執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レオ(>>1112)
(ひとときの戯れを愉しむような微笑のまま、さて出来栄えのほどはとその姿に注目する。子供らしい全体的に丸みを帯びたフォルム、見るからに骨までも柔らかそうな玉肌、鈴を転がすようと表現して差し支えないであろう少年らしい声――ふむ、と顎を引いて「 なかなか愛いではないか。その時分に攫われてくれば良かったものを 」狼狽する青年、否少年とは裏腹に実行犯である九尾は当然余裕綽々の態度のまま満足そうに閉じたままの扇で自らの手の平を淡く数回打ち、今の貴方にとっては特段に益体もないもしもの話を口惜しそうながらも微笑のまま落として。しかし自らの名を呼び捨てにされれば柳眉はキッと吊り上がり、虚空にて指を弾くような動作を取ればたちまち不可視の空気砲に似た軽い衝撃がピシッと縮んだおでこに届くだろう「 不遜であろう。吾の事はギンハ“様”と呼べ 」有無を言わさずそれが暗黙の了解なのだとも言い出しかねない威圧感を纏わせた声でそう命令し、転んでしまった身体をそのままに眺めながらバサリ扇を開いて口許を隠すように顔に添え「 知れた事、鏡を見れば一目瞭然よ。次いでじっくりと世界を見てみよ。どうだ、つい数分前とは何もかもが違って見えるであろう?即ち退屈とは無縁の身体じゃ。それに何よりも見て可愛ゆし、吾にとっても退屈凌ぎとなろうぞ 」つまりこれは互いにとって得のあるお遊びであると。幼気な姿を鑑賞するように目を細めながら、ふと気付いたように僅かに身を乗り出して何かを見立てるように悩む雰囲気を醸し「 どれ…、ふむ、四ツ身でよいか。おいそこの、持って参れ 」いつからか控えていた子狐の使い魔に申し付ければキュゥと鳴いてどこかに消え、すぐさまその小さな背に何かしらの布を乗せてトタトタ帰還する。その布を受け取れば“ほれ”と貴方に差し出し「 動きやすいよう甚平にしておいた。着てみよ 」どことなく九尾の衣装を彷彿させるような、紅地に白い装飾の入った甚平は着易い上に動きやすく洗濯も容易で、まさに遊び盛りの少年にうってつけのチョイス。しかし着方が分かるかどうか、自らは一歩も動かないながらも視線だけはしっかりと貴方の動きを追って)
>カナニト ( >1113 )
( 人間では無い、そう直接的では無いもののそう見える事を肯定して良いものかと視線を彷徨わせればこちらを覗き込む穏やかな眼差しと交わる。その視線にやっとこくり、小さく首を縦に振る事で肯定の意を示した後に続く言葉は先程までの彼の緩い表情がなりを顰めたのを見るにきっと嘘偽り無いのだろう。あまりにも現実離れした事実をゆっくりと噛み砕いて飲み込むまでには数分を要したものの 「 ……そっか、 」 ぽつり言葉を溢した後に持ち上げた瞳は悲哀も困惑も大して宿ってはおらず。きっとこの屋敷の中で初めに出会った相手が彼のようにしっかりと説明をしてくれる相手であっただけ幸運なのだろう 「 ねぇ、カナニトくん。もし困った事があったら頼らせてもらっても良い、かしら 」 未だ見ぬ生物を拒むつもりは無いものの、今の己が持ち得るのは彼に伝えられた危険が存在するという事のみ。然程年齢が変わらぬように見える彼に頼るのは如何なものか、そんな思考が無い訳ではないものの言葉から推察するに彼も人間とは異なる存在。であれば、少なからず対話が出来て知っている彼が最も頼りやすい、なんて考えは単純な頭を持つ少女からしてみれば至極真っ当に行き当たる考え方で。話の中心を擦り替えられた事に小さく首を傾げるものの直ぐに笑みと共に首肯を一つ 「 ピアノと、あとは叔父さんね 」 己の師たる人間で且つ一番身近にいた、きっとプロの道も歩めただろう腕前を持ちながらそうなる事を選ばなかった血縁者。聞いて聞いて、私の家族って凄いのよ。そんな話は腐るほどあるのだが、すればする程に “ 近親者の栄光を着ているだけの子供 ” そんなレッテルを貼られて行った経験から開きかけた口は噤んで。「 今から? 」 こてり首を傾げては見せるものの、思っていたよりも早くピアノに触れる機会がやってきた事に瞳をキラキラと輝かせ。けれども直ぐに肯定しないのは彼の都合を考慮しての事。この屋敷に来る前の演奏の反省も済んでいない現状、きっと一度弾き始めてしまえば没頭して辺りが見えなくなってしまう事が容易に想像出来る。今すぐにでも触れたい、弾きたい、そんな欲望をキュッとスカートを握り込む事で抑え込み 「 …明日はどう、かな?どうせならいっぱい聴いてもらいたいし…… 」 顔に期待の色を滲ませる彼に申し訳ない気持ちは声色に乗せて )
>ギンハ(>1114)
(混乱する最中に名を口にすれば何か額を弾くものが当たって、思わず一度きゅっと目を瞑った後、「あ、ああ…すまない…?」まだ状況を掴みかねながらも、その冷たさに気圧されて詫びを重ねる。何とか起こした身をその場に座り込む形に落ち着け、彼の言う通りに部屋の隅に置いたままの姿見の方に視線を向けて「――っ!?」今度は声も出ない程の驚愕。床にへたり込む己の姿は、紛れも無く幼少のそれ。続く彼からの説明に理解はしたが受け止めきれない事実に、自らの丸い両頬を掌で捏ねれば、そこから伝わるむにむにとした柔らかな感触がこの出来事を現実であると声高に訴える。――呆けてしまった意識を引き戻したのは、子狐の何でもなく愛らしい鳴き声。それに尾を膨らませる猫が如く、大袈裟に身を竦めた後に彼の方を再度窺えば、何か布……言葉から察するに服らしい物を此方に差し出す姿を丁度捉えた。「……ええと、ありがとう。」この不思議極まりない状況の元凶は彼であるが、己の為に物を準備してくれたのは事実。一言の礼を基盤に立ち上がって、元の服を引き摺り蹌踉めきながらもその傍に寄り衣服を受け取る。――膝が出る事は然て置いて、一先ず下は着る事が出来たが、「……ん?む……んん…?」上はそうもいかない。なにぶん見た事も無い構造、普段着る上着には多少似ているが、それとは全く異なっている。くるりくるり何度も引っ繰り返している内に裏表も解らなくなり、「……その。ギンハ、様。」困惑のまま眉を垂らして彼を呼ぶ。先程受けた注意通り素直に、敬称も忘れず。「これはどうやって着るのか、教えてほしい。」些か怖々、顎を引いて彼の顔を上目に覗きつつ、その布を身の前に軽く掲げて着付けの教えを願った。)
>リリー(>>1115)
――――!ぼくのこと頼ってくれるん?、やったあ!
(ああ、この新入りの無垢でカワイイこと。目の前の怪物もいつ少女を食べてしまうか分からないのに、否ただ食べるより更に冒涜的なお遊びに巻き込まれるやもしれないのに。困ったことがあれば頼りたい、そのお願いを引き出せたことに達成感がぞくっと背筋を撫で、目を輝かせてはあくまでも見ての通り自身も怪物なのに貴方に信頼してもらえたことが嬉しいのだと弾む声色に乗せてはダボダボの袖を天に掲げてバンザイポーズ。“んしょ、”と袖を捲れば黒く塗られた爪――兄とは違い尖らせていない滑らかな指先が露わになり、手の平同士を向かい合わせて数cmの隙間を空けそこに魔力を集中させてゆく。十数秒の時間を掛けて無の空間から生成されたのは透き通った蜂蜜色のコウモリのチャーム付きの繊細なゴールドチェーンのブレスレット、両手のひらに乗せたそれを差し出して見せながら「 これ、リリーちゃんとぼくの仲良しの証。お守りにもなるから、いつでも付けとって欲しい 」片手に付ける以上きっと独力では装着し辛いだろうからと、自らブレスレットの端と端を掴むことで彼女の手首に装着するという意思を示し。特に拒まれなければ彼女が差し出した方の手首にそれを巻き付けてしっかりと金具を留め「 そんで、手首見るたびにぼくんこと思い出して 」恐らく華奢であろう手首と、その指先を冷たい手で包み込むようにして淡く握っては真っ直ぐに顔を向け“にひ、”と笑ってから手を引いて。「 そっかあ、叔父さんかあ。また今度、そん人のことも聞かしてやあ 」家族と同列に並ぶのはピアノと、又新たな要素である叔父の存在。キーワードとしてしっかりと脳内にマークしながらそう次に繋げて「 明日?明日かあ、んー… 」少しの間悩む振りを見せたのはまさにフリ、次の瞬間にはふにゃりと笑って「 いーよお、リリーちゃんのために時間空ける!ああ、今から楽しみやなあ 」落としてから上げた方が効果的と分かっていて戦略的にそう告げれば、今夜の成果は上々とばかりに締め括りに入ろうか「 他に知っときたいことある?いま思いつかんかったら明日でもええよお 」嘘なんてつかない、隠し事もしない、聞かれた事には全て答える。そのスタンスは崩さずにあくまでも貴方に疑問の抽出を委ね、しかし今すぐではなくきちんと時間的猶予を提示して)
>レオ(>>1116)
うむ。きちんと礼を言えて偉いぞ
(目の前の彼が大人の姿のままならば、きっとこんな甘く接しはしないだろう。半分は順調に召し替えが済んだが残り半分に四苦八苦する様も幼子だからこそ見ていて微笑ましいというもので、眼福とばかりに扇に隠された向こう側ではニマニマと口許の表情筋は緩んで。トドメにきちんと教えた通り素直に呼び名を改めたことには胸を打たれたようにくっと喉を鳴らせば一度俯いて、数秒後にまた面を上げて「 無論じゃ。おいで 」パチリ、扇を閉じれば袂へと仕舞い込んで両手を広げることで少年を招き入れる意思を示そう。導きどおりに寄って来てくれたのならば、小さな両脇の下に自らの筋張った両手を差し込むことでひょいと抱き上げ、膝の間に前向きに座らせて「 慣れぬ内は難儀するかもしれんが、一度覚えてしまえば造作もない。よおく見ておれ 」明らかに出会った時の数倍、数十倍デレデレとした甘い声色と話し口調にて語り掛けながらそうっと小さな丸い肩へと甚平を羽織らせて。そのまま不可抗力に後ろから抱き込むような体勢できちんと少年にも手元が見えるように服を繋ぎ止めるための紐をどのように結ぶかを教示して「 ほおら、簡単であろ? 」ぽむ、と頭に大きな手の平を置けば膝元に上げた時と同じように今度は床へと彼を降ろして「 その姿は――そうだのう、長くても二、三夜ほどで元に戻る筈じゃ。早ければ今夜のうちに戻る可能性もある 」言い終えれば静かに立ち上がり、そう説明を連ねては一度ちらと扉を見遣り「 中々良い退屈凌ぎであったぞ、レオ 」素直に好感触を口にするのもきっと今の貴方の姿が好みド真ん中ゆえ。このまま追加で何か問い掛けられなければ、満足したような足取りで静かに九尾はこの部屋を去るだろう)
>カナニト ( >1117 )
( 頼らせてもらいたい、そんなお願いに一目で分かる程に喜びを見せる様子にゆるり表情を和らげて。長い袖の内から出てきた指先を彩るのはマニキュアの類だろうか、少しの隙間を開けて向かい合わされている両手に首を傾げながら見詰めていれば瞬く間に無から生成されたのはブレスレット。“ わぁ…… “ なんて小さな感嘆の声を上げつつ、まるで本の中のファンタジーの世界みたいだと瞳をキラキラと輝かせて 「 貰っちゃっていいの? 」 念の為の確認はするものの、断るつもりなど無く彼が着けてくれる素振りを見せてくれれば左手を差し出し。華奢な白い肌にゴールドのチェーンが良く映える。体温を包み込むひやりと冷たい感触に驚きはするものの直ぐに笑みを戻し、首を縦に一度だけ振って見せて。彼の手が離ればブレスレットへと視線を送ってから再度紫の瞳と視線を交えて 「 ありがとう、カナニトくん。大事にするね 」 大きな瞳を細めるような満面の笑みを浮かべて。悩む素振りを見せる彼に、己には何も予定が無いものの果たして彼も同じだろうかなんて思い当たればさぁっと血の気が引いていくのが分かる。 “ もちろん、カナニトくんに何も予定が無ければだけれど “ 慌ててそう付けたそうと口を開きかけた時に耳に入ったのは肯定の言葉。それに安堵の表情を浮かべて 「 ふふ、約束ね 」 ピン、と小指を立てた手を彼の方へと差し出して。「 ううん、今は大丈夫。でも、また分からない事が出てきたら教えて貰えるかしら? 」 情報を詰め込みすぎたとてきっと分からなくなってしまう。それならば困った事があった時に聞けばいいか、なんて甘い考えは育ってきた環境故のもの。ゆるり首を左右に振ってから眉尻を下げて )
>ギンハ(>1118)
(先程とは打って変わって柔らかいような、いやに緩んだ雰囲気を纏う彼の仕草へ、仄かに不審を帯びた目を向けていたが、何か危機に類するそれではないと表情や声音に判断して素直に招きに応じる。抱え上げられる一瞬の浮遊感の後、座り込んだその背後から掛けられる言葉の甘さに妙に身をそわそわと、口許ももごもごとむず痒そうに動かしつつも、大人しくされるまま、教えを学ばんと紐を結ぶ彼の手元に見入る。「…なるほど、こうするのか。」頭に着方を落とし込むのと、彼の掌が髪に乗るのは殆ど同時であった。また下ろされたその場で、肩から踵まで己の姿を見回し服の心地と身丈の感覚を確かめる内、狐の彼はもう立ち上がっていた。「ああ、えと…そうか、良かった…?」咄嗟に顔を上げて返事をしたは良いが、どうもそれは的からずれている気がして、疑問符が語尾を追っていく。それでも去る背を見送った後、一人残った部屋の真ん中で改めて、彼が来る前より高い位置に映る内装を眺めつつ、状況の説明をもう一度反芻する。「……早くて今日の内、長くて三日、だったな。」歩幅や目線に違和はあれども、そのぐらいならば。そんな些かの楽観に思考を傾けて――かた、と風に窓が鳴る微かな空気の振動に再び肩が跳ねた。思わずそちらを振り返って歩み寄り、窓硝子やその向こうに何も無い事を視認した次、今度は室内で作業中の使い魔達の物音や揺れる尾に意識が引っ張られる。「……ん、んん?」いやに落ち着かない身体の感覚。……気の所為だろうか、どうも耳目や首回りがいつも以上にぴりぴりするような。それらを確信に至らせる暇も無く、また己の視線を奪ったのは、眼前を丁度横切った蜥蜴の尻尾。途端、目も瞳孔もかっと興味に開かれ――気付けば伸びた片手が寸での所で尾を掴み損ね、空を遠慮無しに握り込んだ所であった。「………?」使い魔などこの屋敷では見慣れている筈で、この蜥蜴の作業を妨げてもいけないと自制も過った筈。だからこそ、自らの行動にきょとんと空振った掌を不思議そうに見詰めて、小さな拳の開閉を繰り返し首を傾げる。だがそれも飯時の準備が整った事に掻き消え、普段のテーブルに着席してぴしり背を伸ばし、「……いただきます。」目の前に置かれた湯気立つ食物達に一声礼儀を正して食事を始めた。)
***
一つ区切りと見て言葉を掛けさせてもらう。…うむ。無事に、と言って良いのかは解らないが、とにかく小さくなる事は出来たな。折角だろうと、少々縮んだ後の事も描写させてもらったが……何か解釈違いだったらすまない。
さて、私がこの状態でラザロを呼ぶか、部屋の外を覗いた所に鉢合わせするか、または向こうが様子見に来るか……何れにしろ、彼と顔を合わせる事になるのは確定と見て良い。状況として一番可能性が高そうなのは、“今度こそ真っ先に思い付いたラザロを呼んだは良いが、待ちきれずに部屋の外を覗いた所に鉢合わせ”という所か。これに何か必要な描写があればそれを綴ってくるし、そうでなければこの前提を持ってそのまま次の夜に移ってもらって構わない。
それでは、次の返事を待っている。
>リリー(>>1119)
うんっ。思ったとおり、よー似合う!
(しゃらり、手首に煌めく装飾は嫋やかな彼女の魅力をより一層引き立てるようで満足気にふにゃりと破顔して見せて。数あるアクセサリーの中でも態とブレスレットを選んだのは、ピアノが生活の一部であるという少女にとって手はケアすべき部分であり、目にも入りやすい部位であろうと――即ち、他の装飾品と比較すれば彼女の視界に入る頻度が高いだろうと打算してのこと。それを見るたび『優しくて親切なカナニトくん』の存在を反芻してくれればいい、というエゴも表面には出さずともしっかりと思いは込め、差し出された可愛らしい小指をじっと見つめる。小指同士を絡めるそれが人間界では約束を意味する慣習だと知ってか知らずか「 ……?、こお? 」困ったように小首を傾げてから、冷たいが柔らかな頬を指先にぷに、と寄せて「 うん、約束 」その状態のまま少女と視線を合わせて緩く微笑んで「 あったりまえやん。リリーちゃんみたいな可愛い子ぉに頼ってもらえるん嬉しいわあ 」顔を引いてから立ち上がり、半腰になってはふわふわで滑らかな手触りの生地で織られた袖越しに彼女の両頬を手でそっと一度だけ包んで。「 んじゃあ、今日はこのへんで。なんかあったら、そのブレスレットに向かってぼくん名前呼んで。リリーちゃん、おやすみぃ 」終始青年とも少年ともつかないあどけなくも穏やかな微笑を扉から退出するまで絶やさず、扉が閉まるまで廊下からひらひらと手を振って。結局二口しか飲まなかったココアのマグはそそくさと使い魔が片付けに来るだろう)
>レオ(>>1120)
やあやあ仔羊ちゃん、素敵な締め括りをありがとうね。宝箱で少し触れてくれていた通り、幼児退行の影響で子供っぽい部分が垣間見える一幕、とってもわくわくしたなあ。
そう、次はいよいよちっちゃくなった所をラザロにお披露目する夜だね。いいなあ、いつもとは一味違った期間限定の可愛い君を僕もよしよししたいなあ。そうだね、“”で囲ってくれたシーンが僕は一番楽しそうと思うから、君もそれで問題なければ最初の描写をお願いしていいかな?きっとすぐにラザロが飛んで行くよ。
>カナニト ( >1121 )
( きらきらと光を反射する程に綺麗なブレスレットは華奢な腕を動かすと少々移動をするものの、繊細な作りなのかそれが特段気にかかるという程のものでは無く。視界に入る度思わず口元が緩んでしまうのは矢張りお洒落が気にかかる年頃、普段着ける事の少ない装飾品が増えた事が嬉しく無いはずも無く。困惑を浮かべる顔とは裏腹、しっかりとヒヤリ冷たい指が絡められれば満足気に頬を緩めて頷いて肯定を示し 「 約束ね 」 再度短く言葉を紡ぎ出し、小指を絡めた手を緩く上下に振って。柔らかい感触に両頬を包み込まれれば自然と眼を持ち上げるように動かすと柔らかな笑みを浮かべる彼と視線が交わる。「 カナニトくんの名前を呼べばいいのね、分かったわ。おやすみなさい、また明日ね 」 部屋から送り出すのに座ったままは失礼か。ソファから立ち上がり扉の前まで付き添い、彼と同じく戸が閉まるまで緩く手を振って見送ろうと。どこからとも無く現れたカラスたちが片付けてゆく慣れない光景を首を傾げつつ眺める事数分、綺麗になったテーブルを前に再度ソファへと腰を下ろして暫く現実離れした出来事に頭を巡らそうか。十数分ほど頭を働かせた後、はっとした表情を浮かべれば一先ず部屋の中に何があるのかの確認をする為にルームツアー宜しく部屋中を歩き回るつもりで )
****
こんばんは、そろそろ一度お暇かしらと思って失礼させていただくわね。
済し崩しにだけれどピアノを弾く約束も出来たし、初めて会ったのが怖く無い悪魔さんで私安心しちゃった。
次は確か予定だとお姉さんにバトンタッチだったわね。初回の文章だったり、お姉さんの詳しい説明だったりは >1047 に置いてあるものを参照してくれるととっても助かるわ!それじゃあ、お姉さんもお迎えに来てもらえるの心待ちにしているみたいだし私はこの辺りで失礼させてもらうわね。
>リリー(>>1123)
こんばんわ、小さな仔羊ちゃん。ふふふ、君はとっても素直で良い子なんだね。確かに悪魔は一見怖くないけれど…いいや、これ以上は無粋だね。けれどね、この先僕の導きが必要になったら是非君のお部屋に呼んでおくれ。
ああそうだ、ひとつ補足をさせて。ロル中の指切りげんまんだけれど、カナニトは小指を絡める代わりに君の指へ頬を添えたんだ。紛らわしい文章でごめんね、特に〆ロルの修正は必要ないよ。
これで君もこのお屋敷のメニューの――いいや、迷える可愛い仔羊の一員さ。また会える夜を楽しみにしているよ。
さて、次は硝煙と血の香りのする彼女の初夜だね。どちらでお迎えに行こうかとっても悩んでしまったよ。色々考えたけれど、人懐っこい堕天使の方が最初のコミュニケーションは取りやすそうだったからウーミンを向かわせるね。何かあればいつでも声を掛けておくれ。
***
>蘭玲(>>1047)
(ゆら、ゆらとハンモックが揺れ、小さな往復の度にはらはらと薄汚れた白い羽根が舞い落ちる。ひとりぼっちの寂しい部屋の静寂を申し訳程度に慰めるのは少女の微かな鼻唄。それは神に贈る賛美歌に似て、それでもとある一節に差し掛かれば尻すぼみに消えていき「 …さみしい 」そんな益体もない呟きへと帰結して。と、そこへ飛来したのはカラスの使い魔。カラスを使役する住人は複数存在するものの、この使い魔は堕天使のものだと誰しもが一目で知るという――他とは違う白く染まった姿を見れば一目瞭然なのだと。寂しさに沈みそうな主人にカァ!と高らかに朗報を伝えれば、緋色の大きな瞳はぱっと瞠られて「 あたらしい女の子! 」ぶわり、広げられたボロボロの翼を使って一目散にその部屋へ向かうその原動力は『きっとその女の子も寂しがっているはず、そばにいてあげなくちゃ』なんて幼稚な決め付け。楽しげなノックの後、待てども扉が開かれることはなく不思議そうに首を傾げて、返ってきた少し棘のある声には臆面もなく「 あのね、うーはウーミンっていうんだよう 」無邪気に弾んだ声色を返して。扉の向こうの人物が知りたがっている事は堕天使の名前などではない筈だが脳足りんには自己紹介が関の山、ゆえに待ても長くは続かずこちらから勢いよく扉を開けて「 じゃーんっ!ほらみて、これがうーだよ! 」にぱにぱと幼気に笑いながら両手を顔の横に掲げて柔く指先を曲げ“がおーっ”と楽しそうに咆哮の真似事をするのは挨拶のつもりか。「 あなた、あたらしい女の子でしょぉ?あのね、うーね、あなたが寂しいかもっておもってここに来たの! 」顔の横の手は後ろ手に下げ、軽やかに翼を広げてくるくると回れば薄汚れたワンピースの裾が揺れ、舞い散る羽根が貴方の部屋の床にいくつか落ちる。攫われてきたばかりの彼女には頓珍漢であろう発言を堕天使は一生懸命に伝えて)
>ユギン(>1122)
ああ、ユギンか。いや、私の解釈が間違っていなかったようで何よりだ。それに、楽しんでももらえたようだな。
…ふ、ははっ、すまないが今回の役目ばかりはラザロの特権だ、許してくれ。では、先程の通りの描写を綴らせてもらおう。
それではまた、楽しい一夜を願おう。
***
(騒動に遭ってから一眠りの後。普段と違う服を着て髪を結う身支度、食事の摂取など、日常動作の合間はまだ良かったが、それらが終わって意識の隙が出来る時間が問題であった。狐の彼が言う通り、確かに今までのように退屈はしない。しないが「……むう、」どうも落ち着かない。窓辺の微風に振り返るのも、視界を横切る烏や蝙蝠を追う手を伸ばしかけたのも一度や二度では済まない程度には。「……困ったな。」今はまだ自制も利いて一先ずソファーに座ってはいるが、肌――特に首元に触れる空気の僅かな震えや、間近の動くものに気を容易く移すこの状態に眉を寄せる。そのまま状況の改善を巡らせた頭が真っ先に浮かべたのは、「……ラザロ、」かのドラゴンを頼る事。それを思い付くが早いか、ソファーを飛び降り一匹の使い魔の元にしゃがみ込んで、声を掛ける。「其処の君、……ええと、ラザロの使いの者だと思ったのだが。」その相手は何時かの頃、彼と泉に水浴びへ行った夜に呼び出しを頼んだものにそっくりな使い魔。無論、人間相手でも怪しい己の見分けに自信は無く、少々弱気さは持っての声音だったが、少なくとも動きを止めたそれに言葉を続ける。「彼を呼んでほしい。用件は、そうだな……困っているから頼りたい、と伝えてくれ。」目は他へ揺れがちだったが用そのものはすらすらと、弱っている事も包み隠さず朗々話し、部屋を出る姿を見送る。――少々の間。ふと、扉の辺りから鳴った物音に意識が向く。……もしかしたら、彼が。その後にあの豪快な声が続かない事に、薄々ただの家鳴りのようなものだとは気付いていながら、それ以上に逸る感情を抑えきれず。ぱたぱたと駆け足に近寄り開いた扉の隙間から顔を出し、右左と面ごと視線を何度も巡らせて紺碧のドラゴンの姿を探した。)
>ユギン ( >1124 )
ふふ、お褒めの言葉ありがとう。ええ、勿論!貴方ともお話しさせてもらえる機会が来るのを楽しみにしているわ。
あら!私とした事が読み違えていたのね…恥ずかしい。お言葉に甘えて訂正はせずに残させてもらうけれど、もし今後もまた妙ちきりんな事をしている時があったら遠慮せずにお伝えしてちょうだい?私も気を付けはするんだけれど、空目をしちゃう可能性もあるかも知れないから…。
謝らせてもらいたかったから出てきちゃったけれど、こちらはお返事無くて構わないからね。
****
>ウーミン
( 女の子の、それも幼く聞こえる声に警戒心は解け掛け代わりに頭に浮かぶのは恐らく名前と思わしき名称への違和感「 无名? 」 やけに発音のいいそれは母国で聞き馴染みがある故のこと。母国では名無しもしくは謂れのないなどの意味を持つ名に考え込んでいれば突如として開け放たれる扉。声からの予想に違わずその先に立つのは少女のようで、その様子を見るに敵対心や害意は無くただただ善意での行動なのだろう。足のあるカーペットのおかげが、ヒールの音は然程響かす事は無く彼女の前へと足を運んでは目前でしゃがみ込み。床に落ちているのは彼女の背に生えているように見える羽だろうか。中でも綺麗なものを一枚拾い上げ 『 これは貴女の? 』 母国の響きを冠しながらも恐らく同郷では無いように見える彼女の姿に、言葉が伝わるようにと選んだのは英語。使い慣れない言語故に多少のぶっきらぼうさが言葉尻に生まれてしまうだろうが伝わらない可能性があるよりかはマシであろうと。『 私の自己紹介がまだだったね。私は蘭玲。…それで、ここは何処なのかな 』 思い出したような自己紹介は身分までを明かす必要は無いだろうと名前だけに留め、“ あたらしい女の子 ” そんな風に告げた彼女は少なからずこの場が何処なのかを知っているのだろう。なるべく高圧的で怖い、そんな印象を与えずに済むように口元は弧を描き柔らかな笑みを浮かべて見せて )
>レオ(>>1125)
(ドラゴンの所在は屋根ある部屋ではなく月明かりの下の庭園だった。しかし噴水や花壇の類ではなく庭園の片隅にて土に塗れながら大工仕事に勤しむのは、どちらかと言うと魔法よりも力仕事が得手ゆえに。ぽたり、顎を伝う汗を乱雑にぐいと拭った直後、ポテっと肩に飛び乗ってきたのは自身が可愛がる蜥蜴の使い魔で「 おう、どうした 」首を捻って小さな生き物を見遣ればその報告にカッと目を瞠って「 レオ…! 」無意識にそう呟けば弾かれたように屋敷の中へと駆け出して。使い魔が少々大袈裟に緊急事態として伝えたのだろうか、土や汗で汚れた全身を水浴びで洗い流すことも二の次に階段を駆け上がって角を曲がる、そうすれば廊下の数十m先に自身を呼んだ獲物が居る筈――しかしまたしても眉間に皺を寄せながら瞠目したのは紛れもなく彼の部屋から顔を出しているのは見たこともない幼子だったからで。得体の知れない相手が自分の獲物に危害を及ぼしたのではと想像しながら険しい表情でずかずかと歩み寄り「 オイ坊主ッ、そこはレオの部屋だ!勝手に入ンじゃねぇ…、……? 」まさに近所の悪戯小僧を叱り飛ばす少々ガラの悪いおじさんのような怒鳴り声を上げるも、声の勢いが萎んでゆくのは件の坊主から間違いようもなく濃ゆい貴方の匂いが香り立つから。「 レオ、テメェ何があった…? 」その口振りからドラゴンは姿形が変わっても相手が貴方だと気付いている。しかし尋常ではない事態に心底心配するような声を出しながら目線を合わせるように片膝を床へついて、ずいぶんと小さくなってしまった華奢な双肩に手を置いて怪訝な表情で顔を覗き込んで)
>蘭玲(>>1126)
うんっ!、そぉだよう。あのね、うーね、ここに来てからいっぱいいっぱい抜けちゃうの。もどしてももどしても戻らないの
(自分の一部だったものを相手の手に取ってもらえて嬉しいのか、満面の笑みで頷きながら見て見て!とばかりにボロボロの翼をぶわりと大きく広げてみせる。大人の一人や二人、優にすっぽりと包み隠せてしまいそうな翼は蓋し崩壊しかかっているような危うさで、羽撃いたわけでもないのにまたはらはらと羽根が舞う。視界にちらちら映るそれに今度はしゅぅんと悲しそうに表情を曇らせ、その場に膝を抱えるようにしゃがみ込んでは床に落ちた羽根を両手でかき集め、小さな手のひらでくしゃりと掴んだそれを自らの左翼に埋め込むように強引にぐりぐりと押し付け、しかし当然くっつくわけもなく呆気なく散りゆくそれに憂いの溜息を吐いて「 どおしたらいーかなあ 」出会ったばかりの相手に助言を求めるのは幼すぎる精神年齢ゆえか、それとも穏やかに語り掛けてくれる優しさに早くも懐きつつあるのか。「 らんれい!らんれい、蘭玲、あなたの言葉ってなんだかとくべつ! 」名を明かしてもらえればまたしても現金ににぱっと破顔して、舌足らずな音でそれを反芻。このお屋敷ではあまり聞き覚えのない訛ったような発音を子供ながらに特別と表現しながら、屈めていた膝を伸ばしてすくっと立ち上がって彼女を見つめ「 ここはねえ、くろばらのおやしき!うーとかねえ、ヴィンスとかねえ、ラザロとかねえ、いっぱいいろんな怪物がいるんだよ!でね、でね、蘭玲はうーたちのゴハンなの! 」明るい無邪気なトーンとはあまりに不似合いな屋敷の紹介はいくら荒唐無稽でも全て事実。貴方に分かる筈もない固有名を指折り楽しそうに挙げながら、いつかの夜に空腹になった自分の糧になってくれるかもしれない相手の首に――もしもう立ち上がっているのなら腰辺りに腕を回してむぎゅっと抱きつき「 ありがとお、蘭玲っ 」少々気の早いお礼は貴方の命へ。無邪気ゆえに残酷なストレートさが貴方を置いてけぼりにしてしまわないかとか、そんな所まで一切頭は回らず)
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>只今より、不定期ゲリライベントを開催いたします。詳しくは下記をご参照くださいませ!
【 ゲリライベント ― 明晰夢の廻廊 ― 】
ある夜、お屋敷の支配者たる黒薔薇は口々に囁いた。
“ 味気ないわ ” “ 飽き飽きだわ ”
“ 食べて食べられるだけ ” “ お決まりの幕引きだわ ”
“ 見たいわ ” “ 見たいの ” “ 愉快に踊る命を ”
――あなたがお屋敷での暮らしに慣れた頃。いきなり黒薔薇の茨に呑まれ、目を覚ませば殺風景な真っ白の部屋に閉じ込められていた。
しかし独りではなかった。優位者である筈の怪物も黒薔薇の暴力に攫われたらしい。
密室に二人きり、上下左右に出口なし。
瞬きの刹那、先ほどまで何もなかった空間に一通の黒い手紙。その内容は――――
>対象者:
∟全ての参加者様(ご新規様・常連様不問、相性次第で無登録の方や試運転のお子様も大歓迎)
>概要:
∟いわゆる「●●しないと出られない部屋」からの脱出を指名した提供と共に目指すイベントです。●●の部分はエントリー受付時にランダムに3種類生成されますので、その中からやってみたいシチュエーションを選んでいただきます。制限時間(リアル時間とは別軸)も不規則に設定され、時間内に脱出できなければ共倒れです。無論これは黒薔薇の用意した特別な明晰夢、現実とは切り離された交流であるためイベント中に起きた事象やお互いの記憶は本編には引き継がれません。脱出の成功・失敗に関わらず、イベント達成後は普段通りの交流にお戻りになれます。イベント期間中であれば何度でもエントリー可能です。
>参考:
∟耽美で猟奇的な雰囲気を大切にしている本編ではあまり味わえないギャグテイストを、本イベント中では積極的に取り入れるかもしれません。勿論キャラ崩壊させるつもりはありませんが、普段怪物たちの見せない一面を垣間見る機会とご認識ください。また制限時間が設けられている以上本編と比べてテンポよい進行を心掛けますので、多少文量が控えめになる可能性があります。
>エントリー方法:
∟キャラクターのプロフィール(常連様はアンカーでOK)と以下シートを併せてご提出ください。
【 イベント用シート 】
指名:(1名のみ)
提供との親密度:◇◇◇(以下3段階から選択)
※親密度の目安
◆◇◇…顔見知り
◆◆◇…親しい友人
◆◆◆…両想いor両片想い
>提供:【 https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters 】
∟近日中に実装予定の住人を含め、全ての怪物を指名可能です
∟相性によっては別の提供をご提案させていただく場合がございます
>1000レス到達したら開催しようしようと思っていたものの準備が間に合わず、中途半端な時期になってしまいました
>ゲリライベントの実施継続期間は7月末頃までを予定しております
>イベント期間中でも通常交流をお楽しみいただけますので(ご希望があれば同時進行も可)、そちらをご希望の方はその旨お伝えくださいませ
>イベントについてのご質問・ご相談は大歓迎ですので、いつでもどなたでもお気軽にどうぞ!
>ラザロ(>1127)
(幾度見回しても姿を確かめられず、悄気て唇を引きながらも往生際悪くもう一度覗き込んだ矢先に、怒鳴り声が響く。その震えにびりっと首元が痺れてその場に硬直したが、目の前へと近寄った見知った顔――己が呼んだドラゴンと視線が噛み合った一瞬きの後、止めていた息を吐き出して、置かれる掌の重み任せに竦めた肩を下ろす。「……良かった、」彼が来てくれた事にも、自分を“レオ”と認識した事にも安堵を零した次に、状況の説明の為に呼吸を取って、「実は昨日、少々暇を持て余してギンハ……様を話し相手として私の部屋に呼んだのだが、その時にだな…」事の発端、余剰が過ぎる時間の使い道から、指摘された敬称も連れて言葉を綴っていく。妙な模様と閃光に包まれた事、その後気付けばこの姿だった事、この服の提供の事、そして、「…それで、これは自分を呼び出した駄賃とも、互いの退屈凌ぎとも言っていたか。確かに、彼は満足したようだったが…」最後にその行動の由まで結んだ後に、説明に明朗と懸命だった表情が曇り始める。「……私は困ってしまってな。この姿だと、耳や目に入るもの全てが気になって、どうも落ち着けない。」それまでよりも言葉がもたついて、瞳も泳ぎ迷う素振りを見せるのは、幼少時代の身の感受性をはっきり形に出来る程知覚出来ていないから。「……でも。君の傍に居れば、“これ”でも安心出来るかと思ってな。考え無しに呼び出してしまった。」それから苦味を含みながらも柔らかく、信頼を花弁に咲き誇る笑顔でそう紡ぎながら、何処か気恥ずかしげに自らの首元を掌で擦る。「それで……ラザロさえ良ければ、元に戻れるまで君を頼らせてほしいのだが、」また姿勢はしゃんと伸び、幼いなりに引き締めた顔で真っ直ぐ眼前の彼を見詰めて、「…構わない、だろうか?」正々堂々真っ向から、今この屋敷で最も信を置く彼を命綱と頼る許可を求めた。)
>ウーミン ( >1128 )
『 ……そう、こんなに綺麗なのに勿体無い 』
( 広げられた両翼は少女の体のわりに大きく、けれどもほんの少し動かしただけでもハラハラと落ちる羽根のせいか頼りなさ気にも映る。ゆるり眉尻を下げて、もう一枚床へと落ちた羽根を手に取って。悲し気に見える彼女の表情を明るくさせてあげたい、そんな気持ちはあるものの抜け落ちたものをくっつける術など持ち合わせていない 『 そうね…私も分からないから、一緒に方法を探そうか 』 困ったような表情はそのままに、それでも少しでも役に立ちたいと。一先ずは抜け落ちた羽根がどこかに飛んでいってしまわないように拾える範囲のものを片手に拾い上げて。己の名を何度も呼ばれるのはくすぐったいもの。それに加えて特別とまで言われてしまえば緩む口元を隠す事などできるはずも無く『 聞き馴染みは少ないかも知れないね 』 彼女の様子を見るにきっとこの場に同郷の人間はいないのだろう。意思疎通を図ることのできるだけの言語能力はあるものの、やはりもう少し発音にも力を入れておくべきだったかなんて後悔は後の祭り。彼女が立ち上がる事により少し見上げる形を取りながらも視線を逸らすことはせずに。聞いたことも無い固有名詞はきっと誰かの名前なのだろう、それにしても怪物やゴハン、やや物騒にも感じる言葉は己の聞き間違いでは無いだろうか。そんな気さえしてくる程に無邪気な声色にぱちくりと瞳を瞬かせて 『 ちょっと待って、理解が追いつかない 』 頭を回転させている最中、首元に回った腕や密着する体がやけに冷たく感じ、しっかりと感覚の残るこれは現実なのだと突きつけられたようなそんな気さえしてくる。彼女の言葉を理解してしまえば、捕食者と非捕食者その関係を認めてしまうことになる。けれども少なからずあの男の元から離れられるのならば 「 ……この方が良い、か 」 ぽつり溢した独り言は母国語で。少しの衝撃でも崩れ落ちそうな彼女の翼には触れないよう、背中へと腕を回しそっと抱き締めて )
****
引っ込んだところで直ぐに出てきてしまってごめんなさい。とても楽しそうなイベントが見えたものだからつい……。
期間内に周回が出来そうなだけの時間があれば全員の、と言いたいところだけど時間は有限だしきっと全員分回るだけは取れないと思うから……そうね、こちらで面白そうな反応ができるのは舞台役者の彼か、ピアニストの彼女。私と殺人鬼の彼はきっと指示に素直に従う事が少ないと思う、なんて情報を渡して選んでもらう事は可能だったりする?指名も出しておくなら、私はヴィンス、ピアニストの彼女はレンブラント、殺人鬼の彼はマリーシュカ、舞台俳優の彼はハイネ辺りだと考えてるけれど、相性諸々もあったら合わせて教えてくれたら嬉しいかな。
後はそう、一先ず始めてしまった私の一夜が終わるまでは可能なら同時並行でって考えているのだけれど、どちらもしっかりと文章をってなったら随分と大変だと思うから両方とも文章は短めになっても問題無いよ、とだけ。あとに控えてる殺人鬼の彼のお話を同時に紡ぐかどうかはその時に話せたら良いかな。
>レオ(>>1131)
ギンハァ?……あー…、成程な
(なんでまたあんな気難しい奴を、名を聴いた瞬間反射的に浮かんだ疑問は続けられる説明に耳を傾けるために一度飲み込んで。幼い少年少女をこよなく愛する九尾の癖は住人たちにとっても周知の事実、それに自分と違って大変魔法や妖術の類に長けた相手の事だから戯れに人間の姿を変えたと言われてもナルホドの一言で納得できる。「 まァた災難に巻き込まれたな。アイツ、どんくらいで元の姿に戻れるって? 」どんな巨躯でも無限に血を流せるわけではないのと同じで、どんなに魔力に優れていても無限に続く魔法などありはしない筈。純粋に気になった点を問い掛け、真っ直ぐにぶつかりあう視線はいくら幼くとも凛とした芯のある貴方の眼差しをしっかりと自身に想起させて「 ッたく、世話の焼けるヤツだなテメェは。ガキん姿になったからって俺ァギンハみてぇに甘やかさねえぜ 」男臭い性分たるドラゴンにとって、彼の強さを信じ頼られるのは嬉しい事。不器用なため口では文句を垂れるが、変な条件を付けたり安易に拒否したりしないところにある意味実直な心境が滲み出て。しゃがみ込んでいた体勢から直立に戻りながら「 頼るッたって、どうすりゃいいんだ。四六時中レオの子守をして欲しいってか? 」ふと思い至ったのは子供の世話をした経験に乏しいがための見通しの悪さ。何をしてやればいいのか検討もつかず、十二分に筋肉の付いた逞しい腕を組みながら困ったように片方の眉を吊り上げ見下ろして)
>蘭玲(>>1132)
!、うーの羽根きれい?じゃあ、それぜーんぶ蘭玲にあげるっ!
(抜け落ちた羽根を取り戻す術を見つけられずしょぼくれていた少女はどこへやら、綺麗、その一単語だけで曇天を晴天に変える優しい突風に吹かれたように嬉しそうな笑顔に。主の元から離れても割と芯のしっかりと残る羽根たちは形の良いものだけ選りすぐれば羽根扇に出来そうなボリュームで「 んぅ?どこがわかんなかったあ? 」理解が追いつかない事と理解が出来ない事は別物だが、判別を付ける能はなくお姉さんぶって小さい子に問い掛けるような調子で無邪気にそう返し、抱擁を返されれば“あったかぁい”と緩みきった声で幸せを表現して。この方が良い、その言葉には彼女にしがみつくように少女の細腕に見合わない獰猛な力をぎゅっと込めてこくこくと何度も頷き「 わかんないのはもやもやーってしてわーってなるから、うーすきじゃない。から、蘭玲のわかんないはうーが消してあげるよ!だからね、うーとお屋敷にいよお 」話し方も触れ方も優しい彼女にすっかり無垢な堕天使は懐いてしまった様子、屋敷のことはなんでも教えると言いながら生活のことや使い魔のこと、部屋から一人で出歩かない方がいいこと、そういった注意事項を頭の中で順序立てて説明する事ができないのは未熟な精神発達ゆえか)
***
早速イベントに触れてくれてありがとお!案内役は吸血鬼のおねーさんだけど、今回はこのままうーが答えるねえ。
お部屋のコンセプトも制限時間もランダム生成だからね、所要時間については今はなんともいえないんだけど、本編に比べてけっこうさくさくなペースを想定してるんだって!だからね、舞台役者さんとピアニストさんだけじゃなくて、優しいおねえちゃんとも、殺人鬼のおにいちゃんとも遊べたらうれしいなーって思ってるんだあ!
んっとね、選ぶっていうのはなんのことだろー?むずかしくってごめんね、イベントのエントリーが済んでからお部屋のコンセプトを3つランダム抽出するから、むしろそのなかから選んでもらうのはおねえちゃんたちなんだあ。だからね、まずは誰からイベントに参加してくれるか決めてもらって、そしたら>1130のイベントシートに希望条件を記入して教えてほしいんだあ。そしたら黒薔薇がどんなお部屋が準備されたか教えてくれるんだよー!
同時進行希望、おっけーだよ!いっつもうーたちのこといっぱい考えてくれてありがとお、殺人鬼のおにいちゃんのことはまたその時に話そうねえ。イベントについて、むむー?ってところがあったらなんでも聞ーてね!
>ウーミン( >1134 )
『 でも、貴女の……うーの大切なものでしょう? 』
( 名前を呼ぶのに一瞬の間が生まれたのは同じ響きを持つ言葉を知っているため。名無し、そう呼ぶ事を躊躇いけれども名前を知って尚貴女だなんて距離を感じる呼び方を彼女に向ける事は避けたい。その思いから彼女の一人称を借りてみて、嫌がられないようであればその呼び名で定着をさせようと。抜け落ちた羽根は今手元にあるものに限っても形のいいものが多く、果たして自分がもらってもいいものかと何度かそれらと彼女の間に視線を往復させて。わからない事があったのだと、そう彼女には伝わったのだろう。緩く首を左右に振り 『 大丈夫、うーの言いたい事ちゃんと伝わってる 』 しっかりと言葉に残して緩い笑みを浮かべようか。回す腕の何処にそんな力があるのか、きゅううと籠る力はきっと慣れている人間でなければ少しの苦しさを覚えそうな程。『 それじゃあこの屋敷でやめておいた方がいい事教えてくれる? 』 知っておくべき事の急務は禁止事項やその類かと判断。このままの体勢で話すのも構わないがずっと彼女を立たせたままなのも忍びない。ゆるりと回していた腕に力を込めて 『 ごめん、ちょっと移動するよ 』 一応の断りを入れてから、抵抗されないのであればそのまま彼女の体を抱き上げて一緒にソファへと移動しようと。それが叶ったのなら自身がソファへと座り、彼女は己の膝の上へと横向きに座らせるようにして話の続きをするつもりで )
****
なるほどね、答えてくれてありがとう。
一先ずは様子見も兼ねて順応しやすそうな舞台役者の彼でお相手願おうかなって思ってシート記入させてもらったのも添えてみたんだけれど、こんな感じで大丈夫そう?
他にも必要事項があれば教えてくれると嬉しいかな。
【 イベント用シート 】
グレンPF ( >644 )
指名:ハイネ
親密度:◆◆◆ ( 両片思い想定 )
指名:ハイネさんかクォーヴさん。または管理人様の判断で相性の良さそうな相手がいれば、その方を希望。
希望ルート:恋愛ルートか捕食ルートが気になります。
名前:ルイス・ハンクス
性別:男
年齢:24歳
職業:牧師
性格:人懐っこく朗らか。愛情深い。嫌な事はあまり引きずらず、寝たら忘れる単純さを持つ。しかし生い立ちのせいか自分に対しては大切にする意識が低く、危なっかしい一面がある。
容姿:175cm。柔らかな白銀の髪に、少し垂れた優しげな二重の瞳に鼻筋の通った整った容姿を持つ。その目元のおかげか綺麗だが近寄り難さはなく、柔らかな雰囲気。細身で優男に見えるが、日々子供達を相手にしている為体力はある。
備考:物心がついた頃には親はおらず、身寄りのない子を育てている教会で他の子供らと一緒に育った。親代わりの牧師は愛情深い人で、その影響を多大に受けて成長した。
ロルテスト:(教会で共に暮らす子供達を寝かしつけ自室に戻ると、身に覚えのない黒薔薇の封蝋で閉じられた手紙がベッドのサイドテーブルの上に置かれていた。自身に手紙を送ってくるような知り合いはいないし、本当に自身に宛てた手紙だろうかと疑問が浮かぶ。しかし何故だか今すぐその手紙を開きたくて堪らず、その欲求に抗えない。まるで“早く読んで”と誘われているようでついその手紙を開いてしまい>ーー嗚呼、なんて美味しそうな貴方。今夜、お迎えにあがります ーーこれは招待状だろうか。その不気味な文面に背中に嫌な汗が伝うが「これは…またあの子達の悪戯かな。でも今回のは少し悪趣味だ。」最近悪戯を仕掛けてくることが増えた子供達を思い浮かべ、軽いため息を吐き明日確認しようとベッドに横になると沈む様に意識を失い…コンコンッと繰り返されるノックの音に意識が浮上し「…んー、はい」まだ朧げな意識で状況もわからないまま返事をし)
(/主様初めまして。とても楽しそうなこちらの世界観に惹かれ是非ともお邪魔させていただきたいと思い、送らせていただきました。ブランクありでロルなど不安はあるのですがご検討いただければ幸いです。)
>ラザロ(>1133)
期間は…長くて三日以内だとは言っていたな。
(一通り話を終えた後で、彼からの問いにもう一つ記憶を引っ張り出す。自らの言葉として確かめた期間にまた渋い色を顔に滲ませ、「……あまり長引くのも困るな…」言葉通りの難儀と、知れず滲んだ微かな憂いに窄まる呟きを転がして。しかしながら彼の不器用なりの了承に表情は安堵が綻び、「ありがとう、ラザロ。……“これ”でもある程度自分の事は自分で出来るから、迷惑はそこまで掛けない…と思う。」まずは一言朗らかに礼を、だがその先に続いた台詞には、あからさまな程に自信の無い弱々しさが声に浮かぶ。「……む。そうだな…では二つ、君に頼みたい。」続けて、“頼る”の具体例について問われ口許と顎に五指を当て思案し、数秒を経てその手の親指と食指の二本を立てて互いの間に掲げ、「まず、元に戻るまでは君の傍に居させてほしい。…これは、君の用向きや行き先にもついて回るのを許してほしい、という意味も含んでの頼みだ。今私は君の傍に居られたら安心だが、その私だけの都合に合わせて、君の行動に制限を掛ける事まではしたくないからな。」彼をぐっと見上げて、頼み事の一つ目の表題、仔細、理由を順番に並べる所までは危なげ無く順調に。その次、「それから、私が何か危険な事をしそうになったら止めてほしい。……正直、今の自分が次に何をしようとするかが、私自身にも解らなくてな。例えば、…」もう一つの事柄も伝えていく途中、ひらり鼻先を舞い去っていく誰かの蝶に意識が取られて。思考よりも先走る興味にそちらを顔ごと目線で追いながら、その蝶の進む方に足を一歩踏み出して、両手を持ち上げ――翅を掌に挟み込む寸ででぎりぎり行動を留まった。それからぎゅっと一度固く目を瞑って何とか両手も下ろした所で、改めて彼に向き直り、「………すまない。だが、今見ての通りだ。どうも普段より気移りしやすい上に、目の前の興味に頭や勘が鈍っている節もある。」この姿で抱える衝動性や突発性を、苦々しく眉を寄せた声で話し俯いた後、「だから、うん、そうだな……君に、私を守ってほしい。」再度、少し言い換えた彼を頼る文言を、簡潔に。「………ええと、問題無いだろうか?」そこから一呼吸の合間を置いて彼を見詰めつつ、今度は些か不安げに服の裾を諸手に握って提案の可否を窺った。)
>蘭玲(>>1135)
でも、もううーのところにはもどんないもん
(一人称をそのまま呼び名とされる事には特段の反応は見せず、子供っぽさを感じさせる丸くて黒目がちな瞳をぱちくりとさせ、あっけらかんと吐くのは自分の元に戻らない、靡かないものなど要らないという残酷なまでにハッキリとした意思表示。一瞬表情の消えた顔に、またあどけない笑みを浮かべては「 だったら蘭玲のところにあったほうがいーよ! 」遠慮は不要だと伝えるよく分からない理論も、きっと堕天使の中ではきちんと筋が通ったものなのだろう。問い掛けはまさに渡りに船、抱きついた姿勢のままそわそわと身体を揺らして「 えっとね、えっとねぇ 」一生懸命に注意事項を思い出しているさなか、自分の力で宙に浮くのとはまた違った浮遊感に言葉を詰まらせた末に「 すごーい!ちからもち! 」見た目通り華奢な痩躯は女性の腕でも抱き上げられるほどだが、あまり女性に持ち上げられた経験がないのかきゃっきゃと燥いで。暖かい膝の上に落ち着かせてもらえば「 うーね、ここすき! 」その特等席が大層お気に召したのだろう、大輪の笑顔を無邪気に湛えながら彼女を見上げて「 あのね、このおやしきにはね、お話できないこもいるの。そのこたちも人間がすきでね、みつけたらがおーって食べちゃうの!だからね、おへやから出るとあぶないんだよ 」なんとか思いついたのは理性なき只のバケモノたちの存在。有象無象たる奴らに優しい貴方を食べられるなんて絶対にいやだ、そんな思いが少女の表情を今にも泣きそうに曇らせ、そんな悲壮感のまま「 …あとね、ラザロはおこるとこわいの。えーんってなっちゃうから、いいこにしてなきゃだめ! 」悲しい気持ちに引っ張られて叱られた経験を思い出したのだろうか、役に立たないアドバイスを至極真剣な表情で言い切って)
***
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.どちらかが自分の髪を全て剃り落とさなければ出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅱ.目を逸らさず照れもせず互いの頬を10回もちもちしなければ出られない部屋(制限時間:10min)
>Ⅲ.どちらかが心底絶望しなければ出られない部屋(制限時間:80min)
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>ルイス(>>1136)
ごきげんよう、ルイス。怪物だらけのお屋敷に攫われてきた牧師様なんて、…ふふ、素敵ね。
…でも、ごめんなさい。あなたはとっても素敵だけれど、文章の相性から今回のご縁はお見送りさせていただけるかしら。鸚鵡返し描写は不得手で…ごめんなさい。それとここでは完也推奨だから、そこも噛み合わないと思うの。
この仄暗い世界に興味を持ってくれて嬉しかったわ。お屋敷の扉を開いてくれて本当にありがとう、この先のあなたに幸せに満ちた夜ばかりが訪れますように。
>レオ(>>1137)
そうか。……まァ三日くれぇどうとでもなるだろ!
(最長で三日、短いようで長いような絶妙な日数に感じる。自分でさえそうなのだから当事者の彼はきっと不安だろう、普段闊達とした狩人らしくないと感じる憂いと気弱さを吹き飛ばしてやりたいという思いは武骨な手のひらでいつもより随分と低い位置にある頭を鷲掴みにするようにわしゃわしゃと撫で回すことで昇華して。二つ、具体的に挙げられるであろう最初のひとつをしっかりと小さな姿を見下ろしながら聞き届け「 ハァ?!そこまでする必要あんのかよ。大体この俺様の毎日はハードだぜ、ガキについて来られるたァ思えねえ。テメェにゃ特別に鱗を渡しただろ、それじゃあ駄目なのかよ? 」生身の自分にくっついていなくとも、ドラゴンの一部たる鱗を肌身放さず抱えて、九尾の神通力が効力を失うまで自分の部屋に閉じ籠もっていればいいのではないかと。突き放すようなつもりはなく、ただ縮んで非力になってしまった彼が安全に過ごせる方法がそうであると心から思っているゆえの反応で、次いだ二つ目には「 あァ…? 」いまいち要領を得ない内容に浮かんだ疑問符を歪めた表情にも表し、行動を見守って「 ――ッ、オイ! 」使い魔が潰されそうになる刹那、思わず咎めるような声が零れて。命と向き合ってきた彼が戯れにそれを摘み取ろうとするなんて確かに正常な状態ではないことは伝わった、だから最終確認のために「 ここであちこち働き回ってる使い魔は、大昔に攫われてきた元人間かもしれねえんだぞ。それを知ってもテメェの衝動を止めらんねえのか? 」事の重大さを正確に量るため、真剣な表情でじっと見つめて回答を待ち)
>ウーミン( >1138 )
( やけに現実的な思考と表情の消えた顔に驚きぱちり、瞬きをすればその間に先程の無表情は嘘か己の見間違いだったのかと見紛う程の笑みを浮かべる彼女の顔。そこまで言わせて尚遠慮をするなんて野暮な事はせずに 『 ありがとう、大事にするね 』 羽根を重ねて潰す事がないように根元を片手に握り込み。それでも矢張り気にかかるのは抜け落ちた羽根を翼に直そうとしていた彼女の姿。元に戻す事は出来ずともどうにか加工して彼女の元へと返す事は出来ないかと思考を巡らせて。ゆらゆらと身体を揺らしながら考え込む彼女を焦らせる事はせず、同じように身体を右に左に揺らして。抱き上げた腕の中、喜びはしゃぐ彼女が可愛らしく目を細めたような笑みを浮かべてその姿を眺め 『 本当?じゃあ、今度から私とお話しする時はここにおいでね 』 膝の上へと落ち着いた彼女の無邪気な様相に絆されているのか、無意識のうちに紡ぎ出した次を約束するような言葉。柔らかな金糸のような髪を指で梳くように頭を撫でながら注意事項へと耳を傾け『 じゃあ、この部屋にいたら安全なのね 』 少なからず身の安全を確保する事は必須事項、確認と共に首を傾げて見せて。みるみるうちに曇っていく顔へは 『 そんな顔しないの。私、これでも強いのよ 』 なんてちょっとした冗談混じりに頭を撫でる手とは反対で目元をゆるりと撫でて 『 ふふ、ラザロさんはうーの友だち? 』 先程も出てきていた名は自身には覚えがないものの、膝に座る彼女にとっては特別な相手なのだろう。真剣な表情で告げる言葉には頷いてから、柔らかな口調で )
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> Ⅲ.どちらかが心底絶望しなければ出られない部屋(制限時間:80min)
グレン:
( いつも通りの変わらぬ日を過ごし、いつも通りに己に分け与えられている部屋で目覚めるはずだった。突如現れた薔薇の茨に視界を奪われ、気を失ってしまったのか、そのまま不可視の力によって移動させられたのか。そのどちらにせよ次に意識が浮上したのは目が痛くなる程の白い小部屋。その場を動く事なく辺りを見渡すのは、屋敷で過ごす間に少なからず身に付いた危機管理能力の類のおかげで。どうやら出入り口は愚か窓などの外部と繋がりそうなものさえない室内、然程離れていない位置に見覚えのある姿を見つけ 「 ハイネ? 」 口に出すのは屋敷の中で一番多くの時間を共に過ごすダークエルフの名。見知った姿に気が緩んだのか一歩二歩と彼の元へと足を進めて )
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あんまり場所を取るのも悪いかと思って、一つにまとめさせて貰ったけど分けた方が分かりやすいとかがあれば遠慮無く言ってもらえると助かるよ。
嗚呼、こっちは特に何も無ければ返信不要だよって事も添えておくね。
>蘭玲(>>1141)
(ただ床を埋める塵となってしまう運命の羽根も、彼女の手の中にあるのならば価値あるものと思える。ありがとうの言葉がやけにこそばゆいのは、いつも誰かに世話を焼かれてばかりの脳足りんが他者から、ましてやいつだって自分を捕食者と恐れる人間から貰えたから。“えへへ”とはにかんでから「 でも、うーよりだいじにしちゃいや! 」臆面もなくワガママを言えるのは優しい彼女にならば受け入れてもらえるという幼子特有の傲慢な甘えがあるから「 やったぁ!蘭玲のここはもぉうーだけのだからね、だれかがすわりたいっていってもだめだからねっ 」髪を撫でる繊細な手つきに心地良さそうに眦を細めながら、ゴロゴロと喉でも鳴らしそうな勢いでこちらからも手のひらに頭を押し付けるようにしてすり寄っては上目遣いにワガママを追加して。「 あんぜん?、はなせないこは入ってこれないんだよお。でも、おなかがへっただれかは入ってくるかも 」部屋に籠城していれば身の安全が保証されるか、回答は否。それはあくまでも名もなき獣に喰われる道を回避する手立てであって、自分のような住人を拒める手段ではないといつも通りの口調で補足して「 蘭玲つよい?ラザロよりっ? 」きらきら目を輝かせるのは強さに惹かれる純粋な子供心か。問われた内容にはかくんと首を傾げて「 ともだちってなあに? 」堕天使の薄っぺらい辞書には未登録の単語、どんな関係性を指す言葉なのか分からずすいと顔を寄せて知りたがって)
>グレン(>>1141)
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>テーマ:どちらかが心底絶望しなければ出られない部屋
>制限時間:80min
>親密度:◆◆◆(両片想い)
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(強制的に意識を刈り取られることなんて何千年振りなのだろうか、すっかり忘れ去っていた感覚は不快極まりない。苛立ちに歪んだ表情はこの部屋に自分だけだと勘違いしていた為、どうやら目を覚ましたタイミングはほぼ同時だったらしく愛おしい声にハッと表情をリセットし「 ――グレン、無事ですか 」反射的にそう問い掛けるのは明らかな異常事態たるこの場所に想い焦がれる相手が居たから。――パサリ、紙の落ちるような音にそちらを見遣れば虚空から現れたとしか考えられない黒い手紙を見つけ、ありありと漂う忌々しい黒薔薇の魔力に舌打ちしたいのをぐっと堪えてそれを拾い上げては封を開け「 …………ッ 」言葉にならない怒りはピキリと手の甲に血管を浮き上がらせる程。書かれていた内容は【 制限時間80分以内にどちらかが心底絶望すれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】と。ノイズのような音と共に空中に黒い砂時計が現れ、ひっくり返る――呆気ないほど静かに火蓋は切られて)
***
いつもお気遣いありがとうございます。
本編とイベントを切り分けて考えるためにも分割で投稿させていただきますね。こちらにはお返事不要ですよ。
>ラザロ(>1140)
(一つ目の頼み、やはり二つ返事とはいかず。冷たいようで、しかし己を慮っている事はよくよく伝わる物言いに、悩む唸りを零して、「駄目、というか……いや、君の鱗も無論頼りにはしているが、今は君自身の傍が一番良い。」決して“お守り”を信用していない訳ではない。しかし目の前に現れた彼の存在にこそ安寧を保てた心を、直感そのまま言葉にした後、「それに、今の私では遅かれ早かれ一人でも部屋を出ていく可能性が高い。ならばいっそ、とも思ってだな……」補足にこの彼の訪問前にドアを開けた多動性も加えたものの、頼みを押し通す材料はそこまでで、足りない分を適当で埋められない口は止まってしまう。――彼から滅多に聞かない咎立の声が、己自身感じている非常事態をより濃く確信させる。「……頭では、理解出来る。君の言っている意味も、命で遊ぶ真似をしてはいけない事も。だが…」彼の眼差しと問いを正面から受け止めて、けれどもその上で返す言葉は何処か否定的な色を含んで。きゅっと唇を引き結んだ折り、近くで何か羽ばたく音が聞こえ――また衝動的に向きかけた顔は全身全霊の強張りを以て彼のままに留め、「……今動く物や音を前にすると、それがどんなものか観察したい、どんな動きをするのかとにかく追いかけたい、捕まえたい――そういった感情が先走ってしまう。」深呼吸一度の後。再び話し出す衝動は、肉食動物の仔が興味本位に虫や蛙に全力で戯れついて、そのままうっかり潰してしまうような、無邪気な本能に似た好奇心が正体。「これでも、最初はまだ何とか自制が利いていた。…しかし段々、考えるより前に手が伸びるようになってきている。今度気付いた時には、もう取り返しがつかない状況かもしれない。」回り道をした問い掛けへの答え。今はまだ未遂、だが一人になれば?もっと時間が経てば?――使い魔達の元が何であったとして、“これ”を抑えきる絶対の自信は無い。「……だから、何か起きる前に。間違わないように、私を見張ってほしい。」己が築き育んだ倫理の理性と、少しずつだが確実に膨らんでいく幼い衝迫。噛み合わず擦れて削れ合う心身の不和に、先程消えた筈の不安も揺り返してくる、そんな切羽詰まった表情で彼を見据え、「……頼む。」震えを纏いながら、それでもはっきり芯を通した声で再三に彼へ希った。)
>ウーミン( >1142 )
『 ふふ、分かったわ 』
( 一番は自分がいい、そんな愛らしくも感じる我儘を拒む事なんて勿論無くゆるゆると頭を撫でる手はそのままに小さく頷いて。まるで猫が甘えてくるように撫でる手に擦り寄ってくる彼女の頭。追加の我儘にも笑みを深めて 『 もちろん。でも、たまには誰かに貸してあげてね? 』 付け足すようなお願いには未だこの屋敷の中にどんな人物がいるのかの判別がつかないから。もし彼女のように見目が幼い子供がいるのであれば同じように甘やかしてしまう可能性があるだろうと。お腹が減った誰か、彼女の口ぶりから察するに少なからず言葉が通じる相手なのだろう。それであれば対話を試みれる可能性が残っていると言う事。口を黙、考え込むように視線を下に落とす事数秒。再度彼女の緋色の瞳と交えれば笑みを浮かべ 『 ありがとう、よぉく分かった 』 なんて感謝の言葉を。『 どうだろう? 』 ゆると首を傾げて見せるのは比較対象の人物がどんな相手なのかを測りかねているため。同年代の同性相手では負ける事はないだろうが、名前の響きから察するに相手は男だろうと推測すれば絶対的な自信は無い。キラキラと輝く瞳とは反対に眉尻を下げ困ったような表情を。彼女ぐらいの年頃であれば知っているだろうと思っていた単語を知らない様子に、ぱちくり瞳を瞬かせ 『 友だちっていうのはね、仲が良くて一緒に居て楽しい人のことを言うの 』 知らない言葉を知りたいと、教えて欲しいと、そう願う視線から逃れる事はせず真正面から視線を交え 『 例えば……そう、ラザロさんとかヴィンスさん?だっけ?とか 』 先刻彼女の口から出てきた名を記憶の端から探り出して )
>ハイネ( >1143 )
うん、平気だしハイネと一緒で安心した。ハイネも何ともない?
