司書 2020-03-22 13:34:22 |
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>レオナ
──チョコも砂も、また今度。今日はケーキをいただきましょう
( たしかに、一国の王子でまだ若いこの生徒が幼い頃どれだけ自由に外に出られたのかは・・・想像するに、そうそう年頃の子供たちと同じようにとはいかなかったことだろう。かく言う己だって、こちらにやってくるまでは不自由なく外へ出れていたわけなのだから。言外に含まれた、まだ贅沢を言っても構わないのではないかという進言と、気遣いに少しだけ考えるように目を閉じて、それから示された首元に手を当てる・・・冷たくて、でも帰り道を示すもの。邪魔だけれど、砂にしてしまいたいのは山々だけれどまあ──多分賢いこの生徒は全部飲み込んだ上で提案してくれているのだ。その提案が嬉しかったのか、向けられたメニューに描かれたケーキが嬉しかったのか、嬉々とした声色でチョコレートケーキを指さしたなら、また今度なんて言葉に満足気に笑って。メニューは決まった、あとは強いていえばここまで骨を折ってくれた生徒に司書が少しは図書館にいる理由を伝えても・・・良いのだろうか。美味しいであろう紅茶を前に話すには不釣合いなことだから、と何でもないことのように窓の外に視線を向けて、テーブルに頬杖をつき深呼吸を一度、「司書と共に学園に居た方々は、司書を置いて大人になってしまったのだけれど」と小さな声で前置きをして )
周りが大人になっても司書には行き場もなかったから、長いこと学園の仕事を手伝って、本を読んで・・・その間に沢山の本が消されて──そういう本は大概悪い本だから消えていくわけだけれど。禁書だったり、禁術だったりして。でも、多くの人が忘れ去った、忘れ去るべきだった悪いことを全部司書は覚えている。キミのような有能な者に司書が、その内容を教えてしまったら──ね、そうならないように、司書はあそこにいるんだよ。司書はキミの言うように弱いから、痛みに負けて口にしない確証もないからね
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