の1つ、記憶に眠っている知識、思い出そうと思えばその知識は聖杯によって引き出されるだう。
だが、それだけでは自分の足を止める理由、言葉にはなり得ないこと、ばっさりと言い切って)
ぅ……じゃ、じゃあ、何か一つ終わったら何でも言う事を聞きますのでッ…!……教えて、欲しいです…
(ギルガメッシュの言葉に一瞬言葉が詰まったが、ここで諦める訳にはいかない。そう思って咄嗟に自分を囮にしてしまった。これでもし彼に**、などと言われてしまえば一巻の終わりなのだが、なんとなく彼はそんなことをするような人じゃないと確信があって)
─────ほう?
(先程までは足を止めず、切り捨てていたが、マスターが自身を生贄に、犠牲に、そういった行動をしたマスターに、また興味が惹かれた、臆病で今でも崩れそうな精神でありながらしっかりと立っている、それがまた、興味が惹かれた)
そ、それでどうでしょうか……
(ギルガメッシュの足が止まった。これはいけるかもしれない。何を言われるかは怖いが、想像してしまった惨劇が起こるのを防げるのなら安いものだ。というか普通に数学は分からないので教えてくれると非常に助かるのもある。不敵に笑う彼にたじろぎながらも再度お願いしてみて。)
──いいだろう、だが次はない、せいぜい我を飽きさせるな。
(今回は温情だ、無慈悲なる王だとしても、多少なり民に情を与えておかねばならない、そういうことだ。
しかし、言った通り、次はない。
次、マスターが己を引き止める際、下らぬ理由を抜かしたら即刻略奪は開始される。)
わ、分かりました…!ありがとうございます…!
(よ、よかった…なんとか今回は引き止めれたことにホッと胸を撫で下ろす。継ぎもしこんなことがあったらどうしようかとも思ったが、それはもうその時に考えよう。とりあえず数学のテキストやらを取りに行かないと、と思い立ち上がって)
テキストとか取りに行ってくるのでちょっと待っててください。
迅速に行え、我を待たせるな
(待たされるのは好かない、だが、そこまで神経質なほど心は狭くない、マスターに余計な負荷をかける、のも、特に好きという訳では無い、気分だ。
ただ、待つよう言われるのだけは納得出来ず、言う)
すみません、お待たせしました…!
(少ししてから教科書やらテキストやらノートやらかなりの量を積んで持ってこれば、よいしょ、と机の上に置いて。ノートを開けてテキストをパラパラと捲りながら付箋をしている部分を開けてれば、ペンケースからシャーペンを取り出して)
我は少し時間を要する、その間、貴様は自力でそれをやれ、何せ、不要だと考えて捨て置いていた知識を引きずり出さねばならん、時間がかかるだろうな。
(こんなことを言っているが、直接教えるのは面倒で、何よりマスターに代価があるとはいえ全てを与えるなどつまらない、成長もしない、だから、とりあえずは自力でやれと命令し、目を閉じる、決して寝ている訳では無い)
えぇー?…まぁ、やりますけど…
(持ってきたは言いものの、記憶を辿るのに時間がかかるから先に始めろと言われては、拍子抜けしてしまい。まぁ仕方ないかと思いながらノートを纏めながら問題を解き始めて。が、少しして手が止まってしまい。)
…王様ぁ………ワカリマセン……
どこだ、見せてみよ。
(大体予想は出来ていたため呆れながらも態度なは出さず、ずいっと顔を相手に寄せると、どの問題か聞き、シャーペンを持つマスターの手を重ねて握り)
ッ…こ、ココ…です……
(…ちょっとまって、これは近すぎないか?整いすぎている綺麗な顔が近づいてきたと思ったら、そのままシャーペンを持っていた手の上から自分より大きな手で握られて一気に鼓動が加速する。心臓が耳元にあるみたいでうるさくて仕方がない。重ねられた手から感じる温もりから、ちゃんとここにいるんだなぁと改めて実感しながらも、好きな人とこの距離でパニックになりそうで)
ほう……なるほどな。
(マスターの気などお構い無しにいとも容易く問題を解き、マスターのシャーペンを少し借りると答えを書き、そして少しの間そのまま問題について解き方や理論などを語る、こんなことをする必要は無いのだが、また同じもので呼ばれても困るからだ)
ぁ…なるほど……!
