執事 2020-07-30 19:43:59 |
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スピネも、もうお坊ちゃんに慣れたようですよ?
(彼が反論してくればそれを素直に受け入れ、ぱ、と手を離し。自分が撫でたときよりもスピネが心無しか嬉しそうに見え、)
そうだな、
(自分が触っても逃げたり噛んだりしないこの猫、もしかしたら元々人懐っこい性格なのかもしれないが、こうして懐いてくれるのは嬉しいもので。両手でスピネを抱き上げると幸せそうに頭や背中を撫でて)
…兄弟のようだ、
(彼がスピネを大切にしているのは、もうスピネに伝わっているようで。動物はそういうことに敏感だというし、彼も嬉しそうだ。仲のいい兄弟のようだとぽそりと零し)
兄弟…、僕がお兄ちゃん……
(一人息子のため、兄や弟の存在なんて自分には無縁だと思っていた。種族は違えど初めてのそんな存在に、自分が手本にならなければ、という責任感も自然と湧いてくる。噛み締めるようにそう呟いては嬉しそうに口角を上げ)
聞こえていましたか、
(彼には聞こえないように呟いたつもりだったが、どうやら聞こえていたらしい。きゅ、と口を結んで嬉しそうな彼を見ては顎に手を添え思わず自分も笑いかけた…のは数秒で、「さて、今日の勉強です」どさりと机に本を置き、)
げ……、…でも……!
(誕生日の時もそうだった。どんなイベントがあろうと課題の量は変わらず、毎度の如く自分を苦しめる大量のそれは、猫が来ようが何をしようが関係ないらしい。…しかし、確か昨日、彼が嫌いなものを当てたことで「書き取りは免除」になった筈…!それを思い出しては、スピネを撫でながら彼の方に顔を向けその旨を訴えて)
_確かに今日、書き取りはありません…免除、とは言いましたが…量が減るとは言ってないはずですよ?
(確かに今日の課題の中に、書き取りは一切無い。魔法を展開するための一連の流れが記された教科書や計算問題などばかりだ。その中には子猫の育て方の本も混ざっており、)
……ヴィラの意地悪
(確かに、そう言われてしまえば反論出来ず、口をへの字に曲げ。嘘はつかれていないものの、やはり腑に落ちない。ぶすっと不細工に頬を膨らませれば、スピネを抱いたまま部屋の隅へ、彼に背を向けて体育座りをするといじいじふて腐れており)
_へぇなるほど、子猫用にご飯が手作りかぁ!
(嘘はついていない、ちゃんと書き取りも除外した。おまけに今日は子猫の勉強もしてもらおうと取り入れてみたのだが、あの彼の様子では今日勉強させるのも難しそうだ。彼の興味を引く為、ひとつ参考書を開いては大袈裟に呟き、)
手作り……
(その単語に反応して、ふて腐れながらも彼の方を向き。勉強は嫌だけれどスピネの為のご飯は作ってあげたいという思いもあり、一人で眉間に皺を寄せつつ葛藤しているようで)
なるほど、ケーキも作れる時代と…
(もう一押し。本のひとつを広げてはおもむろに紙に何やら書き出して。…どうやら、勉強しているらしい。魔法の事はわかっても、子猫用のケーキなんて初耳で自分も勉強しなければいけないのだ、しかし1人ではつまらない、なんとか彼に勉強をさせなければと)
1人ではつまらないなぁ、
……
(変に意地をはって、絶対に反応するものか、とそっぽを向いていたが、うずうずと心が動く。もう我慢の限界が近づいてきたようだ。本に視線、意識が向けられている彼にバレないようゆっくりと立ち上がると、その背後からそっと本を覗き込んで)
…勉強する気になりましたか、
(彼が背後に来たことを感じ取り、わざと楽しそうなページを開いていて。このままこちらに座らせてしまえと、席を立てばわざとらしく両手を合わせ、「弟に格好がつかないですよ、先程はまるで赤子のようでしたので」と彼を煽り、)
っ!…………僕はお兄ちゃんなんだぞ!勉強くらい…
(自分では煽られたことでムキになって、もともと彼が座っていた席に座っては本に視線を落とし。その途中、「自分だってやれば出来るんだ、」と見せつけるようにチラチラ彼を見て)
ほら、弟と私も見てますから
(本当に彼があの大掛かりな魔法を成功させたというのか、にわかに信じ難い。こんな安い挑発にさらりと乗られると、思わず彼の将来を心配してしまう。スピネを抱きかかえ、彼にそれを見せて)
……、出来た!
(彼とスピネ、一人と一匹の視線を感じながら、せかせかと一問解き終え。合ってるか間違っているかは別として、答えを書いた紙を彼に見せ。一問解き終えただけで満足したらしく、「これでいいだろ」と言いたげな視線を向けて)
"それだけ?"……と、
(このままでは、本当に彼は終わらせてしまう。ゆっくり腰の杖を抜き、軽く振ればスピネの顔を見てふんふんと頷き。動物の心がわかる魔法なんてそこまで便利なものありはしないが、あたかもそれを使ったかのように見せ)
?!……な、な訳無いだろ!僕はお兄ちゃんだからな!
(スピネの心が読める魔法があるなんて聞いていない。明らかに動揺しつつ、そんな魔法が使えたのか……と驚きながらもそう反論し。綺麗に騙されて、必死に誤魔化すようにもう一度机に体を向けるとペンを片手に問題を解き始め)
"お兄ちゃん凄いね、!"…だそうです
(まんまと罠にかかった彼に思わず吹き出しかける。それを抑えて、ふたたびスピネの顔を見てふんふん頷けばまたそんなことを言って彼をおちょくり、)
……まぁな!お兄ちゃんだからな!
(スピネから誉められたことに、へへへと照れ笑いを溢すと自身たっぷりに胸を張り。相当嬉しかったのか彼のからかいだとは微塵も気付いておらず)
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