奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
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>斑鳩刹那さん
『………お願い。少し静かにして。』
ざわつく観客の呟き。
それを聞いた瞬間自分でも驚く程の底冷えした様な声でユーリは注意喚起を促す。
ユーリは怒っていた。
元々は銃の扱いは経験の差からしても圧倒的に刹那の方が上であり、紅葉は天性の感覚でそれをカバーしているに過ぎない。
そう、真似をしているのは寧ろ紅葉の方。
最凶の禁忌のマスターとして禁忌やユーリと共に戦う事が殆どであった為に忘れがちかも知れないが紅葉本人の運動能力や魔力は決して高くない。
いや、寧ろ人並み以下なぐらいといっても過言ではないのだ。
しかも紅葉自身は魔法戦をする際には禁忌の鎌を使用する事が殆どであり禁忌のスペックに頼ってきたに過ぎない。
だがそんな事は他の誰より紅葉自身が1番よく理解していた事。
そして紅葉もそれを良しとせず、どうにかして自身の身体のスペックで扱える武器を模索した結果辿り着いた結論が銃である。
紅葉の銃のスタイルの根幹、それは斑鳩刹那だった。
紅葉はそこに様々な技術を自分なりアレンジしたに過ぎない。
つまり紅葉にとって刹那は親友であり家族であり、銃の師匠でもある。
そんな紅葉の銃の師匠でありユーリにとって彼女である刹那を馬鹿にされる事にユーリは怒りを露わにしていた。
そしてそんな怒りを露わにしているのは一人では無い。
「ッ!!」
自分にとって掛け替えの無い存在。
紅葉にとって刹那は家族であり、親友であり、姉であり、銃の師匠でもある。
そんな刹那を侮辱される事は自身を侮辱される事より遥かに耐え難いものだ。
そんな紅葉の内心抱える怒りは紅葉の精密な射撃を少しずつ狂わせていく。
僅かにズレ始める照準。
それでも紅葉は構わず連射や3連射、ゲットオフスリーを駆使してゾンビを撃ち抜いていく。
だがそれは唐突に訪れた。
ガキンッ!!
プレイ中に鳴り響いたどこか鈍い音。
「っ!?」
それと同時に一瞬、紅葉は苦悶の表情と声を漏らしたのだ。
(「私とした事が……迂闊でした。」)
すると紅葉は撃鉄部分に添えていた左手をダラリと垂れ下げ、半身の片手銃の構えを取った。
しかし、今の紅葉の体勢では3連射はおろか連射すら出来ない。
垂れ下げた左手はよく見れば微かに震えている。
そう、紅葉が内心で怒りを露わにしたあの瞬間に事は起こった。
ゲットオフスリーショットを行う際の2連射目が発射され起こされた撃鉄が落とされた際に紅葉の中指が銃身と戻る撃鉄の間に挟まり、結果左手の中指を撃鉄で強打したのである。
怒りで集中力が乱れ動作が不安定となったが故のの不運な事故。
それでも紅葉は射撃を止めはしなかった。
刹那があれ程の決意の中で挑んできた真剣勝負。
紅葉としては怪我を理由に途中で中断などという結果にだけは刹那への申し訳無さからしたくなかったのだ。
だが射撃の精密さが徐々に失われていき、刹那とのスコア差が徐々に無くなっていく。
(「お願いですから、あと少しだけ……もってください。」)
左手の中指を襲う定期的な苦痛を感じながらもそれを表情には出さずにプレイする紅葉。
残り時間はあと僅かである。
(了解しました。次の刹那のロルか次の自分のロルで時間切れにしようと思います。どちらでも大丈夫ですよ。)
>紅紅葉さん、ユーリさん
「…………っ!」
突如、刹那の標準は微かに狂いだした。それをユーリの声に恐怖した観客たちが気づくことはなかったものの、観戦しているユーリは容易に気づくだろう。
右足は急に震え始め、刹那は左足に重心を移す。左目を固く閉じた様は、視力の残った右目を最大限に使おうという考えが見て取れた。