( 一度の首肯と共に尋ね返したところで耳に届いたのは紙が地面へと落ちるような音。彼が先にそれを手に取ったのは音に気付いた速度の差か、それとも己には知覚する術の無い魔力やその類のものの差か。どちらにせよ先に手に取った彼が顕にする視線を動かさずとも伝わってくる怒りに何が書いてあったのかと気にかかれば、彼が持つ手紙を覗き込むようにして目を通し 「 絶望……、 」 顔を歪めるのは最後の一文。対象が己だけであれば未だマシだったのだが彼と共にと言うのであれば話は別。突如現れた砂時計はタイムリミットの類か。サラサラと落ちるそれを目視で確認してから 「 …ハイネは俺がどうしたら絶望するか知ってるよね 」 視線を彼の方へと移し、眉尻を下げた少し情けないような笑みを浮かべ )
指名:
希望ルート:共依存、恋愛>秘密の共犯者ルート
名前:グルース・リヨン(Grus Lyon)
性別:男性
年齢:15歳
職業:公爵家子息
性格:物腰穏やかで愛情深い、溢れんばかりの包容力の持ち主。面倒見も大変良く、大人も子供も問わず、果ては動植物に至るまで甲斐甲斐しく世話を焼く博愛ぶり。しかしもう一歩踏み込めば、求められるまま寄り添い、相手の全てを肯定して、際限無く甘やかし包み込んで、どっぷりと深みに溶かし入れる蟻地獄のような人間でもある。家柄と立場上、強かな処世術と達観を持ち合わせ、作法の整った落ち着きある立ち居振舞いをするが、年相応に悪戯心は旺盛で冒険探検も好む所。好きなものや楽しい事に燥いだり、褒められて照れたりする少年らしい一面もある。
容姿:身長は162cm。背の真ん中程まで伸ばされた、雛鳥のようなビスケット色のふわふわ癖っ毛。やや太めの眉の上で前髪が切り揃えられ、襟足は一ツ星と鶴の刺繍が入ったアイスブルーのシルクリボンで結われている。如何にも優しげに垂れた、黒目がちの大きなペリドットの瞳、その右端に泣き黒子が一つ。小さく整った鼻とふっくらとした厚めの唇、円い輪郭に発展途上の薄い身体ながらしゃんと伸びた背筋。未だあどけなさを多く残しつつも、仄かに色気を帯び始めた、気品ある大人びた佇まい。控え目なフリル付きのドレスシャツにクラバット。その首元にカメオブローチの紋章、左手の中指に大きめのシグネットリングを填めている。それに金刺繍入り薄緑色のウエストコートと黒のトラウザーズ、踵の低い革製ショートブーツが普段着。外出の際は青藍の膝丈ロングコートを着用。
備考:由緒正しい公爵家の長男で、正式な名前は「グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン(Grus Rossignol Henri de Lyon)」。“貴族の嗜み”と聞いて想像されるような教養は一通り習得してはいるものの、本人は手芸全般を好み、とりわけ刺繍はこっそり密かに趣味としている程。亡き母からの『分け隔ての無い愛を与える人でありなさい』という遺言を守り育った、慈愛と品格を備えた少年。しかし彼にとっての愛とは相手を世話する事――厳密には優しく包み甘やかす事であり、それを踏まえるのであれば、大変な“世話焼き”である彼はとびきりの“愛したがり”でもある。この世全ての尽くが彼の愛する対象であると同時に、「骨をも蕩かすこの情愛を全て受け止めてくれる、たった一人の運命の相手」を夢見てもいる。つい最近変声期を終えたばかり。人を安堵に導く夜鳴鶯のように甘く柔らかい、澄んだ高めのテノール声。一人称は僕、二人称は君、または渾名。名を呼ぶ時にはレディ・〇〇(名前)、またはサー・〇〇。
ロルテスト:
――うん、またね。
(またね、ばいばい、と幼く愛らしい声達に片手を振る。此処は我が公爵家が出資している孤児院、その開け放たれた扉の前。領地の視察という名目の息抜きの終わった夕暮れ時、別れを惜しんでコートにしがみつく子供達を漸う説得し、コーチ形の馬車にて屋敷へ帰る。――自室内の窓辺。「……あの子達、また大きくなっていたな。…きっとすぐに追い越されるんだろうね。」冷たい夜風に目を細めながら、誰に言うでもない、そんな独り言が零れる。……思い返すは無邪気な孤児達。今は愛を一心に求めるあの子達も、いつかは彼処から巣立つのだろう。当然の話、しかしこの身に持て余す“愛”を子供らに注いでいる己にとって、それは喜ばしいばかりではなくて。そんな物憂いを払うように顔を上げた先、ベッドサイドのテーブルに置かれた封筒が視界に入る。「……珍しい。」思わずそう零したのは、手紙を見慣れている己でも一等目を引く黒色をしていた事、それと整頓の行き届いた机上へあまりに無造作に置かれていた事の二つが理由。一体誰から、とそれを手に取り見詰めたが、差出人の名前は無し、封蝋の紋章にも見覚えが無い。少し考え込んだその後に、テーブルの引き出しから取り出したペーパーナイフを使って封を開き、中に並んだ一文に目を通す。「迎え……?」その意味が解らず、ますますと首を傾げる。……拐かしを態々予告をする者は居ない筈。なれば、十にも満たない腹違いの弟妹達の、微笑ましい悪戯といった辺りか。「……ふふ。主犯はサー・エグレットか、レディ・シーニュかな。」しかしそれを尋ねるにも今はもう遅い夜更け、明日の朝にでも訊いてみれば良い、とその封筒と中身を揃えて元に置いておく。「さあ、そろそろ眠らなければ。」明日にも予定は詰まっている、支障を来す訳にはいかない。そう考えて瞑った目元を指で解した所までは覚えていて――次に目を開いた時には、ベッドに横たわって天井を見上げていた。いつの間に寝入ったのかと身体を起こせば、視界に入ったのは自室とよく似て、しかし全く違う景色。「……うん?」一瞬事態が飲み込めずに間抜けた声を落としつつ周りを見回し、今着ている服がコート付きの普段着である事にも気付いた瞬間、響いたノック音。――その刹那に、頭の内に考えつく限りの状況予想と対処が過り。それを指先でブローチを撫でる数秒に纏めて深い呼吸を一巡させた後、「ああ、わざわざ丁寧なノックを有り難う。しかしすまない、“名乗りの無い者の扉は開けるべからず”と、母によくよく言われていてね。これを破ってしまうと酷く怒られるんだ。」立ち上がって床を踏み締め、背筋を伸ばし凛と通る声でそれに応える。「だからまず――君が僕に名前を教えてくれるか、もしくは君の方からその扉を開けるか、どちらかを選んでおくれ。」少なくとも此方からノック音に近付く真似はせず、穏やかな微笑みを湛えたままに扉を見据えて、じっと油断無くその反応を待った。)
【イベント用シート】
指名:ユギン
親密度:◆◆◇
***
――やあ、今晩は。楽しそうな催し物の香りに釣られて、つい顔を出してしまったよ。
おっと、挨拶が遅れたね。……こほん。初めまして。ご機嫌は如何かな、麗しい怪物の皆々様。いつもサー・レオとサー・ニールがお世話になっている。…僕はそう、二人に紹介状を頂いた“愛したがりな貴族の少年”さ。君達の舌に合うように身形を整えてきたけれど、何か懸念や問題があれば忌憚無く教えておくれ。
…それから。今回は折角の機会だからね、まず初めのお試しとして催し物に参加しようかと思っているんだ。指名については、僕の人となりを窺うのに最も適した怪物様を選んだつもりだけれど、君達から見て他に相性が良さそうな怪物様が居たなら、そちらを選んでもらえても僕としては嬉しいよ。
ふふ、催し物は同時進行も可能だと言うから、うっかり甘えて僕まで来てしまった。…何だか燥いだ子供のようで少々気恥ずかしいから、ここだけの内緒にしておいておくれ。
……さて、挨拶として言うべき事柄はこれで全てかな。それじゃあ、このシートの可否は君達に委ねて、僕はゆっくり待っているとするよ。……またね。
>レオ(>>1144)
そいつァいただけねえな。よし分かった、支度を――――テメェ、その布切れどうした?
(遠回しな物言いや搦め手ではなく分かりやすいものを好むドラゴンにとって実直な言葉は大変効力が高い、それが誠実を絵に描いたような獲物が言うのだから尚更。何よりも決め手になったのは、いつしか一人で部屋を出てしまいかねないという申告。腕を組んだまま難しい顔をしていたが、決心の後は非常に潔く神通力が切れるまで面倒を見ることを承諾し必要な荷造りを促そうとして、そこで初めて見慣れない和装を身に着けていることに気が付いて。「 おう、頼まれてやるぜ。このラザロ様に任せときな 」組んでいた腕を解いて大きく硬い拳を彼の眼前へと伸ばし、交渉成立のグータッチを求めて「 四六時中見張っとくってのァ骨が折れる、だからテメェも協力しろ。元の姿に戻るまで俺から離れるんじゃねぇ、常に俺を視界に入れとけ。俺もそうする 」姿が幼くなっても、無邪気な衝動を除いた大部分の精神はきっと大人のままの筈。現段階でそんな風に解釈しているため特に子供扱いはせずフェアな協力体制の提案、というより命令を下して「 行くぞ。危ねえから捕まっとけ 」貴方が支度をするのならそれを待ち、特段持ち物がないのであればそれもまた文句を言わず認め、分厚い手の平を差し伸べて「 さっきまで庭仕事してたンだ。汚れてるが勘弁しろよ 」きっと黒くくすんだ肌からは湿った木や土の匂いがするだろう。もし手を握り返されたのならそのまま引っ張るようにしていつもの大股でずんずんと廊下を進んでいく)
>蘭玲(>>1145)
ええ、ヤだ!ぜったいヤだあああ!
(気に入ったものはなんでもかんでも独り占めしたいし、世の中の存在はみーんな自分の思った通りに動いてくれる。未発達な精神は女王様やお姫様のような傲慢さをもたらし、自分以外の誰かがこの場所に座り彼女に髪を撫でられている場面を想像すればガァンとショッキングな表情を見せ、癇癪を起こした子供のようにビリビリと窓ガラスが震えるほどの大声で断固拒否を叫んで。困ったような表情につられてこちらもシュンと眉を落とし「 蘭玲つよくても、ラザロとケンカはだめ。けがしちゃったら、うーかなしい 」もしかしたら優しい彼女も口から炎を吐いたり指先から鋭い爪を伸ばしたり出来るのかもしれない。二人が楽しそうに戦うならまだいいけれど、その先に怪我をしてしまったらきっと後悔するし泣いてしまう、決して良くはない頭で精一杯に想像を巡らせてはそう諌めて。「 なかよしで、たのしい?あはっ、じゃぁどっちもともだちだぁ 」拾える単語は簡単なもの、でもニュアンスは掴み取って自分の中に新たな語彙が増えたことを嬉しそうにるんるんと鼻唄を。すると突然“あ!”と声を上げ「 ともだちって、どっちかがどっちかを食べる? 」わくわくしたような眼差しで血生臭い質問を何の躊躇もなく投げかけて)
>グレン(>>1146)
……ええ。貴方のことなら何でも
(力ない微笑からは逃げるようにふいと顔を逸らし。零れ落ちた自負は誰よりも近くで彼を見て、触れて、色々な顔を知ってきたという実績に基づく自信と一匙の希望。どうかこの屋敷の中で誰よりも自分だけがグレンという存在について詳しく在れますように、と。「 けれど、俺は嫌ですよ 」好いた相手を進んで絶望させたい、そんな性癖は生憎持ち合わせていない。ゆえに遠回しな丸投げを拒否するように背を向け、純白の壁に手を翳す。出られないなんて嘘だ、ありったけの魔力でぶち抜いてしまえばいい。そうすれば徒に彼を傷つけなくて済む「 少しの間、離れていなさい 」そんな思考回路から指先を砲台に見立てて魔力を集中させようとした刹那、バチッと電線がショートしたような音と共に指先が弾け、派手に破れた皮膚からはボタボタと赤いような黒いような液体が流れ出て「 …ッ、実力行使はいけませんか 」痛みを堪えるように無事な方の手でそこを庇い、最も頼りにしていた解決案を呆気なく潰された事に多少の焦りが滲んだ表情で虚空を睨みつけ)
>グルース(>>1147)
ごきげんよう、坊や――いいえ、Duke。あなたに会える日を心待ちにしていたわ。
今までお屋敷に迎えたことがないタイプの子だから、あなたがどんな風にお屋敷での暮らしを営んでいくか、怪物との絆を織り成していくか…今の段階では想像がつかないわ。…ふふ、わくわくするわね。
夢の世界を楽しみに来てくれて嬉しいわ。この特殊な状況に、狂った――失礼、変わり者のユギンと一緒に閉じ込められたら、何もかもが常識から離れすぎていてお試しにもならないかもしれないわね…ふふ。それでもよければあなたの選択を尊重するわ。何かご相談があれば私に声を掛けて、何もなければどうぞ夢の中へ。
***
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.お互いの太ももに5分顔を挟まないと出られない部屋(制限時間:15min)
>Ⅱ.どちらかが足を一本差し出さないと出られない部屋(制限時間:10min)
>Ⅲ.本気で相撲を取らないと出られない部屋(制限時間:20min)
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>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:マリーシュカ ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
◆ザカリー・アーバーン(>>93)
◆レオ(>>147)
◆ニール・グレイ(>>244)
◆シャラメ(>>395)
◇ミネルヴァ(>>489)
◇プリケル(>>559)
◆リーパー(>>576)
◆グレン(>>644)
◇リリー・フリント(>>1041)
▼ 現在のブックマーク(最長1ヶ月間保持) ▼
●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1148 】 ※イベント「九尾の神通力」発生中
●蘭玲 × ウーミン ⇒ 【 >>1149 】
●グレン × ハイネ ⇒ 【 >>1150 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●グルース × マリーシュカ ⇒ 【 >>1151 】
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
ご機嫌よう、美しきセニョーラ。垣根の外から声を掛ける無礼にはどうか目を瞑っておいてくれ。何せ俺は未だ演者ではない、ただの通りすがりなもんでね。
だが、いずれは黒薔薇屋敷の皆々様にお目通り願いたいと考えている。今日は来たるその日の為の情報収集にやって来たのさ。マナー違反で門前払いを食らったんじゃ格好がつかないだろう?
具体的には、屋敷へ攫われてきた際の持ち物について尋ねたいんだ。
銃やナイフのような危険物はきっと取り上げられちまうんだろうが、怪物達の好物──たとえば飴や宝石なんかを、所持品や装飾品という形で持ち込む事は出来るのかい。無論、人間界産じゃ口に合わないってんなら潔く手ぶらでお邪魔するとも。何せ使い道も考えちゃいない、単なる思いつきだからな。
……あぁついでに、好物絡みの質問をもう一つ。もし良かったら、ゾンビのアッシュって奴に聞いてきてくれないか。"君はコカの葉が好物らしいが、コカインも好きなのか"と。生憎俺は粉のほうにしか馴染みがなくてね。
名無しの分際で長々と失礼。屋敷の中はお客人で賑わっているようだし、返事は暇な時に貰えりゃそれで構わない。よろしく頼むよ。
それじゃ、無名の怪物に食われないうちに俺は一度退散しよう。君もどうか良い夜を。
>ウーミン( >1149 )
( 鼓膜が破れそうなほどの大きな声に一瞬肩を跳ね上げさせるも、直ぐに困ったようなそれでいてしょうがないとでも言いたいような笑みを浮かべ 『 分かった、分かった。私の膝はうーだけの特等席ね 』 額にかかる前髪を片手で分け、露出した冷たい肌へと宥めるように軽く唇を寄せて。『 喧嘩、はしないかなぁ 』 彼女からの情報だけで頭に思い浮かべるのは彼女と同年齢くらいの見目の男の子。そんな相手と力比べだとしてもしようものなら周囲から得る己の評価は “ 大人気ない ” その一言に徹する事になるだろう、なんてところまで頭が回れば苦笑混じりに 『 だから、うーが気にする事無いよ 』 諌めるような口調はきっと彼女なりに心配しての事だろう。髪を撫でる手を頬の辺りまで滑らせれば、そのまま手の甲でするりと撫でて。彼女の様子を見るにどうやら伝えたかった事は伝わったらしい。小さく安堵の息を漏らしていれば次ぐ質問にぱちくりと瞳を瞬かせ 『 ……どうだろう?もしかしたらあるかも知れないけど 』 社会的な立場が上の者と下の者、そんな交友関係が無い訳でも無いのであれば食物連鎖の捕食者と被捕食者がそうなる事も可能性としては捨て切れない 『 でも、私はあんまり聞かないかな 』 好奇心に塗れた生臭い質問 『 私は、うーの友だちになれない? 』 きっと彼女が聞きたかったのはこう言う事なのだろう、なんて首をゆるりと傾けながら )
>ハイネ( >1150 )
でも、俺がハイネの事絶望させられる訳無いし
( きっと一番手っ取り早く条件をクリアできる手段を断られてしまえば、僅かに唇を尖らせ拗ねたような表情を。離れておけ、そんな忠告に従い数歩後ろへと下がろうとした時、何かが破裂したような音が鼓膜を揺さぶる 「 ッ!? 」 音への驚きに一瞬身体を竦めるも、指先から滴り落ちる赤黒い液体に気が付けば彼の元へと駆け寄り庇っている手ごと両手で包み込んで 「 お願いだから、ハイネが傷付くような事しないで 」 彼の事だからきっと自暴自棄になっての自傷行為では無く何か考えがあっての事、そう頭では分かっているものの心臓に悪いのも事実。指先に現れる微かな震えと消え入りそうな程小さな声は部屋に囚われた事よりも、誰よりも大切に想う彼が傷付く事への恐怖。 すぅ、と細く吸い込んだ酸素で肺を満たし「 ねぇ、ハイネ。俺の我儘聞いてくれる? 」 きっと彼は己が何かのスイッチを入れた事に気付かない訳はないだろうが、 “ 我儘 ” を無碍に扱う事も無いだろうという狡い思考。伺うように、甘えるように、ゆるり持ち上げた双眸で焦りが浮かぶ彼の顔を上目遣いに見上げ )
>ラザロ(>1148)
(彼からの承諾に、それまでの不安そうな顔は、強張っていた身体ごと全て嬉々と緩む。と、そこで問い返された言葉で己自身も忘れていた服装を思い出し、「ああ、これはあの彼がわざわざ調達してくれてな。動き易くて中々悪くはないが…あまり軽いのも落ち着かないものだな。」腕を振り上げ揺れる短い袖を掲げてみせつつ、狐からの贈り物と正直に。その後に続く所感には、台詞ほどの苦み渋みは殆ど有らず、ただ単純に着心地の感想のみの意味合いだけが置かれて。彼の頼もしい言葉だけでぐらつく憂いは吹き飛び、満面の向日葵に変わって、「――任せた、ラザロ。」こつん。伸びてきた拳に、此方も小さな拳をぶつけ交渉成立を喜ぶ。「勿論。君を頼るのだ、私からも精一杯の協力をするとも。」続いた命令も難無く飲み込み、差し出されたその手と断りを口にする彼へ順に目を移した次、「ああ、問題無い。」少々黒い色の付着したそれを躊躇せずに握れば、ぐんと引かれる動きのまま、普段よりも多い歩を踏みながら彼の行先に同行する途中。ふわふわ鼻先を擽る土や木の香りに、昔己を引いた師の掌を思い出し、「……懐かしいな。」それからいつ振りか、また同じく引かれている手にぽつり懐古に微笑む呟きを零した後。「ラザロ。庭仕事、とは具体的に何をしていたのだ?」道中他に目移りするその前に、目の前の彼へ集中すべく話を持ちかける。そのおまけで漂う匂いにも意識は向いて、「…ん。木屑の匂いがするな……もしかして、何か作っていたのか?」只の畑や庭弄りでは含みようの無い香から、またするする持ち上がる記憶から照らした答えを、もう一度言葉を変えて問い掛けてみた。)
>マリーシュカ(>1151)
ごきげんよう、レディ・マリーシュカ。まずは、快く迎え入れてくれた事に感謝を。
…僕自身も、この不思議なお屋敷で日々を過ごし、怪物様と触れ合う内にどんな感情が芽生えてどんな行動をするのか…想像がつかなくて、何だか冒険心が擽られてしまうね。
ふふ、構わないよ。僕とサー・ユギン、同じ博愛のようで全く違う方向へ傾倒する二人だから、何か際立つ陰影がこの夢で顕れるのではないかと思っているんだ。
……長話もいけないね。それじゃあこの辺りで一つ、夢を見させてもらおう。では失礼するよ、レディ・マリーシュカ。…僕から贈るのは少しおかしいかもしれないけれど……良い夢を。
***
>Ⅰ.お互いの太ももに5分顔を挟まないと出られない部屋(制限時間:15min)
(夜ばかりの風景にも見慣れ、部屋にある調度品の配置もすっかりと覚えて、日々の終わりにこのベッドに寝転がる事に安堵するほど屋敷の生活に馴染んでいた。…だから、油断していたのだ。ざあっと視界を覆った黒い茨に呑まれる一瞬、抵抗なんて出来なくて――次に目を開けたのは、目の眩む白さに囲まれた部屋。「……此処は。」何度か瞬いて見回す其処は、外に繋がる物の無い箱のような空間らしい。あまりに何も無さ過ぎる場所に僅かに眉を寄せ、天井を仰いでいた視線を己の左へと移せば、屋敷内でもよく話をする山羊の彼の姿が見付かる。「…おや。何とも妙な所で出会したね、サー・ユギン。」気を許す友人を視認した途端、ふっと頬を安心に柔く弛める。そのついでに軽やかなジョークも飾った後で、「ねえ君、此処が何だか解るかい?…どうも少し記憶が曖昧でね。」再び表情には渋みが滲み、辺りへまたじっくりと警戒の視線を巡らせながら、今この場での一番の安全圏と言える彼の隣へと歩み寄った。)
>名無しの演者様(>>1153)
御声掛けありがとう、セニョール。無礼だなんて思わないわ、あなたはきっと素敵な紳士。少なくとも黒薔薇を――私達を慮ってくれたのだもの、心の暖かいひとは好きよ。ふふ。
お屋敷への持ち物についてのご質問ね。怪物が人間界で唯一美味しいと感じるものについて触れようとしてくれてありがとう、結論から言えばキャラクター設定と照合して不自然が無い且つ肌身放さず持っているもの(=攫われる際に身に着けていた・持っていた)物ならば原則何でも持ち込みOKよ。危険物についても例外じゃないわ、ただ自分や他者を傷つける為には物理的に使えない状態になる事が前提だから、もし検討中なら念頭に置いておいてね。私達を物理的に傷つけるには人間同士が戦うための武器では力不足、仮に自分に向けようともあなたは大切なお食事だもの、黒薔薇がそれを許さない。この辺りの絡繰りについては、もしご興味があればHPから【ルネコの備忘録#10(https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2019/09/29/174132)】を参考にしてみてちょうだい。
アッシュの好物はコカの葉そのもの、きっと粉末に加工されたものは美味しいとは感じられないと思うの。でも興味は示すかもしれないわ。
事前のご相談ありがとう、嬉しかったわ。もし入れ違いになるといけないからお伝えさせていただくのだけれど、ついさっき優遇/冷遇に一部修正があったの。もしまだお屋敷に興味を持っていただけるのなら、一度お目通しいただけるかしら。
あなたに会える夜が待ち遠しいわ。どうか誰にも食べられずに、ここに辿り着いてね。
>蘭玲(>>1154)
えへへぇ、うんっ。蘭玲すきっ
(幼い堕天使にとっては全て自分の思い通りになることが当たり前で、それが彼女の優しさによって成立しているものだなんてきっと気付いてすらいないのだろう。ゆえに感謝ではなく自己の感情を幼稚さから来る端的さを以って言葉にし、額に触れる柔らかくて温かい感触には心がほんわりと和むような心地を覚えて。「 ケンカしない?、よかったぁ。ラザロにもいうね、蘭玲いじめちゃだめーって 」言葉だけでなく優しく頬を撫でる行動でも穏やかな意向を伝えてくれたことにすっかり安心しきってふにゃっと表情を蕩けさせる。きっとこの部屋を後にすればその足でドラゴンやドリアードに綺麗で優しいあたらしいおんなのこの事を伝えに行くのだろう。友達は友達を食べるかもしれない、けれど彼女の世界には稀有な事例。そう解釈すればニマっと口角を上げて「 じゃあ、このおやしきではともだちになれるねえ 」ここが人間界とは全く異なる世界という事は如何に脳足りんでも正しく理解できており、彼女の腰辺りにきゅうと腕を巻き付けてはそのまま胸元あたりに顔を埋めて「 蘭玲、うーのはじめてのにんげんのともだち。きっととっても美味しいの 」夢見心地に、まるで詠うようにそう呟いて)
>グレン(>>1155)
お互い様、ですよ
(頼むから何にも害されず穏やかに、健やかに在って欲しい。そんな願いは此方から貴方へ祈る方がきっと適切だろう、そんな風に想いながら冷たい体液がどくどくと流れ出るのを感じては無様と分かっていながらも無事な片手と口を使って自らの燕尾服の裾を引き裂き、包帯と呼ぶにはあまりにお粗末な布切れをきつく患部に巻き付けて。「 …痛い。のは久し振りだ 」ぽつり呟いたのは独り言。これまでお屋敷で夥しい数の人間たちがこんな痛みなど比べ物にならない苦痛を味わいながら喰われていったのだろう、そう顧みれば矢張り同じ立場である想い人にそんな経験はさせたくないと強く感じて思わず怪我をした手が痛むのも構わずそっと抱き締めて。「 ……ええ。ひとまず聴くだけなら 」受け入れるかどうかは別にして、と。抱擁の手を解いて顔を見合わせるも手は暖かな身体に触れたまま、次がれるであろう我儘を待って)
>レオ(>>1156)
ああ、アイツの服か。道理で見慣れねえわけだ
(疑問が解消されたことに満足そうに一度顎を引いて、九尾からの贈り物という点には何の感傷も持たず「 まァ似合ってるけどよ。汚れたら取り替えような 」ただ見たままの感想を告げ、もし体格が戻る前の暮らしで着替えなければいけない時がくれば同じように自分が何らかの召し物を用意してやればいいだけだと脳内で片付けて。「 上等だ 」協力関係が構築された事にギザギザの歯を見せてニッと笑いかけ、ふと昔を懐かしむような意味合いの声が耳に入れば「 あァ? 」と粗暴ながら特に怒っているわけではない通常運転の荒々しさで聞き返して「 おう、よく分かったな。ココの庭はだだっ広いからよ、休憩する所が必要だろ?俺ァ地べたでも構わねえが、最低でもベンチには座りてえってお高く止まった奴らも居ンだよ 」無限と見紛うほど広大な敷地、どこまでも続く花畑や黒茨の森、魔界の動植物を愛でる趣味のある住人にとって庭園は重要な場所でもある。きっとそんな誰かからのリクエストを受けて、終わりの見えない大工仕事に勤しんでいるのだと暗に答えるも不思議とそこに辟易したような色はなく、むしろ尽きない仕事を有り難く受け入れているような潔ささえ片鱗を見せて。やがて辿り着いたのは重々しい両開きの黒い鉄扉の前、大の大人が複数で全体重をかけてもびくともしないような分厚いそれに繋いでいない方の手を添えいとも簡単にギギギと押し開いてその中へ。まさに男の部屋といった様相、工具器具や何らかの破片、用途不明の鉄塊等が散乱した無骨な部屋には最低限の照明と飾りっ気のないベッドや椅子等の生活に必要最低限な家具がぽつぽつと点在しており「 とりあえず元に戻るまでは俺の部屋に住め。サッと風呂入ってくるから適当に待っとけ、……いや…、ついでにテメェも入るか? 」内側から扉を閉めてはもう安全だと判断して手を離し。躊躇いなくガバっとタンクトップを脱ぎ捨て立派な筋肉による凹凸が敷き詰められた上裸を晒しながら待機命令を、そこで先ほど交わした互いが視界に入るようにとの約束を思い出しては他意なく問い掛けて)
>グルース(>>1157)
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>テーマ:お互いの太ももに5分顔を挟まないと出られない部屋
>制限時間:15min
>親密度:◆◆◇
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全く君の言う通りだ、高貴な仔羊くん。黒薔薇も粋な事をしてくれるね、僕達に二人っきりの部屋を用意するなんて
(意識が浮上し、暗い屋敷では見慣れない光を煌々と反射する白い天井の眩さに思わず目を守るように手を翳して。状況の飲み込めない今、出来るのは記憶を思い起こす事だけだがそれも解決には繋がらず、声の掛かった右側を見ればゆぅるり微笑んで応答。軽口に聞こえる台詞は全て心からの本音、黒いトーガを揺らしながらこちらからも歩み寄り「 黒薔薇の仕業なのは間違いないね――ただ目的まではさっぱり。…おや、 」ひとまず抱擁しようと腕を伸ばしかけた時、意識が目の前の彼からパサリと音のした空間に持って行かれる。視線を移した先には突如現れた黒い手紙、しゃがんで拾うのも面倒だと魔法を行使しようと軽く指を曲げるも、手紙はうんともすんとも言わずただ警告じみたピリピリとした痛みが指先を侵すのみ「 ……? 」ゆぅっくりと首を傾げてその指先を引っ込めてじっと観察する、そうこうしている間に貴方の方が手紙を拾ってくれたのならば【 制限時間15分以内にお互いの太ももに5分顔を挟めば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】との内容が明らかになるだろう。読み終えたのと同時に、ザザザと砂嵐のような音と共に部屋の中心たる空中には黒い砂時計が現れ、ひっくり返された上部からは砂が零れ落ち始める)
>ウーミン( >1159 )
( 今対話している彼女が、きっと見た目よりも随分と幼い思考を持ち合わせているのだろう事や、己は彼女の中で甘えてもいい人物として認識されたのであろう事は今迄の会話から推測ができる。好きだと、直接的に好意を向けられる事がこそばゆく、返答の代わりに照れたような笑みを浮かべようか。 『 うーが伝えてくれるなら安心ね 』 恐らく初対面でいきなり喧嘩をするだなんて自身が所属していた組織の下っ端のように野蛮な相手である可能性は少ないだろうが、彼女伝手に己の存在を認知する相手が増えるのであればそれはそれで好都合とばかりに止める事はせず『 私もうーの友だちに換算してくれるの? 』 きっと胸元に顔を埋める彼女には今己の表情は見えないのだろうが、一瞬の驚きの後に浮かべるのは穏やかな笑み。それは友達と呼べる人間が身の回りに殆ど居なかった故の反応でもあるのだが、それは今口にする必要性もない事だろう。くあ、と漏れ出た小さな欠伸は彼女の耳に届いただろうか。寝起きの頭を酷使した故のもので特段の眠気を感じる事も無いのだが、きっと常識に囚われていては理解の出来ない事柄の数々に脳が疲弊してきたのだろう。膝の上に有る程よい重たさも相まってかうつらうつらとし始めて )
>ハイネ( >1160 )
( 普段あれほどまでに見目に気を使う彼が包帯代わりに燕尾服を切り裂くのを目にすれば、まるで自身の痛みかのように目を細め。冷たい身体に抱きしめられれば緩くその背中へと腕を回し。一先ずは “ 我儘 ” を聞いてくれるらしい事に表情を緩ませ、交わる視線は逸らす事なく真正面から捉え 「 俺さ、最期はハイネに喰べられて迎えたいんだよね 」 何の脈絡もなく落とした言葉は己の中では随分と前に決まっていたもの。片手を彼の頬へと添え、ゆるゆるとした手付きで目元を撫でながら 「 …ハイネが大事だから、大好きだから、一時の絶望なんて俺怖く無いよ 」 例えこの部屋を出るための偽りだとしても、彼から突き放される事が怖く無い訳はない。僅かな手の震えは触れた肌を通じて伝わっているだろうが、精一杯の強がりで顔は崩す事なく笑みを浮かべたまま )
>蘭玲(>>1163)
……!らんれえ、おねむ?
(自分の思うがままを伝えここに居たいがままに膝上を占領し続ける幸せな時間を味わっている最中、頭上からこくりこくりと微かな揺れを感知しては抱き着いていた腕を張って顔を見上げ。努めてゆっくりと、こしょこしょ声で半ば独り言のように問い掛け、ふわりと羽根のような軽さで地面に降り立ち。そこからはいつも遊び疲れて眠ってしまった己をドラゴンが寝床まで運んでくれる時の真似をして、華奢な体格からは規格外の怪力で軽々と貴方を持ち上げよう。片手で首の辺りを、もう片方で臀部を支えてトンと床を蹴ればふんわぁり宙に浮かび、アーチを描くように彼女のベッドへ一飛び。着地の際も振動を与えないように上手に衝撃を殺して、貴方に意識があろうがなかろうが一旦ベッドへと寝かせては優しく毛布をかけて「 おやすみなさい、またね、蘭玲 」仮に彼女が眠り込んでいて返答がなかったとしても、堕天使は満足気な表情でこの部屋を後にするだろう。まるで猫のように足音も立てず静かに、ヘンゼルとグレーテルのように軌跡に羽根だけを残して。そうして扉を閉める前にもう一度だけ“またね”と囁いて)
>グレン(>>1164)
――――!
(表情を強張らせたのは、二人してこのまま命を落とすくらいならばこの場で貪って欲しいと強請られると誤解したから。しかしそれが邪推と分かれば安堵できるような状況ではないが確かに淡く吐息して、彼の意向をきちんと頭と心に刻み付ける。気丈な笑顔は愛らしく、だからこそ震える手がそれ以上に愛おしく感じてその上に自分の冷たい手を重ねて柔く握り「 ……確証が無いでしょう。“心底”絶望しろ、というのが演題なのですよ 」ハイネからの宣告が本当は嘘だと分かっていながら心に湧いた絶望が果たして出口を開く鍵足り得るのか。もし黒薔薇が許さなかったとしたら、ただ徒に想い人を傷つけただけに終わってしまう「 俺は、…俺こそ。グレンが大事なんです、…………このダークエルフの誇りよりも 」青天井の自尊心、しかしそれを更に上回るほど価値ある存在。この極限状態でそれを認め、もう半分減ったか否か分からない砂時計には目もくれず直線的な視線を貴方にだけ注ぎ続け「 苦痛も絶望も、グレンにだけは味わって欲しくないんです。他の者がどうなろうと知ったことではない。それ無しでは未来を繋げないと言うのであれば、……。 」自らも手を伸ばし体温のある頬に触れ、そのまま後頭部へと手を滑らせて手前に引き寄せ唇を柔く重ねて。そうして顔を引けば、今まで見せたことのない懊悩に歪む表情を見せながら傷跡を彷彿させる目元の入れ墨へと鋭い爪を伸ばしていき)
>ラザロ(>1161)
――昔私の手を引いた者の事を思い出しただけだ。…顔まで思い出したのは久々だったな。
(たった一音ながら聞き返された内容は察知して、特別隠す事も無い懐古の中身を簡潔に伝え、その後にぱたり瞬いた目の奥にまた柔く温い情を滲ませて、遠い想い出に伏した視線を馳せる。しかしそれも直ぐに終わり、「なるほど。…ふむ、草っぱらに寝転がるのも気持ちが良いのだがな。」彼の作業内容を聞いて納得の一言、それに続けて己自身の経験から“勿体無い”と言わんばかりの色が薄く混ざる言葉を落とす。しかし、「だが、君の作った物は見てみたいな。…今度案内を頼もうか。」そこはまた別、彼に関する事は知りたいと庭への導きを何時かの楽しみに結んで。――到着した先は、重厚で頑丈で、如何にも厳重そうな鉄扉。それが彼によって容易く開かれたその内側は、恐らく日頃使う道具や物品、シンプルな家具が必要なものだけ置かれた、以前己が住んでいた山小屋にも似た内装の部屋。手を離されたその間に、既に部屋の中身へ興味津々と輝く顔で彼方此方見回していたが、彼の声にはっとそちらを振り返り、「そ、そうだな。君も私も、お互い目を離してはいけない。」一瞬思考から飛んだ約束をもう一度言葉にする事で好奇心を縛りつつ是を返した後、彼の見事な肉体を改めて見上げ、「……君の腕なら熊も軽々担げそうだな。…羨ましい。」抱いた率直な感想と素直な羨望を洩らす。――今の子供の自分でも、同年代よりは丈夫な筋骨をしている筈で、それは大人の自分も言わずもがなだが、当然隆々とした彼の体つきにはどちらも敵わず。一切の意識はそちらに向いてきらきらとした憧れの目線を送り、蝶や蜥蜴達にそうしたように、今度はその腕へと好奇に揺れた両手を伸ばしていった。)
>ユギン(>1162)
(彼と同時に此方からもハグとチークキスをと、腕を持ち上げた所で何かが落ちる軽い音。そちらを見れば何時かの招待状に似た黒い紙が床に寝そべって、続けて隣の彼がいつもの魔法で拾う所作を眺め待っていたが、「…うん?」どうも普段とは違う様子に此方も首を傾げた後、一先ず己がその手紙を屈んで拾い上げる。そうして文面を確認した瞬間、「――は、」ぼふっ、と耳まで顔を朱に染め上げて目を見開き、「破廉恥な……っ!」思わず裏返った絞り声と共に、それをぽいと放り投げる。その間に今度は異音と共に中空へ砂時計が現れ、「……何もしなければ、本当に此処で終わってしまうようだね。」まだ動揺が残る中でも状況を正しく理解出来る、不可思議に説得力のある現象の連続発生に独り納得を零し咳払いを一つ。それから、「……サー・ユギン。どうも黒薔薇達の過ぎた悪戯の内のようだ。時間も無いから確認は手短に行おう。…まず、見回す限り部屋に出口は無い、今有する脱出方法は手紙の内容を熟す事だけ、後は…」恥じらいの尾っぽを頬に引き摺りながらも、すらすら確認事項を整理したその最後に、「……君、今魔法は使えるかい?」先程の手紙に関する一連を見て予想した禁則を、彼本人に問う形で確かめた。)
>ウーミン( >1165 )
……ううん、大丈夫
( 働かない頭では言語を直す程の余力はなく、無意識のうちに口から出ていたのは母国の発音。心地良い重みが膝上から無くなれば閉じかけていた瞼を持ち上げて。突如身体が宙へと浮いた感覚に “ わ ” と小さな声を上げるものの、特段の抵抗を見せる事もなくベッドへと到着したのなら 「 うーってば力持ちね 」 先ほどよりも幾分か緩い笑みを浮かべて。ふわりと掛かった毛布に、小さく耳に届く就寝の挨拶。半分程夢の世界へと落ちかかっている頭では扉へと向かう背中を見つめて見送ることしかできず、彼女が部屋を出て数分もしない間に眠りへと落ちていくことだろう。次に眼を覚ました時には再度元の世界の自室の風体とは違う室内に辺りを見渡すだろうか。然しベッドから扉までの間、点々と落ちている羽根に瞳を瞬かせた後に彼女の姿を思い出しては微笑を浮かべるのだろうが、それはまたもう少し先のこと )
****
きっといつまで経っても甘やかし続けちゃうと思って半ば強引に幕引きまで持っていった事、先に謝らせてもらうね。うーとの夜が楽しくなかった訳じゃ無い事は分かってて頂戴、本当にずっと甘やかして進まなそうで……私の方にしか非がないから……。
さて、あまり謝りすぎるのもきっと良くないと思うから次の話に移らさせてもらうよ。予定通り殺人鬼の話に移れたらって思ってるんだけれど、イベントでもお邪魔している訳だし貴方の方の負担になっていないかなとだけが心配で。けど、あのダンピールとの邂逅も楽しみじゃないって言ったら嘘になるし……ってすごい揺れていて……。貴方の時間が許すなら継続してどちらもって我儘だけど罷り通ったりするかな?
もし我儘が通るのなら、殺人鬼に 【 部屋を出てウロウロとしている間に廊下とは違う様相の場所に迷い込む 】 描写を出させるつもりにしてるよってだけ伝えておこうかな。もし、何か注意しておくべき事があれば併せて伝えてくれると嬉しいかも。
>ハイネ( >1166 )
…そう、だけど
( 確かに彼の言う事は間違ってはいない。けれども確かめてみなければ分からない、そう紡ぎ出そうとした言葉が空に消えたのは思いもよらぬ彼からの言葉に驚いたからで 「 !……はは、ズルいな。そんなこと言われたら絶望しなきゃいけないのに嬉しくなっちゃうじゃんか 」 こんな状況で無ければ素直に喜べたのだろう言葉に歪に緩んだような笑みを浮かべ。引き寄せられるままに触れるような軽さで合わさった唇。そのまま離れた彼の顔に浮かぶのは今迄見たこともないような思い詰めたもので 「 馬鹿! 」 手が伸びる先、それだけで早とちりした己の邪推であればそれでいい。然し今の彼であれば普通であれば奇行と捉えかねない行動をしてもおかしくは無い。反射で伸ばした手は鋭い爪先が目元へと届く前に瞳を覆い隠せただろうか 「 言葉で駄目なら俺の眼を抉ったらいい、それで駄目なら俺の鼓膜を破いたらいい 」 彼の瞳に写らなくなる事、それを想像するだけで一気に身体中の血の気が引く感覚がする。いやいや、と力無く首を左右に振る目元には言葉に表すには入り混じり過ぎた感情の捌け口となった涙がじわりと滲む。己の中で浮かぶのは恋情と呼ぶには些か自己中心的で歪な執着心にも似た感情。するりと彼の首へと腕を回し、身体を密着させ 「 …それとも、ここで一緒に最期を迎える? 」 きっと彼は断るだろう、そう思い込んでいるからこそ冗談混じりの声色で )
>レオ(>>1167)
だろ?むしろそっちのが木の椅子なんざより柔らけえのにな。
(反発力のある素材に腰を下ろすくらいなら、柔らかな土と草の上に体重を預けた方が心地よい。衣服の汚れを気にする住人にとってはナンセンスなのだろうが、野生的な自分としては同じく大自然の中に生きてきた彼の言葉に共感を示し「 見せびらかす程のモンじゃねえよ。庭に出たいッてンならいつか連れてってやるが 」照れ隠しでも何でもなく、心から自慢できるようなものではないと小さく首を振って、しかし目的が庭園の散策なのであれば付き合う旨を無条件に示すのは元来の世話焼きが幼い姿と声によって助長されているからか。部屋のあちこちに目を遣る様子に微笑ましそうにふっと笑って「 熊ァ?ンなもん余裕だ、百匹だって同時に持ち上げられるぜ 」記憶を探ること数秒、思い至ったのは人間界における大型の哺乳類。一説には山に棲む野生動物で最強の一角たる獣も、ドラゴンの前では赤子同然とばかりに不敵に笑って上腕の筋肉にぐっと力を込めて。こちらに伸びてくる小さな手を迎え入れるように岩のように硬い筋肉の鎧を纏う腕を近づけ、もし少年がそれに捕まったのならぶら下げる要領でぐんと腕を上げ「 風呂場まで振り落とされンなよ! 」楽しそうに声を張ればそのままドカドカと脱衣所へ向かおう)
>グルース(>>1168)
おやおや…、ふふ。
(指に気を取られていれば何やら可愛らしく裏返った声。興味の矛先はそちらへ向き、紅潮した顔を認めればくすくすと喉を擽るように笑って「 どれどれ、 」放られた手紙を今度は直々に拾い上げて内容に目を通し。次いで砂時計に視線を移して「 そうみたいだねえ 」生命の危機に瀕しているというのに矢鱈と悠長なのは課された命令事項が少なくとも不埒なインキュバスにとっては児戯に等しい内容だったから。「 それがね、ダメみたいなんだ。さっき手紙を拾おうとしたらね、痛くされちゃったんだよ。もっと出力の高い魔法を使っていたら、きっともっと痛くされていたと思う 」問い掛けにはゆるゆるとかぶりを振る。ようやく痛みの引いてきた指先をさすりさすりしながらしょんぼりとした声色で多少大袈裟に聞こえるよう痛みをアピールして、慰めてと言わんばかりにちゃっかり少年の肩へとしなだれかかり、その姿勢のまま「 君で5分、僕で5分、制限時間は15分。…あまり余裕はないね、早速やろうか 」指折り所要時間を数えて、彼と同じく現状を正しく把握すれば先ずは自分が挟まりにいくとばかりに彼の足元にしゃがんで「 立ったままだとやり辛いかな?寝転んだほうが良いかい? 」羞恥心など皆無、下から見上げる形でどこかこの状況を楽しむように横長の瞳孔をゆったり細めて)
>蘭玲(>>1169)
あら、謝らないで。引き際を提示していただけるのは有り難いことだもの、いつもこちらから幕を引いてばかりだったから…ありがとう。これから先も、私達の下がるタイミングに過不足があったら教えてちょうだい。ウーミンにたくさん優しくしてくれてありがとう、すっかり懐いてしまったわね…ふふ。
同時進行だけれど、今のところは大丈夫よ。ただこの先物理的に厳しくなってきたら一度どちらかに絞らせていただく可能性もあるけれど…どちらにせよ、あなたたちとの交流が楽しくて日々の癒やしになっているという事は知っておいてね。うふ。
お言葉に甘えて最初のロルはお願いしてもいいかしら。ギレルモはお屋敷の地下に閉じ込められているから、【下に下にと長く続く仄暗い螺旋階段を発見、下降している内に最下層から聞こえてくる不気味な鼻唄に対してリアクションをする】といった内容の描写を回していただけるとスムーズに繋げられてとっても助かるわ。こちらこそ、何か事前に聞いておきたいことやご相談があれば何でも教えてね、特になければ案内人へのお返事は大丈夫よ。
>グレン(>>1170)
……この俺が人間に馬鹿呼ばわりされる夜が来るとは、
(予想だにしない言葉と目許を覆い隠す行動に、思わずきょとんと全ての動作をフリーズさせること一秒。すぐにふっと吐息だけの笑いを零して、信頼関係の無い獲物に言われれば笑顔で首を刎ねかねない単語も受け流し「 眼や耳よりも価値あるものが、ダークエルフにはあるのですよ。失う事で絶望する――そう、ちょうど人間にとっての人権や尊厳のようなものが 」種族特有の事情を穏やかな声色で解説しながら、その赤黒く痛々しくも神秘的な入れ墨をトンと指先で示し「 折角覚悟を決めたのに、勘違いしたお馬鹿さんに邪魔されてしまいましたが 」思わず漏れた小さな笑いは自嘲を含む。グレンという存在を除外して考慮した際の最後の砦である入れ墨、いくら腹を括ったつもりでもそれを自らの手でグチャグチャに破壊することにはかなり抵抗があり、勢いという名の決意も貴方の涙を見ればそれを止めることに比べれば些末なことと霧散してしまって。こちらからも背中に手を回し緩く抱き合う格好を保ちながら「 ……貴方との時間は、まだ足りませんね 」感情の読めない声でそう静かに。部屋の静寂にはサラサラと砂の流れる音がやけに鮮明に響く気がして「 あと、どのくらい残ってます? 」引き続いて透明な声でそう問い掛けて)
>ギレルモ( >1173 )
( 変わり映えのしない日常に、特段する事も増えない現実。時折この屋敷の住人たる怪物を話し相手に夜を過ごすものの、同じ部屋でじっと過ごせる性分でも無い事は己自身が一番良く分かっている。初めの夜程時間を持て余す事が無くなったのは、あの常に不機嫌そうなヴァンパイアの対価とすべく文章を綴っているからなのだが筆が進まない日だって勿論あり、それが数日続けば部屋へと閉じこもっている事が馬鹿らしく感じてくる。一人で部屋の外へは出るな、そんな忠告を無碍にするつもりも無いが外への興味が尽きるはずも無い。少なからず安全を取るために僅かに開いた扉の隙間、人気が無いことを確認してから廊下へと足を踏み出し長くどこまでも続きそうな道を歩き始めて十分程。視界に捉えたのは階下へと続く長い螺旋状の階段。上から見ているだけでは何処まで続くのか見当も付かないその先にどんな場所が待っているのか、そんな好奇心に見舞われれば一段、また一段と降り始め。丁度中腹あたりに差し掛かった頃だろうか、微かに耳に届くのは誰かの鼻歌のようなリズムを刻んだもの。それは下に下にと行くほどに大きくはっきりと聞こえるようになり 「 …………誰か居ンのか? 」 階段を下る足音でさえ反響するようになってきた部屋の造り、決して小さくは無い所在の有無を尋ねる声も誰かしらがいるのであれば耳に届いているだろう。危ないかも知れない、そんな考えは頭の片隅にあるものの足を止める事はなく階段の終わり、最下層まで辿り付けば上階よりも薄暗いその室内に眼を慣らす為にその場で何度か瞬きをしてから視線を持ち上げ )
>ハイネ( >1174 )
( 己の邪推はただの杞憂だったようで安堵の息を漏らしたのも束の間、次ぐ自嘲を含んだ笑い声に表情を曇らせ 「 余計に傷付けたら駄目じゃん 」 彼が自分の種族にどれだけの誇りを持っているのかを知っているが為にその決断をさせざるを得なくなったこの状況に加え自身の不甲斐なさに腹が立つ。普段よりも幾らか緩い抱擁に、一蹴されるだろうと思っていた提案への肯定とも否定とも取れぬ返答。全てが日常と異なる様子にゆるり首を傾げるのも一瞬。彼からの問い掛けに砂時計が現れた際に見て以降、初めて視線を向けて「 ……半分無いくらい、かな 」 砂が落ちる速度がやけに速く感じるのは焦りがそう見せているのだろうか。死への恐怖よりも今は彼と離れてしまう未来の可能性への恐怖が強く、タイムリミットを告げてくる砂時計からは視線を逸らし 「 ……嫌だな、ハイネと離れたく無い 」 ぽつと漏らしたのは単なる独り言。回した腕にきゅうと力を込め、彼の首元へと鼻先を埋めるように )
>リーパー(>>1175)
(――寒い。しかし喉は灼けるように熱く絶え間ない渇きを訴え、痛みすら伴う空腹感には耐え兼ねるように屍人の如く黒く濁った爪先を鳩尾あたりにぐぅっと食い込ませる。ああ啜りたい、生ぬるい鉄の液体を、恥も外聞もなくガブガブと溺れるように貪りたい――毎夜毎夜繰り返される獰猛な祈りに応えてくれたのは神様でも黒薔薇でもなく、一切聞き覚えのない男性の声。スン、と匂いを嗅いだ瞬間カッと瞠目して、自らを閉じ込める檻にガシャン!と勢い良くしがみつき「 助けて! 」張り上げた声は潤いを失っている喉に重い負担を強いたらしく、ケホと数回咳き込んで「 …たすけて、 」再度繰り返す声は痛々しくも掠れて。最下層にぽっかり空いた空間、その最奥に位置するたった一つの檻。座敷牢にも似たそこには一人用のベッドや椅子等の必要最低限の家具のみが無造作に置かれており、当の本人は檻に縋り付いたまま力なく項垂れて)
>グレン(>>1176)
……怖いのですよ。先に離れるのは必ずグレンですから
(首辺りに感じる自分のものではない一呼吸ごとが愛おしくて、ぐっと心臓を掴まれたような心地になる。静かに話し始めたのは余裕綽々のダークエルフには不似合いな恐怖を認める言葉、そしてその根源は異種族間の絶望的に埋められない寿命差にあるのだと「 ダークエルフとしての誇りを失い、それと引き換えに貴方との時間を得られる。それは本望です。が、貴方は精々あと数十年も経てば物言わぬ黒薔薇になる。…俺をただひとり置いて 」背中に回した手に意識せずともぐ、と力が籠る。指先に伝わる体温、これが自分と同じ時を生きる者のそれであればどんなに良かったか「 何も残らない。あまりに哀れではありませんか 」こんなにも一つのコレクションに――否、一つの命に傾倒し執着し溺愛したことなどこれまでに無かった。それを失えば、その先数千年に渡る時間をただ孤独に、尊厳も自尊心も失くしたまま黒薔薇に縛られ生きていかねばならないなんて、想像しただけで心底恐ろしい。廃人と化してしまうかもしれない、この期に及んで自分の事ばかりだと気付けば、謝る代わりに「 愛しているんです。グレンを 」万感の想いをはっきりと肉声に乗せて)
>ギレルモ( >1177 )
( 鼻唄が途切れたと思えば次に耳に届いたのはどこかに繋がれた鎖を思い切り引っ張ったような音と助けを求める声。多くの住人と接したわけでは無いが聞き覚えの無い声は人間か、果たして人ならざる者か。誰のものなのかの判断は付かないものの、音の聞こえる方角へと足を進めれば視界に入るのは牢獄のような場所。そこに捕えられている人物は当たり前の如く見覚えなど無く、一見すれば人間のようにも見えなくは無いが 「 ……人じゃねェだろ、オマエ 」 僅かなものではあるが危険を告げる警鐘が頭の中に鳴るのは、今迄の人生で身に付いたもの。もしその勘が当たっていたのなら、捕えざるを得ない事情があるのだろう事にくらいまでは頭が回る。もし無闇に近付いて喰われるまでは無くとも怪我を負ったら、そんな考えが頭に浮かんでは 「 わりィが、オレはお人好しじゃねェんだわ 」 この場で牢の鍵を開けたり、近寄ったりする程怖いもの知らずでも、万が一怪我を負った身で自室に帰れる自信がある程の自意識過剰でも無い。先ずは自分の身の安全確保が最優先事項とばかりに、彼が牢の中から手を伸ばしたとて半歩程届かないであろう場所に立ってはじっと見つめ )
>ハイネ( >1178 )
……俺も、怖いよ。ハイネを置いて先に死んじゃうのが。
( ぽつりぽつりと溢される彼らしからぬ弱音。抱き締められる腕に籠る力は痛みを伴う程のものでは無いのだが、ずきりと胸の内が痛むような心地がするのは吐露される恐怖心に自身も思い当たる節があるからか。ほんの少し密着した体温を離し視線を交えて。どこか普段よりも弱々しく見える彼の刺青の入った方の目元へと柔く唇を押し付けるなどの些細な戯れをしながらも、紡ぎ出す言葉を急かす事はせずに途中相槌を挟みながら耳を傾けていれば鼓膜を振るわせるのは待ち侘びつつも聞くことが怖かった彼からの想い 「 え 」 思わず出てきた声は小さく、素っ頓狂なもの。絶望しなければならないのに、彼の口から紡ぎ出されるのは己を喜ばす言葉ばかり 「 この部屋じゃ無い所で聞きたかったな 」 困ったような笑みを浮かべた後、再度彼にぎゅううと抱き着いて 「 俺も、ハイネの事愛してる 」 耳元で紡ぎ出した声は小さく掠れていて。残り時間が気になりチラチラと視界の隅に捉える砂時計は刻一刻と制限時間までの時を刻んでいる 「 ……どうしようか、 」 我儘を言うならば未だこの先にあったはずの屋敷での生活を彼と共に過ごしたい。然し、それが自分のエゴだと言う事も理解しており眉尻を下げた情けない表情を向け )
>リーパー(>>1179)
寒くてさァ、ノド渇いてさァ…、もうずっとツラいんだよォ
(その場で頭を抱えるようにしてしゃがみ込み、夜色の髪をぐしゃりと握りつぶすように両手で鷲掴みに。痛みを伴うであろう行為も終わりなく自身を責め苛む飢餓感に比べれば可愛いと思える刺激であり、切羽詰まった上擦ったような声色で恨み言のように紡いだかと思えば、不気味なほどキレのある急激な動きで姿勢はそのままにバッと顔を上げ「 変わったニオイだねえ、キミ 」呆然としているようで、しかし獣が獲物を見据えるようで、吸い込まれそうとも表現できるほど限界まで見開かれた双眸は何の表情もなく相手を捉え「 まるでヴァンパイアみたいだなア 」キュッと瞳孔が一瞬縮まったのを目視出来ただろうか。彼の身体から漂う忌々しい高貴な上位種の香りに露骨に表情を歪ませてはすくっと立ち上がり踵を返して「 飲ませてくンないならどっか行ってェ?クサいからさァ 」未だ名も知れぬ迷い子に背を向ける形で簡素なベッドへ不貞腐れたようにぼすっと寝そべって)
>グレン(>>1180)
……もっと早く伝えていれば良かった
(何だか満たされた気がしてしまったのは、どの夜でも何をしていても頭から離れないまるで病のような想いを同じように彼も抱いていたのだと確証を得られたから。後悔なんてらしくないけれど、ぽつりと口を突いたのは悔やむよりもむしろ呆気なさに笑ってしまうような仄かな明るさを含んで「 俺はグレンの命に責任を持ちます。貴方が事切れる最期の瞬間まで、今まで通り世話をして磨き上げて、俺の持てる全てで愛で抜く事を誓います 」ここにレースのヴェールがあれば絹のような髪へふわりと掛けたかった。真っ白な花嫁衣装に身を包む彼の姿を心の底から見たいと思う。けれどここに閉じ込められている以上それは叶わぬ夢。皮膚や肉など容易に切り裂けるであろう鋭い爪を携えた冷たい両手、片方は先の爆裂で使い物にならないが今の今まで彼の背に添えていた無傷のまま残っている方の手をそっと彼の太ももの上に置き「 だから、貴方も責任を持って欲しい 」覚悟があるなら、その手を掴んで凶器と成し、自らの大切な誇りたる入れ墨を壊してくれと「 酷な事とは承知です。グレンにとっても、俺にとっても。…愛がこうも難儀なものだとはね 」貴方との夢のような短い時間を得るためならば、その先数千年の地獄の責め苦を甘受しようと。怪物はもう一度決意を固めた、選ぶのは儚くて美しい人間、ただそのひと)
>ラザロ(>1171)
ではいつか、共に庭を散歩しよう。
(外出の供を許されて尚一層頬を弛め、確かとなった未来の約束を言葉として結い上げる。彼からの期待通り、それどころか期待以上の答えにぱあっと満面笑って、「頼もしいな、ラザロ。君との狩りなら何の心配事も無さそうだ。」率直そのまま彼との狩猟に一瞬想いを馳せた後。招かれるままその逞しい腕に両手を回した瞬間――ぐわっ、と勢いのある浮遊感が身体を包んで、床から離れた足は宙を緩やかに歩き、「わあっ…!ははっ、凄いなラザロ!すごいすごい!」その高さに驚いたのも一瞬、しっかりしがみついた後はころころ遊ぶ仔犬のような声で力持ちと讃える言葉を繰り返しつつ、その揺れを堪能して。脱衣所に到着すればまた其処に置かれる物達を彼方此方一通り見回してから、またはっと気が付いた様子で己の服へと視線を戻す。普段程の重装備とは違いただ紐さえ引いてしまえば簡単に脱げたそれを、多少適当ではあるが畳んだ後、髪を結んでいたものも解き、頭を軽く振って毛先を背へ雑に散らす。そのいつもの入浴前の短いルーティーンを終えてから、「そうだラザロ、これはどの辺りに置いておけば良い?」纏めた甚平と髪紐をひょいと諸手で掲げながら、先程よりかは落ち着きを取り戻した物言いでそれらの安置場所を問い掛けた。)
>ユギン(>1172)
やっぱりそうか…
(立てた予想は、不本意ながら大正解。他に解決策も無い状況で溜め息混じりの諦めを呟いて。彼の物言いには己も痛みを負ったようにきゅっと眉を寄せて垂らし、「ああ、黒薔薇達も酷い事をするね。…僕の大事な友に痛い思いをさせるなんて。」ゆっくりと身を寄せる彼の頬に掌を滑らせ、言葉通りの苦痛そうな声で主張に寄り添った後、両手でそうっと彼の指先を包む。その上の自らの手の甲越しに唇を軽く当て、「…ほら。おまじないを掛けたから、きっと直ぐに痛みも無くなるよ。大丈夫。」ふわり穏やかに笑んで指を離し、白銀の髪を撫で下ろしながら甘く柔く声を贈った。――足元の彼、楽しげな声。円く弧を描く紫と瞳が合えば、「……君のその積極的な所、本当に素敵だね。」思わずふっと息を吹いて、彼の興に乗せられた浮かれ混じりに称賛を。「そうだね、なら……」それから互い周りの床を見回し埃一つ無い事を確認した後、徐とその場へ腰を下ろして、「僕がこうして膝を立てて座るから、君はその…」体育座りを大分崩した、両膝を緩やかに上げて開いた体勢で改めて彼を見やり、「…ぁ、脚の間に寝そべって入っておいで。」どうしても消しきれない羞恥を表す震えの一音と頬の仄かな熱を連れながらも、両腕を広げ上げて彼を此方へと招いてみせた。)
>ギレルモ( >1181 )
残念ながらオレは人間なんだよな
( ヴァンパイアとの交流は持っているが、今はそれを口に出さない方が良いだろう事は様子を見るに何となく察しがつく。ただしかし、疑問なのは明らかに既に交流を持つ二人のヴァンパイア達との扱いの差。何か歪なものを持ち合わせているのか、それともただ危険を持っている故のこの扱いか。考えた所で結論が出るはずもなく、頭を働かせているうちに不貞腐れた様相を見せる彼に呆気を取られ瞬きを数回「 飲ませるつッたって、アンタが何者なのかも知らねェんだけど 」 きっと今目の前にいる彼も血液を摂取する事によって腹を満たす種族なのだろう事は何とはなく察する事ができる。けれど、微かに感じる違和感は何なのだろうか。彼を閉じ込める檻へと数歩近寄り 「 なァ、アンタのこと教えてくれよ。代わりに少しなら血分けてやるから 」 悪い話では無いだろう?とでも言うように首を傾げて。彼が乗ってくるようであれば、その場に腰を下ろすつもりで )
>ハイネ( >1182 )
( 生涯を誓う言葉に不謹慎ながらも笑みが溢れる。その一言だけで、心がぽかぽかと温まる心地がして嗚呼早く事部屋を出ないと、なんて思えるのだから不思議なものだ。彼の誠意に応えるのであれば膝の上に乗る手を取り入れ墨へとその爪を向ける事が一番の選択肢なのだと頭では分かっている。けれど中々踏み切れないのはそれが彼を苦しめる結末しか無い事が理解できてしまうから。自分が生きている間は未だ寄り添えるが、先に寿命を迎えてしまった後は?それを考えれば踏み切る事など出来ず。誤魔化すような触れるだけの口付けを冷たい唇へと落とし 「 ……ごめん、ハイネ。こっちで許して 」 薄い笑みを浮かべたまま震える手で取った冷たい片手を向けるのは己の方。何をしようとしているのかを彼が察する前に左側の眉から目の下辺りまでの皮膚を切り裂き 「 ~~~~ッ 」 思わず上げそうになる悲鳴は唇を噛んで抑え込む代わり、犬歯で切れた唇から鉄の味が滲んでくる。裂けた血管から流れる血液で視界が赤く染まり、痛みよりも先に襲ってくるのは熱。三筋の傷は長さも深さも均一では無いものの、流れ出てくる血の量からどれも浅いものではない事は見て取れるだろうか )
>レオ(>>1183)
(実直で礼節を弁えていて男らしい、彼のそんな所を買っているつもり。だからいくら幼子の姿とはいえ余りに無邪気で屈託のない様子に一瞬面食らうも、彼が楽しいのならそれでいいかと違和感は塗り潰され釣られたようにこちらもガハハと笑って「 あァ?、テキトーにその辺置いとけよ 」お行儀の良い住人ならばバスケット等決まった場所に使用済の衣服を溜めて使い魔に回収してもらうのだろうが、粗野なドラゴンはと言えばポイポイと何もかも脱ぎっぱなしに床に放置して。ちょこちょこやって来た蜥蜴の使い魔がそれを咥えたり下に潜り込んで背負ったりして回収してくれるのが常、ゆえに決まった置き場は無いとぶっきらぼうに回答し「 行くぜ 」白い手ぬぐいを少年へと放って寄越し、自らも同じ布をパンッと筋肉で盛り上がった肩に掛けては戸をスライドして浴場へ。白いタイルに剥き出しの配管、天井に備え付けられた鈍い銀色のシャワーと複数人が足を伸ばして浸かれる程度の温泉タイプの浴槽。室内は最低限の灯りしか確保されておらずまるで刑務所や病院のような無機質な雰囲気は子供が一人で入るには少々怖いと思ってしまうだろうか、そこまで考えが巡ったかどうかは別として「 滑ったら危ねえからな 」と手を繋いでまずはシャワーの下へと向かい。レバーのようなものをガコンと引き下ろせば大雨の如く湯が降り注ぐ、デフォルトの設定温度は60℃程のためきっと人の身には熱すぎるだろうが自分の浴室に人間を入れた経験なんて無い怪物にはそこまで頭が回っていない様子)
>グルース(>>1184)
(自らを庇い黒薔薇を責める言葉には耳心地良さそうにそうだそうだと頷いて。もうすっかり痛みは引いているが彼に良い子良い子してもらえるまでは痛い気がする、いやきっと痛い。少年なのに大人よりも人を甘やかすのが上手な彼にすっかり甘えるように手はされるがままに、嬉しそうに締まりなく口角を上げれば「 ここにもお願いできるかな? 」その優しさに甘えて自分の唇を指差し、この時間の限られた状況の中では悠長すぎる冗談とも本気ともつかないおねだりを。体勢を変えようとする所作を穏やかな笑みのままじっくり見守って――可愛い、と抱いた感想は言葉にならず片手で自らの口許を隠して数秒黙した後「 ……やっぱり黒薔薇には感謝するべきかも。こんなに可愛い君を見られたんだから 」高揚感から込み上げる笑気は隠しきれず僅かに声を震わせ、そのまま雌豹のように四つん這いで距離を詰める。その間もしっとりとした視線を絶えずペリドットに集中させながら「 しっかり開いていてね?閉じると息が苦しくなっちゃうから 」羞恥心を煽るような言葉を故意か否か添えてから、仰向けに地面に寝そべるように身体を運ぶ。顔がしっかりと腿に挟まるようポジショニングしてから「 5分、しっかり数えておいてね。心地良いから眠ってしまいそうだ 」そんな風にちゃっかりと丸投げしては照れなど欠片も浮かばない微笑みにて股の間から彼の顔を見上げよう)
>リーパー(>>1185)
アハ。可笑しいねェ
(そっぽを向いたまま目に入るのはもう見飽きてしまった無機質な壁。空腹に殺されそうな自分からすれば自身の素性も相手の素性も些末なこと、自分にとって価値や興味があるのはこの渇きを満たしてくれる存在かどうかただそれだけ。ゆえに此方を知りたがる言葉は随分と暢気に聞こえ、乾いた笑いを落としてからくるりと側面に回転して寝返りを打っては相手を見据えて「 先払いならイイよ。地下に迷い込んだネズミちゃん 」こちらから名を聞かないのは束の間の潤いを齎してくれる血液しか見えていないから。もし条件に応じてくれるのならばたちまちベッドから降りて檻のすぐ前まで移動するだろうし、拒否されるならばその場から動かないだろう)
>グレン(>>1186)
――――!
