トピ主 2020-08-11 16:32:18 |
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美月)麗奈、誤って落としてもいけないから、そこを離れてくれ。
美月は麗奈を抱き上げ、離れさすと、ヒョイッと琴をいとも容易く持ち上げて下ろした。
三日月)良い音色だな。奏でず聴くだけでも心が休まる。
三日月は縁側で聴いていた。
小狐丸)そうですね。お二人の演奏はいつ聴いても素晴らしいです。
小狐丸も三日月に同意していた。
麗奈:うん(集中して音を奏で)
小虎:にゃ?
五虎退:あれ、なんかいい音がします
小虎:zzz(みんな眠ってしまい)
五虎退:あ、虎くんたち、こんなところで寝ちゃダメだよ(自室に連れていって)
美月)体温が心地よいな。麗奈、琴は終わりにしよう。小虎の相手をしながら弾くのは流石に無理だ。
美月はそう言って、手を止めた。
美月)邪魔ではない。ただ、琴を片付けるまで小虎が走り回らぬようにしておいてくれ。うっかり踏んづけたりしてはいけないからな。
美月は、琴を持ちながら言った。
美月)暖かいなぁ。体温が低い私には、この体温は最高だ。
美月は、小虎を撫でながら言った。すると
三日月)俺はこっちが好みだな。
三日月は、そう言って、小狐丸に近づいて背を預けようとした。しかし、小狐丸はすかさず避けた。
ガンッ
三日月)あなや・・・
三日月は、頭を押さえていた。
小狐丸)そう何度も毛並みを乱されるわけにはいきませぬ。
小狐丸は呆れた顔で言った。しかし
三日月)そうか、なら・・・捕まえるまでだ。
三日月はそう言うと、走り出した。小狐丸は、必死に逃げた。
美月)あまり見んが、三日月と小狐の本気の追いかけっこか。いつもまったりしている二人だが、本気になると、本当に早いなぁ。出陣の時とまた別だが・・・
美月は小虎を湯たんぽ代わりに抱きかかえて見ていた。
美月)好きにさせておこう。案外、楽しんでいると思うぞ。
美月はそう言って、広間に行くと、
美月)ふぅ、寒い日はこたつに限るのう。
と言って、こたつに籠もった。
その頃、三日月と小狐丸は、未だに追いかけっこをしていた。そして、三日月は楽しんでいるが小狐丸は必死だった。
三日月)毎年、温いのだから良いだろう。あと、先程お主が避けたせいで頭を打ったのだ。その償いをしろ。髪をモフらせてもらうことで勘弁してやる。
小狐丸)それが人にものを頼む態度ですか?
三日月)俺は人ではない。刀だ。
小狐丸)そうですけども。
美月)小虎には軽く掛けておくか。裾の方が掛けやすい。
美月は、そう言って、小虎にこたつの裾を掛けた。
燭台切)一気に冷えちゃったね。この前まで、あまりの暑さに、皆が悲鳴あげて、ゾンビ化してたのに。
燭台切は、困っ顔で笑った。実は、今年広間のエアコンが壊れ、全員が悲鳴を上げたことがあった。堀川がエアコンを買いに行ってる間、皆はかき氷を食べる為に、ぐったりした声で燭台切に頼んでいたので、まさにゾンビみたいだったのだ。
美月)流石に、冬場はならんと思うぞ。壊れなければ安心だ。
美月は、そう言いながら笑った。
その頃、三日月と小狐丸は
三日月)広間で、モフらせてもらうぞ。
小狐丸)まさか、あそこで躓くとは思いませんでした。
小狐丸は、石に躓きコケてしまい三日月に捕まっていた。
美月)私は冷たいものより温かいものが良いな。
三日月)小狐、早く行くぞ。
三日月は小狐丸を急かした。
小狐丸)毛艶の手入れをする私の身にもなってください。
美月)おや、戻ったか。
美月は、戻ってきた三日月と小狐丸に気がついた。
三日月)ではモフらせてもらうぞ。
三日月は小狐丸の背に自分の背を預けた。
三日月)温いのう。
三日月は嬉しそうにしていた。美月はそれを見ながら
美月)別にモフらせるぐらい良かったのではないか?其方はいつも三日月のお気に入りの毛並みにしているのだろう。
美月は不思議そうに聞いた。すると小狐丸は
小狐丸)そうですが、これだと私が動けないのです。やるなら、私が三日月の膝を借りて撫でてもらうほうが、私は好きなんです。
三日月)それでは、俺が寒いままだ。
小狐丸)私の毛並みをストーブか何かと勘違いしておらぬか?三日月。
美月)こたつにみかんは格別だな。
美月はみかんを見て言った。
三日月)茶も良いぞ。
三日月はお茶を飲んで言った。
美月)(いつの間にお茶?)三日月、もう小狐丸をモフらなくて良いのか?
三日月)ああ、十分温まったし、モフった。
三日月は機嫌が良かった。
小狐丸)早速毛艶の手入れを。
小狐丸は、櫛を取り出して、毛艶を手入れし始めた。
麗奈:温州みかん最高~(もぐもぐ)
大倶利伽羅:京都のほうじ茶もあるぞ
麗奈:いつの間に買ってきたの?
