執事 2020-07-30 19:43:59 |
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…!だ、大丈夫、もう上がる
(いつの間にかお風呂で夢中になってしまっていて、時間のことなんてすっかり頭から抜け落ちていた。幼い子供に戻ったかのように遊んでいたところ、執事からの呼び掛けに、ハッと我にかえる。慌ててドアの側に居るであろう彼にそう呼び掛けると、ゆっくり浴槽から出てバスルームのドアの取っ手に手を掛け、そのままドアを開けて)
…おや、多少は筋肉がつきましたかね?
(少しくらいなら、脅かしてやってもいいだろう。そんな悪知恵が働いて、タオルの準備をしていたら彼と鉢合わせてしまいました、との体を装う。ちら、と彼の全身を見た後、タオルをていねいに畳み終えてバスルームを後にした、)
な?!
(てっきりもう彼は居ないと思っていたため、完全に油断していた。視界に入ってきた彼を見て、素っ頓狂な声をあげ。此方から何か言う前に、彼は手際よくタオルの準備を済ませ、そそくさと立ち去ってしまった。不慮の事故としてもこれは恥ずかしすぎる……。彼の発言から身体はしっかり見られていたようで、妙な悔しさを覚えながらパジャマに着替えると、髪は濡れたまま、頬を膨らませながら自分の部屋へ向かい)
おかえりなさい…と、髪が濡れてますよ
(今日は久しぶりに、ヘアオイルをつけてやろう。そう思い立てばスペアキーを使って彼の部屋に一足先に入っていて。艶やかな髪質を長く保てるようにおまじない程度の魔法をかけてある、オイルの小瓶と、彼が座るように椅子まで用意して待っていたものの、髪が濡れたま間の姿を見て「雨雲でも上にありました?」余計な一言をつけ加え)
五月蝿い
(鍵が空いていた為、中に彼がいるのかと察し扉を開くと案の定。裸を見られたことをまだ根に持っているのか(故意だとは微塵も気付いていない)むすっと不貞腐れた表情で、彼が発した言葉を一蹴すると用意されていた椅子に腰掛ける。くるっと執事の方へ顔を向け持っていたタオルを手渡すように突き付けて「濡れてるなら、拭けばいいだろ」と一言。自分で拭く気は無いらしく)
おやおや、随分ご機嫌斜めなことで
(むす、としたままの表情で部屋の主が帰ってきては、くすくすと楽しげに笑い。まさかここまで彼が根に持つなんて思っていなくて、まだまだ子供だと感じてしまう。濡れているなら拭けばいい、その言葉にそうですねえ、と返しながらタオルを受け取り優しく彼の髪を拭き始め、)
ふぅ……
(人に体や顔を触られるのはそんなに好きではないのだが、こうして彼に髪を拭いて貰うのはなんだか心地いい。息を吐いて気持ち良さそうに椅子の背に凭れかかると、自然と機嫌も良くなっていくような気がして)
はい、仕上げです
(ふわふわとそよ風にも似た温風を杖から出し、彼の髪を完全に乾かしていく。乾かし終えれば次は用意していたオイルを塗り、するすると上等な木櫛で髪を梳かしながら明日は街の視察、その後に魔法の練習だと、スケジュールを把握しているのか彼に伝えていき)
街の視察……?それって、確か先週もやらなかったか?
(彼からのスケジュールに適度に相槌を打ちながら自分の中に組み込んでいく。魔法の練習は毎日の事。しかし、彼の言う「街の視察」というのは、自分の記憶が正しければつい一週間ほど前にもあった筈……そんなに頻繁にやるのか?…と疑問に思ったのかそう投げ掛け)
…実は、最近街で不自然な魔法の暴発があるようで
(ぴたり、彼の髪を梳かしていた手を止めて、ひそひそと続ける。確かに1週間前視察に行ったが、それから3日後に街の各地で不自然な程、暴発事故が起きていると聞いて。幸い軽い怪我程度で住んでいるようだが、彼を成長させる良い機会だと、止めていた手を動かしながら)
ぜひ、お坊ちゃんに解決していただきたいのです
(そんなことがあったとは…全く知らなかった。確かに、将来ここを統べる者として一度はこんな事故や事件に関わってみることも大切かもしれない。また、上手い具合にそれを解決すれば、住民からの好感度も上がって良いことずくめじゃないか、と一人納得し。しかし一人ではやはり心配なのか恐る恐る尋ね)
判った。……お前も一緒、なんだよな?
