翠亞 2020-05-25 00:34:01 |
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■主との契約
・当然ながらセイチャ様規則を厳守すること
・ネチケやマナーも弁えること
・参加目的外のレスはしないこと
・世界観にどっぷり浸かって楽しむこと
・ロルは豆以外ならOK。ただし戦闘描写は行動が分かるように丁寧に回すこと
・戦闘中の口汚い罵倒は今回はなし。怒りに任せて怒号を叫ぶ、程度ならよし。お互いクリーンに気持ちよく戦闘を楽しむこと
・主と概ね同文体であること。半角文字や特殊記号、鸚鵡返しロルや漢文ロルはNG
・レスペ関係寛大。置きレス / 即レスなんでもこい
・無言失踪ダメ絶対。打ち切りの場合「―死亡エンド―」、多忙による遅筆状態は「―スタン中―」と一言レスすること
・各々に好みの展開や相性がある事を理解し、お相手するのがキツくなった場合は互いに無理せず遠慮せず打ち明けること
【 舞台 / 時代背景 】
・大海原に浮かぶ広大な大陸が舞台
・時代は明確でないが、現代でないことは確か
・モバイル機器なんてもっての他
・もっぱら剣と魔法、伝書鳩と羊皮紙、葡萄酒と馬車な世界観(伝われ)
【 三大女神 】
・世界の創造主であり、3人の女の姿で崇拝されている
・それぞれの御名は≪ チェッタリントン ≫≪ アケハ ≫≪ マグ=メル ≫
・大陸全土の地域や人種から信仰される万能の神々
・月魔からは__とも呼ばれる
・__を非常に嫌い、ゆえに__________。
・深く信奉されているにも関わらず、三大女神についての史実書や古文書は世界中を捜しても非常に少なく、価値が高い
・謎多き女神たちだが、非常に慈悲深いとされている
【 月魔 / 月魔の王 】
・どこかから現れてヒトや家畜を襲い喰らう、禍々しい獣
・統計的に満月の夜の出現率が高く、それが≪月魔≫の名の由来
・非常に堅牢な外皮を持つため、人間界の武器では駆逐不可能だった
・しかし彩銀石製(後述)の武器なら外皮を貫く事が出来ると発見された
・月魔の体長や戦闘力は個体差が激しく、強いものだと単独討伐は困難
・トウィリト村(君の故郷)に出現し、一瞬で村を滅ぼした黒い翼の強大な個体は≪ 月魔の王 ≫という固有名詞で呼ばれる
・月魔は総じて身体のどこかに三日月のような紋章がある
・__が生命維持に必要な栄養素
・____は月魔にとって非常に有害
・月魔の王の目的は__________、それによって__________こと。
【 ヒト / 亜人 】
・大陸の先住民。亜人はヒトに獣の血が混ざったもので、獣人とも呼ばれる
・十年ほど前、大陸中のヒトが≪ 奇跡 ≫という特殊能力に突然覚醒し始めた
・当時は戸惑うばかりだったが、現在では訓練法が確立されており、奇跡を使いこなせる人口の方が多い
・奇跡覚醒と同時期に発掘された鉱石≪ 彩銀石 ≫に生活上依存している
・亜人は奇跡に覚醒することはなかったが、代わりに膂力が飛躍的に向上した
・亜人の五感・自然治癒力はヒトより多少優れている程度
・ヒトと亜人の人口比率は大体6:4
・両者とも同じように生活を営めるので、特に偏見や差別もなく当たり前に共存している
【 奇跡 】
・十年ほど前、急にヒトに宿った特殊能力
・人知を超えた力だが、魔法のように万能ではなく、一人につき一種類
・一瞬だけ「 魔法 」と呼ばれていたが、”魔”という文字を使う事は基本忌避されるため、現在の呼び名で安定した
・訓練なしでは使いこなせない特殊技能のようなもの
・無限に使えるわけではなく、運動や白兵戦と同じように体力を消耗する
・なぜか攻勢に向いた奇跡がほとんどであり、搦め手系やキュア系を持つヒトは本当にごく稀
・なぜ急にヒトが奇跡に覚醒したか等々、奇跡について研究する機関は数多存在するが、もれなく謎の解明に苦戦している
・ヒトが奇跡に覚醒したのは___________________。
・亜人が奇跡を得なかったのは________________________________ため。
【 彩銀石 】
・十年ほど前、大陸中から突如発掘されるようになった美しい鉱石
・普段は月光の様な白銀色だが、月魔の魔力を感知すると青~赤色に輝く
・魔力の濃度や強度によって色合いが変化し、雑魚魔なら原色の青、平均的な月魔なら紫、後は原色の赤に近付くほど強大な魔力を意味する
・彩銀石同士でなら研磨や加工が可能
・しかし加工難易度は非常に高いため、彩銀石製の武器や装備はブルジョワも躊躇うほど高価
■プロフィール
Name / ウィアド
Race / ヒト
Age / 27
Gender / 男