先ほどまでの綺麗な構えとは異なる、立っているのがやっとの様子。それでも刹那は銃を構え、的確なショットを繰り出しながら言葉を紡いだ。
「……『最後の』私の銃を、どうか見ていて。受け継いで。私の『銃』を」
刹那の崩れた構えは、何もふざけているわけではない。無魔の代償とした右足と左目の機能が、ここで失われたというだけだった。刹那もそれを覚悟しており、これからは銃を使わない戦法を取ることに考えていた。
しかし、だからこそだろう。最愛の妹であり親友である彼女に、自分の全てを注ぎ込んだともいえる銃を託したいと願う。その想いを映すかのように、崩れゆく体からは想像できないほどの射撃を披露した。
熱戦の後、試合終了の鐘の音が響く。刹那が己の体を台に預けたその時には、野次を飛ばすものなどいなくなっていた。そしていつの間にか、観客の中に黒髪の袴姿の男がいた。どこか刹那の面影を残す彼は、二人の熱戦を褒めたたえるように静かに手を叩いていた。
>舞さん
聖良「おぉ、貴女もなんですね。ふふ、美味しいですよね、共感してもらえて嬉しいです。
舞さんも姉がいるんですね、お姉さん…いつか会ってみたいです、その…出来ればアップルパイも食べてみたいな、なんて」
(舞さんが文字を書く時に少し楽しそうに見えて、少し心を開いてくれたかもしれないと思うと嬉しくなり、自分も嬉しそうに話していく。
舞さんにも姉がいると分かると少し親近感を覚え、舞さんの姉にも会ってみたいと言った後、少し恥ずかしそうに頬を掻きながらアップルパイを一緒に食べたいとお願いしてみる。)
「お姉さん…貴女はお姉さんと仲が良いんですか?」
(お姉さんの存在を知り、頭に浮かんできた純粋な疑問を問いかけてみる)
>もふさん
えぇ、今帰るのは惜しいから…
(と、視線が迷子になりながら少々恥ずかしそうに告げて。星奈自身、まだもふさんと一緒にいたいという気持ちが強いのであろう)
>アリスタさん、桜さん(/再喝です)
う、うん。そうだね!ちょうど涼みたいと思っていたところだし、丁度いいよ
(内心まだ動揺しており落ち着いていない状態だが、出来るだけ平静を装おうとしつつ2人の提案に賛成し)
>月さん(/再喝です)
そうだね。でもその前に、もう一度処置が必要な人がいるか確かめようと思ってるよ
(そう笑顔で、しかしどこか真剣そうに述べて。本来であれば直ぐに戻るべきなのかもしれないが、まだ治療を求めている人がいるかもしれない。ひかりはその人達の元に駆けつけるつもりだろう)
>聖良さん
「………。」
「いつか会ってみたい」その言葉に、舞は気まずそうな表情を浮かべる。実は舞、姉とは何年も前に離れ離れになっていた。だから会いたいときに会えるわけではないから、かなり焦っていた。それなのに姉の話をする舞も舞だが、心底申し訳なさそうでいた。
でも聖良さんにそう質問されると、ノートに『はい。なかよしです。』と書いて聖良さんに見せた。
しかし、その文章の下には小さくこう記されていた。『でも、もしかしたらあえないかもしれません。だからもしそのときは、ほんとうにごめんなさい。』
>メールさん 東野さん
「……OK、じゃーまずは外へ出よー。」
少しだけ心配そうに首を傾げながらメールさんの事を見ていたが本人がそう言うならば問題ないだろうと考え頷きながら返事をする。
すると振り向いた後に出口へ向かう、出た後に向かう先は森から越してきた時から気に入っている湖だ…
>天音さん 瑠音さん 雪花さん 翼さん 神威さん 知佳さん 月さん
了「9、10!さぁ、鬼が動き出すぜぇーー!!」
10まで数え終わり、壁から振り向いて境内中に聞こえるように大声を出す。
了「さて、と…このあからさまな罠っぽいのはなんだ?」
振り向いて最初に目に入ったお菓子の道を不信に思いつつも、道を辿っていって広間に入る。お菓子の道は瑠音さんの隠れているカーテンに続いており、不審な目でカーテンを見つめる。
>斑鳩刹那さん、???
