左翔太郎 2020-04-13 07:59:31 |
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…ありがとう(覗き見とは悪趣味だが仕方ないと腹を括りそっと門を開け中に忍び込めば物思いに耽った様子で庭を散歩する若菜の姿が見えてラジオ番組での元気な姿とは違った雰囲気にどうしたものかと心配になるが自分には何もする事ができず直ぐにその場を立ち去り「帰ろう」一言声を掛けてから園咲家をあとにして、肩に乗った重みがなんとも愛しくて愛弟子を取られたと思えば自分が名付けた少年に嫉妬してしまいそうにもなり『俺の前で強がるな。無理してる事くらい分かる』だからといって無理強いせず気持ちをぶつけないのが弟子らしく二人が上手くいくようにと願って『…幸せになる呪いだ』柔らかい髪を手で避けて額にキスして)
(珍しいフィリップからのお礼にファングは内心驚くが『…いえ、お礼はいりませんよ』と護衛として当然の事だと答え若菜を見た後に帰ると言葉を聞けば『…はい、承知しました』と一言だけ返事を返し事務所への帰りの道中は事務所に着くまで何も喋らずにいて、どうやら師匠には自分の事はお見通しらしいと分かればとても悲しげな苦笑いを浮かべ「…おやっさんの前じゃ、ちょっとの嘘も、つけねえや…」と自分の事を理解してくれている師匠に対し嬉しさと申し訳なささの両方の気持ちが浮かびその後に額にキスをされ驚いて頬が赤らんでいた所に次に言われた言葉に次第に目の前が滲んでいき次第に涙は溢れて頬を伝って間近に居る師匠の膝を濡らしてしまい「…おやっさん…俺には、幸せになる資格…ないのかも、しれねえ…。父さんと母さんは…俺を庇って、目の前で死んでしまって……目の前で死にかけてる、おやっさんを…助けることも、出来なくて……フィリップも、ちゃんと、守れなくて……」とポツリポツリと涙声のままずっも隠していた気持ちを目の前の壮吉に告白していき「…そんな、俺が……未来からの気持ちとは、いえ…フィリップを恋心で好き、なんて……やっぱり、許されねえのか、な…おやっさん……」と何も守れなかった自分が相棒に未来からとはいえ恋心を抱くなんて許されないのだろうかと涙声のまま呟くように言葉にして)
(足元を見たまま事務所までとぼとぼ辿り着きドアを開けようとドアノブに手を掛けたところで止まり今入って良いものか迷い事務所には入らず屋上に向かうとして、苦笑いする弟子の頭をわしゃわしゃ撫で回し『当たり前だ。俺を誰だと思ってる』常に側に居てやれない申し訳なさを感じ目を伏せて『…なぁ、翔太郎。周りの人の分までお前が幸せになってもいい。何も責任感じる必用はないし、お前にだって幸せにになる権利はある』優しく諭し背中を擦り泣きたい時は泣くべきだと静かに聞き『許されるとか許されないとかじゃない。男の恋心ってのは誰にも止められないもんだぜ』今はまだ辛い片想いかもしれないが未来で起きた奇跡はきっとまた起こるはずと信じて胸元から取り出したハンカチを手渡し)
(事務所までの帰り道フィリップの頭の上に乗っていたファングはフィリップが事務所には入らず屋上に向かっていったのに気付けば少しして到着した事務所の屋上の柵に降りて綺麗な星と月を見詰め『…どうかあの方の願いを叶えてください…』ととても小さな声で此方の奥底にある願いを叶えてほしいと小さな声で呟いて星と月に祈り、撫でられながら言われた言葉に小さく微笑み『…俺のお師匠さん、だぜ」と自分の尊敬する師匠だと言葉にして涙を流しながらも師匠の言葉を聞けば「…俺なんなが、幸せになって、いいのかな…よく、わからねえけど……」とこんな自分が幸せになっていいのかはよくわからないと小さな声で呟いて差し出されたハンカチをそっと受け取っては胸元で握り「…そうなのか、な…おやっさん…。俺は…別に幸せになれなくてもいい…でも、フィリップには、必ず幸せに、なってほしい……アイツは…きっとこれから、色んな辛い選択を…迫られる、から…」と自分は別に構わないが相棒には幸せになってほしいのだと俯いて自分の本音を口にして)
