執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>ゼズゥ(>1601)
……そうか。
(自分も、と。そう聞いて胸を擽った感情は嬉しさだろうか、それとも親しみだろうか。どちらにしても暖かく心地好かったそれが悪いものでは無い事だけを確信して、ふっと柔らかに相槌を打った。その後に続けて、「ハッ、厳しいな。」忠告の布を被った冗談に此方も軽口と肩を竦める仕草を。――己の問いに肯定を返して動き出す彼女の後に付き、「おう、またな。」一時のお別れに片手を振って、今宵より自室となった部屋の中へ。……ドアが閉じ、一人の時間。まずはソファに座って一息吐き出し、頭を背凭れに預けて窓向こうの月を仰ぎつつ、此処に来た瞬間から今までに詰め込まれた情報を、頭の内で解いて整える。「――随分面白いくたばり方すんだなあ、俺は。」事故も病も見た、飢えも獣に襲われるのも。逃れようの無いこの早世の運命に起きた突飛な奇跡に、そんな感嘆を零して。それから思い出すのは、つい先程まで顔を合わせていた怪物。気怠そうで憂うようで、しかし頼られる事を好ましいと言った、世話焼きの優しい蛇。「……まあ、悪かねえ。」彼女の瞳に灯った光と、“嬉しい”と告げた声を浮かべた目の前に、おまけと受け取ったリボンを纏う煙草と己が薬指を飾るシルバーリングを見詰めてそう笑い。「――さて。風呂入って飯食って寝るか!」暫し浸った感傷じみた静寂を破り、がばりと勢い良く身体を起こしてそう一人今夜の行動を決め立ち上がる。――いつでも剛毅豪快な虎は、異界と残酷な宿命に捕らわれたとて変わらない。まずは今生きる為の営みからと、普段と同じ大きな足取りでこの常夜を歩き始める。)
***
よう、そろそろこの辺が頃合いだろう。初日から外出歩けて、面白いモンも見れて中々楽しかったぜ。あんがとな。
互いの事すらまだ何も知らん俺達だ、この先予想もつかんくらいの長い道程が待ってるだろうが……まあ、気長に付き合ってくれよ、ゼズゥの嬢ちゃん。
さてと。名残惜しいがここらで交代の時間だな。次は狩人の坊主の出番で、随分前に宝箱で話した流れの通り【月夜の晩酌】といかせてもらいたい。…いやあ、もうちょいガキのまんまでいて楽しむのも悪かねえとも思ったんだけどな、早いとこアイツの酔っ払った所が見てえって坊主が言うからよ。酔ったついでにガキん時の事でも突っついて肴にしてやるといい……なんて、ハハッ、いや冗談さ。
ふむ、俺から伝えとくのはこんなもんかね。そっちから何も無けりゃ、晩酌向けの文を練ってくるが……どうだい、何かあるかい?
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