ええ、…まさか1人で解決できると?
(当たり前だ、そんな危ない所に彼一人で行かせるわけがない。実際、被害は小さいとしても魔法の暴発ばかり起きている現場に彼一人でのこのこ出て行けと言うのか。そんなのは有り得ない、何がなんでも彼は自分が守るのだから。…強い決意を彼に悟られないよう、わざとらしく口に手を当てて彼を煽り、)
そうは言ってないだろ、そうは!
念のため聞いただけだ。確認だ。
(彼も一緒に来てくれると言って、「一人じゃなかった」という安堵感で心が一杯になる中、このまま素直に喜んでも馬鹿にされるだけなのでは、と敢えて強がってみる。何はともあれ、これで明日、一人で街中をさ迷うことは無くなった。いつもは煽られたことに対してもっと五月蝿く突っ掛かるが、今回ばかりは煽られたことに関する怒りよりも安心感の方が強く、若干頬の筋肉が緩んでおり)
その元気さ、どうか明日にお使いくださいませ
(自分も彼の世話以外に雑務や書類整理で最近は忙しく、街の状況を正確に把握出来ていなかった。もしも不測の事態、たとえば目の前で街人の魔法が暴発しまくったりしてしまったら、彼一人では収拾つかないだろう。…どうか、火魔法だけはおきませんように。神に祈りながら、彼ににこりと笑いかけては髪の手入れを終わらせ、綺麗にされたベッドで早めに眠るよう促して)
、もうそんな時間か
(寝具への移動を促されれば、時計に目やり欠伸を1つ。明日は今日より忙しく、消費する体力も多いだろうと考え、彼の言葉通り大人しくベッドへ向かい。「おやすみ」と一言伝え、暗闇は怖いので、すぐに眠ってしまおうとぎゅっと目を閉じ。その数分後にはすやすや寝息を立て始め)
……おやすみなさいませ、
(窓の施錠を確認し、念には念を入れて2重の鍵と結界を張っておく。さっきまで固く目を閉じていた彼だったが、もう眠ってしまっている。その寝顔に幼さを感じさせ、彼の髪をひと撫でしては部屋を後にしては自室に戻って自分も眠り、)
──朝
……んっ……
(なんだかいつもより早く目が覚めてしまった。上半身だけ起こしてぐっと伸びをし、部屋の中を見渡す。どうやらまだ執事は来ていないらしい。彼が部屋に来る前に自力で起きることが出来たことに小さな喜びを覚えながらベッドから降りてカーテンを開き)
おはようございます…おや、珍しい
(いつも通りの時間に彼の部屋に入れば、そこには既に起きている彼がいて。カーテンを開けているところを見るに、まだそこまで時間は経っていないようだった。ついに1人で起きられるように…、わざとらしく感動しながら仕立ての良い、それでいて動きやすい服を選んで、)
ん、おはよう
(そんなに嬉しかったのか、単純なことでいつもに比べてかなり機嫌が良い。一人で起きたことを褒めてくれと言わんばかりの表情で、部屋に入ってきた彼に挨拶を返し。用意された服を手に取ると、ふんふん上機嫌で着々と着替えを進め)
偉いですよ、1人で起きられて
(ひとり上機嫌でるんるん服を着替える彼に、きっと本当に褒めて欲しいのだと察して、いつもの嫌味ったらしい言い方ではない、慈愛に満ちた言い方でそう彼を褒めては、反応を気にする前に「紅茶とコーヒー、どちらです?」いつの間にかテーブルに用意していた今日の朝食である、フルーツのパンケーキにクリームを添えながら問いかけて、)
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