司書 2020-03-22 13:34:22 |
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>レオナ
( 呆れたような溜め息も慣れてきた・・・それでも、憐れむような目をしないこの生徒に少なからず救われている己がいることにも気がついていた。痕がつかないような力加減で流れるように指先に添えられる穏やかな他人の温度に目を丸くする間も無く、その所作をつい目が追う。エメラルドに落ちる影も、街中だというのに周りの音が消えたような一瞬も、そんな所作とは裏腹に浮かべている生意気な表情さえも絵画のようで驚きと恥ずかしさと恐れ多さで鯉のように口をぱくぱくさせることしかできない。本当に悔しい──と一瞬だけ思ってしまった。己の見た目も立場も、この与えられた礼節に見合うものでは無いのだと思い知る。苦虫でも噛み潰したかのような表情を浮かべながら、取られた手の指先に少しだけ力を入れ。大人ぶったこの生徒に一泡吹かせてやりたいが、そんな宣戦布告すら子猫の戯れだと鼻で笑いそうな御人だ。そんな獅子の子を困らせるための行動なんて、一生懸命慣れない我儘を言うことくらい )
チョコレート!早く買いに連れて行ってください。あと動いたら喉が渇いたので紅茶も飲みたい。それから本も見に行って、ええと──
>ラギー
──ふ、あは
( じっと感情が落ち着くまで膝に顔を埋めているつもりがいつまで経っても嘲るような声が聞こえてこない。てっきり悪戯が成功したとあの生意気な顔を破顔させてゲラゲラ笑い転げるかと思っていたというのに、思ったより近くで気配がおずおずと揺れて困惑したようなセリフに顔を埋めたまままばたきをした。何かを考えるような間、それからこの生徒らしい泣き止ませ方に顔を上げて──困った生徒だと笑う。ゆるゆると首を振りながらその券は生徒の手に持たせたまま、ゆっくりと足が痛まないように立ち上がれば大きな耳には触れないよう気を付けつつ褒めるように生徒の頭に手を伸ばす )
泣いてませんよ──ただ、次はないと思うように。麓まで司書は中々行けません、が、そこのパン屋さんはいつか行ってみたいと思っていたので今度メロンパンでも買ってきて・・・あ、お代は払いますから
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