さすらいの旅人さん 2020-05-07 02:09:35 |
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「うふふ、
えぇ、そんなところかしら」
彼の言葉ににっこりと笑みを浮かべながらそう答える。それが冗談なのか真なのかは曖昧なところだが、続けてミルをみてどこか懐かしそうに目を細める。
手を止めることなく注湯を行い、珈琲の香りが更に店内へと広がっていく。
「あら、その魅力のおかげで若返ってくれたら嬉しいのですけど。
……リア、ですか。
…とても素敵です!嬉しいですわ!」
またも冗談混じりに笑うと、愛称で呼ばれ顔を上げて嬉しそうに声を弾ませる。
ありがとうございます と微笑みながら、珈琲に角砂糖とミルクの添えられた白陶器のカップと小皿を静かにお出しする。最後に羽の飾りを模した金色のティースプーンも添え、再びうふふと微笑む。
「お待たせ致しました。
お口に合うといいのですが」
俺からすればリアはまだまだそれでも若い方だと思うが…と、レディを相手にあんまり年齢の話しを引っ張るのもナンセンスというものだね
(見た目は自分よりは若く見える彼女が言うには少しだけ違和感のあるセリフに思わずそうツッコンでしまったが、不思議と独特な雰囲気を持つ彼女ならば何か特殊な事情を抱えていたとしても何ら不思議なことではないなと思いつつも、必要以上に詮索するのはやめておこうとそこで言葉を切って手元のコーヒーに視線を落とし「それにしても…ふむ、こいつはいい香りだ。それじゃあいただこう」まずは立ち上る湯気と共に香りを楽しんで、添えられたミルクや砂糖には目もくれずカップを手にしてコーヒーを一口含んでからソーサーへとカップを静かに戻して)
「東雲さんは気遣い上手ですわね。
東雲さんこそ.まだまだお若いでしょう」
照れますね。と笑った後にそう言うと、香りを楽しむ様子を和やかに見つめて、静かに話し始める。
「…珈琲は飲む人、作る人によって香りも味わいも変わるので面白いですよね。
こちらはコクが強めなシンプルな珈琲ですわ。
リピーターを増やすには、徐々に相手のことを知り相手の求める味へゆっくりと近づけていくのですよ」
使い終わった器具をこれまた慣れた手つきで片付けながら、悪戯っぽく微笑んでそう言うと、自分も何か飲みたくなったのか手作りらしい茶葉を瓶の中からつまみ出し、ティーポットへ
はは、気遣い上手はお互い様だろう。とはいえ、だ…俺ぐらいになると面倒なもので若いという言葉も両手離しでは喜べなくなる、貫禄があると思われたかったり舐められたくないなんて思うようになったりもするのさ、その辺は男性と女性で感性が異なる部分かもしれんがね
(くく、と小さく喉を鳴らして笑い、すっかり短くなったタバコを灰皿におしつけては再びコーヒーカップを持ち傾けて。彼女なりのコーヒーについての考えに耳を傾け、なるほど客との対話を重視する彼女らしい意見だと相槌をうち「ほう、それならば遠慮なく味について批評させてもらうとしようか。また次にこの店に来るときの為にね」すっかりこの店の雰囲気が気に入り、何より彼女との対話が心地よく、必ずまた来るという意思を伝えるようにそう言って不敵に笑い)
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