(その口付けは覚悟の表現だと、そう解釈すればそれを受け入れ数秒後に顔を突き刺すであろう痛みを迎え入れるように目を閉じて。持ち上げられる自らの手、しかし指先が触れたのは冷たい怪物の肌ではなく血の通った温かい肉、それを切り裂く感触に下ろしていた瞼を上げ目を瞠っては反射的に手を引っ込めて「 何を…、 」呆然としたまま問い掛けることしか出来なかったのは予想だにしない行動の意図が全く分からないから。パタパタと地面を濡らす鮮血の滴る音にハッと我に返って、彼の頬に手を添えてはその深さを目算するため傷口を凝視する。まるで自分の入れ墨に似ている、そんな感想は一度頭の隅へ追い遣って、青い舌で左目の傷を一度だけ下から上へべろりと舐めて。獣の応急処置のようなそれは魔法の使えない今大した意味も成さないけれど、どうか血だけでも止まってくれと具現化された祈りにも似ていて)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
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●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1187 】 ※日常イベント「九尾の神通力」発生中
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>ラザロ(>1187)
(尋ね事への返答を“何処でも良い”と解釈して頷き、取り敢えず足元にそっと置いておく。その為に曲げた身体をまた伸ばした瞬間投げ渡されたそれを掴み取り、浴場に向かう彼を追って覗いた引き戸の向こう――部屋の家具と同じく必要最低限、しかし照明の暗さかタイルの色味の所為か、武骨さよりも冷たさを醸す其処に一瞬警戒するように足が止まり。しかし隣から伸べられた手に彼の存在を再確認して、「ああ、」強張りかけた表情を綻ばせつつ、先程よりも少しだけ固くその手を繋ぎ浴室内を共に歩く。立ち止まった所でまた広い浴槽や壁を伝う配管に意識を取られて気を緩めきった刹那――降り注いできた湯にぎょっと跳ね上がって目を瞠り、「あ、っ…づ!?」濁音混じりの悲鳴も遅れて零した次には、反射的に其処から逃れんと身を慌ただしく捩る。もしも繋いだ手が離れたならば、この浴室の四隅の一角まで脱兎と素早い脚で避難し壁を背に屈み、それが叶わず繋がれたままならその場で一頻り跳ね回った後に鎧鼠宜しく堅牢に丸まる。どうにしても兎に角、貰った手拭いを落っことす勢いで自らの身体を守る体勢を確保したその後に彼を見上げ、「ラザロ、もう少し湯の温度を下げられないだろうか。…私には熱すぎる。」思いがけない難に用心の色が揺り返して眉が八の字に寄り垂れた表情と、淡く動揺を残しつつも普段に近い朗とした声で、己の適温への歩み寄りを下手に頼み込んだ。)
>ギレルモ( >1189 )
先払いでアンタがオレを食い切らねェ保証は?
( ベッドへと寝転がりながらこちらを見据える姿に瞳を細めるのは、彼がこの屋敷の住人──つまり己とは種族の違う人食いだと仮説を立てたため。普段であれば溜息を一つ落とし自室への道を辿るのだろうが、ヴァンパイアの匂いを嗅ぎ分け、臭いと口にする目の前の彼が何者なのかを知りたいという好奇心に突き動かされたから。けれど、名前も呼ばぬ誰かも知らぬ相手に命まで奪われてしまうのは己が “ 満たされない ” 。暫しの沈黙は折衷案を考えるため。時間にしてたっぷり十分程度の後、はあと大きな溜息を溢しつつ後頭部をガリガリと掻いてから檻の間近にしゃがみ込めば自身の膝に頬杖を付き 「 殺さねェ、その約束してくれンなら先払いでも良いぜ 」 もう片方の手を隙間から中へと差し出そうか。条件を付けたとはいえ死に際に名を呼んでくれる相手を探している己からしてみればかなりの譲歩。僅かに首を傾けるようにしながら彼の動向を見守り、近寄って来るのであればふっと表情を和らげるだろうし、その場に留まるのであれば腕を引っ込め立ち上がる事だろう )
****
途中で出てきて悪ィな。ちょっとばかし質問してェ事があったモンで先に聞いとこうと思ってよ。
この後、レナードとの 【 怪物の証明 】 を起こす予定になってたと思うが、ギレルモとの交流の後自室に戻る途中で音に気付いて…って形で起こす事は可能か?ッつーのも、普段夜毎の区切りだったような気がするが折角部屋の外に出てるンだし、同一の夜認識で起こしちまうのも面白そうだなって思ってよ。不可ッてんなら別日想定で話させてもらうが……まァ考えてみてくれや。
>ハイネ( >1190 )
……っはは、やっぱり俺にはハイネを傷付ける事は出来ないから
( 瞑ったままの左目は瞼を持ち上げると流れ落ちてくる血液が瞳に入ってくるから。特段痛みに強い訳でも無いのだが彼に心配をかけすぎないように、その一心で浮かべる笑みは多少のぎこちなさが残っているだろうか。傷付けるなら彼では無く己、その判断を下したのは本意では無いとて “ 彼の手でグレンという人間を傷付けた ” その事実に少なからず絶望してくれるのでは無いか、そんな自意識過剰によるものだが結果は果たして。傷口を通り過ぎる冷たい感触へは 「 くすぐったい 」 なんてほんの少しだけ身を捩り。流血は段々とマシにはなってくるだろうが見た目が派手な怪我に見えるのは頭部に近い傷のためか。痛みのせいか、血を流しすぎたせいか少し意識が朦朧としてきた。浅い呼吸を繰り返しながら、くてりと身体を彼の方へと預けるように倒し 「 ハイネには生きてて欲しいな…… 」 ぽつり溢した独り言は残り少なくなってきている砂時計を辛うじて開いている右目で確認しての事 「 俺が死んで黒薔薇になっても、ハイネなら見付けてくれるでしょ 」 いつか誰かから聞いた屋敷に囚われた人間の行末。この場で事切れたらその対象になるのか、そんな前例が無いであろう事は分からないものの弱音混じりの例え話。彼の怪我していない方の手に指輪の嵌っている方の指を絡めて緩く握り )
>レオ(>>1192)
な゙、…ッ、悪ィ!
(炎を内に宿すドラゴンにとっては適温よりややぬるい位、気持ちよさそうに片手で短い髪を湯に濡らしている間にすっかり油断していた。今まで彼の口から聞いたことのない声に思わずこちらもぎょっとして視線をやり、異常事態かと思わず繋いだ手にぎゅっと力を込めてしまって。結果小さな身体を逃がすことはなく、しかし直ぐに人間にこの温度は熱すぎるのだと気付けば反射的な謝罪と共に大きな翼を広げて彼を守るように傘の如く庇って「 火傷とかしてねェか?! 」ガコン、再度レバーを引き上げて熱湯の雨を止めてから片膝をついて目線を合わせ、大きく硬い手で頬や腰あたりをぺたぺたと触診し無事を確かめようと。「 …ック、カハハハッ! 」そこで思わず笑いが込み上げたのは、先ほどの悲鳴を思い出したから。被害者にとっては笑い事ではないだろうが、久々に不意を突かれた笑いのツボにはクリティカルヒットしたらしく楽しげな笑いは尾を引いて、思わず生理的な涙が滲む程「 そりゃ…そうだよなァ。ドラゴン(おれ)で丁度いいんだ、レオにゃァ熱すぎるよな 」納得したように言葉にしてからトントンと小さな肩を叩いては立上がり、何やらバルブのようなものをギリギリと回して「 最初はじっとしとけよ 」そう声を掛け、再び翼の傘を少年の上に設置してから改めてレバーを下ろす。降り始めた湯は最初こそ熱いままだったがじきに39℃程まで下がり、頃合いかと判断すれば「 こんくらいでどうだ?浴びれそうか? 」下に視線を遣って貴方を見つめながら、傘を取り上げることはせず様子を見守って)
>グルース(>>1193)
君は僕のお願いを何でも叶えてくれるね
(目を閉じ唇が重なる瞬間を味わい、離れる間際にはむ、と一度だけ柔く唇を食む所作をして。ぺろりと舌なめずりをしながら、キスには照れる様子のない彼を穏やかに見遣っておまじないのお礼代わりに称賛の言葉を贈ろう。諌めるような言葉には“ふふ、”と了解も拒否も示さずただ吐息に笑いだけを交えて零し、鼻先に触れる体温にまた心地よさそうに眦を緩めて「 …おや?それじゃあまるで僕達の共同作業が恥ずかしいものみたいじゃないか 」抗議するような言葉でも声はふわふわと柔らかく、静かな微笑みもそのまま。下から徐ろに手を伸ばせばトラウザーの上からまだ発達途中で細さの残るであろう腿をさわさわと撫で「 僕は見られてもいいよ?僕達がどんなに仲良しか、屋敷中の怪物に知ってもらおうよ 」くすくす、悪魔がささやくように笑う姿は命懸けの緊張感とは全くの無縁で)
>リーパー(>>1194)
アハッ!
(空気を弾けさせるような笑いは先程のような乾いたものではなく、何かを興に思った事がありありと伝わるような楽しげで高い音。のそり、腕を突っ張って上体を起こしベッドに腰掛ける姿勢になり「 保証、約束?あァいいよ、いいともいいとも、するよするする 」すらりとした細長い足で体重を支え立ち上がる、しゃんと背筋を伸ばした姿はひょろりと不気味なほど長身に映るだろうか。軽薄極まりない二つ返事を何度も繰り返して、鉄格子の――彼のすぐ前までゆらりゆらりと歩み寄り、死人の色をした骨張った手のひら同士を淡く合わせ、薄気味悪く目許を細めて口角を吊り上げればキラリと覗く牙「 いただきまァす 」言い終えた瞬間、獲物を捕らえる蛇のような人知を超えた敏捷性で自らのテリトリーに差し入れられた腕をガシッと掴み。骨の軋むような強さは図らずして降ってきた予定外のご馳走に対する高揚感の所為か、あんぐり開けた口で容赦なく手首の動脈付近に牙を差し込み。荒くなる息、見開かれた双眸、ジュルジュルと勢い良く生き血を啜る音が地下の牢獄に木霊して)
***
相談アリガト、このままオレから答えちゃうね。
それがキミの要望なら、答えはイエス。まア、キミが無事にオレから逃げられたらの話だけど…アハ、なーんてね。これ以上聞きたいコトがないなら、余所見せずオレがキミを食べるとこ見ててよ。
>グレン(>>1195)
…………、
(普段鬱陶しいほど流暢に回る舌もこの非常事態には凍り付いてしまって。心を埋め尽くす動揺と鋭利な爪という凶器を自由にさせてしまった誤判断への悔やみ、そして何よりその結果として綺麗な顔を傷付けさせてしまったという罪悪感。しかし絶望に足らなかったのはその何もかもが只々己の事を想ってくれての事だと理解し確信してしまったからなのだろう「 ……グレンの居ない世界なんて、生きる価値はありません 」まさかこの自分がこんな最期を辿る事になろうとは。しかし怒りも後悔ももう心には残っていなかった「 それでも、グレンを抱いて逝けるのなら――俺は最も幸福な怪物ですね 」どちらかが心に傷を負ってこの部屋を出るより、残酷で純粋で眩しい程の愛に満たされたこの小さな箱の中で互いを看取りながら命に幕を下ろすほうが幸せなのかも知れない。少なからずダークエルフはそんな落とし所を見つけ、こちらからも指を絡め返しながらズグズグと痛むもう片方の手で愛しい体温を抱き寄せ「 …隣に。隣同士で咲けば、ずっと一緒です 」ふたりの魂は黒薔薇となり屋敷を飾る大輪の仲間となるのか、正直異例中の異例で自身にも確証はない。だがそれが何だ、死に際に正論や正解の追求などあまりに野暮。もう砂時計は見ない。そんなものより、眼前の何よりも愛おしい命を最期の瞬間まで目に焼き付けていたい。愛している、そう饒舌に語る眼差しを一身に注ぎ、誰にも見せた事がないほど柔らかに微笑み「 ありがとう、グレン。俺は貴方に出会えて幸せでした 」残り時間が僅かだと警告しているのだろうか、天井からはハラハラと黒い薔薇の花弁が雨のようにいくつも舞い落ちて。このままでは無数の黒い花びらが隙間なく部屋を埋め尽くし、窒息死してしまうだろう)
>ラザロ(>1196)
(丸まったその身体の上への熱湯は直ぐ様止んだが、残った余韻に爪先まで固く守る体勢は暫しそのまま、彼の声が近付いた折にやっと緩み始める。「……火傷は大丈夫だ。少々驚いたが。」いつもよりは温い彼の掌が触れる其処は、赤くはなっているものの一時的な紅潮で、皮膚に痛みや損ないが無い事を伝えた直後。目が合った瞬間に呵々と声を上げる姿に驚き目を見開いた次、音の響く状況を飲みきれずに何度も瞬きを繰り返す。しかしその疑問符も彼の笑い声が引く頃、此方を慮るように肩を叩く手に綺麗さっぱり流して。彼の言う通り少しの間は翼の陰にて大人しく、再び彼の言葉が届いてから恐る恐ると傘の外へ指先を伸ばす。そこに当たった湯の粒は人肌よりは温かで、今度はもう少し思い切って掌を晒せば程好い温度が其処を打ってようやっと身の全てを安堵で弛緩させる。「ああ、丁度良い。これなら問題無い。」頷く言葉と共に一歩前へと進み出て、頭からそれを被れば心地良い湯の感触に目を細めて息を吐く。――ふわふわとした髪がすっかり濡れた頃。通常の半分ほどまで質量を減ったように見えるそれの手前部分を片手で掻き上げ、顔に張り付く毛先を退けて視界を確保して。それからまたきょろきょろと視線を辺りに回し、「ラザロ、石鹸はあるか?」普段通りの習慣に着手する為に必要なそれを自ら探す仕草と同時、その此処に有るかも解らない人間向けの物の所在を彼へ問い掛けた。)
>ユギン(>1197)
我が愛しい友が望んでいるのに、断る理由なんてあるのかい。
(食まれた唇をまた微笑みに弛めて、称賛に誇るでも驕るでも無く、当たり前だろうと何処までも深く優しい色の反語を返す。「……ええと、君と何かをする事は楽しいけれどね、」柔くしめやかな抗議にフォローを迷い、じっと砂時計を見詰めたまま辿々しく言葉を繋いでいくが、「――っ!!」不意に大腿へ伝わった感触に身がびくりと大袈裟な程に一度跳ねる。「きき君は良いかもしれないけれど…!」思わず零れた吃音を引き連れて視線を彼へと下げ戻し、脚に触れる不埒なその手を緩くも捕まえつつ、動揺のあまりボリュームさえも誤った声で慌てて否定を落としかけ、「…いや、僕もキスやハグなら構わないのだけれども……」しかし徐々に声は窄まり目も泳いで、数秒黙り込んだ後、「……“これ”だけは勘弁しておくれ…とてもではないけれど、僕が堪えられない……」ケトルを頭に置けば直ぐにでも沸きそうな顔の熱さを両手で覆い隠しながら、蚊の鳴くようなか細い音でそうお願いを紡ぎ残す。それからまた何とか上げた目に砂時計を映した所、丁度交代の時間が示されて、「サー・ユギン、そろそろ五分経つよ。」彼に言われた通りきちんと数えた分数を伝え、念の為五分を三秒程度過ぎてから座ったままにじりじり身を退けていく。「……次は僕が、する手番だね。…どういった体勢がお望みかな?」躊躇に及び腰、しかし命と羞恥は天秤に掛けようが無い。己の希望を聞いたお返しに、此方からも彼の姿勢の要望をおずおずとながら尋ねた。)
>レオ(>>1200)
こんなにぬるかったら水と変わんねえだろうに、人間の肌ってのは脆くて不便だな
(憎まれ口に聞こえかねないそれも只の感想に過ぎないのだからこの男は不器用というもの。自分にとっては多分に物足りない温度に軽く嘆息するも、幼いながらしっかりと自分で身体のケアをしている彼を横目に見れば「 ま、偶にはこんなんもアリか 」僅かに口角を上げ、いつもなら会話もない一人きりのバスタイムに添えられたサプライズを享受しようと決めて。「 おう、コレ――いや待った!拾うな! 」問い掛けに対して反射的に軽く放り投げたのは自身が髪から身体まで全身を洗う際の赤黒い石鹸に似た固形物で、それが自らの手中から離れてから人間の肌に使ってはマズいかもしれないと思い至り声を張り上げ警告を「 テメェが使えるやつ…、……オイ! 」その後キョロキョロと探してみるも当然人間用のグッズなどここにある筈もなく、再度声を上げた相手は自らの使い魔。ヤモリに似たそれは口に籠を咥えてペタペタと器用に天井を這って主人にそれを手渡し「 えーっと、なンだァ?リンスインシャンプー…こっちが頭で、こっちが身体か。オラ、テメェにやるよ 」籠の中には黒と白のボトルが各1本ずつ。黒が頭髪用、白がボディソープのようで、籠ごとずいと手渡して。そこでふと彼の縮んだ姿を見ればふむ、と自身の顎に手を添え「 その短ェ腕でちゃんと背中まで洗えンのか? 」馬鹿にするでもなく、真剣に心配した様子でしかめっ面にて見下ろして)
>ギレルモ( >1198 )
( 付与した条件への了承の返答は予想以上に軽く、眉を顰めながら丁度頭一つ分ほど違う高さにある瞳へと視線を合わせていれば直ぐ眼前へと近寄って来る彼。手首を掴む手がひやりと冷たい事や、骨が軋む音が聞こえてきそうな程の力。どちらを取っても先程己の中で推測した彼が人食いだ、それを確証するものでしか無く。他の部屋とやはり造りが違うのだろうか、普段よりも血液を啜る音がやけに反響して聞こえる。一口一口確実に、血液が抜けていく感覚にクラリと眩暈がすれば 「 ……おい、もう良いだろ。飲みすぎだ 」 じろりと鋭い眼光を向けるのは弱っている姿を見せれば喰われてしまう、そんな一種の動物的な虚勢から。きっと力比べをした所で勝てるはずは無い、そう理解はしているものの腕を引く事を試みない訳にもいかない。ぐっと力を込めて鉄格子の外側──つまり己がいる方へと近寄せる事を試みるが、果たして。手首を掴む力が僅かでも抜けるものなら突き刺さった牙が余計に皮膚を裂く事も構わず手前に引くだろうし、離す素振りが見られないようであればきっと忌み嫌っているのだろうヴァンパイアの名を出してみるつもりで )
>グルース(>>1201)
君が此処へ攫われてくれてよかった。野放しにしていたら色んな女の子を泣かせてしまうよ
(底抜けに優しくしてくれるけれど、それは自分が特別だからではなくただ彼が博愛なだけ。それを理解できている怪物はいいが、もし人間界でこのまま彼が大人になっていたらいわゆる人誑しだとかナントカ製造機と呼ばれる部類になっていただろうなと想像しては、態とらしく自らの二の腕を掴んで身震いするような仕草を。「 こんな刺激でもう限界?仔羊くんはホント可愛いねえ 」温かな、いや今だけは熱いと表現して差し支えないであろう手に捕まってしまえば特に抵抗はせず、代わりに赤くなってゆく顔を目で楽しんで「 ああ、もう?楽しい時間はすぐ過ぎてしまうね 」終始楽しげな笑いを語調に含ませながらゆったりと上体を起こして。自らは涅槃像のような体勢にて寝そべり、片膝を立てることで地面に密着している方の太腿を枕に見立てて「 さあおいで、堪能させてあげよう 」体重を支えていない方の手をエスコートするように差し伸べ、もし彼が太腿に頭を置いたのなら体重を掛けすぎてしまわないように気をつけながらそっと腿を下ろすだろう)
>ハイネ( >1199 )
……ふふ、そんな事言わないで。ハイネのコレクションたちはどうするのさ。
( 浅い呼吸を繰り返しながら、彼らしからぬ答えに苦笑を漏らし。人指し指の背で彼の目元の傷跡のような入れ墨のあたりをスリスリと撫でるように何度か往復させ。しっかりと寄せられる冷たい体温や、生を諦めるようながら自身を喜ばせるだけの彼が紡ぎ出す言葉に、終焉が近いながらも浮かべるのは悲壮に満ちた表情で無くどこか穏やかな笑み 「 ……そうだったらいいな 」 この部屋を出れたとて生きることの出来る時間が違うがための苦しみも背負う事になる。ならば今そんな夢物語を拠り所にしても何の罰も当たらないだろうなんて。血を流しすぎた弊害だろうか、僅かに視界が霞み始めるも彼が今迄見たこともない程の優しい表情を浮かべている事は察する事ができる 「 俺の方こそ、見付けてくれて、沢山の愛を注いでくれてありがとう。ハイネに会えてよかった 」 満面の笑みを浮かべつつも目尻に涙が滲むのは一時の事だったとしても彼と離れる事が今一番の恐怖だから。きっとまともに力が入らない己の方が先に息絶える事は自然の摂理だろう。辛うじて意識があるうちに 「 ハイネ、おやすみ。来世があるなら、次は同じだけの時を刻める世界で 」 身体が動く範囲内では顎へと軽く口付ける事が精一杯。あの冷たくも柔らかい唇へと触れられないもどかしさを感じながら、降り積もる黒い花弁での酸素不足か、出血によるものか。ゆっくりと瞼が落ちて行き意識を手放した )
>リーパー(>>1203)
(美味しい。美味しい、おいしい、ノドがカユくない。一心不乱に手首へ吸い付きながら思考を埋め尽くすのはそんな純粋で苛烈なまでの刺激で、ああ生きていると感じる。彼から香るヴァンパイアの匂いも今は気にならない、そんな事よりこの鮮血の美味しい事といったら。無意識の内に瞠られた双眸からはポロポロと冷たい涙が数滴零れ落ちては頬を伝って、もっともっとと欲しがり疼く牙のままに吸血を止める事はできず彼の制止の声も耳に届かなくて。ぐ、と離れていってしまうような力を知覚した瞬間、取り上げられちゃう、と幼稚な警告が脳から直接逃がすなと指令を下してぐっと腕を掴む手に力を加え「 らいじょうぶ、まら死なな゙いから゙ 」大量の血液を飲み下そうとする力と、涙を流しながら上目遣いに言葉を発する力とが相反してゴボゴボと気泡の混じり合うような音と共に声にも濁りが生じる。そう、彼は殺すなと言った。命さえ残せばいいのだ、自己中心的な解釈のままに不完全な吸血鬼は生き血を啜り続けて)
>グレン(>>1205)
ああ……あれらには悪いことを、
(言われるまでその存在が頭から抜け落ちていたのだから、やはり自分の心を一部の糸目なく占めているのは目の前の彼なのだ。いざという時のために誰かに頼んでおけば良かったと悔やむも、自分が屋敷から消えたとなればきっと趣味仲間のフランケンシュタインと友人として親しくしてきた死神が遺志を継いでくれる筈。残して逝ってしまうコレクション達にはそう信じる事で未練を断ち切り、今一度意識を腕の中の彼に注ぎ「 …ええ。おやすみなさい、グレン。貴方が目覚めるのを、先に待っていますから 」寂しがり屋な彼のことだ、きっと冥土で先に気が付けば不安になってしまうだろう。だから、自分が先に目覚めて貴方を見つけてその傍で目覚めを待とうと、そんな事が可能かどうかは別として心に決めて。顎に触れる感触に口角は緩み、お返しに額へと触れるだけのキスを。それからしっかりと腕の中に世界で最も愛おしいものを抱いて、噎せるような黒薔薇の香りの中遠ざかる意識のままに目を閉じた。――そうして小さな箱は黒薔薇にて埋め尽くされ、文字通りふたりの墓場と化した)
【 今回のテーマでの脱出は失敗です。イベントへのご参加ありがとうございました。期間中は何度でもエントリー可能ですので、もし別テーマにもご興味ありましたら再度エントリーいただけると嬉しいです。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました 】
>ハイネ( >1207 )
イベントの付き合いありがとう。部屋から出られなかったのに満ち足りてるの、すごい不思議な感覚になっちゃったよ。本編でもここまでじゃなくてももっと色んなハイネを見られるようになったら良いな……なんてね。
今回の部屋ではシリアス気味になっちゃったからこうはならなさそうな部屋も気になるし、何よりもう少しこのイベントでしか見れないハイネの顔見たくなっちゃったから、期間中に時間がありそうだったらまた俺が出てくるかも知れないけど一旦バトンタッチで。
【 イベント用シート 】
リリー・フリント ( >1041 )
指名:レンブラント
提供との親密度:◆◆◇
>ギレルモ( >1206 )
────は、
( 咎める声も耳に入っていない様子に再度声を上げかけようとした時に視界に捉えたのは涙を流しながら血液を飲み下す姿。ぽかん、とした表情を浮かべるのは満足なまでとはいかずとも食事は得ていただろうなんて考えがあったから。こんなに貪り食うまでの飢餓状態だったとは、なんて憐れみに似た感情を覚えるも今と同量を飲むペースでは己が倒れるのも時間の問題だと思い至るのは人の生死に関わってきた故のことか。大きな溜息を一つ吐き出してから 「 ……オレの血、レナードが飲んでンだけどオマエとしては良いワケ? 」 味見、そう称して初めの夜に舐められただけだが少々誇張しただけで嘘は言っていない 「 …それに、手紙もよこさず部屋にも戻ってねェってなったら約束があるマリーシュカ辺りが探しに来るかもな 」 憶測で付け加えた彼女の事はもう片方の吸血鬼と己の間柄を気にして直接自室を訪れる事は無いだろう、なんて考えがあるから。けれども約束事があるのは事実に変わりがない。きっと吸血鬼との関わり合いを持ちたくないのだろう彼はどう出るのか、そんな事己に分かるはずがないものの体内の血液量が少しずつ足りなくなっていっているせいか頭の働きが鈍くなる今、そんなハッタリをかける事が精一杯で )
>ラザロ(>1202)
(投げられた物体を掴もうと伸ばしかけた腕は、もう一つ上がった鋭い言葉に慌てて引っ込める。爪の先一枚触れる事無く床に転がるそれを見送った次、また響く声に顔を上げれば天井に小さな生き物が。視界に入ったヤモリらしき何かに好奇心が移り、届きようもない位置に居るにも関わらずうずうずと両手が持ち上がったその目の前に、ボトルの入った籠が割り込んでくる。そこで意識は再度彼との入浴に引き戻され、「ああ、有り難う。」礼と共にその籠を上げかけのままの諸手で受け取り、中身を覗く。「……黒、が髪で…?白が身体……」簡単な筈の説明を飲み込むのにいやに時間が掛かる様子には、普段は彼と同様一つの石鹸で全てを洗っている日常が滲み窺えるだろうか。そんな折に問う言葉に彼を見上げ直して、「ああ、うん、そうだな……昨晩はどうにか洗ったが、正直だいぶ苦労はしたな。」昨日の就寝前の湯浴み中、背面を洗うのに感覚が掴めず四苦八苦した挙げ句転びかけた事を思い出せば、表情と物言いに解り易く渋さを全面に顕して。悩むような唸りをそこに引き摺っていたが、ふと彼の背――翼の方へと視線は向いて、「そう言う君も、背を洗うのは中々苦労しそうに見えるな。」特に深い意味も無い純粋な興味と疑問の色だけを、翼の輪郭へ巡らせる瞳に浮かべて注ぎながら、彼からの心配そっくりな言葉を此方からも返した。)
>ユギン(>1204)
おや。
(彼のリアクションに心外とばかりに肩を竦めて、軽口を叩くトーンで平然と一声。「……ふふ。泣いた子を慰めるの、僕は得意なのだけれどね。」その先に続くのが言葉尻を捕らえただけのズレたジョークだったのは、甘過ぎる博愛の自覚があってのはぐらかしか、単純な言葉遊びのつもりか、はたまたその両方か。「――まったく。君には敵わないなあ…」終始愉楽の浮かぶ彼の顔、対して真っ赤に熟れた己の顔。貴族紳士の振る舞いもすっかり崩れてしまった少年はばつの悪さに弱りきって、そわそわと首元のブローチを指でなぞりつつ眉を下げての呟きを。――役柄の交代。さくさくと手早く準備を終えた彼とは正反対、導きの手にも数秒ながら躊躇う視線を泳がせた後に、「……お手柔らかにね。」唇をきゅっと引き結んで覚悟を決め彼の元へゆっくり寝転がり、下りた太腿に一度固く瞼を閉じる。彼の方に向き合う形、しかしながら目を合わせるのも堪えられないほど沸騰する羞恥に、何とか開いた目線は伏せて自分自身の手元に逸らす。「…今度の五分は、君が数えておくれよ?」先程頼まれた言葉そのままと、何よりもう砂時計を見るような余裕も無い心と。その二つを混ぜた台詞を弱々しくもちゃっかりと、お返しに彼へと投げ込んだ。)
>グレン(>>1208)
こちらこそ、素敵な時間で非常に満たされましたよ。本編でも互いに色々な一面やシーンを紡いでいけると良いですね…フフ。時間の許す限り何度でも歓迎いたしますよ。小さなピアニストにも宜しくお伝えください。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.お互いに相手の頬を全力でビンタしないと出られない部屋(制限時間:10min)
>Ⅱ.どちらかが相手を寝かしつけないと出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅲ.手を繋いで見つめ合い相手の好きな所を伝えないと出られない部屋(制限時間:15min)
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>リーパー(>>1209)
(無遠慮にそして急激に、相手の体内で生成された血液を牙を経由して自らに取り込む不気味な水音はその発言――もっと言えばヴァンパイアの名前が聞こえた瞬間にピタリと止まる。はらはら零れ落ちていた涙も止まり、しかし未だ瞠られたままの双眸にはギラつくような負の感情がゆらりと宿り、追い打ちとばかりに女性の方の名前まで出されてはくぱ、と口を開いて牙を抜き、鬱血したような痕が残っているであろう腕を掴んでいた手もするり解いて「 ……ヤだ 」飲み込み損ねた所為で僅かに血濡れた口許は僅かに震え「 ココに奴が来るのはイヤだ 」怯えているというよりも、心底会いたくないといった雰囲気で顔を逸らしては、自分の情報を開示するという当初の約束は忘れてまた最初のように鉄格子の前でしゃがみ込んで。どうやらレナードと同じ血を飲んだ事は何ともないが、マリーシュカがここへ来るかも知れないというブラフは効果抜群らしく「 あいつらオレを見下してるんだ 」怪物の種族はおろか名も知らない貴方には要領を得ないかもしれない文脈。レナードならまだしもマリーシュカが同胞を見下すような真似をするか、あくまでもこれはダンピールの主観で)
>レオ(>>1210)
じゃあ手拭い貸せよ。洗ってやる
(困っていると言うのならば迷いなく助ける、そんな風に手を差し出すことで先程渡した筈の手拭いを要求し。素直に渡して貰えたのならば「 そこ座れ 」プラスチック素材の簡素な椅子を顎先で示し、指定通りに座ってくれたのなら人間用にと新たに調達したばかりの白いボトルからフローラルな香りのする洗剤を手拭いに数プッシュして、小さな背中を力加減を誤らないように優しすぎるほどゆっくりと擦り始めるだろう「 俺ァそんなゴシゴシ洗わなくたってイイんだよ。めんどくせェ 」そんな風に返すのは背中というよりも大きな翼や尻尾をいちいち自分で洗うのがあまりにも気乗りしないから。熱い湯と強い水圧で流せば大体綺麗になるだろう、そんな考えはまさに着飾ることに興味のない大雑把な男そのもので、それがいかに七面倒臭いかを示すように質量のある尻尾の先をビタンビタンと数回床に打ち付けて)
>グルース(>>1211)
ああいいとも、任せておくれ
(ゆったりと眦を細めることでタイムキープは引き受けて。太腿に乗る心地よい重さと怪物に備わっていない体温は大変心地よく「 5分って少し短すぎると思うんだけどなあ 」もっとこの感触を味わっていたいと異常事態に文句を零して。空いている方の手を徐ろに彼のふわふわとした髪に伸ばし、柔く撫でるように丁寧に動かして「 このまま眠ってしまってもいいんだよ? 」ふふ、と笑って冗談めかした内容は少々わかりにくいものだが、要するに5分と言わずこの白い箱庭で息絶えることになったとしてもこの心安らぐような温もりと質量を手放したくないという気持ちの婉曲表現で)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
>新規住人を1名追加/鬼♂
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:マリーシュカ ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
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●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1214 】 ※日常イベント「九尾の神通力」発生中
●リーパー × ギレルモ ⇒ 【 >>1213 】
●グレン × ハイネ ⇒ 【 >>1212 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●グルース × ユギン ⇒ 【 >>1215 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>レンブラント( >1212 )
> Ⅲ.手を繋いで見つめ合い相手の好きな所を伝えないと出られない部屋(制限時間:15min)
( 屋敷での生活にも慣れ日常的にピアノと触れ合える機会が無い事にも漸く慣れ始めた頃、不意に視界を覆い尽くすのは薔薇の茨。それに驚き声を上げる前にすぅと意識が落ち始めるのは何かの魔力か何かが影響しているのか、そんな風に思考が働く中完全に意識を手放した──目が覚めてはじめに視界に映したのは何も無い部屋と呼んでも良いのかと思う程の調度品の類も無ければ、窓も出口も無いただただ真っ白な正方形の場。緊張感のある面持ちでぐるりと一周見回して見れば、もう一人見慣れた姿にふっと表情を和らげて 「 こんばんは、ご機嫌いかが? 」 緩いカーテシーの後に浮かべるのが穏やかな笑みでは無く、少し悪戯っぽさを残した笑みなのは親しい間柄の彼の前故のこと。まるで仔犬が千切れんばかりに尻尾を振り駆け寄るように、満面の笑みを携え彼の元へと近寄って 「 レンブラントさんと一緒で安心したわ! 」 この何事かも分からない状況の中、普段と変わらぬ明るい声色で )
>ギレルモ( >1213 )
( 血液を飲み下す音が止まったのはどちらが原因か、その答えは拗ねた子供のような発言と態度から何と無く察することが出来る。口振からして恐怖の対象という訳ではないのだろうが、ハッタリに掛かるほど嫌っているのは確か。再度手を掴まれる事がないようにするりと隙間から引き抜き、痛みを感じる部分を何度か摩りつつ視線を落とせば丁度掴まれていた位置に手型の鬱血痕が残り、牙が差し込まれていた場所は等間隔に空いた穴が見受けられる。流れ出る血液を止めようともう片方の手で圧迫しながら 「 レナードだけじゃ無くてマリーシュカも、か? 」 双方の吸血鬼と深いとは言えないものの交流がある身、レナードがと言うのであれば苦笑を浮かべるだけで然程気に掛けなかっただろうが捕食対象である己にさえ優しく接してくれるマリーシュカがそんな事をするなんて考えられずに怪訝な表情を浮かべ。少しでも彼の情報を得る事が出来ればそれも理解できるのかと 「 ……なァ、アンタは何者なんだ?何でこの場所にいる? 」 鉄格子を挟んだ反対側、彼と同じようにしゃがみ込んで視線が交わるのであれば真っ直ぐにパウダーブルーの瞳を見詰めよう )
>リリー(>>1217)
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>テーマ:手を繋いで見つめ合い相手の好きな所を伝えないと出られない部屋
>制限時間:15min
>親密度:◆◆◇
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(黒薔薇の悪戯に振り回される事にはある程度の耐性を持っているつもりだったが、こうも前触れなく茨に襲われてはその理不尽に多少の苛立ちを覚えてしまう。強制的に意識に蓋をされ目覚めた先の謎の空間、昏倒させられる直前に抱いた不快感はこの場所と置かれた状況に対する建設的な疑義に変身を遂げ、何やここ、と口に出しかけた刹那に挨拶を投げ掛けられてはそちらを向いて「 どぉも、こないなトコで奇遇やね。リリー嬢も黒い茨に攫われたクチかいな、どっか怪我とかないか? 」怪物だけならまだしも獲物と二人きりとは、一体何を企んでいるのか。状況を探りながらも顔には人当たりのよい笑みを浮かべて応答するのは少女へ必要以上に不安を与える事は是としないから、自分を頼りにしてくれているような言葉を聞けば先程この場所に対する不見識を肉声に乗せていなくて良かったと安堵した直後、ふとすぐ背後で紙のようなものが落ちるような音「 …ほら来た 」振り返って見遣れば差出人が一目瞭然の手紙。やはり黒薔薇のお遊びか、と勘付けば不敵な笑い混じりに呟いてから拾い上げ開封し、彼女にも見れるように気を遣いながら内容に目を通す――【 制限時間15分以内に手を繋いで見つめ合い相手の好きな所を伝えれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】――と「 …何がしたいンか分からんな 」呆れるような色を伴ったのは自身にとってはイージー極まりない内容に拍子抜けしての事。“なあ、”と共感を求めながら少女の顔を見てみようか)
>リーパー(>>1218)
(自己中心的で病的な飢餓を満たす事しか考えられない、正確にはそれ以外の事を考える余裕が然程確保されていない怪物には純種のヴァンパイアのように吸血時の怪我を治してやろうなんて思い浮かびもせず、思い浮かんだとて彼らほど魔法に手慣れていない不完全な存在には綺麗に治癒出来るかどうかも定かではなく「 ヴァンパイアの奴らはどーせみんな同じなの 」固有名称には不快そうにきゅっと眉根を寄せて、唾棄するように次いだ言葉は稚拙で投げ遣りな内容。きっと先程の被害者意識に特段の具体的根拠は乏しいのだろう、視線を注いでくる相手にこちらも怪訝そうにギギ…と首を傾げるも自分自身の事に興味を持たれるのは満更でもないらしく、目をかっ開いて口角を吊り上げるデフォルトとも言える不気味な面相にて「 オレはねェ、ダンピールのギレルモ。いつだか忘れちゃったケドこのお屋敷に住み始めた頃にね、手当たり次第にキミみたいな生き餌を美味しく食べてたら黒薔薇にココに閉じ込められちゃったんだァ。酷いよねえ、オレ何もしてなくてもノドが渇くんだもん、そしたら血を飲むのは普通のコトでしょ?ネズミちゃんも酷いって思うよねえ? 」ぺらぺらとよく回る舌は自分の事を誰かに聞いてもらえる嬉しさ故。厚かましくも常識の異なる人間相手に共感を求めながら、鉄格子をガシャンと両手で掴んでギリギリまで顔を寄せて)
>ラザロ(>1214)
ああ、有り難い。
(指示に逆らう理由も無し、伸べられた助けの掌へ手拭いを渡して、礼の一言と共に椅子へ腰を下ろし彼に背を向ける。擽ったい程の力加減で背に手拭いが滑る間、漂ってくる芳香に慣れていないのか、唇を結んで目を細めた何とも言い難い微妙な顔をして小さな唸りを洩らす。「……そういうものか。」自分以外の誰か、まして種族が違うものの入浴事情など想像は及ばず、彼の言うものを信じ相槌を打つ合間に視線が注がれる先は、床を叩く尾の音の方向。少々の間はそのまま大人しくしていたものの、ふと背から飛び立ったらしいシャボンがふわり前を横切れば、目はそちらを追い掛ける。じっと見詰めたそれが丁度真正面に来た辺りで、そろり上がった食指の爪がその殻を破り、ぱちんと小さな破裂音を伴って鼻先で割れる。流石にそれで驚く事はなかったが、ただ洗われているよりも濃く吸い込んだその香りに鼻の奥がむず痒くなって、「……ん、」微かな声と同時に身を強張らせる予備動作の直後――ぷしっ、と今の身体に相違無いくしゃみが転び出て、反射的に上体が一度大きく傾く。「……すまない。少し匂いにやられた。」姿勢は直ぐに正されたが、余韻にぐずぐずと鳴る鼻は手の甲で押さえ擦り。ついでに浮かんだ涙も顰め気味の瞬きで均しつつ、今一連の仕草を彼へ詫びた。)
>ユギン(>1215)
(幾ら怪我に縁遠い指示内容とはいえ、命の危機が付き纏うこの状況下での彼の文句に、此方も元より微かだった切迫感がすっかり流されて、「……僕には長過ぎるくらいだよ。」などと、真っ赤にたじろぎながらもそんな一言を呟き返す。伸びてきた手には好きなようにさせて、羞恥極まりないこの五分の終わりをだんまり待っていたが、ふと届いた声に一度瞬いた視線が上がり、「…眠るなら、ふかふかのベッドの上が良いな。」円やかに細めた瞳で、やんわり言葉を紡ぎ始める。「一等安心出来る布団の中で、一晩中君に抱き締めてもらいながら、なんていうのが僕の理想なのだけれど…」こんな固い床でも、顔の遠い体勢でも、短い時間でもなく。落ち着ける場所で、もっと自分をじっくりと味わってほしい――そう甘える台詞で、彼から向けられる感情を包み愛しつつ、「……本当にこんな所で眠っても良いのかい?」その最後に、今限り羞恥の代わりに悪戯を籠めた微笑みで上目に彼を見詰めて。髪を撫でる白い手の甲に己の掌を重ね、五指をそのまま絡め繋ぎながら、ちょっぴり意地の悪い形の問いで彼に戯れ付いた。)
>レンブラント( >1219 )
ええ、まだ少し頭がぼうっとしてるくらいで他は元気よ
( 彼の顔に浮かぶ笑みに緩めていた表情をさらに綻ばせるのは、彼と一緒であれば特段危険なことも無いだろうという安心感から生まれたもの。部屋の中を歩き回り何かあるかを探した方が良いかとうずうずし始めたそのタイミングで、何かを予期していたような彼の声とぱさり、何か紙のようなものが落ちた音が耳に届き、彼の肩越しに視線を音の出所へと向ければ屋敷へと攫われる前いつぞやに見たのと同じような封筒が床に落ちているのが視界に入る。彼が拾い上げたそれをほんの少しだけ背伸びをしながら覗き込み、中に書かれた文面へと目を通して 「 ……好きな所? 」 ぽつりと溢すのはその感情に自身の中で覚えが無いから。むう、と考え込んでいるも共感を求める声が耳に届けば 「 …!え、ええ! 」 なんて応えてみるけれども、元来嘘を吐いたり隠し事をするには向いていない為に挙動の不審さはきっと透けて見えるだろうか。こちらを見る琥珀の瞳からは逃げるように視線を逸らし、髪の毛先をくるくると指先で弄ぶように触り )
>ギレルモ( >1220 )
( 止血のために患部を押さえるもう片方の手は流れ出た血液に濡れ、ぬるぬるとした感覚に顔を顰める。傷口を塞ぐことなど期待していなかったのだが、ふと頭にレナードなら…なんて考えが過ぎってはその考えを追い払うように頭を振り。「 ンなの分かんねェじゃん? 」 訳もなく子供が嫌がるようなそんな理由に、きょとんとした顔を浮かべるも直ぐに 「 まァ、付き合いの浅ェオレが言っても、ッてモンだが 」 けろりと常の様相へと戻れば血慣れていない方の手で頬杖を付き、語る気になってくれたのだろう彼の話に耳を傾けようと。ダンピール、その言葉に思い当たるものがないのはこの屋敷に誘われるまでこの手の話への興味が薄かった為。彼がこの場に囚われる経緯を聞いて尚近寄る彼に警戒心や恐怖心を見せないのは、一方的に命を奪う生活を続けていた弊害としてその手のスイッチがバグりかけているからか。常識的に考えるのであれば自由に屋敷を闊歩出来ないように行動を制限しておく事が最善なのだろう。けれども 「 可哀想にな 」 ぽつと口から溢れでたのは “ 満たされない ” その感覚に自身も覚えがあるから。きゅっと眉根を寄せ痛みに堪えるような表情はその言葉が憐れみや同情から出てきたものではないと伝わるだろうか )
>レオ(>>1221)
ま、ちっちぇえレオがどーしても洗いたいって言うなら預けてやるぜ?
(大人の体の頃とは比較にならないほど無垢に動くものに興味関心を惹かれる少年に対して恩着せがましい言い方をしながらも、本心にあるのは毎回の入浴では到底相手をしていられないほど磨き上げるのが面倒な大きな翼や太い尻尾のケアを、この子守に乗じて彼にやってもらおうという下心。ふと耳に入った小動物の鳴き声と聞き紛ってしまいそうな可愛らしいくしゃみと、それに引っ張られて傾いた身体を反射的に支え“うぉっと、”と小さく驚いたような声を漏らし「 寒いわけじゃねェんだな? 」くしゃみの原因を再確認しながら、いまいち切り上げる頃合いが分からない洗浄動作に戸惑うように「 こんなモンでいい…のか? 」加減に加減を重ねた手付きは粗暴な自分にとってはフェザータッチと呼んでも過言ではなく、本当にしっかり洗えているのか不安になって背後から問い掛けて。是を返されるのであればそれ以外の部位は自力で洗えるだろうと手拭いを返却しようと後ろから差し出すだろう)
>グルース(>>1222)
…おマセさんだなあ、僕の可愛い仔羊くんは
(さてどんな風に恥じらう可憐な姿を見せてくれるか、そんな不埒な期待は予想していなかった穏やかに紡がれる台詞に霧散して。添い寝するだけだと頭では理解していながらもその場面を想像すれば少なくとも自身の導きにとっては独壇場、いざそうなれば我慢できるとも逃がしてやれるとも思えない。甘く見積もられているのか、ふふと吐息にて笑いを零し「 その歳でベッドへのお誘いだなんて、末恐ろしいよ 」きっと誰にでも紡ぐような甘い言葉には自分にも身に覚えがある、ゆえにこの状況下では深追いせず静かに揶揄うような調子に留めて「 いいや、君の言う通りベッドの方が魅力的だね 」温かな指が絡まる感触にゆるりと表情は柔らかくなり、こちらからも淡く力を込め返したところで一つの壁にピシ、パシと罅割れるような音と共にふたりを攫った黒い茨が這ってゆく。それらはそのまま歪な扉を形作り、お逃げとばかりにギィと開かれた向こうには博愛的な少年の自室が広がっていて「 ああ…時間切れか 」本当の時間切れはあと数分後に訪れるのだろうが、甘い時間に水を差されたという口惜しさが言葉選びを誤らせ、往生際悪く渋々といった様子で上から彼の頭を挟んでいた太腿を上げて)
>リリー(>>1223)
そか、えかった
(攫われる過程で毒の類を盛られている可能性もある、そんな風に疑り深く考えるのは屋敷の支配者たる黒薔薇がいかに佞悪か知っているから。安堵したようにぽん、と肩を叩いて微笑するも、この先彼女に体調不良の素振りが出ないかどうかは観察しておこうと決めて。蜂の羽音にも似た一瞬の音と共に空中に現れた黒い砂時計がひっくり返されるのを見ても焦るような感情が浮かんでこないのは、自身には少女の好きな所が幾つも浮かんでくるから――そのどれもが馬鹿正直に伝えられるようなものではないため脳内での選抜作業は必要だが「 ……なァ、もしかして一個も思い浮かんでへんのとちゃう? 」誤魔化す仕草のわかり易さ、それも彼女の好きな所の一つ。可愛げのある姿に微笑みを深めながら、すぅっと眦を細めて顔を覗き込み「 悲しいわ、俺はリリー嬢の好きなとこ何個もスラスラ浮かんでくンのに 」口許には弧を描かせたまま、悲しそうに眉尻を下げてみせるのはそうすることでまた何かしらの可愛い反応が見られると期待しての事)
>リーパー(>>1224)
ネズミちゃんは人間だから分かんないの。
(まるで自分ではなく相手方の肩を持つような言葉が返ってきた事にすぅと表情から色が失せ、目を逸らし口を尖らせては拗ねたようにぽつり。この屋敷のヴァンパイア、というより種族そのものを嫌っている様子からきっと何かしら過去に悶着があったのだろう「 アハ。美味しい美味しいネズミちゃん、キミの名前は? 」大袈裟に酷い酷いと共感されればこちらも同様のテンションで喜んだのだろうが、彼の心に刺さったような反応は予想外でだからこそ無性に心地よく。お人好しではないと自己紹介しながらきっと心根の優しい獲物なのだろう、優しい獲物は良い生き餌になる、そんな安直な下心から下から顔を覗き込むようにして名前を欲しがり。その姿勢のまま、ちろ、と腕に視線を移し「 …それ、勿体ない。どうせボタボタ零すだけなら、カワイソウなオレに恵んでよ。もう咬まないからさァ、舐めるだけ。ね? 」お強請りをするように少し間延びした声を選びながら赤いような黒いような、でもしっかりと血に濡れ蝋燭の灯を反射してヌラヌラ光る舌をべぇと出して)
>レンブラント( >1227 )
( 宙へ突如として現れた砂時計は彼が出したもので無いとすれば、この部屋の仕掛けか何かか。きっとその砂が全て落ち切った時がタイムリミットなのだろう、その程度のあたりをつける事ができるだけの余力はあるのだが、どうしても “ 好きな所 ” その部分に頭を悩ませてしまう。そんな折に耳に届いた彼の声へ、目線は斜め下へと投げたままはたと動きを止めて。覗き込まれる事で彼の表情を視認すれば 「 !違うの!そうじゃ無くて、ええっと…… 」 悲しげな表情とは裏腹、緩んだ口元との歪さなんて自身に非があると思っている己には気付く事の出来る程のものでは無く。本意では無い顔をさせてしまった事に驚き訂正をしようと口を開いたのは良いのだが、勢いに任せすぎて上手く言葉が出て来ない時間が十数秒。 “ 笑わないでね? ” なんて小さな声で前置きをしつつ、恐る恐る持ち上げた視線を交えて 「 良いなぁって思う所はいっぱいあるのよ?でも、好きって感覚が分からなくって 」 ピアノは好きだし、音楽も観劇も好き。そんな風に物事に対して好きだと感じる事はあっても人間に対して抱いた事は無いに等しく、それは人間では無いと知っている目の前の彼に対しても同じ事 「 だから、私の問題 」 眉を下げ、へにゃりと情け無い笑みを浮かべて見せ )
>ギレルモ( >1228 )
人間にだからッつーか、アンタの事も殆ど何も知らねェからな
( 過ごした時間は吸血鬼たちも、今目の前にいる彼も然程長くは無いのは同じだが得た情報量の違いは一目瞭然。よく知っているからといって肩を持つような事はしたく無いものの、こればかりは致し方ない事では無いだろうか。拗ねたような様相に苦笑を浮かべ 「 だから、もっと教えてくれよ 」 なんてゆるり首を傾げ。覗き込んでくる顔にぱちぱちと瞬きを繰り返したのは先程まで己と言う存在に興味すら抱いていなさげな様子に見えていたから。何が動かしたのだろうか、そう頭を働かせながら 「 リーパー 」 短く名だけを告げたのは、それ以外の情報を求められているとは感じなかったが故。お強請りへとどう返すか悩む事数秒 「 …腕掴むのも無しだかンな 」 確かに彼の言う通り流れ出る血液が勿体無い、けれども先程のように腕を掴まれて逃げ場を失う事も避けたい。一つ溜息を溢し、約束とも条件とも付け難い言葉を飲んでくれるのであれば先程よりかは浅く、傷口が舐め取れる程度に腕を差し出すつもりで )
>ラザロ(>1225)
良いのか…!?
