男子高校生 2020-07-29 14:18:37 |
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コッソリ出てすぐ戻れば大丈夫よ!それにいざというときは私がついてるから、ほら行きましょ?
(正直にお願いをして承諾がもらえないことは百も承知で、正攻法では無理でも自分がついていれば大丈夫だなんて根拠も何もないことを言って手を真っ直ぐ差し出し)
……分かった。少しくらいなら大丈夫、だよね
(その勢いに押され、次第に彼女と一緒ならなんとかなりそうだと考え始め。そう返事をすると、目の前に差し出された手を取ってベッドから降り)
そうこなくっちゃ、それじゃ行きましょ。静かにこっそり、ね?
(自分が一緒なら大丈夫と示すようにギュッと手を握り返し、病室を忍び足で出て人目を避けるように小声で囁きながら病院の廊下を歩いて)
__縁ちゃん、これから何処行くの?
(同じく大きな物音、足音を立てないように彼女の後を付いて歩く。こうして病室から抜け出したはいいものの、そういえば目的地は何処なのかは分かっていない。行き先不明のまま幼馴染みを追いかけながら、そう質問を投げ掛け)
そういえばそれを考えてなかったわ!蒼はどこか行きたいところは無いの?私はいつでも好きな場所へ行けるからこんな時まで私の行きたい場所に行ってもしょうがないもの
(ポンと拳で手のひらを打って振り返り、期待に満ちた眼差しを向け、相手の瞳を見やり小さく首を傾げて)
えっと……
桜。桜が見たい!
すごく綺麗だったって、看護師さんから聞いたから……
(数日前、病院の中庭に生える桜が満開になった、と院内で話題になった。病室の窓からは丁度死角になっているので自分は写真でしか見ていない。相手の目を見つめ返し、折角の機会だし、二人でお花見がしたい!と提案して)
いいわね、お花見!とっても素敵だわ!私も今年はお花見まだだったの
(なんとも魅力的な提案に名案だと言わんばかりの笑顔で顔の前で両手合わせ、今年最初のお花見が彼と一緒であることが心底嬉しいようで相手の手を引く力が心なしか強くなって)
なら良かった。
……お花は逃げないから、急がなくても大丈夫だよ
(彼女もお花見がまだだと知って、ぴったりだと言うように笑いかけ。
引っ張られる力が変化したのに気付いたのか、少し相手を落ち着かせるように、苦笑いしながらそう言って。でも、やはり自分も凄く楽しみなようで、自然と足の動きも速くなり)
お花は逃げないけど、少しでも長くお花を見ていたいじゃない
(正論を口にした相手をくるりと振り返って、何を言っているのと詰め寄り、そう答えるのが当然のことであるかのように断言し微笑むと病弱気味な相手の身体のことを気にかけようという気持ちも高揚感のせいで少し薄れてしまい再び手を引いてどんどんと進んでいき)
、う、うん……
(勢いに呑まれ曖昧ながらも返事をすると、引っ張られるままに足を進め。久し振りの運動ということもあるのか、既に息が荒くなり始めていて)
蒼、大丈夫?もしかして疲れちゃったのかしら?ちょっとだけ休む?
(目に見えて落ちたペースに流石に異変に気がついたのか足を止めて振り返ると気遣うようにそう声をかけて)
、ごめん……こんなに歩くのって、久し振りだったから……
(数回深呼吸して一度呼吸を落ち着かせると、相手の目を見てもう大丈夫だよ、と伝え。今度は自分が彼女の手を引いて歩きだし)
あ、それもそうよね…っと、ふふ、元気出たみたいね良かったわ
(ちょっとはしゃぎ過ぎたと罪悪感を感じそうになったのも束の間、元気よく先に歩き出した相手に安心すればこちらも軽い足取りで横に追いついてニコニコ上機嫌な笑顔浮かべ鼻歌でも歌い出しそうな調子で歩いていき)
……あ、縁ちゃん、ここだよ、ここ!
(そうこうしているうちにいつの間にか廊下と中庭で繋がっているドアの前まで来ていて。取っ手に手を掛け彼女と一緒に外に出ると、目の前には満開の桜の木がそびえ立っており)
わぁ、大きい!とっても綺麗ね
(目の前に現れた大きな桜の木に感嘆の声を漏らし、キラキラした瞳で桜を見上げ、隣の彼へと目線移せば同意を求めるように笑顔で語りかけて)
うん……!
(彼女の隣、満面の笑みで頷いて。こうして二人で見ることができたのが本当に嬉しいらしい。久し振りの外を堪能するようにぐっと伸びをして)
そうだ桜餅を持ってきているの、一緒に食べましょ
(しばらく一緒に桜を見上げ、その美しさに圧倒されていたが思い出したように鞄から二つの包みを取り出して彼の目の前へと差し出しながら笑顔で小首を傾げて)
わぁ……!流石だね、縁ちゃん!
(差し出された桜餅を見ると、目を輝かせながら一つ手に取って。包みを開いて、「いただきます」と一口齧ると、口の中に広がる桜の香りと優しい甘みに顔を綻ばせ)
うーん、蒼と一緒に素敵な景色を見ながらだと尚更美味しく感じるわね!
(自身も桜餅を齧り、甘さにホクホク顔になって桜の咲いた風景と彼が隣に居てくれることでこんなにも味の感じ方も変わるものなんだなと実感していて)
うん!……あっ
(何か思い付いたのか、食べかけの桜餅を一度包み紙に置き、突然立ち上がって桜の木の側へ行く。木の根元に咲くタンポポを数本摘み取ると、髪飾りを作って)
これ、縁ちゃんに……。入学おめでとうってことと、桜餅ありがとうってこと。
(幼馴染みの横に戻り、先程作ったそれを見せ。付けてあげるよ、と彼女の前髪に手を伸ばし)
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