執事 2020-07-30 19:43:59 |
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…また夜、伺いますからね?
(彼のスピネに対する態度はわからなくもないが、この家に来たのだからしっかり躾て貰わなければならない。とはいえ、きっとスピネは頭のいい子だから大丈夫だろう。ワゴンを片手に部屋を後にして、)
(彼が去っていった後、この部屋にはスピネと自分だけ。抱いていたのを下ろしてやり、部屋の中を興味津々に歩き回るスピネには胸がときめくばかり。こうも眺めていると、次第に自分がスピネと遊んでやりたいという気持ちも芽生えてきて。勿論、猫じゃらしなんてものは貰っていない。それなら……と徐に自分の杖を取り出すと、そのままリズム良く一振り。猫じゃらしでもなんでも、スピネと一緒に遊べるものがいいなぁ、なんて思っていたが、ガシャンと音を立てて現れたのは……大量の釣竿。その数、ざっと数えても30は超えているだろう。猫じゃらしと系統は似ているものの、釣竿は釣竿でしかなく。やってしまった……と苦虫を噛み潰したような表情になり)
__漁師になるおつもりですか、
(午前の仕事や雑務などに追われていれば、彼が寝る時間くらい直ぐにくる。また夜に、と彼に伝えた通り再び彼の部屋の前まで来ていたのだが、部屋からガシャン、と音がして。何か物でも倒したのだろうか、とすぐさま扉を開ければ目の前に飛び込んで来たのは大量の釣竿で、思わず目を丸くして)
これは…………その……っ
(隠れて魔法を使って失敗したこと。自分にとって失敗だとは認めたくないが、猫じゃらしを出そうとして釣竿なんて失敗でしかない。それを口にしてしまえばそれを認めることに変わりはなく、声にするのを憚られてしまう。ばつが悪そうに俯いては必死に言い訳を探し)
何度も試す事、それも勉強です
(なぜ彼は釣竿を出したのか。彼の様子から出したかったものは釣竿ではなく、別の何かなんだろうと察する。ちょいちょい、と足で釣竿を触るスピネを見て何か気づいたようで、彼を責めることも、問い詰めることも無く釣竿を避けつつ部屋に入り、スピネを抱いては彼の元に退かせ。ゆっくり杖を振り、出された釣竿を片付ければ広くなった床を見つめつつ、優しい声色で、)
_はい、私はなんにも見ておりません
…………ヴィラぁ……っ
(てっきり、いつものようにを揶揄されるものだと思っていたのだが、彼の反応は真逆。単純に驚いて瞬時に言葉が出てこない。まさしく神対応と言える彼の言動に言語化できない感情を覚え、じわりと目の端に涙が浮かび。弱々しく名を呼んでは彼の元へ)
おやおや、困ったお兄さんですね、
(余程不安だったのか、たちまち瞳を潤ませて弱々しく自分の名前を呼びながらこちらに来る彼の頭を撫でつつ、やれやれ、と息を吐き。釣竿は自分が綺麗さっぱり片付けた。もう一度頑張りなさい、との意味を込めて彼の背を叩き、)
……うん
(ぐすん、と鼻を啜ると、まだ潤んだ瞳のまま彼の方を見上げてこくりと頷き。気持ちを改め、ぎゅっと杖を握り直すともう一度杖を振る。暫く間が空いた後、その場にぼんっと現れたのは猫じゃらし数十本。相変わらず数はあれだが、お目当てのものは出せたようで)
………まあ、気持ちが強い、ということにしましょう
(一か十なのか、…と、頭を抱えてからかいたくなるのを堪えて。彼は彼なりに頑張ったのだ、十数本の猫じゃらしはそれ程彼のスピネに対する気持ちが強かった、そうフォローしておいた。杖を振り、猫じゃらしを2本残せば残りは別のおもちゃに変えてやり、)
……!
(瞬く間に別のおもちゃへと変わった猫じゃらし達。その業に尊敬の視線を彼に向け、まずは早速一本猫じゃらしを手に取ってスピネの元へ。目の前でゆらゆらと揺らしてやると、見事な食い付きを見せて)
…似てしまったのでしょうか?
(猫じゃらし1本にまんまと引っかかって楽しげに遊ぶスピネ。猫じゃらしには反応しない猫もいるし、楽しげなのを見ていればこちらも嬉しい。しかし、主人であるノエルに似てこの子も単純なのかとわざとらしいとぼけた顔をしながら首傾げ)
スピネも頭がいいってことか?
(何処が似ているんだろう……と少し考えてみる。彼の本来の言葉の意図には気付いていないようで。スピネをじゃらしながらきょとんとした瞳で彼を見ては首を傾げ)
スピネの方”が”、の間違いです?
(どうやら本来の意味は伝わらなかったようだ。やれやれとため息を着けばもう一度、彼が理解出来るように噛み砕いては嫌味ったらしく説明してやり。)
僕はそこまで頭が悪くない!
(たとえ対象がスピネでも、猫と比べられて自分の方が劣っているなんて言われれば納得いく訳ない。彼のからかいはやはりいつも通りであり、腑に落ちない表情で反論し)
それはそれは、大変失礼致しました
(クスリ、顎に手を当て笑みを零せば、おもむろに杖を振り。綺麗に直されていくベッド、そのすぐ下に置かれたのはふわふわふかふかのスピネ専用のベッドで。使うかは分からないが、用意だけはしておいた。「ほら、寝る時間ですよ」ぱん、と手を叩き、)
ほらスピネ、ベッドだぞ
(彼が出したものに関心しつつ、猫じゃらしに意識が向いているスピネをベッドの方へ連れていき。そのまま抱き上げてふかふかの上に乗せると、くるりと丸まって瞳を閉じて。その様子を可愛い可愛いと眺めながら笑みをこぼし)
さ、お坊ちゃんもどうぞ
(どうやら気に入ってくれたようで安心した。丸まって目を閉じたスピネのお腹あたりがゆっくり上下に動いているところを見ると、もう寝てしまったのだろう。スピネを眺めている彼の横で枕にバニラの香りがするピローミストを吹き掛け、準備が整った所でベッドをぽすん、と軽く叩き)
、もう寝る時間なのか?
(まだ目が冴えており、まだ寝るには少し不満げで。これ以上起きていると次の日は寝坊確定といっても過言ではないのにも関わらず、もう少し起きていたいらしく。むすっと彼の方を向き視線で訴えかけて)
ご自分で起きれるのなら、いいのですよ?
(まだ目が冴えているのか、これはどう言いくるめても寝ないな、と彼の態度を見てはわざとらしく肩を竦めて首傾げ。明日は起こさないですよ、と言いたげに既に日付を超えた時計を指さしながら)
子守唄でもご所望ですかね、
子守唄……?
(自分で起きられるのかと問われれば、答えはNO。ぎくりと視線を逸らしていると、彼の口から子守唄、なんてワードが飛び出したことに驚いて。子守唄……まだ彼がこの家に来る前、母親から歌ってもらった思い出はあるが、彼の歌声は聞いた記憶がない。目は冴えたままだが、彼の子守唄を聞いてみたいという好奇心につられてベッドの中へ向かい)
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