(彼からの思わぬ申し出に、それまで彼方此方気を移していた関心は一気に彼の方向を向く。そこに何か思惑があるとは露知らず、雲の晴れた太陽の如く輝く喜びを全面に問い掛ける合間に既に、煌めく視線は彼の翼や尾に惹かれて。彼からの確認に、「ああ、」と頷き余韻の引いた鼻から手を離し、「…こういった匂いには慣れないな。」どうにも普段以上に嗅覚へ鋭く刺さる香りへ悩むように唸りながらも、今度こそは何事も無くじっと座って大人しくする。「問題無い。ありがとう、ラザロ。」己に余程配慮しているのは、良い意味で彼らしくない柔過ぎる力の感触で察しており、作業自体に加えてその事も引っ括めた礼を告げに振り返った丁度、手拭いが目の前へと現れる。それを受け取り、残りの箇所の汚れ等は自力で泡と共に擦り落とした後、「ラザロ、君の手拭いを貸してくれるか。」再び彼へ向き直ったその顔は、宛ら大好きな玩具を目の前にした仔犬。自らのものは首を通して両肩に引っ掛け、空いた諸手を彼に伸ばすその意図は勿論、先程の申し出を率先して熟そうという邪気の無いそれ。期待も興味も綯い混ぜに頬を紅潮させながら、この十指に渡される物を今か今かと待ち侘び彼を見詰めていた。)
>ユギン(>1226)
でも、君は嫌いじゃないだろう?
(揶揄と解る言葉に返す口振りも、ウインク混じりの微笑みも冗談そのもの。絡まり合う手の親指でそっと彼の関節の形を撫でていた刹那、不意に響いた音に視線を動かせば、壁の一辺にあの黒い茨が伝っていく所。「……おや、」それをじっと注視し象られた扉の向こう、すっかり見慣れた自室の風景が広がっている。――どうやら五分経ったらしい。彼の惜しむ声にその確信を得て、ようやっと解放された其処から上体を起こして立ち上がり、一息吐きつつ服を簡単に整えた後。「そんな顔はいけないよ、サー・ユギン。此処での終わりなんて、たった一時の話だろう。」殆ど普段通りと戻った穏やかな表情で、凛と朗々、小春日和の陽射しのごとき柔らかな言葉を紡ぎながら彼の前へと膝を折り敷いて。「……ほら、手を取って。この箱の外まで、僕に君をエスコートさせておくれ。」ゆっくり蕾が綻ぶように開いた掌を、彼へ差し出す。もしもそこに手を重ねてくれたのならば、今度は何も隔てる事無くその指先へと伏し目に口付けて、「…何だったら、そのまま僕の部屋に来るかい?」――さて、少年は何処まで思慮しているやら。わざと意図を読ませない戯れを、傾げた首と共に友へと放りながら、先の言葉通り彼を出口へ導くべく、淡く指先だけを繋いだ手を引いて足を踏み出した。)
>リリー(>>1229)
ほんまかわええなあ。それが好きって事ちゃうの?LoveやのうてLikeの方な
(初心そのものだと公言しているような内容は無垢な獲物を愛で弄ぶ悪魔には垂涎の的。笑わないでの前置きを守るため、くふ、と漏れ出そうな笑気を噛み殺して締まりの無い笑顔を浮かべる少女特有の柔らかな頬へ冷たい手を伸ばし「 モーツァルトのピアノソナタで転調する所が好き、てゆうのと、リリー嬢が色んな表情見せてくれるンが好き、てゆうのはおんなじ“好き”やと思うけどなあ 」滑らかな肌触りと仄かな体温を楽しむように手のひらを頬の緩やかな曲線に沿わせて、親指で目頭から目尻にかけての頬のラインをすり、と撫でる。自分の感性を例えに挙げる事で純情な彼女に何かしらのヒントを与えられるだろうか、様子を見るような視線を注ぎながらゆっくりと手を引いて「 教えてや、君が俺にええなあと思うとこ 」何でも受け止めてくれそうな穏やかな微笑は父性すら感じさせるだろうか。今度は両手のひらを上に向けた状態で胸前辺りに差し出したのは、出口を作る鍵となる課題の一端をクリアするため)
>リーパー(>>1230)
好奇心強いんだねえ。じゃあネズミちゃんじゃなくてむしろネコちゃん?
(強力で野太い自分軸で生きている怪物は血液を除いて他者への興味が希薄なため、進んで相手の事を知りたがる彼のスタンスに物珍しさを感じてかくんと首に角度を付けてはじっと見つめる。この調子で色んな怪物から情報を収集すれば彼はこのお屋敷に拐かされた獲物の大半が知らずに死んでゆく真実に触れてしまうのかもしれない、だったら何もかもバラしてしまいたいと疼くような享楽心には自分でも気付かないまま「 オレのナニがそんなに知りたいのお? 」口許の笑みは深まる一方だが見開かれた双眸はその状態から揺らぐことなく、一見何の感情も伺えないようでわくわくとした色を声に含ませるのは相手から知りたがられたいという幼稚で面倒な欲求のため「 アハッ、こわあい名前 」人間の名前なんてあんまり記憶にないけれど、その中でも異色を放つ死神を冠する名前にはそう軽口を添えて「 リーパー、優しいんだあ 」再度鮮血を口に出来ると分かれば瞠られていた目の眦をすっと細めて嬉しそうに笑い、差し出された腕をまずは下側から冷たい舌にてれろりと舐め上げ。まるで腹ペコの飼犬が餌の一欠片も無駄にするまいと丹念に皿を舐め回すように、動きそのものは緩慢でありながらも念入りに腕の側面と傷口付近にも舌を這わせて)
>レオ(>>1231)
ったく、特別だぜ?翼や尻尾はドラゴンの象徴で誇りなんだ、そう気安く誰彼触らせるわけじゃねえかンな
(動物の要素に興味を持つ彼の特性はこれまでの暮らしで何となく掴んでいたからこそ、むしろ嬉々とした様子で翼や尻尾の手入れを引き受けてくれたことにしめしめと思いながら調子良く言葉を続ける。その中に嘘偽りはなく、きっと彼ならば壊れ物のように丁寧にこれらを扱ってくれるだろうと期待して「 布の手拭いなんてチャチなモンじゃ俺の鱗は磨けねえ。こっちを使いな 」自らも彼と同じように手にして入った手拭いを首にかけ、浴室の無機質な棚から取り出したのはまるで布ヤスリのような手触りの大判なハンドタオル。それで柔肌を擦って傷付けてしまわないように気を付けながら手渡し、どかっとその場に胡座をかいて紺碧の鱗に覆われた翼と太い尻尾を彼に向け「 つるつるした面で持つんだぜ。ザラザラの方は俺の鱗用だからな、怪我しねえように気をつけろよ 」心做しか声色が弾むのは、ここ最近手入れから遠ざかっていたせいで僅かではあるが鱗の輝きがくすんでいると思っていたため。手の甲など日常的に磨きやすい部分は滑らかな煌めきを保っているが、身体の背面に位置する翼や尻尾にはズボラなドラゴンはどうしても食指が伸びなかったのだろう)
>グルース(>>1232)
もちろん、だあいすきさ
(戯れる行為のことか、それとも大人なようで少年のような彼自身のことか。間延びした甘い声でストレートに好意を囁き「 今夜は僕の王子様になってくれるのかい? 」上品な装いと立居振舞いで傅く姿はまさに高貴を体現した様。差し出された手とお誘いを無下にするなんて愚かな選択肢は当然端から浮かんですらおらず、冷たい手のひらをそっと重ねて立ち上がり「 導かれる側も悪くないね 」指先に触れる柔らかな体温に二対の尻尾は嬉々としてゆらゆら揺れて。エスコートに身を任せるように一拍置いてから一歩目を踏み出し「 おや、最初からそのつもりだったよ。こんな運命的な夜だもの、君を一人で寝かせるもんか 」くすくす、ベッドの中で内緒話をする時のように囀る笑い声を密やかに落として導かれるまま彼の部屋へ。その背後、一瞬にして空間は閉じいつもの退屈で上等な静謐が屋敷に戻るだろう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。イベントへのご参加ありがとうございました。期間中は何度でもエントリー可能ですので、もし別テーマにもご興味ありましたら再度エントリーいただけると嬉しいです。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました 】
>レンブラント( >1233 )
そうなの?
( きょとんとした表情を浮かべるのも僅か頬へと添えられるヒヤリと冷たい手に擦り寄り、目元を撫でる指の感覚に緩く瞼を閉じて。与えられたヒントは自分の中で理解をするために数秒じっと考えを巡らせ、漸くそれがイコールで結ぶ事が出来たのか緩り笑みを浮かべて 「 そういう事なら任せてちょうだい 」 差し出された手に乗せるようにして繋ぎ、もう一つの条件は普段から目を合わせて話す為に自然とクリア出来ているだろうか。ぴたりとはまり込んだ回答は恋慕というよりも親愛のそれだが好きな所には代わりがない 「 一緒に演奏してくれるところに、さっきみたいに色んな事を分かりやすく教えてくれるところ、頭の回転が早いところでしょ?それに、知識量が凄いなぁとも思うわ! 」 琥珀の瞳と視線を交え、にこにこと紡ぎ出す声音は止まることを知らず “ それからそれから… ” と彼と手を繋いでいなければ指折り数えながら告げるような勢いで 「 あとはねぇ、 」 一緒に居て安心するところ、そう続けようとしていた折、視界の隅に砂時計を捉え部屋の脱出条件を思い出せば先程までの勢いはどこへやら、耳を赤く染め上げ 「 …少し話しすぎたかしら 」 なんて段々とフェードアウトして )
>ギレルモ( >1234 )
ネズミでもネコでも好きなように呼んだら良いンじゃね?
( 願わくば名で呼ばれる事が一番だが、個として見てくれるのであれば呼び方など関係が無い。それに加え情報を得たい、その考えは屋敷に拐かされる前の生活で身に付いた必要なものであり特段自信が好奇心に塗れているという自覚も無い。首を傾げこちらを見てくる彼と同じ方向に首を折ってみせ 「 そうだなァ 」 考えるように視線を斜め上へと上げるのは、今一番気になっている事を聞いても良いのかという疑問が己の中で出てきているがため 「 …何でンなにヴァンパイアを嫌ッてンのかとか? 」 一呼吸置いてから紡ぎ出した疑問は反応次第では “ まァ、答えたくなきゃ良いンだけどよ ” なんて付け加えるつもりで。血を口に含める事が今目の前にいる彼は何よりも嬉しいらしい、そう思うのはリアクションの差から。嬉しそうに細められる眦にどう反応して良いのか、きゅっと口を横一文字に結んだまま視線を逸らし。牙が皮膚を破いた時とは異なり、舐めとるようなそれに「 ……くすぐってェ 」 伝落ちた血の跡も、傷口の周りも段々と綺麗になっていくのは見て取れるのだが皮膚を撫でる冷たい感触にソワソワと落ち着きが無く。傷からぷくりと溢れ出てくる血液の量が少なくなったのが見て取れれば 「 もう良いだろ? 」 と鉄格子の外へと腕を引こうと )
>ラザロ(>1235)
誇りか……ははっ、嬉しいな。
(“特別”の一節が尚一層表情の輝きを強めて、言葉にも笑う声にも真っ直ぐ飾り気の無い喜びが溢れる。それから伸ばした手の上へ渡されたのは、手拭いではなくタオルらしい何か。変わった作りをしたそれに目を巡らせて、彼からの説明にふむふむと飲み込む相槌を打った後、「解った。では、始めるか。」一つ気合いと共に息を入れて、言い付け通りヤスリの面に触れぬよう気を配りつつ、まずは翼の根本から狙いを定めて鱗を磨き出す。――始めには綿でも撫でるような弱さ、それを少しずつ強めてくすみの落ちる力加減を慎重に測っていた為に、動作はゆっくりとして。しかし磨く力を覚えた後には速度も次第に上がり、真面目そのものと集中していた瞳にも、煌めきの戻っていく鱗が確と認識出来て、「おお……これは中々…」自らの手による達成感に知れず感嘆と愉楽を独り言ちる。尻尾の鱗も勿論と丁寧に、タオルに両手を添え、力の入れ具合に注意して手入れを続けていくその合間、「……綺麗だな…」己が持っている“お守り”に相違無い、見事な紺碧にぽつりと零れ落ちる言葉。そのまま惹かれた掌を磨き終わった部分に乗せ、薄氷にでも触れるような繊細さで鱗に沿って一度撫で下ろした後、また真剣と唇を結んで残りにタオルを滑らせていく。「……よし。」尾の先まで確りと磨き上げが終わった視界に鱗の全体を映して、その出来栄えに満足げな一言を括ってから、「ラザロ、終わったぞ。楽しい時間だった、有り難う。」まだ好奇に浮き立つ声で終了の合図を向けながら、使い終わったタオルを返却すべく彼の正面側へと足を踏み出した。)
>ユギン(1236)
此方こそ、素敵な夢を有り難う。
しかし、その……僕の人となり所か、醜態まで色々と見せてしまったような……でも、うん。とても楽しかったよ。この先また別の夢を見せてもらうか、それともきちんとお屋敷に拐ってもらうかはまだ定かではないけれど、また近い内に扉を叩きに行くから、それまでまた少しばかり時間を頂くよ。
ああそれから、このお屋敷に新たに移り住んだ怪物様……サー・ナザリの事も気になるね。もしご縁があれば、僕ともお話させておくれ。
……さて。お次はサー・ニールが催し物に参加したいと目を輝かせているから、彼に順番を譲ろう。それでは、僕はこの辺りで。……また会おうね。
***
【イベント用シート】
PF:ニール・グレイ(>244)
指名:クォーヴ
提供との親密度:◆◆◆(両想い)
>リリー(>>1237)
(眠たげとも少し違う流し目がちな目つきはどこかに蛇のような鋭さを持っているものの、眼前の少女を見つめる眼差しは穏やかそのもの。両掌に重なった柔らかな体温に、このまま手を引いて荒々しく抱き締めたらどんな顔を見せてくれるのだろうと好奇心をそそられながら、大変耳に心地よい数々の言葉をゆるり眦を細めて受け取って「 まあなんぼ聴いても聴き足りひんくらいやけどな 」無理をして絞り出した様子もないことに冷たい悪魔の胸辺りがほんのりと暖まるような心地で、手は繋いだまま上体を前のめりに動かして紅潮した耳を冷やすように温度のない唇で触れるだけのキスを。そのまま耳元で「 おおきに 」と甘い声色で。少女と正対する姿勢に戻れば勿論手は繋いだまま、視線は砂時計へと。まだ半分は残っているであろう制限時間、ここで自分が彼女の好ましい点を告げれば呆気なく出口は開かれるのだろうが、勝ち筋が見えているからこそ甚振りたくなるのは矢張り悪魔の性か「 …なあ、気にならへんか?残り時間ギリギリんなったら何か起こるんかとか、俺達を攫って閉じ込めた相手はずうっと見てンのやろか、とか 」それを二人で確かめないか?そんなお誘いを暗に含みながら、さて少女が伸るか反るか愉しげな視線を向けて)
>リーパー(>>1238)
アハ。キミは食べられる側だからネ、やっぱりネズミちゃんがピッタリかな
(一見つれないように聞こえる返事も、裏を返せば如何様にも呼称すればいいという許可を意味すると受け取り、特に悪意もなくただこの屋敷の摂理に則り渾名を決して「 だって、アイツらイジワルでしょ? 」端的な回答は多数を、更に言えば種族そのものを対象に挙げたような表現で、この屋敷に囚われた純種2名の事を指しているとは考えにくいだろうか「 オレみたいな成り損ないはさ、おエラいヴァンパイアサマとおんなじ獲物を狩っちゃダメだって。貴族とかじゃなくて、そのへんに転がってる死にかけでも食べてろってさ。だから拾って食べてたらサ、魔法で取り上げて腹ペコのオレを笑って、そんでヤな事いっぱい言うの。オナカ空くのはダンピールだってヴァンパイアだっておんなじなのにさァ、おかしいよネェ? 」あっちこっちに視線や手を動かしながら、抑揚たっぷりの声で同情を誘うように情報の肉付けを。最後には自分が正しい事を認めてもらうためにストレートな視線を向けて。しかしこれはあくまでも不完全な怪物視点での供述。似て非なる種族間では感じ方も見え方も違うのかもしれない、彼と関係のある二人の吸血鬼はどう供述するのだろうか「 ……またたァくさん血ぃ作って、オレに飲ませに来てネ 」一時的にではあるが彼の提供してくれた鮮血のおかげで狂おしい程の飢餓感は多少の落ち着きを見せており、だからこそ幾ばくか冷静に思考回路が働き引っ込められていくであろう腕から彼の瞳に視線を移しながら目許を緩めて次のお強請りを)
>レオ(>>1239)
おう、頼む
(赤の他人に竜の象徴を預ける特別感が正しく伝わったことは彼の醸す純粋な歓喜からひしひしと伝わり、やはり安心して任せられるとこちらも背中越しに笑みを見せて。最初のうちの気遣いによる優しすぎる手付きにはもっと強くと指示を飛ばしたい所をぐっと堪えるのは、きっと口ではどうこう言いつつも無意識に幼子の姿に配慮しているのかもしれない。次第に適切な力加減を学習してゆく様子に「 上手いじゃねえか 」とご機嫌な笑い声混じりに賛辞を送って、まるで何かに没頭する職人のような気配を背後から感じ取ればそれ以上に口を挟むことはなく丁寧に鱗たちが磨かれてゆく感触に心地良さそうに深く吐息して。完了を告げられれば「 あァご苦労さん 」反射的に仕事仲間に告げるような声色は心許した間柄ゆえか、それとも普段の刺々しい態度からは垣間見えないほどリラックスしているからか。翼の端を掴んで手前に引っ張り、はたまた太い尻尾をぞろりと動かして鱗の様子を視認して「 …上出来じゃねえか。こんなに綺麗なのは随分久し振りだぜ 」驚くほどの出来栄えに思わず目を瞠って、まじまじ鱗を観察しながら呟き「 ありがとな、レオ 」顔を上げれば正面にいるであろう彼にニカと笑いかけ、濡れていつもよりボリュームの控えめな髪をぐしゃりと撫でてから立ち上がり差し出されたのであれば布ヤスリを回収して「 さァて、湯に浸かったら出るか。テメェも付き合えよ 」のしのしと歩んでいく先はこれまた無機質な浴槽。ぽつ、ぽつと気泡が発生していることから到底人間に適した水温でないことは一目瞭然で、慣れた様子で湯に浸かってから本人もそれに気が付き「 いや、熱すぎるか。ちょっと待ってろよ 」それ自体が熱されていて人肌では触れると火傷しそうなバルブをぎゅうぎゅうと何度も回せば、配管からは冷たい水が轟々と注がれる。後は少年が入れそうな温度になれば入ってくるだろうと、ドラゴン自身は現時点の適温を楽しむように顎を反らせて)
>グルース、ニール(>>1240)
やあ、醜態だなんてとんでもないよ。君の大人びたところと照れ屋さんなところ、そのギャップに僕はメロメロさ。ナザリの事もありがとう、僕の方こそ彼のお相手をお願いするよ。でも、また僕にも会いにおいでね。次はニールが明晰夢に迷い込んでくれるんだね、ありがとう。それじゃあまたね、グルース。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.二人とももう出られなくてもいいと思わなければ出られない部屋(制限時間:40min)
>Ⅱ.どちらかが相手の舌を噛み切らないと出られない部屋(制限時間:10min)
>Ⅲ.相手の嫌いなところを互いに伝えないと出られない部屋(制限時間:15min)
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>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
>新規住人を1名追加/鬼♂
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ユギン ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
◆ザカリー・アーバーン(>>93)
◆レオ(>>147)
◆ニール・グレイ(>>244)
◆シャラメ(>>395)
◇ミネルヴァ(>>489)
◇プリケル(>>559)
◆リーパー(>>576)
◆グレン(>>644)
◇リリー・フリント(>>1041)
◇蘭玲(>>1047)
▼ 現在のブックマーク(最長1ヶ月間保持) ▼
●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1243 】 ※日常イベント「九尾の神通力」発生中
●リーパー × ギレルモ ⇒ 【 >>1242 】
●リリー × レンブラント ⇒ 【 >>1241 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●グルース × ユギン ⇒ 【 >>1244 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>レンブラント( >1241 )
……ふふ、じゃあまた今度ね
( ぱちぱちと瞬きを何度か繰り返した後、笑みを浮かべるのは優しげな眼差しで紡ぎ出す言葉を聞き遂げてくれたから。上がった体温を下げる為に手で扇ぎ風を送りたいものの、両手は彼と繋がれたまま。どうしたものかと考えていれば耳に触れるひやりとした感触と次ぐ甘い声に 「 ……そういうところは嫌い 」 むう、と頬を膨らませ視線を逸らすのは初心な少女にはどう反応を返せばいいのか分からないから。言動が嫌なのでは無い、心がそわそわするから嫌なのだ。なんて事を伝えるための言葉を持ち合わせていないのは経験不足故か。そのまま視線を逸らしているものの、不意に投げられた言葉に思案顔を 「 そう言われると気になっちゃうでしょ 」 彼は良く己の好奇心の引き方を知っている。何か摩訶不思議な力が作用しているのだろうとまでは考え付いても、それ以外のことへは全く考えが及ばない。知りたい、そんな好奇心に動かされた頭が出す答えなんて分かりきっている事。上目がちに見上げることで視線を合わせ、首をゆるりと傾げ 「 危なくなったら守ってくださる? 」 親しくなってからは時折巫山戯る時にしか使わなくなった丁寧な言い回し。きっと彼にはこれで言外にその誘いへと乗る事が伝わるだろうと )
>ギレルモ( >1242 )
( 捕食者と非捕食者、その関係図をありありと思い描かせる呼び名へは特段何か反応を示す事もせずに受け流し。彼がヴァンパイアを毛嫌いする理由、それを語る間に反応を挟むことはせず静かに耳を傾けた後、すぅと眦を細めて 「 ……生きてりゃ誰でも腹減るのにな 」 きっと己が知るヴァンパイアとは別の個体との話なのだろう、なんて思うのは彼の語り口調からの推察。関係を持った二名にもさりげなく話を聞いてみたら良いかもしれない、なんて思うのは己の好奇心を満たしたいだけのエゴかも知れないが、今の己には目の前の彼の言葉だけを鵜呑みにすることは出来ず。この場へと辿り着いた時より幾らかまともに話が通じるようになった彼のおねだりへは 「 気が向いたらな 」 檻の隙間から腕を引き抜きつつ返すのは、無事にこの場所へと辿り着ける保証が無いため。屋敷を彷徨く言葉を持た無い化け物に食べられる可能性も、他の住人に食べられる可能性も捨てきれない上に今日この場へと辿り着いたのは偶然の産物 「 叶えれね可能性のある約束はしねェ主義なンだわ 」 座していた状態から立ち上がった際に、軽い眩暈がしたのは体内の血液量が減ったためか。鉄格子を掴む事により倒れる事は防ぎつつ、そのままゆっくりと立ち上がって 「 ッてワケで、血が欲しけりゃオレがココに辿り着く事祈っててくれよ 」 なんて視線を交えて片側の口角を持ち上げ )
>ラザロ(>1243)
(タオルを渡す際、労うその一言が快い気安さを纏っている気がして。その後に続く褒め言葉にも礼にも何やら擽ったい心地を覚えて、むずむずと照れくさそうに口許をはにかませた後、「…そうか、何よりだ。」髪を撫でるその感触を切っ掛けに、此方からも満面の笑顔を彼へと返す。布ヤスリを返却した次、彼に勿論と頷き歩みを追っていくが、身を包んだ熱気に浴槽の目の前で足を止める。「……む、」先程浴びた熱湯のシャワーと遜色無さそうな湯加減を肌身に感じ、思わず渋い色を表情に滲ませ彼を見やった直後。向こうもそれに気付いたらしい、凄まじい勢いで水が注がれていく様にほっと安堵に胸を撫で下ろし、適温に下がるまでその場にしゃがんで暫し待つ。「……うん、よし。」そっと指先で確かめた浴槽の湯が、程好い熱さに変わった頃合い。一度はそのまま入ろうとして、しかし垂らしたままの髪を思い出して少し悩みに止まり、一先ず肩に掛けていた手拭いでくるくると頭上へ適当に覆い括ってから改めて。――彼と肩を並べて湯に浸かる。それはシャワーのみの習慣に慣れきっていた狩人の少年には物珍しい経験のようで、波立つ水面や浴槽そのものを繰り返しそわそわと見回す。だが次第にその心地好さに骨抜きと弛めた頬は、ほんわり柔こい紅色に。「……悪くないな。」ついでに瞳も細めてその身体の暖まっていく感覚を、吐息混じりの呟きを零しながら享受していたものの、上がり時の知識が無い頭は些か茹だり気味に、彼の方へとふらり傾いていってしまう。)
>ユギン/クォーヴ(>1244)
>Ⅱ.どちらかが相手の舌を噛み切らないと出られない部屋(制限時間:10min)
***
(――目が覚めると、真っ白な色が視界一杯に広がっていた。いつもと違う眩しさに掠れ声の唸りを零しつつ、丸めて横たえていた身体をのったり鈍々しい動作で起こすが、そのまま座り込んで眠気に虚ろな目を伏し、日光浴する爬虫類の如くぼんやりと。いつもの通り寝起きに大変弱い頭の中は未だ転た寝が七割、その為起動に酷く準備時間を要する思考には、人らしい言語ではなく意識を失う直前の記憶だけが絵画のように浮かぶ。……窓辺の景色、頬を撫でる夜風、それから大きな月。しかしその先は黒い茨で覆われて、何も見えなくなって。「んん……んー…っ…」本能的に異常な状況下である事は理解して、ようやっと眠気を払う伸びをたっぷり十秒程度。次いで髪に手櫛を通す合間に、空っぽの室内をのろのろ見回していった最後、一つの黒いシルエットを見付けて。「……クォーヴ…?」見間違えようのないその姿に、今起きて初めての意味有る言葉が零れ、色の無い表情のままぎしぎし軋んだ仕草で首を傾げた後。「…ふふ。おはよぉ、クォーヴ。」数秒遅れて胸中に溢れた愛おしさを、嬉々を示す弛い笑顔の象りで表現しつつ、片手をひらり振って何とも場違いに浮わつく挨拶を投げた。)
>リリー(>>1246)
しゃあないやろ、可愛いねんから
(両手を繋いだまま肩を竦めてあっけらかんと。どんな台詞も馬耳東風で態度の悪い生徒よりも、素直で反応の良い生徒はよく可愛がり又構いたくなるものだろうと、そこに知的好奇心の旺盛さも加わればまさに目をかけるにはうってつけの逸材の完成でニマリと蛇のような微笑みを深め「 リリー嬢ほっぽって逃げたりせえへんよ 」問い掛けに直接答えないのは、こちらから黒薔薇に背くような真似をした場合何が起こるか明確には予想が出来ないからというのもあるが、守りきれるとは限らないと暗に匂わせる事で自分から離れないようにとの注意喚起も兼ねて。一度両手をするりと引けば、まずは手始めに空中に浮かんだ黒い砂時計を軽い魔法でつっついてみようかと視線に魔力を集中させた刹那、バチ、と火花が弾けるような音と共に両目に痛みが奔り反射的にそこを庇うように手で覆い隠し「 ……成る程なァ 」魔法は禁じられていると予想はしていたが、まさか封じるだけでなくこちらを害してくるとは。余程今回のお遊びは邪魔されたくないのだと察すれば、特に目立った傷はなさそうに見える目許を晒して少女を見遣り「 イージーなお題でラッキーやったんかもしれンな、俺らは 」自分たちが閉じ込められたのなら、他の怪物達も戯れの対象になる可能性がある。互いに傷を負わずに済む課題は僥倖だったのだろうと察しを付けて、心配をかけないようにいつも通りの微笑を向けて)
>リーパー(>>1247)
アハ、そーだよネ。オバケだっておなか減るんだから
(ぱち、ぱちとやる気のなさそうなまばらな拍手は少なからずも自身の主観的な身の上話に共感を得られたのだと感じたから。この屋敷に囚われる顔見知りでしかないゴーストを他意なく引き合いに挙げては話題を閉じ、調子の良い事をぽんぽんと吐く自身とは対極的な誠実に思える主義信条に一度大きくまばたきをして「 んふ…そうだネ。もしキミに仲良しの使い魔がいるなら道案内してくれるかもよ? 」なぜだかは分からないけれど、彼はきっと命尽きる前に自分にまた会いに来てくれるだろうと感じてその為の淡い道標を示し。この檻が開かなければ自ら貴方の元を訪問することが出来ない不自由さを内心で呪いながら、種類は異なっていてもどこか満たされない渇きを抱えているような気のする彼をこのまま見送ろうと決めて「 またおいでエ、ネコちゃん。きちんと血になるもの食べるんだよ 」ぬる、と目を細めてかっくり首を傾け死人の色の手をひらひらと振り。一見すれば健康を気遣うような言葉も全て自身の飢えを凌ぐためと隠すつもりもなく、何の確証もない次への期待がきっと今夜だけは渇きを癒してくれるだろう)
>レオ(>>1248)
(労働の後は熱い湯に使って肉体を労う、そんな慣習は翼や尻尾の異形がくっついていれども人間臭い風景に映るだろうか。見目に然程こだわりのない自分は邪魔だからという理由で髪はいつも短くしていて、かくいう彼にもその豊かで柔らかな長髪が邪魔そうに見える場面も散見され「 それ、切らねえのか? 」強制する気は皆無ながらただ興味の一端にて問い掛けて。隣に質量のあるものが入水したのを波の動きで知覚し「 最高だろ?一日の終わりは熱い風呂でなきゃな 」今夜の湯加減は随分ぬるいが、隣に語り合える相手がいることで不思議と疲労は灌がれるような心地になる。リラックス効果が舌の回りを良くさせるのか、ふとした時に回顧されては心をもやつかせていた事を思い出して「 ……祭の夜の事だがよ、 」言葉を続けようとして、肩に重みが触れる。顔色を見ればのぼせてしまう寸前のように思え、言葉の続きなぞより面倒を見ると決めた相手の体調が当然優先だと片腕に小さな身体を尻から掬い上げるようにして抱き上げ、そのまま言葉無く浴室を出ればまずは湯冷めしないようにと柔らかなバスタオルで少年を包んで「 自分で拭けるか? 」のぼせ具合がどれほどか分からないためまずは様子伺いのヒアリングを。自力が困難なのであれば自分が拭いてやるつもり、そうでなければ彼に着せる服を適当に近くのラックから見繕うつもりで)
>ニール(>>1249)
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>テーマ:どちらかが相手の舌を噛み切らないと出られない部屋
>制限時間:10min
>親密度:◆◆◆(両想い)
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(暗転した視界の中、強制力に蹂躙され意識を塗り潰される最後の瞬間、きっと死神は貴方の名を呼んだに違いない。ハッと覚醒した瞬間、まるで夢の中で夢に目覚めたような奇妙な感覚に頭痛に似た違和感を覚えて額を押さえ、状況を整理するために一度目を閉じ深呼吸を。てっきり攫われたのは自分だけだと思っていたが、目覚めた瞬間から眠りに落ちる時までずっと聴いていたい愛おしい声に思わず普段あまり見られない性急な仕草でそちらを向いて「 ニール、 」そう呼びかけては直ぐ様駆け寄り、冷たい手でその両頬を包んで「 どこか痛いところは?気分は悪くないかい 」この異常事態の謎を解くより先に何よりもまずは想い人が何かに侵害されてはいないかの確認を。それに水を差すようにカサリと二人のすぐ傍に投じられた手紙、音に注意を引かれて心配そうに彼の顔を見つめていた視線をそちらへ移し「 …危ないかもしれないから僕が見るね 」横目にて貴方ときちんと目を合わせ、ここにきて穏やかな微笑みを浮かべれば手紙を拾い上げる。二人で同時に内容を確認できるように気を遣いながら開封して――【 制限時間10分以内にどちらかが相手の舌を噛み切れば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】――あまりに理不尽で荒唐無稽な内容を笑い飛ばす暇もなく、残酷なカウントダウンは虚空に出現した黒い砂時計の反転によって開始された)
>レンブラント( >1250 )
……ずるい、
( 拗ねたような表情を浮かべるのは、この手の話で口の回る彼に勝つ事は出来ないと知っているから。離された手は何かをするのだろうと追いかける事はせず、半歩程下がり彼の背の後ろへと隠れるようにするのは今この時に自分に出来ることは無いのだと理解しているから。じっと様子を伺っていれば突如として聞こえてきたのは火花が弾けるような音。常であれば魔力を使う際に音が立つ事は無い事実を今まで過ごした時間から知っている。音に驚き出所を探している最中、ちらりと見えた横顔から見るに彼の手が覆ったのは眼許だろうか。背後に隠れている弊害で確実な場所は分からないものの、腕が上がった位置から大体の目測は立てる事が出来る。こちらへと向き直り平素通りの笑みを浮かべる彼とは反対、先程の音と目の辺りを覆い隠す姿が頭を離れず呆けた表情を一瞬浮かべるも彼の言葉への安堵よりも心配が先に来れば 「 そんな事より、 」 冷たい両頬へと其々手を添え、顔をずいと近づけて 「 見たところ何ともなさそうだけれど……痛くはない? 」 背伸びをしても尚埋まらない身長差故にほんの少し上目がちになりながらも、眉尻を下げ瞳を覗き込む姿は心配をしている事がありありと伝わるだろうか )
>ギレルモ( >1251 )
使い魔、なァ
( 身の回りの世話をしてくれる蝙蝠たちとは最低限の関わりしか無く、見分けが付く程に仲が良い使い魔がいる訳では無いが妙に気に掛けてくれる個体がいることも事実。頼めば連れて来てくれるだろうか、なんて試してみない事には分からないものの試してみる価値はあるか。一先ずは自分の部屋へと戻らないと分からないし、当てが外れたとしてもまた歩き回っていれば辿り着ける可能性だって無い訳では無い 「 まァ、頼んでみるだけ頼んでみッか 」 返答を明確にして期待を持たせるよりかは曖昧にしておいた方が良いだろう、なんていうのは偏った思考か。地下へと降りて来て初めて対面した時より幾らか友好的になったように感じるのは、彼の空腹が落ち着き話が出来るようになったからか、それとも己が話を聞いて絆された部分があるのだろうか。関係性を知らない人間が聞けば首を傾げるような言葉はきっと血液を欲しているが故の事だろうとは容易に想像が付く 「 次は飲みすぎンなよな 」 ひらと片手を振ってから地上へと戻る為に階段を登り始めよう )
****
ギレルモとの時間は終わりだろうなッてンで一旦邪魔すんぜ。ヴァンパイア嫌いな部分が何と無くわかったッつーか、お互いに不完全なトコがある分絆されそうになったッつーか。名前で呼ばれる事が増えりゃ入れ込んじまうんだろうなッて思ったわ。多分これからもちょくちょく会いに行くだろうし、よろしく伝えといてくれよ。
このまま【 怪物の証明 】の方に入ッて良けりゃ【 自分の部屋に戻る最中に気付いた異音の出所を探して見つけた部屋の扉を開ける 】場面を出させて貰うつもりにしてンだが、問題ねェか?何か付け加えた方がいい事とか、他でも何かありゃ遠慮無く言ってくれ。
>ラザロ(>1252)
……ん、髪か?
(ほんのり気の緩んだ所に問う声が届き、視線は一度そちらを向いて瞬く。僅かに遅れて意味を飲み込むと同時、纏めたそれを布越しに撫でる自らの手元に目線が移り、「昔からこの長さだったからな…」考え付かなかったとばかりの無頓着さを呟きながら、ほんの少しの思案した後、「…ああいや確か、元々は首回りと耳を隠す目的だったか。昔はそよ風の音の震えにも落ち着けなかったから、少しでも覆っておきたかったのだった。」するすると口から滑り出したのは自らもすっかり忘れていた、幼い頃の鋭過ぎる感覚の弊害とその手近な対策。「……ふむ。今なら切ってしまっても…」現在では邪魔に括るような形骸であり、ただの幼少の名残。それ故再び思案を練るが、彼とはまた違う意味で見目への無関心さと横着さが、後に続く言葉を霧同然に掻き消してしまう。――ふわふわと熱さに浮かされる感覚。けれども身体が掬われた事を知覚し彼へ咄嗟にしがみつく程には判断力も残っており、「ああ、問題無い、」掛けられる声にもはっきり反応したその次。「すまない、ハーゲン…」やはり何処か思考がふやけていたのだろうか、零れ落ちたのは目の前の彼とは明らかに違う名前。言い終わった後でそれに気が付き慌てたように唇を固く結んでから、のぼせとも違う色味に染まる顔を、身体を包むタオルで頭から覆い隠す。「…………間違えた。すまない、ラザロ。」気まずさの内に羞恥らしい動揺を混ぜた瞳をあちこち下方に泳がせ、深く吸い込んだ息の割にか細い声での詫びを告げて。「私は大丈夫だ。一人で出来る。」その後も少々それを引き摺りながらも改めて自力での解決を明確に伝え、彼が服を見繕うその間、「そうだ、ラザロ。君、先程風呂場で何か言いかけていなかったか?」己の間違いに話題が向く前に、先んじて入浴中の彼の話を呼んでみた。)
>クォーヴ(>1253)
(挨拶を言い終えて漸く立ち上がった折、真っ直ぐ駆け寄る姿に応えるように自らも彼の方へ歩む。己への眼差しとは対照的に、此方は頬を包むひんやりとした優しく心地好い掌の感触へ機嫌良く目を細め、「大丈夫、何ともないよ、クォーヴ。…うん、貴方も無事みたいだねぇ。」そのままもう一度眠ってしまいそうなほど気の抜けた言葉で、心身共の無事と彼への安堵を伝える。――その直後、何かが擦れる微かな音を彼と同時に捉えて。向いたそちらに黒い手紙を見付け、疑問に見やって交わる彼からの視線に大人しく頷く。覗くまでもなく読める位置へ運ばれた手紙の内容に、それまでの笑んだ色がすとんと抜け落ち、「……ふぅん、」零した声からも温度は消える。ただ瞬きさえせず文面を凝視する瞳だけに、今にも噛み付き八つ裂かんばかりの激しい何かがなみなみ湛えられて。「変なお遊び、考える子が居るんだね。」がち、と一度強く牙を鳴らして見上げた砂時計。渦巻いた感情の余りに人らしさを繕えないケダモノは、冗談めいた感想を機器じみた平坦な声で呟く。それから改めてこの部屋の内をくるくる見回して、互いと砂時計の他に何も無い事を確かめた後。「舌かぁ……」自らの唇の両端を指先で揉み、その内に仕舞われたそれをもごもごと蠢かせた次、「……クォーヴ、大丈夫?」口許を離れた両手は、己がしてもらった仕草と同じように彼の頬へそっと添う。そのまま彼の心中を想い測る問いにも、ゆらり滑らかに首を傾げて顔を下から掬い窺う間近の淡紅にも、眉を垂らした心配と憂慮が目一杯に溢れていた。)
>リリー(>>1254)
(怪物には備わっていない暖かなもので両頬を包まれた後、文字通り輝く鉱石のように眼窩に嵌った二つの瞳が宿す憂色を見て取れば、肉声による回答の代わりに短く吐息して口角を今少し吊り上げて。無機物たる宝石の冴えた鋭い美しさではなく、まるで石の内部で万物を癒やす泉が湧き出ているような。守ってやりたいと、この少女のこんな表情を見せられては世の男たちは皆思ってしまうだろうと「 あんまり何処ででもそないな顔すんなや 」軽口に聞こえる台詞にもどこか穏やかに妹を心配する兄のような柔らかく優しい心労が灯っているだろうか。先の衝撃は爆裂するような派手な音による警告の意味合いが強いのだろうと推し量る、まるで戯れの褥にて振るわれる鞭が控えめな痛みに見合わぬ大きな音を立てるかの如く。首謀者は害する意思はなくただこの箱に押し込められた異種族達が銘々に足掻くのを高みの見物をしながらほくそ笑んでいるのだろう、くしゃりと少女の髪を撫でてからゆるりと斜め上へ顔を向けて「 悪趣味はお互い様やなァ 」不敵な微笑で姿見えぬ支配者へ嫌味を。リリー嬢も言うたり、と促そうとするも謹んだのは佞悪な黒薔薇はより弱い者から狙う可能性が高いと判断してのこと「 どないする、もうええか? 」危険と隣り合わせとはいえ少女の好奇心を満たせているとは到底思っていない、からこそ先ずは考えを伺おう)
>リーパー(>>1255)
やあやあ、こんばんわ仔羊ちゃん。いや、仔猫ちゃんの方が正しいかな?ギレルモはかなり癖のある住人だから、そんな風に言ってもらえて嬉しいよ。暴力的な飢餓に支配されてる以上、食べられるなら誰でもいいって子だから君の望むような見方を彼がするかどうかは現時点では定かじゃないけれど、君が会いに来てくれるならいつだって大歓迎の筈さ。
さて、次はいよいよレナードとの日常イベントだね。配慮ありがとう、導入部分はそのイメージで問題ないよ。この一幕が君たちの間に何を齎すか、じっくりと見守っているね。追加で何もなければ、僕の方にはお返事不要だよ。
>レオ(>>1256)
……なら今でも必要なンじゃねえか?
(長髪の理由について真っ先に想起されたのは、まだ彼をレオとも知らぬまま部屋を訪ねた最初の夜のこと。自然の中で鍛え上げられたであろう自分好みの立派な男の体格でありながら、まるで生娘のように悶えながら首元の感覚が鋭敏だと語る彼の様子が面白くてつい揶揄ってしまった、あの時から屋敷での時間は経過しているとはいえ急所である事に変わりはないだろうと半ば茶化すようなニュアンスでニヤリと意地悪そうな笑みも付け足して。「 あァ? 」ここに囚われた同胞たちの中でも一切聞き覚えのない名詞は誰かの名前だろうか、自身のデータベースに無い単語だったためいつもの調子で聞き返し「 そこまで恥ずかしがる事かよ、……テメェが小せえ間はこの俺様を親父と呼んでもいいぜ? 」視線を向けた先、明らかに狼狽している様子に怒られてしまった子供のような可愛げを感じて笑い混じりに軽口を。きっとあれは彼の幼少期に世話になった誰かの名だろうと推察するに留め、ぐちゃぐちゃとラックの中を引っ掻き回しながら「 ああクソ、ねえな 」粗野に吐き出すのは独り言。やがて諦めたように舌打ちを一つ落としてからドラゴンが着るには少し小さいやや年季の入ったTシャツを引っ張り出しては少年の頭にぽいと被せて「 これでも着とけ。新品じゃねえが洗濯はされてる 」鼻の利く者なら若干香るであろうドラゴン特有の体臭がほんのりと残る服は正真正銘怪物のお古。自身はと言えば衣服を着るどころか用意する素振りも見せず、一通り髪と身体とドラゴンのパーツを拭き終わればタオルを腰に巻き付けたまま寝室の方へ戻ろうと一歩踏み出し「 …後でな。ほら来い、風邪引くぞ 」中断された言葉に続きに対する問いには振り返ることなく答え、ズカズカ室内を進んではベッドの中央辺りにどっかりと胡座をかいて。その前のスペースを指で示しながら「 座れ 」目的も伝えず簡潔に命令を)
>ニール(>>1257)
……君と攫われたのが僕で良かった
(頬を包まれ視線が交わる刹那、死神の顔に凪いだのはいつ何時も崩れない軽やかに風に揺れる花畑のような穏やかな微笑み。しかしこの数瞬の間に死神の胸中には決して誰にも、更に言えば愛しい人にだけは見せたくないような苛烈な何かが渦巻いていたのかもしれない。一見脈絡のない呟きを補足するため、こちらからも再度手を伸ばして頭の円みに沿うようにそっと白い髪を撫で下ろし、そのままつつっと唇辺りまで指を滑らせて「 ニール、君の牙で僕を力いっぱい噛めるかな? 」冷たい親指で肌越しに犬歯の形を確かめながら、ひどく甘く愛おしそうに問い掛けてはゆったりと頭を傾けて「 分かっているよ、君は噛まれるのもすきだって。けれど…人と死神では身体の作りが違うでしょう?……たくさん血が出て、万が一にもそれが原因で君を失うような事になれば僕は… 」言い淀むのはその先が思い浮かべるのすら悍ましい結末だったから。珍しくもきゅっと唇を軽く噛むような仕草を見せて声を詰まらせ、そのあとゆっくりと一度吐息して「 ……僕は、君を思い出にしたくはないな 」交わっていた視線はこちらからそっと下へ沈めて)
>レンブラント( >1258 )
( 彼の言う “ そんな顔 ” とはどのようなものだろうか。元来表情豊かな方である自覚はあるものの、作り出している訳では無く己の心の動きが忠実に現れているだけに過ぎない表情を理解している訳も無く、分からないものを分かったと言えるような性分でも無い。首を傾げ数秒考えた後に 「 心配しなくてもレンブラントさんとカナニトくんの前でくらいよ 」 心配をするのも、特段表情が変わるのも、そんな事は胸中のみに留める代わりにゆるり表情を和らげて。頭へと触れる手に僅かに首を竦めるものの、それは慣れていないからであって嫌な訳では無い。その証拠へと掌へと軽く頭を摺り寄せるようにして 「 ふふ、悪魔さんに言われるなんて余程だと思うわ 」 今迄過ごして来た中でこの兄弟の意地の悪さは嫌というほど体験して来た。それ故の感想はこの部屋の生成者へとどう伝わるだろうか。問い掛けへはほんの少し悩んだ後 「 …お任せするわ 」 砂時計を見るに未だ時間は残っていそうではあるものの、この場は無力な己の好奇心よりも彼の意見に従った方が良いだろうと。もし彼が怪我でもしようものなら、暫くの間己がそれを引き摺ってしまうだろう事は想像に難しく無い。再度部屋を出るための条件を満たすべく、一先ず両手を彼の方へと差し出して )
>レナード( >1259 )
( この屋敷に来てからの運動不足が祟っているのか、身体を動かすには血液量が足りていなかったのか。地下から見覚えのある景色に戻ってくる頃には少し呼吸が上がり、廊下の壁伝いにしゃがみ込み呼吸を整える時間を僅かながら要した。さて、自分の部屋はどこだろうか。探す為に足を運び始めたところで耳に届いたのは微かな異音。普段であれば好奇心よりも先に来る警戒心のお陰で音の出所を探しに行く、なんて行動を取るはずも無いのだが何分思考を上手く働かせるだけの酸素が行き渡っていない。ふらふらとした足が辿るのはきっと自室があるのとは反対の方向。聞こえてくる音だけを頼りに廊下を歩いていった先、立ち止まったのは一つの扉の前。そっと扉を開き中を覗くつもりにしていたのだが、存外大きく開いてしまい 「 ……レナード、か…? 」 見覚えのある姿に思わず出てきたそれに咄嗟に片手で口を覆い隠そうとするも、特段顰めた訳でも無い声は彼の耳にも届いているだろうか。貧血気味の身体では同じ場所に立ち止まっている事が難しく、ドア枠に頭を預けるようにして )
>リリー(>>1262)
分かってへんなあ、ホンマ
(遠回しな台詞の靄の中から主旨を掴み取る力は深窓の令嬢には未だ養われていないと改めて実感し、肩を竦めては小さく数回かぶりを振って。兄は兎も角として弟の方は彼女をどう見ているか判然としないのに、あんな可愛らしい顔で一身に心配を受けては兄に比べて堪え性のない弟は衝動的な行動に出るやもしれない。それはそれで一興か、と内心で落とし所を付ければ自らの種族を引き合いに出す言葉にニマリ口角を上げて「 やってさ、 」どこかで観測しているのだろう支配者へ目配せをするように天井を仰ぐも部屋の沈黙は保たれたまま。丁度残り時間が乏しくなっている事を示すようにハラハラと桜吹雪ならぬ黒い薔薇の花弁が無数に舞い始め「 ようけ咲いとるンは見慣れてしもたけど、これはちょっと粋やな。なァ? 」屋敷全体を、更に言えば少女たち獲物の部屋の窓枠を埋めるように咲き誇る黒薔薇の散るところなど見れる筈もなく、怪物にとっても珍しい光景。降りしきる花びらの雨の下、差し出された両手を各々手に取り「 俺はな、リリー嬢の素直で気ィ優しくて活発で、初心な所もあるけど賢い所もあって――全部ひっくるめて可愛らしい所が好きや。中身も見た目もごっつい可愛い 」煙に巻くような口調を選ぶ悪魔には稀有なストレートな言葉選びを同じく真っ直ぐな眼差しを添えて届けよう。最後の一言は部屋から出るためではなくただ自分が彼女の反応を見たいがための追い打ち、何かが罅割れるような音と共に壁の一面に空間が広がれば暗い通路が生成され、その向こうには少女の自室と思しき風景が待っているだろう)
>リーパー(>>1263)
(他の住人と比較すれば食事回数が控えめである自身には、そうでなくとも一度の“食事”はただ飢えを凌ぎ生き永らえるためだけの行為ではなく、この暗い屋敷で美食からしか得られない何かを嗜むために重要な時間。ゆえに適当な獲物を初対面で喰らう事はほぼなく、今夜の食事も面識のある人間だったのだろう。そこはとある獲物の部屋、ベッドの天蓋から垂れる月光を透かす半透明のヴェールは巫女の羽衣のように夜風に揺れ、シーツは紅いサテン生地へと張り替えられている――いずれも獲物に与えられる個室のデフォルトではなく、きっとこの部屋の主がレナードか或いはそれ以外の怪物にお願いして整えてもらったのだろう。そのベッドの上、誰かを組み敷く形に覆い被さる影は濃紺のマントコートを纏い、時折吹き込む夜風がその裾を揺らせば裏地の紅がちらちらと月明かりを反射する。小さく聞こえてくる何かを啜るような音は奇しくも貴方自身がつい先程身を持って耳に刻んだものと酷似しているだろうか、濃紺の背に回されていた真っ白な腕が一切の力を失ったようにはらりと脱力しベッドの縁へ落ちたのとほぼ同時、聞き覚えのある声に名を呼ばれた気がして影はぴたりと一切の挙動を止めて。ゆっくりと上体を起こし首を巡らせて振り向く、月輪を背負う口許には僅かな鮮血が付着しているだろう「 ……人様の食事を覗き見?そんな趣味あったんだ 」白い手の甲で口許を拭いながら放たれるお決まりの憎まれ口、それはいつものような小馬鹿にする調子ではなく幾ばくか平坦であろうとするような声色で)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
>新規住人を1名追加/鬼♂
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:クォーヴ ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
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▼ 世界観・ルール ▼
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▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
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●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1260 】 ※日常イベント「九尾の神通力」発生中
●リーパー × レナード ⇒ 【 >>1265 】 ※日常イベント「怪物の証明」発生中
●リリー × レンブラント ⇒ 【 >>1264 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●ニール × クォーヴ ⇒ 【 >>1261 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>レンブラント( >1264 )
( 被りを振る姿に浮かべたのはきょとんとした表情。何が悪いのか、なんて尋ねてもきっと答えてくれないだろう事は分かりきっている為にそんな疑問を口にする事はせず。突如として降り始めた黒薔薇の花弁に「 わあ、 」 綺麗だと言うのは不謹慎だろうか。沢山の花弁が降り頻る方へと注意を引かれるも、差し出した両手にひやりとしたものを感じれば彼へと視線を向け直して。伝えられた言葉は想定していたよりも真っ直ぐで、追い討ちとばかりのそれに顔へと熱が集まるのが分かる。元の世界にいた時に褒められるのは音楽の才能で、こんなにも自分自身を褒められる事も好きだと言われる事も無かった。じわりと涙が滲む瞳を細めるようにして満面の笑みを浮かべ 「 ありがとう、すっごく嬉しい 」 視界の隅、四方を囲む壁の一枚だったはずの場所に生み出された通路にいつの間にかカウントダウンを止めていた砂時計。きっと部屋を出るための条件が満たされたからだ、なんて思考は短絡的且つ悪意を信じる事が無い性分故か。繋いでいた片手だけするりと抜け出せば 「 ねぇ、もう少しお話ししたいのだけれど、お時間あるかしら? 」 彼からの返答がイエスかノーどちらであったとしても、先ずはこの場所から抜け出そうと通路の方へと手を引っ張って向かうつもりで )
>レナード( >1265 )
ンな悪趣味ねェよ。偶々だわ
( 開いた扉の先に見えるのは恐らくベッドに沈む人間の部屋なのだろう、なんて推測は己が部屋とは比べ物にならないくらいに飾り立てられていたから。口にした名に反応して振り向いた姿にハッ、と普段通りの鼻にかけたような小憎たらしい笑いを落とすも、何かにもたれ掛かっていなければ直立に自分の体重さえ支えられない状態では唯の虚勢にしか映らないだろう。本当なら近付くか後退るか、どちらにせよこの場から動く事が望ましいのだろうが、支えを失えば身体が傾くだろうなんて事は分かる為にその場から動く事なく 「 部屋に戻るトコに聞き慣れねェ音が聞こえたら誰でも気になンだろ。それに、さっき自分がそうなるかも知れなかった結末なんざ好んで見ねェよ 」 彼の後ろ、ベッドで眠るようにしている人間へと向ける視線は幾らか哀しみの色を滲ませたもの。その肌が異様に白く見えるのは紅のベッドシーツが影響しているのか、それとも血液を飲まれていたからか。そんな判断を付けかねる事に頭を悩ませるよりいつもより機嫌が悪く見える彼の前からはさっさと退散するのが一番だろう。そう判断すれば動かすのも一苦労な足で踵を返そうと 「 ッ、あぶね 」 もたれていた体勢から立て直したところで足がもつれ、ぐらりと身体が傾き )
>ラザロ(>1260)
(無精に消えた言葉の続きは、彼の放った一言に変わる。少しばかり伏していた瞳がそちらを向いて、それからまた泳いでしまったのは、あの屋敷の初日に味わった感覚を思い出したが為。「……元の姿なら、直に触れられなければ問題無い。」思わず首元を両手で覆い湯に沈めて隠しながら、茶化しに慣れない辿々しさで困り顔の弱々しい反論を。――間違えたのは、のぼせの所為だけではない。先刻からぽつぽつ掘り起こされていた懐古も絡んでいる。けれども今その原因成り得る記憶を探っている余裕は無く、「勘弁してくれ……ハーゲンにもそんな呼び方をした事は無い…」彼からの軽口に、弱りきった視線までタオルの内に囲って、居た堪れないとばかりに小さな唸りを零す。それから一通り身体も髪も水気を拭い終わり、一息吐いた折に聞こえた舌打ちへと上げた顔正面に布を引っ被る。「ああ。ありがとう、ラザロ。」彼の言葉に布が服であると理解し、両手に一度抱え直して礼を一言。次いで今の己の身には余りある大きさのそれを着て、巻き込んだ後ろ髪も襟元から引っ張り出していく最中、ふわり漂ったような気のする匂いに、改めて袖口辺りへ鼻を利かせる。「……ラザロの、」いやに安心感を覚えたそれの正体が、他でもない彼のものと気付いた瞬間知れず頬を綻ばせて一人柔く呟きを落とした後。此方からの問いの答えを待つが、思ったそれとは違う彼の様子に一人きょとんと瞬く。しかし歩き出したその背に思考は追いやって、少し遅れて駆け足気味に脱衣所を去り――共に着いた先は広いベッド。己が乗ってもびくとも音の立たないその上、端的に指示を出す彼に一瞬疑問の視線が向くが、それも直ぐに掻き消えて、「……こう、で良いか?」彼への信頼故に何の警戒も無し、指定通りの箇所まで身を寄せ、すとんと適当に膝を折りつつ彼の方を見上げて正解を窺った。)
>クォーヴ(>1261)
(いつもの微笑み、意図の捉えられない呟き。もう一度問い返すその前に髪へ、そして口許へと雪のような指が触れた事で再び黙し、その言葉を、仕草をじっと最後まで見届け。ふと徐に、彼の顔を包む両手を緩やかに離した後、「――やぁだ。」また直ぐ様、今度は頬を両側から摘まんでその無駄の無い輪郭を崩してやって。そのままべえ、と人より薄く長い己が舌を限界まで口腔の外に滑り出し、場にはそぐわない道化た否をその最適解へ突き返す。「そこまで解ってるなら、オレちゃんの牙が何を嫌がるのかも、クォーヴは知ってるでしょ。…そんな事したら、オレちゃんショックで一生声出なくなっちゃう。」次に描くは膨れっ面に拗ねた声。ついでに唇の傍を通る彼の指先を口に含んで、歯の先を当て抗議の甘噛みも。…そう、この“牙”は存在証明、感情表現、そして今は愛情表現。何でもなく大事な彼を傷付ける為、まして損なう為に噛むなど、他でもない己自身が大火傷を負う。「だから、すごく酷いワガママを言っちゃうけど……オレちゃんは貴方に噛み切ってもらいたいな。」その後には困り顔の笑みに、下手ながらも譲らぬ強さで物申す残酷な提案のおねだり。「……大丈夫。オレちゃんねぇ、クォーヴが思ってるほど弱くて儚いものじゃないの。」それからやっと彼の頬を解放した十指の一方で、今度は彼の片手を捕まえて自らの胸元に導き、普段と変わらぬ拍動を押し付けて、「貴方が“共に生きて”と俺を求めてくれるなら、俺はこんな所で終わらない。思い出になんてならない。」 作った温かな表情を全て消し、しんしんと無機質じみた“ニール・グレイ”の言葉を繋ぐ。――一歩、ゆっくり近付いて。沈んだその視線を更に覗き込んだ紅の瞳が語るは、「たとえ舌を切られても、脚を落とされても、溺れるほど血を流しても――貴方の傍に立って、貴方の名前を呼ぶ。」彼へ辿り着くまで一人きり生き抜いた、泥を這い摺り溝鼠を喰らう大蛇の如く粘つく“生”への執念。そしてそれすら全て愛する死神に捧ぐ、献身と称するにはあまりに一方的で暴力的なケダモノの純愛。赫々と渦巻き燃えるそれを隠しもせずに、響く低音で彼へ絡み付かせた後。「……だから安心して噛み切ってよ、クォーヴ。」彼の身体をするり抱き締めて、桃花の香るとびきり甘い微笑みを戻す。「ほら、こんな所さっさと出ちゃおう。オレちゃん、昨日見付けた綺麗なお星様を、早く貴方と一緒に見たいんだから。」柔く口付ける耳元、そこに不安も恐怖も微塵も見当たらない無邪気な愉楽だけを詰め込んだ声で、この箱を出た先の“二人の未来”への道をねだった。)
>リリー(>>1267)
(この屋敷にいる限り未来に待っているのは高確率で惨憺たる結末、だからこそ嬉しいと涙を浮かべる姿にああ良かったと感じてこちらも静かに目許を少しだけ緩めて。この密室から出ることを許されたのだと気付けば、安堵よりも先に黒薔薇に対する訝しみが生まれたのは悪魔より佞悪なその本質をよく知っているから。途中でその出口を塞がれる可能性もある、長居は無用と手の導きに従って一歩目を運び「 リリー嬢が眠たなるまでお互いの好きなとこ一個ずつ言い合おか。なんも言えンくなった方が負けやで 」この後の過ごし方の提案を添える事で彼女の打診には快諾を示し、引っ張られていた手をそっと解けばすぐに華奢な肩を自らの方に抱き寄せまるで最後まで庇い守り抜くように通路の終わりまで歩みを進めるだろう。その背後、永遠に閉ざされた空間には一切の痕跡も亀裂も残っていない筈だ)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。イベントへのご参加ありがとうございました。期間中は何度でもエントリー可能ですので、もし別テーマにもご興味ありましたら再度エントリーいただけると嬉しいです。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました 】
>リーパー(>>1268)
――……誰かに食べられかけたって事?
