執事 2020-07-30 19:43:59 |
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……
(彼の呟きを耳にして、ぱっと表情が明るくなったかと思えばくしゃりと笑顔を見せ、笑いを溢す。読み終えた手紙を折り畳んで封筒に仕舞うと、両手で彼にそれを渡して)
墓場まで持って行かなければなりませんね、
(彼の思いがたくさん詰まった手紙を受け取れば、それをじっと見つめたあと指でひと撫でし、封筒に軽く触れるだけのキスをしたあとで大切そうに胸ポケットに仕舞い、)
…それは大袈裟だろ
(彼の言葉、行動に苦笑いしていたが、本当はそれも物凄く嬉しい。照れ隠しかこんなことを口にして。赤く染まって行く頬を隠すように、そのまま彼の身体へと顔を埋め)
おや、赤子に逆戻りですか?
(困りましたねえ、なんて茶化すのは口だけで、彼の体をしっかり支えてやる。大方照れ隠しだろう、それに多少の疲れもあるかもしれない。背中を優しくさすりながら、「ありがとうございます、本当に」ひそりと彼の耳元で呟いて)
……っ、う
(そんな呟きを聞いてしまえば、余計に顔を上げ辛くなってしまうではないか。熱を帯びた頬が更に熱くなってくるのを感じながら、顔を埋めたまま、その熱を治めるようにきゅっと彼の服の袖を握って)
どんなお姿であれ、私はずっとお傍にいますよ
(完全に照れてしまった彼を微笑ましく思いながら抱きしめる。彼が例え犬になろうが、猫になろうが、彼であることに変わりはなくて、)
(/お気になさらず…!)
僕が大人になっても……ずっとだぞ
(彼の腰に手を回し抱きしめ返した後、そっと顔を上げる。彼の言葉に安心しきった笑みを浮かべ、小さな声で呟いて)
ええ、勿論です
(ふ、と彼に笑いかける。自分の命が散るその時まで、彼を守ると決めたのだから。彼にありがとうございます、と再び伝えては「お疲れ様、」と、)
──なあヴィラ、お前、この後どうするんだ?
(彼の隣へと移動するとそう尋ねる。もしこの後何もないなら、折角の誕生日、二人で何かしてみたいという想いがあって)
なにもありませんよ、…できれば
(お坊ちゃんと過ごしたいです、ぽそりと呟いた。誕生日ならば、たまにはこんなわがままも許されるのではなかろうか。そう考えていたようで、)
(彼からの願いを聞いて顔を輝かせる。誕生日、自分と共に過ごす事を選んでくれたことが嬉しくて。ワクワクした様子で尋ね)
ヴィラ、何がしたい?折角の誕生日だからな、僕に出来ることなら何でもさせてやる!
その、庭を散歩……とか、
(こうして一緒にいられるだけで良いのだが、彼はどうやら何にでも付き合ってくれそうな雰囲気だった。しかし残念なことに、これくらいしか思いついない。控え目な声でそう彼を誘い、)
庭の散歩……?よし、行くぞヴィラ!
(そんな事でいいのか、と一度驚いたような顔をするが、それが彼の願いなら喜んで付き合おうではないか。やる気十分で彼の手を引くと庭へと足を進め)
お坊ちゃん、足下にお気をつけ下さい
(つい、いつもの癖で彼にそう言ってしまう。人間誰しも少しの段差でつまづいてしまう時があるのだ、しかし彼は例外である、)
そんなの分かって──
(執事の方を振り返りながら歩いていたりと完全に油断していた。彼からそう心配された時にはもう足の先には段差が。一瞬でバランスを崩すと身体が宙を舞い)
_ッ全く、よく動く足ですねぇ
(気を抜いていた自分の責任でもある。咄嗟に彼の腕を引いて自分側へ引き寄せれば、自然と彼を抱き留める形になっていて。腕の中にぴとりと収まらせては、安堵の息を漏らして)
!、有難う……
(彼の腕の中から、安心したように息を吐くとお礼を伝え。また彼に助けられてしまった、誕生日だというのにまた迷惑を掛けてしまったのではないかと罪悪感も感じていて)
これからもドジなお坊ちゃんでいてくださいね、
(ふ、と彼の瞳の色が変わった。気落ちしたような、罪悪感が見え隠れしている色だ。彼から手を離せば、からかうようにそんなことを呟いたあとで「私の仕事が減っては困るので」にこりと歯を見せて笑いかけ、)
え……
(想定外の言葉、だった。彼はずっと自分に、1人で色々出来るように、後の国を統べる者として、なんでも完璧にこなせるように──、そんなことを望んでいると思っていた。なのにこれからもドジでいてくれ、とは。驚きで、思わずそんな声が漏れる。嬉しいのと同時に、胸に込み上げてくる何かがあり。若干瞳が潤むも、誤魔化すように彼の手を取って)
っ…ヴィラ、行くぞ!早くしないと日が落ちるだろ
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