Temper / 大らかでさっぱりしており、恨みつらみは根に持たない主義。ただし泣き寝入りはせず自分が納得する程度の仕返しはする強かさが味。大抵のものに対して執着がなく、食料に困る場面でも欲しがる人が居れば自分の分を渡す。お人好しというわけではなく、自分の分はもう一回探せばいいや、程度のお気楽さ。しかしその分、「君という存在」「君と揃いで身に着けている品」「三大女神」については凄まじい執着心を発揮する。共感能力が高く感受性も豊かで涙もろいが、いざという場面では情に流されずロジカルな判断を下せる合理的な残酷さも持つ。
Height・Weight / 男ver:183cm・75kg
Face / エメラルドグリーンの垂れ目。ぱっちり二重で睫毛が多く、目を伏せると憂愁が滲む。口角は常に上がり気味で、第一印象の良い人相。肌は褐色。
Hair / 光に当たるとパープルみを帯びるが、ぱっと見では黒髪。ふわふわと柔らかい遊びっ毛。アップバングの短髪。髪質は悪くなく艶やかだが、如何せん寝起きの爆発頭が悩み。
Body / 筋肉質。首筋に羽を広げた蝶のトライバルがあり、とても気に入っているがいつ彫ってもらったかは忘れた。
Clothes /
上半身は初めて自力で討伐した月魔の白い毛皮のベストのみ。下半身は黒いカーゴパンツ、裾は編み上げワークブーツにイン。
左手首に金のブレスレットを3つ、両耳の軟骨にいくつかリングピアス。リディアとの揃いの品である薄紫のネックレスは、必ず見える位置に毎日装着する。
Arms / 彩銀石製のシミターと初期装備の鋼製ナイフ
Wonder / 【治癒】読んで字のごとく対象の傷を癒す。外傷だけでなく、骨折や内臓の損傷・解毒や病の治癒も可能。ただし外傷に比べて大幅に時間がかかるので、戦闘中は援護なしでは実行不可能。他者より自分の傷を治す方が手慣れているためスピーディに行える。切断されたものをくっつける、心肺停止状態から復活させる等の芸当も可能だが、いずれもスピードが命であり、長くとも事後30分以内ほどでなければ不可能になってしまう。
Notes / 完全にリディアに惚れている。昔から君一筋だが、関係性の崩壊を恐れてずっと打ち明けられず、現時点ではこれからも想いを伝えるつもりなし。この恋の歯車は君の行動・発言であり、つまるところ君次第。生後間もなくトウィリト村の教会に捨てられ、神父に拾われ育てられた。名付け親も神父。自分を育ててくれた神父に感謝するのは勿論、無事に成人まで育つ運命に導いてもらえたのも神のご加護として、三大女神を深く信奉している。三大女神について知る手がかりとして、遺跡巡りや古文書探しが趣味。君との揃いの品は一番大切な宝物。酒と魚介類と君が好き。雷と霊が苦手。行儀の悪い下品な人が嫌い。彩銀石製のシミターは、まだ未成年だった頃とある人物から譲り受けた物。
お招きありがとう。移動が遅くなってごめんなさい。此方も向こうよりは少し言葉を崩す予定。
では早速あちらの返事を。ご縁があって素敵な物語を紡ぐ一員となれたこと、本当に嬉しく思ってます。内向的ではあるけど芯をしっかりと持ってる子って言葉で表すのが難しくて、だらだらと長い文章になってしまったけどこうして伝わっていたと聞いて安心しました。たくさん褒め言葉を貰って少しテンションが上がっているからおかしな事を言ってても見逃してほしいな。少し歪んだ物語、楽しみにしています。
そして誤解の部分。お恥ずかしい事に完全に捉え方を間違えてた。しっかり読んだら分かる事なのにそうだと思い込んで書いてたの、本当に言い訳のしようがないです。今はしっかり確認し直したから、二度はない様に気をつけますね。プロフィールもそこを修正したから念のためもう一度確認してもらえると助かります。
愛想を尽かされない様に頑張っていくので、改めてよろしく。最後だけど、トピックの説明文、とても素敵で暇さえあれば何度も読み返しています。素敵な文を紡がれる方とのご縁に感謝を。
Name / リディア
Race / 亜人
Age / 27
Gender / ♀
Temper /やや引っ込み思案で言葉足らずかと思えば、その分は全て行動で示す娘。それ故に何か大きな感情の波が起こった時はどうなるか分からない危うさを持つ。善悪の区別は相応に持ち合わせている。非常に慈悲深く困っている者や孤独に苦しむ者は放っておけないお人好しの節もある。しかしながらそれは自分も愛されたいという願いの側面であり注いだ分だけの愛情が返って来なければ拗ねてしまう幼い一面も。
Height・Weight / 163cm ・54kg
Face / くっきりとした二重瞼で虹彩はアンバー。右目の端に小さな泣き黒子が有る。あまり日焼けしておらず色白の肌を持つ。
Hair / 夜の様な青みがかった黒色の髪をしており、左分けの前髪は瞼にギリギリ掛からない程度。緩やかなウェーブのかかった後ろ髪は胸を覆い隠す程度の長さで普段はポニーテール。空気を含みふわっとした軽い髪質。