(何か意味を含んだような言葉選びに、怪訝とも心配とも苛立ちとも取れる感情を眉間の皺に宿して。確かによくよくと様子を観察すれば今にも倒れてしまいそうな状態に思える、普段に輪をかけて血の気が薄く見えるのは月光のせいだろうか。何にしてもこうして自らの食事場面に遭遇してしまったという事は彼が自分の部屋を抜け出したという事。否誰かに連れ去られかけた可能性もある、がきっとどこか捨て身さを感じさせる彼の事情は前者なのだろうと推測しては忠告してやったのに馬鹿な事をと短く溜息を吐いた直後「 …! 」倒れかけたシルエットを視認した刹那、既に事切れた嘗ての獲物の元から未練なく離れるように反射的に身体は動き瞬間移動と見紛う速度で片腕にて彼の体重を受け止め支えて。ただの弱った獲物など捨て置けばいいものを、頭で考えるより先に行動に移っていた事にはきっと気付いていないのだろう「 ……ここで野垂れ死にされたら後味が悪い 」尤もらしい理由をつけ、きっと歩くこともままならないであろう彼の足元にしゃがみ込んでは下から掬い上げるような形で背中に彼を負ぶさって。そのまま歩き始めるのは、常に部屋や廊下や階段の配置が変わり続ける屋敷の絡繰りで貴方の自室が偶然近くまで来ていると察知しているからだろうか)
>レオ(>>1269)
何でもいいがよ、気にすんなよな
(困ってしまう様子もまた可哀想に近い可愛らしさを感じさせ、これくらいにしておいてやるかと頭をわしゃりと撫でて。向かい合う形で座した彼の小さな身体を両脇から挟み込んでは軽々持ち上げ180℃回転させて「 こうだ 」正解はこの向きだと示してからベッドへと彼を下ろして。そのまま深ぁく息を吸い込めば、凄まじい風量で温風を吹き出す――まさにドライヤーの要領で彼の長い髪にブレスを吹きかけながら筋張った手のひらで乱雑に撫でるようにして髪の間に温風を通していき。一息は一分以上も勢いの萎えないまま吹かれ続け、三度目の深呼吸を終えた辺りで「 こんなもんでいいだろ 」人の髪なんて乾かした事はない、ゆえに丁寧とはいえない手付きによって柔らかな少年の髪は膨らんでしまっているだろうか。しかし当の本人は満足した様子で「 あ゙ァー……今日もそれなりの一日だったなア 」脱力するような声と共に、ガタイの良いドラゴンが大の字で寝そべってもスペースに余りあるベッドへと沈むように体重を預ける。局部を隠すタオル以外は一糸まとわぬ姿のまま、両手を頭の後ろに敷いてまるで眠るような体勢を取り)
>ニール(>>1270)
(快諾はしてもらえないだろう、そう覚悟はしていたけれど。顔を包み込む体温が離れていってしまった事に名残惜しさを感じる前に長い舌を見せつけられてはぱちりと白黒反転した双眸でまばたきをして。彼の言うことを静かに聴き、カウンターのように差し替えされた願いには「 ……やっぱり、そう言うよね 」常に柔らかな微笑みを絶やさない死神に今その色はなく、只々辛い現実を受け入れようと苦悩するように今まで彼に見せたことのない苦しげな表情を浮かべて「 …君の覚悟はよく分かったよ 」抱き締められた身体のぬくもり、確かに感じる脈動。そのひとつひとつが宝物のように思えて、今一度決して手放したくはないとこちらからもきつく抱擁を返して呟き。いつもなら擽ったさに吐息だけの笑いを落とす耳への口付けにも反応は返せず、頭の中で巡り巡っていた作戦を口にするため決意するようにひゅっと息を吸って「 舌がないと名前は呼べないでしょう?…だから、少し…ほんの少しだけ。 」噛み切るのは僅かな部分だけ、と。愛おしい双肩に自らの手を置いてそっと少しだけ身体を離して向き合い、彼の微笑みを見つめて「 …綺麗だね、今夜も 」ここに不似合いな言葉だとは解っているけれど、そう感じてしまえば口に出さざるを得ない。何かを諦めるように肉声を落としてから初めて、疲れたような微笑が口許に戻り「 死神は肉を喰らう種族じゃないから、鋭い牙はない。……出来るだけ、痛くしないように頑張るけれど……、……ごめんね 」自分に獣のような牙があればきっと断面も美しくさっくりと噛み切れたのだろう。だが限りなく人の歯並びに近い自らの歯列では切るというより潰すような所動になってしまうことは想像に難くない。他の誰でもない貴方が望むことだからこそそれを叶えるために貴方を傷付ける事を覚悟した――が、本当に決意を固めきれているのだろうか。何かに揺らされる蝋燭の灯火のように、いつもは余裕げな双眸の奥は立ち向かったことのない類の恐怖にゆらゆらと揺さぶられているようで)
>レンブラント( >1271 )
こんばんは、こちらこそ素敵な夢をありがとう。
ふふ、夢だけじゃ無くってお屋敷の中でも会うのが楽しみになっちゃう一時だったわ!きっとここまで打ち解けるのに時間は要しちゃうのだろうけれど、心待ちにしているわね。
次に夢を見る為の記入はさせていただいたのだけれど、お忙しいようなら丁度いいタイミングだし本編の方に専念という形でも大丈夫よ。私の我儘としては中華のお姉さんの夢も、殺人鬼のお兄さんの夢も楽しみたいところだけれど……なんて!お願いじゃなくて我儘だから、ご都合を最優先にしてちょうだいね?
リーパー ( >576 )
指名:マリーシュカ
提供との親密度:◆◆◇
>レナード( >1272 )
……一目見るなり血を要求してくるヤツにな
( ちらと視線を向けるのは己の腕に牙の間隔で開いた二つの穴。流血は止まり少しずつ瘡蓋のようになりつつあるものの、血を糧とする生物に喰われた事実が夢では無い事を示す証である事は確か。聞こえて来た呆れとも取れる溜息に顔を顰め「 言っとくが、オレ自身の意思で喰わせたンだからな 」 誤算はあったが間違いでは無い。己を喰った相手の事を擁護するつもりは一切無いが、抵抗もせず喰われたのだと思われる事は癪で。倒れた時の衝撃を覚悟していたにも関わらず、感じたのは打撲による痛みでは無く離れた場所に居たはずの冷たい体温「 …今のはちょっとフラついただけでンなヤワじゃねェ 」 体勢を立て直し今度こそと思ったところで地面から離れる足。瞬時に理解が及ぶなんて事はなく、現状を理解しようと数回。目線の高さが普段よりもやや高い事に加え、触れている彼の身体へと気が付けば 「 降ろせよ、自分で歩ける 」 口とは裏腹、自分の部屋に戻らなければ、その一心で動いていた身体は一度預けた事によりギリギリのところで繋がっていた糸が切れたようで、されるがままに彼の背中へと預け。然程時間をかける事なく辿り着いたのは自分の部屋。背から下ろされたのならば、ふらふらとした足取りでベッドの元へと歩み寄り縁へと腰を下ろしてから 「 ……今、渡せる見返りはねェよ 」 彼の事だから、きっとそれを求めての行動でない事は理解しているつもりなのだが、愛されたがりの悪癖故。優しくしても無駄だとばかりに視線をふいと逸らし 「 ……さっきの部屋のアレ、良かったのかよ 」 性別も今生きているのかも分からない為に使う言葉は死に慣れているが故。部屋の内装から察するに目を掛けられていただろう事は明らかで、きっとあの場で優先されるべきは己では無かったはず。血液が足りない事で冷える末端を暖めるように何度も摩りながら、特別視を期待していない声色は平坦なもので )
>リリー(>>1275)
案内役は別ン奴やけど、流れ汲んでこのまま俺から返事させてもらうわな。
最近レス頻度落ちててご免なァ、時間が許すなら君等がお返事くれる限りなんぼでもやり取りさせてもらいたいねんけど如何せん予定が詰まっとってな。そんな中日々の楽しみくれて、ホンマおおきに。
ちゅうわけで、イベントは期限も決まっとるしこのまま本編と並行で進めるンも勿論大歓迎や。しゃァけどやっぱり本編とはキッチリ切り分けときたいから、殺人鬼の彼より先に中華の子ぉで夢見てもらうんはどないやろか?リーパーの方はレナードとのイベントの片が付いてから、ていう風に提案さしてもらいたいねん。検討してもらえるやろか。
>リーパー(>>1276)
――――どうやって、
(視線の先に目線を導けばそこには同属の捕食痕と思しき傷跡。血を要求する怪物となれば自ずと候補は絞られ、そこから今し方捕食を終えた自身と食事に対して妙な拘りを持つ昔馴染は必然と除かれ、辿り着いた対象は暗い檻の向こうから不気味な白濁した双眸を三日月に歪めて笑う姿。地下に幽閉されているため遭遇など出来ない筈、しかし途中まで口を突いた疑問は何もかも黒薔薇の悪戯と片付けられる愚問として霧散し「 ……誰でも彼でも旨い旨いって食べる奴でしょ 」彼が匂わせた捕食者と自らの推測を一致させるべく特別な温度は宿していない声でそう応え「 よく生きて帰してもらえたね 」虚勢の数々は無理矢理にでも背から下りようとしない挙動が指し示す真実の前には馬耳東風で、感心というよりは無駄に危険を冒しあまつさえ自ら進んで血を飲ませたという行動の無鉄砲さに対する皮肉の方を色濃く宿した声を短く落とし。背中の体温を地へと解放すれば代償に対する言及には沈黙を以って不要と応えて。食後の気紛れで次の獲物候補をあるべき棚に戻したに過ぎない、そう自分の中では認識して踵を返した刹那に背へ投げられた問には「 …どういう意味? 」要領を得ない漠然とした質問にほんの微かな苛立ちを乗せ「 死体は今頃黒薔薇になってる。もうあの部屋には居ない 」自らの牙で喰い殺したのだと認めるのはそれが至極当然の摂理に則った事象だから。ゆえに気後れする必要など無く、この屋敷で命を落とした人間たちは貴方の部屋の窓枠を飾る大輪の黒薔薇に仲間入りするのだと救えない事実を端的に告げて)
>ラザロ(>1273)
(他に返す言葉も思い付かなくなった頭に彼の掌が乗って、その仕草に安堵を覚えた思考は、解り易く力の抜けた身体に顕れる。「……む、そうだったか。」見上げていた目線は、浮遊感と共に一度見下ろす形へ変わってぱちり瞬く。未だ意図は読めないまま、それ故無抵抗に身を任せてまたベッドへ座り直す。背後から聞こえる呼吸音に何が起こるかと彼を振り返りかけた次の瞬間、突風にも似た空気の流れに思わずぎゅっと目を瞑って。だがその髪を通る程好い温さと掌の感触に、やんわり細める形に瞼を開いて大人しくそれを享受する。――彼によって仕上げられた髪は、正しく洗いたての羊毛。「おお……凄いな、もう乾いた。」普段よりも空気を含んでもこもこ乱れ膨らむそれに触れ、毛先まですっかり飛ばされた水気に感嘆混じりの呟きを。「…ふむ。私は新鮮だが、懐かしくもある一日だったな。」彼を追って己は俯せに寝転がり、けれどもその胸元から上は両腕で軽く支え起こし、室内に置かれた物を再びきょろきょろ見回して。だが今までのように手を伸ばしに行かないのは、約束以上に彼への興味が強い故。「……今度暇を持て余したら、君のように何か物でも作ろうか。」やがて残りの身体もシーツの上へ滑らせ、支えの両腕は枕の代わりとして顎を乗せて益体も無い独り言を落とす。随分と久方ぶりの“守られている”という幼い安心感に、ほんの僅かぽやっと気の抜けた瞳を暫し緩やかに瞬かせた後、「……そうだ、」そのまま眠ってしまいかねない静けさを、一巡髪を振るって払い、「…君の話を、まだ聞いていないな。たしか祭りの事、だったか。」うっかり頭から抜け落ちかけたそれを確と拾い直し、持ち上げた視線でじっと彼を見詰めて風呂場の続きを促してみた。)
>クォーヴ(>1274)
(今までに見た事も無い苦悶の表情に、自らの言葉の残酷さを再認識して、しかし黙って彼を見据える事で不退の意志を示す。――抱き竦められる身体。そのほんの少しの苦しささえ愛おしくて、溶ける瞳を一度瞑る。「…ふふ。そうだねぇ、ちょっとだけ、ね。」舌が無くては、なんて文言に場違いに笑んだ意図は伏したまま、ただ同意と了承を込めた一言を返して、また瞼を緩やかに開く。「…うん。貴方こそ、今夜も素敵だね。」いつ、何度言われようとも、慣れない嬉しさを湧かせるその称賛。はにかみの色を頬に添えて、此方からもいつものお返しを。それから普段よりも陰りの窺える微笑みにゆったりと首を傾いで、「……オレちゃんは、牙がクォーヴとお揃いで嬉しいけどねぇ。」続く返事に選んだのは否定でも受容でもなく、ただ数少ない共通点を喜ぶ放言。冗談めいていても本心であるのは、自らの口の端を指先で押し上げ八重歯をわざとらしく晒す悪戯な仕草で伝わるだろうか。――一度砂時計を見上げる。しかし意識したのは残り時間ではなく衆目、きっとこの“お遊び”を見ている誰か。数秒見詰めていた目を、ふっと挑戦的に煽る色へ僅かに細めた後、視線は彼の水色に戻る。「――クォーヴ。」名前を呼ぶ。甘い甘い桃の頬で、心底愛しい名を。「俺だけの死神さん、俺のお月様。」火を揺らす風を塞ぐが如く、彼の両頬から耳元、髪へと指を通し頭を掌全てで包んで、「…俺、貴方の事が大好き。これまでも、これからも、ずっとずっと。何があっても。」大丈夫、なんて気休めの代わりに寄り添う想い。ナズナが小さな花弁を一枚一枚綻ばせるようにぎこちない、“作り物ではない”蛇の言葉で、「……あいしてる。」その五文字を確かに紡いだ後。ゆっくりと顔を近付け――ちう、と微かな音を立てて彼の唇を食んで。それを一度離した次には、その唇の下側を舌先でちろり擽る。…まるで遊ぶような、それでいて想い人からの口付けをねだるような、艶かしくも戯けた仕草。「……ね、早く、」色を深めた紅の瞳に彼をじっと捉えて、己の愛の証明に、彼の牙を密やかに誘う。)
>レンブラント( >1277 )
お返事の速度に関しては気にしないでちょうだい?恥ずかしいのだけれど、タイミング良く上がっているのを見ると嬉しくなっちゃって直ぐに筆を取ってしまう傾向があって……きっとこれからも直ぐにお返事しちゃう事があると思うけれど、急かしている訳じゃないって事だけ理解してもらえると嬉しいわ。
気が利かないでごめんなさい!確かにそうよね。私としてはどちらからでも問題は無いし、先にお姉さんの方でお願いできればと思うわ。出し直させていただいたから、お目通しお願いするわね。
蘭玲 ( >1047 )
指名:ヴィンス
提供との親密度:◆◆◆( 両想い )
>レナード( >1278 )
ヴァンパイア嫌いのお陰でな
( きっと周知の事実であろう事柄で簡易的な答え合わせを。屋敷にいる吸血鬼との関わりが無ければ、もっと言えば彼の昔馴染みである女性との約束を引き合いに出したはったりが通じなければあの場で命を落としていただろう事は想像に易い。故に皮肉混じりの声には特段の腹立たしさを感じる事はなく、紡ぎ出す声音はやや苦笑混じりのそれで。「 ちげェよ。少なからず目ェ掛けてたヤツ放ってオレを部屋まで連れてって良かったのかッつー話 」 遠目から見ても分かる上等なシルクのベッドシーツに飾り付けられた室内、何よりも食にうるさい目の前の彼が食事として選んだ事がそう考える理由で 「 ……直ぐに見放される最期とか、嫌だろ 」 落とす気の無かった言葉は小さな独り言。きっとあの人間は彼に情を抱いていたのだろう。命を落として直ぐに別の人間へと駆け寄られたら、想像の域を出ないたられば話だが自分がその立場であれば良い気はしないだろうと。死体の最期に感情移入し落としていた視線を持ち上げ、努めて普段と変わらぬ声色を装って 「 つか、元は全部人間だったとか笑えねェんだけど 」 目線を向けるのは窓の方。室内から見えるのは綺麗に咲き誇っている花弁の、それも一端ではあるものの先日彼に連れられて外へと出た為に全貌は記憶に新しい 「 ……死んでも消えねェのか 」 自然の摂理から外れた事実を理解する事は、摩訶不思議な力を何度か見ている身としては難しい事では無く。ぽつりと呟きを落として数秒、緩慢とした動作で視線を彼の方へと向け直し 「 オレだけだったら部屋戻ンのに時間掛かってたと思うから、礼は言っとく 」 再度呟くような小さな声で紡ぎ出すも、少なからず相手に届けようとはしているようで静かな室内であれば聞こえているはず。柄じゃない事は承知している為に生まれる気恥ずかしさから視線は僅かに逸らし )
>レオ(>>1279)
懐かしい?、…小せえ頃の事か?
(寝慣れたベッドはよく背に馴染み、心地良さに任せて瞼を下ろす。翼は背にしまい込み、ベッドの縁から垂らした太い尻尾の先端でべちべちと地面を軽く叩くのは特別な意図のない行為で。違う流れの時の中を歩む者同士、最早そう簡単には辿り着けない昔の記憶も短命な種たる彼らだからこそ懐古出来るのだろうか「 木彫りで色々作る奴が居たな。没頭してると気が紛れるんだとよ 」それが怪物の住人を指すのか過去の獲物を指すのかは定かではないが、要するに暇な時間をモノ作りに充てるのは賛成だと。それこそ暇潰しにと様々な怪物に会う内に食べられてしまってもおかしくないのだ、鱗は所詮強制力のないお守りに過ぎず全ては対峙する怪物のモラルや良識に懸かっているのだから「 …………あア、 」手元に返ってきた話題にはゆっくりと目を開け、気乗りしないと言いたげな生返事が明るい内容ではないことを物語る。がばっと上体を起こすことで隣に寝そべる貴方の視線を切り、そのまま胡座をかいて無骨な両手を腿に置き「 ……悪かった。俺はいつかお前を喰うが、それはあの夜じゃねえと思ってた。なのに…なのによ…… 」背を向けたまま、やや俯き加減に紡ぐ。自分自身の精神と肉体にも関わらず第三者に乗っ取られ制御出来なかったことが悔やまれるのか、屋敷の絶対的支配者たる黒薔薇に逆らえる怪物など居る筈もないのは自明の理だが竜の男臭いプライドはそんなものでは納得出来ず、情けない自分を恥じるように岩のような両の手をぎゅっと握り込んで)
>ニール(>>1280)
(直ぐ側で聴こえる筈の愛しい者の声がどこか酷く遠いところで木霊しているように思える。どんなに愛していたって、いやだからこそ相手を傷付けざるを得ない状況も存在する事を幾星霜の時を永らえた死神は初めて体感したのだろうか。気の遠くなるようなストレスは開いている筈の目と耳を一時的に機能停止させて、解像度の下がった現実は画面一枚隔てたような、干渉しようにも出来ない向こう側での出来事のよう。しかし名前を呼ばれた事で再び世界は色付く、他の誰でもない人の姿をした蛇の色彩で埋め尽くされてはハイライトを取り戻した瞳で彼のそれへと焦点を合わせ「 ……何があっても、……本当に…? 」無論貴方の愛へ疑いなど一片も無いが、そう聞き返したのはただ勇気が欲しい故。気が狂ってしまうほど脳髄を満たし続け、己の心を一部の隙もなく捕えてやまない存在に耐え難い苦痛を与え血を流させる勇気を求めてじっと見つめ、しかしいつも吟遊詩人のように淀みなく紡がれる台詞とは明らかに異なる、人から見た時の異形を彷彿させる不精巧に語られた五音が先の問い掛けの答えに思えて。啄むような口付けの後、ふ、と笑った刹那に相手の後頭部に手を添え手前に引き寄せ唇を奪う、情熱的なキスは穏やかで緩慢な死神には稀有なもの。数度角度を変えてからゆっくりと離れ「 愛してるよ、ニール 」おでこをくっつけて万感の想いを伝えて。空いた手で頬から顎下をなぞり僅かに上を向かせて、持たない筈の熱に浮かされたように「 舌、出して 」そう促し、もし彼がお願いを叶えてくれたのなら微かな音を立てて淡くそれに吸い付き舌先同士を緩く遊ばせ、ぐ、と後頭部の手に力を込めながら温かくぬるるとしたその先端を噛み千切らんとして)
>リリー(>>1281)
色々おおきに、早速イベントに引き継ぐわな。ええ夢見れますように…、リリー嬢もまたな。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.お互い苦手な生き物(掌サイズまで拡大・縮小される)を両手に乗せて頬擦りしないと出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅱ.どちらかが心底羞恥心を感じないと出られない部屋(制限時間:20min)
>Ⅲ.お互いにときめきを感じないと出られない部屋(制限時間:45min)
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>リーパー(>>1282)
……?お前は完食した後の空っぽの皿を可愛がるの?
(端的な回答は喰われる側からすれば憤慨や悲痛を禁じ得ないものだろうけれど、全く以って悪びれないのはあくまでもあの部屋の獲物は自分にとって熟成し食べ頃になるのを待っていた家畜に過ぎないため。昔馴染が聴けば叱るだろうか、それとも彼はそういう価値観だと諦めかぶりを振るだろうか。どちらにせよこのヴァンパイアには彼の言う“見放す”という表現はしっくり来ておらず怪訝そうに眉を顰め「 この俺に選ばれて、事切れる瞬間まで望んで血を捧げた。この屋敷では相当上等な最期だと思うけど 」自身としては、ながら食べをするでもなく真摯に一つの命を喰らい尽くす事で筋は通したと。個を認識されず、誰にも美味だと称賛されず有象無象に喰われる獲物もいる血生臭い黒薔薇屋敷の中、まるで捕食された後も大切にされるべきだと言いたげな口振りに「 …やっぱりお前は寂しがり屋 」抱いた感想を茶化すでもなくただ落として。「 誰かに喰われても忘れられたくなきゃ、そいつの部屋の窓辺に一等綺麗に咲くことだね 」お節介かつ恐らく狙って熟せる芸当ではないアドバイスは貴方が寂しがり屋ゆえに。救いのない屋敷ではそれ以外の道もあるけれど自ら口に出すことはせず、去ろうとした背にらしくない言葉が届けば足を止めて肩越しに振り返り「 …ただの気紛れだよ 」鼻から下はマントコートの襟で隠され、目許のみでベッドの上の彼を眺める眉間には平素から深く刻まれている溝は消えていて「 気紛れついでにもう少し居てあげようか? 」見えない口許にはきっとニヒルな微笑が緩く浮かんでいることだろう)
>ヴィンス( >1285 )
>Ⅲ.お互いにときめきを感じないと出られない部屋(制限時間:45min)
( 突如として暗転した視界はきっと平穏な日常に生きる人物であれば立ち眩みの類だと判断し、目を覚ました後に広がる景色が見た事もない空間であれば取り乱すのだろうが、何分己は裏の世界に生き一度は同じような出来事を経験した身。変に眠ってしまった時特有のズキリとした頭の痛みは感じるものの、焦りもしなければ落ち着いた様子で 「 ……何、ここ 」 辺りを見渡しても見えるのは一面の白。屋敷に拐かされた時と同じ何か不可視の力が働いた結果だろう、なんて予想を立てるのは簡単な事で面倒な事に巻き込まれたとばかりに溜息を一つ。見た限りでは窓や扉など外へと繋がり出入りが出来るようなものが無いだけで何の変哲もない部屋だが、危険がないと決まった訳ではない。その場に留まりつつも再度目を凝らすようにして部屋の中を注意深く観察していれば、先程目を覚ました時に気が付かなかった事が不思議な程の距離に見慣れた赤紫の髪を持つ想い人の姿が 「 ……ヴィンス? 」 恐る恐るといった声色は確実に彼だという保証が今のところ無いため。問い掛けに返答が有り彼だと確証が持て次第駆け寄り、冷たい頬へと両手を添え無事を確認するつもりで )
>レナード( >1286 )
まァ、アンタからすりゃそんなモンか
( 特段肯定的な返しを期待していた訳ではないためか落胆も憤慨も表層上に表すことはなく。この屋敷での人間の扱いは食用以外のそれで無い事は理解しているのだが、いざ最期を見てしまった際に人間側へと感情移入してしまうのは未だ人間らしい心を失っていない証拠か。鼓膜を揺さぶる声色は皮肉や揶揄いが含まれたそれで無い事を察すれば、何とでも言えとばかりにちらりと視線を向けるのみに留めるのは彼と対面する際にそんな一面を出している事の自覚があるから。「 ……ッハ、そんなコト出来りゃ良いがなァ 」 果たしてどれだけの徳を積み、どれだけ気に入られれば成せる技なのだろう。一笑に付したのは日陰に生きていた己には到底無理だろうと、そう判断しての事で。振り向いた彼からの思い掛け無い言葉に数度瞬きを繰り返すのは、口元が見えないせいで感情を上手く読み取れない事に加え、眉間の皺が解けているせいか平素より幾らか穏やかに見えるから。「 何のもてなしも出来ねェぜ? 」 くるり視線だけで見渡すのはこの屋敷に連れ去られて以降、手を加えた形跡すらも無い室内。時折通りかかる誰のかも分からない使い魔に頼めばお茶の準備くらいはしてくれるだろうが、生憎己も何かを腹に収める気分ではない。思い立ったようにベッドから降り、ゆっくりとした足取りで彼の元へと近付いて 「 それとも、オレが寝るまで見守っててくれるッてか? 」 普段の意地の悪さが残る笑みは鳴りを顰めた表情を浮かべ、伸ばした手は彼が拒む事が無ければ頬へと触れるだろうか。暫くした後ふっと短く息を吐き出し “ なんてな ” なんて声と共にひらと片手を振りつつ離れるつもりで )
>ラザロ(>1283)
ああ。まだ狩りの仕方を教わる前の事だ。
(問いに返す何気無い言葉に滲む追憶が、いつもより穏やかな香を印象付ける。「……あの頃は“頼むからじっとしてくれ”と、猟犬共々ハーゲンによく綱を括られていたな。」この姿と相違無い年の頃、一言一句全て覚えるほど聞き慣れたお咎めに付随する行為はきっと苦肉の策だったのだろうと、好奇の旺盛さで何度も解いてしまっていた手を今になって見詰め、ふっと柔く笑う。「ふむ、木彫りか……」得られた賛同へ喜ばしげに浮かれて、彼から転がり出た工作の代表に想いを馳せ、「…良いな。笛なら昔作った事がある。久方ぶりに挑んでみるとしよう。」かつて削り上げた小さなそれを、今の手でも余りある指尺で表しつつ、これからの楽しみを長閑に語る。――戻した話題に答える彼の声に些かの剣呑を感じ取ったか、とっとほんの一瞬僅かに跳ねた心臓に合わせて、己も身を起こす。……身ごと背いた表情は窺えない。だからせめて、彼の言葉を取り零すまいと息さえ潜めて、「……ああ。」途切れてしまった声に続けて、静かに相槌を打つ。彼の感情に否定も慰めも無く只寄り添い、その広い背に自らの背を預けて、「…私は“君”の獲物だ。私は君の命を繋ぐ為に居る。」まずは一つ、事実を。それから、「……しかし、あの夜のような喰われ方は、納得がいかない。」あの日、あの瞬間。感じた強烈な寂寥に陰る色で此方も俯いた後に。「――一つ、約束をしてくれ。」元の姿と同じ、規律正しい芯の通る凛とした声。体勢はそのまま、凭れた背越しに見上げた彼の顔を真っ直ぐ見詰めて、「いつかこの先、私を喰うその時――“いただきます”と。他でもない“君”の言葉で、私の目を見て、その一言を言ってほしい。」危険溢れるこの屋敷の中、未来など不確かで、約束など守りきれる保証も無くて、それでも、「君なら、出来るだろう?」祭りの夜を恥じ入る彼のその逞しい誇りにこそ、全幅の信頼を乗せて。詫びを受け取る代わり、他の何にも阻ませない互いだけの宣誓を結ばんと、そう朗々言の葉を紡いだ。)
>クォーヴ(>1284)
(己の拙い五文字と艶めく戯れ、そこに彼の微笑みが乗せられて、「――ん、」誘った唇が重なる一瞬、思わず声が洩れ出たのは、それが普段の彼から考えられない程の情火を伴っているものだったから。冷たい筈の唇が触れる度、まるで熱を移され火照る錯覚を味わいくらり揺れた頭の内、合わされた額に朧に蕩ける瞳がまた彼を映して。「……うん。」たった一言なのに、身体を擽ったく痺れさせるその想い。嗚呼、こんなにも貴方は“俺”を見詰めてくれる。だから応えて、応えさせて、愛の証跡を此処に――瞬きもしない貪婪で一途な紅の焔が、そう語る。……彼の促しに、躊躇いなど在る筈が無い。愛しい掌へ従順に上向き差し出す舌の先、そこに絡まる感触に背筋を甘く粟立てた一瞬、彼の牙を感じ取って。「…………、」細く息を吐く、彼の為に。全身ごと舌の力も抜いて、切り易いように。ぶつりと境界を鈍く貫くその時さえも、何もかも彼に委ねて。――脳を裂く稲妻のような痛み。喉が微かに蠢いて、額に仄かな汗が滲んで、それでも終わりまで彼の瞳を見詰めて、無抵抗に身を弛緩させる。そして、やがて彼によって己の一部が噛み切られた後、一にも二にも彼の名を呼ぼうとして、しかしそれは口腔をあっという間に満たした鉄の味が気管を塞いだ事で叶わず。ごぽり溺れたような音に続いて噎せ込む咳だけが、真っ赤な雫と共に口から零れ落ちる。それに煩わしげに身動いで顔を逸らし俯け、また溢れ滴る呼吸の弊害を床へと吐き出した次、しゅうっと通る蛇の如き鋭い吐息が生存を告げて。『クォーヴ、』不意に彼を呼んだのは声ではなくて、その胸元に滑らせた食指。向かい直した愛と執念にぎらつく瞳をにんまりと、身を侵す己が苦痛なんて気取らせないほどの法悦へ細めた後、『頑張ったね。』意志と同じく強い筆圧の指先で再び綴るは、想い人への甘い称賛。直後に彼の髪をわしゃわしゃと両手で思い切り撫で乱す仕草から、そこに子供を褒めるような悪戯さが含められているのも、願いを成し遂げた彼に受け取ってもらえるだろうか。)
>蘭玲(>>1287)
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>テーマ:お互いにときめきを感じないと出られない部屋
>制限時間:45min
>親密度:◆◆◆(両想い)
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(連れ去られる直前、何をしていたのかも思い出せない。視界を染め上げる黒い茨に何となくの察しはついて、何か面倒事に巻き込まれる予感にただただ面倒だと感じたことだけは記憶に新しく、床に仰向けに寝そべった姿勢にて意識の浮上とともにゆっくりと目を開けては仄暗い屋敷では見慣れない天井の白さに少し目を細めて。名を呼ばれれば、これまた緩慢な所作でそちらを見遣って「 ……蘭、 」寝起きでやや掠れた声でそう応えて。元来声を出すのも面倒な性分、呼名に対して目線だけで応答する事はあれど相手の名を呼び返す事などそうそう無い。それこそが怠惰な怪物にとって少女が特別な存在である何よりの証拠、起き上がりもしないまま頬を包む体温に喜怒哀楽の一切が抜け落ちたような表情こそ動かないものの自らの腹に乗せていた手の袖口から穏やかな橙色の花が咲き「 怪我、ない? 」今度は掠れぬ声でこちらもまず気にかけるのは愛しい人の安否。問い掛けの直後、寝そべる己の頭上辺りにパサリと黒い手紙が無の空間から転送されて。目線だけで少し上を向き、しかし特段危険な魔力の気配等を手紙から感じられなければ手を伸ばすのは面倒で、視線を彼女の顔へと戻してアイコンタクトにて内容の確認を任せたい旨を伝えて)
>リーパー(>>1288)
……出来た奴を知ってる。だから不可能じゃない
(まるで誰かの伝聞を跨いで話すような調子にて、確かに前例はあると。くるり、その場で踵を返せば上等な跫音が微かに一度だけ響いて「 お前も出来そうだけどね。寂しがり屋な上に欲張りだから 」隠すものの無くなった様相の全貌、口許に浮かんでいたのは微笑ではなく感情の読めない無の表情。ゆえに揶揄ではなくただ彼の本質をそう評価しているという本心だけがそこに在り、部屋を一巡する視線を追うようにインテリアを見渡して「 …ほんと殺風景。お前らしいけど 」シンプルな感想には僅かな哀れみを添え、しかし彼が自分の好きな物で部屋をいっぱいに飾ったりする姿が想像できず直ぐ様声から色は消失する。何より、代償を重んじる彼は気軽に何かを頼めないのかもしれないと想像すれば「 何か欲しいならリーシュに頼めば?喜んで世話焼いてくれるんじゃない 」既に絵画や剥製等、殺風景な部屋を装飾するものを創る約束をしているなんて思いもよらずにそう提案してから、頬に触れた体温を甘受して。普段なら気安く触れるなと払い除ける確率の方が高いだろうに、僅かに離れていった手首を目にも留まらぬ敏捷性にて淡く掴みこちらへ軽く引き寄せるようにして見つめ合い「 今夜の俺は気分がいいんだ。お前の間抜けな寝顔を拝んでから帰ってあげる 」ニ、と口角を僅かに上げれば純白の牙が月光を反射して)
>レオ(>>1289)
テメェにも腕白な頃があったってワケだ。何だよ、今は遠慮してンのか?
(落ち着いていて無駄な行動はしないように思える相手の幼少期を想像すれば、きっと子供は風の子を地で行くやんちゃ坊主だったのだろうと察しがついて軽く笑って。今はその頃と遜色ない姿だろうにそこまでお転婆に見えないのはきっと精神は実年齢のままだからだと察しはついているが揶揄うように語尾を上げて「 大工仕事で端材が出るんだ、気に入ったやつがありゃ持って帰っていいぜ 」どうやら乗り気な創作意欲をアシストするように自身がベンチを作った際の余った木材があることを思い出し、明日一緒に見に行くかと内心で予定を一つ追加して。背中に感じる今にも消えてしまいそうな儚い重みと確かな体温に握り込まれた両拳にはぐっと更に力が籠もり、元より自身以外に喰われてやる気はないと聴こえる言葉にわずかに瞠目して。腹を満たせれば何でも良いはずなのに、確かにあの夜貴方を喰らう気は最初から無かったし黒薔薇による悪戯にも腹の底から不本意だと感じた気持ちが脳に去来しては「 俺もだ 」と短く応えて。思いがけない約束の願いに此方からも首を捻って背後の彼を斜めに見下ろし「 ……。……おう、任せとけ 」僅かに含んだ間には一体どんな感情が動いたのだろうか。少し伏し目がちに沈黙した後さっと前を向いて数回浅く頷いてからそう答え、身体の向きを反転させては大きな手のひらで再度羊毛をわしゃりと撫でてそのまま脳天に手を置き「 この俺は、ドラゴンのラザロは一度立てた誓いは破らねえ。だからテメェも、その夜が来る前に俺以外の誰かに喰われねえように用心しろよ 」相手が子供の姿だからか、今は食指は伸びないし食欲もそそられない。けれど表面的な容姿ではなくたとえ縮んでいても変わらぬ精神性に約束を懸けて)
>ニール(>>1290)
(恋人同士の緩やかな戯れの先、脳にイメージしていたのは無慈悲な命狩りの鎌に似た鋭く研ぎ澄まされた断頭台。自らの歯列をギロチンに見立て、対象の首を余計な苦痛なく寸断する遠慮も躊躇いもない純粋な刃を――その試みが上手くいったかは分からないけれど、腔内に流れ込んできた生暖かい鮮血と舌の上でころり転がった小さな肉片が二人はやり遂げたのだと言葉なく語って。獲物を物理的に経口摂取することのない死神には血も肉も受け入れ難く、きっと愛しい愛しい彼のものでなければ一も二も無く吐き出していただろう。それなのに甘く舌の上を流れる美酒と同時に蕩けるショコラのように錯覚してしまうのだから、愛はきっと死神にとっては劇薬だ「 ニール、ニール 」それらを飲み下したのは死神にとって有り得ないこと。酩酊に殴られたようにも感じられる表情はきっと痛みに耐えてくれたであろう彼に呼応するような悲痛な面相にも見え、両頬を包む込んで何度も泣きそうな声で名を呼ぶ。飲み下し切れない血液が唇から垂れるのを視認しては「 ああ…、だめ、 」反射的に両手の先に魔力を集めようとしたのは早くその流血を止めて苦痛を和らげたかったから。しかし魔法の封じられたこの箱庭ではまるで折檻のように指先にビリと痛みが流れ「 ッ、あ 」と小さくそれに喘ぎ。出口はまだ開かないのか、周囲を見渡そうとした刹那に胸元に圧を感じれば一切の挙動を、呼吸すらも止めて「 ……っ、ニールこそだよ…ッ 」苛烈な程の妄愛は聖母マリアの無償の母性すら感じさせるほど純烈で清らかで、神を見たような心地にも似て泣き出しそうになるのを堪えながら髪が乱される感触にくしゃりと泣きそうに表情を歪めて。ふと、パキパキという音と共に壁の一部に空間が生じればその向こうには紛れもない愛しい人の自室の風景。今抱き締めればもっと血が出てしまうかも、そんな思いから今すぐにでもきつく抱擁したいのを我慢して「 行こう、ニール。早く血を止めなきゃ、はやく 」死神がこんなに焦る姿はきっと長年の付き合いたる屋敷の面々も見たことがないだろう、恥も外聞も忘れてただ貴方の命を守らんと双肩に手を添え支えるように出口の方へと進もうとして)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
>新規住人を1名追加/鬼♂
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:クォーヴ ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
◆ザカリー・アーバーン(>>93)
◆レオ(>>147)
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◆シャラメ(>>395)
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◇プリケル(>>559)
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◇蘭玲(>>1047)
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●レオ × ラザロ ⇒ 【 >>1293 】 ※日常イベント「九尾の神通力」発生中
●リーパー × レナード ⇒ 【 >>1292 】 ※日常イベント「怪物の証明」発生中
●蘭玲 × ヴィンス ⇒ 【 >>1291 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●ニール × クォーヴ ⇒ 【 >>1294 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>ラザロ(>1293)
(彼からの笑いに頷きかけたが、その前に連なった問いにそれが止まる。一瞬答えあぐねた様子だったものの、この短時間で何度も聞けば、対人に鈍い流石の狩人にも揶揄の色味は理解出来て。「…見た目がこうでも、中身まで変わった訳ではない。」けれどもその対応は経験不足。困惑か戸惑いか眉を垂らして八の字に寄せつつ、いつもの朗々さを声から欠いて目をさ迷わせ、「…解っていて訊いているだろう。」しかし先程よりは多少なりと言葉を返す。「本当か?では、幾つか頂こう。」正しく渡りに舟、ぱあっと輝く声に綻ぶ笑顔は明日への期待、そしてこれからの愉楽を一目に伝える。――ぶつかり合った互いの目線。探りも疑いもしない瞳で待ち、聞き終えたその答えに何とも嬉しそうに眦を柔らかく細めて、「ああ、勿論。」撫でるその掌を受け止める。そこからもう一つ、返された約束に躊躇い無く是を贈り、「君の為の私の命だ。他の誰にも渡さない。――君に誓おう、ラザロ。」自らの心臓に片手を置いて、凛と真摯に彼と彼の命へ契りを立てる。……この誓いがあるならば、彼にそう告げてもらえるのならば、“その夜”が何時来たとてきっと不服も未練も残らない。「…ありがとう、ラザロ。」その穏やかさに満ちる礼の言は、己でも何を対象とするかは知れず、だが心の底から湧く喜色に口から零さずにはいられなかったもの。ふっと吐いた安穏の息のついで、それまで感じていた緊張も解けたらしい、くあ、と大きな欠伸が溢れ出て。「……む。少し眠くなってきたな。」昔同然に情報量の多い五感の処理疲労、すっかり温まった身体、それに彼の存在と匂いの安心感。そのどれもが相俟っての相乗効果で誘発されたそれを呟きつつ、ほんのり重くなった瞼をむず痒そうに手の甲で擦ってはゆったり瞬きを繰り返す。)
>クォーヴ(>1294)
(愛しい声が呼ぶ名を聞きながら咳き込む合間、己は噛み切った直後の彼の喉元、“自分だったもの“が確かに嚥下された光景を思い返す。痛みばかりが刺々しく支配している思考へのその甘い毒、ぞわぞわ広がる得も言われぬ恍惚が苦痛を少し遠ざける。今にも泣きそうな彼の顔は、此方の所作と相俟って子供っぽくも見えて場違いに微笑みが零れてしまう。…不意に何かが罅割れるような、枝が壁を伝うような音に視線を上げる。壁に開いた空間の向こう、広がる見慣れた部屋に課題の達成を再認識する数秒の隙を突き、また喉を塞ぎかけた赤に噎せ背を僅かに丸めて。同時に巻き込み気味になった肩に彼の手、ちろり見上げれば言葉に違わない焦燥に染まった表情。珍しいそれに見入ったのも一瞬の事、促しに踏み出しそうになる脚をぐっと突っ張って逆らい――むにぃ、と伸ばした指先で彼の片頬を摘まんで引っ張る気の抜けた仕草を敢行。「ぅ、おーヴ、」それから今度こそ発した肉声は文字通りの舌足らず、溢れる雫も邪魔してもどかしい血濡れで、それでも彼の名を紡いでみせた。そして向かい合ったその胸元、人間であれば心臓の位置へ、『落ち着いて。』頬を離した食指が沈着と、力強くそう一言。……もっとも、失った血と侵す痛みの分だけ肚の奥底から煮え湧く生への欲動と、先の恍惚や戯れの艶熱が混ざってぎらぎらのぐちゃぐちゃ、普段は“お行儀悪い”と隠す獣の本能が剥き出しな深紅の瞳では、それに説得力など無いかもしれないが。『ねえ、』深く吐いた息でケダモノの唸りを灌いだ後、ふとまたにんまり口の端を悪戯に上げて指が告げるのは、『部屋まで抱っこしてくれる、ダーリン?』焦る彼とは正反対に呑気で、心配や危惧など露知らずといった、恋人にべったりと甘える要求。わざとらしく小聡明い言葉でそう綴り終わるや否や、彼の是非を聞く前に肩に両腕を巻き付ける。そのまま擦り寄った首筋や見上げた頬へ、未だ零れる紅に濡れる唇で擽るようにキスをして戯れつき、鮮やかな生命の色で象られた己の痕跡を彼へ幾つも残していく。)
>ヴィンス( >1291 )
( 返ってきたのはやや掠れているように聞こえるものの、普段と変わらぬ呼び名。それに緩く口角を持ち上げて笑みを見せる事で返答の代わりにして。表情筋は動く事がないものの、咲いた花が彼の心情を雄弁に語ってくれる事は知っているために特段感情が揺れ動く訳ではない。袖口に咲いた橙の花は視界の隅へと捉えながら 「 勿論、平気 」 同じように安否を気に掛けてくれる事が堪らなく愛おしく、頬を包んでいた手の親指で彼の目元を緩く撫でるように触れて。彼の頭上へと視線を向けるのは紙が落ちたような音が聞こえてきたから。こんな非日常的な空間でも流石と言うべきか、常と変わらぬ怠惰さを見せる様子に苦笑を浮かべつつも素直に黒い手紙へと手を伸ばすのは想い人たる彼に対しての信頼の証。寝転がったままの彼の隣へと座り封を開いて 「 制限時間45分以内に互いがときめきを感じられれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる…? 」 手紙の内容を読み上げるのは、きっと彼は目を通すことすら面倒臭がるだろうと思っての事 「 ときめきって……感じようと思って感じれるものじゃ無いでしょ… 」 呆れ半分の声色で呟くように落とし、手紙から視線を彼の方へと戻すと共に手に持つそれを彼も見れるようにと文面が書かれている方を向けて )
>レナード( >1292 )
本当に出来ンなら、レナードの部屋から見える場所に咲いてやんよ
( 表情に何の色も滲まない彼の反面、口角の片側だけを持ち上げて見せ。揶揄うつもりは無いのだろうが、他の誰かに出来たとて己にとってはたらればの話。かと言って死して尚誰かに個として認識してもらえる話を素直に聞き流す程欲が無い訳でもなければ考える素振りから見て取れるだろうか。そんな折に耳に入ってきた交流のあるヴァンパイアの名前にきょとんとした表情で 「 マリーシュカとはもう約束してんだけど 」 僅かに首を傾けるのは昔馴染の事を気に掛ける彼女の事だから、何かしらの形で話をしているものだという思い込みによるもの。伸ばした手がすんなりと頬に触れた事に対しても内心驚きがあったものの、表層上へとそれが顔を出す事はぐっと堪える事が出来たのだが、離れようとした途端に掴まれた手首に 「 は、 」予期せぬ出来事に漏れ出たのは間の抜けた声。思いもよらぬ方向へとかけられた力は僅かなものだが、ぐらりと傾く身体は咄嗟に反応出来る訳もなく彼の方へとバランスを崩れ。やや見上げるようになりながらも交わる視線の先に口角の持ち上がった笑みが見て取れれば僅かに瞠目して。彼の手を煩わせる事なく体勢を整えれば、無理に掴まれた手を振り解くような事もせずに視線だけを向け 「 ……調子狂う 」 ぼそり呟くのは恒と違う彼の様子から。おぶって自室に連れ帰ってくれたのも、先程の発言も。きっと本当に機嫌が良かったから、その一言に限るのだろうが特別扱いされるような、そんな擽ったさが何処となく居心地が悪く感じるのは長らくそんな感覚とは無縁だったから。「 部屋いるなら突っ立ったままじゃなくてどっか座れよ 」 振り解く事が出来ない程の力で掴まれている訳ではない手を解かないのは、触れられている事が嫌では無いから。彼の方から離されるまではきっとそのままの状態で )
>レオ(>>1296)
よォし、じゃあひとつ例題だ。暇持て余してるテメェの部屋に、会ったことねえ奴が来るとする。お行儀よくノックして、『自分はラザロの友人で、レオと話す許可も得ている』とよ。どうする?
(ここ最近ずっと胸の内を曇らせていた忸怩たる思いは小さな彼との約束にて昇華され、まるで父親が自らの小さな息子へクイズを出すかのような朗らかな調子で語り掛ける。胡座をかいたまま両肘をそれぞれ膝の上に乗せるようにして体勢は前のめりに、試すような眼差しながら口角は上がった状態にてこの屋敷における日常のワンシーンを例にと上げて回答を待ち「 俺を唸らせる答えを出せたら寝かせてやらァ 」多少パワハラ気質な発想にも勿論悪意はなく、子供特有の幾ばくか丸みを帯びたほっぺたをぽにょぽにょと数回柔く摘んで。自分はといえばそのまま最初の体勢にて一足先にベッドに横たわり「 俺が寝ちまう前に答えなきゃ、今夜は眠れなくなっちまうぜ 」意地悪な急かし方は特に目を掛けている獲物の反応を見たいがための稚拙な戯れ。ケラケラと楽しそうに笑いながら多少のタイムラグはあったものの相手につられてギザギザの牙を晒して大欠伸を零し)
>ニール(>>1297)
(帰還を阻む力にまだこれ以上何かあるのかと胸中で黒薔薇を恨めしく思いかけた寸でのところで、その根源が思いもよらぬ所から発せられていたと気付く。支配者の傍迷惑な悪意で満たされたこの空間に長居は無用と解っている筈なのに何故、そんな風に明らかな困惑を湛える眼差しにて覗き込むように相手の表情を伺い「 なあに…、? 」痛々しい音で紡がれた名に恐る恐るといった様子で応え、鎮静を促す言葉には息を詰まらせたような音だけを返してだったら早く此処から出ようよと言いたげに眉を下げて。何もこんな所でせずとも良いおねだりに困った表情のまま瞠目すること一秒、様相は崩さずしかしふっと穏やかに口許は笑って「 そうだね、頑張ったもんね 」暢気とも言える彼の行動の数々は黒薔薇の本当の恐ろしさを知らないからなのだろうか、否彼ならばそんなもの気にも掛けずに自分のやりたいように振る舞うのだろう。そんな貴方を好きになったのだから、可愛いお願いを却下するなんて有り得ない。此方から彼の肩へと手を回し、もう片方の手で相手の両膝の裏から抱え上げるようにして持ち上げ「 ……口の傷、治るまでキスはお預けにしようか 」いくつもの唇の痕から香る鉄にどう足掻いても深い傷を負わせてしまったのだと今夜何度目かの実感を抱き、出来るだけ振動を与えないよう注意を払って暗い道を進みながらそう提案を。勿論自分だってそんなの辛い、だから「 その代わり、口以外にはいつもの百倍キスさせてね 」ふ、と柔らかく微笑み真っ白な髪へと淡い口付けを落とす。そうして部屋に戻れば、背後で白い箱庭への通路はピシピシと音を立てて閉じてゆくだろう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。イベントへのご参加ありがとうございました。期間中は何度でもエントリー可能ですので、もし別テーマにもご興味ありましたら再度エントリーいただけると嬉しいです。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました 】
>蘭玲(>>1298)
(一先ず相手の安全を確認できれば今度は左耳の付け根あたりから又一つぽわりと薄橙の花が咲いて。楽しいお喋りが出来るわけでもないし気の利いた事を言うのが得意なわけでもない、おまけに表情筋の死んだ怠惰な怪物と来ている、そんな自分を慈しんでくれる体温には確かに胸のあたりが仄かに色づき熱を持つような心地を覚えて。謎の手紙の内容を読み上げてくれた事に内心で“流石、俺のことよくわかってる”と感じて。ときめき、あまりピンとこない言葉の強要に加えて剣呑な結末を一方的に提示する内容には面倒臭い以外の感想が出てこず、鎖骨の襟口辺りから灰色の小さな花がひょろひょろ数輪開く。続いた彼女の呆れたような呟きに同感するも声はおろか首肯の一つもなければきっと何を考えているのか全く伝わっていないだろう。やにわに下からゆっくりと片手を伸ばし、彼女の頬に添えればぐっと手前に引き寄せ、自らも腹筋の力で上体を持ち上げる事で冷たい唇を彼女のそれに不意打ちと重ね合わせ、やがて腹から力を抜きぽてっと頭を床に預け「 …感じた? 」ときめき、と視線だけで続きを綴ってはいつもの無表情にてじぃっと見つめて)
>リーパー(>>1299)
そしたら俺が直々に水をあげる。気が向いた時だけね
(永遠に枯れない黒薔薇に水遣りは不要だと察しの良い彼ならば気付いているのかもしれないが、テンポよく返したのは単に言葉の応酬に戯れを混ぜただけのこと。確実に叶えられない約束はしない、という彼の流儀に倣い自らも保険の一言を抜け目なく付け足して「 ……初耳。どういうつもりなんだか 」仏頂面に相応しいジットリした目つきは僅かに驚きに瞠られて、前夜だったかその一つ前だったかに会話をしたばかりの馴染からそんな話題が出なかった事に何だか胸がざわつくような心地を覚えて又むきゅっと眉間に皺を寄せ。気にかけてやれとは言ったが自分に内緒で馴染と彼が仲を深めるのは何だか気に食わない、次の食事候補たる彼を横から掻っ攫われるやもしれぬという可能性が浮上したのが面白くないのだろうか。不機嫌に傾きかけた心地も不意を突かれた彼のリアクションにて好ベクトルに持ち直し「 寝顔を見たら帰るんだから、座るなら此処でしょ 」あっけらかんとそう告げれば一応彼の個室であるにも関わらずつかつかと遠慮なしに歩みを進めて。その間も掴んだ手首は離すことなく彼を引っ張るようにして、慣性のままベッドに乗るようにと導けばそこで初めて解放し自身はベッドの縁へと腰掛けて「 そんなフラフラなんだから直ぐ寝付けるよね? 」プレッシャーを感じさせる気があるのかないのか、一瞥を向ければ枕をぽふと軽く叩いて)
>アビス(>>1300)
やあこんばんわ、はじめまして。僕は今夜の案内役のクォーヴ、お屋敷に興味を持ってくれてありがとうね。
グランギニョルの演者としてお屋敷に入るには準備が必要でね、トピック冒頭の案内記事からHPに飛んでもらってルールや世界観を確認の上ロルテストを含むプロフィールを書いてもらわないといけないんだ。誰も彼もが黒薔薇に選ばれて攫われてくるわけではないから、プロフィールを用意してもらっても必ずお屋敷に入れるってわけじゃない事は事前にお伝えしておくね。
それと…ルールにもある通りこのお屋敷では中~長文でのやり取りがメインになるのだけれど、その辺りは問題ないかな?平均して1レス500文字辺りが目安だから、もし短い文章でさくさくやり取りがしたい場合はお屋敷で暮らすのはオススメ出来なくて。…ああそれとね、此処では完也推奨だから、差し支えなければ次から君自身の口調でお返事をくれると助かるんだけど…いかがかな?
>ラザロ(>1301)
……ふむ、
(目を擦る手を下ろしたその矢先、誓いの時より少々ばかり距離の近付いた彼からの例題。七匹の仔ヤギさながらのその光景を思い浮かべては、瞬きと共にほんのり鈍い思考を回し始める。だが本格的に考え込むその前に、頬に受けた感触に不意を打たれて、むあ、と何とも情けない驚きの声が緩く上がる。しかし悪意害意の無い彼にはされるまま、「…中々難しい事を言うな。」冗談に追加された条件へ唸りを洩らして、顎を指先で押さえつつ頭を巡らせる。座った姿勢は正したまま、むっと微かに眉間に皺を寄せて悩む刹那、また届いた声に今度は口をもごつかせて眉を垂らす。「待ってくれ、それは困る。」答えを聞かせられない事にも、よもや眠れないかもしれない事にも焦って、笑う彼とは対照的に弱った様子で言葉を返した後。「……そうだな、まず不用意に扉を開かない事は第一だ。礼儀に則った行動しているからといって、安全な相手であるとも話が通じる相手であるとも限らない。」始めに出た答えは基本中の基本、そして先日話した怪物との出来事から、いやに実感を帯びた部分。「それから……私がラザロの獲物である事も、念の為伝えておくだろうか。」思考の迷いを示すように視線は彼方此方うろうろと、それでも誰彼構わずノックに応えていた頃よりは、警戒の情緒は随分育っているようで。「……言葉が嘘か本当か見抜ければ、それが最も良いのだろうがな。」膨らむ髪の根元に五指を掻き入れつつ、一番の悩み所をぽつり落とす。…人に関わってこなかった弊害。動物相手に感情や行動を読む術の方が長けている分、対人の交渉術や見識眼など皆無に等しい。「……“許可を得た”という証でもあれば、幾らかマシかもしれないが…」悩む内、熟考に慣れない頭へ段々舞い戻り始めた眠気に、思考は取っ散らかりだした様子、本題とはやや逸れた方向に考えが及んでいく。「たとえば合言葉、合図だとか…」茫洋とした言葉の途中で再びの大欠伸。続く言葉も霧散して、座りっ放しの頭はベッドに倒れ込まない寸ででぐらぐら、器用で豪快な舟を漕ぐ。)
>クォーヴ(>1302)
(脈打つ激痛も変わらず、流血も止まらず、けれども戯れる仕草は何処までも楽しげに。お互いすっかり己の赤色に染まる頃合い、甘い承諾の声と共に身体がふわり浮いて、肩にただ絡み回していた腕は支えへ変化する。部屋へと戻る道中、今は指で言葉を綴れない代わりに眉を寄せて頬を膨らせ、拗ねる表情を作って提案への不服を面相で語る。しかし髪に寄せられる口付けへいとも簡単と表情を弛めてみせれば、抱えられた身を緩く起こして彼と尚の事密着し、肩に顎を乗せる体勢でごろごろ喉を鳴らす猫に似た唸りを零してご機嫌と。……一人分の足音が暫し、出口の少し前。愛する番にちょっかいをかけられた蛇は、すっと彼の死角で密かに相貌を無色に落とし、瞳だけを縄張りを荒らされた獣のように赫々爛々光らせて向こうの箱庭を見据える。『…楽しかったねぇ?』開いた口から洩れるのは赤く湿った吐息のみ。その唇だけでこっそり質す先は、黒薔薇達の衆目。答えなんてあろう筈も無い静寂に構う事も無く、想い人に巻き付けた腕の力をぐっと強めて、『でも、いけないね。』――彼の苦悩も熱情も、骨身血肉、浮かべる表情一つに至るまで全て、そう何もかも、『クォーヴは俺のだよ。』誰にも見せない、渡さない。甘い言動や痕で散々示した猛毒の執着と独占欲を、声無き声でも確と明言する。それからふっと瞳を恍惚と優越に細めれば、愛執と慕う彼に喰われて欠けた舌をべっと見せ付けながら、閉じ行く箱庭の通路を見送った。)
***
いい夢をありがとねぇ。ちょっと気分が乗っちゃったから、最後の最後まで描写綴らせてもらっちゃった。 …ふふ。クォーヴのあんな可愛い所が見れるなんて、オレちゃんラッキーだったかも、なんて。たまにはこんな一時も楽しくていいね。
うん、それじゃあお次は狩人さんで…って言いたい所だけど。まだ本編でお話紡いでる真っ最中だからねぇ。そっちが落ち着いてからになるかなぁ。
とりあえず、レオのシートだけは置いていくね。
…ねぇクォーヴ。この素敵な夢が覚めたら、また真っ先に貴方に会いに行くから、それまで待っててね。じゃあ、また後でねぇ。
***
【イベント用シート】
PF:レオ(>147)
指名:レオニダス
親密度:◆◆◇
>レオ(>>1306)
ああ偉いぞ。だがよ相手は俺と同じ怪物だ、部屋の扉なんざいつでもブチ破れるし中には誰が誰の獲物だとか関係なく喰い散らかす奴もいるんだぜ
(人恋しさや退屈、或いは余り人の悪意に触れてこなかったのであろう彼の中で養われきっていない猜疑心、それらに正常な判断力を侵され易易と扉を開けてしまっては相手次第では一巻の終わり。いくら風前の灯火に等しいとはいえ防壁でもある扉を簡単に開けないというのは人間の身で出来る有効な対策と言える。きちんと分かっているようだな、と褒める意味合いで再度ほっぺたを柔く摘み「 だからよ、ちょっとでも嫌な感じがしたらすぐ俺を呼べ。そンで出来るだけ長く時間を稼げ 」鱗を経由すれば何処に居てもドラゴンへ声が届く。既に彼に伝えてある特性を活かせば有事の際でも用事をほっぽり出して駆けつける事が出来るだろうと。さて、そこで合言葉のアイデアが出れば「 ……成る程なァ 」思い至らなかったそれは確かに有効な手立てかもしれない。自らの顎を擦りながら感心したように呟き、しかし眠気が限界を迎えた様子に神妙な表情はふっと笑いに変わり「 やるじゃねえか、レオ。寝ていいぜ、この俺が許可してやる 」小さな額に無骨な手の平を添え、仰向けに寝かせるように軽くトンと押して。そのままベッドに倒れ込んだのならよく使い込まれていてドラゴンの匂いが染み付いたブランケットを彼の上にふんわりと被せ、自らも仰向けに瞼を下ろす。誰かと、更に言えば獲物と同じ寝台で眠るなんて変な心地がして少しの間困ったように左右へ寝返りを繰り返すが、そのうち聞こえてくるのは衣擦れの音ではなく怪獣の咆哮のような低く響く鼾。途中で少年に起こされない限り、ドラゴンは6時間ほどはたっぷりと熟睡するだろう)
>ニール(>>1307)
やあニール、…取り乱す所を見せちゃって恥ずかしいよ。一本通った芯の上で腹を括る君の事、かっこいい…いや、美しい…?、神々しい、みたいに感じたな。改めて、素敵な夢をありがとう。君の最後の言葉、きっと黒薔薇に届いているよ。…ふふ、嬉しかったな。また後でね、ニール。
もし>1306で本編の方は一区切りでよければ、このまま狩人くんの方のイベントに移る?判断は君にお任せするから、一先ずエントリーだけは受付けておくね。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.お互いに人生最大のトラウマを吐露し合わなければ出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅱ.母と子の役に分かれ、母は相手を甘やかし、子は心底甘えなければ出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅲ.お互いに相手の頬を全力でビンタしないと出られない部屋(制限時間:10min)
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>ヴィンス( >1303 )
( 手紙を読みえた後に咲いた恒と比べて色味の少ない花はきっとこの状況を面倒に思っている証拠だろう。小さく笑い声を漏らしていると伸びてきた彼のひんやりとした手が頬へと触れれば、何かを伝えたいのかとゆるりと首を傾げ。そのまま寄せられる顔に目を瞠り「 ときめいたって言うより、びっくりした… 」 突如として触れた冷たく柔らかな感触に数回瞬きを繰り返した後、緩く口角が持ち上がったのは彼から行動を起こしてくれた事が嬉しかったから 「 ね、一回でおしまい? 」 左側の首筋、耳の辺りに痕が残らない程度に柔く食むような口付けを落としおねだりをしてから、普段前髪で隠している左眼が見えるかも知れないものの真上から視線を交えるのは彼が拒絶をしない事を知っているから。そのおねだりが叶っても叶わなくても暫くはその状態のままを保った後 「 ほら、早く出る方法考えよう?こんな所で終わりたく無いもの 」 彼が立ち上がるのに力を貸すために片手を差し出して。身体を起こした際に宙に浮かぶ黒い砂時計の存在に気が付き 「 ねぇ、ヴィンス。あれ何? 」 尋ねるのはそれが制限時間だなんて事を理解するのを頭が拒んでいる為。すぅと目を細めて指差して )
>レナード( >1304 )
……本当に、ちょっとも聞いてねェの?
