執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>ゼズゥ(>1593)
王様ねえ……フハッ、柄じゃあねえなあ。
(“王様”と此方が聞いて思い付くのは、豪奢で堅苦しい服を着て玉座に凭れ、兵と側近を侍らせながら統治や政に勤しむ格好。一月とじっとしていられぬ性分の己に重ねて想像した冠姿があまりに似合わず、思わず噴き出した声の余韻のまま肩を震わせ呟く。――彼女の仕草と一言が何よりの答え。言う通りの至高であると解れば、自身も満足に胸を張って目を細める。「そりゃあ勿論、その為に拵えたモンだからな。」言葉を受けてまず先に量産の許可に対する応答を拍子良く告げて、その次に命名について頭を巡らせる。「さて、名前か……ハナシュ、コルンフォリー、ヒラール……んー…」胸元で腕を組んで零す候補はどれも己が生まれ故郷の言葉。各々眼前の彼女の姿、その瞳の色、想い出の月と連想を繋げて尚今一つ填まる形が見付からず、首まで捻って唸ったその後、「……フルム、はどうだ?覚え易くて呼び易い。」それは眠りの淵に会う追想、或いは現を惑わす幻想、或いは成就を願う理想――つまりは“夢”の意を持つ名前を、何とも単純な理由を添えて案に放る。それから改まって問われた事柄に、目の前の楽しさから交渉事に意識が戻り、「ああ、そういやそういう話だったな。いやあ忘れてた忘れてた。」からっとそう一声笑い上げた次に食指を立てて、「第一は屋敷探険の同行者が欲しい。これは後日、いつでも構わんが……まあ、死なねえ内に来てもらえると助かるな。」彼女と交渉をする切っ掛けとなった当初の目的をもう一度簡潔に、この屋敷では冗談にもならない軽口を添えて置く。続けて、「あとは俺にも吸える煙草かねえ……こっちは“お代に色を付けてもいい”と嬢ちゃんが思えたら、だな。アンタの裁量に任せるよ。」おまけのついでの嗜好品。それを二本目に立てた中指に示しながら、しかしそこは彼女次第と直ぐに引っ込める。「そんで、ゼズゥ。アンタはどこまでなら俺の希望を叶えられる?」提示された対価には最善を払えた。彼女を見据えるアンバーと伸ばされた背筋に堂々顕れるその自信のまま、此方からも交渉の結果を質し待つ。)
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