Body / 平均的で年相応の女性らしさがある体、しなやかな筋肉のつき方をしている、
Clothes /服装は襟ぐりの深い袖なしのボディスにハイネックの白いブラウス、黒地に青色のチェック模様の入った膝丈のスカートに浅青色のエプロン。いわゆる中世の村娘風の服装。月魔の黒い毛皮を加工したファーストールを羽織ったり、外を歩く時はパンツスタイルである事も。
唯一の装飾品である薄紫に色づく雫を模した硝子のネックレスはウィアドとの揃いの品。
混ざった獣の血は黒豹。漆黒のすらりと長い尻尾と猫より僅かに丸みを帯びた耳を持つ。
Arms / 彩銀石製の短剣、刃渡りは40センチ前後。鋼製のナイフ。
Wonder /
Notes / トゥイリト村の貧しい農家の生まれ。まだ言葉も話し始めたばかりの頃に病で両親を亡くし同じくトゥイリト村に住む親戚に引き取られた。それ以降はごく普通に育てられて来たものの、親戚夫婦に子供が授かってからは微妙な疎外感を感じて来た。*
三女神は在るのが当然の存在であり自身はそれ以上の興味を持っていなかった。けれども“彼”の進む道に着いて行く内にある程度の知識と関心は出てきた模様。
十年程前までは運動は可もなく不可もなくと言った感じだったが柔軟性が元より飛躍的に伸びた。現在は木登り等が可能。
ひそかに賭け事全般に強い。女性の割によく食べるが料理はそこまで得意じゃない。
like /湖、美味しい料理、音楽
not good /炎、犬、匂いのキツい物
dislike /寒さ、音痴、乱暴な人
ウィアドへの感情 /憧憬、或いは依存
幼い頃から共にいる家族同然の代わりなどいない人物。きょうだいの様な存在。?雛鳥が初めて目にしたものの後を追うように彼の後を追いかけているのは憧れかそれとも別の感情か。?ウィアドの持つ想いは一切気が付いていない。
Prologue / >【 恋慕 】
( 只管に怖くて仕方がなかった。村の方から響く悲鳴も、少しだけ見えた燃え盛る青い炎も、目に映る全てが、耳の中に流れ込む全てが、怖くて怖くて、それでも何かに引き寄せられる様に、惨劇の中心、村の中へと足を進めた。足は駆け出す一歩手前の様な速さで動いているし、手は無意識の内に短剣を掴んでいる。それでも脳は理解することを拒んで、未だに見間違えである事を祈っていた。一秒が十分にも感じる様な、長い長い道のりを終えて村の中へと足を踏み入れる。途端にひとつ火花の爆ぜる大きな音に身を竦ませてウィアドの背後へと隠れた。火は苦手だ──それは、獣の血が流れる体を持って生まれた定めだろうか。目を固く閉じて時が過ぎるのを待って、暫くしてから薄らと目を開けた。ウィアドが動かない。いつもなら、何か言ってくれるのに。冒険の間も危険な目に遭わなかった訳じゃない。そんな時、いつだって励ましの声を掛けてくれたのは彼なのに。 )
「────ねぇ、ウィアド?」
( 恐る恐る声をかけても、彼は動かない。美しいエメラルドの目を大きく見開いて、ナニカを見ている。その横顔が照らされているのは炎ではなく、各々の持っていた彩銀石製の武器が輝いているせい、その意味も考えずに其方へと視線を向けて───かちり、とどこかで音がした。その"ひと"と目が合う。何の邪心も虚飾もない、向こう側の世界が透けて見えそうな程澄んだ紅の瞳。そこからとめどなく流れ、白い頬を伝う涙が酷く綺麗で、美しくて、思わず手を伸ばす。足を前に出す。頭の片隅で警鐘が鳴る。心臓が痛い程早く鼓動を打つ。コレをそんな目で見てはいけない、コレは危険な物だ、逃げろ、と。それでも、それでも溢れ出る感情を押さえる事は出来なくて、吸い寄せられる様にまた一歩、一歩と近づいて行く。美しいと、綺麗だと、そう思う。でも、この感情は決して崇拝じゃない。だって──私は、この"ひと"が欲しくて仕方がない。いきなり咲いた純粋な欲望はまるで閃光の様で目が眩む。心が燃えて、燃えて、押し潰そうとしても後から押し寄せる衝動に身震いする。耳を塞いで、自分の心の音だけを聞いて、そこまでやって、漸く気がつく。嗚呼───これは、"恋"だ。 )
こちらこそ、来てくれて本当にありがとう。改めまして、よろしくお願いいたします。
うんうん、ちゃんと伝わってるよ。リディアさんはまるで青い炎みたいだなって思った。激しく主張する事なく静かに燃えているけれど、本当は緋色の炎よりもずっとずっと高い熱を持ってる、そんなイメージかな。炎が苦手な彼女にこの例えは意地悪かもしれないけれど、でも月魔の王が扱う蒼い焔と通ずるところもあって、なんていうか運命的だなって。
是非その秘められた情熱や積極性を発揮して、__の謎をどんどん解き明かしていってほしいな。まだまだ設定開示していないことや、物語の歯車となるNPCも順次出現させていく予定だし、分からない事や違和感はあって当然だと思って、積極的にリディアさんを動かして情報を集めてくれたら嬉しいし楽しい!
