執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レンブラント(>1561)
……雛鳥に似た誰かであれば、可能性はあるかもしれないね。
(とくとくと温かに脈打つ喉へ滑っていく指と、其処に備わる鋭い爪。命を遊ばれるようなその仕草の好きにさせ、己は彼の頬に当てた掌でゆったりと冷たい肌を撫でる。世間話の軽やかさと薄氷を辿る危うさを併せた会話は、首元から届いた硬い音に一度途切れる。「それは、」それから転がり落ちた声には緊張の糸が密かに縫われ、次にまた問いを積みかけたその眼前に現れたのは彼の掌上で囀り尾羽を揺らす白鷺。愉楽の混ざる言葉と共に畳まれていく指の内、その白鷺の悲鳴と雛鳥が己を呼ぶ声が重なって――咄嗟だった。彼の力に自身が敵う事は無いと解っていて、潰れる前に拳が緩められたのも見えていて、それでも気付けばその小さなものを庇うように彼の五指と白鷺の間に自らの手を隔てていた。「――…君はとても、上手なお人だね。」今の数秒、止めてしまっていた息を少しずつ取り込み、感情を抑え付けた静かな音色をまず一節。続けて、「いいよ。それならば僕は、僕の持ち得る全霊を以て“その時”まで生き延びてみせよう。だから、」芯を持って朗々並べ立てるは彼への宣誓、振り返り浮かべるは貴族の優雅たる笑み。……あの一瞬の間、恐れに粟立った背の震えも、跳ね上がった心臓の音も、今もまだ逸ったままの拍動も全て伝わっているだろう。それでも、「君も、僕の愛しい雛鳥達への約束を違えないように。」何もかも圧倒的な相手を前に、怖じ気を圧し潰し隠して高潔に見せる“強がり”を、微笑む眼差しに凛と宿して。彼が己を抱擁した際の、“もしも”の言葉を引き合いの契りと告げる。「…白鷺の彼に、誓っておくれ。」その最後、ふっと移した視線の先。彼の掌でふわふわ膨らむ羽を繕うその鳥を通し、今も遠い向こうで何も知らず生きる己が弟に馳せる慈しみを細めた瞳と柔い声に湛えながらも、己と同じ誓言を彼に確と求める。)
>グルース(>>1563)
……おおきに、
(取り乱すか或いは激昂するか、並の人間であれば大きく揺さぶられた感情に引っ張られて態度や行動にそれが発現してしまってもおかしくない自らの試しにも似た戯れに、期待に反さず彼は気丈を保ってみせた。無論それが虚勢だと見抜けないほど優しく無神経な怪物ではない、だからこそ自身の目には大きく跳ね上がるような鼓動も背筋の震えるような恐れも綯い交ぜに強さを圧し出す様子は大変可愛らしく好ましく映るもので。皮肉と取れる賛辞に三日月のように口角を吊り上げ背後にて小さく礼を、間髪入れずに「 君はめっちゃ魅力的な子や 」応酬を一往復だけ返すようにこちらからは心からの感想を。魔力でネジを巻いた分だけ動くに過ぎない錻力の玩具なのにやはり効果覿面だったらしい白鷺を取り囲むように、掌には黒い鳥籠が形成されていき「 勿論。悪魔は嘘吐くけど契約は守る――そういうもんや 」急に袋小路へ追い詰められ狼狽するようにきょろきょろと細い首を巡らせる自律人形に我ながら良いリアクションだと内心で微笑みながら、気を付けなければ一晩で失くしてしまいそうな小さな黒い鍵をそっと彼に差し出して。約束の夜、それと引き換えに白鷺は空へ解き放たれるのだと、そう示唆しながらぬるりと彼から離れるように姿を消しては瞬きのうちに眼前へ現れ胸に手を当て浅く礼を「 この白鷺は俺のモン。やから俺が誓うのは君自身にや、グルース 」それが未だ黒薔薇の目に留まらぬ本当の次男を指すのかそれともただ自分で作り上げた人形そのものを指すのか、煙に巻くように薄く微笑し腰を屈めてじぃっと彼の目を見つめて。もし彼が鍵を受け取ってくれたのならばその時点で契約は成立、ああ面白い愉しみが出来たと上機嫌に悪魔は微笑みを深め「 俺も作戦考えんとな。臍曲げた弟とどないして仲直りするか…どう転ぶか楽しみにしといてなあ 」サラサラと微かな音と共に足元から魔力の粒子となり掻き消えてゆく、特段呼び止められなければこのまま最後まで蛇のような笑みを残して幻の如く消え去るだろう)
>レンブラント(>1564)
……それはどうも。
(彼の賛辞に、形のみの礼言を。それから彼の五指を塞ぐように白鷺と隔てた其処からも、震えが見付からぬ内にそっと手を離せば、掌のそれは何処からと無く組み上がった鳥籠に閉じ込められる。変化に戸惑う様子を見せるその子に“ごめんね”と、音無き唇で胸中の罪悪を詫びた後、次に眼前へ現れたのは黒い鍵。差し出された小さな小さなそれを、下から掬うようにして手の中へそっと収める。視線をそちらに取られた隙にまた失せた背後の気配は、瞬きと共に上げた視界の内に。此方を覗いて細まる琥珀を、臆さず逸らさず、真っ直ぐに見詰め返して微笑んで、「…ああ。君の行く先に幸あらん事を。」少しばかり強気な振りを。声色ばかりは穏やかに、消え行く彼へ祝福を贈って――静寂の帰ってきた室内。踏み締めていた足を緩めて座るベッドの縁で、落とした目線の先にあるのは契約の証。今頃になって押さえ付けた怯えが微かに揺らすそれをぎゅっと握り込み、その上へもう一方の手を重ねて、「――大丈夫、大丈夫。」胸に抱いて背を丸め、身ごと包んで温める言葉を溢す。「僕が守ってあげるから、君は何も知らずに、安心して眠っておいで。」泣く子をあやすように手の甲越しに鍵を撫で、此処から届く筈も無い安堵の情を、それでも淡く甘い音に乗せて。「エグレット――僕の可愛い白鷺、大事な家族。…君を愛しているよ。だから、」名を呼んだ彼へ紡ぐようで、自分を確かめるようでもあるその羽毛の愛の中、「……どうか“君まで”、消えてしまわないで。」“二度目”を恐れて悲痛に絞り落とされた、切実なおまじないと祈りを。……俯ききった顔は誰も窺えない、誰にも窺わせない。弱る姿を隠す小鳥の如く、吐息さえ潜めてベッドの陰にじっと蹲った後。ふと息を深く吸い込み、すっと窓の向こうを見上げた顔に怯えは浮かべず、ただ毅然とした笑みを湛えて、「……見ていておくれ、」凛と背を伸ばし立ち上がる姿は、目一杯に翼を広げ、気高く空へ飛び立つ鶴そのもの。「ねえ、――――。」その先に続けた名は、かの悪魔か白鷺か、それとも――知るは鶴に光を注ぐ窓辺の月ばかり。)
***
今宵も良い一時を過ごせた事に感謝を、サー・レンブラント。君は駆け引きの上手なお人だね、僕では敵いようが無い。……でも、愛しい雛鳥達のお話が出来て楽しかったよ、有り難う。
さて、それでは次は宝箱で紹介させてもらった虎の方の手番……と言いたい所だけれど、その前に少し相談かな。彼、まだ指名を決めきれていないようだから。
今、彼が候補として考えている怪物様はお三方。レディ・ゼズゥとサー・キルステン、それからサー・アッシュ。僕から見る限りどの方とも相性の不安は無いのだけれど、だからこそ迷ってしまってね。君達怪物様方から見て、このお三方の内と誰が良いのか尋ねたい、もしくは彼らと彼女以外でも気の合いそうな御仁が居たのならそちらの紹介を願いたい、というのが相談事の要点さ。……候補はあくまで候補で、正直どの方も魅力的だから、君達の思うままの答えをおくれ。
では、僕は一度休息を取るから、この先は虎の方にお任せしようか。……ふふ。またね、サー・レンブラント。約束の夜まで息災を祈っているよ。
>グルース(>>1565)
回収おおきになァ、俺の方こそ君の反応が可愛ゆうて楽しませてもろたわ。また遊ぼなあ。
次は早速虎の彼に会わせてもらえるんやね、相手に選ばれる怪物が羨ましなあ。そうやね、まず挙げてくれた候補は君の見立て通りこっちも何も不安ないわ。となると希望してくれとるルートと照らし合わせて誰がより適してるかやけど…秘密の共犯者の道はこンお屋敷とそれを支配する黒薔薇だけやのうて、おんなじように囚われた俺ら怪物全員を自分勝手な炎に巻き込ンで殺戮する修羅の道や。
キルステンは挙げてくれた中では一番精神が安定しとって、同じ境遇に苛まれる同胞の事もなんやかんや大事にしとる。せやから、かなり酷な道を歩ませる事になるやろなあ…まア漢気のある奴やから心中決め込んだら迷うことなく虎と並び立って突き進むやろけど。
ゼズゥは物分かりのいいツラしながら酒やら煙草やらナシやったら屋敷に囚われた運命を直視出来ひん危うい弱さを持っとる。こン屋敷と黒薔薇が憎うてしゃアないし、こっから解放されるならそれが死っちゅう極端な形であれ同胞にとっても救いになるんちゃうかて開き直れそうやね。現状に絶望しとっても自分の無力を理解しとるから動けん、そういう奴やからこそグイグイ手ぇ引っ張って道を切り拓いてくれる虎の彼ン姿はえっらい眩しゅう映るやろうね。
アッシュは自分を愛して認めてずっと傍にいてくれる存在を渇望しとるし、そんな特別が出来たンやったら何にも顧みることなくその存在の為だけに行動してどんな犠牲も厭わんやろうね。…厭えるアタマが無い、ちゅう表現の方が適切やけど。そういう意味では無垢で無邪気にいっちばん残酷な道をズカズカ無遠慮に驀進出来る奴や。喉から手が出るほど欲しかった特別な人間にこの屋敷から出たい、言われたら後先考えんと自分から「だったら屋敷を燃やしちまおうぜ」なンて言い出すかもしれんなあ。
挙げてくれた三人以外やったら、ジョネルやギレルモなんかもアッシュに近い属性で適性があるかもしれんね。どうやろ、こン情報でお相手絞れそうやろか。
ああまたなぁ、グルース。長生きしてや。
【 黒薔薇屋敷の扉は開かれており、演者様を歓迎します 】
◆統一された世界観で、複数のキャラクターを気軽にCCしながら遊びたい
(基本的には各演者様にそれぞれの別の世界線があり人間同士の関わりを持つ事はありませんが、兄弟や姉妹等の設定であればCCしながら同じ世界線で遊ぶ事も可能です)
◆キャラメイクしたけれど満足に動かせず眠ったままのキャラクターの供養をしたい
◆亡国のお姫様、失地した忍者、古代のアマゾネス等々の一風変わったキャラメイクをしたい
――他にも、黒薔薇のお屋敷が演者様の楽しめる場となれれば幸いです
>レンブラント(>1566)
よぅし、こっからは鶴の坊主に代わって、俺の出番だな。っつう訳で、此方さんじゃあ初めまして、黒薔薇の怪物さん方。
しっかり丁寧に答えてくれてあんがとな、悪魔のアンタ。話聞いても迷っちまう所は正直多いが、そうさな…そんなら、ラミアの嬢ちゃんと道を歩ませてもらおうか。なぁに、過酷な茨道なんぞこちとら百も承知、何もかもぶっ飛ばす勢いで手を引っ張って走ってやるさ。
そんじゃ、前口上はこの辺にして、とっとと舞台に上がらせてもらうとしよう。アレコレ寄り道したり、何か問題が起きたりするかも知れねえが、まあ後の事はまた後で考えりゃ良い。
これから宜しく頼むぜ、怪物さん方よ。
***
指名:ゼズゥ様
希望ルート:秘密の共犯者ルート
名前:ナミル・アッシャムス(Namir Al-Shams)
性別:男性
年齢:46歳
職業:商人
性格:気っ風の良い豪快な人物、が第一印象。怒る事の無い余裕ある感情表現ははっきりと、言葉や態度は堂々としており、他者から扱き下ろされたとしても心一つ揺るがず笑い飛ばす自信家でもある。それを裏打ちするのは、興味を持った何事も完璧と成すまで修練を積み重ねる、粘り強く妥協の無い努力家の片鱗。『有言実行・即実行』の自銘の下、良いと思った事を直ぐ様行動に移す活発さ、自分から積極的に声を掛ける社交性の旺盛さの反面、一人きりの寂寥と退屈が苦手。それ故、一人にしておけば突拍子も無い行動に出る事もままある。