大倶利伽羅:買い出しついでに売ってたからな
美月)麗奈は京都の物が好きだなぁ。
美月は麗奈の顔を見て笑った。
三日月)俺達の故郷の物を好きになってくれるのは嬉しいな。
小狐丸)そうですね。誇りに思います。
麗奈:私の地元には店すらないんだもん。寒い地域だし、育てられない、広大すぎてお店が出せなかったりするから、本州まで出向かないと行けないの
大倶利伽羅:だがここなら万屋があるな
麗奈:うん。もうその心配はない
太鼓鐘)伽羅のやつ、嬉しそうにしてるな。
太鼓鐘は、大倶利伽羅の後ろ姿を見て言った。そして、嬉しそうにしているのがはっきり分かった。何故なら、花弁が舞っていたからだ。
太鼓鐘)俺は体温高い方だけど、流石に冬の気温は耐えられないからな。
太鼓鐘は困った顔で言った。
三日月)俺達はもっと耐えられないからな。
美月)右に同じく。
三日月と美月は、寒いのか二人で寄り添ってこたつで温まっている。手合わせで戦っている時とまるで違う。
三日月)俺達が食べたら、どうなるだろうなぁ?
美月)さぁ、手入れは避けられないんじゃないかな?そもそも体温低いのだから。
三日月と美月は、困った笑顔で話していた。
小狐丸)うむ、完璧じゃ。
小狐丸はようやく毛艶の手入れが終わったのか、髪を見ながら言った。
美月)見えるところにはつけんだろうな。他のものから怒りを買うし。それに麗奈は女子、小狐は男。見るところに限りはあるだろう。
美月は、少し考えたあと立ち上がると、麗奈を抱き上げ
美月)私が見てやろう。
そう言って、脱衣所に向かった。脱衣所の扉には札を貼り、外から上げられないようにした。
麗奈:な、なんていうかその……印つけられていたらどうなってたのかなって…
中の人:へいきです。なんかありましたね。こいつ、何言ってんだ?って思いました(全く意味はわからなかったから)
美月)そういうことか。確かに、我ら刀剣にも紋はある。麗奈はそのことを言っているのか?
中の人)勝手に殺すなって思ってますよ。キャプテン・ファルコンなんてまた懐かしいキャラ使って。そういうのはスマブラで使ってくださいよ。スマブラ参戦してるんですから。
美月)そうか、細かい紋の物もいれば、簡単な物もいる。私や三日月はそうだな。
美月は、クスッと笑った。
中の人)キャプテン・ファルコンは、任天堂が作ったキャラクターだったと思います。私も深くは知らないんです。ただ、迷惑な投稿のファルコンパンチは、キャプテン・ファルコンの強力な攻撃の1つなんです。スマブラ持ってませんし、キャプテン・ファルコンが出てくるゲームもやったこと無いですけど、実況動画とかよく見るんで、スマブラに参戦してたことは覚えてます。スマブラは、敵キャラも入ってますから、王道で言うと、クッパやデデデ大王です。
美月)別に私たちなら、薄くつけるとことも簡単だけど?
美月は、フッと笑った。
中の人)まぁ、任天堂って言ったら、マリオやカービィが出てきますもんね。ちなみにカービィファンです。
美月)つけても良いが、見えぬところに頼む。じゃないとやられる。私がな。
美月は、にっこり笑って言った。逆に不気味だ。
中の人)どう森の派生ゲームなら、持ってるよ。スプラは欲しかったけど、本体がないから諦めた。
美月)ほう、随分と大胆だな。
美月は、麗奈の頬を撫でながら言った。
中の人)マリカもいいですよね。3Dのやつなら持ってます。
美月)誘っているのか?いやぁ、嬉しいなぁ。だが・・・
美月は、言葉を切ると、麗奈の肩を持ってにっこり笑うとこう言った。
美月)生憎着替えとか持ってきてないぞ。一旦出なければならんし、先ほどから扉の前に誰かいるような気配がするんだ。札貼ったから開けられないんだけど。
美月)まぁ、取り敢えずここから出ようか?
美月は、札を剥がすと、扉を開けた。すると、目の前に座り込んでいる、和泉守を見つけた。
美月)あなや!びっくりした・・・何してるんだ、和泉守。もしや、女子の裸を見に来たわけではなかろうな。
美月)全く、全然懲りんの。鶴丸が驚きをやめないのといいとこ勝負じゃないか?