『刹那っ!!』
試合終了の合図と共にプレイ台に身体を預けた刹那を見てユーリは即座に駆け寄った。
プレイ中に刹那は明らかに左足にシフトウェイトしていた。
まるで右足を庇う様に。
そして左目を紅葉と同じ様に瞑っていた事。
それらが導き出す答えは一つしか存在しない。
『刹那。もしかして………無魔の後遺症が………。』
刹那に駆け寄ったユーリは嫌な予感を振り払うかの様に呟く。
違うと言って欲しい。
そうではないと否定して欲しい。
……だが、ユーリも薄々感付いていた。
あれ程までに紅葉との銃勝負に拘っていた事。
今思い返せば刹那は自分の身体の異変に気付いていたのだろう。
だからこそ部の悪い勝負にも関わらず強行したのだった。
『刹那。人前で恥ずかしいとは思うけどゴメン。後で幾らでも文句なら聞くから。』
今の刹那は片足及び片眼が完全に機能していない。
その状態がどれ程危険なのか、最早議論の余地など存在しないだろう。
ユーリは刹那からVRメガネを外すと刹那の脹脛の下から腕を回すと軽く刹那を持ち上げた。
俗に言うお姫様抱っこである。
傍から見た体格ではユーリは刹那より小さい。
にも関わらず安定した足取りで有無を言わさず刹那を抱き抱えるユーリはどこか見た目以上のカッコ良さが見て取れた。
試合終了すると同時に紅葉はVRメガネを外す。
試合中に負った怪我は大怪我一歩手前といった具合だった。
中指の爪は中心を境に割れ目が入っており、割れ目からは少量だが血が流れ出している。
そんな時、その場に優しく響くプレイヤーの二人を褒め称える様な静かな拍手。
そちらに意識を向ける紅葉。
そこにはどこか刹那の面影がある黒髪の袴姿をした男性が拍手をしていた。
気になった紅葉はその男へと歩み寄り声を掛ける。
「拍手の方、どうもありがとうございます。………私は紅紅葉です。お伺いします。貴方の名前は?」
偶然刹那と似てるだけの他人、という可能性も勿論ある。
だが、紅葉は何となくだがその男性が気になったのだ。
言うなれば直感というやつだろう。
>雪音さん 天音さん 瑠音さん 月さん 雪花さん
>翼さん 神威さん 知佳さん 了さん
凛夏「ひいっ!?は、始まった…?」
(了さんの声に一瞬びくっとなりながらかくれんぼが始まった事を知る。外ではなく中に探しに行ったようなので胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべる)
>舞さん
聖良「仲良しなんですね。良かった………ッ!いえ…謝らないでください。私から言い出したわがままですから…
…あはは、話してたらなんだかお腹が空いてきました。そういえば舞さんは何か趣味などはありますか?」
(仲が良いと聞いて安心し笑顔を見せて。しかし、舞さんの様子からなんとなくお姉さんの話を出すのはまずいと考えて、話題を変えようと色々な話をしてみる)
>聖良さん
「………。」
聖良さんにそう言われるも、まだ舞は申し訳なさそうでいた。だから舞は、聖良さんからの質問に答える前に『お気づかいありがとうございます。』とだけ書いてから見せた。
そして謝るようにお辞儀をしてから、ノートを自分のほうに向けまたペンを走らせる。落ち込んでしまったのか先程よりはゆっくりではあるものの、今度は少し長めに書いているようだった。
『本をよむことがすきで、少女まんががとくにすきです。ああいうこいはわたしにはとってもむりですが、よんでて楽しいので。どうわとかおとぎ話とかの本もすきですが。』
>紅紅葉さん、ユーリさん
「ああ、ごめんね。いつもの姿だと、勘のいい人に気づかれて騒ぎになりそうだから」
男はそう言うと、ふわりと纏う空気を変える。少し変わった一般人の雰囲気だったそれは、紛れもなく神格のそれに戻っていた。紅葉は勿論、その雰囲気に馴染みがあるだろう。
男こと十夜は紅葉の手を取ると、さっとその手をなぞる。神気を纏った気が紅葉の手を包み、怪我は傷跡すらなくなっていた。
「『げーむせんたー』とは何か気になって来たんだ。…………それにしても、人が多いんだね。店長さんっぽい人に言って人払いをしてもらったけどさ」
紅葉の手を離し、不思議そうな表情で口を開く。その様子は刹那とユーリの状況に気づいていないか、気づいていてもあまり気にしていないようである。
「…………っ、ユーリ!?どこ行くの!?私は大丈夫だから!」
一方で姫抱きされていた刹那は手足を動かし、降ろしてほしいと懇願する。しかし片足の機能が失われていることから、大した抵抗にはなっていないようだ。
>舞さん
聖良「なるほど、本ですか…とても良いと思います。私も本は好きです(少年漫画とかラノベですが…)
…私は1番の趣味は散歩ですかね…こうやって街を歩いていると様々な発見があるんですよ、今日は良い出会いもありましたし
ふふ、ありがとうございます」
(舞さんの趣味に共感し、自分も本は好きだと言って。聖良の場合は少し女の子っぽくはない本だが…
自分の1番の趣味を伝え、舞さんに再びニコッと微笑みかけると今日の出会いに感謝しながらお礼を述べる)
>天音さん 天音さん 瑠音さん 雪花さん 翼さん 了さん 加月さん 月さん
神威「…(始まったっぽいな………なんか見られてるけどあれはほっといて良いのか…?)」
加月がこちらを見ていることに気づいているらしくこちらもチラッと横目で加月を見る
>雪音さん 天音さん 瑠音さん 月さん 雪花さん
>翼さん 神威さん 凛夏さん 了さん
「さぁてさぁて…どうなるんかなァ?
