副会長 2020-08-13 16:27:16 |
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うん、それそれ!
数学ってだけでもうやる気起きなくて…まだなーんにも確認してないんだよねぇ。
(彼からの問いがまさに図星だった為に、何で分かったの?と言わんばかりに目を丸くしつつも、こくこくと頷き。苦手な物は後回しにしてしまう悪い癖が災いし、一切手をつけていないどころか範囲の確認すらしていない故、まさか十数ページもあるとは夢にも思っておらず。面倒臭そうにぼやきながらも、へらへらと笑って肯定して)
あー……馬鹿
(まさかの的中……微かな願いは儚く散った。まぁ正直、なんとなく予想はしていたため半ば呆れながらも納得したように呟く。忘れないようにとスマホで撮影しておいた、課題の範囲が描かれたプリントの画像を彼女に見せると、今日中に終わるのか?と声を掛けて)
え…?なにこ──えぇーっ!?
範囲広すぎないっ?絶対終わるわけないよ~…!
(こちらに向けられたスマホの画面を不思議そうに覗き込み、そこに映っているプリントの文字をじーっと目で追って。始めこそすぐには理解が追いつかずにキョトンとしていたが、時間差で内容を把握すると、そのページ数の多さに目を見開いて愕然と声を上げ。一瞬で真っ青になり絶望的な表情を浮かべると、頭を抱えてこの世の終わりかのような情けない声色で終わるわけがないと泣き言を漏らし)
課題の詳細確認してないお前が悪い。
(やはり彼女には少しばかり、いや、かなり酷な情報だったらしい。持っていたスマホで軽くコツンと彼女の頭を小突くと、肩を竦めて一言。──まあ厳しい言葉を吐いたものの、表情を暗くして弱音を漏らし始めた彼女をこのまま放っておくことは出来ない。この後家に帰って一人で課題に取り組んだとしても、明日の締め切りに間に合う保証なんて無く、本人には申し訳ないが安易に彼女が怒られる様子は想像できる。暫く考えた末、仕方ないなと小さく溜め息をついて)
……手伝ってやるから、まだ諦めるなって。
ぅ…そ、そうとも言うかもぉ…。
──え、いいのっ?さっすがゆーまくん!
(正論すぎる正論に苦笑しつつ頭を押さえ、今日は徹夜決定…どころか最悪の場合、徹夜した上に間に合わずに翌日説教コースが見えてしまい。嫌~な未来を覚悟してどんよりと重い空気を放っていると、まるで神からの救いの手のような有難い申し出が彼の口から飛び出した為、ぱあっと目を輝かせて両手でがっしりと包み込むように彼の手を握り、期待の込もった目でまじまじと見つめ。幼い頃から信頼しきっている彼がいてくれたら怖いものなしだとすっかり安堵し、ニコニコと嬉しそうに微笑みながらお願い、と頼み込んで)
分かった分かった、喜ぶのは課題が終わってからな。
──んで、場所は?
(先程からコロコロと表情が変わる彼女は見ていて飽きないが、今はそんな呑気なことを言っている場合ではない。思考を次の段階、勉強場所へと切り替える。今回は一緒に勉強をする、というより一対一で教えるのがメイン……騒がしくなることも想定して図書館はパス。暫く思考を巡らせてパッと思い付いたのはどちらかの自宅かファミレス。長時間になることも想定して──と、いつもの如く勝手にここまで思索したものの、そもそも彼女は何処でやるつもりなのだろうかと疑問に思って)
あたしの家でいいんじゃない?
それとも、ゆーまくんちの方がいいっ?
(勉強場所のことなど何も考えていなかった。というよりも、当然の如くどちらかの家でするものだとばかり思っていた為、わざわざ尋ねられるとポカンと固まってしまう。彼がどう考えているのかは分からないが、やはり一番手っ取り早く都合が良いのはお互いの家であり、それ以外を思いつく気がせず考えてみる気もなく、ぱちぱちと数回瞬きを繰り返した後、少し不思議そうに首を傾げつつも自分の家と彼の家の二つを挙げて)
……いや、美紅の家でいい
(相手の様子を見るに、彼女の中で場所に関しては固まっていたらしい。そんなことなら最初に聞いておいた方が……とつい思考回路が効率を優先し始め。でもまあ、彼女の自宅という、彼女にとって一番リラックスしやすく落ち着いた環境であれば集中もできるかと一人納得し。兎に角、場所が決まればあとはもうそこへ行くだけ。どうやら一度解散などはせず、そのまま目的地に向かうらしい。もたもたしている暇はないぞと相手に声を掛ければ、彼女の自宅目指してすたすたと足を進め)
──たっだいま~…お母さん居ないみたい。
ってことで、頑張る前にまずは甘い物甘い物っ!先に部屋行ってて!