プロフィール、わざわざ訂正してくれてありがとう。向こうで指摘しあぐねたのだけど、本当はトゥイリト村じゃなくてトウィリト村なんだ。まあどちらでもいいことだし、この世界でだけはトゥイリト村ってことにしちゃおうか!/笑
こちらこそ、まだまだ至らない設定厨だけど、どうぞ末永く宜しく。
本体会話は簡潔にまとめなきゃ、って思うのにどうしても長くなっちゃうや。こっちへの返レスはあってもなくても構わないよ、負担にさせたくないしね。それじゃあ、次レスでプロローグの続きを紡がせて貰うね。
ウィアド:
「 ――っ、駄目だ! 」
( 愛しい彼女の呼び掛けで初めて我に返り、ハッと身じろいだその瞬間、あろうことか己らの村を焼き払ったバケモノを求めるように手を伸ばす姿に唖然とする。反射的に張り上げた制止の声には、危機感とそれに隠れた場違いな嫉妬心が孕まれていて。考えるより先に足が動き、彼女の片腕を後ろから掴んで引き留めようと。そして―― )
???:
「 ……野蛮な。 」
( 後方には蒼い焔を背負い、正面からは彩銀石の紅い光を浴びながらリディアとウィアドの方へ完全に向き直る。嫌悪や怒りを含んだ声色でぽつりと零したのは、二人が衣類として身に着けている同胞の毛皮を目にしてしまったから。その佇まいは、月光を凍らせたような銀色の長髪もあいまって中性的な印象を与えるが、けだしその声は低い男性のもの。光に惹かれる羽虫のごとく、こちらへ手を差し伸べ歩み寄ってくる亜人の彼女には怪訝そうに片眉を歪めて。ふとそれを引き留めたヒトの男へ目を遣ると、何かに気付いてカッと瞠目し)
「 貴様、始祖の僕か…! 」
( 先程より何倍も大きな憤怒。ゴオと音を立てて背後の爆炎はさらに燃え上がり、その熱で流れていた涙も乾き去る。白い片腕を前方へ掲げたのはきっと攻撃の予備動作、青い焔で二人を瞬時に焼き尽くす――かと思えばどうやらそうではなく。炎の代わりにウィアドの、ひいてはリディアの足元に蒼い魔法陣を展開する。ナニカの視線は完全にウィアドへ向けられていて )
「 始祖について、貴様が知る限りの全てを洗い浚い吐け。でなければ貴様を永劫の無に還してやる 」
ウィアド:
「 はア?!何ッだよそれ、知らねえよ! 」
( 素っ頓狂な声を腹の底から叩き付け、怒りを滲ませて噛みつくように吠える。もし彼女が抵抗しないなら、掴んだ腕をグイと引っ張り自分の背後へ押し遣るようにしてから、振り返る事はせず彼女にだけ聴こえる声で )
「 逃げろ、リディア。アイツの狙いは俺だ、早くこの魔法陣の外に出ろ 」
【 伝え忘れてたけど、実はこのサイトでも更新通知を受け取る事が出来るんだ。レスの左下に「このページの更新通知を受け取る」ってリンクがあると思うから、そこから設定してもらえたら便利かも。もうしてたら無視してね。それと念のため言っておくと、ウィアドの最後の発言に従ってここから逃げるかどうか、その行動も分岐に関わってくるからね。デカい分岐点になる場合はこちらから伝えるけど、こうした細々した一挙一動でも微妙にストーリーに差異が出るから、そのワクワク感も楽しんで! 】
「──っ!」
( はっと夢から醒めたような感覚だった。心地よく幸せな空間から、無機質な現実に引き戻された寂寥感。その切っ掛けとなったのはウィアドの緊張した声と、掴まれた腕。熱に浮かされていた思考が少しだけ冷静さを取り戻した様な気がした。頬は場違いにも火照っているし、心臓もドキドキと普段よりもずっと早く打っているけれど。少なくとも、足はそこで止まった。あの美しいひとは酷く冷たい目をしている。どうしてか分からないけど、自分達が気に入らないみたいだから、あのまま進んでいたら命が危なかったのは間違いなくて。それでも良かったのに、なんて考えた瞬間──轟、とまるで雷が落ちたかの様な音に体を竦めた。怒っている。あのひとが、何かに感情を荒立てている。その対象がウィアドだと気がついて、ちりりと胸の奥が焦げた気がした。─始祖が何なのかは分からない。共に旅をしてきた自分がそうなのだから、ウィアドもきっと本当に知らない筈。でも、あのひとはウィアドを見ている。本人が知らないだけで、彼は始祖の僕だったりするのだろうか。それで、あのひとに興味を持たれているのか。そんなの、そんなのは──どうしようもない感情がぐるぐると頭の中を回っていた時、逃げろ、という声に勢いよく顔を上げる。いつの間にか守られる位置に移動していた、その事にさえ歯痒さを覚えて、目の前のウィアドとその先で冷たい目をしているあのひとを見上げる。そんなのはダメだ、と思った。ウィアドは本当に優しくて、旅の途中で困っている人を見つけた時には何の打算も持たずに手を差し伸べていた。その手を一番取っていた筈の私が、間違いなく命の危険に晒されている彼を見捨てる様な真似ができるのか。─それに、彼しかあのひとに見られていないのに?そう考えた途端、じくりと黒い感情が心に滲む。このまま二人ともあのひとによって死んでしまうんだろう。村の人たちがみんな死んだのだから、居合わせた自分たちだって助かる道理がない。それなら、せめてあのひとに見られないまま死ぬのは嫌だ。十把一絡げのままではなくて、せめてウィアドの様に何かを向けて欲しかった。哀れみでも、怒りでも、何でもいい。あのひとに、私を見てほしい。そんな単純な衝動で。彼が奇跡を手に入れた時、自身はそんなものが宿ることはなかったけど、代わりに手に入れた力。それで魔法陣の外へと行くように背を押して、ウィアドが助かってほしいという気持ちも確かにあったことに少し安堵する。そうして自分でも驚くほど平坦に声をかけた )
「…ごめんね、ウィアド。逃げるなんて出来ない。」
【先の方も折角だからお返事したかったのだけどあまりにも長くなってしまいそうだから切らせてもらうね。もちろん、読ませて貰ったから。それと、村の名前はもう間違えない、と思う…恥ずかしい…穴があったら埋まりたいけど、無かったから掘りたいぐらい。本当に素敵な世界観なのに読解能力以前の問題でごめんなさい。本当に愛想を尽かされないで貰えると嬉しいです。
更新通知の登録、早速してみたから次からはこんなに返信が遅くなることは無いと思う。教えてくれてありがとう。
これ、普通のと違ってRPGの選択肢みたいですごく楽しいし、折角だから丁寧に選んでいきたいな。】
???:
――。
( 互いを庇い合うような二人のやりとりを眺め、ナニカは至極複雑な――哀しみとも恨めしさとも切なさともとれる表情に眉を歪めた。静かに目を閉じ、数秒してまた瞼を上げる。それはまるで、怒りを取り戻そうとしているかのようで )
ウィアド:
馬鹿、リディア…ッ!
