執事 2020-07-30 19:43:59 |
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我儘言わないでくださいよ、!
(そりゃついさっき言い争いをしたばかりの相手が作ったものなんて食べたくないかもしれないが、彼が食べなければ無駄になってしまう。それに次の仕事も進まない。ドア越しに「…私が悪かったです、」そう渋々謝って、)
(/では一旦背後は失礼致します!)
……っ、
(彼の謝罪の言葉に顔をあげ、ゆっくりドアの方へ。要らない、なんて言っているが、なんだかんだお腹は減っているのだ。ドアの取っ手を掴むとそっと開き、顔だけ出して恐る恐る相手の瞳を見、)
(/では此方も背後失礼します!なにかあれば遠慮なくお呼びください~)
ほら、食べてる間私は違うことしてるので
(彼と視線がかちあえば、気まずそうに目線を逸らして。ここはひとつ自分が折れてやろうと、用意してきた朝ごはんを指さしてはそのまま彼自身から扉を開けるまで、自分からは開けようとせず、)
ん……
(扉を開けると、美味しそうな朝食の香りが鼻へ。食べたい……しかし、直接彼に言うのも気まずい気がする。何も言わず、そのお皿を頂戴、というように両手を差し出して)
…ほら、
(自分に向けて両手を向ける彼に、何をしているのかと見つめていたのも数秒で。クロワッサンにコーンスープ、サラダ、最後にオレンジジュースを彼に手渡せば「終わったらワゴンに載せといて」そう伝えてワゴンを部屋の前においては廊下の窓拭きを始め)
……、美味しい
(朝食を受け取ってそのまま自分の机へ置き、ぱたんとドアを閉めると机に戻ってクロワッサンにかぶり付く。涙で少ししょっぱいが、ほんのりと甘みが口に広がり。ぱくぱくと朝食を食べすすめ、いつの間にかお皿は空っぽ、完食していた。確か食べ終わったらワゴンの上に……と、言われていたことを思い出す。それと同時にふと思い付いたのか、引き出しの中から画用紙とクレヨンを取り出し、拙い文字で「おいしかった」と書けば、不器用に折り畳んでお皿と一緒にワゴンの上に置き)
なんだ、意地なんか張るなよ…!
(掃除は効率的に、魔法を使いながら。そう言われたのを思い出して魔法を使いながら窓を拭き終え、ワゴンに戻れば綺麗に空になった皿と一緒に添えられていた紙の中身を見てはそう一言。ふん、と鼻を鳴らしてはドアの隙間にこれからの勉強予定を書いた紙を潜り込ませ)
……こんなにっ、
(ドアへ近付いて、紙に視線を落とす。そこにはびっしりと勉強の予定が。やはり昔からそこまで勉強は好きではない、しかし、これを無視して怒られるのはもっと嫌だ。大量の勉強予定に、またまたうっすら涙を浮かばせるも、仕方なく自分の席で勉強を始め)
わかりますか?
(一通りの仕事を終え、何をすれば良いか旦那様に問いかけた所、彼の勉強を教えてくれとのことで。あまり気は進まないが、これも仕事だと自分がわかる範囲ならば、そう思って彼の部屋のドアをノックして)
…分かんない
(取り組み始めたはいいものの…さっぱり分からない。1問目で躓いてそれっきり。自棄を起こし、ペンや教科書を放り投げ、椅子の上でいじけており)
…1問も終わってない、
(いじけている彼を横目に、ぺらりと教科書とノートを確認したものの、これは思っているより重症かもしれないと思わず本音が漏れ。教える、といっても当人のやる気がなければどうにもならないので、とりあえず自分が問題を解いてやれば彼の目の前に突き出して)
……っ?なん、だよ
(いじけたまま、またまた目の端に涙を浮かべ。突き付けられた解答に視線を向ければ、その意味が分からないというように呟いて)
これ見てもわからないですか?
(丁寧に途中式まで書いてやったのだ、これを見て他の問題も考えろという意思だったのだが、いまいち伝わっていない彼に溜息を零し)
分かんない、
……ちゃんと言葉で言ってくれないと分かんない!
(何一つ分からない。問題も、彼の行動に込められた意思も。自分に向けられたであろう溜め息にムッとしたのか、ムキになってそう言い切り)
途中式も、考え方も書いてやったんだ。
ほかの問題もこれと殆ど同じだから、見ながら考えてください
(確かに言葉が足りなかったかもしれない。自分は年上であるし、彼に全て察しろというのは少し無理があったかとペンを彼に握らせて、)
っ……ぅう……!
(彼の態度には納得がいかないが、悔しいことにその解かれた問題はそこらの教科書よりも分かりやすい
。その悔しさでこみ上げてくる涙を我慢しながら、半分強制的に握らされたペンを動かして問題を解いて)
ほら、やればできますから
(余程勉強が嫌いなのだろう。彼の姿を見ていると自分までいたたまれない気持ちになるが、これもきっと将来のため。解けた問題があっているのを確認してから赤ペンで丸をつけ)
……合ってた
(ぐしぐしと涙を拭って、ぼそりとそう呟くと初めて小さな笑みを見せた。どんなに嫌なことを言われた相手だろうと、褒められるのは嬉しいらしい。しかし、そんなに直ぐに心を開ける訳でもなく…、ハッとして笑みを元のむすっとした表情に戻して)
問題はまだまだ山積みです
(全くなんてわかりやすい。呆れつつ、次のページをめくる。基本問題の次は応用だ、果たして彼はわかるのだろうか。まずはヒントを出さずに解かせようと)
……これはやってない、知らない
(問題を一目見ると、先程は順調だった筈のペンを動かす手が止まる。なんだこの問題は。応用問題だなんてこれっぽっちも考えておらず、頭の中は疑問符だらけ。目の前の問題から目を背けるように分からない、知らないとぶるぶる首を振って)
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