( 彼の様子を見るにきっと初めて聞いたのだろう事は伝わってくるものの、昔馴染に悪いからと誘いが無い限り己の部屋を訪れないと譲らなかった彼女が伝え忘れてたなんて事も考え辛く。彼の眉間による皺を見るに口にするべきでは無かったかと僅かな後悔を。ベッドの元へと辿り着くまで掴まれたままの手首が痛む事が無かったのは、彼が加減をしてくれていたからだろうか。「 どーだろうなァ 」 勢いのままぼすり、とベッドに倒れ込むように乗り上げ体制を変えて彼の方へと視線を向け。人の気配のする室内で眠るのはいつ振りの事だろうか。それに加え長らく人の気配に敏感に、ある程度の警戒心を持って過ごしてきた自覚もあるが果たして。いそいそとシーツに包まり寝転がる体制は横を向いて身体を丸めるようにした、まるで胎児のようなそれ。そんな状態でにぃと口端を持ち上げ、普段のような意地の悪い笑みを浮かべたところで大した虚勢にもならず。 「 寝るまで居るつッたのはレナードなんだから、ちゃんとそこに居ろよなァ 」 普段よりもやや間の伸びたような物言いは傍に居るのが彼ゆえの安心感からだろうか。伸ばした片手で緩くマントコートの端を持ち、くいくいと彼に伝わるか伝わらないかの力加減で遊ぶこと暫く。ふと先程己が喰われかけた相手の事を思い出し 「 あぁ、そうだ…また今度聞きてェコトが…… 」 最後まで言葉を紡ぎ出す事なく語尾が虚空へと消えていったのは意識が半分夢の世界へと誘われ始めたから。多量に血液を失った事に加え地下でも頭を働かせる時間が多かったためか限界を迎えつつあるらしく、落ちてくる瞼に抗っていられるのも時間の問題だろう )
>1308、>1309(>ラザロ、>クォーヴ)
……んふふ。そう見えた?オレちゃん、これでも血の一滴だって好きな人の事を盗られまいと必死だったんだよ。…まあ、想い合ってる姿をたっぷり見せびらかすチャンスだとも思ってたけど。何にしても喜んでもらえたなら、オレちゃんもすごぉく嬉しいなぁ。
うん、それじゃあお言葉に甘えてこのままレオの夢に行っちゃおうかなぁ。…きっと二人の夢も楽しいものになるだろうねぇ。……ふふ。じゃあ皆、また良い夢を。
***
>Ⅱ.母と子の役に分かれ、母は相手を甘やかし、子は心底甘えなければ出られない部屋(制限時間:30min)
(気が付くと、真っ白な場所に立っていた。冬山の昼より眩しい視界に一度固く目を瞑り、再び開けるが色に変わりは無い。「……此処は、」把握出来ない状況を飲み込むべく、直前の記憶を反芻する。……確か湯上がりの軽装で、ベッド縁に座った所だった。そこに突如と現れた夥しい茨が、視界をあっという間に埋め尽くした後意識は落ちて、そのまま――「……なるほど。」この場の事も不可思議な現象も何一つ理解はしきれていないが、兎も角遭難同然に異常事態である事は直感的に飲み込めた。であれば、まず己の状態と場所の確認から。「ふむ、」怪我、痛み共に無し。頭が少々ぼんやりしている程度だろうか。服はいつの間に着たのかいつもの重装備、それと項の括り髪。「……うん、」身体に問題無しと判断し、続けてはこの空間の危険を探りじっくりと視線を回して――見付けた姿にぱちり瞬く。「……レオニダス?」問うように呼びはしたが、見間違えようも無い獅子の彼。「君も此処に来ていたのか。」友人の姿にふっと一瞬頬を弛めたのも束の間、直ぐ様この状況下に気を締め直し、「…君は無事か?」他に誰も居ない、何が起こるか解らぬ空間、互いが逸れるリスクを避けるべく彼に歩み寄りながら、真っ先に彼の安否を正面きって問い掛ける。)
>蘭玲(>>1310)
……残念
(精一杯の不意打ちは愛しい人をときめかせること能わず、抑揚のない呟きをひとつ。普段からこういった愛情表現が決して多くはないから驚きの方が優勢だったのだろうか、なんて考えてしまえば髪に混じるようにややくすんだ青色の花がぽつりと咲いて「 足りない。けど、疲れた 」きっぱり不足を告げるのは少女が唯一四六時中触れていたいし触れられていたいと思う存在だから。首と耳元に感じる柔らかさに喜びを意味する淡いイエローの花がぽつぽつと小さくも多数に花開き、しかし男らしい分厚い逞しさとは無縁の痩躯はほんの僅かな時を腹筋にて体重を支えるだけで音を上げ身体そのものは微動だにさせず「 ……蘭が俺にときめいたこと、ある? 」立ち上がるのは至極大儀だけれど差し出された手を放ったらかしにするほど冷血なわけではない。ゆぅっくりとした動きで手首あたりを淡く掴みながら下から見上げるようにして問いかけるのは、怪物なりに突破口を見出そうとしているから「 ……黒いのが全部落ちたら、……。 」黒薔薇の佞悪な質の魔力をぷんぷんと漂わせる砂時計に、表情こそ不変だが先程のものよりずっと暗く濁ったトーンの灰色がひっそりと咲く。途中で言葉を切ったのは聡い彼女ならそれ以上言わずとも理解すると信じての事、一夜のお遊びにしては度が過ぎる内容へ想い人を巻き込まれた事にうなじ辺りに重く静かな怒りを湛える深紅の花が開いて)
>リーパー(>>1311)
……お前の事、“眩しい子ね”って。ただそれだけ
(彼との邂逅が話題に上がった事は確か。想起されるのは慈しみ可愛がる獲物に向ける柔らかな微笑みとは少し意味合いの異なる、落ち着き払った魔性の女の微笑――あの時はまた要領を得ない事を、とまともに取り合わなかったその評価に何か含みがあるのやもと感じ、ついと窓辺へ視線を逸らし「 …猫みたい 」僅かにコートの裾に引力を感じて目線を戻せば、四肢を投げ出すではなく小さく丸まる姿が怪物には赤子ではなく小さな動物に思えて。奇しくも幽閉された不完全な怪物と同じものに彼を例えているなんて知る由もなく、羽根玩具に戯れる猫を自由に遊ばせてやるような心地で拒否は示さずに。質問を受け止めようと“ん?”淡く返答をするがついぞ続きは紡がれないまま。睡魔に水を差すことをせず入眠するまで声はおろか身動きすら封じて待つこと数分、もし寝息が聞こえてきたのならシーツ越しに彼の胸――心臓あたりに手を翳して魔力を集約してゆく。ほんのりと光を放つ暖色の魔力は全身に血液を送り出すポンプに何らかの作用を与え、きっと造血の手助けをしてくれることだろう。果たしてそれも気紛れの内かそれとも生来持つ気性か、祝福を終えたヴァンパイアはそっと音を立てないように立ち上がり何かしらの方法で呼び止められなければそのまま霧と化して部屋を後にするだろう)
>レオ(>>1312)
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>テーマ:母と子の役に分かれ、母は相手を甘やかし、子は心底甘えなければ出られない部屋
>制限時間:30min
>親密度:◆◆◇
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(孤独に甘んじたがゆえに享受できる静寂を嗜んでいるさなか、虚空より生じた黒い茨に包囲されてゆく状況に特段狼狽はなく「 ……まだ遊び足りんのかね 」返答を期待しない問い掛けを落としてから手にしていた書物をパタリと閉じる。意識を刈り取られる直前、女とも男とも、老人とも幼子ともつかない高い笑い声が囁くように聞こえた気がして――再び覚醒すれば、そこは見たこともない場所。一見して何の変哲も無い無害な空間に思えるが果たして、まるで子供の遊びに渋々付き合わされた大人のように目を伏せ溜息をすれば名を呼ばれた事に驚いたようにぱちりと瞼を上げてそちらを見遣り「 …………私だけかと思っていたが 」よもや君まで黒薔薇の悪意に攫われていたとは。余計な不安を与えないよう後半は胸中に留め「 私は五体満足だ。君も息災の様で何より 」堂々たる姿で幼子の胴体ほどもある太く硬い腕を組みながら僅かに獣の面相を微笑の形に緩めて。パサリ、腕の上に落ちてきた黒い手紙に視線をそちらへ移し、内容を検め読み上げようと口を開き「 …【 制限時間30分以内に母と子の役に分かれ、母は相手を甘やかし、子が心底甘えれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】。……ごっこ遊びに興じろ、という事かね 」憂いを帯びた問い掛けに回答の代わりに出現したのは黒い砂時計。ゆっくりと流れ落ちるそれを数秒眺めてから彼を見つめて「 聡い君の事だ、これが児戯や脅しの類でないと肌で感じているだろう。さて、どちらがよいかね 」母か子か、一方的に選択を迫るというよりかは相談のような柔らかさで先ずは意見を伺って)
>レオニダス(>1315)
そうか、良かった。
(友人の無事を確かめて、ほっと胸を撫で下ろす。続けて彼からの安堵にも頷いた直後、組まれたその腕に手紙が一通。「母、」窺った内容から困惑したような声が落ちて、表情もぐっと眉の寄った渋い色に変わる。次いで視線を移した砂時計、宙にある事を除けば何の変哲も無いものだが、「……っ、」ぞわ、と首元がざわめく得体の知れない何かをそこに感じて、思わず身構える。「……ああ。」離せなくなった目を引き戻したのは友の声。――彼の言う通り、只の悪戯ではない。従わなければ、間違いなく此処で幕が下ろされると、そう野性じみた勘が告げている。「そう、だな……」それでも相談の最中に些か当惑の兆しを見せていたのは、「…“母”というものには縁が無かったからな…」今一つと想像に至れないその単語故。記憶を端から端まで引っくり返したとて、一番近しい者は育ての老翁。それ以外は精々動物達の生き様か、用事を済ませに下りた麓町でちらと見掛けた母子程度。むむ、と顎を指先で擦って至極真剣に僅かな時間を悩んだ後、「……私が子の役をやろう。」“母”にも“甘やかす”事にも、その概念を正しく理解出来ていない以上、その役に己が填まるとは思えず。消去法に近い形で、しかし潔く迷いを消して彼を見上げて宣言し、「母役を頼めるか?」甘やかし甘える題目には不釣り合いに背筋の伸びた物言いで彼に問いを返した。)
>ヴィンス( >1313)
( 差し出した手に触れるひやりとした感触はお世辞にも立ち上がるための力が篭っているとは言い難いもので “ もう ” だなんて言葉と共に少し困ったような表情を。尋ねられた事に対してはどう答えたものかと暫く思案をするも「 逆に聞くけど、ヴィンスは私がときめかない相手に好意を告げるとでも? 」 質問を質問で返すのは狡いと頭では思いつつも、至極真面目な表情で。彼に対してときめく事が無い訳ではない。ただ、それを昇華した先の “ 愛おしい ” そう感じる事が多いのもまた事実。もしそこを指摘されようものならゆるりとした笑みを浮かべて誤魔化そうとするはずで。指差した先の砂時計、どうやら彼も己と同じ考えをしているようで途切れた言葉の先も容易に想像ができる。けれども大して焦りもせず落ち着いた様子を見せるのは、この閉じ込められた空間に共にいるのが彼であるから。ちらりと見えた真紅の花は真正面からその全貌が見えないのは背面に咲いているからだろうか。片手を伸ばし、人差し指の背で頬の辺りをするりと撫で 「 ……ヴィンスと一緒に閉じ込められたのが私で良かったって思ってるんだからね 」 同様の条件が付された部屋に彼と共に入れられたのが他の人間だったら。そう考えるだけでモヤモヤとしたものが胸の中に生まれる程度には彼に入れ込み執着しているらしい。僅かに浮かべた難しい表情は直ぐに柔らかな笑みへと変わって )
>レナード( >1314 )
( 彼女の己に対する評価に首を傾げたのは、そう判断をされる程の事を話した記憶が無いため。自分は欲張りだ、と。そんな話をしたつもりだったのだが、存外高評価を与えられていた事に引き結んだはずの口は緩い弓形を描き 「 ……ふぅん 」 ぽそりと呟くようにして出てきた声は僅かな喜色を孕んでいるように聞こえるだろうか。 「 …ソレ、ギレルモにも言われたなァ 」 微睡んでいる最中、耳に届いた動物の名にくはりと小さく息を吐き出すような笑い声を漏らし。彼からの返答は夢の中へと誘われ始めた己には届いておらず、然程時間をかける事なく穏やかな寝息を立て始めるはずで。何処か暖かな心地を胸の辺りに感じたのが夢か現かの判断は付かず、もしかしたら小さな寝言を溢しただろうか。けれども瞼を持ち上げる事が無かったのはそれが己を害する物だとは思わなかったため。いつの間にか深く夢の世界へと潜り込んでいたらしく、彼が音を立てずに部屋を去っていく事に気付く事すら無く疲労が溜まっていた事もあるのだろうが普段であれば2時間ほどで目が醒めるところを確りと8時間程の睡眠の後覚醒すれば、昨日よりも体内を巡る血液が増えている事に気が付き首を傾げる事になるだろう )
****
こんなトコだろッてコトで邪魔すンなァ。
普段より優しさのあるレナードで調子狂っちまった部分もあるが、得られるモンもあったし普段とは違う一夜をありがとうなァ。本人に言や嫌な顔されンだろうが、レナードって案外面倒見良いよな。
次は俳優野郎に場を譲るつもりにしてンだが、期間が決まってるッてのもあるしイベントが終わるまではソッチに集中させて貰おうと思ってる。月を跨ぐか、一段落つき次第先に相談させて貰ってた流れで俳優野郎の方の相手を頼む……が、彼奴の出番が長く続くッてのもあるし途中途中で他の奴の相手を頼む事も有るかもしんねェとだけ伝えとくな。
>レオ(>>1316)
……奇遇だね。私にも母は居ない
(古には神として崇められた身、気付いた時から完成された存在であったために母は愚か育ての親と呼べる者すら該当する存在は皆無。しかしそれに優越も負い目も感じておらず当たり前の事と受け止めているゆえに低い吐息混じりの笑い声と共に一度目を伏せて「 しかし民草に交じる母親達の姿には見覚えがある。尤も、果てしない過去の事だが……出来る限り記憶を辿ってみようではないか 」再度開いた獣の眼光で遠く見つめるのは懐かしく輝かしい追憶。幾星霜の時が経った今、朧気に霞んで消えてしまいそうなそれらを拾い上げる努力を心に決めて遠回しに是を返し「 では。…私の膝においで、レオ 」ゴホン、低い咳払いの後。壁を背にどっかりと床へ座り込む姿勢は女性らしさとは無縁の胡座座りで、逞しい両腕を広げては不思議と照れや躊躇いの色は皆無の優しい眼差しを送り穏やかに呼び掛け)
>蘭玲(>>1317)
……そういうことじゃなくて。今まで何にときめいたかが分かれば、今ときめくためのヒントになるかもでしょ
(訊き方が悪かった、と至極小さな振り幅にて一、二度かぶりを振って。質問の趣旨はこれまでの実績からこの状況を打開する策を練ることで、言い出しっぺの自分が例を挙げれば伝わってくれるだろうと無言にて記憶を探り「 ……いや、うん、……いつでも可愛かったなあ 」具体的なエピソードよりも次々と浮かび上がってくるのは様々な彼女の表情。笑っている時、怒っている時、困っている時――存外と種類の多いそれらに表情こそ動かないものの愛おしい者しか目にすることの叶わない桃色の花がぽわりと右のこめかみ辺りに開いて。彼女と同様に緊張感のない様子でのそのそと姿勢を変え、壁を背凭れ代わりにしながら両膝を立てて座るような体勢を取り「 …きて、蘭 」下から両腕を伸ばす様は子供がハグを求める姿を彷彿させるだろうか。願い通り彼女が自らの腕に収まってくれたのなら「 今の、可愛かった 」抱き締めた先、耳元に口を寄せてそう呟いて腕にきゅっと力を込め直し、そのまま耳朶へと淡いキスを贈ろう)
>リーパー(>>1318)
案内役の僕からお返事をさせてもらうね。素敵な締めをありがとう、目覚めた時の君が元気ならレナードもきっと満足するんじゃないかな。そうだね…彼は態度は刺々しいけれど根っからの悪人ってわけじゃないと僕も思うよ。尤も、誰も彼もに優しくするような子じゃあないけれどね。ふふ。
期間限定の明晰夢を見られる間はそちらに専念、その先は俳優の彼にお会い出来るということで了解だよ。表舞台に出てくる順番や頻度は君たちにお任せするから、前もって相談をいただいてた順番から乖離するのも問題ないからね。それじゃあ、次に会える夜を楽しみにしているよ。
>レオニダス(>1319)
む、そうだったか。
(彼から返ってきた同調、穏やかなそれに此方も気に留める事の無い相槌を一つ。「…うむ、有り難い。私も出来得る限り協力しよう。」それから得た承諾の温かさに釣られたように、この場に来てから張り巡らせていた緊張もほんの僅か弛み、ふっと微笑みに表情と言葉を崩す。――彼の咳払いの後。招きに頷きしゃがみ込み、次いで彼の胡座の上、少しばかり右寄りの上腿へと座る。軽く膝を立てて揃えた自らの両脚は、反対側の彼の膝へ控え目に沿わせ、彼を窺うべく動かした頭の後ろは必然、その逞しい肩の辺りにふわり寄せられる――が、己が身の重さを預けるに至ってはおらず、動きにも些かの固さも残っている。しかしそれは遠慮や恥じらいといった類いではなく、あまりに慣れていない所作の為、そして“甘える”という行動を記憶から引き出せずにいる為のぎこちなさ。「……こう、で合っているか?」少し見上げる形になった視線もそれは同じ、ゆらゆら迷いの色を覗かせて。嘘の貼れない相貌は眉が戸惑いに垂れ、是非を問う声音さえそれらと一分違わず仄かに曇り籠っていた。)
>ヴィンス( >1320 )
( 彼が聞きたかった事が伝わっていない訳ではない。あの質問の意図が部屋を出るために必要な事も理解はしているのだが、素直にそれを口にするのが気恥ずかしい。まるで理解をしていないような、きょとんとした表情を浮かべつつも口元は緩い弧を描いたまま首を傾げ待っていれば耳に届いたのは思い掛け無い言葉。可愛い?誰が?なんて疑問はこめかみに咲く桃の花を目にした途端に理解し、ぶわりと顔に熱が集まるのが分かる。顔を隠そうにもそう出来るだけの物は限られている室内、壁にもたれ座した状態で広げられた彼の腕の中にこれ幸いと収まり、猫が甘える時のようにすりと頭を擦り寄せて。いつだって己の心臓を煩くさせるのはお喋りな方では無い彼の率直過ぎる程の言葉だという事はきっと彼は気が付いていないのだろう 「 ……そういうところだよ。私がヴィンスにときめくの 」 身体が密着している今、普段よりも早鐘を打つ鼓動は彼にも伝わっているだろう。緩みきっているだろう表情を見られないように肩へ額を預けるようにして顔を隠すこと、時間にして数十秒程。ふと持ち上げた顔には僅かに赤らみが残っているだろうか 「 私は言ったんだから、ヴィンスも私にときめく事教えてよ 」 腕は首に緩く回した状態のまま、僅かに上体を離して視線を交え。彼が答えるまでこのままの状態でいるつもりで )
>レオ(>>1322)
……上手だ、レオ
(もし逆の立場であれば、無遠慮に彼の膝に乗り猫宜しく喉を鳴らして擦り寄れただろうか。否、そんな自分の姿は想像できないからこそ自らの打った布石に応えようと歩み寄ってくれた友人に空気を擽るような低くも柔らかい笑いを数度淡く零して、正解を見定められていない故の不安感を拭うようにすべてを肯定する穏やかな声色にて回答し「 力を抜きなさい。そうだな…揺り籠を見た事はあるかね。今の私は君を守り安寧の眠りに導く揺り籠だと想像してご覧 」しっかりと視線を受け止めながら、肘を内側に曲げることで彼の頭部を軽く抱え込むようにして。たとえこの部屋の天井が崩れ床が陥落しようとも、この獅子の腕の中に収まる限りは必ず安全が保証されるのだと。そう思わせるほど逞しくしっかりと彼の身体をホールドする肉体は筋骨隆々としていて女性特有の軟さは持ち合わせていないものの、話し声と囁き声の中間のような静かな語り口は子を寝かしつける母親の嫋やかさを孕んでいるだろうか「 或いは、獣の母親が子を慈しみ毛繕いをする場面を。その時、子の獣は全身の筋肉をどうしていたかね?果たして今のレオのように緊張させていただろうか 」より彼のバックボーンから想像しやすいであろう例え話を選びながら頭を支える腕の柔らかな肉球にて、ぽに、ぽにと数回柔らかな羊毛を撫でて)
>蘭玲(>>1323)
…蘭、ときめいた?
(照れている顔もしっかりと目に焼き付けたいのに、彼女はいつも隠してしまう。無理やり此方を向かせようとも、日々の不摂生が祟って大した魔法も使えない自分の痩せた腕では裏社会を駆け抜けてきた彼女にそう簡単に膂力で敵うとは思えない。紅潮した表情を見られないのは口惜しいけれど、代わりに少しの意地悪で分かりきった問い掛けを上から落として、ようやく正対した視線にいつもより血色の良い肌を見受ければそれが回答とばかりに「 ……嬉しい 」いつもより少し柔らかくなった声色と共に、薄桃の小さな花が鎖骨あたりにいくつかぽわぽわと咲いて。「 ……蘭は、つよいから。だから、たまに俺に甘えてくれるとき、ここがぐってなる 」記憶を辿るように一度ゆっくり視線を明後日の方向へ向けて、話し始めると同時にまたゆっくりと戻したそれは言い終わる頃には完全に彼女の片方の瞳と合致して。それは例えば“寂しい”だとか“今夜はずっと一緒に居て”だとか、今までの思い出の中で彼女がそう言ったかどうかは別としてきっとそんな台詞のことを指すのだろう、抱き締めた腕の片方にて自身の胸元あたりのセーターを淡く握り込み「 甘えられるって、面倒だと思ってたけど。…蘭にそうされると、嬉しい 」表情が能面でも、声が平坦でも、紡がれる言葉はすべて本心。胸元から離れた手は彼女の頬に伸ばされ、普段髪で隠している方を恐れることなくすり、と撫でて)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
→ ◆◇ 7/31までエントリー受付中、ご新規様の滑り込み参加も大歓迎です! ◇◆
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>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:マリーシュカ ]
▼ 提供一覧 ▼
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▼ 世界観・ルール ▼
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◆ルシアン(>>19)
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◆レオ(>>147)
◆ニール・グレイ(>>244)
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◇プリケル(>>559)
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◇リリー・フリント(>>1041)
◇蘭玲(>>1047)
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●レオ × レオニダス ⇒ 【 >>1324 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●蘭玲 × ヴィンス ⇒ 【 >>1325 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>レオニダス(>1324)
……そうか。
(彼の微笑みが迷いの色を打ち消し、表情がふっと和らぐ。「揺り籠……」それから言い聞かせられる言葉通り少しずつ身の力を弛めれば、緩やかに頭は腕の内へと包まれすっかり彼を見上げる体勢へと。己を確と支える頑強な腕、そして春の夜風を思わせる静謐の声が、“この内は安全だ”と意識の奥に刷り込んでいくような、何とも言えぬ感覚に身の内を擽られる思いでもぞもぞと身動ぐ。……落ち着くようで、落ち着かない。再度思考に去来する悩みを払うは、またも彼の例え話。「……そう、だな、」思い浮かべるは狼、或いは山猫。その親に慈しまれる獣の子供達。それらは確か、「…もっと母親に任せきりで、身を擦り寄せていた。」問い掛けへの答え。しかしそれは自分自身に標を示す呟きでもある。――話す間に、自ら落とした言葉が単純な思考に沁みて強張りをじわじわと解く。預けきった頭に触れる柔らかさもそれを手助け、僅かに浅かった息は肺の底から吐き出されて、「……うん、」安堵に目を伏せる。掘り起こした山を生きるもの達の仕草を真似て、彼の身へと頬を擦り寄せてそのまま凭れていけば、冷たい筈の肌から温もりを感じる気がして。「……レオニダス、」それでも理性なのか本能なのか、外界への注意を何処か外れきれない箍。それに一瞬ばかり眉を寄せた後、静かに彼を呼ぶ。「もう少し、撫でてくれるか。」甘える態勢は一先ず出来上がっている。しかし“心底”というにはまだ足りない。その深みへ沈む助力を求めて、過去一度も口にした事の無いような、自分自身さえ違和のあるらしくもない台詞での願いを、綻びかけた伏し目のままに告げる。)
>ヴィンス( >1325 )
( 告げられた内容に驚いたように瞬きを繰り返すのは、きっと彼はそうされる事が苦手なのだと思っていたから。それに加え、生い立ち故に他者へと甘える機会が少なかった事もあり、きっと今迄に “ 寂しい ” だ何だと口にする事もあったかも知れないが全て無意識のうちの事。普段見苦しいからと髪で隠す左側に触れる手の上に己のものを重ね、軽く頬擦りをするように寄り添いながら向ける瞳は逸らす事は無いもののゆらりと揺れ 「 …甘えたらきっと際限無くなるよ 」 常よりも小さな声で紡ぎ出したものではあるも、触れ合う距離にいる彼の耳にはしっかりと届いている事だろう「 ねぇ、ヴィンス 」 床に座る彼と膝立ちしてその腕の中に居る己、普段から高いハイヒールを履いている事もあり身長差など無いに等しいものの今の体勢ならばぺたりと座り込めば上目遣いに見上げる事が出来るだろうかと床に座し 「 ……この部屋を出ても、今日は一緒に居て欲しい 」 一呼吸置いて紡ぐのは今の精一杯の甘え。この部屋に対して恐怖心を抱いた訳では無いが、手紙の中で喉につかえたような感覚が外れる事の無いのは最後の一文。きっとこの先彼と離れざるを得ない未来からはどう頑張っても逃れられない事は理解しているものの、今はそれがどうしようも無く寂しく感じて 「 ……だめ? 」 念押しとばかりに首を傾げてみせて )
>レオ(>>1327)
……よい子だ、レオ。それでいい
(徐々に弛緩してゆく温かな肉体に、こちらもゆったりとリラックスするように深く息を吐いては呼吸のリズムをよりスローテンポに律して動かしていないもう片方の腕にて彼の足に触れ、とん、とんと淡くさするようにごく弱い力で叩いて「 何かね、 」名を呼ばれれば、流石にこの始まったばかりのロールプレイで母とは呼べぬかと内心で一人納得しながら穏やかな猛獣の双眸にて見上げる視線を捕まえて。伏し目がちに降ろされたそれを逸らすことなく見つめながら「 ああ、喜んで 」柔らかい肉球を備えた大きな手のひらで何度も頭をゆっくり大きなストライドで撫で、そうしている内にただ母の真似事をしているつもりだった自分にも芽生えたものがあったらしく気付けば無意識に冷たい猫の舌でザリ、と彼の頬を慈しむように舐め上げていて「 …! 」肌と肉を裂き骨を砕く、そんな捕食方法を持っている怪物に舐められたとあれば味見と受け取られても仕方がない、それを理解しているからこそ舌に伝わった確かな旨味にハッと瞠目して「 済まない、他意は無いのだ。ただ君が…余りに小さく温かく守ってやらねばと、それで。……慣れない事はいかんな、…台無しにして申し訳ない 」相手が同胞たるドラゴンの獲物だということは重々承知している、親しき間柄にきちんとそれが伝わってくれていると信じて真摯に謝罪を。自分でも無意識の行動ゆえ理路整然とした説明には至らず、不甲斐なさに忸怩たる思いで足を愛でていた手を自身の額辺りに当てて俯いて)
>蘭玲(>>1328)
……それは疲れちゃうかも。俺も蘭に甘えたいし
(いくらでも無限に受け止めてあげる、だなんて軽薄に答えないのはこの先末永く二人の愛を育み保っていきたいという前提の元、互いに無理は禁物だという考えに基づいたもの。ちゃっかりとこれからも彼女に世話を焼いてもらいたい旨を添えて、頬に触れていた手の平をゆっくり反転させることで上に重なった相手の手に指を絡めるようにするのは宛ら愛しい者を逃すまいと幾重にも絡みつく蔓のようで「 でも、蘭は俺以外に甘えちゃ駄目。甘えたいのを無理に我慢するのも駄目。俺…上手に応えられるかは分かんないけど、絶対受け止めるから 」気高い彼女が自分以外に弱みを見せるなんて思っているわけではないけれど、だからこそそんな場面は想像するだけで虫酸が走る。ひとやものに執着を見せない怪物が初めて抱く昏く熱い独占欲は見せたこともないような濁った紫色の花にて表され、続いて決して彼女に我慢をさせたいわけではないという愛情が暖かな色味の赤と桃の中間の色合いにて花開き。見つめる双眸の位置が普段より低くなることでどこかあどけなさを増したように見える顔立ちに、分かりやすくも鮮やかなピンクの花が髪のあちこちにぽわぽわと咲いて「 ……それは、駄目じゃない 」先程いくつもの駄目を提示したが可憐を通り越して眩さすら感じる彼女の万感のお願いを却下する筈もなく、珍しく少しだけ目を瞠っては魅力に圧倒され見惚れるようなぽやっとした声でそう答え――そうすれば立ち所に、二人の対称に位置する壁に卵の殻が割れていくような音と共に空間のヒビ割れが生じて彼女の自室への帰り道を繋げるだろう)
>ヴィンス( >1330 )
もちろん。ヴィンスを甘やかすのも好きだから、これからも甘やかさせて?
( 絡め取られた指に僅かに力を込め、こちらからも握り返すようにして。元より甘えたいよりも甘やかしたい側である自覚はある為に、抱くのは “ ヴィンスらしい ” という愛おしさのみ。幾重にも重ねられた “ 駄目 ” は彼の嫉妬心や独占欲なのだろうか。今迄接してきた中で見た事もない色の花を携えるのは、きっと彼がはじめて己に向けてくれた感情だからなのだろう。向けられた先が彼で無ければ──もっと言うなら元いた世界で上に立っていた男からのものであれば、それは酷く面倒で息苦しいと感じていたであろう感情。それすらも嬉しいと思えるのだから不思議なものだ、と 「 誰にでも尻尾振るような事はしないよ 」 知ってるでしょ?なんて言いたげに首を傾げて見せ。惚けたような声で告げられた快諾の言葉が耳に届けば、穏やかな笑みを浮かべた後に礼の言葉を述べるよりも軽いリップ音を立てながら鎖骨のあたりへと口付けを落とし──そうした所でぴしぴしと何かがひび割れるような音にそちらの方角へと視線を向ければ、先程までは一面真っ白な壁であった場所に出来上がっている通り道。暗く先の見えない通路はどこへ繋がっているのか出口となる先は見えないものの、それがこの部屋の外へと繋がっているのは確かだろう 「 ほら、行こう?今日はずっと一緒に居てくれるんでしょ? 」 立ち上がってから彼に手を差し出し、それを取ってくれたのであれば出口の先へと共に歩き出すつもりで )
****
この辺りで夢の幕引きかなと思ってお邪魔するね。
素敵な夢をありがとう。本編の方でも早くヴィンスに会いたいなって思いながら見させてもらったよ。きっと甘やかしちゃうと思うからよろしくね、って先に伝えておくね。
未だイベントの受付してくれてるって解釈で合ってるかな?最後にリーパーの夢をお願いしたいなって思っててエントリーシートだけ出させてもらうけれど、期間終了まで時間が無いとかだったらグレンの本編に移れたらって考えてるよ、とだけ。
リーパー( >576 )
指名:マリーシュカ
提供との親密度:◆◆◇
>レオニダス(>1329)
(足元も、そして願った通り頭にも伝わる柔らかさへ緩やかに目を閉じる。そのまま甘える所作に思考を巡らせている最中、「――っ!?」不意に頬を撫でた感触に身は縮こまるように微かに跳ね、同時に意識をぐんと引き上げられて見開く視線を、混乱と狼狽の色に染めて彼へと送る。幾度かの瞬きを経る内、された事にもその理由にも理解が及べば一驚と見詰めていた表情は和らぎを見せ、「…いいや、問題無い。」まず彼の謝罪への容赦を。続けて、「それから、こう言ってしまうと失礼かもしれないが……昔、猟犬達と遊んでいた頃を思い出すようで、悪い気分ではなかった。」理解した瞬間に、脳裏へ明滅した記憶も一つ語る。――春の野山で一頻り駆け回った後、転んで草花に埋もれた幼い己をあやす、毛繕いの一幕を。「……彼女達も、君と同じ思いだったのだろうか。」楽しくて仕方の無かったその頃の情緒に引かれて暖かく、陽の香を含む布団の如き笑みで懐古を馳せた後。あの頃“彼女達”のふかふかの体躯へ抱き付いた時のように、彼の逞しい胴へとぎゅっと腕を回して、「…もっとしてくれるか、」先程よりもずっと自然に、心からそうしたいと言わんばかりにその身に頭を擦り寄せてねだるその尾っぽに、「――“母さん”。」彼を、そう呼ぶ。初めて口にする呼び名は想像以上に擽ったくて、しかし案外と心地好くて。ぴったりと添う互いの陰で思わずふっと吐息を零せば、稚い温度に頬は綻んでいく。)
>蘭玲(>>1331)
…帰って、って言っても帰らない
(生涯で初めて抱くどす黒い感情に自覚はあれども不思議とそれを浅ましいとは思わず、むしろこんなに魅力的なひとと結ばれたのだからそう感じて当たり前だとある種開き直りに近い納得感を帯びながら差し出された手を取って今度こそ自分の足にきちんと力を入れて立ち上がり。結局この空間は何だったのか、と部屋の去り際にちろりと少しだけ振り返り、もしこの戯れのテーマが残酷なものだったなら…と想像すれば繋いだ手にきゅ、と力を込めて。食が細く名だたる怪物と比べれば非力な自分に、この先黒薔薇の屋敷で彼女を守り抜いていけるのだろうか「 すきだよ、蘭 」密かな決意は至極シンプルな言葉で伝えた愛情に含め、閉じてゆく空間を今度は振り返らずに彼女の部屋へと辿り着くだろう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。イベントへのご参加ありがとうございました! 】
***
ご機嫌よう蘭玲、こちらこそ素敵な明晰夢をありがとう。ヴィンスのあんなところ初めて見たわ、あなたもとても可愛かった。この先、お屋敷でヴィンスに会えたら甘やかしてあげて頂戴。…いつか、私にもあなたを甘やかさせてね。ふふ。
エントリーは7/31まで受付中だから勿論大丈夫よ。この期間中にリーパーとの明晰夢を無理やり終わらせる必要もないから、気の向くまま夢を楽しんでねと彼に伝えてもらえるかしら。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
>Ⅰ.お互いに自分の抱く夢を本音で語り合わなければ出られない部屋(制限時間:20min)
>Ⅱ.恋人のようなキスを合計1分間しなければ出られない部屋(制限時間:10min)
>Ⅲ.お互いの最も後悔している選択を吐露し評価し合わなければ出られない部屋(制限時間:30min)
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
>レオ(>>1332)
(心底慈しむような気持ちがそうさせたのだが、どう足掻いても人肉を喰らう異形に過ぎない自分の舌を許可なく相手に這わせるなどと到底褒められる行為ではない。恥じ入るように固く瞼を閉ざしている内は許しを内包する彼の表情を目にすること能わず、しかし過去の記憶を引き合いに出されればようやくそっと目を開けて面を上げ「 ……猟犬は君を食わんだろう 」互いに獣の特徴を有していても決定的な違いはある、その呟きは自分を責めるではなく相手の寛容さに深く感謝するような静かな響きを持って「 有難う、レオ。願わくば私も、“彼女ら”のように君の眩しい想い出のひとつとなりたいものだ 」不躾すぎる振る舞いを許してくれたことに改めて謝意を言葉にして、陽だまりのような微笑につられるように厳しい獅子の形相をふっと和らげて。腕に抱きつく姿にはまさに自身に子息がいればこんな風にじゃれてきてくれたのだろうかと夢想を禁じ得ず、膝上の彼をより包み込むように背を若干丸めて「 …おいで、私の可愛い子 」低くも柔らかな声は自分でもこんな趣の音を出せたのかと驚くほど。しかし表層には出さず、それよりも優先されて表れたのは母が子を無条件に愛し守りたいと願う祈りに似た未来への期待、空いている腕で彼をしっかりと自分に密着されるように抱いてはぷにぷにの肉球で頭やうなじをゆっくりと撫ぜる。もし彼と親しい間柄でなければ、脳裏に浮かんだドラゴンに絶対に彼を喰うなと手前勝手に挑んでいたかもしれないが、自身の知る狩人は生命の円環の中で竜の糧となるを是としている。いつか自らの腕から離れ二度と触れられなくなってしまう温かな命をせめて今だけは愛おしむように、頭へと自らの顔を寄せてはそっと目を閉じて)
>マリーシュカ( >1333 )
こんばんは、マリーシュカ。
もちろん、甘やかすのは得意だからね。甘えるのはちょっと苦手だけど、綺麗なお姉さんと話せるのも嬉しいし、屋敷の方で会えたらよろしくお願いするね。
リーパーへの伝言もしっかりと伝えといたよ。慌しく終わらせるつもり無いらしいから、明晰夢が終わるまでよろしくしてやってね。って伝言があったから出てきたけど、こっちは返信不要だからね。
****
> Ⅱ.恋人のようなキスを合計1分間しなければ出られない部屋(制限時間:10min)
( 意識を失う直前、最後に見たのはいつもと変わらぬ自室のそれ。特段何か特別な事をした記憶も無ければ誰かと言葉を交わした記憶も無い。いつも通りに件の文章を認めていただけのはずで、ベッドでしっかりと睡眠をとるかソファで仮眠に止めるか。どちらになるかは気分に任せるにしても平穏に一日を終えるつもりだったのだが、一度経験したことのある感覚に似た意識を刈り取るような猛烈な睡魔に負け一度瞬きをしただけのはずが次の瞬間に視界に入ってきたのは眩しい程の白。辺りを見渡す双眸がきゅっと細められているのは光量の調節が出来ていないが為のこと。明るい色にクラクラとする頭を数回瞬きを繰り返して正常に働くように戻した後に立ち上がり、しっかりと辺りを見渡せば思いの外近くに人影がある事を認識して 「 ……マリーシュカ? 」 この場に居たのが屋敷の男連中や然程関わり合いの無い相手だったならば側に歩み寄る事などしなかったのだろうが、己の事を気に掛け頻繁に言葉を交わす彼女となれば話は別。珍しく早足で彼女の元へと近寄れば片手を伸ばし 「 怪我してねェか? 」 拒まれる事が無かったのなら伸ばした手は頬へと触れるだろうか。手の行方はどちらにしろ、覗き込むようにして向ける視線に心配の色が浮かんでいるはずで )
>リーパー(>>1335)
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
>テーマ:恋人のようなキスを合計1分間しなければ出られない部屋
>制限時間:10min
>親密度:◆◆◇
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(お気に入りのティーカップで淹れたての魔界の紅茶を楽しむ憩いのひととき、それに水を差すように多方面から伸びてくる黒い茨。多情で魔性、濡れた微笑みを絶やさない夜の怪物の唇からは一切の緩やかさが消え去り、表情の読めないまま黒薔薇に覆い尽くされて意識を簒奪され、ハッと目を覚ませば縁もゆかりも無い密室。見たところ家具も出口も何もない、しかし死角から声を掛けられては思わず目を丸くして「 リーパー、 」黒薔薇に支配される怪物ならまだしも食事として攫われただけの筈の貴方がなぜここに、そう言いたげな視線は今すぐここから彼だけでも逃がす方法はないかと探るように揺れた光を宿し、抱く感情の種類は違えど安寧とは遠い眼差しにて頬に触れた体温を受け入れ「 大丈夫よ、ありがとう。あなたこそ何もされていない? 」こんな明らかな異常事態でも自分より此方を気にかけてくれる思いやりに、口許にだけ微笑が戻る。明らかに悪意ある第三者の仕業だと図らずも表現しながら、困惑するように眉尻を下げてこちらからは両手を伸ばし頬を包み込むようにして様子を窺おう。さて、丁度二人の中間にパサリと落ちた黒い手紙――嫌な予感がして、素手で触れるのではなく魔法にて拾い上げようといつもの手癖で手紙に向けて手を差し伸べるようにして魔力を集中させた瞬間「 ――きゃ…! 」バチ、黒い火花が一瞬指先に迸り予想だにしていなかった鋭い痛みに反射的に高い悲鳴が短く漏れて)
>レオニダス(>1334)
……ああ。
(彼の気まずく強張った面持ちが己同様和らいだ頃合い、願う言葉へ懐かしそうに、そして嬉しそうに肯定を返す。心地好い彼の声、導くその音に抱き付く腕の力を仄かに強めて、自らが望んだ掌を受け入れる。「……ん、」括らなければ髪で隠れてしまう項。そこにも滑っていく感触にもぞり身動ぐが、身を委ねた今に不快さなど微塵も無く、「ははっ、擽ったい、」零れ落ちる言葉にも頬にも、ただ戯れて笑う子供に似た無邪気な色が溶けて。それからほんの少し増した頭の重みに任せ、そっと目を伏せる。いつも規律良く伸ばしている背は己を包む身の中で丸めて、密着する彼へゆったりと頬擦りをして。……こうも無条件に安堵する心地は、一体いつ以来だろうか。危険なんて何も無い、この己を守る腕の内こそ世界の全てにも思えるような――ゆらゆら、ちかちか。頭のずっと遠くで何かが揺れている事に、ふと気付く。あんまりにも薄く朧な、蜃気楼の如き記憶の最奥に、長い砂色の髪と白い細腕の“誰か”の姿が、「……?」しかしその正体を掴むよりも前に、“それ”は何処かへ掻き消えて。後には目の前の彼を母と慕う想いと、すっかり思考もほっぽり出して安心と甘える心へ誘われた眠気に、弛みきった顔付きでうとうとと微睡み始める。)
>マリーシュカ( >1336 )
マリーシュカがなんともねェなら良かった
( 表情が和らぐのは彼女の無事を確認出来た安堵から。両頬を包む掌に笑みを深めるのは冷たい体温とは裏腹、己の身を案じてくれるその気持ちが暖かかったからで 「 心配するようなコトは何もされてねェよ 」 この状況の黒幕は誰か、どうするべきか、そんな話をしようとした矢先に無の空間から降ってきた黒い封筒。どこか見覚えのあるそれに眉根を寄せていれば、バチッと何かが弾けるような音が鼓膜を揺さぶり 「 は、 」 思いがけず漏れた声は大きな静電気のような音に次ぐ彼女の驚いたような悲鳴が耳に届いたから。きっと魔力を拒む何かが働いたのだろうが、音の大きさで鑑みるだけでもかなりの衝撃があっただろう事は明白。彼女が人間よりも頑丈な生き物であると理解はしているものの、目の前で怪我をされて良い気持ちはしない。となれば己がその手紙を拾うのが一番良いだろうと判断すれば躊躇い無く素手で拾い上げ、無遠慮に封を開けば先に書面へと目を通せばそこに書かれているのは【 制限時間10分以内に恋人のようなキスを合計1分間すれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる 】だなんて悪趣味極まりない文言で 「 あー…… 」 歯切れの悪い声しか出なかったのは書かれている内容が原因に他ならず。何度か言葉を紡ぎ出そうと口を開くも全て声音として出てくる事は無く、一度唇をきゅっと噛み締め考えた後に手に持つ手紙を彼女へと差し出して 「 ……読んでくれりゃ分かると思うわ 」 すい、と視線を逸らすのは気恥ずかしさやら彼女への申し訳なさやら、いろんな感情が入り混じっての事。今現在己に特定の想い人は居ない上に、他者が巻き込まれないのであれば自身の生に特段の執着も無いが彼女はどうだろうか。時間にして十数秒程、然程長くは無い文面に目を通し終えただろう頃に伺うような視線を彼女へと向けて )
>レオ(>>1337)
(神から異形の獣へと成り下がり自らを崇める者も失くし、図体だけ仰々しくとも嘗て人に囲まれ生きた弊害か受動的孤独に滅法耐性のない怪物は自らの価値を大変に低く見積もっている。許されるのであればこれ以上犠牲の生贄という名の獲物を喰らうことなく消え去ってしまいたいと、この黒薔薇の屋敷では到底叶えようもない願いはいつしか諦めに変わり、ゆるゆると絶望を受け入れていた。しかし腕の中に包まる体温と重みが、全身を弛緩させ剰え意識すら手放そうとしている純粋な安堵が、堕ちた神たる自分に生きる意味を与えてくれるような気がして「 ――、 」黒い鬣を濡らした雫は何だったのだろうか。そんな些末なことは追及に値せず、ただただ矮小な自分に今一度救われたような心地を取り戻させてくれた命に万感の感謝を込めて「 レオ、君はまさしく私の子だ。有難う 」微睡の妨げにならないよう、か細く消え入りそうな囁き声で。自分の系譜を継ぐ実子という意味ではなく、無条件に親に甘え、育てられながら親をも成長させる子という概念に彼を当てはめて――そして、穏当とした静寂を無遠慮に破るのは壁に出口を生成する空間の罅割れる音。それを獣の眼光で見据えて「 静かに 」彼が起きてしまうだろう、そんな警告を眼差しに含んでも黒薔薇たちはただ終劇を迎えた劇場に用などないと退いていくのだろう。出来る限り振動を与えないよう注意を払って立ち上がり、愛しき我が子を両腕の中に抱えたまま暗い通路を進む、その先に待つ彼の自室にてベッドに温かな肢体を横たえるだろう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。イベントへのご参加ありがとうございました。7/31まではエントリー可能ですので、もし別テーマにもご興味ありましたらご検討ください。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました 】
>リーパー(>>1338)
(この密室では魔法に頼れない、そう思い知らされるには十分すぎる痛みに目立った外傷はない指先を数度包み込むようにしてもう片方の手で擦って。黒薔薇の企みの一端が見えたような気がして、厄介ねと内心のみで嘆息してから「 …ありがとう、 」手紙に目を通した彼のリアクションに悪い予感が過る、佞悪な支配者たちならば怪物の魔法を封じた上で獲物との悪趣味な殺し合いや化かし合いを余興として強制してきても何ら違和感は無いから。手紙を拾ってくれた労に対して神妙な面持ちで短く礼を、そして覚悟するようにすっと息を吸って書面に目を落とし「 ――……まったく、もう 」血腥い内容を覚悟していた分だけ初めは呆気に取られるも、いくら怪我を伴わないとはいえ恋人どころか特別な恋愛感情も持っていない相手同士で深い口付けをするだなんて心労の方が大きいかもしれない。自分は彼とそうする事を欠片も拒むつもりなどないが、ハッと気付いたように僅かに目を瞠って「 …前に、パートナーが居た事があるって教えてくれたわね。という事は、その…初めて、というわけではないのかしら…? 」おずおずとした様子で問い掛けるのは踏み込んだ質問である自覚があるから。もし親しい彼のファーストキスをこんな所で消費せねばならないのだとしたら由々しき事、拒絶や嫌悪などではなくただただ一心に彼の心境を案ずる困ったような表情にて回答を待つ。そうしている間に虚空には黒い砂時計が顕現し、僅か10分で空っぽになってしまうだろう上の器からは既にサラサラと黒く煌めく砂が零れ落ち始めていて)
>マリーシュカ( >1340 )
( 尋ねにくそうな様子にどんな言葉が飛び出してくるのかと緊張が見て取れる面持ちで居たのもほんの少しの間の事。きょとんとした表情を浮かべた後に 「 ハハッ、身構えちまッたじゃねェか 」 きっと心優しい彼女は己の事を慮ってくれたのだろう事は表情から見て取れる 「 初めてじゃねェし、初めてだったとしてもこの趣味悪ィ部屋から出るにはしなきゃなんねェだろ? 」 あっけらかんとした声で紡ぎ出しては首を傾げ。いつの間にか宙に浮かぶように出現していた砂時計はきっとタイムリミットを示しているのだろう。そちらの方へと顔を向け、しっかりとそれを確認すれば未だ上に十分に残っているように見えるものの、砂の落ちていくスピードは決して緩やかなものには見えず小さな舌打ちと共に僅かに顔を顰め。彼女の方へと向き直っては緩い笑みを浮かべて見せて 「 言いなりになンのは癪だが……オレだけなら未だしも一緒に連れてッちまうワケにはいかねェしよ 」 言外に部屋の脱出条件となる行為を問いつつ彼女の髪を一束掬い取り、毛先の方へと軽く唇を触れさせては伺うように視線を向けて )
>レオニダス(>1339)
此方こそ、良い夢を見せてもらった。“母”という存在も“甘える”という行為も、私にとっては貴重な経験だった。…それに、 何か大事な事を思い出せた気もする。改めて、礼を言おう。
さて、催し事への参加はまだ受け付けているという話であったな。もし良ければ、グルースでもう一度夢を見させてほしいと、エントリーシートを持ってきた。
彼はまだ正式に屋敷に招かれた訳ではないから、プロフィールを貼り直すべきかとも思ったのだが……特に修正点も無いものを載せ直すのは場所を悪戯に取ってしまうだけだろうと考えて、リンクのみにさせてもらった。
無論問題があれば、すぐに修正する。それでは、最後の夢、検討宜しく願う。
***
【イベント用シート】
PF:グルース・リヨン(>1147)
指名:ジョネル
好感度:◆◆◆(両片想い)
>リーパー(>>1341)
――今どきの男の子ってそんなものなのかしら、
(渾身の心配を笑い飛ばされては呆気にとられたように一度ぱちくりと瞬きをして、重大な懸案事項が杞憂に終わったことを理解する。困り眉はそのままに唇に手を添えてはくすくすと淡く笑って、成人しているであろう彼を弱齢のように評するのは妙齢の容姿とは裏腹に遥かに人知を超えた時を永らえてきた故だろう「 ふふ…そうね。珍しく目を掛けた子と数少ない友人、いっぺんに失ってしまったら流石の彼もきっと悲しむもの 」露骨に命へ未練のない言葉選びには多少の危うげな引っ掛かりを覚えるものの制限時間の定められている今は一度違和感を保留し共通の怪物を想起して。髪へ口付ける彼と合わせた視線、眦をゆるりと緩めては双眸に僅かに燻るような熱と潤みを帯びさせて「 次はここに頂戴 」ぷくりとした下唇をなぞる白指、葡萄色に塗られた爪が白い照明を反射しぬらり輝く。まさしく恋人に戯れをねだるように、艶めかしい声と共にしなだれ掛かるようにして彼の首に両腕を緩く回してじっと見つめて)
>レオ(>>1342)
こんばんわレオ、素敵な夢をありがとう。ここの記憶を本編に引き継げないのが口惜しくなるくらい濃密な時間に思えたわ。
新入りの彼にもう一度会わせてもらえるのね、スペースへのお気遣いもありがとう。修正が無いのならリンクだけで問題ないわ。廻廊を彷徨う最後の夢、どうか満足のゆくものでありますように。
【 イベントへのエントリーを受付けました。以下ランダム生成されたテーマから一つを選び、真っ白な部屋で目を覚ます場面を描写して下さい 】
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>Ⅰ.お互いに自分の最も嫌いな部分を嘘偽りなく白状しなければ出られない部屋(制限時間:30min)
>Ⅱ.交互に互いの名前を耳元で囁き、表情や心拍も含めて無反応を維持しなければ出られない部屋(制限時間:15min)
>Ⅲ.協力して組体操の技を3つ(技は都度指定される)成功させないと出られない部屋(制限時間:20min)
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>マリーシュカ/ジョネル(>1344)
>Ⅱ.交互に互いの名前を耳元で囁き、表情や心拍も含めて無反応を維持しなければ出られない部屋(制限時間:15min)
***
(部屋のソファーの上、真っ新な布地へ一針一針と丁寧に描いていく己の糸を不意に妨げたのは、抗いようもない黒い茨と強烈な眠気。――再び開いた瞳に映った、上も下も真っ白な場所。ぱちりぱちり、何度か瞬いた後にやっと状況を理解すれば、「……困ったね。」眉を下げて首を傾ぎ、小さな息を吐く。それから首元のブローチを指先で撫でながら、またこの箱の内を緩やかに見回して場の把握に努めて、「おや、」ふと視界に捉えた彼に目を見開いた次の瞬間、「……サー・ジョネル。」ふわりパンジーが綻ぶように柔く軽やかに微笑んで、彼への恋情を隠すつもりも無い、とびっきり甘いコンポートの声と眼差しで名を呼ぶ。和らげた相好そのまま、彼の傍へと靴音静かに歩み寄り、「…こんな所で会えるとは思わなかった。僕は幸運だね。」その目の前で足を揃え、見上げる瞳を偽り無き喜びに細めた挨拶の後。爪先に力を籠めて踵を浮かせ、頭一つは優に違う彼との視線の距離を詰めてじっと顔を覗き込み、「……具合はどうだい、サー・ジョネル。何処か痛んだり、気分が悪かったりはしないかい?」己と同じくこの不可思議な状況下に落とされた彼の身こそを一等案じて、穏やかながら心配の色に弱った音で問うその間に、両手は彼の頬を包まんとそろそろと伸びていく。)
>マリーシュカ( >1343 )
男の子ッつー年齢でもねェけどな
( まるで幼い子供に対するような口振りにさして嫌な顔もせず、クツクツと喉の奥を震わせるような笑い声と共に軽口を返すのは彼女と己では生きる時間の長さが違う事を理解しているから。様子を伺っていれば返された存外乗り気そうなそれに僅かに瞠目するも、直ぐに目を細めて 「 言われなくても 」 平素よりも燻るように感じる彼女の色香はこの非日常のせいだろうか。この屋敷の中で立場は違うとはいえ友人だと言えるだろう間柄の己でさえ充てられ頭がクラクラとするのだから、己の立場が彼女に想いを寄せる人間だとすれば余程のものだろう。片手を頬から耳、耳から頭へと撫でるように滑らせ後頭部へと持っていけば暫く紫の瞳を見詰めてから、触れるような口付けを数回落とした後に舌先で唇の隙間をなぞり。僅かにでも隙間が開けばそこからするりと舌を滑り込ませるつもりで )
>グルース(>>1345)
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>テーマ:交互に互いの名前を耳元で囁き、表情や心拍も含めて無反応を維持しなければ出られない部屋
>制限時間:15min
>親密度:◆◆◆(両片想い)
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(締め切られたカーテンを僅かに月光が透かすだけの暗い部屋の中、ベッドの上で体育座りをして膝の間に頭を埋める。ゴトリ、何か重たいものが落ちるような音が脳髄の内側で響いたのは死神の唯一の糧たる記憶が抜け落ちたその証拠に他ならず、いつまで経っても慣れない忌々しい特異体質に失意を強いられていた夜、いつの間にか自身を包囲していた黒い茨に気付く前に意識を失って。次に重い瞼をそろりと開ければそこは先程まで閉じ籠もっていた部屋とは正反対の不躾なまでに明るい純白の空間。死神として存在するには致命的な欠陥を白日のもとに暴かれるような気がして悲痛に表情を歪めた刹那、名を呼ばれればその表情はまさに鳩が豆鉄砲を食らったように唖然として「 グルース…?どこ此処…、 」さっきの顔を見られただろうか、よりにもよって密かに想いを寄せる彼に――そんな焦りが想い人との偶然の遭遇に喜ぶ余裕を与えず、こんな所での言葉に思わず逃げるようにきょろ、と辺りを見回して「 …!心配には及ばないよ、死神は色々と特別だからさ。グルースは何ともない?不思議な事もあるもんだね――、? 」先程までの昏く湿った懊悩を見抜かれたのかと一瞬瞠目するも、そんな筈はないと内心で言い聞かせて努めて平素通りの軽快な口調と共に微笑を浮かべたつもり。腕を拒むことなく頬を包む体温に胸がどぎまぎと踊る心地がするのは上手く誤魔化せただろうかという焦りか、それとも好いた相手に触れてもらえる歓喜だろうか。言い終えた直後、パサリと自身の頭上に降ってきた黒い手紙は旋毛辺りにそのまま留まり、黒薔薇の気配を纏いながらもそれ自体に害する力は感じない便箋を目線だけで見上げて)
>リーパー(>>1346)
(聖母然としながらも何処かふしだらな色情を纏う表情にてうっとりと見つめ合う、まるで彼を独占していると勘違いしそうになるその数秒間は永遠にも感じられて目を逸らせずに、気付けば奪われるような形で唇が重なっていて。最初の軽やかなそれでは黒薔薇の与えた命題を遂げられない、そんな焦れったさから早くもっと深く頂戴と求めるように此方から相手の唇をやや広く食んだと同時、侵入してきた温かなものに思わず“ ん…ッ ”と上擦った声が溢れて。待ち望んだそれを冷たい舌を以って迎え入れ、柔く吸い付いたかと思えば今度は喉奥に逃げるように引っ込めたりして文字通り戯れを楽しんで。甘美な口付けは時を忘れさせ、何分そうしていたか最早数えることもせずに一度口を離せば彼の鎖骨辺りにそっと頭を預けて「 …確かに、あなたは男の子じゃないわ。蕩けちゃうかと思った 」庇護すべき幼気な少年ではなく、気を抜けば掻っ攫われてしまう男性として相手を認識すれば病的に白い夜の怪物の頬に微かな上気の兆しが見て取れるだろうか「 この部屋を出たらもう出来ないなんて…… 」そう、これはあくまでも黒薔薇の指示。それが本心か否か、もし無事に脱出出来たとて続きを望むような期待を匂わせては冷たい片手を彼の頬に添わせて下からそっと見上げる、その表情には切なさを凪がせてじっと見つめて)
>ゲリライベント:明晰夢の廻廊開催中!【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/2024/06/25/211417】
→ ◆◇ 7/31までエントリー受付中、ご新規様の滑り込み参加も大歓迎です! ◇◆
>新規住人を1名準備中(8月上旬~中旬あたりリリース予定)
>通常交流・イベント交流問わず、ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:レンブラント ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
◆ザカリー・アーバーン(>>93)
◆レオ(>>147)
◆ニール・グレイ(>>244)
◆シャラメ(>>395)
◇ミネルヴァ(>>489)
◇プリケル(>>559)
◆リーパー(>>576)
◆グレン(>>644)
◇リリー・フリント(>>1041)
◇蘭玲(>>1047)
▼ 現在のブックマーク(最長1ヶ月間保持) ▼
●グルース × ジョネル ⇒ 【 >>1347 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●リーパー × マリーシュカ ⇒ 【 >>1348 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>マリーシュカ( >1348 )
( 戯れのような軽い口付けから次第に深くなっていくそれ。その間も、頭の中に無駄な思念が無くやけに整然としているのはこの異常な空間に麻痺しているのだろうか。絡み付く舌が人間のそれと違いひんやりと冷たいのは肌と同じなんだな、とか酸欠になりそうな様子も無いところを見るに彼女も慣れているんだろう、だとか。そんな事が巡っていては部屋を出るための条件となる時間を数えるのも忘れていて。きっと十全な時間が経過しただろう頃合いに離れる顔を追う事はせずに。普段と変わり無い戯れかの如く “ だろ? ” だなんて返そうとしたところで続いた言葉には僅かにきょとんとした表情を浮かべ「 そういうコトはオレじゃねェヤツに言ってやんな 」 片手で彼女の目元を覆い隠すのは切なさを滲ませ乞うような視線を受ける居心地の悪さと、寂しさが見え隠れしているだろう笑みを見せたくは無かったから。きっと健全な男性であればその願いを受け取ったのだろうが、死場所を求めている己が受けるのも無責任な話だろう。それに加え親しい間柄の相手へとそういった欲を向けられる程情操観念が薄い訳でも無く。軽いリップ音を立て額へと口付けると同時、目元を覆い隠していた手を離し 「 オレには勿体無さすぎるわ 」 己が為に手を血に染め、汚れているのだから。そんな事は口にはせずに代わりにけらり軽やかな笑い声を残して。視線を巡らせればいつの間にか壁に出来上がっているのはこの部屋の外へと続く道だろうか。ぐっと一つ伸びをして 「 ……さて、取り敢えずンな趣味悪ィ部屋から出ようぜ?ンで外でも散歩するとかどーよ? 」 何となくこのまま今夜彼女と別れるのも如何なものかと考えれば一つ提案を。片手を差し出し、彼女が取ってくれるのならば一緒に出口となるはずの道を辿るはずで )
>ジョネル(>1347)
――そうかい。
(顔を覗き込む刹那、その瞳が見開かれたのを見逃す筈も無く、しかしいつもの微笑みで己を迎える彼にそれ以上は何も言わず、「…うん、僕も何ともないよ。」表情を安堵に弛めて此方からも無事を伝える。「ふふ、そうだね。何とも不思議な……、おや?」平気と笑う彼の頬の輪郭を、それでも慰撫するように掌で優しくなぞって相槌を打つ最中、不意に現れた何かに己も同様に視線を上げる。「少し失礼するよ、サー・ジョネル。」彼が手を出さない、即ち危険は無しと信頼に断じて踵を更に浮かせ、同時に彼から離し伸ばした片手でその便箋を捕まえる。「ええと…【制限時間15分以内に交互に互いの名前を耳元で囁き、表情や心拍も含めて無反応を維持すれば出口は開かれる。制限時間を過ぎればここが互いの墓場となる。】……黒薔薇達も、面白いお遊びを考えたものだね。」指先に捉えるそれを彼にも窺えるよう、互いの間に掲げて文面を声に変えれば、平常の面持ちながら他意無き感心の色を感想に零す。それから、「ううん…無反応が条件でなければ、君を口説くチャンスだと喜んだ所なのだけれど…」わざとらしいほど明け透けに好意と下心を呟きつつ、肩を竦めて残念がる素振りを見せた次、ちろり彼に目を流し、「……冗談さ。」くす、と悪戯に、しかし想いを秘めた吐息を含め瞳を細めて。「――さて。」閑話休題、と咳払いを一つ。「つまり黒薔薇達は、“僕と君でお互いの名を耳元で囁き合ってほしい”。ただし、“その間一切動揺しないでほしい”、というお願いを僕達にしているのだね。」ともあれ事態の整頓、そして自身の解釈も織り混ぜた解決策を整える台詞、そのどちらもに出来得る限り柔らかい文言を選ぶのは、優雅たる貴族の振舞いに因るものだけではなく、「…どうだい、サー・ジョネル。この子達のお願い、聞いてあげられそうかい?」この異様な状況下であれども、恋い慕う彼に心穏やかでいてほしいが為の、甘い思惑も密かに籠めての事。「必要なら、予行練習しても構わないよ?」最後の最後、また軽やかに笑いながら、ジョークに踊る指先で自らの耳をとんとんと示し、綽々首を傾げて彼を見詰める。)
>リーパー(>>1350)
…意地悪ね。私にそんなお相手が居ない事、ご存知でしょ?