美月は、ため息をついた。そして
美月)さて、風呂の準備をして入るとするか。
と、麗奈に言った。
美月)そうだな、水や湯が掛かった部分は風の温度を感じやすくなる。初めて冬を知った時は、寒くて寒くて仕方なかった。
美月も肩まで浸かりながら言った。そして続ける。
美月)だが、冬の凍った空を貫く星の群れは美しかったな。麗奈がまだいなかった時、私が顕現して数日、まだまだ戸惑いの多い頃に見た。
美月)鶴と三日月が布団から出られん私を引っ張り出した。しっかり着込めば、何とか我慢出来た。そして空を見上げると無数の星の群れが出来ていて一等に綺麗だった。
美月は空を見ながら言った。
美月)私達が守りたいから、そうしているのだ。無理に鍛えようとしなくていいぞ。それでもしたいと言うなら、短刀たちの相手をするといい。彼らはよく遊ぶ。走り回ったりするから、運動にはちょうどいいだろう。
美月)もう少し、肩の力を抜いてくれんと洗えんなぁ。ほれ、肩もみをして緊張を解してやろう。
美月は、麗奈の肩をもんでリラックスさせた。
美月)あなや、本当だ。
美月も上を見て言った。そして
美月)風邪をひいてはマズイな。そろそろ上がろう。
そう言って風呂から出た。
美月)確かに、私は寒がりだが・・・いかんせんこっちの寝間着の方が性に合ってなぁ。一度試したが、寝苦しくしてやめたのだ。温まるのは布団や湯たんぽで良い。
美月は和装の寝間着に着替えながら言った。
麗奈:私の時代で誰もが知ってるものだよ。でも欲しいものが確実にあたるわけではないわ。ただ私の場合、いずれも一発で当ててしまうからちょっと怖い
美月)座布団と猫のぬいぐるみ・・・座布団は構わんがこんな可愛い猫のぬいぐるみもらってよいのか?可愛いもの好きだろう?
美月は座布団に座り猫のぬいぐるみを抱きながら言った。
美月)生憎、縁がないなぁ。だが、その入れ物と同じ形、大きさの物で遊んだことはある。実際はもっと色鮮やかな柄をしているがな。
美月が言っているのは蹴毬の事だ。
美月)あったあった。これだ。
美月は、黄緑色に、ピンクや黄色の曲線が描かれた毬を見つけた。それを持つと、麗奈の部屋に戻ってきた。
美月)待たせたな。
美月)初めて万屋で買ったものなんだ。鶴丸が連れていってくれた。
美月は、そう言って当時のことを話しだした。
【回想】
美月)必要なもの買えたね。そろそろ帰ろう、鶴丸。
美月と鶴丸は使いで万屋に来ていた。
鶴丸)まぁ、待て。折角だ。おもちゃでも見ていこう。
鶴丸はおもちゃコーナーへ行ってしまった。
美月)ちょっ!買うもの買ったじゃないか。
美月は追いかけたが、おもちゃコーナーに行くと
美月)こ、これは・・・
おもちゃコーナーには毬や、風車、折り紙やかるた、百人一首があった。昔からの遊びが好きな美月は、思わず息をのんでしまったのだ。
鶴丸)凄いだろう。折角だから1個買ってやるよ。使いを手伝ってくれた礼だ。
美月)いいの?じゃあ、この毬で。
鶴丸)分かった。
美月は鶴丸に毬を買ってもらい大切にしていた。
【回想終了】
美月)と、まぁ大切な思い出の毬なのだ。
美月は、笑って言った。
美月)そうなのか。飾り物になってしまったとは、歴史は語り継がれど、文化は変わりゆくのだな。
美月は、毬を見ながら言った。そして、座布団の上に乗っている猫の近くに毬を置くと、随分と様になった。
美月)よし、上出来だ。まるで、今にも猫が毬で遊びそうだな。
麗奈:かわいい! ガシャポンの景品はこうやって何かと組み合わせて飾るのが楽しいのよ(●プラのロッカーに●リエールを入れて)
美月は、麗奈の寝ている姿を見た後、空の方を見た。
美月)最近は、曇っているせいで、月がよく見えんな。おかげで月見酒も楽しめん。
美月は、ふぅっと独り言を呟いていた。
美月は声が聞こえ、振り向いた。すると、麗奈が寒がっていた。
美月)しまった。軽く開けても冷たい風は入ってくる。寒くて起こしてしまったか。
美月は急いで、戸を閉め麗奈を抱きしめた。
美月)すまんのぉ。私の体温で温まるかは分からんが、少しは良くなると思うぞ。
美月)夢見が悪いかったりすると、寂しく感じるな。顕現したての頃は、三日月と小狐丸、鶴丸とよく一緒に寝た。ただ、三日月と小狐丸は、出陣や遠征に結構出てたからな。練度の関係で。だから、鶴丸と寝る日が多かったよ。
美月はフフッと笑った。
美月)ああ、だがここは神域ではないからな。それに、どこで誰が聞いてるか分からないからな。
美月は、外にいる霊力を感じていたのだ。霊力の正体は小狐丸だったのだ。たまたま湯浴みを済まして、横を通ったとき、話が聞こえたのだろう。
美月)小狐、おるのは分かっておるぞ。
小狐丸)やはり、分かっていましたか。
小狐丸はゆっくりと障子の戸を開けて言った。そして部屋が冷えないように戸を閉めると、あぐらをかいた。美月はゆっくり起き上がると、妖艶な笑みを見せながら
美月)小狐だって、神の端くれならわかるだろう?我々は霊力を感じることが出来ると。それに、その霊力が誰の霊力かもな。
美月は口元を袖で隠し笑いながら言った。
小狐丸)ありがとうございます。
小狐丸は喜んだ。
美月)小狐は元から狐なのだから必要無いのではないか?元から人より狐に近かったようだし。
美月はクスッと笑った。すると小狐丸は怒り
小狐丸)少々、お仕置きが必要のようですね。
と、美月の頭をぐりぐりしだした。
美月)すまん、小狐丸!謝るから、やめてくれ。頭つぶれる!折れる!折れるって!(死ぬことを折れるという)
美月は、悲鳴を上げた。小狐丸は気が済むまでぐりぐりすると手を離した。
小狐丸)私は気が済みましたよ。
小狐丸はニヤリと妖しく笑った。美月は頭を抑えながら呻いていた。
美月)人の身ってこんなことにも耐えなければならないのか?