(屋上に上がり夜空を見上げれば今日も星が綺麗に輝いており相棒は亡き師匠との再会を果たしているが相棒のように家族や師匠といった失った記憶があるのと自分のように記憶がないのとでは果たしてどちらがより不幸だろうとか考えぼんやり夜空を眺め、師匠だと答えた弟子の額を指で軽く突っついて『正解。お前がグレた高校生の頃から知ってるんだ。嘘なんか通用しない』全てお見通しだと改めて伝えて『お前はなんでそういう思考なんだ。こんな自分がなんて考え方は捨てちまうんだな』自分の幸せは二の次との考え方が変わらない限り自分が幸せになっていいのかと悩むに違いなく『お前が泣いたままじゃ俺は帰るに帰れない。フィリップだけじゃなく翔太郎、お前も幸せになれ。これは命令だ』握ったハンカチを取り上げ頬を伝う涙を拭い胸元にトンと人差し指あてて自分の幸せも考えろと半ば強制的な言い回しして)
(同じように空を見詰めながら護衛として作られたメモリゆえに人の気持ちを察する力は強く『…フィリップ様は翔太郎様が不幸に見えるんですか?』と普段と変わらない声色でそう呟くように問い掛けてみて、全てお見通しだと言うように改めて言われては苦笑いを溢し「…あはは…。おやっさんには、かなわねえな」と最後は小さく笑って師匠にはかなわないと改めて思いつつそう口にしその後に言われた言葉には苦笑いを浮かべて首を傾げ「んー……何でなんだろ、な?自分でもよくわからねえんだ。……」と言うも最後の言葉には僅かに俯きハンカチを取り返されたかと思えば涙を拭われつつ胸元に指を当てられ命令だと言われては逆らえず「…わかったよ、おやっさん…。努力してみる。……でもな、おやっさん、もしアイツが別の幸せを自分で見付けたなら、俺はそれを出来るだけ後押ししてやりてえし、この気持ちは捨てるつもりでいるんだ」と小さく笑って努力すると師匠に約束して笑みの中に決意を秘めた表情で相棒が自分の幸せを自分で見付けたならそれを後押ししてあげたいし、この気持ちを捨てるつもりだと師匠の片手を握って伝えて)
(何を考えるでもなく月夜を眺めていれば自分にとっては難しい質問をされ「…僕は、人の感情は良く分からない」とだけ先ず答えてから右手を見つめて考え込み「でも、僕と一緒に居ると不幸になるなら僕は消える。勿論逆も然り、僕が居なきゃ不幸と言うなら何があっても離れない」ある種の覚悟のような力強く答えて、かつての相棒に蜘蛛の刻印をつけられ愛する娘に会わない事で彼女を守った身としては弟子の言い分は痛い程理解できて『お前の意思は伝わった。見ない間にすっかり男になったな、翔太郎』握られた手にもう片方の手を添え両手で包み込んで『お前にならこの事務所を任せても心配ないな』いつの間にやら成長した弟子にすっかり安心すれば元の場所へと戻るべき時が近付いていると察し手を離し静かに立ち上がり)
(綺麗な夜空を見詰めながら静かにフィリップの解答を聞けばそっと目を閉じ『…何があっても離れない…ですか…。貴方方は"二人で一人"…それが私の知る限りの翔太郎様の答えです』と静かな声で呟くように言葉にしてはフィリップに顔を向け『フィリップ様。これは貴方の為とこれからを思っての忠告です。"人の感情はよくわからない"なんてただの言い訳にしかならない事もあるという事を、お忘れなく』と先程と同じように静かだが真剣な声で彼の為を思っての忠告を伝えては一度頭を下げて柵をジャンプして降りて彼を残し屋上を後にして事務所へと向かい、安心した様子の師匠に小さく笑みを浮かべては師匠が立ち上がり時間が来たのだと察しては同じようにゆっくりとソファかは立ち「…ありがとう、おやっさん。おやっさんと話せて、何か気持ちが軽くなった気がした」と明るく微笑んで改めて自分の尊敬する師匠にお礼を伝えてはペコリと頭を下げて)