(始めはドキドキしすぎて頭に入ってくるか心配したが、彼の説明がとても分かりやすくて、自然と意識が数学の方に向いた。途中で分からなくなって質問しても、意外と丁寧に答えてくれる。…彼は案外面倒みが良いのかもしれない。綺麗な字で書かれた解説を参考にしながら、自力で別の問題を数問解いてみる。少ししてからシャーペンを置き、彼に見せて。)
あ、あってますか…?
…間違いは無いな、雑種にしてはよく出来ている。
(マスターの問いた問題を覗き込んで見ると、おおよそ間違いはない、一応ノートを手に取って一通りの答えと問題に目を通すが、やはり全て合っている。
純粋にマスターを褒めてやると、ノートを返し、続きがあるのなら迅速に済ませよと伝えて)
や、やった…!王様のおかげです…!
(今まで自分一人では解けなかった問題が、教えて貰ってからはスラスラと解けたことに感動して。しかも全問合っていて褒めてもらえば嬉しそうに笑い。彼の言葉によし、と気合いを入れては別の問題に取り掛かって)
──貴様、忘れてはおるまいな?
(あまり好ましくは思わない、何せこれを終えたら己はマスターへの絶対的な命令権を得る、マスターという束縛から解放され、単独行動を利用してこの世界を自由に旅する事だって、それこそウルクがあった場へ赴き、自慢のカリスマで従わせ、ウルクを再建する事だってやろうと思えば可能だ。
しかし、このマスターの無事は保証できない)
……もちろん、覚えてますよ。
(王様の少し不機嫌そうな言葉に、問題を解いていた手が止まる。これが終われば私は彼から何か1つ必ず命令に従わなければいけない。何を言われるか分からない恐怖が無いとは言いきれないが、何となく、本当に自分の直感でしかないが、彼は私に害が出るような命令をしないと思う。確かに横暴で、簡単に人の命を奪うような真似もするが、それはやはり彼が王だから。王だからこそ、そんな気がしたのかもしれない。一度彼の方を見て、怒られるかな…と思いながらも口を開いて)
……信じてますもん、私。
(そう言ってまた問題を解き始めて。それから少しして、シャーペンを置けば、彼に解けた答えを見せて。)
信じる?信じるだと?戯けが。
我は暴君、伝説上でそうあるべしと成り、現に我はそうなっている、その我を信じるだと?貴様はサーヴァントをなんだと思っている。
いい加減身の程を知るがいい、貴様は我を手放せ、さもなくば死ぬぞ。
(いい加減、実感が必要だ、己のマスターは何を抱えているか、簡単に言えば爆弾だ、爆発した瞬間マスターは魔術師、協会、代行者、英霊、魔術世界に関係する全ての者から目をつけられる、時計塔の方針は既に知り得ているが、マスター本体を全力で殺しに来たら守れるとは思えない。
つまり、心配しているのだ、故に突き放し、危険に晒さないようにする、なぜこんな感情を抱いているのか自分でも分からない。
見せて来た答え、それを持っていたマスターの手首を掴み、捻りあげる、このままへし折る事だって出来るが、あくまでする事は忠告だ)
ッ……!、…たとえ王様が別の時代を生きた英霊でも、自分の欲のままに動く暴君でも、……王様と同じ今を生きれるなら…王様と一緒に居たいんです。
(腕を捻り上げられ、痛みに顔が歪みそうになるがぐっと堪えて彼の目を見つめる。蛇に睨まれた蛙のように、一瞬たじろぐが、彼の瞳がどこか揺れていることに気づいて意を決したように話し始めて。確かにマスターとして魔術師として力も腕前も無さすぎる自分にはサーヴァントとの契約だけでも大変なことだった。しかも呼び出しに応じてくれたのはかの英雄王で。そんな超一流サーヴァントをもつ新米マスターなんていつか狙われるのも時間の問題だろう。戦うとなってもこちらの魔力が無さすぎるせいで王様には迷惑をかけてしまうかもしれない。自分も殺されてしまうかもしれない。……それでも、それでも、出会うことのない彼と出会い、好きになって後悔したことは一度もない。死ぬのは怖くないといえば嘘になるが、今は一人になる方が恐ろしかった。彼の不器用な優しさにつぅ、と一筋の涙を零しながら震える声で呟けば、ぽす、と貴方の胸に頭を預けて)
……だって、こんな奇跡………二度ないじゃないですか…ッ、
──愚か者が、我相手にそこまで言って見せたのはエルキドゥとシドゥリ以来だ、貴様の行いは普段ならば許される事でもなく、即刻首を落としているところだが。