美月は、ぐりぐりされた部分をさすりながら言った。
美月)命を奪うことは、ずっと昔からアウトだがな。
美月はフッと笑った。
小狐丸)そうですね。この本丸にも主を失った刀は少なくはありません。
麗奈:私の時代にも世界中のどこかでは戦争やってるよ。日本はそんなことないけど、もしかしたら戦禍の中に巻き込まれる可能性はある
小狐丸)私は平気です。
小狐丸はニコッと笑った。すると
美月)私は無理だ。小狐、毎年恒例のやらせてもらうぞ。
美月は、小狐丸に寄りかかろうとしたが、小狐丸は避けた。そのせいで美月は畳に頭をぶつけた。
美月)痛っ!
小狐丸)そう何度も、同じ手にかかりません。
美月)(3年ほどかかってた奴が、やけしゃあしゃあと)
美月は頭をさすりながら言った。
美月)毎年させてもらっているのだぞ。今更、無しで生きられるか。
小狐丸)でしたら!捕まえてみてはいかがです?見事私を捕まえることが出来れば、髪に寄りかかるのを許しますよ。
美月と小狐丸はバチバチと火花が散っていた。そして、美月はニヤリと笑うと
美月)言ったな、小狐。もう取り消せんぞ。
小狐丸)そんな姑息な真似いたしません。では、始めますか。
小狐丸はそう言うと、部屋から出て逃げ出した。さすが野生、機動力が速い。美月はそれを見て
美月)逃がすか。
そう言って、直ぐ様追いかけた。そして美月もとても速かった。
美月)遠慮がないな。
小狐丸)ええ、起こさないようにどかすしか方法はないですが。
美月と小狐丸は、小虎達の様子を見て言った。
小狐丸)可愛らしいデザインばかりですね。
小狐丸はベッドを見て言った。
美月)センスがいいな。流石は麗奈だ。
美月も褒めた。
美月)すっかり夢の中だ。
美月は小虎たちが丸くなって寝ている様子を見ながら言った。そして
美月)寝息を聞くと、意外と眠気を誘うな。
美月は、あくびをして、目をこすった。
小狐丸)五虎退殿もそろそろ寝た方がいいですよ。明日は内番が入っているでしょう?心配しないでください。ちゃんと眠るまでそばにいます。
小狐丸は、五虎退の髪を撫でながら言った。
小狐丸)気持ちよさそうに眠ってますね。
小狐丸は五虎退を撫でて
小狐丸)おやすみなさい、五虎退殿。
そう言って、部屋を後にした。美月もそれに続く。部屋を出ると美月は既に限界だった。さっきの小虎達の寝ている様子を見ていただけで、相当眠気を誘われたのだろう。しかも、その前に小狐丸と走っている。眠くなってもおかしくない。
美月)ん~・・・
小狐丸)仕方がありませんね。今日は一緒に寝てあげますよ。
小狐丸は美月の様子を見て息をつくと、美月を抱えあげ、麗奈の部屋へ運んだ。部屋では麗奈が寝ている。
小狐丸)その代わり、麗奈殿の隣は私ですからね。
美月)うん。
美月はそう返事すると、毛布に潜った。小狐丸も麗奈と美月の間に潜ると
小狐丸)おやすみなさい、美月殿。
美月)おやすみ、小狐。
二人はそう言って、目を閉じた。
小狐丸)すぴ~
小狐丸は、気持ちよさそうに寝ていた。しかし、野生ゆえに音に敏感なのか麗奈の声で目を開けた。
小狐丸)どうしました、麗奈殿。
小狐丸)先程です。美月殿の眠気が限界に来ていたので、一緒に寝るのを条件に、麗奈殿の隣で寝かせてもらうようにしました。
小狐丸は、優しい笑顔で言った。
小狐丸)先程です。美月殿の眠気が限界に来ていたので、一緒に寝るのを条件に、麗奈殿の隣で寝かせてもらうようにしました。
小狐丸は、優しい笑顔で言った。
美月)ん・・・小狐・・・
美月は小狐丸の隣で寝ていた。
三日月は暫くして目覚めると、小狐丸が隣にいないことに気づいた。そして探していると、美月と麗奈と一緒に寝ている部屋に着いた。そして、3人の様子を見て
三日月)仲が良いな。
と、言うと、部屋に戻っていった。
三日月)熱湯を淹れるだけで温まる物だ。火傷しない様になっているから、抱いて寝るのもよし。布団の中に淹れるのもよし。便利だぞ。
三日月は笑った。
中の人)最近では、プラスチックで出来た湯たんぽとかをホームセンターで見かけます。
三日月)美月なら、麗奈と小狐と一緒に寝ている。麗奈と美月はよく一緒にいるしな。小狐が一緒なのは大方、美月が寒がったからだろう。小狐の毛はモフモフで暖かいからな。
三日月は袖を隠して笑った。そして
三日月)麗奈と一緒にいたい気持ちは分かるが、麗奈が一人でいる時間を狙った方が効率は良いぞ。二人でいたいなら、内番を手伝ってもらったりすると良いかもな。
中の人)流石、北海道民。私は寝る時に電気毛布を愛用してます。
三日月)ここのものは皆狙っているさ。
だが、独り占めすれば、やられるのがオチだ。だから、麗奈は皆の花嫁なのだろう?