(自宅につくと玄関の鍵を開け、扉の向こうへ溌剌と挨拶するものの返事はなく。父親が仕事なのは把握済みだが、母親は友人の家にでも出掛けているのだろう。時間が無いのは重々承知しているが、何のご褒美もなしにやる気が持続する気がせず…要するに単純に誘惑に負け、まずはおやつを食べてから課題に取り掛かろうと決心。彼にとっても勝手知ったる家だろう、部屋で待っているよう短く告げると、甘い物を用意するために浮かれた様子で一目散にキッチンへと向かって)
…はいはい
(帰ってきて一目散におやつのこととは流石というかなんというか…。まあ、これで彼女のモチベーションが上がるのなら態々此方が止める必要もないだろう。言われた通り彼女の部屋に向かい中へ入ると、慣れた手付きで早速鞄を開いて机上に教科書やら参考書やらを並べ始め。そもそも、例え幼馴染みでも恋人でも女子の部屋にこんなに気軽に入っていいのかは甚だ疑問だが、彼女が特に気にする様子もないので今のところは触れないでおく。一通りの準備を終えると、座って彼女が入って来るのを待って)
んふふ~。見て見てショートケーキ!
(ハイテンションな声と共に部屋の扉を開ける。片手に持ったお盆には、大粒の苺がふんだんに使われた生クリームたっぷりのショートケーキと、紅茶のティーカップが2つずつ。それから勉強中につまめるようにと、色とりどりのクッキーや個別に包装された一口サイズのチョコや飴玉の数々が盛り付けられたお皿。お茶会がメインといっても過言ではない量のおやつが乗ったお盆を机に置くと、腰掛けて自分の隣に鞄を下ろし、早速ケーキと紅茶をお互いの目の前、クッキー等のお皿を真ん中に配置。早く食べたくてうずうずしながら、満面の笑みで両手を合わせて頂きますのポーズを取り)
さっ、食べよ食べよー!
──?!
…………だな、頂きます…っと
(彼女の方へ視線を向ければ、この先には想像以上の量のお菓子たち。おやつにしては気合いが入りすぎではないかと驚いて思わず苦笑いするも、数秒の思慮の末、これも彼女らしいといえば彼女らしいなと腑に落ちて。正直なところ、自分も書類整理で脳が疲れていたりするため、実はここで運ばれてきた甘いものは有難い。勉強どうこう言う前に、目の前に置かれたケーキを食べる気満々であろう彼女に頷いて肯定すると、同じように両手を合わせて)
いっただっきまーす!
んんー、しあわせ…。
(元気の良い挨拶の後、フォークを手に取るとまずは上に乗っている大きな苺を一口でぱくり。ほくほくと表情を綻ばせながらその美味しさに感激の声を漏らしつつ、一口、また一口とテンポよくケーキを口に運び、ふわふわのスポンジや甘~いクリーム、中にまでびっしりと詰まっている苺の絶妙な甘酸っぱさ…その全てに酔いしれながらしっかりと堪能していく。食べている間は課題の事などこれっぽっちも脳内になく、何だかもうこれだけで達成感の様なものが湧いてきた気もする。片手を頬に添えてふにゃりと緩んだ笑みを零しながら、おやつタイムを全力で楽しんでおり)
──ん、美味しい
(彼女に続けてフォークを手に取り、一口分それを切り取るとそのまま口に入れ。口いっぱいに広がる苺の香り、くどくないクリームの甘さなどケーキの美味しさに浸りながら、此方の脳も甘いものを欲していたのかぱくぱくと食べ進めてそう感想を呟き。幸せそうにケーキを頬張る彼女を眺めつつ、あっという間に食べ終えると、御馳走様でした、と紅茶を啜り。完全に課題のことなんて何処かへいってしまったであろう彼女の方へ視線を向けると、現実に引き戻すように)
幸せそうなとこ悪いけど、課題。まだ何も終わってないからな?
…あ。──っていうかゆーまくん、もう課題終わってるの?