容姿:身長194センチ。幅広の骨格に筋肉が乗るがっしりとした体躯に高めの体温。黒色の髪は芯を持った固い毛質であり、一度癖が付くと直り難い為、ベリーショートに整えて額を出す形に前髪を分けている。髪と同色の眉は太めで真っ直ぐ、笑い皺の付いた切れ長のアンバーアイと相俟って、虎のような意志の強さを窺わせる。全体的に彫りが深く、やや厚い唇と浅黒の肌がエキゾチックな雰囲気を纏わせている。ゆったりとした黒の開襟シャツ、白のスラックスと至ってシンプルな格好だが、どちらも専用に仕立てられた質の良い一品。シルバーリングを左手の薬指に着用、生まれつき左側の肩と鎖骨の境界辺りに目玉のような二重丸形の赤痣がある。
備考:15歳で故郷を飛び出し、その身一つでやりたい物に片っ端から手を広げ、宝飾品から不動産まで幅広く商業を育てて財を築き上げた後、それらを子や部下に引き継がせ早々に隠居した元企業オーナー。事故や病など原因は様々ながら、親族とその伴侶全てが40代の内に終命する早世の家系であり、本人が看取った内では、両親、兄姉、弟、妻が40代の内に逝去している。多くの命の終わりに立ち会ったが故か、「いつ終わっても笑って逝ける、悔い無き人生を」としたい事を貫き通す方向に志を決め、思い立てば世界旅行やら登山やらと日々エネルギッシュに驀進している。とうに成人し独り立ちしてはいるが二人の子を持つ父親でもあり、少々荒っぽいものの年下の面倒見が良い。声は強い意志と同じく張りを有してよく通る、重ねた年の分渋みの滲むバリトン。一人称は俺、二人称はアンタ、または呼び捨て。年若い相手には嬢ちゃん、坊主などと呼ぶ事も。
ロルテスト:
(朝日が昇る少し前、熱い珈琲を片手にルーフバルコニーへ上がって紫煙を燻らせる。手摺に寄り掛かってまだ静かに眠る街を眺めていれば、遠くから顔を出す太陽がゆっくりと夜を赤く焼いていく。「おう、おはようさん。」些かの眩しさに目を細めながらも、その光へ親しげな挨拶を投げるいつもの日課の後。珈琲を啜る傍ら今日の空っぽな予定を何で埋めるか暫し思考を巡らせ、「あー……そういや、アイツ店出したっつってたな。」思い出したのは少し前の友人との会話。念願のカフェ経営を始めたと笑う若き彼の背を叩いて祝福した事が記憶に新しい。「…よし、朝飯がてら顔出すか。」そう決めるが早いか半分程吸い残した煙草を消して、準備に戻ろうと踵を返したその隣のテーブルに、真っ黒な何かが乗っているのが視界を掠めた。「……ん?」改めてよくよく見たそれは薔薇を象る封蝋であり、無論用途に適した便箋が共立って置かれていた。「ほう。今時シーリングなんて、凝った真似する手紙もあったもんだな。」思わず零れた感心する言葉はさておき、その唐突に現れた不審物を手にしてみれば紙も蝋も中々の上等品、誰かの宝物でも舞い込んできたのかと辺りを見回すが、探す素振りをする人影はどの窓にも道にも見えない。首を傾げてその黒薔薇と向き合っていると、いやに中身への興味が疼いて仕方無く、気付けばぱきりとその封を割っていた。中に書かれたその一文を目で辿り、「……迎え、ねえ。」楽しげに呟きを返す。これは己に当てた文言だと、根拠は無くともそう直感して、「カッカッカ!良いねえ、俺を選ぶたぁお目が高い!いつでも来い来い、歓迎するぞ。」大笑いしてひらり振った紙が風に浚われ、舞い上がっていくそれを見上げ――覚えていたのはそこまで。次に開いた目に飛び込んできたのは見慣れない天井、それと素っ気無いが豪奢な調度品。「……何だこりゃ。」起き抜けの嗄れ声で疑問を落として身体を起こし、室内を見回しつつ眠る直前の事を思い返す。そう、確か日課の後に妙な手紙を見付けて――「……ああ、“迎え”ってヤツか。」思い当たるのはそれくらいしか有らず、一人納得した次に、「これじゃあ“迎え”というより“誘拐”だな。」実際そうであるかもしれない可能性を一息に笑い飛ばす。……さて、少しばかり状況の情報を、と探索に立ち上がった瞬間に響いたノック音。それに思案を回したのは刹那にも満たない間、欲しいものが向こうからやってきたとばかりに口の端をにんまりと弛め、「あいよ、ちょいと待ってな。」あっさり返事をして大股にドアへ近付けば、これまた呆気なく簡単に其処を開いてノックの主を不敵な笑みにて出迎える。)
Image:※じゃろ様の「uomo」をお借りしました。
https://picrew.me/share?cd=cFnC7vbJ18
>キルステン( >1562 )
( 純粋なる興味からなる質問に真面目に思案してくれる辺り、彼が “ 良いヒト ” なのは疑いようもなく。部屋が動くなんて事のない元の世界であれば彼のアイデアも突飛だなんて感じる事は無いのだろうが、今いるのは摩訶不思議な屋敷。首を傾げ考える仕草を見せるも良い案なんて浮かんで来るはずもなく 「 仲良くなった誰かしらに連れて行ってもらう、っていうのが一番マトモそうだね 」 苦笑を浮かべて。彼の様子を見て察するに屋敷の廊下のような危険と隣り合わせと言うことは無いらしい。それが聞けて満足、とばかりに足元を彩るかのような色とりどりの宝石の中から目当てを探すべく一歩二歩とゆっくりとした足取りで歩き回っているも、呼び寄せるように手招きをされれば側にしゃがみ込み 「 ふふ、確かに 」 視界に捉えた石はダークエルフの外見を彷彿とさせるもので。すうと目を細めつつも、それに対して然程心が惹かれないのはもっと彼らしい宝石が、色があるだろうと考えているからか。隣ではしゃぐ様子にゆるりと口角を持ち上げて 「 ねえ、こっちはどう? 」 手招きをしつつ案内をするのは先程見かけたアレキサンドライトに似たそれの所 「 キルステンの好みのど真ん中からは外れるかも知れないけれど、石言葉も含めてぴったりだと思うんだよね 」 月光の差し込む洞窟内では紅いルビーのように見えるだろうが屋敷の中、少なからず人間に与えられている部屋の中で見たならば青緑色に見えるであろうそれ。傍に欠片が落ちている事に気が付けば、軽く袖口で宝石を拭ってから 「 騙されたと思って部屋の中でこれ見てみてよ 」 彼が手を差し出してくれたのならば、その手の中に宝石の欠片をコロンと転がすように入れるつもりで )
>ナミル(>>1568)
(物憂げな視線を落とす先は両手の内に収まるグラス。あと少しで飲み干せてしまう量まで減った透明の液体に目を伏せ、傍に控えるトカゲの使い魔は空っぽになったボトルの上にちょろちょろと登り心配そうに主人を見つめ「 …分かってる。今夜は一本って約束だもんね 」力なく微笑しグリーンを基調としたネイルに彩られた指先でつるつるとした使い魔の鱗をそっと撫でる。小さなトカゲは心地良さそうに目を細め、また主人の深酒を止められなかったら…という懸念が杞憂に終わった事に安堵するようにその場でくるりと一周してからぷきゅいと鳴いて「 この近くに新入り?……そう、また… 」またひとつ、理不尽に黒薔薇へ縛られる命が増えてしまった。陰る表情を引き摺ったままとぐろを巻いていた下半身をしゅるしゅると解いて立ち上がり、手慣れているというよりすっかり癖になってしまったという手つきでテーブルの上のシガレットケースから黒い煙草を一本取り出し咥えながら自室を後にし、向かうのは件の不運な新入りの部屋。あまり煙の出ない仕掛けをしているのか、僅かな紫煙をくゆらせながらノックの応答を待つ事数秒。怯えなど微塵も感じさせない、寧ろ微かな喜色さえ含むような声が扉の向こうから聞こえてくればきょとんと眉を上げ、その表情のまま想像だにしなかった剛毅な笑みと対面し「 ……こんばんわ。あんた、人間にしちゃデカいね 」些か抑揚に欠けるトーンで思ったままを告げながら相手の顔を見上げ「 新入りって聞いたよ。色々困ってるだろうから説明しに来た 」端的に訪問の用件を伝えれば答えを待つこともなく上げていた視線を真正面に戻し、明らかに人ならざる下半身を器用にくねらせその鱗をずるずると引き摺りながら彼の横をすり抜けるようにして室内へと進み、まだどの怪物の残り香もない部屋に一番乗りだと悟りながら特段それを嬉しいとも面倒とも感じることなく彼の方に顔を向けて「 …煙草、苦手だったらごめん 」言いつつ消す気は無いのか、灰が床へ落ちる代わりに微細な粒子となってハラハラと消えてゆく不思議なそれを咥えたままソファーの背凭れ部分に両腕を置くようにして体重を僅かに預け「 あたしゼズゥ。あんたは? 」自然と視線の先にある、不気味なほど巨大な銀色の満月を見据えながら問い掛けて)
>グレン(>>1569)
そういうコト。いいじゃない、アンタは他のコと違って頼む相手に事欠かないんだから
(この屋敷では風前の灯火に近い儚さをもつ命の炎、それが燃え尽きてしまう前に不思議なこの屋敷を探検したいと願う気持ちは理解できる。だがそれを易々と叶えられる獲物は決して多くない、彼のように特定の怪物から深い寵愛を受けるのならば話は別だが「 なあに? 」お気に入りの場所で煌めいているものに囲まれてすっかり上機嫌なのか、幾許か刺々しさが抜け丸みを帯びた声にて手招きに応じてカツカツとヒールを運び「 あら情熱的ね。嫌いじゃないわよ 」自身の顎に手を添えまじまじと見つめる紅は率直に綺麗だと感じるものの確かに選抜して自らの手元に持ち帰るほどのものではない。だからこそ光源が異なる場所でそれを見る機会もなく、どこか腑に落ちない様子のまま彼の意を汲んで片手を掌を上に向けて差し出し「 アンタ、石言葉なんていちいち覚えてンの?ロマンチストなのねえ 」指先でつまんだその欠片をあちこち透かして観察しながら、しかし変わる気配のない色合いに首を傾げてポケットへと仕舞い込み「 それじゃあ、ハイネにあげる石にも意味のあるもの選ぶワケ? 」ゆったりとしたテンポで洞窟を歩くヒールの音を響かせながら、自らも再度物色へと戻りながら語りかけて)
>ゼズゥ(>1570)
(己が文字通り頭抜けた体格である自負から、ドアを開きつつ下げる癖の付いた視線の先で、躑躅を彷彿とさせる濃色の瞳と搗ち合う。「おう、こんばんは。嬢ちゃんこそ随分イカした格好だな。」初めの挨拶に添えられたものを褒め言葉として受け取り、それに此方からも一言お返しをした後、「そりゃあまた、わざわざと有難い。」礼の一声と共に、入室の素振りを見せた彼女へ一歩退き、少し離れた所でやっとその全身に気付く。――作り物とは思えぬ動きをする蛇の胴と尾。それにタトゥーかと思えた肌の鱗も、照明や月光を反射して艶々と煌めいている。しかしながらそれらに呆気に取られたのは一瞬の話、今は情報収集と頭を切り替え、丁度彼女の真正面へと当たる位置まで己も移動する。それから詫びる彼女へ上げた片手をひらひら軽く振って、「いい、いい。気にすんな。俺も煙草はやるクチよ。」そう寛大に笑みながら、どっかりと傍の椅子に脚を開いて座る。「俺はナミル・アッシャムス。宜しくな、ゼズゥの嬢ちゃん。」続けて名乗りに応じて此方からも堂々あっさり答えを渡したその次、「さて、自己紹介も済んだ事だし、アンタの親切にちょいと甘えさせてもらおうか。」本題とばかりに話の道を開拓しつつ、人ならざる何かへ対して距離を縮めるように、膝の間で手を組み上体を彼女の側に傾ける。「そうだなあ…まず此処が何処で、何の目的で此処に俺を置いたのか、その辺りを訊かせてくれ。」一番初めの小手調べ、まるで交渉事でもするかの如くじっくりと彼女の瞳を見据えた問いの後、「なにぶん、誰ぞに拐われる理由に心当たりが多くてなあ。こればっかりは見当がつかん。」ジョークなのか本気なのか、少なくとも喋る当人は些事とからから笑って質問の補足をし、そのまま彼女の返答を待つべく一度言葉を締める。)
>ナミル(>>1572)
……嬢ちゃん?