二人で一人なんて事、勿論よく分かってる(悪魔と相乗りしてくれた大切な相棒と二人で一人である事は当事者である自分の方が良く知ってると頷くが「言い訳だなんてどういう…待ちたまえ…!」忠告と言われたとて理解に苦しむ内容の言葉を残され姿を消されどうすれば解決できるか直ぐには分からないが向き合ってみるべきと小さく溜め息ついて事務所へ戻る階段を下り、弟子が立ち上がったのを見れば礼は聞き流してガレージの隠し扉から白い帽子を取り被せて『…帽子の似合う男だ』半人前にまだ早いと怒った日は遠い昔らしくすっかり立派になった姿をもう一度見てから背中を向け片手を軽く挙げて扉に手をかけ)
(師匠からあの白い帽子を被せられては一瞬キョトンとなるが次に言われた言葉には小さな笑みを見せてそっと頭に乗っている白い帽子に触れ背を向けて片手を上げ去っていく師匠の背を見詰めては「…さようなら、おやっさん」と穏やかな声でさようならと師匠を見送り、少しして肩に何かが乗った事に気付き目を移せばファングの姿があり『…もう、大丈夫ですか?』と心配そうに聞いてくるので安心させるように相棒に見せる笑顔とはまた違う優しい穏やかな微笑みを浮かべては「ああ、大丈夫。決意はちゃんと固められた」と伝えればファングは安心したように笑うがふと真剣な顔になっては『…私が、私が翔太郎様の心を、お守りします』と口にし、いきなり言われた驚くが僅かに苦笑いを浮かべ「…ありがとうな、でも、無理するなよ?」とファングの頭を撫でて)
(屋上から事務所へ戻ろうとした時ちょうど中から出てきた荘吉と鉢合わせになり『翔太郎を頼む』と目深に被った帽子で表情は伺えなかったが真っ直ぐ此方に向かってきた手に頭を撫でられ相棒とはまた違った安心感を与えられ何か答えようと口を開きかけた時には既に荘吉は立ち去っており、入れ違うようにして事務所に戻れば先程のファングの質問が甦り「…翔太郎、君は今幸せかい?」人の良い相棒の事だから"お前が幸せなら"とか"街の人が"とか他人基準の答えが来る気もするが思いきってストレートに問い掛け正面に立ってじいと真剣な視線を送り)
(師匠の荘吉と入れ違いで帰ってきた相棒にお帰りと声をかけるが正面に回ってきたかと思えば真剣な眼差しでストレートに問い掛けられた言葉にキョトンとなり肩に居たファングと顔を見合わせるが天井に目線を向けて少し考えた後荘吉の言葉が甦り数秒して相棒に視線を戻しては「んー……どうなんだろうな、よくわからねえんだ」と困ったような笑顔でそう言うが直ぐに明るい微笑みに戻っては「でも、強いて言うならお前の側に居て支えられることが、俺の幸せ、なんだと思う」と口にしては相棒の横を歩き擦れ違いに相棒の頭を優しく撫でてファングと共に自室へと足を進めて)
(ただいまも言わずいきなりぶつけた質問の答えは曖昧で首を傾げたが直ぐに続いた言葉に瞬きして「僕の側で支えること…」人の幸せはそれぞれと言うがそんなので本当に良いのかと繰り返し口にして部屋へ戻って行くのを黙って見送ってはガレージへ向かい次の依頼は何かと考えながらソファに腰掛けなんだか最近モヤモヤしてばかりいてこの晴れない気持ちは何処から来たのかとか色々悩んで普段のように暇潰しの検索をする気分にもならず横に向いてソファに寝転がり)
(肩に居るファングと共に自室へと戻っては去る前の師匠に被せてもらった真っ白な帽子をサイドテーブルへと置いて数秒沈黙した後「…何か眠いな…」と呟くように口にして眠気のある目を擦りそれを聞いたファングには『え?もう、ですか?まだ夜の8時半ですが…』と心配そうにされるが小さく微笑み「大丈夫、最近何か眠くなること多いけど…まあ気にすることでもないと思うしな」と呟いたの同時にベッドへと横になった瞬間直ぐに眠りにつき、ファングはそんな此方を心配そうに見るが1つ頭を下げてはそっと部屋を後にしガレージへと入りソファに横向きで寝転がっているフィリップを見てはしの肘掛けに乗って彼を見下ろす形になり『フィリップ様、翔太郎様の事は好きですか?嫌いですか?』とただ直球に隙から嫌いかを普段と変わらない様子で小首を傾げて聞いてみて)
