執事長 2020-02-25 19:00:33 |
通報 |
>レンブラント(>1555)
(触れるひやり冷たい悪魔の象徴。そちらに一度視線を寄せ、それからまた彼へ移して贈る眼差しに、一瞬の幻とした濃密さを再び浮かべる。「……勿論。僕にあげられるものなら、何だって。」おねだりにも聞こえるその問い掛けを甘く肯定し、緩やかに上げた指は顎に添うそれの形を柔くなぞる。「僕の言葉を果たしてくれた夜、部屋を訪れたその時に、」雛の羽を繕うような、子の髪を梳かすような、優しい優しい慈しみの掌で鏃を撫でさすった後、徐と五指に包んだ其処に唇を寄せて、「思うまま、満たしたいまま――君の望みを言ってごらん。どんな事でも、叶えてあげる。」彼を捉えたまま一度も逸らされぬ夜鳴鶯の瞳。陽と若葉を映す澄んだ湖面のその内、欲して手を伸ばせば何処までも沈み包んでいく底無し沼の甘露を湛えて、愛しみあやす音色で言葉を紡ぐ。「……約束するよ。」そう締め括って彼の尾を離し、後ろに両手を組んで低い靴の踵を一歩前へと、互いの距離を縮めて。「…仲直り、出来そうかい?」まるで、己の方から頼み込んだと言わんばかりの下手の問いに、拗ねる弟妹の機嫌を窺うような微笑ましい視線を添え、彼を見上げる為にほんの少し反らしたその首をゆったりと傾げて鋭い琥珀色を見詰める。)
トピック検索 |