(どこか気怠い気性をそのままに僅かに瞼を押し上げることで眠たげな双眸を軽く瞠ったのは明らかにヒトよりは数段長い時を歩んできた自負から来る違和感、しかし何の説明も受けないまま理不尽に囚われた彼にそんな事は知る由もないと理解しているためそれ以上の追及はせず「 この姿がイカしたカッコに見えるなら、あんたの感性は〝こっち側〟だね 」人を堕落させる悪しき存在、毒牙によって命を蹂躙し自身の体積より遥かに大きな獲物をも丸呑みする貪食の怪物。蛇という生物が人間界で忌避される側だと自覚があるうえに、事実ここへ攫われてきた人間たちも往々にしてこの鱗や異形の風体をおぞましいものを見る目で眺めるもの。ゆえにあっけらかんと告げられたポジティブな感想は世辞の類であると解釈し、ふたりの間を隔てる埋めようのない種族の差を示唆するようにじつと見つめなければ見逃すほど幽かに口角を上げて。「 そう、気の毒。ここじゃあんた達は煙草一本味わう事もままならないのに 」此処で人間に対して保証されるのは最低限の衣食住であり、嗜好品は自動で支給される対象には含まれない。もし酒と煙草に依存する自身が彼らの立場に置かれればと思うとぞわりと背中に冷たいものが奔り冷汗が滲んでしまう心地で「 ……あんた、あっちで悪い事してたの? 」豪快に笑う彼に好奇でも嫌悪でもない純粋な疑問を宿した目を向けるが、しかし彼の態度の通り善人も悪人もこの屋敷では些末な事。どこから話そうかと一度煙を吐いてから食指と中指で吸いかけの煙草を挟み「 あの月見てよ。あれだけであんたが昨日までいた世界とは全くの別物でしょ?ずっと夜だし、魔法やら怪物やらで溢れてる。此処は黒薔薇のお屋敷、有り体に言えばあんたの死に場所。 」視線だけで示すのは窓の先に鎮座する滑稽なほど巨大な満月。次いで異世界を証明する自身の尻尾の先で一度だけ床をぽふりと叩いて見せて、初対面だがずいぶん剛毅な人物に思える彼に回りくどい表現は無用と抑揚に欠けた調子で淡々と紡ぎ「 このお屋敷に住んでるのは怪物とその使い魔、それと攫われた人間たち。あんたは数十億の中から怪物の食事に選ばれたの 」そこまで言い終えてから、まるで息継ぎでもするように当然のような手つきで一口煙草を吸って。屋敷に住まう存在についての言及にひとつ言い洩らした種があると気付けば視線を斜め上に向け「 ああ…忘れてた。もうひとつ、腹ペコのケダモノも屋敷のあちこちを徘徊してる。言葉の通じる相手じゃないから、見つかれば人間はすぐ食べられちゃう。あんた達はあくまでもあたしらの為の食事、だからそんな勿体ない目には遭ってほしくない。…この部屋はもうあんたのものだよ、ナミル。だから気兼ねなく過ごせばいいし、生活に必要なものは使い魔が世話してくれる 」同じく黒薔薇に囚われた身としては何百と説明してきた当然の事柄、しかし今しがた拉致されたばかりの彼には荒唐無稽と唾棄されて然るべき内容。ゆえに「 質問は? 」と余計な悲壮感を醸すこともなく惜しみなく求められた情報は与えると意思表示をして彼に視線を向け)
>ゼズゥ(>1573)
(気怠そうな彼女の言葉の含みに異常事態である事は察しながら、動揺する様は微塵も無い。「いんや、別段何も。ちっとばかし好き勝手はしたが。」彼女が恐らく想像したような悪事には首を横に振り、しかし付け加えたそれが言葉通りの“ちょっと”ではない事は、不敵な悪戯顔で伝わるだろうか。――まず指し示された窓の大月に同じく視線を、次に揺れた蛇の尾にも瞳を。暈す真似をしない蓮っ葉な物言いで綴られる、妄誕出鱈目に思える話にも茶々や顰蹙一つ入れずに只黙って真剣と聞き入り。「……成る程なあ。」向けられる目と搗ち合ったのを切っ掛けに前のめりだった上体を背凭れへと移しつつ、五指で顎を擦ってまずその状況を飲み込む一声を打ち、思案するような数秒の沈黙の後。「――フハッ、ハッハッハ!」思わずといった具合に零れた息を呼び水に、顔を上げて呵々と笑い声を部屋に響かせ、「ああすまん、別にアンタの話を嗤った訳じゃあなくてな。」それから顎元の手をひらり彼女へ振って謝意を口にはするものの、それはどうにも未だ大笑の跡を引き摺った説得力に欠ける震え声。「いやあ、そろそろ俺もくたばる頃合いだとは思ってたが…そうかそうか、こりゃまた凄い奇跡に選ばれたもんだ。」その合間に気触れにも見える一連への説明とも、単なる独り言とも聞こえる言葉と、治まらない笑いにばしばしと膝を掌で叩く豪快な音を互いの間に置いてから少々。「おっとそうだ、質問だったな。……ちょいと失礼。」一つ息を吐いた折に問いを思い出し、首を捻る所作に続けて断りと共に椅子を立って、そのまま踏み出した足が向かうのはついさっき彼女が示した窓。其処から始めに空を、次に地を覗くようにじっくりと視線を動かして外を観察し、ほんの微か感嘆らしき声を落とした後に、その場から室内にも改めて目を巡らせる。「…ふむ、待たせた。」それが一通り済んだ所でまた椅子へと座り直し、「まず、此処が俺ら人間にとって死が隣り合う屋敷だってのは解った。この部屋に居りゃ比較的安全な事もな。その上で訊くが、」彼女の瞳を至極真摯に真っ直ぐ見詰め、己なりの解釈を告げる事で話を丸々飲み込む意を記す。だがその先には、「アンタらみてえな話の出来る怪物さん方と屋敷を歩くってのは可能か?…いやなに、折角知らん世界に来たんなら探検の一つでもしてみたいんだが、それが一人じゃ味気無えなと思ってよ。」危機感など無い――否、危険も承知で立ち向かう放胆な冒険心を、細めた琥珀の眼と吊り上がる口端に目映く宿して、それこそ無稽と評されかねない問いを堂々彼女へ投げ掛ける。)
>ナミル(>>1574)
確かに悪人には見えないね。……もうすぐ死にそうにも見えないけど
(この屋敷に攫われてきた人間は、その理由を明かされた時幼いほど泣き喚き老いるほど憤慨する傾向にあると感じていた。からこそ彼の静寂を打ち破る呵呵大笑には波紋の双眸を一度ぱち、と瞬かせ、豪快で活気に満ち溢れたように感じる眼前の獲物が自身の死期を示唆するような発言をしたことに違和感を覚えて小さく息を吐きながら見たままの感想を。窓から見える景色は果てしなく広がる黒い森と窓枠に這うように咲く黒薔薇と、人間だけでなく怪物をも矮小な命だと嘲笑うような無遠慮に巨大な月輪。それを眺める彼の魂胆を図れずただ黙して待ち、その間に吸い終わってしまった煙草の吸殻を指先で粒子のように消し去って、また彼と視線を合わせ「 無理。――って言っても、あんたなら独りで出て行っちゃいそうだね 」これまでの話を踏まえても恐れるどころか好奇に満ちたような目、それを真っすぐに見つめてしまえば何よりの説得力を感じて点々と鱗の這う両腕を組んで「 使い魔を経由すればあんたからでも怪物にコンタクト出来る。伝言なり手紙なり持たせたらいい 」ちらと視線だけで見遣るのはベッドの傍のデスクの上に備え付けらえた簡易なメモ用紙とペン一式。しゅるり、鱗同士の擦れあう音と共にまるでろくろ首のように伸びるのは蛇の肢体、腰から下を伸ばすことで立ち位置を変えることなく上身のみを彼に近づけ、グリーンのネイルに彩られた食指の先、その腹を彼の額にそっと押し当て「 話が通じるって言っても所詮あたしたちは怪物。それなりの役割を持って此処に居るから、食事の我儘に付き合うには何かしらの対価を求められるケースが大半と思っときな。中には無償で人間の世話焼きたがる変わり者もいるけど、当然引っ張りだこよ 」このまま指を当てていれば体温で火傷してしまいそうに錯覚して、言い終われば指と共に伸ばしていた体の部分をしゅるしゅると元のとぐろへ収納していき「 ラクシュエリとラザロ…それからキルステンもか 」五指を折りながら彼には馴染みのない名前を列挙、そうしてまた彼を見つめ「 ナミル、あんたは今言った三人の大好物。冒険のお供に選ぶのはやめといた方がいい 」彼からは死を忌避するような所感はないが、とはいえそれを歓迎し早死したがっているようにも思えない。余計なお世話と半ば分からぬ無意識のまま、熱を感じる指先をふうと吹いて)
>ゼズゥ(>1575)
おう、倅やダチにもよく言われたな。“あと二百年は生きそう”だとかよ。
(彼女からの言葉にまたにっかりと口を緩め、親しいものとの軽口のやり取りを再現しては笑う声を噴き。己の問いに素気無い返答、しかしそれでも思案してくれている姿へ、「まあな。じっとしてんのは苦手な性分さ。」更にもう一つ意志を裏打ちする質を補足して。続けて彼女の視線を追って筆記用具を認識し、再び戻した視界の真ん前には濃色の瞳と細い指。「…成る程。なあに任せておけ、交渉事は得意な方よ。こちとら、それで食い扶持稼いだ人間なもんでな。」冷たい温度が伝わる額はそのまま、互いの立場をより明確にされる助言にも臆さず胸を張り、今までの経験に支えられた自信を全面に威勢良く言葉を返す。それから退いていった彼女の口からは、それだけでは人物の想像が付かない名の羅列。「ラクシュエリ、ラザロ、キルステン……解った。忠告あんがとよ。」それらを己の口でもなぞる事で確かに記憶へ貼り付けた後で、姿勢はまた彼女の方へと前のめりに。「そんじゃあ嬢ちゃん。――いや、ゼズゥ。」切り替えの一呼吸と瞬きの次、先程までの豪快な笑いを潜めつつも、余裕あるどっしりとした態度は崩さぬまま、茶化す真似をしない真剣な声で彼女を呼んで、「アンタなら、どんな対価がありゃ付き合ってやってもいいと思える?」一歩一歩ゆっくりと獲物との距離を縮めていく虎が如く、油断も不敬も無く確と瞳に彼女を捉えながら、話の参考とも交渉の開始とも取れる一声を立てる。)
>ナミル(>>1576)
…………、
(倅、と。その単語に反応するように華奢な肩をぴくりと揺らし口を噤み、今まで能面のようだった表情は哀しみを帯びて長い睫毛を伏せて。守るべき存在から彼を引き離した張本人ではないと頭では理解しながらも、〝子〟に関連する内容には何か含みがあるように沈黙を破る術を見つけられずにいる中、重厚感のある声に唯一の名を呼ばれてゆっくりと俯きがちになっていた顔を上げて「 ……旨くてキツい煙草と酒。 」少しの間が空いたのは対価を考えていたわけではなくそれを要求する事に少し後味の悪い恥ずかしさを感じているのと、人間の身で用意できるものではないと理解していたから。勿論最も欲しいものはこの黒薔薇の呪縛からの解放だがそれこそ誰に願っても叶わぬ絵空事、夢見の悪さは今に始まった事ではなくふるふるっと小刻みにかぶりを振って「 …煙草、作った事ある? 」ふとそう問いかけ、ちょろちょろと忙しなさそうに窓の外を這うトカゲの使い魔に視線を遣り「 あの子たちが調達してくれる既製品じゃもう物足りないんだ。だから自家製に切り替えたいんだけど、葉の組み合わせが何百通りもあるから難航してんの 」不健全極まりない事を言っている自覚はあるものの、これは互いにとって利のある取引の筈。魔界の葉は人間にとって猛毒、ゆえに人に依頼する作業ではないと分かっているが葉っぱ同士の匂いから人間独自の感性で奇跡的に理想的なブレンドを生み出せる可能性もある。恥じるな、と内心で己を鼓舞し真っすぐだけれどどこか照れくさそうな色を混ぜた複雑な表情で「 手伝ってくれる? 」と告げてはすぐについと目を逸らし)
>ゼズゥ(>1577)
(己とは対照的に憂いを帯びた表情に、一瞬訝しむように片眉を軽く吊り上げる。しかし此方の声に応対して顔を上げた彼女が答えた物品へ、「お、そいつぁ良いなあ。俺も欲しい。」何処か気まずさを抱えた言葉ごとからり笑って、冗談混じりに相槌の一言を打った次、「ああ、シャグが俺の愛用煙草よ。」拘りの手巻き煙草を紙に包む慣れた仕草を、顔の横に備えた片手の指先で示してみせ。動いた視線に合わせ窓向こうを自身も窺えば、作業に追われるような心配に様子を覗くような、兎に角慌ただしい爬虫類の姿が視界に入り。これが先程言われた使い魔かと数秒好奇の光を注いだ後、彼女へと再び向き直った顔には、かっと照り付けるような太陽の如く快活な笑みを浮かべ、「おうとも、お安い御用。どうせ吸うなら、とびきり自分好みに拘ったモンが良いに決まってらあ。」一も二も躊躇いも無く頷いて、続けて取引を受け入れるついでに己の信条もさらっと流す。その了承の区切りに膝を一打ち、それから立ち上がって片腕を一回し。「ようし、そんじゃあ早速やるとしよう。その葉っぱってのは何処にあるんだ?」有言実行、善行――とは言い難いかもしれないが、少なくとも己にとっては善き事と疑わぬそれを即実行、と気合い充分に身の簡素な準備を整え終えれば、わくわくと心躍る色を隠しもしないやんちゃを滲ます面持ちでその肝心な葉の居所を問い掛ける。)
>ナミル(>>1578)
言ったでしょ、あんたは食事なんだから有害物質禁止。