三日月は、大倶利伽羅に優しい笑顔を見せながら言った。
三日月)俺もさっき驚いたぞ。大方美月が寒がったから一緒に寝たのだろう。小狐の毛はモフモフで暖かいからな。
三日月は、ふふっと笑った。
小狐丸は大倶利伽羅の声が聞こえたのか、目を覚ました。
小狐丸)何をしているのですか?大倶利伽羅殿。
小狐丸は、ジト目で大倶利伽羅を見た。
小狐丸)なるほど。確かに、そろそろ起きないといけませんね。美月殿を起こすので、麗奈殿をお願いします。
小狐丸は、あくびをしながら言った。
麗奈:う、ん…
大倶利伽羅:おはよう
麗奈:おはよう…って、え!? なんで大倶利伽羅に抱えられてるの!?
大倶利伽羅:なかなか起きないから洗面所まで連れていこうとした
小狐丸)美月殿、そろそろ朝ですよ。
美月)う~ん、ぐぅ・・・
美月は寝返りを打ったが、起きなかった。
小狐丸)仕方がありませんね。
小狐丸は美月を姫抱っこで抱えて、麗奈の部屋を後にした。
大倶利伽羅:もっといろんな色を使ってみたらどうだ?
麗奈:チークはいっぱいあればいいものじゃないのよ
大倶利伽羅:ピンクもいいが赤も似合ってる
麗奈:大倶利伽羅、化粧に興味なさそうなのに、嫌に薦めてくるね?
大倶利伽羅:……(ちょっと勉強して、麗奈に似合う化粧品を買ってあげようと考えていて)
燭台切)大丈夫、僕が好きでやってるんだから。
燭台切は、笑った。すると、遅れて小狐丸と美月が入って来た。
小狐丸)遅くなってすみません。美月殿が中々起きなかったもので・・・美月殿、朝餉ですよ!
美月)う~ん、目が開かない・・・
小狐丸)おはようございます、麗奈殿。美月殿、麗奈殿がいますよ。
美月)ん~、麗奈どこ?
美月はまだ目が開かないのか、手探りで麗奈を探した。
美月)昨日、寝る前に走ったから。
美月は、昨夜の出来事を話した。
美月)小狐の髪の毛で温まる対決の途中で五虎退に会って、眠るまで小狐と側にいて、その後は、麗奈と一緒に寝た。小狐も一緒だったから、結果的にモフれた。
三日月)やれ、また順番を決め直さなければならんな。
三日月は困った笑顔で言った。
美月はまぁ、私は一緒に寝たばかりだから、後で構わん。
美月は目が覚めて、おにぎりを齧りながら言った。
和泉守:おはよう
堀川:おはようございます
麗奈:おはよう~。和泉守、あちこち毛先跳ねてるね
堀川:時間がかかるから、僕が後でまた整えようと思っていて
小狐丸)そういえば、和泉守殿は梅雨時も髪が乱れていませんね。私も毛艶の手入れは一層力をいれていますが、結局乱れてしまいます。
小狐丸は自分の髪を見ながら言った。
美月)シャワーヘッドって、三日月達が頭を洗う時に使ってるやつか?
三日月)美月、名は似ているが違うぞ。シャワーハットだ。
小狐丸)(どちらも違いまする・・・)
三日月)そう簡単に取り外せるのか?
三日月は首を傾げた。
美月)確かに。あれなら、一度解体するのは容易くはないだろう。
美月は考えた。
三日月)最近は、随分と便利なものが増えたなぁ。
三日月は袖で口を隠しながら笑った。
美月)本当に。私達の時代では全く考えられない。
美月も同じく笑う。
三日月)俺達は1から作られたものだ。
美月)それは私達だけに限らず、皆同じ。
三日月・美月)1つも作り方を変えずに生まれた物だ。
麗奈:この世に二つとないもの、だね。三日月たちは私の時代にも国宝として祀られているよ。期間限定で公開されることはあるけど、滅多にない
和泉守:麗奈の時代じゃすっかり展示物になっちまったがな。争いがないだけ嬉しいぜ
三日月)まぁ、俺は天下五剣で美しいと謳われているからな。国宝なってもおかしくない。
三日月は得意げに言った。
美月)和泉守の争いが無いことは最もだが、刀の性の故に切りたくなるなぁ。
小狐丸)それには同感です。平和が一番ではありますがね。
小狐丸)旅行でも行けたら良いのですが・・・
三日月)生憎、俺達は出陣と遠征でしか時代を渡らないからな。
小狐丸と三日月は残念そうな顔で言った。
麗奈:一緒に行きたい! みんなの主たちがどんな土地で戦っていたのか、どんな場所に住んでいたのか、今もそれが残っているのか、知りたいよね
和泉守:行ってみてぇな
三日月)連れていきたいのは山々だが・・・
三日月は困った笑顔で言った。それは三日月だけではない。皆も気まずそうな顔をしていたのだ。
鶴丸)ちょっと待て、なら歴史に干渉しないように気をつけてる俺達はどうなる?