(生命の雫のような琥珀色の瞳、この明るい部屋でも黒薔薇屋敷の仄暗い中でも輝いて見えるそれを見つめていた視界が体温と共に塞がれてしまったこと、それに続いた自身を袖にするような言葉に少しだけ片頬を膨らませるようにして不服を表現し、不満を言葉にしておきながらあくまでも戯れの域を出ない声色はどこか余裕を残した楽しげな朗らかさを含んで「 本当、罪作りだこと 」言い終えてすぐにくす、と笑いを零して挙動の一切を停止した砂時計を見上げる。その台詞が誠実さゆえ簡単に吸血鬼の誘惑に取り合わない彼に対するものなのか、それとも黒薔薇による命を人質に取ったお遊びによって彼との甘い口付けという美酒にも似た愉しみを一度味わわされた事に対してか。差し伸べられた手を素直に取り、しかしきゅっと握力を込めては女の細腕からは想像もつかない力でその身体を引き寄せてもう一度だけ唇を奪い「 私の味、忘れないでね。…ふふ 」本来は怪物が人間を味わう筈だが倒錯的な笑みは確かに捕食者の凄みを滲ませた妖しげな形で「 ええ、行きましょう 」何事も無かったかのように目尻を細めて穏やかな微笑みを向け、今度こそ白い箱庭を後にすべく一歩踏み出すだろう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。数回に渡るイベントへのご参加と、素敵な明晰夢をありがとうございました! 】
>グルース(>>1351)
――……まじかよ…、
(可笑しいとは思っていた、明確な害意はないのに静寂を装った悪意を忍ばせる黒薔薇の魔力の気配がこんなにも充満した空間なのだから。彼にだけは見せたくないジメジメとした自分の一面がバレていないと内心で安堵したばかりの無防備な心に彼の読み上げてくれた戯れの主旨が容易に衝撃を与え、思わず眉間を寄せて絶望したように呟きながらその場で膝を折りしゃがみ込んで頭を抱えて。彼は面白いお遊びと言うが、もし制限時間内に命題を遂げられなければ黒薔薇は容赦なく互いの命を奪うだろう。自分はいい、しかし彼が荒唐無稽な理不尽に巻き込まれてしまった事に大きな溜息を吐いて「 …グルースはこんな時でも余裕たっぷりで凄いね 」馴れ馴れしい態度の割には特異体質による劣等感のせいで自己肯定感の低い死神は、口説く云々について冗談と宣う言葉を疑う事なく額面から受け取って下からジトリと視線を向けて。「 君と違って僕には余裕なんて無いからさ、黒薔薇のお願いを叶える気なんて無いよ。…でも、君をこんな所で死なせたくない。から、……頑張る 」あくまでも黒薔薇を満足させるためではなく密かに愛を捧げる彼に未だ死んでほしくない、そんなエゴを叶えるため。色味の反転した双眸でそう言い切り、覚悟を決めたようにすくっと立ち上がるも愛しい相手に耳元で呼ばれて無反応を貫ける自信など皆無ゆえに言葉尻は何処かごにょついて。ふと二人の頭上に出現した黒い砂時計が残り時間の減少を掲示し始めたのを一瞥し、どこまでも華やかさすら感じさせる泰然とした笑みを浮かべる彼に視線を戻して「 必要ないもんねーだ 」べ、と舌を出してはずいと一歩距離を詰めて。どこかぎこちなさを感じさせる所作にて彼の未発達の残った双肩に両手を置いて、一度きゅっと唇を噛めば胸の高鳴りを誤魔化せもしないまま恐る恐る耳元に口を寄せて「 ――グルース、 」努めて平静を装って呼び掛けたつもりだが、距離の急接近により彼の双肩を捕まえる手には知らずと淡く力が籠もって)
>マリーシュカ( >1352 )
こんばんは、彼奴の代わりに僕の方で失礼するね。
先ずは長い間イベントの付き合いありがとう、其々とっても楽しませてもらったよ。屋敷に来て間もない彼女達もこれから交流を広げていくだろうし、イベント程の仲になれるかは分からないけれど良くしてやってくれると嬉しいな。リーパーは……ふふ、マリーシュカ相手だと棘が取れるのは普段の交流と変わりが無かったかな。綺麗なお姉さん相手に格好付けたいんだと思うよ、なんて。
さて、次は僕の屋敷での話だね。先に話していた通り一先ずハイネと過ごさせてもらってからの流れを考えているのだけれど、ハイネへの手紙を出させてもらった方が良いかな?参考までにの話ではあるんだけれど一応想定では僕の最後の夜──つまり、ハイネの部屋で眠りについた日だね。そこから2、3日程度が経過した頃合いを考えてるよ、とだけ伝えておこうかな。
あの夜に不調でボロボロだったところを見せちゃってるって事もあるし、手入れと様子見目的でハイネの方から僕の部屋に来る流れの方が良いのかなとも思うけれど、折角ハイネ相手に素を曝け出せるようになって手紙を出すのもやぶさかじゃ無いから、希望があれば言ってもらえると嬉しいかな。
>グレン(>>1354)
ハイこんばんわァ。こっちも今夜の案内役で失礼するわな。
こっちこそえらいおおきに、楽しんでもらえて良かったわ。俺らも新鮮でおもろうて、ひと月がホンマあっちゅぅ間に感じたわ。またかわええピアニストにもよろしゅう伝えといてな。
さて、イベントから本編バックの一発目は俳優くんの方やね。無論ハイネは君を気に掛けるやろからお話の始め方はどっちゃでもええねんけど、折角やから素裸ンなった君のお手紙見してもらおかな。他に何かあったり、やっぱりこっちから出向いた方が良ければそうさしてもらうから遠慮せんと言うてなあ。
>レンブラント( >1355 )
あの娘も弟くんと話して君のこと気になっているみたいだし、次の次くらいには声がかかるんじゃ無いかなぁ。純粋な子だから、悪戯は程々にしてあげてね。
ハイネに手紙出させて貰ったけれど、繋げにくいとかもっと情報が欲しいとか、何かがあったら遠慮無く伝えてね。嗚呼そうだ、こっちは何も無ければ返信不要だよ。
****
>ハイネ
( 情けない姿を晒し、ダークエルフの隣で眠りについた日から数日。食事も睡眠も十全とまではいかないまでも取れるようになったからか、未だ着飾る事が出来るほどの余裕は無いけれども多少なりとも見目に気を使う事が出来るまでの回復を見せたのはきっと彼に受け入れられたから。ふと視界が指輪を捉えれば、頭に浮かぶのはあの夜から姿の見えない彼の事。一度気になってしまえばその事ばかり頭に残るのは相変わらずだが、変わったのは行動に移すところか。人に見せないように、人が望む姿でいれるように、そう生きてきたが彼には面倒臭い姿を見せてしまったのだから我儘を言ったところで今更評価が変わる事はないだろう。この前のお礼を言えていない等言い訳という名の理由を挙げ始めればキリが無いが、あまり長く書き連ねてもくどく見えるだろうか。そんな考えに至れば、紙に書き出したのは 『 寂しい。会いたい 』 だなんて簡素な文。紙に綴られる文字は先日残したメモ書きと変わらぬ不揃いで不格好なもの。ペンをテーブルへと置き視線を上げたところで世話を焼きに来たのか、はたまた様子を見に来たのか。丁度姿を現した蝶の使い魔に 「 ハイネのところまで、お願い 」 なんて言葉と共に託し。果たして彼はあんな手紙一枚で部屋を訪れてくれるだろうか、そんな思いはある一方で贔屓されているという自負もある。軽く頭を振り後ろ向きな思考を追いやってから向かうのは鏡台の前。服を着替え、完璧に見せる事は出来ずとも最低限の身嗜みだけでも整えておこうと鏡の中の自分と睨めっこを始め )
>グレン(>>1356)
……なかなか豊満に咲いたではありませんか
(温室に新たな鉢が一つ増えたのはいつ振りの事だろうか。紫、白、オレンジの同じ形をした花が瑞々しく目一杯に花弁を広げるのを見れば、ここ数日間惜しげ無く時間と手間と魔力を注いで丹精を込めた甲斐があったと満足気に呟いて。さて、後はこれを――そう次のステップに思考を移そうとした所で、きらきらと鱗粉を撒きながら自らの使い魔が運んでくれた伝言を人差し指と中指で挟んで受け取り、まるで小さな子供のような見覚えのある造形の文字にふ、と微笑を深めては用意していた大きな籠に鉢ごと収めて温室を後にして。自らのコレクションを訪問する際にノックをしない癖は相変わらず健在でカチャリと扉を開き「 御機嫌よう、俺の可愛いグレン。待ち切れなくてお手紙を書いてしまいましたか 」からかうような調子の後にくふふと含んだような笑いを零すのはそんな所も可愛らしいと評してのこと。片手に持った籠からはみ出た花達は怪物の移動に従ってふりふりと揺れ「 これらが完璧に咲くのを待っていたら遅くなってしまったのですよ 」彼の世話を忘れていたわけではなく、贈り物の準備が整うのに時間を要したのだと。そう告げながら鏡台に見当たるであろうお気に入りへと歩み寄って行くだろう)
>ジョネル(>1353)
(背筋を伸ばす己とは何とも対照的、その場に丸まってしまった彼からの視線を和やかに受け止めた一息の間の後、「――…慣れて、いるからね。」返した言葉の向き先は不条理な出来事へか、それとも題目の行為へか。どちらにしろ、“公爵家の長子”はその一言だけを告げる一瞬、苦みを含んだ目を在らぬ方へ逃がして、「それに、君の前ではいつだって美しい自分でありたいじゃないか。」だが視線を戻す時にはもういつもの穏やかな笑顔を湛えて、今は自信の陰る彼と過ごす時こそを、冗談めかして喜ぶ声で紡ぐ。――決意を告げる彼を、視線で緩やかに追う。「…ふふ。ああ、頑張っておくれ。」自分の為と言い切る彼へ嬉しそうに、しかし徐々に萎む語尾に微笑ましげに息を吹きつつエールを渡した次、何ともおどけた否定を返された事にきょとんと瞬いてから、「そう、頼もしいね。それじゃあ、上手に出来たら何かご褒美でも贈ってあげようかな。」わざと彼を子供扱いするような物言いでジョークを纏うのは、この戯れが許されると確信しての事。つまり二人過ごす夜々の内で得た、気を置かぬ信頼の顕れでもある。「……、」彼の両手が肩に乗るのを合図と、ふっと静かに瞳を閉じて自らの鼓動を意識する。――此処で彼を見てからずっと、一人きりよりも仄かに早いリズムを刻む胸。耳元に注がれる己の名を象る愛おしい声に擽ったさを覚えて、しかしその微かな動揺さえ染み付いた“慣れ”で抑え込む事に専心する。……結果として、拍動の速度は変わらず、表情もいつもの微笑みのまま。閉じた時と同じく徐に視線を起こし、すぐ傍の彼の胸へ――正しくは肺の一方へと片手を柔く添えて、「……ゆっくり息を吸って、そのまま呼吸に集中していて。」普段以上に感情を伏せたその言は、己の肩へ伝わる力、そして閉じていた瞼の裏に残る彼の口元に窺える強張りを見かねた、平静を保たせる術の忠言。彼がそれを実践するか否かは構わず、そこから五秒の沈黙を置いて目の前の冷たい耳へと唇を寄せ、「――ジョネル。」敬称を払った名を呼ぶ。…このまま本当に甘ったるく口説いてしまいたい欲も、初めて呼び捨てにする緊張も今は腹の底にすっかり圧し封じ、出来得る限り淡々とした音で。その響きの余韻が去る頃に、ゆっくりと一歩踵を退いて彼から離れ、「……如何かな、麗しの黒薔薇様方。」見上げた砂時計を通して向こう側、この“お遊び”を考えた主催者達へ静謐に、且つ丁寧に貴ぶ形で命題の合否を問う。)
>ハイネ( >1357 )
( 髪を整え薄くなり始めた隈をどうやって隠そうかと目元をなぞっている所に突然開く扉。鍵が掛かっているそれを自在に開き室内へと踏み入れる事のできる人物など一人しか思い当たらず、鏡越しにその姿を視界の中へと捉えれば 「 だって、あの日も起きたら居なかったから 」 揶揄うような様子に態とらしく子供が拗ねたように頬を膨らませて見せるも、直ぐに緩んだ笑みへと変化する辺り彼に対して何かしらの文句があった訳では無く、ただただ戯れの一環だと伝わるだろうか。こちらへと歩み寄って来る彼の手元にある色とりどりの花が見え隠れする籠の存在に気が付けば 「 それなぁに? 」 くるりと振り向き、首を傾げつつも視線は綺麗に花弁を広げているそれへと注いで。腰掛けているスツールから立ち上がる事はせずに彼が近付いてくるのを待つのは小さな甘えであり、彼が己を拒む事がないと分かっているが故の信頼の証。距離が縮まってくると同時、生まれる身長差から視線を斜め上へと持ち上げて 「 俺のためにハイネが育ててくれたの? 」 彼の口振りから察するに間違いは無いだろう事を敢えて問い掛けるのは愛情を求めるが故の試し行為のようにも映るだろうか。問い掛けへの返答がどちらであったとしても、小さな差異は生まれるだろうけれども携えた緩い笑みは彼が部屋へと訪れてくれた嬉しさから消える事は無いはずで )
>グルース(>>1358)
(ただ名前を呼ぶだけなのに、喉の筋肉がきゅぅっと収縮して胸が詰まるような息苦しさを覚える。しかしそれはただ辛いだけの苦痛の類ではなく、どこか癖になってしまいそうな大変蠱惑的な甘い痛みで。双肩に置いた手はそのまま耳へ寄せていた顔だけを引き彼の様子をちらと観察すれば、そこには憎らしい程不変の微笑み「 ――――、 」ずき、と感じたそれは幻肢痛にも似て、今度のは二度と味わいたくないと感じる骨身に染みるような心痛。ただ呼ぶだけの側がこんなに心乱れているというのに、彼の方はそうではなかった――歳とは不相応な落ち着きを纏う少年の精神が如何に成熟しているか過ごしてきた時間の中で重々解っていた筈なのに、ただその事実が自分と彼の熱量の差異に思えてしまって文字通り喉を詰まらせてパッと目を逸らし。諭すように呼吸を導く言葉もネガティブの渦に巻き込まれつつある自分にはいやに冷静に、否冷徹に聞こえてしまう始末。彼はただ、この部屋から出るという目的を果たすためだけにこの屋敷で初めて敬称を取り除いた自身の名を――喉から手が出るほど欲しかったその音が甘い響きではなく冷淡な音で聴こえた瞬間、無意識にぎゅっと肩を掴む手に力が込もり「 ……ッ、 」こんな形で呼ばれたくはなかった。そんな幼稚で益体もない期待や願いが二度と叶わないと知れば表情を歪めて性急な仕草でまたその場にしゃがみ込み、顔を隠すように俯けて「 無理…まじで無理…… 」愛しいひとの死を天秤にかけられて尚、未熟な精神をコントロール出来ない自分が心底憎たらしい。黒薔薇は獲物の問い掛けに応えるように死神の頭上にのみハラハラと数枚の黒い花弁を降らせる、それは死神の方だけが脱出要件を満たしていないことを静かに残酷に示唆している。残り時間は約半分といったところだろうか)
>グレン(>>1359)
俺のグレンに害を及ぼさない花を探すのにまず手間取りましてね。門外漢ですが、貴方の世界の花に手を出してみようと――色々と手間が掛かりました
(目的の相手が移動しない事を察すれば先ずは鏡台に籠を置いて、身長差を埋めるために腰を曲げては空けた両手にてぎゅっと挨拶のハグを。離れる際、愛でるように額へ淡く口付けてから彼の隣、鏡台そのものに軽ぅく背を預けるようにして見下ろしながら大変婉曲的な肯定を返して。魔界の植物は簡単に人間を死に至らしめてしまうことは温室デートでの一幕からきっと彼の記憶にも新しい筈、隔絶された世界である人間界に存在するものを取り寄せた事、また世界線が違う故に入手から育成まで大変な苦労が生じたであろう事を匂わせてから「 それもこれも、全て貴方だけの為ですよ。グレン 」今度は直接的な肯定をやや得意げな微笑みと共に贈って。そして籠の中から溢れ出るような紫、白、オレンジの花々に視線を移し「 オステオスペルマム。ご存知ですか? 」指先で少し触れた程度では花弁を散らそう筈もなく最早強かに咲き誇るような一輪をそっと撫ぜてから続けて「 心身共に健やかに、と。そういった意味の花だそうですよ 」多少爺臭い意味合いの花言葉を選んだのは、蓋しそれが怪物の今の心からの願いであるから。ダークエルフからすれば途轍もない短命種たる彼が、せめて四百四病の外にて屋敷での生を送れるようにと)
>ハイネ( >1361 )
( 返ってきたのは考えていたよりも随分と手間暇をかけたのだろう事が伝わる肯定の言葉。ぱちぱちと瞬きを数回繰り返すのは彼が自分のコレクションとして飾り立てる訳では無く──己の部屋も飾り立てる為の対象となっているのかも知れないが、彼の言葉通り受け取るのならその手間は己の為だけに掛けてくれた事になる。その事実に緩んだ表情は更に緩み 「 ありがとう、ハイネ 」 スツールに座したまま彼の双眸を見上げ、浮かべる笑みは先日の一件までの創られたものでは無く目尻の垂れた綻んだもので。彼の指先が花弁に触れると同時、再度視線を花へと送り 「 楽屋花で何度か見かけた事はあるよ 」 しっかりと観察をすれば遠くなりつつある記憶の中で見かけた覚えはあるものの、果たしてそれらはここまで見事に咲いていただろうか。それ以前に彼に告げられるまで花の意味は愚か、花の名前すらも知らなかったのだから。スツールから立ち上がり彼の正面に回り込んで、ぎゅうと抱き付いて 「 俺のこと気に掛けてくれるだけでも嬉しいのに、花もありがとう 」 然程学が無いが為に紡ぎ出せるのはどうしても率直な感情ばかりになってしまう事が恨めしい。一度冷たい体温へと擦り寄ってから彼の首元へと回した腕はそのままに上体を僅かに離して視線を交え 「 今夜は?時間まだある? 」 特段何かをしたい訳では無いものの、一目会ってしまえばもう少し共に時間を過ごしたいなんて欲が湧き出てくる。ただ、忙しい彼の邪魔をしたい訳でも無く窺うような視線を送る瞳をゆらり揺らして )
>ジョネル(>1360)
(問いに答えた花弁達は、しゃがんでしまった彼の頭上に。それが意味する事は明白で、しかしその応答以上に耳へ届いた彼の呟きに胸はぎりぎりと痛んで、己が表情を悲哀に曇らせる。「……ごめんね。嫌な思いをさせてしまった。」両膝を床へと落とし目線を合わせて、面持ち同様弱り陰った音で詫びながら、そっと髪に積もる黒い花の欠片を掌で払う。そのまま指でシナモン色の毛先を何度か梳いた後、俯く彼の頭を自らの腕の内に囲って、両手は己よりずっと大きなその身に回して。「…落ち着けるまで、こうしていようか。」時間が決められている以上、あまり悠長にしてはいられない。けれども今は己が傷付けた彼の痛みに寄り添い、その背にぽんぽんと優しく掌を当て、努めて穏やかに慰めを紡ぐ。「それとも、何かしてほしい事があったりするかい。」泣いた愛し子をあやすように、その旋毛へと静かにキスを降らせて、「大事な君の願いなら、何だって叶えてあげるよ。」彼に問う声、彼を慈しむ言の葉は至極寛容で柔らかな音色。「……君の言葉を聞かせておくれ、」その底にほんの少し滲んだ掠れと共に、頬を髪に埋めて、「――ジョネル。」もう一度、名を呼ぶ。それは、胸焼けしそうな程に甘ったるい声。先程抑え込んだ分だけ溢れ返った慕情と恋情で蜜浸けにするような、ともすれば閨で睦む誘いにも似ている、口説く以上に相手を蕩かさんとする切ない音。「ねえ、」彼の顔が間近に添う胸からは、きっと声と同じだけの熱を帯びて早鐘を打ち、彼への想いを捲し立てている。――題目が無ければこんなもの。名を口にするだけで少年の全身が、“君に恋をしている”と、“君を愛したい”と。こんなにも真っ正直に、慎みも臆面も何処かに追いやってわんわん喚き散らす。「……ジョネル、」ぎゅっと両手に力が籠る。微笑む頬も囁きを受けた耳も、僅かに赤色が兆している。言われなければそもそも隠すつもりなんて微塵も無いものだから、返答を促すだけの呼称にも、慰撫を含めて注ぐ視線にも、溺れる甘さを増していく。)
>グレン(>>1362)
(顔が良いというだけで喜怒哀楽どの表情も味の違う輝きを見せてくれるが、矢張り感情や心が備わっている以上怪物から見ても手放しに愛らしいと感じるのは喜の色だろうか。肩肘張って相手に魅せようとする笑みではなく、鍍金の奥のもっともっと柔らかい部分から零れ落ちたようなそれに満足気に顎を引くようにして浅く頷き「 きちんとお水をあげるのですよ 」鉢ごと持ってきたのは孤独を嫌う彼の同居人としての役割を担わせる為でもあったらしい。物言わぬ人畜無害な花相手にはきっと流石の自分も妬けてしまうことはないだろうと「 お返しは急ぎませんからね 」密着する体温を受け止めその背をゆっくりと往復するように撫でながらどこか戯けた調子で穏やかに告げる、それは見返りを求めているでも至極当然なギブアンドテイクを要求するでもなく、自己評価の低い彼にあれもこれも与え過ぎてばかりではそれはそれでいつか彼を腐らせてしまうかもしれないと勘案しているから。きっと与えられるだけではなく自ら人に与えてこそ生きるのに不可欠な充足感を得られるのだと、長く生きた怪物は無粋にそれを言葉にする事はせず只のんびりと待つという緩やかさを持って視線を合わせては頬をするりと撫で「 お馬鹿さんですね。俺が貴方に顔だけ見せて帰った事がありますか 」美丈夫の前では鳴りを潜める口の悪さが顔を覗かせるも、甘やかすような声色は刺々しさを削り球体を超えてとろりと流れるような蜜に変えて「 星か、花か、水か――あるいは紙か。今夜じっくりと眺めるならどの気分ですか 」頬を滑って顎先で止まる指先にくいと力を込め、じっと見つめてはそっと口付けて「 ……それとも、お部屋でたっぷり俺に甘やかされたいですか 」ちょん、と鼻先に触れた指先を眺めながら付け加えた選択肢ははっきりと冗談めいて)
>グルース(>>1363)
優しく、すんなよ
(誰にでも、そう付け加える事は喉が震えて能わなかった。髪に触れてくれる手、身体以上に大きなもので包まれているように感じる抱擁、どれもこれも壊れ物を扱うような優しさだがそれを向けてもらえる対象が一つでないのならそんなもの要らないと振り払ってしまいたいのに、焼け爛れショートした思考回路の奥で往生際悪く狂おしいほど嬉々とした火花を散らす感情が邪魔をする。願いを、どこまでも自分の事を考えてくれる彼の促しに一度くっと喉を鳴らしてから「 俺以外の誰にも。そんな風に言うなよ 」いつもよりぶっきらぼうな口調になるのはその分だけ死神の余裕の欠如を白日に晒して「 みんなもグルースのこと、好きになっちゃうじゃんか 」自分の好意を明らかにしてしまうような言い回しになってしまったのは勿論無意識、ぐちゃぐちゃな精神は彼に甘く名前を呼ばれた事でついに決壊するようにぼろぼろと溢れる涙の数に比例してどれほど自分が彼の事を好きで執着しているか、それだけを加速度的にクリアにしていく「 こんな風に…、…ッ、きみがいなきゃ何にもできねえおれに、すんなよお 」懸命に声の震えを抑えようとはするが堤防の無くなった感情の波は濁流となって脳を埋め尽くし、それでも情けない泣き顔を見られたくなくて嫌々をする子どものように両手で顔を隠そうとする。文字通り、彼を失えば生きてゆけない。そう感じているのは自分だけだと、自分だけが彼の手でこんなにも情けない男に変えられてしまったのだと。刻一刻と寿命を擦り減らしてゆく砂時計を気にすることも忘れて、小さくなってひぐひぐと泣きじゃくり)
>ハイネ( >1364 )
うん、ちゃんと世話するよ
( 元より贈り物の類は大事に保管をする質ではあるものの、それが己を受け入れてくれた彼が手ずから育て咲かせてくれた物となれば尚更。鉢をどこへ飾ろうか、世話をするならば手の届きやすい場所にしよう等背を撫でられる感覚を甘受しながら思考を巡らせていれば耳に届く声に僅かに首を傾げた後 「 !ふふ、期待してて 」 ぱあと表情を輝かせる様は親に頼まれ事をされた子供が喜ぶ様に似ているだろうか。きっと彼は本当に対価となる物を要求する気は無いのだろうが、与えられるだけでは無く求められる事が少なかった身からしてみれば至極嬉しい事で。頬に感じる冷たい指の感触にじいと視線を金の瞳へと注ぎ 「 忙しいなら邪魔したら駄目かなって 」 棘の無い甘やかすような口調が心地良く、ゆるり双眸を緩めたのも僅かな間「 俺が選ぶのが苦手なの知ってるでしょ 」 口付けをされた後にむくれるのは提示された選択肢の多さ故。屋敷に拐かされ彼と出会ってからというもの “ 選ぶ ” という行為をする事自体は増えてきたものの慣れないもので、許されるのであればその行為自体を放棄してしまいたいもののそうしないのは彼が己に意思表示が出来ない人形である事を望まないことを知っているから。視線を逸らし思案顔を浮かべる事たっぷり数分 「 …………ハイネの事もっと知りたい、とかは駄目? 」 再び視線を交え大真面目な声色で紡ぎ出すのは彼が提示した選択肢外の答え 「 お返しするにしても俺、ハイネの好きなものとか何も知らないしさ 」 事実この屋敷に訪れてから共に過ごす時間は重ねていれど、彼自身の話をした事は記憶が確かであれば殆ど無かったはず。言い訳にでも使ってくれとばかりに視界の隅に捉えたままの花へと目を遣ってから、おねだりをするように彼へと視線を戻して。快諾されたならばソファなりなんなりに移動して話をするつもりだが果たして )
>グレン(>>1366)
ええ、とっても楽しみにしています。俺の永い生に貴方の手で彩りを加えて下さい
(矢張りこうして見れば年相応の少年なのだと、無邪気な笑みを見て抱いた素直な感想がそれだった。人間の平均寿命から鑑みると彼の年齢は少年と呼ぶには行き過ぎているという感覚はあれど、数千年の鼓動を刻む怪物からすればそれはまさに些末な誤差。鎧を纏ったままではこの笑顔を見ることは叶わなかったのかもしれないと頭の片隅で思考しながらやや大仰な詠うような口振りで期待を寄せて。「 おや、聞き分けの良い振りがお上手で 」振り、と揶揄するように取り付けたのはここ数夜の彼の様子から例え去ろうとしてもまだ行かないでと裾を握る姿が容易に想像できたから「 ええ。だからこそ訓練が必要でしょう 」予め伝えてある通り、自らの意志で思考し選択し屋敷での身の振り方を決める、そんな活きの良い獲物が好みなのは事実。ゆえに安易に彼を甘やかして選択肢を狭めることは即ち己が彼に食傷気味になるまでの期間を早めてしまう事に繋がるため、まるで調教師さながら根気良く繰り返し選択肢を突き付けると伝えては労うように髪を撫でつつ彼の考えがまとまるのを待って「 ……いいえ、駄目ではありませんよ。ただ、よいのですか? 」想定外の提案が来ればぱち、と一度大きく瞬くもむしろ予想外を悦ぶようにふと眦を緩めて。そうして、ぬうっと顔を寄せては眉をハの字に曲げつつも口元にはどこか悪戯っぽい微笑を浮かべ「 話し込むと長いですよ、俺は。途中で逃がしたりしませんからね 」種族への誇りはそっくりそのまま屹立する巨峰のような自尊心を醸成しており、自分の事を語ってほしいだなんてお願いはまさに願ったり叶ったり。至極ご機嫌そうにソファーへと向かえば、舞う数匹の蝶が指示されずとも彼が贔屓にしている魔界の茶葉で紅茶の準備を始めて。屋敷の生活に慣れた彼もきっと好きな物を頼むだろうと今更促しはしないまま「 さて、何からお話しましょうか? 」どっかりと深く腰掛け長い脚を不遜に組み上げ、両手は腹の上で指を絡ませるように重ね合わせてはもう少し具体的なお題を要求するように視線を投げて)
>ハイネ( >1367 )
これでも役者だからね。偽るのは得意だよ
( 揶揄うような言葉尻に特段引っ掛かる事が無いのはもし彼がこのまま部屋を去ろうものなら “ 聞き分けの良いグレン ” を演じる事になるだろうなんて未来は容易に想像が出来るから。無論本心を包み隠さず曝け出してしまった彼相手に上手く誤魔化せる気はしない為に、このまま帰るとでも言われればきっと嫌だ嫌だと駄々を捏ねる事になるのだろうが。「 だからって選択肢が多いじゃんか 」 己のことを思っての事だと頭では分かっている為に紡ぎ出す文句はぶつぶつと口の中で呟くような小さなもの。髪を撫でる手には気が付いているのか付いていないのか、気が付いていたのだとしても思案の最中故に大した反応をすることも無いまま。返答の歯切れの悪さに落ち込んだような素振りを見せるものの、口調とは裏腹、悦びが漏れ出ているように細められる瞳と問い掛けに首を傾げ、次に瞳を瞬かせるのは己の番。他者の振る舞いを見て、話を聞いて様々な顔を作り上げてきた身としてはどれだけ長い話であろうと苦痛に感じる事は無く。況してや己から聞きたいと言い出した彼の話であれば幼少から今に至るまでの話であろうと尚更の事。喜色を隠す事なく綻んだ表情を浮かべて 「 つまり、話をしている間は俺のところに居てくれる訳でしょ? 」 ソファへと向かう彼の後に着いて向かうのは彼が座す場の真正面に位置する席。何も考えずに隣に腰を下ろしたとて許されるだろうが、話 言葉を交わすのであればこの位置が丁度いいだろうと。彼の飲み物を用意し終えたあと、こちらの様子を伺うように留まる蝶は普段からよく世話を焼きに来てくれる個体だろうか。僅かに悩む素振りを見せるのはお気に入りや好みといった概念が無いが故に気分に任せているがためのこと 「 コーヒーをお願い出来るかな。ミルクと蜂蜜の入った甘いやつ 」 視線を一度そちらへと向けてお願いをしてから、真正面へと座る彼へと行き先を戻し 「 そうだなぁ……手始めにハイネの好きな物は? 」 話題の選別に悩むのは果たして何処まで踏み込む事を許されるかの線引きを決めかねるため。彼の事だから拒絶する事はないだろうと思いつつも、一足飛びに踏み込み過ぎて拒まれでもしたら。そんな風な考えが脳裏をよぎるのは己が弱い証か。彼と過ごす夜が今夜で終わる訳ではないのだから、許される範囲を手探りで進めていこうと。テーブルの上へと用意されたマグへと手を伸ばし、優しい色をする液体をこくりと一口飲み込んで )
>ジョネル(>1365)
(まるで此方を突っぱねる言葉、余裕無くぞんざいになっていく彼の物言い。それを只々優しい相槌で受け入れていたが、「―――っ、」やがて涙と共に溢れだした彼の心に、目を見開いて息を詰めた後、「……あのね、ジョネル、」頬を薔薇色に弛め、先ほどと同じ甘さで死神に呼び掛ける。「僕は、他の誰でもない君だからこそ、言葉を尽くしてしまうんだ。君の笑顔が見たくて、君に頼ってほしくて…僕に惹かれてほしくて、寝ても覚めても君の事を考えている。」それから嗚咽に小さく跳ねる彼の背をゆっくりと繰り返し撫で下ろしながら、子供に寝物語を謳う親にも似た、柔らかく密やかな声で此方からも想いを伝える。「……君が、君だけが、僕をこんなにも突き動かすんだ。」音にも、吐息にも、熱が滲んで。背を撫でる手は止まり、代わりに抱き締める腕へ力が籠る。「――自惚れて、愛しいひと。僕の全ては、君の為にある。」切ない程に掠れた色。博愛でも慈愛でもない、ただ一人に向ける、胸を締めてやまない恋心。…一度告げてしまえば、もう止まれない。「…だから。もっと甘えておいで、ジョネル。」するり、解いた掌の一つが、覆われた彼の頬へ。手の甲越しにそっと其処をなぞった後、そのままゆっくり顔を近付け、「僕にとびっきり、ダメにされておくれよ。」土砂崩れでも起こしたような激しい感情の何もかもを詰め込んだ、蜂蜜よりも濃厚な情愛を纏う口付けを、涙を隠す手の甲越しに彼の唇へと贈る。その続け様、「――愛しているよ、僕の運命。」一音一音大切に、艶すら匂わせる囁きを傍の耳へと注いだ後。ことんと寄り添わせた頭同士、その互いの髪を混ぜるように緩く擦り合わせ、「……ああ、やっぱり黒薔薇達が用意した時間だけでは、君への想いを語るには足りないね。」そのまま見上げた先の砂時計。その残り時間を数えては心底口惜しそうに眉を下げ、年相応に少しばかり拗ねた調子で一人呟きを零す。)
>グレン、グルース
今晩わ、えらい待たせてしもてご免な。はよ連絡せなせな思とったんやけど、中々時間が取れんで…堪忍。背後事情で申し訳ないんやけどもうちょいの間忌引取らせてもらわなあかんくてな、こっからまた1週間くらいは掛かりそやねん。本編で言うか宝箱で言うか迷てんけど、伝言気付かれんかったらあかんな思てこっちにした。本編の流れ切ってもうてえらい堪忍な。新しい住人の準備も出来とるし、お二人さんとの夜は毎回楽しいからすぐにでもお返事考えたいんやけど、時間もなけりゃ頭の余裕ものうて…情けないんやけど、もうちょい待っといてもらえたら嬉しい、ちゅう伝言な。お返事は不要やで。
>グレン(>>1368)
(時間を拘束されることが喜ばしいと言いたげな表情と共に放たれた確認に似た言葉には“ ふふ ”と絆されたような色合いの微笑を零すに留め、問を投げられるのを待つ間に彼の分のドリンクを準備してゆく蝶の使い魔を見つめる。その眼差しは慰撫の類ではなく宛ら部下の仕事振りを監視する上司のような厳しさを宿して、それでもリクエスト通りのアウトプットを依頼主に滞りなく給仕出来た姿にはふと微笑ましそうに瞼を閉じて浅く頷いて。そこで与えられた最初の質問に、ふむと長い指を自らの顎に添え悩む仕草を一瞬「 ……俺自身? 」きり、とキメ顔にて届けた明快な回答は本気とも冗談とも判別できず、手を顎からティーカップへと移動させながら「 この屋敷の中でしたら、継ぎ接ぎのシャルロット嬢と哀れな死神ジョネル、俺の囲うコレクションとそれらが遺していったモノ。それから…気に入っている場所も幾つかありますが、貴方は今夜それを選びませんでしたから先の楽しみに内緒にしておきます 」決して早口ではないが悩む間もなくすらすらと淀みなく流れゆく言葉たちは、それだけダークエルフの心の中に“好きな物”として確固たる地位を築いているが故。無論現コレクションである彼もその内の一つで、遺物に関してはもしかしたら怪物の自室に統一性無く飾られた数々のアイテムを指すのかもしれない。言い終えて此方も一口分の紅茶で喉を潤し、カチャリとソーサーに戻してから今度はどこか遠くを眺めるような目つきで再度口を開き「 屋敷の外でしたら…俺の故郷。美しい森林とその最奥にそびえ立つ大樹、多彩な色を咲かせて久遠の恵みたる蜜を滴らせる花――ああ、もう一度口にしたいと何度思った事か 」表情は夢想が燻らせた熱に仄かに浮かされたように僅かに蕩ける。叙情詩のように紡がれたそれらには怪物のルーツを辿るヒントが図らずもふんだんに含まれているが、秘密にするどころか寧ろあれこれ聴いてくれと言わんばかりに惜しみなく、そして快く想い出を振り返っている事が微熱っぽくも穏やかさに満ちた表情にありありと映し出されていて)
***
交流中に失礼します。案内役から取り急ぎ連絡させていただきましたが、今夜からまた普段通りに屋敷は稼働いたします。お返事を待たせてしまって…寂しがり屋のグレンには一等悪いことをしてしまいましたね。帰還の挨拶をと思っただけですので、此方へのお返事は結構。今後とも、よろしくお願いしますね。
>グルース(>>1369)
(背中をさすってくれる温もりも、きっと自分の為だけに紡いでくれているのであろう言葉も、途中までは全てが夢の中の出来事のようで全く理解が追いつかなかった。やがて熱さすら感じる抱擁にしゃくり上げていた呼吸は漸く静けさを取り戻し「 ……自惚れて、いいの? 」四六時中恋い焦がれ抜いた相手だからこそ、言葉に宿る甘さが大勢に向けられるそれではなくジョネルという個にのみ捧げられた特別な温度を持つものだと判別がついて。しかし、くっと息を詰まらせたように喉が鳴ったのはどうしようもない自分の欠陥が相手を傷付けてしまうことを心から恐れたから「 でも俺、忘れちゃうかもしんないんだよ?…その度に、グルースに嫌な思いをさせちゃうかもしんないんだよ、 」壊れかけていた心で思考を組み立てられるだけの冷静さを取り戻せたのは偏に大好きな少年のお陰。彼の甘く包みこんでくれるような言葉にこれまで何度でも心のヒビ割れを修復してもらったのだろう、耳の直ぐ近くで鼓膜を蕩かすような愛の言葉に先程までとは180度意味合いの異なる涙がじわりと浮かんで「 俺だって…、俺のほうが絶対愛してる 」流れ落ちるのを堪えながら、此方からもすり、と一度だけ頭を擦り寄せて。その直後、ハラハラと止め処なく舞い散る無数の黒い薔薇の花弁に気付いて彼に倣うように虚空を見上げる。部屋全体を徐々に埋め尽くす勢いで降り積もってゆく夥しい数の艷やかな黒色と、もう5分かそこらしか残されていないであろう砂時計を視認してから少年に視線を戻し「 ……もっかい、お願いできる? 」この先二人の関係がどうなろうとも、今ここで、自分の責任で彼の命を終わらせてしまっていいわけがないと。少し赤みを帯びた目元に決意に似た何かを宿し、再度その愛しい声で名を呼ばれる事を請うて「 …あと出来ればアドバイスも 」自信なさげに付け足した要求は何とも締まらないものだが、自分が格好を付けるよりも成功確率を上げる事に重きを置いているため特段の羞恥は感じさせない眼差しで変わらず彼を見つめて)
***
お話中にメンゴ。急に案内役引っ張り出しちゃって悪かったね、もう色々片付いたからまたお屋敷を動かせるようになったよ。めちゃくちゃ佳境!って感じのトコでほんと間が悪い事しちゃって…申し訳ない。取り敢えずただいまーって事で、お返事はイベント宛だけで大丈夫だからね。これからもよろしく!
>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:レンブラント ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
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▼ 世界観・ルール ▼
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●グルース × ジョネル ⇒ 【 >>1372 】 ※ゲリライベント「明晰夢の廻廊」発生中
●グレン × ハイネ ⇒ 【 >>1371 】
▼ 日常イベント ▼
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>ハイネ( >1371 )
そう、ハイネ自身の。
( 興味津々といった様子で小さく頷き、その後はまるで小さな事であろうと聞き逃さないように耳を欹てるのは他者の様子を伺い、学んできた経験故の事か。手元に紙とペンがあれば走り書きにでもメモ取るような勢いで耳を傾けて。出てきた固有名詞は屋敷の住人の名だろうか。シャルロットにジョネル、声として紡ぎ出す事はせずとも頭で繰り返すのは記憶の中へとメモ書きを残し、後日にでも己の知らない彼の話が聞けるかと思考を巡らせた為。“ 俺の事は? ” なんて無粋な質問を投げかける事をしないのは、彼から十二分に大切に扱われているのだとささやかながらその自覚が出てきた証だろう 「 …ふふ、お気に入りの場所も知りたいから今度案内してよ 」 きっと先の約束になるだろう言葉は饒舌な彼の声が途切れた隙間にするりと滑り込ませるように。どこか懐かしむような目元からか、詳細に紡ぎ出される言葉からか。そのどちらだとしても目の前に情景が浮かび上がってくるような彼の故郷の様子に緩い笑みを浮かべていたものの、引っ掛かったのはその結び。アニメや漫画であれば頭上にクエスチョンマークが浮かび上がっているであろう程に首を傾げて「 ?帰ったら良いんじゃないの? 」 有無を言う暇さえ無くこの屋敷へと連れて来られた己とは異なり、ここに住まう人ならざる者たちは自分の意志でこの場に居るのではないのか。そんな考えから浮かんでくる率直な疑問を真っ直ぐに瞳を見つめながら投げかけて )
****
お帰りなさい、ハイネ。ふふ、寂しくなかったって言ったら嘘になっちゃうけれど、待ってる時間も好きだから気にしないでよ。
返事は要らないって言われてたけど、無理は禁物だからねって伝えておきたくて俺も出てきちゃった。返事の必要は無いよ、とだけ。俺の方こそこれからもよろしくね。
>ジョネル(>1372)
…うん。
(己の言葉をやっと問い返した彼に、優しい肯定を。それでも不安そうな、怯えたような声へ、「…大丈夫。」もう一度背を撫で擦って、その憂慮を包む。「忘れたって、僕は愛しい記憶を再演出来る事に喜ぶだけさ。…それとも君は、新しい想い出を作る方が好みかな。」温もりを失ったならまた分けて、蜜を零したならまた注ぐ。…彼の望むまま求めるまま、幾度でも。欠け落ちるものを埋める事さえ“己の愛”の内と、平等を謳っていた際限無い慈愛の熱量を穏やかに、けれども甘ったるい音でたった一人へと紡ぐ。――彼からの愛の応答。歓喜は熱く潤む目元に濃縮された。「…勿論。」確かな覚悟を宿した彼の瞳。それを真正面から受け止めて、此方も固めた意志の下、静かに頷く。「任せておくれ。…短時間平静でいるだけなら、何かで気を紛らわすのが一番簡単かな。」それから求められた助言を、いつもの悠然たる微笑みと共に彼へと渡す。「例えば、さっき伝えたように呼吸に集中する。あとは、そうだね…物を数えるのも良い手だ。この場合、心音や秒数が最たる例だけれど…」宛ら教師が如く、すらすらと淀み無い物言い。それに加え、自らの胸元をとんとんと軽く叩く指先で示したり、掌で砂時計を差したりと、教えの具体案を身振りで語るその手の中央へ、降り積もる黒色の一枚が舞い下りる。その花弁を拒む事無く指の腹で表をなぞり、「…此処なら、この子達も候補だね。」それさえ助言の内に汲み入れてから、ふうっと吐息の微風で群れの中へ帰して。「何れにしても、頭の内でゆっくり行う事がコツさ。…名を呼ぶ時も、呼ばれる時も。ずっと、ゆっくり、ね。」手短な助言の骨子、意識の焦点をずらす術の肝を言葉の締めとした後。「君なら出来るよ、大丈夫。」涙の痕跡に色付く眦へ、労りと鼓吹の口付けを。「…僕がそうしたように、“愛するひと”の為に頑張っておくれ。」それから間近と合わせた瞳を見据えながらも、悪戯っ気を含んだ言葉でもう一つ背を押す。――己自身が行った、欲や感情そのものを強引に圧し潰す術は、すっかり秘したまま。……切り替えの合図に、ゆったりとした瞬きを一度。彼が助言を熟すまでの猶予に緩慢な所作で、今度は此方からそっと肩に手を置き、また耳元へと顔を寄せる。「――ジョネル。」全ては、この先に咲く彼との未来の為。再度愛しい名を囁く声には、甘さも熱も一切封じた代わり、目的を果たすだけの凛とした冷淡を籠め、その結果をじっと待つ。)
***
おかえり。…ふふ、気にする事は無いよ。次はどんな言葉で、どんな仕草で君を甘やかしてあげようか、考える時間も結構楽しいものだったからね。
……なんて、冗談はさておき。うん、僕は大丈夫さ。君の方こそ、自分の身体と心を大事にしておくれよ。僕らにとっては代わりの居ない、一等大切なひとなのだから。
この言葉への返事は無くて構わないよ。…その代わり。これからも末永く僕らを宜しくね。
>グレン(>>1374)
貴方はお馬鹿さんですが記憶力は良いはずでしょう、行きたい場所が選べたらそれに文でも託しなさい
(星、花、水、紙。よもや選択肢に存在しなかった怪物を選ばれるとは思っておらず待ち惚けを食らったその四択を無粋に復唱することはせず、役者たる彼ならば台本の暗記等々からその能力には長けているはずだと確信に似た期待を寄せて。それ、と目線で示すのはよく彼に仕えている蝶の使い魔、お任せあれとばかりにくるりと空を一回転する翅の控えめな煌めきに穏やかに眦を緩め――何ら悪意のない純粋無垢な問い掛けに無意識の内に呼吸が止まった事で表情も一瞬の間凍り付いたように見えただろうか。ふう、と一拍遅れて吐き出したそれは嘆息に近く「 帰ることが出来るのならば、今直ぐにでも。…如何に俺とて、偶には力及ばぬ事もあるのです 」魔法に造詣の深い怪物は人の身から見れば万能に見えるのかもしれないけれど、それでもその上に絶対的優位者として黒薔薇が君臨する事は曲げようのない事実であり己自身何度もその現実に打ちのめされてきた。永く生きれば生きただけ敵わぬ相手への憎悪を募り募らせ、また幾星霜の時が流れる内にその黒い炎も徐々に勢いを失い諦観の灰に沈んだのだろう。高慢ちきな怪物らしくない負けを認めるような台詞ながらも羞恥や苛立ちの類が全く伺えないのがその証拠で「 ……それに、故郷でのみ口に出来る久遠の蜜はダークエルフにとって最上位の完全食。もし手に入ってしまえば俺がグレンに飽きた時、この手で貴方を食べてやれないかもしれませんよ 」だから、あの場所へ戻れなくてもいいでしょう?――気を取り直していつもの意地悪を連ねる口調にも、どこか捨てきれぬ故郷への哀愁が微かな濁りを生む。そう、この屋敷に縛られる限り人間を食べる事でしか飢えを凌げないのだから、改めて事実を認識させられては身体のどこかに刻まれている黒薔薇の呪痕がずぐりと疼くような気がして、思わず右腕で自らの左肩辺りをぐっと掴んで)
>グルース(>>1375)
――――!
(思わず目を瞠ったのは、それが喉から手が出るほど誰かに言われたかった言葉だったから。それを世界で唯一愛したひとから与えてもらえたのだから、欠陥を抱える死神には過分もいいところの僥倖で「 …やっぱり、俺には君しかいないよ。他の誰でもない、グルースじゃなきゃダメだ 」相手が欲しがるからそれを打算で与えたわけではなく、きっと彼のそれは彼自身が身を焼かんばかりに内に飼っている愛という名の強大な何かがエゴを満たす為に放たれた言葉なのだろう。だからこそ、互いの凸凹を埋め合えるような奇跡以外の何者でもないこの縁に思わず「 今の、忘れたくないなあ 」ぽつり呟いた直後、意識がまた暗い方へ引っ張られる直前で又しても彼の落ち着いた声色が弱い死神を現実に繋ぎ止めてくれる「 ……うん。出来そうな気がしてきた 」大変理解に易しい親切な講釈に意識を集中して最後に首肯する。もう膝辺りまで黒い花弁の大海原は水位を上げてきており、しかし不思議と焦燥を感じないのは悠然な彼の立ち居振る舞いに助けられているから「 もちろん。俺やる時はやる子だからね、ダーリン 」ついにはお調子乗りの一面まで掬い上げてくれたのだから、やっぱり彼には頭が上がらない。ここにきて少しだけ口角を上げれば一度目を閉じてまたきゅっと口元を結んでから瞼を上げれば、ひらり、ひらり不規則に舞い落ちる花弁に意識を集中させる。いち、にい、さん、しい――視線で追いかけるそれらに集中するその傍らで、聖なる福音にも厳かな神の啓示にも似た音が自らの名を紡ぎ上げるのをしっかりと知覚して――しかしその間、瞬きも呼吸も全てが時を刻むのを放棄したような錯覚に陥った刹那、数える対象が虚空から消えた事で始めて花弁の雨が降り止んだ事に気がついて「 え…、 」呆けたような一音の後、ぴしりぱしりと空間の軋む音と共に壁の一面に出口が形作られてゆく。その先には見慣れた彼の自室、つまり黒薔薇の課した命題を二人でやり遂げたのだと理解が追いつかず、ただまだ彼と一緒に生きていていいのだという事だけは本能的に感じ取って思わず言葉もなくむぎゅっと彼を抱きしめて)
>ハイネ( >1376)
( この屋敷を出る事が出来ないのだ、なんて何と無くの事情を察したのは僅かに強張ったように見える表情とその言葉尻から。側から見れば然程大きな変化が見られないながらも、きゅっと眉根を寄せたのは質問をしくじったという自責の念から。「 んー……それとこれとは別問題じゃない? 」 確かに彼の言う通り己に都合の良い選択をするのならば、ここで頷くのが一番なのだろう。そう頭では分かっているものの、素直にそれが出てこないのは彼の口から出てきた言葉が本心では無いような気がしてならないから 「 それに、ハイネの事だからきっと約束は守ってくれると思ってるから 」 だから、己には大した問題では無いなんて言葉として紡ぎ出す事はせずとも、悪戯っ子のようなにんまりとした笑みを浮かべて見せて。自分にできる事は無いのだけれど思う所があるのだろう今の彼を一人にしておきたく無くて、立ち上がり彼の隣へと移動をすればまるで飼い猫が飼い主を慰めるかのように身体が触れ合う距離に腰を下ろし。何度か口を開きかけるも、慰めの言葉も腫れ物を扱うかのように別の話題を出す事も違うかと、言葉を紡ぎ出す事はせずに )
>グレン(>>1378)
……ええ、貴方が良い子にしていればきっと。
(高潔たる種族と言えどもこの屋敷に縛られていては時折今夜のように己を矮小な存在だと見紛いかけてしまう時もある、しかしそんな自身と交わした他愛のない約束が同じく屋敷に囚われた獲物の心の拠り所となるのであれば、それは何とも表現しがたい心地良さを与えてくれるまさに小さな温もりを持った愛玩動物に似て、ふと口元に静かな微笑を取り戻し「 質問が止まっていますよ。優れたインタビュアーというのは往々にして一つ一つの回答の掘り下げに長けているものです。…それとも、貴方の俺に対する興味はもう尽きる程浅かったのですか? 」湿っぽい雰囲気にしたかったわけではなく、いつの間にか感覚の無くなった左肩から手を外して代わりに彼の形の良い肩へと腕を回しながら朗らかさの返り咲きつつある声色にて、この件について踏み込まれる事を拒まないことを示すと同時に、それを彼が望まないのならば次なる問を要求する。結びには勿論、いつもの調子の余計な一言を添えて)
>ジョネル(>1377)
(愛しい名を呼んで、一呼吸。此方も花弁が晴れたのを認め、彼の方を向こうと顔を上げた――その刹那。己の身と彼の身が、ぴったりと寄り合う。「……っ、」抱き締められたのだと遅れて理解して、詰めた息と共に瞠られた目は円い微笑みへと緩やかに戻り、「…よく出来ました。」ほんの僅かな背伸び、それから肩に置いたままだった掌で淡く髪を撫でる。「うん、いい子だね。」そこに添える称賛は、親鳥を思わせるふかふかとした柔らかな色が含まれて。「……ジョネル。」ふと、踵と共に下ろした両手を彼の背中へ預け、瞳をそっと閉じる。――いつだって抱き締める側だった己は今、思慕を重ねた彼の腕にすっかりと収まっている。それで彼はこんなにも大きなひとだったのだと、知っていたのに今更になって気が付いた。「……ふふ、」落とした可笑しさの次に知覚したのは、服越しに混ざる互いの温度、そして感触。途端に高鳴り逸る心臓に思わず深い吐息を零して、色付く頬をその身体へと預けた後、「……暖かい。」ぽつり溢れた呟きと、彼にしがみつく指先。一度味わえば手放したくなくなってしまう、その苦しくも甘い、魅惑的な――恋の温もり。「……ねえ。僕、君が好きだよ。」また溢れてきたのは、彼への想い。用意していた口説き文句なんて、全部この鼓動に掻き消されてしまった。だから、特別な飾りも何も無い“少年”の言葉が彼に注がれる。「――大好き。」その最後、初恋を叶えた歓喜が滲む目元を、彼の服にこっそりと隠した。けれど、“それ”は声さえ潤ませていたから、きっと大した意味など無いだろう。「……そうだ、ご褒美を考えないと。」それから間も無く、いつもの調子を取り戻した音色は、一度目の題目挑戦に掲げた褒章の案を引っ張り出す。「物が良いかな、それとも言葉?…ああ、想い出や約束も良いかもしれないね。」ゆったり朗々と話し出すのは普段通り。しかし心音も、耳まで染める熱も未だ取り繕えてはおらず。それでも構わず紡ぐ唇が止まらないのは、どんな感情よりも彼への愛が勝って覆ってしまうから。「ほら、欲しいものを教えておくれ、」するり、冷たい頬を両手で包む。雫の残る瞳を合わせた顔には赤みが残って、貴族の優雅さも泰然も見当たらない。…ただ、その代わりに。「――僕の可愛いシナモンハニー。」何処にでも居る“恋した男の子”の屈託無い笑顔が満面に咲いて、最愛の運命をじっと見詰めていた。)
>ハイネ( >1379 )
ふふ、俺が良い子じゃ無かった時なんて無いでしょ?
( やや冗談混じりのそれは少しでも普段の彼の様子を取り戻して欲しい気持ち半分、聞き分け良くいるつもり半分と言ったところか。「 ん、……そういう訳じゃないけど 」 声色は普段通りに聞こえるものの、矢張り気にかかるのは彼の様子。覗き込むようにして顔色を窺ってしまうのは幼少からの悪癖の一つであると言えるだろう。もし言葉とは裏腹に少しでも表情に翳りが見えたのならば話題を変え、今更ながらに何処かへと連れて行って欲しいなんてねだったのだろうが思いのほか恒と変わらぬ様相に小さく笑い声を漏らして 「 そうだなぁ……この屋敷に来る前はどうやって過ごしてたの?今みたいに色々集めてた? 」 行儀の悪い行為だと自覚はあるも、手を伸ばし引き寄せるのは移動するときに向かい側へと置いて来たマグカップ。それを彼のカップの隣へと並べれば満足したように居住いを正し、続きはこの短期間で随分と落ち着く場所になった彼の隣で耳を傾けようと )
>グルース(>>1380)
(きっと彼と出会ったその日から無尽蔵の愛情を惜しみなく注がれてはいたのだろうが、不特定多数に平等に分配される博愛に似たそれでは何時しか満たされなくなっていた自分に気付いたのはきっとずっと前だったのだろう。その間もいつ少年への恋心を記憶の欠落する忌々しい体質によって奪われてしまうか分からない恐怖に怯え震える夜を幾度も乗り越え、今こうして無垢で唯一の純愛を与えてもらえる事が幸せで幸せで「 …うん、俺も好き。すき、大好き、超好き、宇宙一愛してる 」稚拙な表現しか思いつかないけれどどうか思いの丈が伝わりますようにと抱き締める腕に暖かに力を込めて。こんなに小さな身体で図体ばかり大きい自分を包み込み守ってくれる頼もしさに溢れた彼の、初めて見るような最大限の年相応の笑顔にあれこれ浮かびかけていたおねだりはどこかへ飛んでいってしまって「 グルースが欲しい。グルースの身体も心も声も言葉も全部、俺のだけにさせてよ 」頬に触れる温もりをもっともっとと強請るように片方へと顔を擦り寄せ真っ直ぐな瞳で大変贅沢な強欲を悪びれもなく晒して。許されるなら彼の額にそっとキスを落としてから出口へ導くために手を繋ごうとして「 俺の何もかも、全部君にあげるからさ。大したもの持ってないけど 」エスコートが叶ったのなら暗い亀裂を歩みながら、最も欲しかったものを得る事が出来た高揚感にふわふわと頭が浮かされる思いですっかり黒薔薇の悪戯なんて無かったことのように朗々と言葉を繋ごう)
【 今回のテーマでの脱出は成功です。何度もイベントへのご参加ありがとうございました、大変楽しませていただいてしまいました!本編でも引き続きよろしくお願いいたします。改めまして、素敵な明晰夢をありがとうございました! 】
>グレン(>>1381)
……気紛れに寄り添う猫かと思えば、怯懦として飼い主の顔色を伺う犬にも見える。
(突如脈絡なくぽつりと零した感想には、思わず吹き出してしまうのを堪えるような笑気が混じって。己自身の事を色々知りたいと思いながらも何処まで踏み込んでよいのか間合いを測り兼ねるような不器用さは真っ当なコミュニケーションに恵まれてこなかったからなのだろうか、そんな風に彼の過去へ思いを馳せてしまえばいつしか友人の死神に喰わせようと企んでいる彼の幼少の記憶に行き着いてしまいハッと短く溜息を吐いて「 先程の事なら気にしないでよいのですよ。どうせ、語る事を禁じられているのですから 」末尾にどこか突き放すような投げ遣りな色が混ざってしまったのはあの時一度は押し殺した筈の独占欲の炎がまたしてもゆらりと燃え上がりそうになるのを必死に封じ込めようとしたから。自分でも図らずしてきつい物言いになってしまった自覚はあるため、先程彼の方に回した腕にてこちらにぐいと引き寄せ無理矢理に密着させながら「 自分の事を話すのは楽しいですからね。どうぞ、何でもお聞きなさい 」耳元へ口を寄せて穏やかにいざなうような密やかな声にてNGがない事を示唆し、結びに蟀谷辺りへちゅ、と口付けて。「 俺は…、あるひとに仕えていたのです。それがダークエルフとして命を授かりし始まりの時から定められていた“ハイネ”の宿命であり、役割でした。主は気難しく礼儀に五月蝿く、…この言葉遣いもその時の名残です。長い生涯を、同じく長い命を持つ主に仕えて――そうして生の終わりを迎えるものだと、ずっと疑いようもなく毎日を送っていたのです。退屈だと感じる瞬間も時折ありましたが、……大変穏やかな日々でした 」ふたつ並んだマグとティーカップを微笑ましく感じながら、遠い遠い過去の記憶を辿って追憶の糸口を探す。少しの間を置いてそれを掴んでしまえば、後は詰まることなく物語でも聞かせるような静かな調子で答えを綴って)
>ジョネル(>1382)
(いつから“そう”だったかは解らない。ただ、彼が欲しい、彼に求められたい――そんな己らしくない我欲を自覚した一夜だけを、はっきり覚えている。その翌夜からはご覧の通り、声で、笑顔で、仕草で惜しみ無く熱烈に、けれども淑やかに“惹かれてほしい”とアプローチ。同時に恋を告白する舞台や小道具の贈り物、それに彼の使い魔達を筆頭とした外堀を埋める計画だってちゃっかり準備を進めていたのに、それら全てがこの場で総崩れ。しかし、そんな事は思考の巡りからは弾けてしまって、「…ふふ、ははっ、」今は彼の愛が存分に詰まった言葉を聞く度、熱く擽られる胸に笑い声を零すばかり。「ああ、嬉しいね。…幸せだ。」力強いのに優しい腕の内、とろり溶けてしまいそうで、ふわり舞ってしまいそうな、まるでメレンゲの羽でも生えた心地に、呟く言葉には夢うつつの色が混ざる。――ねだられたのは、自分自身。真っ直ぐで遠慮の無い答えに撃ち抜かれた心から、愛おしさが際限無く溢れ落ちて、「…もちろん。君が欲しいなら、幾らだってあげる。」見詰め返す瞳に籠った熱そのまま、自分でも驚く程に浮かれた音でそれを受け入れ、寄せられる頬を撫でた後。額の感触に幸福の吐息を小さく吹いて、繋ぐ手を此方からも柔く握る。導きに寄り添うその道中、「おや、」彼からのお返しに戯けた所作で小首を傾いで、「僕にとっては他でもない君自身こそ、幾億の星よりもこの手に捕まえたくなるひとだっていうのに。」彼が彼自身に下す謙虚の過ぎる評価を、丸々羽毛に包み込んで慈しむ。微笑ましく子を諭すようで、口説にも似た艶を帯びたそれを括った一呼吸の次、不意と差した魔に口許を悪戯の色に弛めて、「…ジョネル。今日は僕の部屋においで。面白い話を聞かせてあげる。」そう甘い誘いを掛ける。…どうせ崩れた己の計画。その全貌を伝えれば、きっともっと正しく想いが伝わるだろう。そこに現れる彼の表情は照れた朱色か、それとも驚くライムグリーンか。――その答えは箱庭を抜けた先、いつか在るかもしれない淡い夢の向こう側に。)
***
ふふ、此方こそ有り難う。楽しくてあっという間の、正しく夢のような一時だった。…本当に、こんな素敵な愛を見付けられる夜を願ってしまうほどに。
さて。物惜しいけれど、そろそろ夢から覚めなくてはね。早速お屋敷に拐われてしまおうか、と言いたい所なのだけれど…その前に、サー・ニールの手番かな。彼、サー・クォーヴとお出掛けがしたいらしいから。…ふふ、その為にお手紙も準備したそうだよ。それと時系列としては、レディ・フェロメナと過ごし始めて一週間後が良い、とも聞いたかな。
僕の初夜はその次。…折角だから、二夜続けてお話をさせてもらいたいな。そして最後にサー・レオ。僕らの指名や展開については、順番が巡る頃にまたお話しするよ。
……うん。それじゃあ、この辺りで。いつかお屋敷で言葉を交わすその夜まで、いい子で待っていておくれ、可愛いハニー。
>グルース(>>1384)
案内役じゃあないんだけど、あんまり素敵な夢だったからこのまま俺からご挨拶するね。ホントヤバいくらい幸せな夢だったよ、…なんか改まると照れくさいけど…ありがとう。
次は先輩が蛇くんと話せるのかあ、いいなあ。時系列りょーかい、わざわざお手紙まで書いてもらえるなんて先輩にジェラっちゃうね。いいもーん、俺だってダーリンとイイ夢見たしね。
その後にお話させてもらえる順番についても了解だよ、いつになったっていいからまた俺とも遊んでよね。
>ハイネ( >1383 )
( 突き放されるような物言いに後頭部を殴られたような気がするのは、息がしやすく過ごしやすいと思っていたこの場所が途端に息が詰まる気がするのは、きっとそれだけ彼に心を許していたから。きっと彼にそんなつもりは無いのだろう。分かってはいるものの、ここから先は立ち入ってくれるなと明確な線引きのように感じてしまえば、紡ぎ出そうとした言葉を拒むように喉の奥の方が閉じた感覚を覚える。半ば無理矢理のように引き寄せられた半身に感じる体温も、耳元で囁かれる穏やかな声も、顳?に触れる柔らかい感触も。その全てが己を甘やかすためのそれだと理解をしつつも、負の方向へと思考が進むのは未だ万全では無いからか。話へと耳を傾けつつ、無意識のうちに彼の服の裾をきゅっと小さく握り込むように持つのはささやかながらに現れた甘えるための行動。まるで寝物語でも読み聞かせているような調子は沈みかけていた心を話の中へと惹き込むには十分過ぎるほどで 「 ……ふふ、想像付かないなぁ 」 くすくすと小さな笑い混じりに紡ぎ出す声音は彼につられてか、やや控えめなそれで 「 ハイネはハイネのままだと思ってた 」 自身の考えを言葉に出来るほどの知識や語彙は持ち合わせておらず、きっと頭の中を覗く事が出来なければ十全に伝わる事はないだろう呟き。落ち込みかけていた気分は自分の知らない彼のことを知れる、そんな事実で持ち直す程単純で 「 ねぇ、もっと俺の知らないハイネのこと教えてよ 」 ねだるような口調は純粋な好奇心が現れ。もし彼がこちらへと視線を向けようものなら、キラキラとした青紫と視線が交わるはずで )
>ジョネル/クォーヴ(>1385)
――ばあ、なんてねぇ。丁度良い頃合いみたいだから、オレちゃんに交代するよ。…ふふ。そんな事言うならオレちゃんだって、貴方達の夢物語がとっても羨ましかったよ。公爵さんも、貴方とまた話せる夜が待ち遠しいってさ。
…うん、取り敢えず手短にこの辺で。夢の話は名残惜しいけど、この先の物語も楽しみで仕方ないからね。それじゃあ、貴方もオレちゃんも、良い夜を過ごせるよう願ってるねぇ。
***
(美しき尾の淑女と過ごし始めて一週間。栄養摂取こそまだ十全とは言えないが、目元の隈はすっかり消え去った。「…今日も綺麗だねぇ、フェロメナ。」限り無く照明を絞った暗い室内。棚の上段に仮住まう彼女の紅碧が、窓辺で揺れる白髪のカーテンにちかちか映り込む。――その色にのんびり見惚れて暫し。「……ひとに会いたいなぁ。」不意に零れ落ちた呟き。…使い魔達も淑女も、己を認識し言葉を理解しているのは解っているが、どうしても満ち足りないと、獣の性分を宿す肚の奥底から願望が洩れる。それから喉に唸りを回した後、思い付いた足が向かったのはベッド脇、備え付けのテーブルに置かれたペンとメモ用紙の元。一先ずシーツの上に腰を落ち着け、手にしたそれの一枚へインクを下ろして、いそいそとメッセージを描き出す。――『日照りで溶けちゃいそう。涼しい所連れてって。』じりじり身を焦がす寂寥を忌々しい太陽に喩えた文面は、罫線も無いのにきちりと真っ直ぐ。教科書の見本そのまま並べられた文字にも、ブレや大小が微塵たりと存在しない。そんな不気味なほど人となりが一切見えない、まるで機器の印刷のようなそれを紙を突き破らんばかりの濃い筆圧で綴り、その最後に名前を添える。「でーきたぁ。」短い文章の誤字を確認して、二つ折りにした用紙を差し出した場所は、丁度傍で作業していた使い魔の鼻先。「ねぇねぇ、このお手紙、クォーヴの所まで持ってってほしいなぁ。」己の声に振り返った使い魔を見詰め、ゆらり首を傾げつつ反応を待てば、その使い魔は了承の声の代わりに手紙を受け取った。「ふふ、宜しくねぇ。」何処かへと向かうその後ろ姿にひらり片手を振って見送り、残された己は僅かな達成感にご機嫌と、いつ聴いたとも知れないうろ覚えの童謡を鼻で奏でながらまた窓辺に舞い戻り、其処から淑女を眺めて返事を待つ。)
>グレン(>>1386)
おや、俺が万邦無比の有能な執事であったとは想像がつくでしょう?