(今までで最もメリハりのある声色できっぱりと言い切るのは何処かの誰かに向けたパフォーマンスのような色を帯びる。喫煙に至った経緯や目的はきっと自身と相手で大きく異なるのだろうが、同じ愛煙家として目の前に煙草があるのに吸えない辛さは身に染みて理解できる。彼がヘビースモーカーかは現段階では分からないけれど、少なくとも自身の食欲を揮わせる事のない相手ならば多少甘やかしてもいいだろうと蛇の身体を伸ばして相手の耳元に顔を寄せ「 …今のは建前。もし最高の煙草が完成したらあんたにも吸えそうなやつ分けたげる 」彼にとってこの手伝いの見返りは屋敷探検への同伴だが、それにオマケを付けたって理不尽な檻に閉じ込められた者同士罰は当たらないだろう。また日を改めて候補の絞った葉を持ってこようかと思案していた矢先、思い立ったが吉日を地で行く彼の様子に一度瞬きをして、それからふっと吹き出すように軽く笑って「 そんなに探検が待ちきれない? 」まるで腕白盛りで片時もじっとしていられない少年を見るような慈愛に似た何かを視線に織り交ぜ、彼のそういった特性が家系の呪いにまつわるものなんて想像する由もないままずるりと鱗を引き摺って唯一の出入り口である扉へと向かい「 …ついておいで。丁度すぐ近くの扉に来てるみたい 」背中越しに伝えるのはまるで無数に並ぶ廊下の扉の中身が刻一刻と交代しているような違和感を与える口振り。廊下の静寂を破るドアノブと蝶番の軋む音、それと重い質量を引きずる音――薄暗く、月光と燭台の灯りが頼りのそこは果てしなく続く無限の迷宮で、しかしほんの三つばかり先の扉を呆気なく開けばふわりと漂うのは複雑でエキゾチックな香り。「 入る前に一つ約束して。此処にあるのはこっちの世界の葉っぱばっかだから、人間のあんたには毒性が強すぎてあんまり長くは居させらんない。とはいえ人間を連れて来た事なんてないからどのくらいが限界なのかも分かんない――だから、体調がおかしいと思ったらすぐ言うんだよ 」言い終えてすぐ〝 分かった? 〟と顔を近づけてから、ついて来いと示すように先んじて部屋へと入る。そこは色とりどりの葉がそこかしこにびっしりと貯蔵或いは群生している無法地帯で、部屋の中央のテーブルには何百通りもの配合を試した形跡がごちゃごちゃと放置されている。いずれも長時間に渡る作業だったろうに室内に椅子が存在しないのは、この部屋の主がそれを必要としない種族だという事を如実に物語り「 …これでもある程度厳選したんだけどね 」瓶の一つを指先でなぞりながら、どこか恥ずかしそうな、それでいてうんざりするような疲労感を醸してぽつり呟き)
***
話し中にごめん。あたしの研究室のイメージ画像を【足跡】に公開したからロル描写の参考までに見てくれると嬉しい。葉っぱの種類とかは好きに創作・登場させてもらって構わないからね。こっちには反応不要だよ。
(https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/locus)
>ゼズゥ(>1579)
おっと、手厳しい。
(今までに無いぴしゃりとした物言いに嘆く言葉を、それとは正反対に跳ねた冗談で返す。「……ほう。こりゃ頑張んねえとなあ。」しかしながらその後に続いた話には此方も声を潜めて、悪戯を企む子供にも似た顔でにんまり笑い。己の行動にか言葉にか、何にせよ向かい合う瞳が何処か和らいだ事に喜ばしげに目を細めつつ、「おうよ。こちとら意欲も行動も鮮度第一主義、やりたい事を前に黙って大人しくなぞしてられんのよ。」問いを肯定したその上から更にやんちゃ小僧のようなアグレッシブさを放る。彼女の進行に合わせて己も扉の先へと出る直前、まるで屋敷そのものが生き物の肚さながら蠢いているとでもばかりの発言に頭を傾げつつ廊下に足を進める。――月と蝋燭の見下ろす冷えた通路。目を凝らしても先を見渡しきれない闇を残し、その内に言葉通じぬ人喰いのケダモノが潜むという其処は、成る程ミノタウロスの迷宮の如し。「……ますます面白そうな所だな。」だがそれに萎縮する性根の持ち合わせは端から無し、短い歩数の合間にそう好奇の独り言を零していれば、また扉の開く音と共に、多くが絡み合う芳しい香りが鼻を擽る。意識をそちらに向けた瞬間、丁度彼女の注意と約束事が飛んできて、「オーケーオーケー、ちゃんと言うさ。」少々ばかり軽さはあるもののきっちりとそれに頷き奥へと歩を踏んで。――有らん限りに広がる、当然見た事も無い葉に所狭しと並べられた瓶達。「ははあ……こんな量、一人じゃ大変だったろうよ。」厳選したと告げた彼女に、今見ている何倍も種類があったのだろうと察しが付けば、そこに言葉を惜しみ無く掛けて、隣の彼女の肩をぽんと柔らかに叩いて労う。「そんじゃ……どれ失礼、」それからもう一声置いて前へ進み、テーブルの上の瓶の中身を幾つか吟味に持ち上げて、「ハハッ、凄い色してんなあ。…ああでも匂いは悪かねえな。」思ったままの感想を一人流した後、一度それらを戻して今度は壁際の棚へ。其処から一つ一つを取って鼻を利かせる仕草を繰り返し、多くの内から苦い香のする薄赤い葉と、潮に近い香の黒い葉の二つを手に残した次に数秒首を捻って辺りを見回す。些かの間唸った後、棚の隙間を縫って顔を出す、紫に青の粉が振られたような葉を下げる植物に指先を近付け、「……おっといけねえ。嬢ちゃん、これ俺が触って大丈夫なモンか?」触れるその前にはっと手を引き、この部屋の主たる彼女へ身ごと振り返って、指差したそれの危険性を先んじて問い掛ける。)
>ナミル(>>1580)
(自分で寄せ集めた葉達とは言え、強いフレーバーと毒性を求める余りかなり香りの主張が強い種類が選抜されてしまったこの空間は自身ですら長時間居れば頭がくらりとする夜もある。彼があまりにも豪胆なものだから半ば勢いに押される形で連れて来てしまったが、いざ密室になってしまえば人間の身で大丈夫なのだろうかと内心ハラハラしながら「 …ねえ、ほんとに大丈夫? 」強い香りに中てられてしまわないか心配そうに様子を伺いながら、蛇の肌には少々熱すぎる手のひらが触れた肩を冷やすように自身の冷たい手を当て「 乾燥させたら全部枯れ葉色になっちゃうの、勿体ない 」凄い色、という感想に釣られるように生きた葉を見上げながらぽつり呟く。無論煙草の色なんてどうでもよくただ絶望から目を逸らすための依存先としての役割を果たしてくれればそれで構わないのだが、色彩豊かに葉を茂らせるあれらを自身のエゴに付き合わせてしまう事には多少の負い目を感じて目を伏せ、しかし問い掛けにはハッとそちらを向いて「 ……素手はやめとこっか 」如何せん判断しかねるのは、怪物たる自身にとって無害な植物が人肌をどこまで侵食するのか見た経験が無いため。少々迷うように沈黙した後、熱いものを触る時に使用する分厚い黒のグローブを相手に手渡し「 …やっぱ自分の発想だけじゃ息詰まるもんか 」ちろり彼の手に選ばれた葉の組み合わせはとても斬新で、自身だけでならば辿り着く事のない選択。しかし妙に期待出来そうなそれらに感心したようにぼそりと呟いて、自身は中断していた作業の続きとばかりに迷うことなく彼に背を向ける位置の棚に手を伸ばし琥珀色の甘ったるい香の葉と、唐辛子を何倍にも凝縮したようなツンと痺れる刺激臭を放つ蘇芳色の葉を紙の上に選んでいき)
>ゼズゥ(>1581)
大丈夫大丈夫、身体は人一倍丈夫なもんでな。
(彼是と瓶を傾けてみる最中届く声に振り返り、自らの胸元を掌でばしばしと大仰に何度か叩き、風邪すら跳ね返していきそうな体躯の頑強さを主張する。それからまた遠慮無しに、しかし音を立てるような乱暴さとは無縁の丁寧な所作で片っ端から葉を吟味する。「……確かに。こんな見事なのになあ。」その途中で聞こえた一言へ、丁度手にしたマゼンタ色を室内の明かりに照らしつつ同調を零す。「おう、あんがとよ。」半端に下がっていた手を彼女が差し出すグローブへ軌道修正、それに指を通して拳を一度握り、爪の先まで馴染ませてから改めて目の前の葉を一つ拝借する。その香を確かめた後、植物の観察に少しばかり屈めていた背を伸ばしてテーブルへと足を運び、失敬した新品の紙の上へ持ったままの瓶の中身を乗せていく。「…なあゼズゥの嬢ちゃん、物でも策でも何でもいいけどよ、何かしらアイディア出すんなら誰かと一緒の方が良い。人が居りゃ居ただけ、視界が拓けて多くの道が見える。」作業の最中に徐と開いた口が紡ぎ始めるのは、先程の彼女の呟きに対しての言葉。「誰かの手を求めるのは何も恥ずかしい事じゃあない。寧ろ、勇気ある立派な決断さ。」目線は手元の紙と葉に、とんとんと指先で振るってその三種の量を調節しながら続けていくお節介じみた経験則の話は、瓶の代わりに紙を持ち上げた所で終いとなり。「……っと。そら、試作一号だ。」苦い薄赤の葉と潮の黒い葉は、後者の方をやや多めに。そのアクセントに燻したような渋く深い香の紫に青粉の葉を極少量。彼女の傍に歩み寄ってその調合品を互いの目の前へ向け、「俺の基準にゃなるが、取り敢えず酒に合いそうな香りのモンにしてみた。…アンタ、酒もやるんだろう?」まだ手探りの初回品、一先ずの選択材料としたのは他でもない彼女のもう一つの取引候補からの連想。「本当は味や煙の濃さも確かめられりゃ良いんだが……それは流石になあ。」何分異界の煙草葉、事前の注意もあって手出し出来ない所を補う為に、香り重視になってしまったのは否めず苦笑いを浮かべて。「兎に角まあ、これは単なる試しよ。好みじゃなけりゃ、それはそれで別に構わん。」しかし直ぐに表情の湿気を払って闊達に声を飛ばし、移った視線は彼女の手元。「そんで?嬢ちゃんのそれはどんなモンだ?」興味津々弾む問いに違わず、瞳を煌々と好奇に輝かせて彼女の持つ葉を覗き込む。)
>ナミル(>>1582)
……かもね。特にナミルは道なき道を見つけるのが上手そう
(一人で黙々と作業に明け暮れるのを苦と思った事はない筈だが、しかし同じ空間から誰かが静かに語りかけてくれるのを存外心地よいと感じている事に気付く。きっと彼の語り口調が声高く喧々としたものではなく、重厚な声でひとつひとつの言葉を手のひらに乗せて届けるような落ち着いたものだからだろうな、そんな風に感じながらすぐに傍らの彼へと話題を移したのは有難い助言を自分事として受け取れていない証拠。しかし己ではそれに気付けないまま、例えば目の前に広がるのが到底進めそうもない断崖絶壁や底なし沼で誰もが立ち竦み引き返す中、彼だけは豪胆に微笑み腕捲りをして躊躇いなく岩肌に手を掛け沼に踏み入るような、そんな場面を次々と浮かばせては消してを繰り返しながら小さな擂鉢の中で先ほど選んだ葉を粗く潰し始めて「 ねえ、誰かに頼られるの好き? 」経験則の話が結ばれたのを察してだしぬけに放った言葉は問い掛けの形を取ったにもかかわらず解を待つ前に「 あたしは好き 」と続けて「 だからこそ、せっかく頼ってもらえたのにもし何もしてあげられなかったら堪らなく凹む。自分の無力に愛想が尽きる 」途中で葉を擂り潰す手が止まったのは、そんな〝たまらなくへこんだ〟経験の追憶を辿ったからだろうか。きっと暖かくてお節介で困っている人を放っておけない、そんな性質を感じさせる彼がこの夜闇に沈んだ屋敷で諦めに燻る怪物たち――哀れな蛇も含めて――へと手を差し伸べ、自身と同じように無力に打ちひしがれて欲しくない、否そんな必要はないと願望に似た不器用な忠告を。眼前に示された試作一号の香りを真剣な眼差しで確かめ、視線だけで彼を見上げて「 悪くない。…けどまだまだ遠慮してるね、もっとガツンと来るやつ作ってよ 」感じたのは深い毒性、しかし上品なベールを一枚纏った気取った貴婦人を思わせる薫香。求めるのは誰彼構わず誘惑し溺れさせる危うい魔性の阿婆擦れのような、辛気臭い夜も邪魔くさい茨も全て忘れさせてくれるような強く中毒性のある刺激――そんな理想を投影した自らのチョイスを試すべく擂鉢を片手で掴んで鼻に寄せた瞬間「 ――ッ! 」思わず勢いよく顔を背けてけほけほと空咳を数回、生理的な涙を滲ませながら恨めしそうに擂鉢へと視線を戻して「 …これはやり過ぎ。あんたのと足して二で割りたい 」刺激に全振りでとてもではないが味わえるものではないそれを押し付けるように彼の胸へと強く差し出し「 顔で嗅ぎにいっちゃだめ、手で軽く扇いで 」人の身には危険かもしれないと懸念しながら彼にもそれを共有するのは、彼ならばブラッシュアップを重ねて自分では辿り着けなかった美味な巡り合わせを見つけてくれるかもという期待感の表われで)
>和洋中問わず>>1567の通り幅広く演者様をお待ちしております
>ご新規様は登録/無登録問わず1~2名様募集中です。常連様はいつでもお戻りください。ご質問・ご相談だけでもお気軽にどうぞ[ 今夜の案内役:ハイネ ]
▼ 提供一覧 ▼
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>ゼズゥ(>1584)