( 背を押されたのは予想外だった。彼女が何を考えているのか分からなくて、思わず口から悪態が零れる。こんなに何年も傍にいるのだ、彼女がナニカに向けた視線に己が喉から手が出るほど欲してやまない熱情が宿っているのを、決して見逃すわけもなく。後方からの衝撃に備えていなかった身体は、亜人の膂力で押されては思いのほか大きく体勢を崩し、よろめくように数歩、刹那求めるように愛しい名を呼んで―― )
( ――瞬間、閃光。ウィアドがリディアから離れた瞬間、ヴンと音を立てて魔法陣はウィアドを追う様に彼の足元にのみ展開され。そのまま円柱状に魔法陣から白銀の光が天を穿つように放たれ、同時に不可視の衝撃波がナニカを中心に波状に広がった。それは防ぐ術のない暴風のごとく、軽々と君を吹き飛ばしてしまうだろう。そうして後方にあった瓦礫か岩か木か、いずれかの物体に叩き付けられ、君は意識を失うだろう )
↓ ↓ ↓
???:
……アラ、マア。随分派手だこと。
( はんなりと優雅な女の声は、このトウィリト村の惨状を目にしてもどうにも緊迫感に欠ける。この大陸上の文化では大変珍しい、和風な召し物を身に纏い、墨のような漆黒を簪でお団子に結い上げた女は、ふと地面に横たわり意識を失っている君を見つけて歩み寄り )
モシ、そこのお嬢様。ご存命なれば目を開けますれ。
( 夜は明け、太陽は完全に昇り切っている。清々しい陽光は、その輝きをもって壊滅した村を容赦なく照らし上げている。周囲にナニカの姿はなく、ウィアドの姿もない。残されていたのは、25cmほどの大きく黒い艶やかな羽根。それは地に抜け落ちるようにただひとつ取り残されており、ナニカの背から生えていた黒翼の欠片に似ていた。それが落ちているのは君が手を伸ばしても届くか分からない距離、何ならこの謎の女の方がそれに近い。そして女はちょうど羽根の存在に気付き、「 マア、大きな羽根だ事 」とそれを拾おうと手を伸ばしかけて )
( / いえいえ、お役に立てて良かった。さてプロローグは終了、いよいよ本編の幕開けだ。これから先は重要なNPCがたくさん出てくるから、登場人物が増えてきたら適宜まとめを上げさせてもらうから心配しないでね。)
( 大きな背中を押して、一気に視界が広くなる。そうして美しいひとを見つめた。改めて正面から見たあのひとは、生まれて初めて見る様な表情をしている。先程までの燃える様な怒りはなく、何かを堪えるような、憂いを帯びているような、不思議な感情が見え隠れしている。それを見た途端、ついさっきまで波立っていた心はまるで幻だっかのように落ち着きを取り戻していた。じわりと心を蝕んでいた黒いものが消えて、静謐へと帰していく。そんな心地で、口を開いた。 )
「───わたし、」
( 同時に馬鹿、と聞こえた気がした。その先に続けようとした言葉が形を取る前に形を成す前に立っていられない程の激しい風が吹き荒んだ。それを理解する前に身体が宙を舞う。体験した事の無い浮遊感の中、あのひとの浮かべていた表情が脳裏に焼きついていて─何かに強かに背中を叩きつけた感覚と共に意識が遠のいていった。 )
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
( 誰かに呼ばれたような気がして、目を覚ました。燦々と照りつける太陽の光が眩しくて、小さく唸りながら辺りを見渡す。軋む体と目に映る光景が昨夜の事は夢でないことを告げていた。ウィアドもあのひとも姿を消している事に気がつかないまま、瓦礫と化した家々から視線を逸らすと、見つけたのは黒色の何か。闇を溶かして形成したような艶々とした大きな羽。それがあのひとの物だと確信して、─そこで、それに手を伸ばしている人に気がついた。 )
「待って!」
( 咄嗟に口から弾丸のように飛び出した声は、寝起きのせいか、あるいは強風の中で埃を吸い込んだのか酷く掠れていた。それと同時に普段では考えられないほど俊敏な動きで手を伸ばす。僅かに咳込みながら、それでも止める事無く目の前の面妖な格好をした女性を止めようと右手を伸ばした。 )
【了解。なるべく一度で覚えれるように頑張ってみるよ。
あと、一つ確認というか、相談というか、そんな感じのことがあるんだけど大丈夫かな?基本が上の文量くらいで、ここの人達と比べてもそこそこ長めになってるみたいだから読むのが負担だったら遠慮なく言ってほしい。こっちは文章を読むのも書くのも好きだから全然問題ないんだけど、翠亞さんの負担になってたら嫌だから、こうして確認させてもらったんだ。】
――アラ。そのご様子では、手当は無用でござりまするな
( 渇きに嗄れた声は、それでも妙な切迫感を持って場の空気を揺らした。ピタリ、手を止めれば、羽根を拾おうと屈めていた身体をシャンと伸ばし、リディアの方へ完全に向き直って微笑み。それは聖母のごとく静穏かつ慈愛に溢れていたが、ただ優しいだけではない何か芯のようなものを感じさせて。 )
職業柄、わたくしもこの羽根に極めて興味がありまする。こういう場合、早い者勝ちが世の常ではござりまするが――、
( 視線を君から地面の羽根へ移しつつ、ゆったりと言葉を紡ぐ。優雅な立ち居振る舞いとはややアンバランスなハングリー精神を説くも、何を思ったか今回はそれを押し付けるつもりはないらしく、君へ黒翼を譲るのも吝かではないと示すように、羽根から一歩下がって )