貴様に死ぬ覚悟があるのなら、我はもう貴様を見果てた、殺す価値さえ貴様にはない、故に、貴様が死ぬことは我が許さぬ、この我が見果てた女だ、他の誰にも奪わせん。
(正直言って、自分はこのマスターが気に入っている、それがどうだ、なぜ手放そうとしていた、財宝は須らく我のもの、手放したことなどなかった、それは失うことがなかったからだ。
失う財宝というのは使い尽くせぬものである、それにマスターは当てはまったのだろうか、それは知る由もないが、とにかく、このマスターの命は首の皮一枚で繋がった)
………それ、すごい殺し文句ですよ…
(頭上から降ってきた言葉に涙を流しながらも目を見開いて。ぽたぽたと床に涙を落としながら王様の言葉を聞いていたが、途中から言葉に棘はあるもののものすごいことを言われているのでは?と気づいて、涙が引っ込んで。それからどんどん真っ赤な顔になり、耳まで赤くなれば、顔を上げようにも上げられなくなり、ボソリとそう呟いて。)
この程度が貴様への決め手となるか、所詮雑種よな。
(マスターが言うのならばこれ以上ことだってしてやるのもやぶさかではない、しかしこの程度でもマスターにとっては決め手となったらしい、王の寵愛を賜るに相応しい女とは到底言えないマスター、鼻で笑って突き放す)
そっ、そんなことないですッ…!
(ギルガメッシュの言葉にばっと顔を上げて拗ねたような顔を見せて。確かに先程の言葉には翻弄されてしまったが、子供扱いしないでほしい。一応年頃の、伝わっているのかイマイチ分からないが、恋する女の子なわけで。そんなことを思いながらむぅ…と頬を膨らませて)
そうか、ならばそれを我に示して見せよ、示せなければ戯言だぞ?
(子供扱いするのは仕方ない、こっちは英霊、言い方を変えれば何千年と生きるもの、それに加え自分はウルクの王である、そんなことを言われても、自分が見た中ではやはり子供、そう見られたくなければ行動で示せ、具体的には言わないが、まぁそれくらいは自分で考えろということだ)
ッ……、
(王様の言葉に顔を赤く染めながら何も言い返せなくなってしまう。見た目は若者のように見えても、彼はもう何千年と生きてきた人で、ましてや一国の王でもあった。経験も、今まで彼が出会った人たちに勝てる要素なんて1つもないと思うが、彼に馬鹿にされたままなのも嫌で。でもどうしたら…とぐるぐると頭の中で悩んでいたが、不意に背伸びをして、少し貴方の服の襟を掴んで引き寄せれば、軽く触れるだけのキスをして。…………何してるんだ私。自分でやっといて真っ赤になりながら、ふい、と横を向いて)
───。
(不意だったものでしばらく硬直する、いや、何せ、こういうのは初めてだ、自分の襟を掴み、あまつさえ引き寄せて口付けをするなど、万死に値する行為であり誰もやらないことだった。
故に笑うことも、怒ることも、殺意を向けることも無く、少しの間呆然としてしまう)
……あ、の……お、王様………?
( 殺されるかな、と思いぎゅっと目をつぶって彼の反応を待っていたが、いつまでたっても何も起こらないのでそーっと目を開けてみて。呆然とした表情で固まっている彼を見れば、そ、そんなにショックを受けたかと少し悲しくなりながらも、心配になって恐る恐る声をかけて)
───未知なる体験を起こした褒美をとらす、受け取れ。
──ハハ、フハハハハハハハ!!人に価値はないと思っていたが……いや何、貴様は別のようだ。
(無言で右手をスっと上げ、未知を起こした、自分に行った相手にますます興味が湧き、褒美をとらすと言ったと同時に宝物庫から霊薬の小瓶がゆっくりと相手の手元に落下し、少し経つととんでもない高笑いをして、マスターの顎をガっと掴む、そして紅い瞳で覗き込むとそう伝えた)
えッ……これ、さっきの薬ですよね…!?貰っていいんですか……!?
(自分の手のひらの上に霊薬を置かれれば、目を丸くして貴方を見て。あんなに凄い薬私なんかが貰ってしまって良いのか!?と思いあわあわとしていると、急に笑いだした貴方にギョッとして。それから顎をガっと掴まれ、瞳を覗き込まれればその美しい紅い瞳に頬を赤く染めて)
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