(言葉の終わりに、ぽつり問われた一言。無論と肯定を返すその前にもう一つ、それは彼女自身の答えで纏められた。「……そうだなあ。必ず助けてやれるヒーローみてえな万能なぞ、誰の何処にもありゃしねえ。一人の両手じゃあ、どうしたって出来る事に限りがある。」きっと、此方もそう言葉を綴るだけの“心当たり”があったのだろう。答える声は寄り添うようで、ほんの少し沈んでいたのは気の所為では無いと、苦く眉の下がった笑みが伝えている。しかしそれは直ぐ様、一瞬きの間に消え失せて、「――でも。それでもだ。」切り返す音に、瞳に光がまた点る。「頼ってくれた奴に、“何とかしてやりたい”と向き合う事そのものに意味がある。結果が何一つ変わらなかったとしても、伸ばされた手に出来る最善を尽くす事は決して間違っちゃいない。」骨太の芯を通して告げる。“己の助けを求めた者から目を逸らさなかった事”にこそ意義はあると。どんな結果だろうと、その者の為に足掻いて藻掻いて踏ん張った想いは無かった事にはならないと。「少なくとも、俺はそう信じてここまで生きてきたさ。」とんだ綺麗事でも貫けば揺るぎない鉄柱の信念。そんな忠告への対抗とも、彼女への慰めともつかない話を終わらせて。差し出したそれは彼女には物足りなかったらしい、「ふむ。まあ確かに、ちっと遠慮はあったな。」評価の終わったその試作一号を素直に引っ込め、その入れ替わりに此方の胸元へ渡った擂鉢を受け取る。咳き込む彼女の忠告に頷いて、自身の試作は一旦テーブルに置き、言われた手順で鉢の中身を仄かに窺えば鼻に刺激が走り――一瞬くわんと視界が眩み、喉にも辛みが残る。思わず己も咳を二度払った後、「……成る程。いやあ強いな。」ただ扇いだ淡い匂いを嗅いだだけで味わった感覚を、からからと笑い飛ばしてから数秒思考の巡回を。次いでおもむろに足を向けたのは棚の一角、其処に置かれたマリーゴールドに似た鮮やかな黄の葉をまず一つ、それとはまた別の、夾竹桃を思わせる濃く甘い香を持つ白黒マーブルの葉も一つ、各々持って彼女の元まで戻り。それから手にした瓶の内前者の黄色を彼女が混ぜたものに少量追加し、新たに入れたそれの軽やかに香ばしいナッツのような薫りが立つよう荒めに擂って、「……ん、悪くねえかもな。」加えた葉の効果なぞ知る由も無い直感ではあったが、もう一度確かめた時には刺々しさが抜けた気のするそれを白く冷たい手元へ返し。「これならどうだ、嬢ちゃん。」その改めた中身の評定を問うその間、先程より渋みを減らした己の調合に、持ってきたもう一方のマーブル模様の葉を多く振って試作二号を創り出す。)
こんばんは、それと久し振り……かな。
先ずは物語の途中で不在になっちゃってごめんね、少し俺の背後が多忙になっちゃって。余裕が出来て覗いて見た頃には屋敷が閉まってるっぽかったから、足跡を残して行くのも何か違うかなって思ってさ。……なんて、言い訳がましいのはここまでにしておいて、久々になってしまうけれど君たちと物語を紡ぐのが僕の楽しみなのは事実でさ。久々になってしまうから色々と見苦しいところがあるとは思うんだけれど、相手をして貰えたらなって思ってね。
僕の記憶が正しければ最後は >1571 、確かキルステンと会っていた夜の事で僕の返事からだったはず。本当だったらこれに添えられたら良かったんだろうけれど……余りにも不在にしてしまったからね。先に挨拶だけさせてもらおうかなと思って。
僕の言いたいことを並べてしまっただけな気もしなくは無いけれど…………お返事待ってるよ。
>ナミル(>>1586)
ああ……うん、そうかも。思い当たる節はある
(そう言って徐に口を開き抑揚に欠けるが懐古するような穏やかな口ぶりで語り始めたのは、遠い記憶の彼方、霞がかってそれが自分の体験なのか他者のそれなのか境界があやふやになるほどの古い古い出来事。遥か上空に鎮座する三日月の形が好きで、それを取ってきてとお願いをした幼子がいた。当然実現は不可能だけれど、願いを受けた者は三日月モチーフのネックレスを幼子に贈った。〝この三日月はあなただけのもの〟そんな言葉と共に。当初の願いだった本物の三日月は未だ自分のものにならないまま天空に在り続けているが、別の形で願いを叶えてくれた――或いは叶えられたことがとても嬉しくて心が満たされたのだと。「 ……ねえ、ナミルならどうしてた? 」もし同じ望みを――絶対に自分の力では額面通りに叶えられない願いを託されたなら。獅子頭の怪物・レオニダスにどこか似ていると感じさせる煌々と輝く彼の双眸をじっと見つめ、自身と同じように咳込んだ彼を心配するように眉尻を僅かに下げるも笑っている表情にほっと安堵して動向を見守る。その新たな選択は大変新鮮で、けれど確かに相性のよい組み合わせに「 あんた、センスあるね 」ぽつりと落とした賛辞は弾むような声色ではないものの驚きと期待の入り混じった微かな高揚を含んでいて「 ありがと 」受け取った擂鉢を見つめ、期待にとくとくと湧く脈動を落ち着かせようと軽い深呼吸をした後そっと鼻を寄せ目を閉じて。先ほどの刺激が濁流ならばこの香りは渦巻き、頭が心地よくくらくらして渦の中心へ吸い込まれていくような酩酊感と中毒性、そして毒々しさを消すのではなく上手に豊かな芳香へと昇華したそれに持ち上げた瞼の奥、波紋の瞳は珍しく明るい光を控えめに宿し「 ――――これ、今すぐ巻こう 」一度面を上げ彼に告げたのは自身の中では上物にあたる賛辞。愛用の口触りの良い黒いペーパーを食指と中指の間に敷き、溝に添うように試作二号を優しくほぐしながら少々多めに乗せ手のひらで転がすように熟練した手つきで巻き上げる。当然フィルター無しのそれを薄い唇の間にセットして「 それ取って、 」手を伸ばして届かない彼寄りの位置、葉や道具の散在したテーブルの上に転がっているマッチの箱を視線で示して)
>グレン(>>1587)
おやグレン、お帰りなさい。謝る事はありませんよ、屋敷の扉も不定期に閉ざされるのですからお互い様というもの。…とはいえ、長く屋敷を空け貴方に寂しい思いをさせてしまったかもしれない事を謝ります。よく戻ってきてくれましたね、グレン――また会えて良かった。
さあ、再会の挨拶も済んだことですし物語の本編に移りましょうか。貴方が人魚との続きを望むならば仰せのままに――指輪を辿り俺の元へ帰ってくるのを楽しみにしていますよ、グレン。…貴方の次に〝お返し〟のことも。
>ハイネ ( >1589 )
今夜の案内人、ハイネだったんだね。びっくりしたよ。ふふ、俺も大分と不在にしちゃったからお互い様だし、それに思いがけずハイネに会えたから寂しいのも飛んで行っちゃったよ。
そう、ハイネへの贈り物の為にもキルステンとの一晩は幕引きまで持っていきたくてね。きっとまた直ぐにハイネにも会いに行くつもりにはしているから、次に会えた晩にはうんと甘やかしてよね。
嗚呼、ハイネに会えた嬉しさに出てきちゃったけどこっちは返信不要だよ。それじゃあね。
*****
>キルステン( >1571 )
ハイネのお気に入りのコレクションの間は、ね。
( きっとあのダークエルフの事だから、興味を失ってしまえば己の望みを叶えるどころか部屋に通い詰める事も無くなってしまうだろうなんて事は短くも濃い付き合いから容易に想像が出来る。無論、そんな未来など想像したくは無いのだけれども。無意識のうちに表情は僅かにではあるが苦々しく歪められ、贈られた指輪を反対の手の人差し指でするりと撫でて。きょとんとした表情を浮かべるのは一瞬の事 「 覚えてたって言うよりも、結果的に頭に叩き込まれたって方が正しいかも 」 求められるものへと応えていた結果身に着いた知識に過ぎないのだが、ロマンチストなんて言葉は傍から見ればその通りなのだろう。何だかんだと言いつつも手渡した石をポケットへと仕舞いこむのを見届けてから目当てのものを探すために再度視線は足元へと。こつり、こつりと一定のテンポで耳に届く足音がやけに心地よく感じるのはきっと自身の生活音しかしない静かな空間に慣れすぎたせいもあるのだろう。問われた言葉にぱちくりと目を瞬かせ、少し悩む素振りを見せた後に「 ふふ、ナイショ 」 悪戯っぽく笑ってみせる表情は彼がこちらを見ていたのならばやや幼く映っただろうか。無論、探しているものに意味が無い訳では無いのだが、それはきっと彼自尊心の高いダークエルフには無意味なものだろう事は想像に易い 「 意味よりも見た目、かな。一目見るだけでハイネが僕を思い出すような、そんな石 」 誰に言う訳でもない呟くような声色ではあるが、二つの足音が響く以外の雑音のない、しかも洞窟状になっている為か反響のあるこの部屋ではきっと共にいる彼の耳にも届いた事だろう。探す事暫く、不意にしゃがみ込んだ後、一つの石の欠片を手に取って 「 ……あった、ねえ、キルステン。これ貰って行っていい? 」 月明りの差し込む元へとやや足早に向かえば、それを角度を変えて何度か光に透かし確認をした後、恐らく今日一番の笑みを浮かべながら彼へと視線を向けて )
>グレン(>>1590)
……、
(つられるように眉を下げたのは、彼には彼なりの苦悩があるのだと悟ったから。訳も分からないまま怪物に喰われてしまうのも理不尽だが、なまじっか愛され重宝された挙句に相手の一存でいつ切り捨てられるか分からない状況もまた前者に勝るとも劣らない理不尽なのだと。無神経な事を言ってしまったと内省する難しい表情のまま、はあっと勢いよく溜息を吐いて「 …その後は偶にアタシが面倒見るわよ。勿論アンタが望むならだけどね 」死より孤独を恐れる、そんな節のある男の子だと彼を見て感じていたのだと気付いたが故の提案。ハイネの興味が失せた後も彼がもし屋敷での生を望むのであれば、奇しくも自身の大好物にあたらないからこそ彼を見守る事はできる。しかしその反対、ハイネによる最期が彼の最後の望みなのであれば先の提案は大変なお節介であることも重々承知したうえで結びの文言を付け足して。「 ふーん…? 」年相応、あるいはそれよりも少し幼気な笑顔を見ることが叶えば曇っていた表情からはふっと力が抜け、眉尻も口角も柔らかさを取り戻し「 健気ね。カワイイじゃない 」彼の笑顔もさることながら思考回路も微笑ましく、しかし歪な危うさを含んでいるようにも感じられてカツカツと距離を詰め「 ええ。胸を張って持ってきなさい、Hottie 」降り注ぐ月光の下で笑う彼はさながらスポットライトを独占するスター、彼がハイネに向けてどんな石を選んだのか興味があったはずなのにその笑顔から目を離せず、せめて遠慮なんてさせないようにサムズアップをして明朗に笑って。「 そんじゃもうココに用はないわね?そうだ、ラッピングの材料は持ってンのかしら 」意思確認の結果、彼がまだ煌めきの塒に残りたいのであればその場から動かず、そうでないのであればついておいでと言わんばかりに出口へと歩みを進めるだろう。贈り物といえば欠かせないパッケージについて考えが至れば、生来の世話焼きを発揮し肩越しに彼へと振り返って問い掛けて)
>ゼズゥ(>1588)
(彼女の話に耳を傾ける。まるでお伽話の一節のような、無邪気な幼さと優しさに溢れた願い事の話。それの終わりに問う声へ、「…俺ならか。ふむ、俺なら……そうだな…」顎元に食指の背を置いて僅かな間思考の沈黙を。それから再び開いた口で、「叶える方法を共に考える。一番満足出来る、納得出来るモンを二人で探す。」解りきった不可能でも、決してそうは言わない。同じ目線で並び立ち模索して挑んで、願う想いにとことん付き合う。そしてその後で、「そんでその“答え”が見付かったら、其処に向かって一直線。どんな道だろうと、手を引っ張ってやる。」三日月の例えに準えるならば、器の水に映すのも絵に残すのも――月面へ飛び立つ事でも。どれ程突飛であろうと、この手で可能だと思えたのなら妥協は無しに、その者の為に驀進する。顎にあった人差し指と中指を揃えて他は握り、拳銃に似た形に整えた手の先と笑い眇めた虎の瞳を真っ直ぐ彼女へ向けて、そんな気長にも大胆不屈の夢語りを答酬とした。――今度の試作はお気に召したらしい。「おう、あんがとよ。」始めに落とされた褒め言葉に軽い礼を返しつつ動向を見守る。薫りを吸い込んで己を見上げた彼女の瞳、何処か諦観を宿したようだったその濃色に、仄かでも確かに初めて灯された輝きがそれこそ先程語られた三日月の子を彷彿とさせて。思わずふっと目尻を親の如く温かに和ませながら、「あいよ、」彼女の示す物を視線で追って捉え、慣れないものばかりの中でも馴染みのある燐寸に手を伸ばす。続けて極自然に、流れるような動作で摘まみ取った一本の頭薬と側薬を一度擦り、点いたその火を消えぬようにもう一方の掌で覆いつつ彼女の口元にある試作に下から添える。「どうせだ、此処で吸うなら味の感想も聞かせてくれ。」薫香、毒性の強さ。ここまでは及第と見た虎はそのついで、味覚の点からも拘るつもりでそう彼女に一声冗談混じりに題を向ける。)
>ナミル(>>1592)