昨夜ここで起きた一部始終を詳説してくださるのならば、謹んで身を引かせて頂きまする。
( 名や素性は未だ敢えて明かさず。にこり、静かに微笑む姿は穏やかさの中に荘厳な威厳を抱く涅槃の類を彷彿とさせるだろうか。暴力的ではなく、けれども明確な迫力を携えた女は、両手の指先を腹の前で重ねて、しずしずと頭を下げた )
【 心意気は嬉しいけど、無理しないでね。なるべく背後さんの負担にならない様に適宜フォローさせてもらうつもりだし。それと、これから度々出てくる新しいNPCは全員「???」で表記するけど、君から名前を問うたりNPCが名乗ったりした場合は、ちゃんと個別の名前で表記するからね。
それと、わざわざ相談有難う。どこかには書いたと思うんだけど、文量には特にこだわりないんだ。長短が極端な場合は少しお声掛けさせてもらうかもしれないけど、背後さんくらいの文章なら全く負担じゃないし、楽しく読ませて貰ってるよ。主の方も場面に合わせてロル量にムラがあるけど、分かり難いところとかあったら遠慮なく言ってね。 】
( 柔らかな微笑みで身を引く事をちらつかせられれば、これ以上珍妙な姿勢で固まっている必要もない。すらすらと流暢に、しかしながら村の中では勿論、旅の途中でも聞いたことのない独特の喋りをする目の前の女性に流されるまま頷きを一つ返す。謎のガッツを見せる彼女の職業に興味を惹かれたものの、一先ず気にしない事にした。お願いをしている立場で突っ込んだ事を聞くのも違うだろうし。何よりも嫋やかな仕草と若干ミスマッチな言動のギャップに呆気にとられていたのがいちばんの理由だったが。 )
「えっと…あの、ごめんなさい」
( 丁寧に下げられた頭に対して口から零れたのは何故か謝罪の言葉。元から口の滑りが良い方ではないのに加えて、独特な圧を醸し出すの彼女に完全に気圧されてしまっている。我ながら情けないが少し怖いのだ。理由も分からないのに羽を譲ろうとしてくれている様子からしても悪い人ではない筈だが、春の陽光の様な微笑みの裏にある意図が読み取れない事。それがどうにも緊張してしまう原因の一つ。─こんな時にウィアドが居てくれればいいのに。そう思った所で漸く彼の姿がない事に違和感を覚えた。それに困惑を隠さず、キョロキョロと辺りを見回すが彼の姿はどこにもない。凪いだ空気から分かっていたけど、あのひとの姿も。それに微かに寂しさを覚えながら、言葉を返した。 )
「それで譲っていただけるのなら、幾らでも。…ただ、その、ヒトをこの辺りで見かけませんでしたか?連れで、ここに来た時も一緒だったんです。」
【ありがとう。勿論その時は遠慮なく活用させてもらうね。情報を自分で探していく感じ、初めてだけど楽しいな。ちょっと道のりは遠そうだけど笑
負担になってないなら良かった。あんまり長文だと嫌!って人もいるから、少し心配で。こっちもある程度ムラが出る時もあるかもしれないから、気になったらまたお声がけをお願いします】
…マア。なにゆえの謝辞でござりまするか?
( 淡い桜色の唇には形の良い微笑を浮かべたまま、スゥと静かに双眸を細める。不意に零れてしまったのであろう"ごめんなさい"、わざわざ意地悪くその理由を問うのは、黒い羽根に強烈な興味――否、執着を見せた君に興味が移ったからか )
然れば、交渉成立でありまする。何卒お楽に。――此処へ至る道中、誰ともすれ違うておりませぬ。この村からも、生存者の気配は感じられませぬ。…お連れ様の行方に、何ぞ心当たりはござりまするか?
( 君が緊張している事を目敏く感じ取り、互いにとってウィンウィンな方向で話がまとまれば、細めていた目をキュゥと閉じるようにして柔らかく微笑み。このご時世、いかなる情報も高い価値を持つが、問われた内容に関しては無償で応えて。そして君とウィアドを案じるような表情で問い掛ける、それは交渉材料たる情報開示の幕開けとなるだろうか )
【 和風の彼女の職業のくだりがまさにそうなのだけれど、発言やロルのひとつひとつが主から散りばめられてるヒントだと捉えてもらえたらいいかな。それを無視するも掘り下げるも自由だけど、得られる情報が多いほど物語の核心や月魔の王に少しずつ近付けるのも事実だからね。その為に、今回は積極性のある人に募集を限定したんだ。そうしないと話が進まないなと思ったからね。だから遠慮せず、自分の力で情報を集めながら、まだ誰も知らないこの世界の謎に迫っていってくれたら嬉しい。 】
「あの、その…は、早い者勝ちなのに譲ってもらったので!」
( 仄かに甘さのある微笑みに少し心が解れた─かと思えば揶揄う様な質問に声にならない言葉を吐き出しながら視線を彷徨わせる。無論どれだけ視線を動かそうが話す相手は目の前の彼女だけ。羞恥によって少し頬を赤く染めて、言葉に詰まりながら何とか理由を導き出す。そうしてから、硝子細工でも拾うかの様にそっと羽根を手に取った。 )
「そう、ですか…」