(ガレージのソファに寝転がり荘吉と相棒はどんな話をしていたのか気を効かせて外出したが気になってしまい本人に聞くわけにもいかずやはりモヤモヤすると身体全体を丸めてみればファングがきて「好きじゃなかったらとっくに出ていってるよ。でも君の事は嫌い」今度は何をまた訳の分からない質問をするのかと溜め息ついて好きがどこまでの好きを表すかは不明だが翔太郎と一緒なら楽しい事もあるし離れたくないしと即答しファングの事は自分を護衛する為のメモリとは言え好きになれず追い払うように手をしっしと動かして)
(フィリップの即答の返答を聞いたファングは恐竜の小さな機械の琥珀色の目を細めぼそっと『…フィリップ様の好きのベクトルと、翔太郎様の好きのベクトルは……恐らく交じり合う事はないんでしょうね…』と常々護衛する上で見ていたフィリップの様子から見ていた結果から判断した事柄を呟き嫌いと言われては困った顔をせざるおえず追い払うようにしっしとするその様子にただ『…はぁ……別に私は嫌われても構いませんが…』と一言呟き窓から月に目を移した時にふとあることを思い出しては何となくの様子から察しはつき『夕べ貴方は別に翔太郎様の事は何とも思わないと仰っていましたが…それなら荘吉様翔太郎様の会話をきにする必要はないと思いますよ?あのお二方は師弟なんですから』と再度機械の目を細めて何気なくそう口にしては『翔太郎様は寝ているので、起こさないようにしてあげてくださいね』と一言残して窓から月に照らされながら外へと姿を消し)
相棒として問題なく上手くいってる。それだけでいいじゃないか(何をわざわざ聞いてくる事があるのかと不機嫌な突っぱねる言い方して左右の呼吸を合わせなければメモリブレイクは出来ないのだから息は合ってるはずで「君はいちいち癇に障る物言いをするね。敵襲でもない限り僕の前に現れないでくれないかな」だから何だと聞き返したくなる発言が目立ち一人になりたくてガレージに来たのに全く目障りだと視線を向ける事なく姿を消したのを気配で察して漸く一人になれば事務所内はとにかく静かで調子が狂いそうになるがたまには良いかと何もせずじっとして暫く後に目を閉じて)
(それから少し時間が経って何かに呼ばれて居るような感覚がしてゆっくりと体を起こして部屋を見渡した後にベッドから降りては部屋を出て数秒足を止めてガレージを見た後にまた視線を前に戻し玄関を開けて事務所を出れば声に道かれるまま夜の風都の街を歩き暫くして辿り着いたのは園咲家の横にある隠れた森で、夜の森の中へと入ればあの千年樹がある開けた場所へと辿り着きそっと千年樹へと触れれば「お前が、呼んだのか?」と問い掛け少しして返答が来たので木の幹に額を当てて言葉を聞けば聞いて)
(ソファに寝転がったまま目を閉じていればいつの間にか眠ってしまっていたが久々に夢を見ずに眠りについており薄らと開けた目で時計を見て夜中の1時頃を指しており、最近ずっと脳裏に浮かんでいた次の依頼のビジョンもなくファングが変に絡んできたせいもあって疲れたし朝が来るまでこのまま眠っているのか起きているのか分からないままで良いかと横向きで自分の腕を枕にしてまた目を閉じて)
(千年樹からの言葉を聞けば幹から額を離して「え…?」と思わず驚いてしまうが復唱するように「…俺が、未来へ帰りたい…か……」ともう一度口にすれば千年樹は肯定の言葉を返してきて再度未来へ帰りたいかと聞かれるが僅かに顔を俯かせ、帰りたい気持ちは本物だろうと思うが果たして未来が変わっていないとも限らないし此方の自分が戻ってくるのかも正直わからず、優しい声で答えを求めてくる千年樹に顔を向けては幹に片手を当て「…ごめん、もう少しだけ、時間をくれねえか?」と頼めば千年樹は快く了承してくれて笑ってありがとうとお礼を言えばまた急に眠くなりそのまま千年樹の根の側で横になって眠りにつき)
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