執事 2020-07-30 19:43:59 |
通報 |
大変おいしいです、
(ふわりと口に広がる酸味と甘み。これは彼の顔が綻ぶ理由もわかる。こくりと飲み込めば、珍しく柔らかな笑顔を浮かべながら彼に「ありがとうございます」と、)
っ、別に、
(稀に見る彼の笑顔に少々たじろぐも、何事もなかったかのように平然とした顔になると、戻ってきたフォークで残りのアップルパイを食べ)
ふ、可愛らしいですね
(自分の笑顔はそんなに珍しいだろうか。少しだけたじろいだ彼の姿に、思わずそんなことを呟いてからかってしまう。残りのアップルパイが全て無くなったのを見計らって皿を下げて、)
可愛くないっ
(からかいにはつい反応してしまう。たとえそれが小さな声でもいちいち突っかかるのは、それだけ彼を意識しているということなのか。そんな考えが頭を過り、それを消すようにぶんぶんと首を振って)
今日の夕食、何か食べたいものはありますか?
(また突っかかってきてしまった彼に苦笑いしながら、皿を洗いに行こうと部屋をあとにする直前で、まだ夕食を何にするかを決めていなかったことを思い出して彼にそう問いかけた、)
……デミグラスソースのオムライス。卵はふわふわで、チーズ入りがいい。中のチキンライスはケチャップ多めで、具材は__
(まだ多少不満そうにしながらも、ちゃっかり夕食のリクエストは細かく指定して。少し要望を詰め込みすぎた気がするが、彼ならそれらの要望を通した上で美味しい夕食を提供してくれるだろうと期待を込めて)
かしこまりました
(注文の多い彼のリクエストにも、笑顔で応じる。彼の部屋をあとにして、早速キッチンへ向かえばたまには自分が、と彼の要望通り、ふわふわのチーズ入りデミグラスソースのオムライスを作っていき、)
…………
(部屋を出ていった彼の表情を見るに、かなり自信があるようだった。これは尚更期待できるぞ、と椅子に座り直せば、彼が料理を運んでくるのを待って)
…どうです?
(しばらくしてから、彼の部屋に料理を運び込む。健康を考えてのさっぱりしたレタスのサラダは彼が食べやすいように甘めのドレッシングを添えてテーブルへ。ほかほかと湯気のたつデミグラスソースの、彼のリクエストをふんだんに取り入れたオムライスをテーブルへ運べば、得意気に彼に問いかけて)
……!美味しい……
(自分の希望が全て通ったオムライスを見て、感心したように声を洩らし。そのままスプーンを握って一口分を口に運ぶと、これまた希望通り、いや、それ以上の美味しさで。正直、この前出されたオムライスより何倍も絶品だと感じた。料理人の腕が上がったのか、彼の伝え方が上手かったのかは判らないが、スプーンの動きが止まることはなくどんどん食べ進め)
ちなみにこれ、私が作りました
(スプーンの止まらない彼の姿を見ていると、火が怖いのを我慢して作った甲斐があったかと満たされた思いが込み上げて、思わずそわそわしながらそう伝えては、密かに褒めてくれるのを期待していて)
__ん”っ?!、
(夢中でオムライスを頬張っていたところ、耳に入ってきた彼の言葉に手の動きを止め、驚きで少しむせてしまう。魔法が完璧に使えたりと彼が器用なことは知っていたが、まさか料理まで出来るとは……。人を誉めるのは自分が負けたような気がして苦手だが、料理に関しては敵わないと、ここでは照れくさいながらも素直に感想を伝えることとして)
……その、凄く美味しい
ふふ、ありがとうございます
(彼から素直に褒められると、嬉しくてたまらない。それだけで1週間は寝ずに働けそうだ。照れくさそうにする彼の表情もまた愛らしい。むぐむぐと食べ進めていた彼の口の端、「汚れていますよ」ハンカチを取り出してソースを拭い、)
、自分で拭ける……
(目の前のオムライスに意識が向いていたせいで、口の回りの汚れなんて全く気付いていなかった。口許ぐらい自分で__とは言ったものの、何故だか彼に拭かれるのは不愉快ではなく。気付けばオムライスは最後の一口になっており、もう少しこの美味しさを味わっていたいという少し残念な気持ちもあるが、また作って貰えばいいだろう、ぱくりとそれを口に入れて。堪能するように咀嚼して飲み込むと、満足そうに「御馳走様でした」と両手を合わせ)
ふふ、作った甲斐がありました
(綺麗に食べ終えられ、米粒ひとつ乗っていない皿を見ては顔こそ変わらないものの、満足気な声色で呟いて。さて、気を取り直して杖を一振しては皿が洗いたてのように白くなり。それらをテーブルの脇に重ね終えては、彼を見ながら首傾げ)
さて、お風呂にします?
ん……あ、あぁ
(美味しい料理を食べて、幸せに浸っていたのか満足そうに口の端を上げつつ、頭がぼーっとしていて。彼からの言葉にハッとして、いつもの表情に戻ると同時にこくりと頷くと、椅子から立ち上がって服の釦に手を掛け、バスルームへと移動しようと歩きだし)
そうだお坊ちゃん、ぜひこれを
(バスルームまで移動して、彼が服をすべて脱ぐ前にポケットからひとつ、ラベンダー色のバスボムを取り出して。「お疲れでしょうから、ごゆっくり」にこりと微笑んでバスルームを後にする。渡したバスボムは、湯船に入れると中に入っている花が開く仕様であり)
(バスボムを受け取って彼の後ろ姿を見送り、服を脱ぐとバスルームの中へ入って。先程貰ったそれを浴槽の中に投げ入れると、泡が出てくると同時にバスルーム内いっぱいに花のいい香りが広がり、中に入っていたであろう花達が花開くと、次々と湯船に浮かんでいき。)
!、凄い
(バスルームの中で一人目を輝かせ、髪や身体を一通り洗い終わった後、わくわくしながらお湯に浸かり。手で花弁を掬ったりと、子供のようにお風呂を満喫していて)
…お坊ちゃん? 大丈夫ですか?
(彼が出てきた時に使うバスタオルに、パジャマと、ボディミルク等用意して。前々日から冷やしていたフレーバーウォーターも、すべて用意し終えてしまった。風呂から上がってくるのがいつもよりも遅いため、逆上せていないだろうかとバスルームのドア越しに問いかけて)
トピック検索 |