( 生存者の気配はない、という言葉に眉を下げる。しかし、ここに来る途中に見かけなかったという事はウィアドは少なくとも自分の意思では村を出て行っていない筈。それは彼が自分を置いていく訳がないというひどく傲慢な考え方ではあったけれど、そう考えないと目の前の出来事の強烈さで動かなくなってしまいそうだった。心当たりは、と聞かれても早々には見つからず首を傾げる。口を噤んだまま記憶を辿っていると天を光が貫いた直前、ウィアドの足元に新たな魔法陣が展開されていた事を薄らと思い出し、彼女に向き直ると口を開く。そうして名乗っていなかった事に気がつくとそっと付け加え──普段なら、そこで終わっていただろうけれど今は少しでも情報が欲しい。そんな思いで怖々と彼女に向かって問を投げた。 )
「…魔法陣。魔法陣がウィアドの足元に出ていたから、どこかに連れて行かれたのかも。─あ、えっと、ウィアドはその連れの名前で、私はリディアです。二人で旅をしていたんですけど…貴女は、どうしてここに?」
【うん、ちゃんと回収できるように頑張っていこうと思うよ。努力はしているけど、ちょっと不自然な流れがあるかもしれないからその時は遠慮なく。引っ込み思案とは書いたけど、月魔の王についても、ウィアドについても十分に動く理由になり得ているからこれからは積極的に関わっていくつもり。】
……うふふ。愛(う)い方でござりまするな
( 着物の袖に隠れた手を口許に当て、微かに肩を揺らして吐息のような笑いを零す。律儀さだとか素直さだとか、率直にそんなものを君から感じ取れば、揶揄するでもなく本音からの感想を落として。そうして黒い羽根が君の手に渡るのを、細めた双眸でじぃと眺めるように観察して )
魔法陣、でござりまするか。流石は月魔の王、やはり一山いくらの獣たちとは格の違う事。――ウィアド、宿命の御子……成る程、得心でありまする
( 魔法や月魔に対しての深い造詣の片鱗を見せつつ、興味深そうに目を伏せて君の話に聞き入る。そうして挙がった一つの名前には、ぴくりと指先を反応させて短く吐息して。ともあれ君が名乗ってくれたのだから、こちらも礼を以ってそれに応えねば。わざと自分から自己紹介をしなかったとはおくびにも出さず、再度腹の前で手を揃えれば洗練された所作でしゃなりと頭を下げ )
リディア様、これは大変な御無礼を。わたくし、名をクレナイと申しまする。月魔や奇跡に関する探究解明を生業とする、一介の研究者でござりまする。昨夜――いえ。本日未明、過去に比肩するもののないほど凄まじい魔力濃度を感知し、調査のため馳せ参じた次第でありまする。
( 着物の袂から紅い和傘を取り出せば、折り畳み式の柄を伸ばして和風なパラソルに早変わり。それを近くにあった岩の傍の地面に突き刺し、岩をベンチに見立てればそっと手のひらを上に向けて君を招くように岩を示そう。女二人で立ち話も無粋と感じたゆえの行動で、もし君が座ってくれたのなら自身も隣へ腰を下ろそう )
被害状況として、トウィリト村は壊滅…生存者は多く見積もってたった2名。貴女様と、お連れの方でござりまする。恐らくウィアド様は、月魔の王に攫われたのでござりましょう。――不可解なのは、リディア様が命を奪われなかった理由でござりまするな。
【 うんうん、それを聞いて安心したし凄くワクワクが増したよ。いよいよ本編で初めて”月魔の王”というキーワードが出たし、本格的に物語が動き始めるね。それじゃあ一旦背後は下がるけど、また何かあれば遠慮なくいつでも声掛けてね。これから一緒に楽しんでいこう! 】
「あ、ありがとう、ございます…?」
( 響きを殺して笑う彼女の様子に首を傾げつつも、褒められたものには素直に礼を返す。更に続けられた"月魔の王"、それを心の中で呟くと掌の上の羽根へと目を落として。澄んだ紅の瞳と、様々な感情が入り混じった様なあの表情─思い出すだけで、しんしんとして、寂しいもの、痛むものが心臓を掴み取る。やり場のない感情から逃げる様に目を伏せた。 )
「クレナイさん、ですね。…そんなに凄いものだったんだ。そう言えば彩銀石も今までに見たことが無い程真っ赤でした。初めにすごく大きな音と空を裂きそうなほどの火柱が見えて、その後ここについたけど手遅れでした。…?」
( 無力感に小さく息を吐いて、そこで微かに違和感を覚える。先ほどの彼女の言葉、まるでウィアドの事を知っている様な口振りだった気がする。その事を指摘するタイミングを逃したまま、けんきゅうしゃ、と耳慣れぬ言葉を口の中で転がしながら、流れるような仕草で傘が立てかけられるさまに見惚れて、誘われるまま素直に腰を下ろすり隣に座った彼女の言葉に静かに耳を傾けながら次々と告げられる情報に追いつこうと一つ一つ言葉を選びながら紡いでいった。 )
「…月魔の王はウィアドの事を始祖の僕と呼んでました。その始祖にすごく執着しているみたいで──ウィアドがいたから、後はどうでも良かったとか?」
( と、そこで自分が生きている事が不思議だというクレナイの言葉に緩りと首を傾げる。あのひとはどうにもウィアドの事を気にしていたからそれ以外はどうでも良かったのかと思っていたが、違うのだろうか。 )
【 背後会話が送れてなかった…!?と言うわけで今更だけど一応下げて投下しておくね。
いよいよ始まったって感じでこっちもドキドキしてる。たくさんこの世界観を堪能させてもらうつもりだから、改めてよろしく!同じく引っ込むけど何かあったら気軽に話しかけて貰えると嬉しいな 】
轟音…すなわち、いかずちでありましょうな。霹靂も火柱も、月魔の王の溢れ出る力の残り香のようなものでござりましょう。その魔力出力を鑑みれば、空を裂く天災ですら、月魔の王には呼吸と等しき挙動に過ぎませぬ。