鶴丸は、そう言った。確かに、歴史に干渉しようとすれば、検非違使がやってくる。つまり刀剣達は、干渉しないように、気をつけながら戦っている。
大倶利伽羅:検非違使は固い。何度か戦ったことはあるが
堀川:干渉すら許されない。だから僕たちが現代に行ってしまえば行っただけで変わってしまう可能性もないわけじゃない
麗奈:検非違使?
三日月)歴史改変を目論むのが時間遡行軍、歴史への干渉を許さないのが検非違使。お互い、相手にとって邪魔な存在ではあるが、俺達はどちらも消さなければならない。
美月)歴史を変えられても困る。かと言って、干渉したと思われ折られるのもごめんだからな。
小狐丸)干渉しなくてもやってきたりもしますからね。
鶴丸)多分、俺達が当時は刀の姿のままだから、そこに知らないやつがいるのはおかしいと思ってんじゃねぇか?
燭台切)そういえば、前に別の本丸の刀剣達が出陣したとき、検非違使が時間遡行軍を次々と殲滅していったっていう報告書があったね。おかげでそこの刀剣達は検非違使の殲滅だけで済んだらしいよ。
今剣:あいつらとてもかたくてたおすのはひとすじなわではいきません
岩融:あわや全滅の危機に陥った本丸もあったそうな
大倶利伽羅:あいつらとは二度と遭遇したくねぇ
太郎太刀:手早く時間遡行軍を殲滅させるか、ですかね
麗奈:そんなやつらいるの!? ますますヤバイじゃん
美月)それに時空転送装置は、行く前にダイヤルで場所を決める。その場所が旅行できる安全な場所かと言われると、難しい。
鶴丸)特に時間遡行軍は争いが起こっている時代に出没しやすい。自分達のやっていることが争いに見けかければ、バレないとか思ってんのか?政府が気づかねーわけねぇだろ。
三日月)それに、許しなく時空転送装置を使うのは禁じられている。
麗奈:そんなぁ~、それじゃあ現代に行けるのは私だけ?
岩融:麗奈一人で行かせるのも気が引ける
石切丸:敵に攫われたってなったら私は肝を冷やすよ
美月)麗奈、私達は今の時代に生きているんだ。つまり、行けたとしてもそれはとうに前の時代なんだよ。干渉すれば敵の格好の餌食になるぞ。
鶴丸)一緒に行っても麗奈の確実に守りきれるとも言い切れない。俺達刀は、一瞬で傷をつけることも簡単な武器だからな。
美月)だが、人は更に上を目指した。自分の力量も考えず・・・超えてしまえば、身を滅ぼすと分かっていたのかそれとも分かっていなかったのか、あるいは、何一つ考えてなかったか、だな。
美月はやれやれと言った。
三日月)武器もどんどん進化していったようだからな。
三日月も寂しそうな顔をした。
燭台切)じゃあ、食器を持ってきてくれる?洗うのは僕がやるから。
燭台切は、2人に笑って言った。
三日月)じゃあ俺は今日は畑当番だったなぁ。
三日月は、立ち上がりながら言った。
美月)おや、小虎か。
美月は抱き上げた。
美月)暖かいなぁ。草むしりは嫌いじゃないけど、この寒さが嫌なのだよ。そもそも私は体温低いし。しかし、小虎を抱くと暖かいな。
美月は小虎の体温が心地よく、ほっこりしていて、手が止まっていた。
鶴丸)手が止まってるぞ、美月!
鶴丸はホースから出た水を思い切り、美月にかけた。
美月)ぎゃーーーーー!
美月はあまりの冷たさに悲鳴を上げた。突然の悲鳴に、全員がびっくりした。
燭台切)な、何?今の悲鳴・・・
太鼓鐘)美月の声だよな?
三日月)何かあったのか?
鶴丸)はっはっはっ!目が覚めただろう。
鶴丸は笑って言ったが、美月はそれどころでは無かった。服は完全にびしょ濡れ、風が吹けば更に冷え切った体は余計に震える。
美月)鶴丸~、何してくれるんだ!寒いだろう!
鶴丸)目が覚めたから良かっただろう?
美月)こんなことしなくてもいいだろう!だいたい・・・
美月は、そこで言葉が止まった。よく見ると美月の顔は冷えたはずなのに真っ赤だった。
鶴丸)美月?
美月)つ・・・つるま・・・る・・・
美月はそのままうつ伏せに倒れてしまった。
美月は、冷えた体を余計冷やされ、熱を出してしまった。そのせいで倒れてしまったのだ。
鶴丸)流石にやり過ぎたか・・・悪いことしちまったなぁ。光坊に卵がゆを頼むか。
鶴丸は、ホースを片付けると、厨に向かった。
麗奈:うわあああ! 鶴丸のバカー!(泣きながらスコップで雪をすくって追い回し)
大倶利伽羅:麗奈、落ち着け!(汗)
今剣:美月さん、だいじょうぶ?
岩融:今剣、ゆたんぽと水を持ってくるんだ
今剣:はい!
鶴丸)麗奈、スコップ振り回すな!雨戸に当たったら壊れる!あと、雪入れんな!
