執事 2020-07-30 19:43:59 |
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明日の書き取りは免除です、
(まさか当てられてしまうなんて思っていなかった。いつも彼には少し多めの課題をやらせているし、明日1日くらいは免除してやろう、と)
やった……!
(書き取り。魔法の実技演習の何倍も面倒で、自分の一番嫌いな課題だったりする。それが免除だなんて、こんなに嬉しいことはない。見事当てたことに対する自信も含んで、ふふんと笑顔を見せて)
いいですか、私とお坊ちゃんの秘密ですからね
(今日ここでアイスクリームを食べた事も、自分は犬と火が怖いということも。全て彼だから打ち明けたのだ。自信ありげな彼に釘を刺すように、若干機嫌悪そうに視線を逸らした子供のような表情を見せ、)
分かってる
(二人だけの秘密、なんだか照れくさいような良い響きではないか。他の人には絶対に言わない、大きくコクリと頷く。誓いは何か形として表した方が特別感があっていいと思い。不機嫌そうな彼と指切りしようと彼の方へ小指を立てて)
…指切りだなんて、いつぶりでしょうか
(小指を立ててきた彼の意図を汲み、こちらもすっと小指を出して。小指と小指を絡ませ、何度か指を振ったあとその指を離せば残り少なくなったアイスクリームを食べ終えたあとで小指を撫で、)
…僕も久し振りにやった、
(指切り後、残り数口分のアイスを食べて器を綺麗に空にして。少し汚れた口を紙のナプキンで拭きながら、彼の呟きにそう返答する。改めて思い返してみれば、この歳になって指切りだなんて恥ずかしい気もするが。恥ずかしさと同時に妙な安心感もあり)
_お坊ちゃんはまだおこちゃま、ということで良いですか?
(彼から、どことなく安心感が漂うのを感じ取り。それが指切りをしたからだとしたら、なにかしらの約束に形が欲しい彼はまだまだおこちゃま。くす、と小馬鹿にしたように笑えば彼をからかって、)
─?!な、僕はお子ちゃまじゃない!
(たった一度の指切りから、何故そこに辿り着いたのかが全く分からない。いつもの彼のからかいに、むっと眉間に皺を寄せて反論し)
形なんて、なんとでもなるんですよ
(くすくすと笑いながら彼にそう伝える。形なんてものは無くても、たとえそれが口約束だろうと彼との約束を忘れる訳がない、)
……でも……
(わざわざ指切りを選んだ明確な理由はないのだが、なんとなく落ち着くような気がして。笑われたことにぷくりと頬を膨らませればそっぽを向いて)
どうやら、拗ねてしまったようですねぇ、
(自分は決して悪くない、思ったことを言ったまでだとあくまで彼が勝手に拗ねてしまったというニュアンスでそう呟けば、やれやれと大袈裟に肩を竦め、)
(その彼の態度で更に拗ねてしまい、ぷいと視線を横に向けたままで。少しでも言い返したくて、小声でこう呟いて)
……父さんに頼んで犬を飼う
犬ッコロめが……!!
(犬。きっと彼がその気で頼んだらあの両親は買ってしまうだろう。そうしたら世話をするのは当然使用人の仕事。もふもふきゃんきゃん吠えるだけの犬に上を越された気分になり、テーブルを軽く叩いて、)
っ?!ヴィラ、落ち着け!嘘!嘘だから!
(いつも冷静な彼がここまで取り乱すとは。流石の自分にだって、この一般の客がいる状況で本気で怒られてはマズい。彼を冷静にさせなくてはと必死に弁明を始め)
……猫にしなさい、
(黙って座っていれば犬だって可愛いと思うのに、何故あいつらは吠えるんだ。彼の必死の弁明のおかげで何とか落ち着いたものの、口から出た言葉はそれであり、)
猫?!
(何かペットを飼うのも冗談のつもりだったが、まさかそこを本気に捉えられたか…?!え、とぽかんと口を開けるが、実際猫を飼うのはいいかもしれない。分かった、と頷いては)
父さんに頼んでみる、
…仕事が増えそうです、
(どんな猫がくるだろうか。ふわふわした、可愛い子だといいけれど。まだ見ぬ新しい家族の世話をする自分と彼の姿を思い描いては、嫌味とは裏腹に柔らかな表情を浮かべていて)
黒猫…白猫…三毛猫…
(いざ飼うとなると、自然と気分も高まっていく。まだ飼えると決まったわけではないけれど、彼の横で、上機嫌で次々に猫の種類を呟いて)
手がかかるのが増えそうですね、お坊ちゃん
(まだ決まった訳じゃないのに、つらつらと猫の種類を連ねる彼が可愛くて。ぽすん、と彼の肩に手を置き、わざとらしく顔を見ながらそんなことを呟き、)
、まるで僕が手がかかるみたいに言うな!
(何か裏がありそうな彼の態度、自分が手のかかる者扱いされているといっても過言ではない。引っ掛かるその言葉に律儀に反論し)
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