( 謎の羽根へと視線を落とす、その憂いた表情を横目で盗み見て違和感を覚える。村を壊滅に導き、相棒を攫った・或いは殺害したバケモノに対して、順当に抱くような嫌悪や憤怒や恐れ――君の表情はそういったネガティブなものからはかけ離れているように見えて。その事にも内心興味を引かれつつ、綴られる情報から澱みない推論を自身のデータベースから列挙して。 )
始祖の、僕?……、ふふ、ふ。嗚呼、可笑しい。
( ふと一つのキーワードが、凪いだ湖面に一石を投じる。落ち着き払った態度や表情を崩すことのなかった和風の女は、着物の袂で口許を隠しながら一瞬だけ瞠目し、すぐに堪え切れず零れてしまったようなニュアンスで肩を揺らす。その後、落ち着かせるように息を吐けば「 はしたない真似を、申し訳ござりませぬ。忘れて下さいますれ。 」と、いつもの調子で微笑んで見せた。 )
どうでもよいのならば、一思いに消し去るのが道理でござりましょう。事実この惨状、村の住人は徹底的に殺戮されておりまする。もし、目的を以って月魔の王がウィアド様を攫ったのであれば…彼に近しい貴女様をわざと生かしておくのは、交渉材料としての見込みがあると考えた故かもしれませぬな。
( 懐から取り出したのは、武器とも日用品ともとれる渋い鉄扇。和傘の下で隣に座した君の香りを近くに感じながら、バサリと広げたそれでごく小ぶりな仕草で首筋を扇ぐ。それだけでもふわりと漂うのは金木犀にも似た控えめな甘い香り。そうして、得心のいかぬ様子で小首を傾げる君、その愛らしい顔を意味深な視線でじぃと見つめれば、パチンと鉄扇を閉じてその切っ先を静かに君の手中にある羽根へと向けて )
提案、でござりまする。その黒羽根、少しだけわたくしにお貸し下さりますれ。わたくしとて研究者の端くれ、自らの足で調査に出向いて発見したサンプルを、分析してみたいと疼くのも性でありまする。それに、リディア様?貴女様とて、その黒羽根に――否、月魔の王に”只ならぬ”ご興味をお持ちでござりましょう?そのサンプルから得られるデータ、欲しくはありませぬか?
( もし渡せば、返してもらえる保証はない。拒めばどうなるか、それは誰にも分らない。女の手で鈍く光るのは鉄扇、揺らぎないのは優しげな微笑。 )
【 あはは、わざわざありがとう。返事が遅れてごめんね、これからもこうしてレスペにムラが出ると思う。でもどんなに遅くなっても必ず返事するから、気軽に待っててくれると嬉しいな。 / 返信不要 】
「交渉材料…で、でも、ウィアドは本当に何も知らないはずです。叩いても蹴ってもあのひとが知りたい事は何も…埃とかしか出てこないと思います。三女神について調べるために旅に出るくらいだったし、始祖のことなんて。」
( 最初から用意されたものを読み上げていくように流麗に語れる内容に静かに聞き入る。今己が生きていることが奇跡だとしか思えないほどの圧倒的な力があのひとにはあること、それに対して不思議と恐怖はない。分かっていた事が具体的に提示されたような感覚で、控えめに相槌を打っていた。─と、そこで僅かに落ちた沈黙に少し訝しげに隣を見た。さざ波一つ立たぬように振る舞っていた彼女が何かに意識を取られた、かと思えば嫋やかな仕草で隠しながらも笑いだした事にぱちぱちと目を瞬かせる。そんなにおかしなことを言ってしまったのか。そう若干蒼褪めたものの、気にするなと言われれば素直にうなずきを返して。"交渉材料"という無機質な言葉を噛み砕くようにして呟いてから、心底困った表情を浮かべてクレナイの方に視線を向ける。彼女に言ってもどうにもならないことは承知しているが、故意に隠していた事が無ければウィアドは始祖とやらの存在すら知らない筈。基本は落ち着いている彼ならばまだしも、あのひとに会ってからどうにも様子がおかしかった彼が今どうなっているのか。そのことに対しての不安が今更ながらでてきた。 )
「羽根を…」
( 彼女の頼みに対する躊躇、加えて悟られていた事に対する驚きから口を閉じる。微笑みの仮面の裏にあるかもしれない思惑、その存在には気づかず。ふわりと香る花のような匂いに酔いそうになりながら、考える。驚いてしまったが、隠そうともしていなかったのだからあのひとを気にしていることが分かるのは当然。ただ、自分とクレナイのあのひとに対する"興味"の形にはズレがある。己が知りたいのはあのひと自身であり、構成するデータに対する興味は二の次。それ故渡すメリットが必須事項ではないな、と言うのが一つ。…しかしながら、そもそもあのままであれば手に入れていたのは彼女であったのに貸すのを断るというのは良心が咎めるし、あのひとの事以外でも情報を持っているのは彼女の方で─など、暫く考えてから結論を出すとクレナイの方へと改めて向き直る。小さく息を吸ってから口を開いた。 )
「お貸しするのは大丈夫です。私に断る理由はありません。…その代わりと言えるかは分からないけど、一つお願いがあるんです。──貴女が言っていた宿命の御子、それについて教えてほしいんです。貴女はウィアドの名前を聞いてそう呼んだ。ウィアドすら知らない彼の事を、知っているんじゃないですか?」
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