(眩しい、と。会ったばかりの相手に、あまつさえ同胞でもなくただの食事として据えられた対象に率直にそんな感想を抱いたのはきっと初めてで。目的のためにはきっと手段を択ばず、けれど決して独り善がりではない彼のスタンスから導き出された形容は「 …世が世なら一国の王様になってそう 」言い終えて、ふと吐息を漏らすだけの笑いを零して。民衆の心をすっかり惹きつける名君を小さな猫や鳥のように茨の檻へ閉じ込め縛り付けてしまう黒薔薇への憎悪をいっときでも忘れようと煙草の先へ点火されるのを待ち焦がれ、胸いっぱいに煙を吸い込んで――甘いような辛いような、エキゾチックな香りの紫煙を薄い唇の隙間から吐き出し「 最っ…高 」ぞくり背筋が粟立つような色めきをふんだんに含む旨味と苦み、その刺激に溺れそうになった所で息継ぎをさせてくれるように時折顔を覗かせる甘味。二本指の間に煙草を挟み、ぐぐっと顎を引いて噛み締めるように味わってから嘘偽りも飾り気もない感想を落として「 ねえ、これに名前付けてよ。そんであの子たちに頼んで量産させてもいい? 」彼を見上げて乞うのは傑作が無題のままではあまりに勿体ないと湧き出た願い。直後、こちらを見守るように棚や天井を這うトカゲたちを見遣ってから、この最高に美味なレシピの生みの親へ一応の許可取を。「 それで、あんたの望みは何だっけ 」元を辿れば仮称・試作二号が生みだされたのは彼が持ち掛けた〝交渉〟に帰結すると。期待を裏切らない、否、期待以上のパフォーマンスを発揮してくれた彼に何らかの形で報いたい、元来ギバー寄りの性格上辿り着いた思考から交渉の事を思い出して、問い掛けを投げてからまた一口旨そうに紫煙を燻らせて)
>ゼズゥ(>1593)
王様ねえ……フハッ、柄じゃあねえなあ。
(“王様”と此方が聞いて思い付くのは、豪奢で堅苦しい服を着て玉座に凭れ、兵と側近を侍らせながら統治や政に勤しむ格好。一月とじっとしていられぬ性分の己に重ねて想像した冠姿があまりに似合わず、思わず噴き出した声の余韻のまま肩を震わせ呟く。――彼女の仕草と一言が何よりの答え。言う通りの至高であると解れば、自身も満足に胸を張って目を細める。「そりゃあ勿論、その為に拵えたモンだからな。」言葉を受けてまず先に量産の許可に対する応答を拍子良く告げて、その次に命名について頭を巡らせる。「さて、名前か……ハナシュ、コルンフォリー、ヒラール……んー…」胸元で腕を組んで零す候補はどれも己が生まれ故郷の言葉。各々眼前の彼女の姿、その瞳の色、想い出の月と連想を繋げて尚今一つ填まる形が見付からず、首まで捻って唸ったその後、「……フルム、はどうだ?覚え易くて呼び易い。」それは眠りの淵に会う追想、或いは現を惑わす幻想、或いは成就を願う理想――つまりは“夢”の意を持つ名前を、何とも単純な理由を添えて案に放る。それから改まって問われた事柄に、目の前の楽しさから交渉事に意識が戻り、「ああ、そういやそういう話だったな。いやあ忘れてた忘れてた。」からっとそう一声笑い上げた次に食指を立てて、「第一は屋敷探険の同行者が欲しい。これは後日、いつでも構わんが……まあ、死なねえ内に来てもらえると助かるな。」彼女と交渉をする切っ掛けとなった当初の目的をもう一度簡潔に、この屋敷では冗談にもならない軽口を添えて置く。続けて、「あとは俺にも吸える煙草かねえ……こっちは“お代に色を付けてもいい”と嬢ちゃんが思えたら、だな。アンタの裁量に任せるよ。」おまけのついでの嗜好品。それを二本目に立てた中指に示しながら、しかしそこは彼女次第と直ぐに引っ込める。「そんで、ゼズゥ。アンタはどこまでなら俺の希望を叶えられる?」提示された対価には最善を払えた。彼女を見据えるアンバーと伸ばされた背筋に堂々顕れるその自信のまま、此方からも交渉の結果を質し待つ。)
>ナミル(>>1594)
(新しい風味、新しい刺激、新しい依存先。その全てを思いがけず得る事が出来た今夜は酒に頼らずとも眠れるかもしれない、そんな病んだ思考も長年染み着けば自分の中では只の日常であり出し惜しみをしない相手の回答に「 ありがと 」と端的に謝意を示して。砂漠のオアシスを吹き抜ける軽やかな風を思わせるような単語の美しい響きをBGMに味わう煙草はみるみる短くなってゆく、そうして件の新たな依存先の名を提示されれば「 母国の言葉? 」単純な問いかけの中にどんな意味を含んだ単語なのかを伺う好奇を滲ませながら、立てられる指を眺めて彼の発言を結びまで傾聴し、丁度そのタイミングで尽きたフルムを吸殻で山盛りの灰皿に無理に捻じ込んで「 ……あたしのオススメはウーミンの花畑。花と蝶が好きなら楽しめると思う 」案内役を買って出ると示すように探検の行先の一つを挙げる。ここで言うところの〝オススメ〟は人体にとっていかに無害に近いかの基準で選出された云わば無難な選択肢であり、それから少しの間悩むような間を置いて「 あとは…最近見つけた〝熱い場所〟。ここは長居出来ないだろうけどあたしのお気に入り 」紹介するのを躊躇う態度にとっておきの場所を勿体ぶる意図はなく、ただ相手の、人間の身体に害を及ぼす可能性の高さから心配が先に来たもので。ずるり、規則正しい鱗の揃う太い蛇の図体をくねらせ距離を詰め「 二日後、迎えに行く。それまでにどっちがいいか決めといて。どっちもイマイチなら別の場所考えるから 」近い未来への約束を託しながら片手をおもむろに持ち上げ、天を向いた主の手のひら目掛けて天井を這うトカゲが投下したのは深い緑色のリボンで束ねられた数本の紙煙草と小さなマッチ箱。手中に乗るそれをそのまま差し出して「 これはオマケ。約束の夜まで部屋でイイコに待てるならね 」条件を付ける口調は語調に反して強制するような色ではなく、あくまでも最終的な判断は相手に委ねるが自身は忠告したからねと線を引くようなそれで「 お利口にしてたらシャグもあげちゃうかも 」冗談めかすようにふと緩く口角を引き上げて彼の琥珀を見つめよう)
>キルステン ( >1591 )
( ぱちりぱちりと瞬きを繰り返すのは思いがけぬ提案だった為。きっと己の本質を知らない彼の事だから純粋な提案である事は思考を巡らせなくても理解に易く 「 ……きっと僕が求める物は、ハイネじゃないと重苦しく感じちゃうよ 」 一を与えられればもっともっとと際限なく求めてしまう性分、それを埋めてくれるのはあのダークエルフしかいないとの思考は単純に自身の屋敷の中での交流が浅い為か、それとも最早一種の依存じみた考え故か 「 まあ、ハイネが興味を失うかは僕の努力次第だし……キルステンがそんな顔しないでよ 」 声色から自身の未来に対して悲観している部分は一切ない、という事は過不足無く伝わるだろうか。先ほどから表情に陰りの見える彼の顔を捉えれば、くはりと小さく笑い声を漏らし。「 ふふ、じゃあ遠慮なく 」 何がきっかけか調子を取り戻したように見える彼の様子に小さく安堵の息を漏らし。服の袖で石の表面を軽く拭ってから上着のポケットの中へと仕舞い込み。キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をしていた先程までとは打って変わり壁や天井を見ながら「 うん、大丈夫。お気に入りの場所に連れて来てくれてありがとうね 」 キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をして足元ばかりを見ていた先程までとは打って変わり、壁や天井、辺りへと視線を巡らせながらゆったりとした足取りで彼の後を付いていくはず。「 それがラッピングもだけど、加工の目途も立ってないんだよね 」こちらを見る視線と目が合えば、へらりと笑って見せるのは自身の計画性の無さを自覚しているが為。それに一晩の邂逅を通し世話好きなのだろう事が分かる彼の様子を受け、困った姿を見せれば力になってくれるのでは無いかなんて打算も少し。手伝ってくれる?なんて言葉は口に出さず、やや上目がちな視線を送る事でお伺いを立てようか。 )
>キルステン ( >1591 )
( ぱちりぱちりと瞬きを繰り返すのは思いがけぬ提案だった為。きっと己の本質を知らない彼の事だから純粋な提案である事は思考を巡らせなくても理解に易く 「 ……きっと僕が求める物は、ハイネじゃないと重苦しく感じちゃうよ 」 一を与えられればもっともっとと際限なく求めてしまう性分、それを埋めてくれるのはあのダークエルフしかいないとの思考は単純に自身の屋敷の中での交流が浅い為か、それとも最早一種の依存じみた考え故か 「 まあ、ハイネが興味を失うかは僕の努力次第だし……キルステンがそんな顔しないでよ 」 声色から自身の未来に対して悲観している部分は一切ない、という事は過不足無く伝わるだろうか。先ほどから表情に陰りの見える彼の顔を捉えれば、くはりと小さく笑い声を漏らし。「 ふふ、じゃあ遠慮なく 」 何がきっかけか調子を取り戻したように見える彼の様子に小さく安堵の息を漏らし。服の袖で石の表面を軽く拭ってから上着のポケットの中へと仕舞い込み。キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をしていた先程までとは打って変わり壁や天井を見ながら「 うん、大丈夫。お気に入りの場所に連れて来てくれてありがとうね 」 キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をして足元ばかりを見ていた先程までとは打って変わり、壁や天井、辺りへと視線を巡らせながらゆったりとした足取りで彼の後を付いていくはず。「 それがラッピングもだけど、加工の目途も立ってないんだよね 」こちらを見る視線と目が合えば、へらりと笑って見せるのは自身の計画性の無さを自覚しているが為。それに一晩の邂逅を通し世話好きなのだろう事が分かる彼の様子を受け、困った姿を見せれば力になってくれるのでは無いかなんて打算も少し。手伝ってくれる?なんて言葉は口に出さず、やや上目がちな視線を送る事でお伺いを立てようか。 )
連投するつもりは無かったのだけれど、何らかの手違いで同じ内容を二回送ってしまったみたいだね…。この謝罪も含めて場所を取っちゃってごめんね…。
>ゼズゥ(>1595)
ああ、俺の故郷で“夢”を意味する言葉さ。
(彼女の好奇に頷きを返す。それからその名を改めて説明する表情には懐古と情愛の綻びが含まれて、面持ちは春の夕暮れのような柔らかなものに変化する。「…俺の一番好きな言葉だ。」そうもう一つ、案に出した理由を表情に違わぬ穏やかさで付け加えて話を綴じる。――問いに返されたのは二つの目的地。それこそがこの交渉事に対する是の答えであると直ぐに理解して、一度満足げに鼻を笑い鳴らした次、「オーケー、二日後だな。」己の音でも日時を繰り返して約束を確かに結んだ後、差し出された掌を覗き込んでみればこれまた望みの物。「ほう、」嬉々籠る感嘆の声を洩らして再び顔を上げた所に、ジョークを纏う微笑みと出会し、「……フ、ハハッ!そんじゃ、頑張って“お利口さん”しとかねえとな。」思わず声を溢した勢いのまま、今度は悪戯小僧の如くにんまりと口の端を弛めて、些かわざとらしい丁寧さでその単語を引用する事で契りを確と結び、リボンに彩られたそれらを受け取る。「いやあ、此処で初めて会ったのがアンタで良かった。」唐突に攫われた常夜の異界、目の前に現れた怪物。それでも臆するどころか、この状況において最上を選び取れたと沸き立つ喜色を、満面の笑顔と彼女へ向ける真っ直ぐな友愛混じりの安堵に示して。「さて。お互い目的のモンは手に出来たし、此処ともそろそろお暇の頃合いかね。」彼女は至高の煙を、己は次なる探険の約束を。交渉の成立を改めて言葉に変えて確かめた後、少々の名残惜しさに室内に一周視線を巡らせた終わりにまた彼女を視界に捉え、その是非を視線の先の瞳に窺う。)
>グレン(>>1596)
コックが増えたらスープが台無し、ってやつね
(見る者によっては依存、あるいは全幅の信頼とも受け取れる彼の答えにコミカルな様子で肩を竦めて短く吐息するように笑って。必要以上に手を出せばかえって状況を悪化させてしまうかもしれない、そんな危ういバランスで成り立つ彼らの関係を理解したうえで〝向こうから頼られなければ〟これ以上は干渉するまいと心に決めて。「 ちゃんとお礼が言えて偉いじゃない。ついでに美声の友達を何人か紹介してくれりゃもっと良いわ 」お気に入りはなるべく広めず独り占めした方がよいと思っていたが、自分が素敵だと思った場所に共感を示してくれる存在がいるのも悪くない。屋敷に呪縛された哀れな怪物の身で心がほんのりと暖かさを取り戻すような感覚を味わえる夜は多くない、だからこそ対価を求めるような口ぶりながらもカラリと歯切れのいい口調でブラックジョークを添えるに留めて「 それ、おねだりのつもり? 」元よりへらへらしている態度を好かない人魚は途端に細い眉を吊り上げ「 ハイネはそのキレーなお顔できゅるんと甘えたら我儘聞いてくれるんでしょうけど、アタシはそうはいかないわよ 」ゴテゴテキラキラのネイルで鋭く尖った食指をびしりと彼に向け、しかし突き放すではなくふんすと鼻息を荒くした後に腕を組んで彼の前に立ちはだかるように仁王立ち「 これ以上何をして欲しいのか、きっちり言葉にしてお願いしなさい。じゃないと相手には伝わらないし、それが然るべき態度ってもんでしょ 」愛を以って厳しく生徒に接する鬼教師、もしくは人魚の紹介者である死神の言ったクイーンという形容表現が相応しいお説教は、か弱い人間がこの屋敷で出来る限り有利に事を運ぶのに必要であろう心構え。ダークエルフだけの寵愛を得られていれば生きていけるだろう彼に対して夏炉冬扇な内容かもしれないと承知の上で真っすぐに伝えるのは、きっと彼の事をこの先も気に掛け続ける対象として見捨てていない証拠なのだろう)