はやくないっ!?
(彼の言葉で嫌な現実を思い出してしまいピタッと固まり、緩んでいた顔も引き攣ってしまう。幸せな時間とは、どうしてこうも過ぎるのが早いのだろう。そんなことを考えながら、気づけば無くなっていた二人分のケーキと紅茶の皿たちをお盆の上へと避けて、既に準備を済ませている彼を見習いこちらも鞄から必要な参考書等を取り出し、机の上に並べていって。用意の為に手を動かしながらふと、当然のように彼の課題が終わっている前提で話を進めていたが、改めて考えれば十数ページもある、自分は全く手をつけていない課題を彼はもう済ませているのかと思えば、驚きやら尊敬やらの込もった眼差しを彼に向けて)
はやくない。
課題貰ったら直ぐ取り掛からないと、他の仕事に手回んないだろ。
(そんな眼差しを向けられても、そもそも明日提出の課題を今日まで引き延ばしていたことが問題では…という考えが脳内を巡り肩を竦めつつそう答え。只でさえ忙しい生徒会という役職を担っているのに加え、今年は大学受験もあるため、課題一つでそこまで時間を取っていられない、と軽く説明をすると、問題集の該当ページを開きながら彼女が準備を終わらせるのを待って)
せめて数学じゃなかったら、直ぐ取り掛かれてたかもしれないんだけどねぇ~。
──ん?こんなの習ったっけ…ここじゃなかったかなっ?
(彼のご最もな意見に不服そうに口を尖らせ、苦手な数学への文句を吐き出し終わったところで丁度準備も終わって。嫌そうにしながらも開いた問題集の該当ページに目を通し──1問目から早速分からない。と言うよりも苦手が度を越しておそらく授業中にキャパオーバーになってしまったのだろう、必死に記憶を辿り寄せてみても習った記憶さえなくて、開くページを間違えてしまったのかと疑いたくなってしまう程。首を傾げながら一度は開いたページを再びパラパラと捲り、他のページを確認し始めて)
──最初のページで合ってる。
(自分の問題集で該当ページを開くと、確認用にと見せてやり。教えるのは応用くらいかと思っていたが、彼女の反応を見るに、しっかり基礎から押さえておく必要がありそうだ。ここをきちんと理解していないとと後々痛い目を見ることになるため、少し足りとも気は抜けず、改めて自分も気合いを入れ。このままではいつまでたっても課題に取り掛かれないと察し、半ば強制的に彼女の教科書を該当ページが開いてある自分の教科書と交換すると、教えやすいようにと彼女の横へ近付いて真横に座り。そのまま一問目──割と教科書でも初期の方に登場する計算問題を指差して)
…まずはこれ。何処が解らない?
何処…うーん…、xとy以外の文字が急に出てきちゃったところ……?
(自分の分からない所を言葉にして説明するのは、案外難しいものである。そもそも、何処が分からないのかが分からないというパターンも大いにある…というより、この状況はまさにそれだろう。問題を見ても解き方なんてさっぱりだが、なぜさっぱりなのかと尋ねられても言葉に詰まってしまう。数学は苦手なのだ。勉強したくないという気持ちも当然あるが、何をどう勉強すれば良いのかも分からない。そんなレベルで苦手なのである。困った様に首を捻って考え込み、それならばこの問題と自分がかろうじて解けるかもしれない問題との違いは何かと考えて──自信なさげな小声かつ疑問形で恐る恐る答えて)
そんな気を張る必要ないから。
この手の問題は、どんな文字が出ていようが公式さえ覚えてれば解ける。
──これ、授業とかで見なかった?
(心配そうな彼女を励ますように、ぽんと頭に手を乗せてわしゃわしゃと頭を撫でてそこは優しく声を掛け。飴と鞭の使い分け。最終的に彼女には、その問題の難易度に関係なく自信をもって問題が解けるようになって欲しい。どんなに基礎でも、そこが出来なければ応用なんてできっこない訳で。数学が嫌いな教科だとしても、是非とも彼女には基礎だけでもいいので、やる気を出して、出来るだけ楽しく解いて欲しい…、などと彼女に対する期待ばかりが思い浮かぶ。それを実現するには、自分の教え方も関係してくると考えれば、自然とこちらも緊張感が増すというものだ。筆箱からシャープペンシルを取り出して、さらさらとノートにその公式を書くと相手に見せ。)
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