執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>ゼズゥ(>1595)
ああ、俺の故郷で“夢”を意味する言葉さ。
(彼女の好奇に頷きを返す。それからその名を改めて説明する表情には懐古と情愛の綻びが含まれて、面持ちは春の夕暮れのような柔らかなものに変化する。「…俺の一番好きな言葉だ。」そうもう一つ、案に出した理由を表情に違わぬ穏やかさで付け加えて話を綴じる。――問いに返されたのは二つの目的地。それこそがこの交渉事に対する是の答えであると直ぐに理解して、一度満足げに鼻を笑い鳴らした次、「オーケー、二日後だな。」己の音でも日時を繰り返して約束を確かに結んだ後、差し出された掌を覗き込んでみればこれまた望みの物。「ほう、」嬉々籠る感嘆の声を洩らして再び顔を上げた所に、ジョークを纏う微笑みと出会し、「……フ、ハハッ!そんじゃ、頑張って“お利口さん”しとかねえとな。」思わず声を溢した勢いのまま、今度は悪戯小僧の如くにんまりと口の端を弛めて、些かわざとらしい丁寧さでその単語を引用する事で契りを確と結び、リボンに彩られたそれらを受け取る。「いやあ、此処で初めて会ったのがアンタで良かった。」唐突に攫われた常夜の異界、目の前に現れた怪物。それでも臆するどころか、この状況において最上を選び取れたと沸き立つ喜色を、満面の笑顔と彼女へ向ける真っ直ぐな友愛混じりの安堵に示して。「さて。お互い目的のモンは手に出来たし、此処ともそろそろお暇の頃合いかね。」彼女は至高の煙を、己は次なる探険の約束を。交渉の成立を改めて言葉に変えて確かめた後、少々の名残惜しさに室内に一周視線を巡らせた終わりにまた彼女を視界に捉え、その是非を視線の先の瞳に窺う。)
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