>ナミル(>>1599)
……あたしにとっても好きな言葉になった。
(きっと彼にとって思い入れのある単語であろうことはその抒情的な表情から伺える。そっと灰皿に目を落として、夢の名を関する燃え殻をそっと指先で撫でながら呟いた声は今夜最も柔らかな音で部屋の静寂を揺らして。「 二日後に傷だらけになってても治してあげないからね 」イメージしたのは言いつけを破り探検を重ねた結果、約束の夜を迎える頃にはすっかり生傷まみれになってしまった少年の姿。無論この屋敷ではそんな生易しい傷を負うような状況に至れば致命傷を免れない事態の方が多いだろうが、彼がそれを理解してくれている事を信じ冗句として言葉を返して。「 …そんな事初めて言われた 」命を奪う怪物として人間たちから忌避される存在には聞き慣れない評価。口をへの字に曲げたままぽかんと瞠目したのち「 結構嬉しい 」と素直に感想を。初夜とは思えぬ有意義な時間を前に未練はなく、「 そうだね 」と返事をしてずるりぬるりと重い鱗を引き摺り部屋の出口へと。そのまますぐそこで待ってくれていた彼の自室の扉前まで送れば「 じゃ、またね 」と端的に今夜の邂逅を結び、彼から何も追加で呼びかけられる事がなければしっかりと扉が閉まるのを視認してから、再度単身でラミアの研究室に戻るのだろう。〝夢〟の量産について、可愛い使い魔に火急の指示を出すために)
>ゼズゥ(>1601)
……そうか。
(自分も、と。そう聞いて胸を擽った感情は嬉しさだろうか、それとも親しみだろうか。どちらにしても暖かく心地好かったそれが悪いものでは無い事だけを確信して、ふっと柔らかに相槌を打った。その後に続けて、「ハッ、厳しいな。」忠告の布を被った冗談に此方も軽口と肩を竦める仕草を。――己の問いに肯定を返して動き出す彼女の後に付き、「おう、またな。」一時のお別れに片手を振って、今宵より自室となった部屋の中へ。……ドアが閉じ、一人の時間。まずはソファに座って一息吐き出し、頭を背凭れに預けて窓向こうの月を仰ぎつつ、此処に来た瞬間から今までに詰め込まれた情報を、頭の内で解いて整える。「――随分面白いくたばり方すんだなあ、俺は。」事故も病も見た、飢えも獣に襲われるのも。逃れようの無いこの早世の運命に起きた突飛な奇跡に、そんな感嘆を零して。それから思い出すのは、つい先程まで顔を合わせていた怪物。気怠そうで憂うようで、しかし頼られる事を好ましいと言った、世話焼きの優しい蛇。「……まあ、悪かねえ。」彼女の瞳に灯った光と、“嬉しい”と告げた声を浮かべた目の前に、おまけと受け取ったリボンを纏う煙草と己が薬指を飾るシルバーリングを見詰めてそう笑い。「――さて。風呂入って飯食って寝るか!」暫し浸った感傷じみた静寂を破り、がばりと勢い良く身体を起こしてそう一人今夜の行動を決め立ち上がる。――いつでも剛毅豪快な虎は、異界と残酷な宿命に捕らわれたとて変わらない。まずは今生きる為の営みからと、普段と同じ大きな足取りでこの常夜を歩き始める。)
***
よう、そろそろこの辺が頃合いだろう。初日から外出歩けて、面白いモンも見れて中々楽しかったぜ。あんがとな。
互いの事すらまだ何も知らん俺達だ、この先予想もつかんくらいの長い道程が待ってるだろうが……まあ、気長に付き合ってくれよ、ゼズゥの嬢ちゃん。
さてと。名残惜しいがここらで交代の時間だな。次は狩人の坊主の出番で、随分前に宝箱で話した流れの通り【月夜の晩酌】といかせてもらいたい。…いやあ、もうちょいガキのまんまでいて楽しむのも悪かねえとも思ったんだけどな、早いとこアイツの酔っ払った所が見てえって坊主が言うからよ。酔ったついでにガキん時の事でも突っついて肴にしてやるといい……なんて、ハハッ、いや冗談さ。
ふむ、俺から伝えとくのはこんなもんかね。そっちから何も無けりゃ、晩酌向けの文を練ってくるが……どうだい、何かあるかい?
>ナミル(>>1602)
こちらこそありがと。メタっぽくなるけど、あたしにとっても初めて屋敷で話せた人間があんたで良かったって思った。……やっぱ今の無し、忘れて。
あたしらは気長に過ごすのは慣れてんの。あんたこそ途中でくたばんないでよ。
そうだ、そんな話したよね。すごく綺麗な流れのストーリーだったから楽しみにしてたんだ、…レオが暑苦しい酔っ払いに絡まれて嫌な思いしなきゃいいけど。今のところ追加で相談させて欲しい事はないから、月夜の晩酌の始まりを楽しみに待ってる。
……ああそうだ、ナミルは今夜で本登録だからまた後でメニューに載せさせてもらうね。もし不備とか差し替えがあったら遠慮なくいつでも言って。
じゃあ、またね。
>ゼズゥ(>1603)
ふむ。では、ここから先は私の出番だな。
また久しぶりに彼に会えるというのに、嫌だと思う事などある筈が無い。…夢に見るほど楽しみにしていたのだからな。
虎の彼についても承知した。それでは、今夜も楽しい一夜になる事を願おう。
***
(狐の神通力による騒動から少々。無事元の姿へと戻り、自室へと帰って暫し経った夜の事。ここ何日かは約束通りに貰った大工仕事の端材を相手に、作業台と決めた机の上で笛作りに勤しんでいた。「ふむ、」一つの区切りに道具を置いて、拙いながらも見た目だけは整った笛を掌に乗せて眺めながら、「……困ったな。」ふとそう呟いたのは、この数日間目の前を過る追憶の所為。木や土の香りが沈んだものを起こすのか、それともドラゴンの彼と過ごす際に辿りなぞった想い出が呼び水になったのか、不意に浮かぶ幼い記憶が作業の手を何度も止めてしまう。「…どうしたのだろうな、私は。」この異界での運命を受け入れた。元の山に未練と呼べる程のものを残してもいないし、帰りたいと願う郷愁も無い。それなのに追憶の度に胸に吹き抜ける木枯らしのような寒さ。その解決策を見付けられず慣れない悩み事に困惑する思考回路は寄った眉に顕れる。「……ラザロ、」つい、口から彼の名前が零れ落ちた。危険な道では手を引いてくれた、困った時弱った時、助けてくれた彼の姿が灯火のように思考を拓いて。――会いたい。それは殆ど直感だった。彼に会えたのなら、話が出来たのなら、この囚われて絡まる“何か”も解けるだろう、などと。無防備なまでの信頼に根付くらしくもない衝動のまま立ち上がり、ポケットの“お守り”と持ったままだった形だけの笛を確と握り締めながら部屋のドアを開き、まずは通路を見回して無意味に等しい安全確認を――と、そこに。見覚えのある蜥蜴が視界を横切っていった。「あれは、ラザロの……」烏、蝙蝠と数居る中でもこの個だけは唯一間違える事は無い、彼の使い魔。「そこの君、待ってくれ、」初夜に受けていた忠告が縛った躊躇いを振り切って、その小さな背を追う。……その後どの角をどう曲がって、どの階段を上り下ったかは解らない。ただ、いつの間にか追い掛けていた姿を見失い、その代わりに――あの夜見た頑丈で無骨な、彼そのものを表したような扉が眼前に佇んでいた。事態を理解出来ず一度瞬いて、しかし本来の目的を思い出した右手の甲でノックを三度。「ラザロ、其処に居るか?」まず在室の確認を取った次、「その……今日はどうにも、寂しい、ようで。君の顔を一目見たいのだが、」普段に比べて辿々しく困惑を含んだ物言いになるのは、この感情にも、それを音にするのも不慣れであるから。それでも彼是と飾る事を知らない言葉を真っ直ぐ扉の向こうに伝えて、「…良ければ、此処を開けてもらえないだろうか?」己の膂力では到底開きようもない重厚な扉に掌を添え、請い願う声で面持ちの知れない彼の意思を窺い返答を待つ。)
>レオ(>>1604)
(大きく開け放たれた窓からは冴え冴えとした月光と心地よい夜風が舞い込み、静けさも相まって心の落ち着く穏やかな夜気の流れる時間――なのだが、部屋の主たるドラゴンは多少上気した頬を引っ提げいつも通りのしかめっ面。窓に対面する形で床にあぐらをかき、行儀悪く床をテーブル代わりにして酒瓶やらつまみやらを散らかしながら、重く冷たい鉄製の大きなジョッキの中身を飲み干してガツンとテーブルに打ち付け「 糞…ッ 」何かに悪態をつきながらごつごつと骨張った手の甲でグイと口元を拭って。そこで割り込んだノック音に、相手はきっと同胞の誰かだろう、世話の焼けるゾンビか堕天使辺りが暇潰しにやって来たのかと推察するも今は酒を呑まねばやっていられない気分。彼らの賑やかい雰囲気に付き合える心の余裕はなく「 後にしやがれ! 」そう扉の向こうの同胞へ声を張り上げたところで、聞こえるはずのない人間の声がした事に一瞬身体の動きを止めて。「 ……レオか? 」確認の形を取ったのは彼の声を聴き当てる自信がないわけではなく、本当に人間が自力で怪物の部屋を探し当てることなど不可能に近いため空耳でも聞いたのかと自身の耳を疑っているから。いつもの毅然とした調子とは異なる弱々しさを含む声色に気付いてしまえば放っておけず、舌打ちしながら立ち上がって分厚い扉を手前に開き「 ……訊きてえ事も言いてえ事もあるがよ、とりあえず入れ。 」もしや怪我をしたのかと反射的に心配したが、見下ろした彼をざっと眺めて目立った外傷が無い事に内心で安堵。しかし廊下で立ち話をするところを誰かに見られるのは面白くない、怪訝そうな表情のまま扉を支えていない方の手で相手の腕を掴み、窓が開いていることで緩和されているもののやや酒の匂いのする部屋へと引っ張り入れようか)
>キルステン( >1600 )
美声の友達、かぁ…………心当たりが無い訳では無いけど
( 現世ではある程度の人脈を紡いできたつもりだし、その中には無論声で稼ぐような人種もいる。然しながら彼らがこの屋敷で過ごしていけるような性格をしているかはまた別の話で。すぅと目を細め 「 僕と違って聞き分けがいい訳じゃあ無いから、きっと直ぐに怪物のお腹の中に収まるよ 」 先程の歯切れの悪さから一転、にっこりとした笑みを浮かべて見せて。数回瞳を瞬かせたのは求めるものを読み違える、なんて普段では絶対にしないような失態を犯してしまった自分自身への驚きから。可愛く見上げてお強請りだなんて、それ程してきた記憶も無く思い当たる対象はダークエルフだけ。そんなところに思考が到着すれば自身で思っている以上に深いところまで侵食されている現状に思わず漏れ出た笑い声は予想以上に大きく、彼の尖った爪先がこちらに向いている事も構わずに 「 ……ははは!ごめんごめん。ハイネにおねだりする時の癖がついちゃってたみたいだね 」 一頻り笑った事により目尻に薄らと浮かぶ涙を人差し指で軽く拭い取ってしまえば、に、と口角を持ち上げ自信ありげな表情とともに 「 ラッピングと加工、手伝って欲しいんだ。対価としてあげれるものって言ったら僕自身しか無いんだけれど……きっとキルステンは “ 僕を欲しい ” とは思わないだろうけど 」 言葉の締めはやや自虐風味に、けれども決して悲壮感が漂うものでは無くたっぷりと茶目っ気を交えたもので 「 もちろん、今夜じゃなくてまた後日でも構わないよ。キルステンにも用事があるだろうし 」 今夜だってかなり急なお願い事だったに違いない。この世話好きな人魚が否定的な返答を返してくるだなんて考えてはいないものの、矢張り伺いを立てた事への返答を待つ時間は不安を煽るものに変わりはなく。どうだろう、と言葉として出すことはしないもののゆるりと首を傾げて )
>グレン(>>1606)
(彼に対して話に聞いていたよりも幼い印象を抱いていたからこそ、叱られて臍を曲げるほど子供ではなかった事に良い意味で予想を裏切られ笑う彼を見つめるに留めて。そうして思い当たるのは今しがた彼の放った自己評価、ふっと笑って「 確かに聞き分けがいいわ。ハイネに深ぁく気に入られるわけね 」納得したように呟き、きちんと自身が促したように依頼事項をてきぱきと話す相手に満足そうに頷いて、口角を上げて微笑の形を作りながらも気合を入れるように眉尻をきりりと上げて「 任せなさい、このキルステンにかかればアンタに無様なモンを持って帰らせたりしないわ 」堂々言い放って彼に向けていた食指の先、その照準を1mほど横にずらして――勢いよく紙を引き裂くような音と共に指先から射出された水が洞窟の壁にごくごく小さな、それでいて深い穴を穿っていて。人魚よろしくウォーターカッターの要領なのだろう、確かにダイヤモンドですら容易に繊細に加工できそうなその威力をお披露目した後「 どんな形がお望みかしら 」丁度そこにあった切り株のような形の岩に腰掛け、勝気な笑みと共に注文を受け付けてから「 お代は考えとくわ 」と申し添えて。本当は無償でも構わないのだが、それを伝えると安心を与えると同時に遠慮もさせてしまうかもしれない。そんな配慮から対価の事は後回し、あくまで彼が自身を呼び出した本懐を遂げるべく彼の言葉を待とう)
>キルステン( >1607 )
ふふ、でしょう?