あぁ見えて了はん目ェええさかい、案外パッと見つけられるかもしれへんなぁ……
…ふふ……あんこもええ顔しとるなぁ…」
枝に腰かけ開始を待っていたが了さんの声が聞こえてようやく始まったのだなと理解する。
知佳の認識なのだが了さんは目が良いと思っている、視力もそうだが周辺把握能力も優れていると考えられる…コレは知佳が了さんと戦闘した時に感じたものだ。
其れは其れとして此方が見つめているのに気づいたのか横目で見てきた神威さんに微笑みながら手を小さく振る…関係は無いかもしれないが知佳は面食いな人でもある、単に見てくれの良い顔が好みなだけであるのだが。
>聖良さん
「………。………?」
「ありがとうございます」聖良さんのその言葉に、舞は何のことか分かってないような一生懸命その言葉の意味を読み取ろうとするようなそんな表情になる。先程までの罪悪感溢れる気持ちはまだあったが、今は「えっ?えっ?」というような焦りの気持ちのほうが強くなっていた。
だって舞は大したことはなにもしていない。したことと言えば、先程聖良さんを困らせたくらいだった。だから舞からしたら、実際何のことなのかさっぱり分からなかった。なんなら、「感謝をするべきなのはこっちなのでは?」そうさえ思っていた。
すると舞は、そう思いながらもペンを走らせた。そして、『えっと、よくわからないですがおれいをするべきなのはこっちだとおもいます。一どあいざきさんをこまらせたのに、まともにじぶんの声で話せないのに、こんなわたしとお話してくれるんですから。』と書かれたノートを聖良さんに見せた。
>舞さん
聖良「私は何も迷惑などかけられてはいませんし、迷惑だとも思っていませんよ。
手段は何でもいいんです、舞さんと同じで話してくれていることが嬉しいんです、勇気を出して話してくれることが」
(首を横に振り、困ったりなどしていないと否定して。
声でなくても、紙であっても。自分と話してくれること自体が嬉しいと笑顔で語ると、ふう、と呼吸を整え少し真剣な表情になると立ち上がり舞さんの前まで歩く)
「こうやって話すことも、遊ぶことも…色々な嬉しい気持ちを共有したい、だから…私と友達になってくれませんか?」
(今度は満面の笑みで自分と友達になって欲しいと伝え、握手しようと思ったのか手を舞さんに差し出している)
>アリスタさん、桜さん
わぁ…きれい……
(アリスタさんの後に続いてメールも出口へと向かい、湖のあるところに出る。それを見たメールはキラキラとした表情で周りを見渡しながら綺麗だと呟き)
>斑鳩刹那さん、十夜さん
「すみません。ありがとうございました。」
手をなぞられた際に目の前の男性が纏う神気に紅葉は気付くと同時に目の前の男性が何者かを思い出す。
刹那に似た顔立ちで神気を纏う者。
斑鳩家の者であり、その立ち位置はどちらかといえば本家では無くクエや刹那に縁がある彼の名は―――。
「………お久しぶりですね。十夜さん。」
紅葉はその名を本人を見据えたまま静かに口にした。
その一方、ユーリは刹那の言葉で足を唐突に止めると刹那をゲームを見学及び休憩する為のベンチに静かに下ろすと自分自身も刹那の隣に静かに腰を下ろす。
俯いたその瞳から頬を静かに伝う一滴の涙。
そう、ユーリは泣いていた。
愛する彼女がここまでの状態にまで陥っているのにただ見ていることしか出来なかった歯痒さ。
その根本的な原因は自分自身にあるという罪悪感。
それらが積み重なりユーリの心を蝕んでいく。
『取り繕わなくていいよ刹那。機能していない刹那のその片手と片眼。明らかに無魔の代償だよね?…………刹那。本当にゴメンなさい。元を辿れば刹那のソレは全て私の所為……。………私は貴女から………大切なモノを奪ってしまった……。』
言葉を紡ぐ度に濃くなる涙混じりの声。
今のユーリの心はボロボロであった。
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