男子高校生 2020-07-29 14:18:37 |
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ふふ、それはいくら蒼でも教えられません。タネがわかってしまった手品は二度と使えませんから
(よもや自分が魔法使いだなどと名乗れるはずもなく、あくまでもそれが手品の一種だと口にしつつマドレーヌが乗った方とは反対の手で口元に人差し指を立ててナイショと悪戯っぽく微笑んで)
……そっか
(確かに、マジックというものはタネが分からないからこそ面白い。納得して素直に頷くと、彼女の手の上からマドレーヌを手に取って、いただきますと一口囓ると顔をほころばせ)
美味しいですか?…ところで、明日検査があるということは私が来る時間も午後ぐらいにずらしたほうがいいですよね
(表情で聞かなくてもなんとなく察しはつくがにこにこ顔で感想を尋ね、明日の検査について話題を切り替えれば毎日でもここへ来るのは当然であり明日も来るつもりであることを前提に、大体これぐらいかと考えて緩やかに首を傾げて)
うん!凄く美味しい!
__そうだね、そうしてくれると嬉しいな
(再びマドレーヌを頬張りながら感想を伝える。彼女の質問から、こうして明日も来てくれることを知って有り難さと嬉しさで心が一杯になり、その幸せを噛み締めながら返答し)
わかりました、明日は午後一番に来ますね。午前中は蒼のオススメしてくれた本を読んでようかと思います。これ、借りても良いんですよね?
(明日の予定の確認が終わり、自分の中でプランが固まれば先程彼が貸してくれると言っていた魔法使いのお話の本を手にして小さく首を傾げて問いかけて)
うん!縁の感想も聞きたいな、
(大きく頷いて、どうぞどうぞというように両手で彼女の持つ本を指し示す。明日になればその本の話題で二人楽しく話が出来ることが楽しみで仕方無いようで)
蒼のお気に入りのお話を読めるのが今からとても楽しみです。昔は読書の何が面白いのかと思っていた時期もありますりましたが…やはり実際に読んでみるものですね
(大事そうにその本を胸元に両腕で抱え、かつての読書とは無縁だった自分のことを振り返り当時と今との差異に苦笑を零して)
そう言ってくれると、僕も嬉しい
(大切そうに本を抱える彼女を見てにっこり笑って)
__次の日
…………、
(診察を終え、病室に戻ってからのこと。少々診察が長引いてしまったため、時間帯はもう午後になっていた。遅めの昼食としてサンドイッチを齧りつつ、担当医から言われた言葉を思い返し、小さく溜め息をつき)
蒼、入りますよ?…失礼します、昨日の本ですが早速読んで……どうかしましたか…?
(次の日、朝から宣言通り彼に借りた本を読んで過ごして、読み終える頃にはちょうどお昼時で、昼食を食べて家を出ていつも通りの彼の病室へとやってくればノックをして中へと入り。早速本の感想について話そうと話しを切り出してみるがどうにも彼の様子がおかしく、もしや午前中の検査で何かあったのではないかと察すると真剣な表情で尋ねて)
っ、縁?!……ううん、何でもないよ
(ノックの音に気付かなかったらしく、驚いた顔をして入ってきた幼馴染みを見て。先程の溜め息が聞こえていたんじゃないかと内心焦りながらも、なんでもない、といつものように笑って彼女を出迎え)
本当ですか…?何か無理をしていたりしませんか?
(一見すれば普段と変わらないように見える彼の笑顔、どこがおかしいのかと問われれば具体的にここだと言える部分は無いのだが、幼馴染として彼と長く付き合ってきての勘が違和感を訴えかけてきていて、少しばかり疑念を抱いた様子で相手の顔を覗き込み、心配そうに眉尻を下げて)
……なんかね、肺が炎症を起こしてるんだって。
数日後にもう一回検査、って言われちゃった
(いつも通り笑ってみせたが、彼女の不安そうな顔はそのままで。このまま隠し通すよりも、ここでは素直に打ち明けた方が変な心配はかけないかと考えて簡単に説明すると、心配しないで、と微笑み)
肺が…!?蒼はそれで体調に不調はないのですか…?
(嫌な予感は最悪な形で的中してしまい、しかし再度検査と言われてしまえば今の自分にできることはなく、せめて今だけは体調が悪いせいで苦しまずにいてくれればと思いそう尋ねて)
うん、時々息が荒れることもあるけど、今は平気。
(確かに最近は何度か呼吸が荒くなる回数が増えたので、何かおかしい気はしていたのだ。不定期のため自分にはその症状がいつ出てくるのか分からないが、今は苦しいなどは一切無いため、大丈夫だと伝え)
そうですか…その症状というのは……いえ、この話しは今はいいですね、それより蒼から借りた本早速読みましたよ
(今は無理をしていないということは理解出来たが、彼の言うその不調というのはこれまで実はずっと黙っていただけで前からあったのではないかと追及をしようとしたが、もし危惧していることが事実で彼の抱える嘘を知ってしまったら自分は我を忘れて感情的になって止まれなくなってしまう気がして、そうなれば彼と険悪な雰囲気になってしまうかもしれずその事を恐れれば話題をすぐに当たり障りのないものへと切り替えて)
……、あ、本読んでくれたんだ!どうだった?
(彼女の事だからもっと詳しく言及されるのではないかと考えていたが、意外にも昨日貸した本の話題へと転がった。取り敢えず、今まで体調を偽ってきた事が彼女に見付かって更に心配を掛けさせることは無くなったと一安心して。やはり、折角彼女が来てくれているんだから、自分の病気の話なんかより、もっと色々、楽しい話をしたい、というのが本音。巧い具合に話も切り替わったため、その流れで本について感想を問い掛け)
私は蒼から聞いていたイメージ通りとても素敵なお話だと思いました、主人公は魔法を見返りも何も求めずにこっそり人の助けになるために使ってて私もこんな生き方をしたいと、そんな風に思えて共感できる部分が沢山ありましたから
(まさか自分も魔法使いなどと名乗ることは出来ないが魔法の力でこっそり人助けをする主人公に対する感情移入を語り、あくまでも人として感謝の言葉も見返りも求めないそんな生き方を自分も見習いたいと自分の魔法のことについては伏せながら感想と共に想いを口にし、自分の中で彼の為に彼を助けてこの先も生きていこうという決意を改めて固めるキッカケになったようで)
だよね!僕、その続編を読み終わったんだけど__
(彼女もどうやらこのお話を気に入ってくれたらしい。よかった、とにっこり微笑んで。彼女とこうして共通の話題で盛り上がれるのは嬉しい。丁度今朝その二作目を読み終わったこともあり、思わずその内容についても語り始めるが、途中でこれはネタバレになってしまう、と気付き慌てて口を押さえ。側にある鞄からその続編を取り出すと、よかったらこれも読んで、と彼女に差し出し)
実は、続きが気になってここへくる途中で買ってきてしまいました
(続編について言及しようとしてネタバレを防ぐため口を噤んだ相手に小さくクスッと笑い、貸してくれるつもりでいるのだろう本が鞄から取り出されるのと同時にこちらも持っていたバッグからまだ本屋の袋に入ったままのそれをとりだしてそれには及ばないと笑顔で小さく首を傾げて)
!……縁!
(彼女の持っているそれを見てきらきら瞳を輝かせ。自分の勧めた作品をそこまで気に入ってくれると自分としても凄く嬉しい。それに感動したのか思わず彼女の名前を呼ぶと、先程までの憂鬱な気分が吹き飛んだかのようににこっと笑って。)
その本もね、1作目に負けないくらい面白かった!
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