鶴丸は逃げた。
美月)寒い、寒い~
美月は布団に入っても小刻みに震えていた。
麗奈:わああああ~!(足が高速回転しながら追いかけて)
和泉守:れ、麗奈ー!?
今剣:ゆたんぽです!(素早く足に置いて)
岩融:麗奈からもらったブランケットだ(毛布の下の中に敷いて)
燭台切)ねぇ、さっき悲鳴聞こえたけどどうしたの?
燭台切は洗い物を終えて厨から出てきたが、
鶴丸)けっ!光坊!
燭台切)鶴さん!
ゴッツン
2人は見事に正面衝突してしまった。
美月)2人とも、ありがとう。
美月は震えながら言った。
麗奈:きゃー!(そこにドーンと麗奈がぶつかって)
五虎退:美月さん、大丈夫ですか?
小虎:にゃ(美月を温めようと布団に入ったりすりすりして)
三日月)あなや、手入れ部屋が必要か?
三日月は、驚きながらも、そう言った。そして小狐丸が様子を見て
小狐丸)いえ、三人ともぶつかっただけです。軽傷にも満たないので暫くすれば目覚めると思いますよ。取り敢えず、部屋に運びましょう。麗奈殿と鶴丸殿をお願いします。
小狐丸は燭台切を持ち上げて言った。
美月)小虎、気持ちは有り難いが、私の体はいつもよりも冷えているんだ。このままでは、お前達が風邪をひいてしまうぞ。
美月は小虎を撫でながら言った。
美月)五虎退もありがとう。心配させてすまんな。
美月)大丈夫なら、構わんが・・・
美月は、そう言いながらもしんどそうにしていた。そして岩融にこう言った。
美月)岩融、すまんな。怒ってるか?
と、聞いた。
美月)だって、雑草抜きなのに、私寒くて、進みが悪かったから、結局岩融一人でやることなっちゃったから。
美月は、落ち込んだ様子で答えた。
三日月)麗奈は湯浴みをした方がよいな。鶴丸は俺が連れて行く。大倶利伽羅、麗奈の世話を頼む。
三日月は、にっこり微笑んで大倶利伽羅に言った。
美月)ありがとう、今剣。
美月は、そう言って、優しく微笑んだ。しかし、冷たい風が部屋の中に入ると寒いのか、寒そうに丸まった。
美月)お前達は優しいな。ほんに暖かくて心地良い。
美月は、小虎を撫でた。
その頃、小狐丸達は
小狐丸)これでいいですね。しばらくしたら目を覚ますでしょう。
小狐丸は布団を敷いて、燭台切を寝かせていた。それは三日月も同じで
三日月)やれ、驚きも大概にせんとな。
と、困った笑顔で言っていた。
五虎退:美月さん、熱いほうじ茶です(持ってきて)
和泉守:大倶利伽羅、お前なんで風呂の前に居座ってんだよ
大倶利伽羅:見張りだ。どっかの誰かさんが覗かないようにな
和泉守:はあ!? 俺のことかよ!?
美月)ありがとう。
美月はゆっくり体を起こすと、ほうじ茶を飲んだ。
美月)ふぅ、最近めっきり冷え込んだからな。寒いのが苦手な私や三日月には少々酷だ。
小狐丸)和泉守殿こそ、こんなところで何をしているのですか?見張りがいなかったら覗く気満々だったのでは?
小狐丸は、たまたま通った時に話が聞こえ、話に入って来た。
岩融:暖かいものを食べれば体も温まる
五虎退:鴨だしそばなんか美味しそうですよね
和泉守:んなわけねぇだろう!
大倶利伽羅:お前がそんな覗き魔だなんて思わなかったぞ
美月)確かに美味しそうだね。
美月はお茶を飲みながら笑った。
小狐丸)ああ、大倶利伽羅は知りませんでしたね。実は・・・
小狐丸は、和泉守が今まで麗奈が一人の時を狙って何をしたかを話した。そして、その度に堀川に説教をしてもらっていることも。
小狐丸)湯浴みや着替えの時は同じ性別の美月殿がいつも目を光らせて一緒いたので最近は無かったのですが、今美月殿は体調崩してますからね。好機だったのでしょう。
岩融:そんな話をしていたら食いたくなってきたな
五虎退:燭台切さんに相談してみましょう
大倶利伽羅:お前…
和泉守:お前も俺も麗奈の旦那だ! そんな気持ちあるだろう
大倶利伽羅:一緒にするな(俺も未遂だがな)
燭台切)あれ?
燭台切は、暫くして目を覚ました。
燭台切)僕何してたっけ?洗い物し終わって、その後・・・思い出した、鶴さんと思いっきり衝突しちゃったんだった。
燭台切)五虎退くん、心配かけてごめんね。大丈夫だよ。
燭台切は五虎退にニコッと笑った
小狐丸)しかし、更生しないのであれば、また同じ事をするだけです。堀川殿ー
小狐丸は堀川を呼んだ。
五虎退:あの、お昼に鴨だしそばを作ろうと思っているんですけど
岩融:食べたくなっての、ぜひ指南を頼む
堀川:はーい(いつものように引きずって)
和泉守:麗奈が承諾したらどうする気なんだよぉ~!
