執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>グルース(>>1556)
(どんな事でも――その言葉に万能の力など無いというのに、あわや〝自由〟の希求を口走りかけたのは彼に獲物の無力を知らしめる為の意地悪か、それともとうの昔に宿命を受け入れ未練の火が消えた筈の炉に一抹の燻りを感じたからだろうか。いずれにしてもランプの魔人を彷彿させる少年の魔性に刹那とはいえ中てられたのはきっと誤魔化しようのない事実、侫悪な悪魔ではなく単純な同胞の誰かであれば彼の虜になっていたかもしれない。怪物すら魅入ってしまいかねない彼の性質に思わずくつくつと肩を揺らしながら低く笑って「 こンお屋敷では無力なヒトの約束ほど儚いモンそうそうないで 」尾の先端に触れた体温の何と熱く感じた事か。その熱をもっともっとと欲しがるように窓へ預けていた体勢をふわりと直立に戻したかと思えば嘘か幻のようにその姿は掻き消える、まさに人の命が風前の灯火と揺らぎ消え去る儚さを体現するように。自身を見上げた彼のその背後に音もなく再臨すれば後ろから彼の首へと腕を回して、尻尾で撫ぜた顎を今度は冷たい指先で柔く掴み「 君こそ。その夜まで長生き出来そうなん? 」背後から彼の耳元へ寄せた唇で、その約束が果たされるのかを問い掛けても仕様のない雲を掴むような事と解っていながら微笑みのままに投げ掛けて)
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