( すぅと双眸を細め見せるのは先程までと比べやや大人びた表情。有り体に言えば素直な本質は誰かに求められる為に、他者が自身に望む姿を演じるためにと吸収し演じる賜物なのだが、それを口にするのは無粋かつ己にとっての弱味をひけらかす事に繋がるために言葉にする事はせずに。自信満々な彼の指先から放たれた水が壁に穴を穿つ様子に驚きの表情を見せるのはほんの僅かな瞬間。きっと瞬きの間に口角を持ち上げた常の笑顔が戻っている事だろう。座した彼と対面する位置に立ち 「 んーー、そうだなぁ…… 」 悩む素振りを見せるのはお洒落で唯一無二のものを贈りたいというエゴに塗れた気持ちの反面、きっとそんな物よりも目立たないシンプルなものの方がきっと彼は好むだろうとの気持ちがあるから。ポケットに仕舞込んだ石を取り出し掌の上でコロコロと弄ぶように転がしながら思考を巡らせること暫く、漸く考えが纏まれば 「 まぁるい形でお願い。何処にも引っ掛けたりしないように、なるべく角のない丸い形 」 彼が手を差し出してくれるのならその手の上に自身の瞳の色に似た石を乗せるつもりで。 「 きっとキルステンなら華美なカットもしてくれるだろうけど、ハイネはあんまり身に着けてくれなさそうだからさ 」 あくまで目的は “ ダークエルフが身に付け、見る度に思い出すような贈り物をする ” その一点がブレる事はなく。今宵の代償については口を挟むのも野暮かと口出しすることはせずに )
>ラザロ(>1605)
(ノックの直後に扉を突き抜けた声の大きさに一瞬肩が跳ね、添えた掌も離れかける。しかし問いかけにまた直ぐに五指を揃え置いて、「ああ、私だ。レオだ。」明確な肯定の答えを。それから開いた其処に気弱に萎れた表情は温く弛み、見下ろす彼とは対比にその顔を仰いで安堵の息を小さく吹く。「有り難う、ラザロ。」扉を開けてくれた事にも、物言いたげであれど唐突な己の訪問を許してくれた事にも礼を告げた後、引かれた手のまま彼の部屋に足を踏み入れる――と、そこでふわり漂ってきた空気に気が付く。縁遠く嗅ぎ慣れてはいない、だが知ってはいるもの。「……ん、」目の前の彼の姿ばかりに寄っていた意識を広げて、鼻を澄ませ視線を室内に流してその正体を探る。……前に見た時と殆ど変わらぬ内装の床へ置かれたジョッキと、再び見上げた先の彼の僅かに赤い頬と、その身に纏う匂い。「…ああ、酒を飲んでいたのか。」掘り起こした街中の記憶と現在の状況の照合がようやっと済み、先程のドア越しに聞いた声へ一人納得の呟きを零し落とした後に、「すまない。君の余暇を邪魔するつもりはなかったのだが……」自己都合ばかりであった自覚の芽生えが今頃衝動を冷まして、居た堪れなさに苦く眉を下げつつ詫びを先ず一つ。続けて、「……どうしても、君に会いたくてな。」更に綴った自らの言葉に引っ張られて、視線も声も些か沈めた次に、「ほんの少しの間でいい。今だけ、君の傍に居させてほしい。」今度は彼の瞳を真っ直ぐに――ほんの僅かな寂寥の揺らぎを湛えながらも確と見据えて、「……構わない、だろうか?」今夜この一時、彼の隣へ身を寄せる許しを希い問い掛ける。)
>グレン(>>1608)
真円?楕円?球体にすりゃいいのかしら
(ただでさえきらきらしたものを得意な方法で加工できるなんて楽しくて仕方ないのに、誰かに頼られてとなれば世話好き冥利に尽きる状況。それも贈り物の品となれば健気な彼のイメージに出来る限り近い仕上がりにしたい、そんな思いから掌に受け取った宝石を色んな角度から観察しながら弾むような声色で問い掛けて「 まあ正解なんじゃない?彼、こだわり強そうだし 」仲が良いわけではない人魚とダークエルフの間柄、何なら人魚の側からすれば決して良い印象はない――好みの人間だけを好き勝手に囲って閉じ込め一方的に愛し、それでいて飽きればその甘い檻から無慈悲に放逐する身勝手なオトコ――そんな印象を抱いているため当然好みなど知る由もなく。それでも彼の考えを後押しする気遣いは忘れず「 ほんとに身に着けてくれるんなら、アンタよっぽど愛されてるわね 」それが永遠でなくても依存の愛に溺れなければこの屋敷で生きられないのならば、綺麗事は置いておいて彼らの歪んだ関係を否定すまいと。落とさないよう慎重に親指から数えて三つの指で加工前の石を摘まんで近くのランタンの灯りに翳して)
>レオ(>>1609)
…呑まなきゃやってらんねえ夜もあんだよ
(いつ何時でも弱みを見せず漢気を誇示し、恰好をつけなければ男ではない。そんな暑苦しい矜持を負う竜だからこそ、人間というより一層威風を見せ付けなければならない相手に散らばった空瓶を見られてしまった事に間が悪そうに小さく舌打ちをして、くしゃくしゃと短い髪を掻きながら言い訳をぽつり。重々しい音と共にずっしりと閉まった扉に背を預け、彼の言葉ひとつひとつに口を挟む事無く耳を傾け「 テメェにとっちゃ〝誰か〟の傍に居なきゃやってらんねえ夜ってわけか 」彼の意図、心情をすっかり理解したつもりで、しかし一点だけ――彼が訪ねたのは不特定の怪物ではなくこのドラゴンなのだということだけ――を曲解したまま、先ほどまでの苛立ちはどこへやら酔っ払っているがゆえの感情のスイッチの緩さか僅かに赤い頬を上げニカリと笑い「 邪魔するつもりじゃねえってんなら証明しな 」眉尻は吊り上げ挑戦的な笑みのまま、ずかずかと窓の前の晩酌地点に戻りドカリとあぐらをかいて。そうして自らの右隣を太い尻尾でビタンと叩き「 付き合えよ、レオ 」座布団やクッションの類を用意する繊細な気遣いは不器用な竜には適わず、〝オイ!〟と声を張り上げればトカゲの使い魔がちろちろとやってきて、木で出来たジョッキを芳醇な香りの葡萄酒で満たしたものを魔法の力で運んで。もう一匹別の個体が気を利かせて大きめの柔らかなビーズクッションを運んでくる、後は下に敷くでも体重を預けるでも使い方は彼に任せるつもりでちょこちょこと去って行き)
>ラザロ(>1611)
(己の心情を改めて彼の言葉に直された折、ほんの僅か何かずれているような感覚が胸に靄を張り、だがそれは声にする前に霧散した為に閉口する。見上げた彼の笑顔に彼是俯いていた感情も暖まって、気分も上向いた所へ告げられる言葉に一度瞬き、「……証明?」その一部を切り取って疑問の独り言を呟く。だが続けて床を打った尾へ求められる行動を理解すれば、素直と頷き彼の隣に添い。二匹の使い魔が持ってきた物の内まずはクッションを受け取り、敷いたその上に胡座を組む形で腰を下ろし、その次に木製の器の持ち手を掴み慎重に胸の前までそれを持ってくる。そのままジョッキを満たすものに興味津々と顔を寄せ、すん、と微かに鳴る音と共に鼻を利かせて中身を確かめ、「ああ、葡萄の酒か。珍しいな。」そもそも関心が薄く特別意識する機会さえ少なかった中でも、己の街にはそう見かける事の無かった酒種に感嘆を零す。しかしながらそれ以上には近付かず、寧ろ少し離してしまった濃い赤の水面には、些かそわつく躊躇を覗かせた眉の下がった面持ちが映る。それはまるで、唆しに言い付けを破ってしまう寸前の子供のような――ふと、上げた視線で隣を窺う。おずおずと強張った仕草のそれは、傍のドラゴンの姿を視界に収めた数秒後に安堵らしき表情へ緩んで。「……頂きます。」葡萄酒そのものに、或いは彼へ、感謝を籠めた挨拶を渡した後、「そうだラザロ、乾杯をしないか?」祝い事でも何でもない、二人だけの飲み交わし。それでも祭りの夜に似た浮わつきが僅かに滲み始めた心が、数少ないその経験を彼と成したいと、ジョッキをそちらへ持ち上げさせた。)
>キルステン( >1610 )
真円で、二つ出来るようにお願いしたいな。
( 悩む素振りも淀みもなく答えるのは、彼はそう言った態度を好むのだと学んだ事が半分、ちょっとした細工を思い付いた事が半分。但し、その思い付いた事を実行するためには自身の持物だけでは叶わ無いことは明白で 「 ねえ、キルステン。これは可能ならで良いんだけれど、小型のナイフとかそれに見合う先の尖った物を数日貸してもらう事は出来る? 」 理由を尋ねられるのならば、きっと怯むこと無く「 石の裏側から彫りを入れたくて 」 なんて少しでもデザイン性のある物にする為のアイデアと共に 「 石を探すだけじゃなくて、僕も何かしたいから 」 なんて心中を苦笑混じりに伝えるはずで。拘りの強いダークエルフも形が特徴的な物は好まずとも、透かして見える程度の彫りであれば『 可愛い事をする 』 なんて言葉と共に見てくれるだろうなんていうのは己の甘えだろうか。暗いモヤが頭に浮かびかけたところを晴らしてくれたのは後押しをするかのような彼の発言 「 ふふ、着けてくれても着けてくれなくてもキルステンには報告するね 」 今の所自信は半分以下と言ったところ。然しそれを覆い隠すような満面の笑顔を浮かべて見せて。彼が灯りに翳した石は反射によって青く見えたり紫に見えたりと不思議な色合いをしているはず )
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