大倶利伽羅:麗奈が承諾した場合?(深く考えて)
燭台切)鴨だしそば!いいね、分かった。
燭台切はゆっくり体を起こすと、伸びをして
燭台切)すぐ作るからね。
と、厨に向かった。
小狐丸)言わないと思いますが・・・聞いてみないと分かりませんね。
その頃鶴丸はやっと目を覚ました。
鶴丸)んあ?俺・・・頭いって!
鶴丸は頭を抑えた。
鶴丸)流石に光坊に謝らねぇと・・・いや、その前に美月だな。
鶴丸は立ち上がって美月の部屋に向かった。
五虎退:僕はネギを切ります
岩融:俺は出汁を取ろう
麗奈:はぁ…(お風呂から出てきて)
小虎:にゃ(鶴丸を小虎が出迎えて)
燭台切)手伝ってくれるの?、ありがとう。五虎退君、包丁は危ないから、僕がやるよ。
燭台切は包丁を変わろうとした。
小狐丸)お風呂から出たようですね。脱衣所から出るまでもうしばらく待ちましょう。
小狐丸は麗奈の声と物音を聞いて言った。
鶴丸)おっ、小虎がいる。美月を温めてたのか?
鶴丸は小虎を抱き上げて言った。美月は、温まって安心したのか、今は眠っていた。
美月)すぅ・・・
鶴丸はその様子を見て
鶴丸)悪かった、やりすぎちまった。反省してる。光坊に卵がゆ作ってもらうよう頼んでくるからな。
鶴丸は眠る美月にそう言って部屋を出た。
燭台切)うん・・・
鶴丸)光坊~
燭台切)あっ、鶴さん。気がついたんだ。
鶴丸)おう。
小狐丸)いえ、覗くものが入らないように見張っていたのです。
鶴丸)いや~、流石に派手にぶつかっちまったからな。美月は寝てたから、先に頼みに来たんだ。美月の為に卵がゆ作ってほしいんだ。
鶴丸は手を合わせた。
小狐丸)では、私は失礼しますね。
小狐丸はにっこり笑うとその場を後にした。
燭台切)うん、上出来だね。あとはお椀に淹れるだけだから、僕に任せて。五虎退くんは、そばの方をお願い。
燭台切は、おかゆの様子を見て言った。
燭台切)うん、よし出汁を入れたら完成だね。
燭台切はお盆におかゆとお茶をのせると、鶴丸に渡そうとした。その時、ペタペタと覚束ない足で美月がやって来た。よく見ると裸足だった。
燭台切)美月ちゃん!
美月)燭台切~、みず・・・のど・・・かわいた・・・おにゃか・・・しゅいた~
美月はフラフラと燭台切に近づいたが、そのまま凭れるように倒れた。
燭台切)取り敢えず、部屋に連れて行かないとね。2人とも、昼餉の準備任せていいかな?
燭台切)ありがとう~
燭台切は、岩融と五虎退に礼を言った。そして美月を抱いて部屋に連れて行った。鶴丸は後ろで美月の卵がゆとお茶が入ったお盆を持っている。美月を連れて行っている最中、美月の熱が妙に上がっているように感じた。
燭台切)ねぇ、美月ちゃん。ちゃんと頭とかは冷やしてる?
燭台切が美月に聞くと
美月)寒いから、やってない。でも、今はだいぶ暖まってる。
燭台切)じゃあ、熱も冷まそうね。もう少し早く気づいてあげられたら良かったね。
燭台切は、笑顔で言った。
三日月)何やら美味そうな匂いがするな。
小狐丸)そうですね。
三日月と小狐丸はいい匂いにつられ、満面の笑みで厨にひょこっと顔を出した。
そうこうするうちに、美月の部屋に着いて、燭台切は美月を寝かせようとした。しかし鶴丸が止めた。
鶴丸)光坊、俺が昼餉食べさせるから、冷やすもんの用意してくれ。
燭台切)そう、じゃあお願いね。
燭台切はそう言うと、用意をするため部屋を後にした。
鶴丸)食べる前に美月、悪かった。ちょっと驚かすつもりだったんだが、やり過ぎた。本当に反省してる。
鶴丸は土下座した。美月はそれを見て
美月)もういいよ。朝から、体調悪かった訳じゃないけど、いつも以上に起きれなかったから、何か不調があったんだよ。でも、こんなこともうしない方がいいよ。人間だと、これで麻痺して亡くなこともあるらしい。(心臓麻痺)
美月は、困った笑顔で言った。
鶴丸)もちろんこれからは二度としない。約束する。それとこれ、光坊に頼んで卵がゆ作ってもらったんだ。食わせてやるからな。
鶴丸は、卵がゆをスプーンをすくうと、軽く冷まして
鶴丸)ほら、口開けろ。
鶴丸に言われ美月は口を開け卵がゆを食べた。
美月)美味しい・・・
美月は笑った。鶴丸はそれを聞くと
鶴丸)治るまで、俺が看病するからな。
と、優しい笑顔で言った。
三日月)おお!そばか、美味そうだな。
三日月は、鴨だしそばを見ながら言った。
小狐丸)ええ、早速いただきましょう。
三日月と小狐丸は、そばを食べ始めた。
三日月)美味いなぁ
小狐丸)出汁が利いていますね。
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