執事 2020-07-30 19:43:59 |
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いつのまに、そんなに強くなられたのですか、
(自分が彼を守るのは、それが存在意義であり自分がそうしたいから。だから、その立場が覆るとは思わなかった。たまらず彼をぎゅっと抱きしめては涙声でそう呟いて、)
…もうッ、全く…!!
(この人に仕えることができて、本当によかった。彼の呟いた言葉に子どものような笑顔を見せ。恐怖とは違う意味の涙を零せば、随分彼も成長したものだと嬉しく感じつつ彼を離し、)
大きなアイスクリーム、買ってあげますよ
そうだ、アイスクリーム……!
……当たり前だろ、約束だからな!
(確かそんな約束だった。思い出したようにハッとした表情に変わる。彼の笑顔も見る事が出来、それに念願のアイスクリーム。大きく頷き)
濡らしてしまいましたね、
(杖を一振、ドライヤーに似た熱風を起こせば彼の服と体を乾かしていく。動揺していたとはいえ、まさか頭から彼に水をかけてしまうなんて。申し訳なさそうに眉を下げながら、)
大丈夫、
(確かに体や髪は濡れたが、どこか怪我を負ったわけではない。あまりに集中していたせいもあるのか、自分が濡れていることも大して意識していなかった。気にすることはない、と慰めて)
……さて、行きましょうか
(もしあの時、大勢に囲まれていたらどうするつもりだったのだ。自分自身に対して強く反省しつつもそれは彼に出さず、にこりといつものような笑顔を浮かべ、)
うん
(彼のいつもの笑みを見て、自然と自分の心の中に安心感が溢れてくる。無事でよかった、ちゃんと守れてよかった。彼の言葉に頷くと、余程楽しみなのか彼の手を引いて)
おひとりで聞いて来れますか?
(町の中に入れば、彼の手を離して鞄の中からペンと紙を取り出した。視察および町人の聞き込みも仕事のうち。彼もひとつ成長したのだから、今日は任せてみようと試みて)
っ、僕が聞くのか……?
──おい、そこの……っ、聞いてるのかおい?!、お前だお前!
(渋々ペンと紙を受け取り、彼の元を離れ。相変わらずの高圧的な態度で町行く人に話し掛けるが、無視だったりとなかなか相手にしてくれない。執事に接する態度と全く変わっていないせいもあるが、隣に誰か大人が居ないこともあり、この国を統べる家系のうちの一人だとは思われていないようで)
__失礼、そこのお方。お時間少しだけ頂戴しても?
(暫くは彼の様子を見守っていたのだが、自分と接する時と変わらないあの態度。あれでは無視されても仕方ないし、まさかこの国を統べる家の息子だとは思われないだろうに。見兼ねて彼の隣に立てば、彼と接する時が嘘のように、優しい笑顔を浮かべながら柔らかい物腰で、先程通り過ぎて行った一人に声をかけ、)
──ヴィラ、?
(口は出さないんじゃないのか、自分が声掛けに悪戦苦闘している所に声が飛んできて、くるりと彼の方を向く。普段聞かないような優しい声色に多少驚きながら彼の様子を見ており)
まだ見習いの身ですからね、貴方は
(自分に話を合わせろと言わんばかりの視線を彼に送れば、訝しげに眉を顰める通行人にふわりと笑いかけつつ、彼の背中をとんと押す。あくまで自分は手助けをしたのみ。ここから先は自分でやれとの意思表示なのか、するりと彼から半歩離れて)
此処等で一番美味しいアイスクリーム屋を教えろ─じゃなくて…、教えて、ください
(彼から背中を押された意味を理解すると、小さく一歩踏み出し口を開く。普段使わない言い方は慣れていないもので、最後の方はどもりながらもなんとかそう伝え)
_おめでとうございます、
(どうやら、慣れない彼の様子に通行人もわかってくれたようだった。微笑ましげに彼を見遣れば、口頭でわかりやすく彼にこの辺りで1番おいしいアイスクリームショップを教えてくれたようで、)
……よし、行くぞ
(またもやどもりつつお礼はしっかり伝え、彼の方を向いて手を取る。彼のサポートはあったもののなんとか目的の情報は得られた、と笑顔を見せて)
…また随分可愛らしい店ですね
(口頭での案内を元に、彼の手を引いてその店まで来たのだが。さすがアイスクリームショップ、可愛さを全面に押し出したショップの外観に思わずたじろいで、)
……入らないのか?
(店の見た目は特に気にしていないようで、すんなりと店の入口に入っていかない彼を不思議そうに見つめ。外観よりも早くアイスクリームを食べたい、と繋いだ手を引っ張って)
あぁ、はいはい
(可愛いものが嫌い、という訳では無いが自分の趣味とはかけ離れたその店に入るのはなんだか気が引けて。手を引っ張られては促されるように店に入り。メニュー表を手渡され、生クリームやフルーツがかわいらしく盛り付けられたサンデーがたくさん載っているのが目に入り、)
今日は特別なので、何でも良いですよ、
これが……!
(キラキラと瞳を輝かせながらメニューの端から端まで目を通し、じっくりと悩んで「これにする」と指を指す。イチゴやらメロンやらの色々なアイスの他、プリンやフルーツで豪華に飾り付けられているものを選んで)
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