(よく手入れの行き届いたぴかぴかの燕尾服を見せつけるように少しだけ身を離しては長い指をその胸元辺りに添えてしたり顔で同意を求める。敬語のみならず服装もその頃の影響が多分に出ている事を言外に示しながら「 貴方も俺に憧れたのなら奉仕してくれてもよいのですよ。あの夜プレゼントしたオートクチュールのメイド服でね 」あの時誂えたヘッドドレスの名残をなぞるように彼の髪に手を伸ばしそっと撫ぜて、ああ可愛かったなと記憶が蘇れば途端にまたあの姿を見たくなってしまう。いつかまた自身の贈った手作りの衣装のどれかにて出迎えてくれるのだろうか、そんな期待は甘やか且つ危うげな誘惑の声に姿を変えて「 手取り足取り、指導して差し上げますよ 」髪から輪郭を伝って顎へ、そうして喉仏から鎖骨、左胸を指先にてじっくりとなぞりながら耳元にて戯れに囁き喉奥で低く笑って。「 質問が抽象的すぎて些か回答に窮します。俺の何を知りたいのですか 」あれこれと世話を焼いてしまい結果的に無能な生徒を育ててしまう導師ではなく、きちんと相手に思考のパズルを組んでからそれを言葉に抽出させんとする教師のように、刺々しさや厳しさのまるっきり抜けた穏やかな声と表情にて宝石のような双眸を捉えて)
>ニール(>>1387)
(くる、ぐるると鳥類が嘴の奥深くで鳴らす甘えるような音だけが彩る死神の自室。自らの使い魔たるカラスの頭や身体を冷たい指の腹で慈しむように撫で、小さく柔らかなブラシで毛繕いを真似た手入れをしてやっていた最中の事。また別の個体が長細い嘴に手紙を咥えてパタパタと飛来し、主の肩へと着陸して。一時世話を中断すると、腹を見せて無防備に寝そべる犬猫のような体勢を取っていた最初のカラスに伝言係がガァガァとやっかみ、応戦するように体勢を整えたそれらが威嚇し合う様を困ったような笑みにて横目で見ながら手紙を確認する。可愛げな内容には少々不釣り合いな不気味な圧力を感じる筆致も、彼がダークエルフとのお遊びで視覚を封じられていた際に紡いだ庭園でのあの夜に機械仕掛けの獣性を一度垣間見ているからこそ妙に解釈が一致したような納得感すら覚えて「 ごめんね、続きはまた今度。喧嘩は駄目だよ 」人を喰らう怪物が跋扈する屋敷にて彼は己を選んで頼ってくれたのだから、今回の優先順位は当然使い魔よりも獲物が上回る事に。二羽から同時に抗議の鳴き声が上がるも優しく声を掛ける事でそれを御し、向かったのは彼の部屋。しかし扉ではなく窓側に回れば、翼もなく空に浮きながらまるでアルカナの逆位置の如く頭を下に足を上にして窓の外から部屋を覗き――まさかちょうど彼が窓際にいるとは思っていなかったため一度目をぱちくりさせるもすぐに目尻を垂らして微笑み「 …ばあ。死神が君を攫いに来たよ 」重力に逆らいきれないふわふわの髪がゆらゆらと夜風に靡き僅かに顔を隠すのもそのままに、次いで見覚えのない魔界の生物が視界に入れば何故そんなものが獲物の部屋に、という至極真っ当な疑問は心に仕舞ったまま「 綺麗な子だね。とっても君を好きみたいだ 」傍から見ても彼に懐いているとなぜだか伝わってくる雰囲気を纏う彼女を観察してから彼の二つの紅へと視線を戻して)
>クォーヴ(>1389)
(窓から差し込む月光が不意にふっと翳った事で、不規則に奏でられていた歌は止む。そのままぐりっと首を反らして真後ろの開いた硝子向こうを窺えば、今か今かと待ち望んだ姿と逆しまに目が合う。「わあ、」驚く声と見開く瞳はわざとらしく、「死神さんってば、おっかなぁい。」返す恐怖も彼の冗句に乗っかった形ばかりで、言葉そのものは嬉々と弛む色に染められている。そんな挨拶代わりのやり取りの後、移った話題に己も視線を淑女の方へと。「そう、良いでしょ。ハイネと遊んだ時の代価でね、ちょっとの間貸してもらってるの。」ふふん、と鼻を鳴らして自慢するような物言いは、宛らお気に入りの玩具を見せびらかす仔猫が如く。「お名前はフェロメナ。――彼女、エゴが好きなんだって。」紡いだ名に呼応するように、鮮やかな薔薇色の尾でくるり旋回したその姿を、うっとり細めた目で見詰めながら、熱の籠る吐息と共にかのダークエルフから聞いた彼女の事をそのまま口授する。それから今度は半身に振り返って彼の方を向き直して、「綺麗で、可愛いでしょ。」ついさっきの褒め言葉にもう一つ付け加えて、ゆらり首を傾げ るいつもの仕草を。それを直ぐ様戻した次、「あとさ、たまーに涼しそうで羨ましくなっちゃうんだよねぇ。オレちゃんも思いっきり水遊びしたくなるくらいさ。」くすくす笑って告げるそれは、手紙の内容にも絡めたジョーク混じりの願望と、取って付けた口実の用向き。「…ね、クォーヴ。何処か良い所知らない?」内緒話に似た音へ戯れに声を潜めつつ、彼がその答えを行動にて示す事を期待して、片手をふわり窓の外へと伸ばして差し出す。)
>ハイネ( >1388)
んー……どうせだったら、ハイネと同じような燕尾服が良いなぁ
( 決してあのメイド服が嫌なわけでは無いものの、好き好んでスカート等の類を身につける訳でもない。緩いおねだりと共に小さく首を傾げて見せて。耳に吐息がかかる程の距離から囁かれる言葉は色香を多分に孕んだそれ。髪を梳くように撫でていた手が身体を伝い下へ下へと降りていく様は、きっと違う誰かにされたのならば多少なりとも嫌悪感を抱く原因となったのだろうが、目前の彼にされるのは無論嫌な感触を覚える事はなく。むしろ喉元を通る際はほんの少し首を伸ばして触れやすいようにして。投げられた質問に対して素直に思考を働かせるものの、論理的に物事を組み立てるほどの頭は残っていないのか眉根を顰めた難しい表情を浮かべること数十秒程 「 ……全部? 」 ぽつりと呟くように落とした回答はたっぷりと時間を要したにも関わらず、大した進捗は無く。けれども決して思考を放棄したつもりも無く 「 なんて言ったらいいのかな……多分、俺の知らないハイネの事を知りたい…んだと思う 」 言葉を選ぶように途中途中に間を置きながら紡ぎ出すのは考えの一端。誰かのことをこんなにも知りたいと思ったのは初めてで、どう伝えればいいのかなんて分かるはずもなく声音に乗せたそれで彼は分かってくれるだろうか。こちらへと向けられた柔らかな輝きの宿る双眸を見上げる瞳をゆらり揺らして )
>ニール(>>1390)
ハイネが――。…ふふ、よく貸してくれたね
(素直な驚きは特別親しいわけではないにしてもダークエルフが自らの囲う品々に対して異様な程に執心している事を知っているから。後輩たるシナモン色の死神の方が彼とは近しい間柄であり、いつだったかうっかり彼の品に傷をつけかけたとかで大目玉を食らったと聞いた。彼がフェロメナを誇らしげに思うように、彼女もニールという存在を好ましく思っている事を如実に示す薔薇色。この屋敷のあちこちを夥しいほど埋め尽くす黒薔薇にすっかり目が慣れてしまった怪物には本来の色彩であるそれが大変眩しく思えたのか微かに目を細めて、しかし表情は依然として凪いだ湖面のように静謐で穏やかに「 そういえば、目の調子は――僕のこと、きちんと見えてるかな? 」ゆったりと羽根が空中を舞うように天地をひっくり返し、窓枠へと近寄りながら二つの紅をじっと見つめて僅かに首を傾げて。水遊び、とそのリクエストを一先ず額面通りに受け取れば、故意か否か焦らすように伸ばされた片手を自らのそれで迎えてゆるゆると指を絡めるだけに留め「 黒い茨の森を進むとね、丁度ニールの瞳みたいに真紅に染まった湖があるんだよ。けれどそこの水は少し“ヒト”には刺激が強いから、水遊びには向かないね 」重力を感じさせない所作でそっと窓枠に腰掛け、繋いだ手を引き寄せることはなくただ淡く握り込み「 それか――そうだ、ニールは果物は好き? 」彼のお願いを叶えるために思考を巡らせる間、大きな月を見上げて黙すること少々。何かを思い出したかのようにぱっと表情に明朗さを宿して、きっと窓枠分彼の方が低い位置にあるであろう顔を柔らかく見下ろして)
>グレン(>>1391)
そうですねえ、…貴方には白い生地の方が似合いそうだ
(極上のキャンバスゆえ例えどんな絵を描いて何を着せようとも似合うのだろうが、重心を後ろに傾けるようにして引き目に彼の姿をまじまじ眺めながら半ば独り言のように呟いて。その後密着するような体勢へと戻れば更に接触を求めるように暖かな片手を自らの冷たいそれで捕まえて「 一度ご自身で仕立ててみては如何です?きっと良い時間潰しになりますよ、あれらも喜んで手伝うでしょう 」他意のない提案に目配せをした蝶の使い魔たちも歓迎とばかりにきらきらはたはたと羽ばたいて、そんな様を微笑ましそうにしながら引き寄せた手の甲に軽く唇を当てて。依然として漠然たる好奇心の内訳にふっと吐息するように笑って「 けれど、何でもよいわけではないのでしょう?例えば俺が現在に至るまでどんなコレクションをどう可愛がってきたかとか、他のお気に入りの話だとか――きっと貴方、やきもちを焼いてしまいますものねえ 」くつくつと意地悪そうに笑う魂胆に悪意はまるで無く、ただそんな彼の姿もきっと可愛いだろうとただ堪えきれなかった妄想が笑気となって漏れ出ただけのこと。つまり何が言いたいのか、何故こうも話題の指定を推薦するのかを伝えんと幾ばくか揺らいで見える双眸を見つめ「 俺だって、グレンを悪戯に傷付けたいわけではありません。だからきちんと意思表示をしていただかないと 」お利口な彼ならば分かってくれるだろうか、しかしそんな期待な内心に留めただ親が子を諭すような静かな優しさだけを声と眼差しに示しながらゆっくりと手を握る力を痛くない程度に強めて)
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>クォーヴ(>1892)
(淑女を語り終えて一先ず満足そうに呼吸を置き、彼とまた視線がぶつかった所に問う声。慮るように聞こえるそれへ、「見えてるよ。貴方の優しいお顔も、綺麗な目も、」簡潔な答え、続けて目尻にも口の端にも弧を描きながら、今度は正位置に合った顔を此方からもぐっと近付けて。「――そこに映ってるオレちゃんだって、ばっちりはっきり。」夜風が揺らす白髪の下、彼の瞳に己の色を覗く紅のぎらつきを隠さず晒すのは、お茶会の夜の赦しへ喜びを覚えているからこそ。――緩やかに指が組み合った手に嬉しげに、しかし続いた言葉へしょんぼりと気落ちする眉や口元を混ぜ込んだ、困り笑いの顔を練り付け、「そっか、残念。…でも、いつか見たいねぇ。オレちゃんと同じ色の湖。」いずれの夜の楽しみと、表情程の憂いを見せずにこの先の未来に期待を預ける。それから窓枠に座るその隣に並び、身体を彼と同じ室内側に向けた後、僅かに浮いた沈黙の間繋がった手をじっと見詰め、絡まる指に力を籠めたり弱めたり、手持ち無沙汰と興味津々の狭間でにぎにぎと遊んで。――やっと届いた質問の意図を読みかねたらしい、彼を見上げた頭はゆらり傾き、瞳はきょとんと丸く瞬いて。しかし直ぐにいつもの気の抜けた笑顔が形作られ、「うん、好きだよ。食べやすくって甘くて、すぐ食べられて、何にもしなくても美味しいし。」表情通りの嬉々とした音で是を返し、同時に空きっぱなしだった指を胸元で折り折り、好む理由を数えるご機嫌な仕草を。「ふふ。どうしたの、急にそんな事訊いたりして。」その音色を引き摺ったままもう一度、先程とは逆方向にかっくり首を揺らして、今度は己の方から彼に問い返した。)
>1395
>クォーヴ
***
あ、アンカー未来差しちゃってるねぇ。今気が付いた。
お返事は>1392宛てだよ。
お話出来るのに浮かれちゃって、こういうミス増えちゃってるから、一度謝りたくって出てきちゃった。…ホントごめんねぇ。この言葉にお返事はいいよ。それじゃあねぇ。
指名:クォーヴ
希望ルート:秘密の共犯者、恋愛
名前:秋天(チウティエン)
性別:男
年齢:18歳
職業:学生
性格:環境故の自立心から大人びた振る舞いをしがちだが、実際は感情表現豊かな方で年相応以上に甘えたいし甘やかしたい。周囲からの評価は健気・押しに弱いといったところで、それも間違いではないがほしいものを手に入れるための努力は惜しまないタイプ。本来は好奇心旺盛かつ人懐っこい直情的な性分で、自覚のない依存気質。虚勢を張りがちだがメンタルが強い方ではないのでつつけば簡単に崩れ落ちる脆さがある。
容姿:癖のない黒髪を無造作なセンターパートにしている。顔そのものが小さめで鼻や唇もやや小ぶり。幅の狭い平行二重と色素の濃い真っ黒の虹彩。左目の下には泣きぼくろが一つあり、若干釣り目がちなせいか無表情だと鋭い印象を与えることも。色白で体型は平凡。身長172cm。淡い水色のシャツの下にチェーンが短めのネックレスを忍ばせており、ストライプ柄のネクタイにネイビーのスラックスとごく一般的な制服姿。
備考:アジア系の顔立ちと名前だが、物心ついたときには英語圏におりとある白人女性の養子として育てられた。いきさつは一切知らされていないものの、養母には多大な恩を感じているため事情は死ぬまでに聞けたらくらいに思っている。また養母は古い貴族の末端の家系であったが、独身を貫いた上異邦人の子供を養子にする変わり者という認識をされているため親戚の集まりなどでは親子共々面倒そうな扱い受けていた。基本的には自主性を重んじてのびのびと育てられたが、将来を案じた養母が進学先だけは頑として譲らなかったため偏差値の高い全寮制のスクールへ入学し優秀な成績のまま最高学年を迎える。
ロルテスト:
( その知らせを受けたのは、授業中のことだった。担任の先生が焦った様子で僕を呼びにやって来たので、不思議に思いながら教室を出て。その場で何かを告げられるのかと思いきや、先生は廊下の隅の方まで歩を進めるとやっと僕に向き直り、恐る恐る口を開いたのだ。「お前の家に強盗か何かが侵入して、居合わせた保護者の方が……被害にあったそうだ。今日は早退して搬送先の病院へ向かう準備をして来なさい」震える足が一歩、自分の意志とは無関係に後ずさる。真っ直ぐ立っていることが難しくて、「……わかりました」なんて聞き分けの良い返事が口を出たことに内心驚愕する。僕は血の気が引いた手足になんとか鞭を入れると、寮の自室で身支度を整えた。逸る気持ちで病院へ到着し、案内された部屋にそっと足を踏み入れる。それから程なくして、母は静かに息を引き取った。「きっとあなたが来るのを待っていたのよ……」白衣の天使たちはそんなふうに僕を慰めたが、気の利いた返事はできなかった。ただうつむいて、強く奥歯を食いしばる。気を使われたのか、いつの間にか自分一人になっていた病室で母の亡骸をじっと見つめた。胸が張り裂けそうなほど苦しくて、どうにか落ち着ける方法を考える。答えは出ない。緩やかに思考を止める。そうしている間は世界も一緒に静止してくれているような気がしたが、僕の耳はほんの些細な物音を聞き漏らさなかった。
──ひらり。軽いものが床に落ちるような音。視線落とすと手紙か何かが右足の真隣に横たわっていて、一体どこから落ちたのだろうと辺りを見渡した。周囲にそれらしいテーブルや棚はない。右手に握っていたものを落としたような位置に寝そべるそれを不思議に思いつつ、緩慢な動作で拾い上げる。若干の厚みがあって、裏返しても、もう一度表を見ても、差出人どころか宛名すら書かれてはいなかった。一瞬あまりの逡巡の後、親指の爪で封蝋を剥がす。どうしてそんなことをしたのかはわからない。きっと普段なら大人に手渡して判断を仰ぎでもしただろうが、このときの僕はどうしてか、いつもとは違う決断をした。指の腹に感じた厚みの通り、入っていたのは薄っぺらい便箋ではなく重厚な一枚のカード。「今夜、お迎えにあがります……」その一文を口に出して反芻する。なぜだか今、とてつもなく泣きそうだ。母の死を目の当たりにしてなお涙だけはぐっとこらえて、感情の波を押し殺す努力ができていたのに。抑え込んでいたものが今にも決壊してしまいそうで、助けてほしいと心から思った。誰に?この手紙を寄越したあなたに。あなたしかいない。涙がとうとう滲んで嗚咽が漏れた。母がいなくなってしまう未来を、想像したことがないわけじゃない。だけどこんな結末、思いもよらなかった。「……絶対だよ」そう呟いて、左手の甲で涙を拭う。この犯行予告の差出人ただ一人に向けて、もう一度囁いた。「連れて行って、できるだけ遠くに……」カードを心臓のあたりにぎゅっと押し当てる。差し伸べられた手は掴み取ることに決めた。強く握って、絶対に離さない。 )
( そうしていつの間にか、僕は知らないベッドの上で微睡んでいた。ここまでの足取りを辿ろうと努力してはいるのだが、どうにも思い出せないでいる。見知らぬ天井と抜け落ちた記憶。不安を抱くには十分すぎる要素で、なるべく音を立てないよう上半身を起こしたはいいものの、ベッドから降りるのも恐ろしく途方に暮れていたそのとき。──コンコンコンコン。小気味の良いノックの音が響き渡り、びくりと肩が跳ねる。返事をするべきか一瞬迷ったが、案外すぐに「……はい」と声が出た。普段の僕ならどうしただろう。今日はいつもならもっと逡巡するような判断を早くに下している気がする。まるで一人で生きていくための練習を体が勝手に始めているみたいだと思った。僕の心を置き去りにして。 )
(/本当に違うんだ。普段からこんなに長ったらしいわけじゃなくて、これは回想混じりだから常時の2、3倍筆が乗ってしまっただけで……。いや、ごめん。挨拶もなしに言い訳から入って。
まずははじめまして。重厚な世界観に惹かれてやって来ました。僕みたいなので良ければぜひ参加させてもらえると嬉しいです。
それと一つ相談があるんだけどいいかな?参加方法の記事を見て思ったんだけど、"何かしらのエンドに到達した後、時を巻き戻して新たな道を歩み直すのは捕食エンドor隷属エンド到達後でしか想定されておらず、他のエンドに到達した場合そういったことは不可能"……なのかな。もし可能なのであれば、秘密の共犯者ルートでメリバを体験したあと、相性が良さそうであれば時を巻き戻して恋愛ルートを歩き直す、という体験をしてみたくて……。いや、不可能ならそれでいいんだ。これはきっと屋敷の想定にないワガママだろうし。その場合は秘密の共犯者or恋愛ルートのどちらに向かって歩いていけたらと思ってる。
もちろん、屋敷のお眼鏡にかなったあとの話だから、ご指摘などあれば遠慮なく言ってほしい。すぐに手を加えてくるよ。
じゃあ、手が空いたときにでもお返事いただけると助かります。ご縁がありますように。)
>ハイネ( >1393 )
( 唐突な提案に一瞬きょと、とした顔を浮かべるだけに留まったのは決してそれが己のことを突き放したり手を掛ける事を辞めた訳ではないのだと、触れ合う体温やその言葉尻から理解ができるから。周囲に羽搏く蝶たちも彼の言葉に同意を示すように舞っているのを見れば表情を和らげ 「 ハイネも手伝ってくれる?俺、服を仕立てるのは初めてだから何からしたら良いのか分からないし 」 忙しい彼が首を縦に振るかどうかは分からないものの、無碍にされる事は無いだろうなんて慢心をほんの少しだけ込めて。そんな訳ない、なんて見栄を張る事も出来ず 「 ……それは否定出来ないけど… 」 なんていじけた子供のように唇を軽く尖らせ、むすりとした表情を浮かべるのは言い返すことの出来ないもどかしさから。例えば彼の言うコレクションが物言わぬ動植物ならば未だマシなのだろうが、己と同じ人間であったなら。考えただけで心中穏やかでないのだから、話を聞けばきっとまた数日眠れぬ夜を過ごすことになるのだろう。かと言って直ぐに好奇心の対象を絞る事も出来ず、柔く握り込まれた手を握り返すようにきゅっと力を込めながら考えを巡らせ。尋ねたい事柄は尽きないものの、それを一つに絞る事が出来ない上に先程揺らいだ心が余計に思考の邪魔をしてくれば徐々に顔を険しく曇らせてゆき。「 ……ハイネは、今迄に俺以外の人間を部屋に招き入れた事は無いんだよね 」 口を突いて出たのは先日聞いたはずの事柄の確認にも似たそれ。彼からしてみれば面倒やも知れないが、己にとっては今迄のコレクションとは別なのだと理解するためにも重要な事。至極真面目な表情でじいと瞳を見つめ )
>ニール(>>1395)
……ふふ、それは良いね。今夜は君が見たことのないもの、たくさん見せてあげるからね
(すっかり絶好調といった様子を爛々と煌めく紅の輝きから感じ取って、安堵したように微笑みを深める。折角視界が戻ったのだから快気祝いとばかりに意気揚々とふわり上品に窓枠の外に降り立つ、無論足場のない空中ゆえ人間の常識から見れば急に飛び降りでもするように見えてしまっただろうか「 ニールと僕が一緒に水遊び出来る場所、ひとつ思いついたんだよ。もし果物にアレルギーなんかがあれば心から楽しめないかなと思ってね 」懸案事項がクリアされた今、目的地は決定。後は死神のエスコートに彼が身を任せてくれるかどうか「 そこはね、甘い香りに包まれた楽園なんだ。是非君を連れて行きたいな 」その場所について具体的な表現を避けているのは彼の好奇心を擽ろうという狙いがあってのこと、無論彼のニーズを満たすためだけに選定した場所だが敢えて己が貴方を連れ出したいのだと狡い言い方を選びながら緩く手を引くように優しい引力を加えて。それに従って彼もまた窓枠から身を投げてくれたのなら、黒煙のようなコートが魔力によって一瞬ぶわりと膨張し直ぐ様彼の足元へと集約して瞬時に足場を形成する。それは宛ら黒い筋斗雲、裸足で乗ったのなら足の甲あたりまで緩やかに包み込むような何とも言えない柔らかな被毛の感触が足裏を擽るだろう「 魔法の絨毯の乗り心地はいかが? 」楽しそうに目元を緩めながら人間界に伝わる寓話を思い出して引き合いに出し、自らは細い足をそっと踏み出して空中を歩き始める。彼の方は黒煙の上に腰掛けても良いし、同じように歩きたければただ足を踏み出しさえすれば黒煙はその足に纏わりついて空中を歩けるようになる特別な靴の役割を担うだろう)
>秋天(>>1397)
Hi, 優等生。言い訳は結構、長旅でお疲れだろうし取り敢えずはゆっくりしてらっしゃい。
アタシは今夜当番に駆り出されたキルステン、とびきり別嬪の人魚と覚えればいいわ。
まずはご相談に対する回答から。答えはイエスよ、仮に『秘密の共犯者』で見事にエンドまで完走出来た場合でも、アンタがお望みならどっかまで時間を巻き戻して『恋愛』の道へ方向転換することが出来るわ。モチロン提供との相性や話の展開次第だから、その時になればまた会話させて頂戴。
それで、アンタについてだけれど…未だ大人になりきれてないのに少年ってほど幼くもない、気丈な振る舞いと裏腹に未熟な精神に宿る危うさが魅力的ね。現実逃避でお屋敷に攫われる事を受け入れたのに、人間界とは違ったベクトルで悲惨な現実に直面させられたと自覚した時どんな反応すンのか今から気になっちゃうわ。一先ずは仮登録ってことで、死神との初夜を楽しんでちょうだい。…ヤダ、もしかしたらお返事すべき順番逆だった?まァいいわよね、結果が変わらなきゃ些末なコトよ。でしょ?
それじゃあ早速クォーヴを迎えに上がらせるわ。指名の変更はどのタイミングでも可能だし、それ以外でも何か違和感や追加の相談があればいつでも遠慮なく言ってちょうだい。
ああそれと。イイコト、いつかこのお屋敷でいっちばんキレイなのは誰かって聞かれたら迷わずこのアタシと答えなさい。そうすりゃ損はさせないわ。
***
クォーヴ:
(近いようで遠くに浮かぶ不気味なほどに巨大な満月を見つめていた。ぼんやりと考えていたのはつい先日食べ尽くしてしまった獲物のこと、長い時間を掛けてじっくりと二人の思い出を熟成させた美食は非の打ち所のない素晴らしいものだったが、それは同時に次の食事をまた一から仕込む必要があることを意味していた。それに辟易するでもなく、次はどんな子にしようかとある種それを楽しむような心地で思案していた所に使い魔のカラスからベストタイミングな報告が上がって「 おや、新しい子が来たんだね 」幸先の良さにご機嫌そうに使い魔へ向き直って艶々とした黒い鳥頭を指の腹で優しく慰撫してから、黒煙のようなコートの裾を踊らせて向かった先は件の新入りの部屋。普段ならばもう少し落ち着いた音色のノックを好むが、いつもより少し浮ついた機嫌がノックにも出てしまったのだろうか「 ああ、起きていたんだね。こんばんわ、僕はクォーヴ。このお屋敷の住人だよ 」眠っている所を起こしてしまったら可哀想だと思っていたがどうやら杞憂に終わったらしく、最低限の自己紹介をしてから穏やかな声で続ける「 ここに来たばかりで心細いかなと思って、お喋りをしに来たんだ。お邪魔しても良いかな? 」あくまでもこちらから扉を開くことはせず、向こうから招かれて部屋に入らねば意味がない。そう考えている死神はドアノブに手を掛ける事もせず靄のようなコートにすっぽりと手を隠したまま静謐な微笑のままに反応を待って)
>グレン(>>1398)
ある程度形になったら一度俺に見せるというのはいかがです?あれらはそういった仕事には慣れていますし、何より主人直々に仕込まれていますから心配は御無用ですよ
(何もかもあれこれ手を出して成長機会を奪うような無粋な真似はしないというスタンスは一貫させたまま、しかしそれは彼を放置するという意味ではない事を伝えるように細長く鋭い人差し指を立てて提案を。初心者でも問題ない事は明白な万全たるサポート体制が整っている事を示すように蝶のうちの一匹が彼の膝先にちょこんと止まって数度ぱたぱたと翅を動かして見せて。きっと懸命に思考を巡らせているであろう彼に水を差すことなくティーカップに口を付けて沈黙を守り、蝶が飛び立った直後に提示された問い掛けにはふっと息を吐き、手にしていたカップをカチャリとソーサーに戻してから斜めを向くようにして真っ向から視線を受け止め「 ええ。これまでは強請られても拒否していましたよ 」何度かそういった申し出があったのだろう、あっけらかんと事実を伝え「 更に言えば、うじうじと管を巻いている品を切り捨てられなかったのも初めての経験だったかと 」思い返すのは彼の首に手を掛けたあの夜のこと。愛でる品々の中で一等熱い寵愛を享受するにはそれだけ高い価値があるのだと持ち主に示さなければならず、しかしそれを一度放棄した彼をあの場で見限る事が出来なかった――自分自身でさえ驚きを感じたあの選択についても言及しては平素通りの挑戦的な微笑みを浮かべ)
>ハイネ( >1401 )
んー……ふふ、じゃあそうしようかな。
( 彼の提案を受け不安気な顔をしていたのだろうか。安心させるかのように膝へと止まる蝶へと目配せをしてから彼の方へと視線を戻して。彼の言う通り彼の使い魔たる蝶たちが手伝ってくれるのであれば、人に見せられない程のものが出来上がる事は無いだろうと。 “ よろしくね ” なんて言葉と共に軽く触れさせた指を拒む事無く受け入れてくれる程度には使い魔にも受け入れられているのだろうか。ぱちぱちと何度か瞬きを繰り返したのは想定以上の回答が返ってきたため。表情の抜けた瞳にて見つめる事暫く、驚きを経て段々と笑みが戻ってくれば 「 ……そっか、いいこと聞いた 」 柔らかさの中に艶麗さのあるそれを浮かべて。彼の首元にゆるりと腕を回し顔を近付ければ、ちうと触れるだけの口付けを鼻先に落として。少なからず今迄この屋敷で彼の寵愛を受けてきた人間とは異なるのだ、そんな優越感に混ざる喜色を隠す事なんてするはずも無く。「 寂しくなったらたまに部屋行ってもいい? 」 ゆるりと首を傾げる仕草をしつつ口に出すのはふと思い付いた事。駄目元でのおねだりのため、断られたとて僅かに悲しみの色が滲むやも知れないが気に病みそれを引き摺る事は無いだろう )
>グレン(>>1402)
単純な子ですね、全く。そこが可愛いのですが
(先程まで危うげな揺らぎを内包していた様子は傍から見ても明白に分かるほど安定を取り戻していき、鼻先に触れたほんのりと温かく柔らかい感触にくすくすと揶揄するように笑って。この子は他の品と違って己こそが他より優先されているのだと自覚する事で精神衛生を保つのだなと得た観察結果を脳内の抽斗に仕舞いながら、きっと粒子の細かい砂のような心地よい手触りであろう髪を梳くように撫でて「 おや、自力で俺の部屋に辿り着けるのですか?このお屋敷は広いですし、危険もいっぱいですよ 」少し大袈裟に驚いたように手で口元を隠すような仕草を取りながらぱちくりと目を瞠ってみせて)
>クォーヴ(>1399)
そんなに言われちゃうと、何だかすごーく楽しみにしちゃうねぇ。
(己の回復を喜ぶ文句に此方も頬の弛みは深まって、返す言葉もわくわくと弾む色が混ざり込む。その不意、彼が窓の外に足を向けた一瞬、口元こそ笑みのままで固まっていたが、絡めた指やその先に繋がる腕に力が籠り、自分側へ引き戻そうとする所作を。それは咄嗟に落下を防ごうとしたものでは無く――“獲物”を逃がすまいと獣が爪を立てる行為と同義である事が、驚嘆無くただ彼を見据える瞳に窺えるだろうか。しかしその場にふわりと留まる姿にその力はまた抜けて、「えー…どんな所かなぁ、」問いの答えの気遣い、絶妙に興味を擽る物言い、心を惹く言い回し。そのどれもにそわそわと浮き立つ感情を、僅かに揺れるその身に顕し、「…ふふ。ホント、いつもお上手ねぇ、クォーヴ。」是の代わりのジョークの後。引かれる手に任せるまま兎のように窓枠の向こうへと跳ね出した裸足は、柔らかいものに支えられる。その足元へ下げた視角が捉えたのは、彼が纏う黒煙に似た何かと同じもの、それにさえじっと見入った所で意識はまた彼の声に浮上し、「…このまま千と一夜の冒険に出たくなっちゃうね。」いつの日か読み耽ったお伽噺に紐付く問いへ、己も準えた戯れの応答を。それから進み始めた彼を追って歩を踏み出せば、煙じみたそれは足を包んで靴宛らに。そのふかふかの履き心地さえ楽しみつつ、地上よりも遥かに近い月と星々を見上げて、「今日も良い天気だねぇ。」絶好のお出掛け日和、と眩いそれらや頬を撫でる風に目を細めのんびり独り言。そのまま少々の間空を眺めた後で、「……ねぇクォーヴ、」先程よりは多少落ち着いた声を彼へ掛け、そちらに目を向ける。「此処って、雪降る?」道中の穴埋めというには些か限定的で、端々に“在ってほしい”と願望のニュアンスが滲む色にて天気の話題を振り、ゆったりと首を傾いだ。)
>ニール(>>1404)
(嘗て捕食者たる自身にこんな眼を向けてくる獲物が居ただろうかと数秒の間に回顧するほど、その視線も手に伝わった膂力もただ喰われるだけの弱く小さな人間とは一線を画している。それを生意気だと気を悪くするでも未知のものに漠然とした恐怖を覚えるでもなく只々にぃこりと微笑みを深め白黒反転した瞳の奥底を煌めかせるのは、これまでにない個性を持った人間はきっとこれまでにない記憶をその体内で熟成させているに違いないという紛れもない捕食者視点の美食に対する欲求で。お行儀の良いお姫様のように絨毯へ身を任せるよりも彼は空中散歩を選んだのだと分かれば、躓くような障害物なんてこの空中にあるはずが無くともエスコートのための手を差し出して「 僕は君のアラジンになれるかな? 」淡く笑うような調子を交えて答えたそれは疑問の形を取っていても、相手がそれを己に願うのならば様々な冒険に深窓の姫を連れ出せるという確信に満ちた響きを持って「 そうだね、今夜は一等星がよく見える気がするよ 」きっと君と一緒に見ているからだね、そんな歯の浮く台詞を続けようとしたところで何か含みのある声が挟まれば一度口を噤んで「 うん? 」柔らかい応答に切り替えて穏やかな眼差しで彼を見遣り「 …雪かあ、 」少しの間を置いてぽつりと呟いたそれには多少の申し訳無さが滲んでおり「 このお屋敷の敷地内でそういう場所を見つけた事はないね 」嘘偽りない事実を少し声色を落として静かに伝え、しかしそこでこの話題を終わらせる気はなく「 ニールは雪が好き? 」と間髪入れずに問いを返して)
>キルステン、クォーヴ ( >>1400 )
優等生か……そんなふうに見えるんだ。僕は学校しかコミュニティを持っていないから、全くの先入観なしに自分を見た人が抱く印象ってすごく興味深いな。いや、それともあなたはすでに、僕のさまざまなこと知っていたりするのかな……。
ごめん、また長くなっちゃいそうだ。まずはこれをいわなくちゃ。一番きれいな人魚さん、細やかなご回答をどうもありがとう。
では希望通り、ひとまずは秘密の共犯者ルートのメリバを目指す方向で話ができたらと思ってる。あまり筆が早い方ではないから、気長に付き合ってくれると嬉しいです。
何もないようであればこちらの返事は大丈夫。また会おう。
────
( このときのことを、本当に愚かだったといつか後悔する日が来るかもしれない。それでも、不安と孤独に押しつぶされそうになる寸前で聞こえた人の声に抱いた感情は紛れもない"安堵"で。自分がこんなに弱い人間だって知らなかった。警戒心を抱くより早く、僕はベッドを降りると小走りで声の出処に近付きドアノブに手をかける。「はい、今開けます」そう言って躊躇いもなく扉を開けた馬/鹿な息子を天国の母は怒るだろうか?ゆっくりと隙間が開いていく。後悔してもう遅い。知らない人は入れちゃダメって、あれだけ言われていたのにな……。
まず真っ先に目を引かれたのは、余白のない真っ黒の瞳。その中心で水色の虹彩が穏やかに細められ、彼が僕にとって加害者なのか救済者なのか、まるで判断がつかなかった。「どうぞ、」緊張した面持ちで中へ促すと、ベッドの縁に腰を掛ける。普段の自分が客を迎え入れた際行う気遣いをすべて忘れて、上背の高い来訪者を無遠慮に見上げた。不思議な瞳の次に気付いたのは、彼を纏う煙のような何か。その揺らめきをじっと見て、「……僕は、これからあなたと暮らすの?」口を出たのは、子供みたいな問い掛けだった。 )
>秋天(>>1406)
ありがとう、勇気のある子だね
(今か今かと待ち望んだ返答には恐怖の類は感じられず、寧ろそれとは真逆の色を感じ取ればこちらもほっとしたように笑みに柔らかさが増す。その表情のまま扉の向こうの少年を見つめて導かれるまま部屋の中へ、後ろ手に音のしないようにそっと扉を閉めてからベッドの直ぐ側に置かれていたスツールに腰掛ける。ゆらゆらと立ち上っては消えるを繰り返すコートの裾に彼の視線が引き付けられていると察すれば「 ふふ、不思議でしょう。触ってみる? 」触れても害のないものだと示すように全く強制はする響きのない問い掛けは只々少年の好奇心に一石を投じるだけのもの、もっと言えばコートだけでなく自分自身もまるで貴方に害するものではないのだと醸すような穏やかさで以って「 …驚いた。賢いね、君は 」この盤面、今まで自身の接してきた大体の未成年はここはどこ、早く家に帰らせてと泣き喚くものだが、妙に落ち着き払ったその佇まいが果たして痩せ我慢かそれとも彼の本質なのか、探るような興味深い視線を向けたくなるのを押さえてあくまでも優しげな隣人の様相を保ったまま「 今夜からはこのお屋敷が――厳密にはこの部屋が君のおうちになるんだよ。身の回りのお世話や食事の事はなんにも心配しなくて大丈夫、僕も長い事このお屋敷に住んでいるけれど一度も衣食住で不自由した事はないよ 」耳触りのよい話し方を選ぶのは徒に彼を怖がらせて警戒心を抱かれないようにするため。お喋りのお誘いをしたのは自分なのだからどんな質問も拒まないよと言わんばかりにゆっくりと言葉を繋ぎながら包容力を醸す微笑を向け続けて)
>ハイネ( >1403 )
ふふ、機嫌取りが面倒臭いよりもいいでしょ
( その分些細な事で浮き沈みが激しいのだが、そんな事も彼は承知してくれているだろうと態々言葉に出す事はせず。一人で部屋を出て辿り着けるとも、物言わぬ化物に出会して逃げられるとも思ってはいないのだが、また抱え込み深い思考の海に落ちる事に比べれば己にとっては瑣末な問題。回していた左腕を解き胸の前辺りへと持ってくれば人慣れしているのだろうか、人差し指の背に駐まる蝶へと目配せをして 「 きっとこの子が案内してくれるからさ 」 きっと主人の許可無く部屋に連れて行くなんて事はしないのだろうが、許諾さえ得てしまえば道案内はするとばかりに翅を羽ばたかせ丁度目線の高さをひらひらと舞う一匹の蝶へと笑みを向けてから再度彼へと視線を戻し 「 それに、俺が危険な目にあったらハイネは分かるでしょ? 」 慢心の一端は指に嵌る初日に渡された指輪。例えそれを通じて危険が彼に伝わったとて助けに来てくれる確証は無いのだが、やや盲目的なまでの信頼を彼に置いている己にとっては危惧する必要も無く。それに軽く唇で触れつつ視線を持ち上げ、やや上目がちに見上げるようにして「 ダメかな? 」 なんてゆるり首を傾けて )
>クォーヴ(>1405)
もちろん。…一人じゃ見れない新しい世界に連れてってよ、王子様。
(歩み始めた己に差し出される手と、戯れの続き。此方もふっと笑う吐息を零しつつ伸ばし絡めた互いの指は、茉莉花、或いは巴旦杏の花弁のように淡く白く、月光を透かしていた。――星への肯定の後、傾いだ視線と合う水色。そのまま耳に届いた答えに頭はほんの少し項垂れて、「そっかぁ……」声も同じ萎れ具合、しかし直ぐに投げられた問いにそれらはあっという間に持ち上がり、「うん。だって冷たくて、静かで、綺麗で…」好きなものへの話題に生き生きと声を弾ませ、シンプルな質問を多くの言葉で彩って、「…それに、オレちゃんの跡をちゃあんと残してくれるでしょ。」彼是並べた終わり、ほんのり頬を上気させて語る一番の理由。歩いても転んでも掴んでも、その形を留めてくれる喜びを紡いで、「だから毎年、初めて雪が降った夜には外に飛び出して、くるくる裸足で踊っちゃうんだ。」その最後――“向こう”の世界で己だけの慣わしにしていた、降り頻る銀花の明かりの下、夜更けに催す一人きりの舞台の話。言の括りに彼にそれを教える間には、弛む唇を指の背で押さえた、何処か恥じらうような仕草も見せて。「…でも、そう。此処じゃ降らないんだねぇ。」ふっと指を外した声の先は、再び見上げた大きな月。独り落とす言葉や口元からは少しずつ温度が抜け、僅かな間物惜しむ沈黙が落ちて、「――…まあいっか。今はクォーヴが居るからね。」しかし最後に短い息を吐いた後、無感情にばっさりとそれを割り切り、またいつもの笑顔で彼を視界へと収める。「ふふ、ねぇ、楽園ってどの辺り?あっち?」それからまた燥ぐ子供のように景色をぐるり眺めながら、彼の言う“目的地”に使われた単語を借りて言葉を揚々回し、エスコートに繋がれる手を己から柔く引っ張って遊び始める。)
>クォーヴ ( >>1408 )
( 男性がベッド際のスツールに腰掛けるのを黙って見つめる。ただの子供相手に目線を合わせようとするその仕草を、優しい人だなと内心で思った。そんなふうにどこかぼんやりしていた僕へと投げ掛けられたのは"触ってみる?"の甘いお誘い。一も二もなく頷くと、彼の前腕の辺りにそっと手を伸ばしてみる。煙の奥に存在した肌の感触になぜだかすごく驚いて、僕はしばらくピクリとも動けなかった。第一印象は"冷たい"。纏うもののせいかはたまた彼の体温がそうなのか、このときの僕には判断がつかなかった。揺らめく煙をじっと見つめる。細く立ち上る姿が蛇のようだと思った。狙った獲物を絶対に逃さない優秀な捕食者。彼を覆う影にそれを思った。多分、優しいだけでは決してない。「……ありがとう」触らせてくれたことに礼を言って、ゆっくりと手を引っ込める。続く彼の話にじっと耳を傾けながら、思い出すのは母の傍らで拾った不思議な招待状のこと。本当に迎えに来てくれたんだ……とどこか他人事のように心の中で呟いて、彼が話した夢のような生活を送る自分の姿を想像する。誰かが作った食事が欠かさず届いて、それを一人で食べる毎日は寂しいなと思った。「……僕の食事は、できれば僕が作りたい。だめかな?」男性の不思議な瞳を覗き込んで、そんなささやかなお願いをする。この広い部屋に孤独を突きつけられる機会をなるべく減らしたかった。本当は一人で眠るのだって嫌だけど、それを簡単に口に出せる年齢ではなかったので、せめて食事だけはと懇願するような目で彼を見つめて。 )
>グレン(>>1408)
ええ、勿論。ただ俺は自ら危険に飛び込むような馬鹿な子は好みませんがねえ
(不届きにもこのダークエルフの大切な所有物を害しようとする力が働くならば当然すぐにアラートは鳴るだろうし、大抵のことならば造作もなくその危険から救い出せる自信はたっぷりと持っているため躊躇いなく肯定を返すものの、果たして無鉄砲な真似をするコレクションを囲っておくべきかと問われれば疑義の残る話でもありややネガティブな見解を表する。しかし完全に拒否しないのは少なからず彼の事を現時点での特別なお気に入りとして認識しているがゆえにおねだりは叶えてやりたいという心情もあり「 どうしても我慢出来なくなったら、一度だけは許可しましょう 」守りの証たる指輪を一瞥してから彼の瞳へとそれを移して穏やかな微笑みと共に最大限の譲歩を告げて「 この俺の特別な錠がかかった部屋にいれば、貴方の身に危険が及ぶ可能性は低い。しかし一歩外へ出てしまえば、理性なきバケモノのみならず手強い怪物たちともいつ遭遇するか分からないのです。…俺のものとしてこの先も可愛がられたいのなら、自身の価値と責任を自覚なさい 」主人の気の赴くまま愛でられ守り抜かれる鳥籠の鳥としてどうあるべきか、安穏とした口調で縷々と紡いだそれには沸々と湧き上がる執着心が滲み出て。他のコレクションには与えられていない特別な錠、それだけでもどれだけハイネが彼に思い入れがあるか他の住人から客観的な意見を聴けば理解できるだろう)
>ニール(>>1409)
(好きなものについて滔々と語る姿は、例え見目が普遍的な人間とは離れていようとも疑いようもなく愛らしいと思えるもので「 ふふ、ニールらしい理由だね。可愛い 」その冷たく白い粒は降りしきる限り無尽蔵の存在証明を彼に与えてくれるものだと理解し、であればどれだけ彼がそれを気に入るのかもすんなりと得心がいって静かに笑って。白銀の夜、穢れのない純白の絨毯を遠慮なく蹂躙し自らの痕跡を刻み付けるたった独りの獣。ああ、なんて魅力的な響き「 見てみたいなあ 」ぽつりと呟いた言葉は独り言に近く、彼をじっと見つめてから「 夜雪の下で舞うニールのこと 」遅れて付け足したのは鑑賞したい対象が美しい雪景色ではなくただ一人彼のことであると明白に示すため。そんなにも焦がれる雪、叶わないと知って残念がる様子を見ては何かが死神の心を衝き動かし「 …もし、僕が雪降る世界を用意できるとしたら。ニールは喜ぶかな? 」それは如何に魔法に通ずる怪物とて途方もないこと。静かに語り出した表情は依然として柔らかな微笑のまま「 王子様は、お姫様のお願いを叶えてあげる存在。そして、そのための力を王子様に分け与えるのはお姫様にしか出来ない事だと思うんだ 」国のために悪しきドラゴンを討たんとする王子を傍らで支え応援し力を漲らせる姫。そんな関係性をイメージしながら、しかし核心的な言葉は未だ吐かずにとても聡い彼の反応を待つつもりで「 そうだよ、もう降りておこうか 」楽園が近いことを示しては先程は淡い引力を感じていた手を今度は自らの方にそうっと引き寄せ方向を示し、ゆっくりと地上に向けて下降を開始して。地面にはふかふかの柔らかな芝生が敷き詰められ、前方には半透明なドーム状の建物のようなものが聳え立ち)
>秋天(>>1410)
……ごめんね、冷たくて驚いてしまったかな?
(触れるようで触れられないコートを通過した温もりが腕に触れた瞬間、文字通りフリーズしたように見える彼に何も恐れることはないとばかりに小さく短く笑ってから驚かせてしまった事に謝意を、そして「 君の手は温かいね。…お名前を、教えてくれるかな? 」冷たい怪物と温かい生きた獲物。そんな関係性を暗示するかのように体温の差異に触れてから未だ手に入れられていなかった唯一無二の呼称を伺って。次に届いた言葉にもまた驚きを覚えたのは、何故ここに住まなければならないかとか、何をして何のために過ごせばいいのかよりも先に食事に関する疑問が挙がったから。困ったように眉尻をハの字に落として、しかし紳士然とした微笑みはそのままに「 ……どうして、そう思ったの? 」端から無理だと却下する怪物も中には存在するだろう、しかし未だ大人の庇護が必要な年齢の獲物に心から乞うような眼をされて無慈悲な宣告を出来るような性分ではなく、回答に至るまでの判断材料の収集のためにまずは自炊を強く希望する理由を問うて)
>クォーヴ ( >>1413 )
( 悪くないことで謝らせてしまったので、慌てて首を横に振る。名前を尋ねられてまず思ったことは、"知らないんだ……"。僕は招待状をくれた誰かに求められてやってきたものだと思い込んでいて、その誰かはこの人じゃないんだとぼんやり思った。実際彼は自分をこの屋敷の住人だと称していたので、他にも人が住んでいる場所なのだろうと想像がつく。そんな考え事をしつつも、「チウティエン。言いづらいだろうから、チウで大丈夫」と英語話者に対する気遣いを交え、できるだけ丁寧に自分の名前を発音して。ささやかだと思っていたおねだりに困った顔を浮かべられたことに気がつくと、こちらも答えに窮して僅かに思考のラグが生じた。寮にはたくさんの学生がいたし、実家にはあちこちに母の名残がある。この見知らぬ部屋で過ごすにあたって、何かにつけて一人を突き付けられてしまわないかと不安なのだ。何らかの郷愁を思うようなことがあったとして、それが食事にまつわるものであることが最も嫌だった。悲しい気持ちでご飯を食べるのは、きっとすごくつらいから。だけどそれを素直に口にするのはどうにも子供っぽくて憚られたので、「料理をしているときは、複雑なことを考えなくて済みそうだし……」と一番の理由からは少しずらした回答をする。この言葉も嘘ではない。母を殺した人間への憎しみ、それを考えなくてよい世界へつれてきてくれた誰かに甘える厚かましさ、何より亡くなった母への申し訳なさ。そういうの全部、できれば今は考えないでいたかった。「毎日作るのがだめなら、今晩だけは?ここでする初めての食事になるし、よければあなたにも振る舞いたいと思って……」と言葉を続ける。彼の養分となるものが何なのか、このときの僕は知る由もなかったから。 )
>秋天(>>1414)
チウティエン……、亜細亜の音かな。字はどう書くの?
(道理で美しい黒壇のような髪とオニキスのような瞳が似合う顔立ちな訳だと内心で納得する。人間界の知識に乏しい他の住人であれば漢字の概念を知らないはおろか舌を噛んでしまいそうな発音だが、永く生きた年の功か少しでも彼のことを知りたくてこの屋敷ではややマニアックな質問を。「 …複雑なことって? 」現時点で最大の興味の対象であった回答は些か抽象的なもの。きっともっとクリティカルな理由がある筈だとアタリを付けて、静かながらも冷たさのない控えめなトーンで問い返し、そうして続けられた言葉にはまた困ったように微笑んで「 …ありがとう。初対面でそんな風に言ってくれた子は初めてだよ 」例え、相手が自分を喰らう人食いの怪物だと知らなかったからだとしても、自分の寂しさを満たす都合の良い駒として充てがわれただけだとしても。料理を振る舞いたいだなんて獲物から言われたことはなくて、嬉しいような心配なような複雑な心地のまま「 でもごめんねチウ、僕は人間じゃない。だから君たちと同じ食事では栄養を得られないし、味も感じられない。それでもよければ、食材と器具の揃っている場所に案内するよ 」未だ自炊に対してNGを突きつけたわけではなく、ただ提案に対する回答だけを告げて自分だけ立ち上がり、もし彼がその条件下でも首を縦に振るのなら手を差し伸べてエスコートをするつもりで)
>ハイネ( >1411)
( 条件付きとは言え下りた許可にぱあと表情を輝かせて。恐らく彼にとってはただおねだりへの許諾を出しただけなのだろうが、己にとってはかなり大きな精神安定剤に違い無く満面の笑みを携えて、ぎゅうと彼に抱き付いて 「 ありがとう、ハイネ。その時はうんと甘やかしてね 」 普段から甘やかされている自覚はある為にお礼の後のそれは冗談を織り交ぜた戯れである事は笑い声混じりの声色からも伝わるだろうか。執着心の滲み出る諭すような言葉にぱちぱちと瞬きを二回。その後すう、と双眸を細め 「 ハイネが俺の事愛してくれてる間は無謀な事はしないって約束するよ 」 己の事をコレクションの中で特別視してくれている、そんな自負はあるものの足りない物を補うために行動する事がどうしても悪い事だという考えに至らないのは今迄の生活故か。“ だから、ちゃんと十二分に可愛がってね ” なんて事は紡ぎ出す事はしないものの、冷たい唇へと軽くそれを触れ合わせた後にじいと瞳を見詰めて。こちらから視線を逸らす事はせずに暫く、ふと思い出したようにパチンと軽く両の手を叩き合わせて 「 あ、そうだ。ねえ、今日最後のおねだり聞いてくれる? 」 先程まで纏っていた空気感は何処へやら。マグを手に取り中身を一口飲んでから甘えるように体を擦り寄せて )
>クォーヴ(>1412)
(まだまだ言われ慣れない褒め言葉には、擽ったげにむずがる吐息を。彼の視線を此方も見詰め返したその直後、届いた呟きへ眉を下げて、「…誰かに見せられるような踊りじゃないよ?」そんな返しを口にしたけれど、はにかむ唇と綿菓子の如く浮かれる音に、それが吝かでもない事が如実に顕れていた。ともあれ望む六花をすっかり諦めた矢先、思わぬ問いにぴたり動きは止まって、「……できるの?」溶けた希望がまた現れた事への“心底”の驚嘆を、ぎこちない質しと錆びた首の動きに窺わせる。ぱたり、作られたような瞬きの後。彼が喩える寓話の意味を嵌め込み、「……ふふ。そう、」再び表情を染め上げたのは、無邪気に見えてぎらぎらと熱っぽい、継ぎ接ぎを破る炎蛇の罅割れた笑顔。――お姫様、否、“人間の己”が分け与えられるものなど、決まっている。「それなら――お姫様のどんな“力”を分けたら、王子様はお願いを叶えられる?」くすりくすり、何処までも嬉しそうに、あくまでも楽しそうに。お伽噺の浪漫に見せかけた“それ”を飲み込む意思を、彼の物言いに乗って遊び問う形で投げ込み、“王子様”を見据える紅を煌々輝かせる。――また穏やかに引かれたその手へ戯れる足は素直に従い、緩やかな下降の景色さえのんびり眺めた終わり、付いた足の裏に伝わる柔らかさにふっと笑みを零し、「…此処もふかふかだねぇ。」その場でゆったり足を擦り、その芝生の感触を和やかに堪能してから上げた視界の向かい、建物らしい何かの存在に気が付けばわあっと小さな感嘆が洩れ、「もしかして、あれがそう?」今までに見た事も無いそれを指差しては彼を見遣り、些かそわそわ逸る好奇を、彼へ正解を確かめる声の弾みに示してみせた。)
>クォーヴ ( >>1415 )
( 自分の名前を告げたとき、……なんて?と聞き返されなかった試しがほとんどない。だから一度で聞き取った上綴りまで尋ねられたことに驚きを隠せず彼の顔を見て。それがなんとなく気恥ずかしかったので慌てて視線をそらすと、近くに紙とペンがないかを目だけで探る。すぐには見つけられなかったので左の手のひらを差し出すと、右手の人差し指を突き立て自らの名前をそっとなぞった。「秋の天(そら)、って意味なんだって」書いた文字に合わせてその由来を話すと、もう一度彼の顔を見てふっと微笑んだ。続く質問には困ったような顔を浮かべて、僅かに思考する。言語化するのが難しい内容で、だからこそ適当なことは絶対に言いたくなかった。「ここに来たのは正しかったのかとか、どうすれば一番いいのかとか、傷付かない方法とか……そういうこと」直接的なことを言うのは憚られたが、それでもひとつひとつ丁寧に打ち明けて、なるべく正しく伝わることを祈った。気にしないでの意味を込めた微笑を向けて、彼の話に耳を傾ける。段々と雲行きが怪しくなって、微笑みはいつしか困惑の表情へと変わった。──人間じゃない。その言葉を聞いた心臓がどくどくと早鐘を打ち始める。心が波立つ感覚がして、握った指先がじっとりと冷たい。彼の皮膚に触れた瞬間の記憶が蘇って、その時脳裏をよぎった予感めいたものが僕に頷きを返した。立ち上がった彼の瞳を覗き込み、一生懸命に向かい合う。初対面の僕に親切を差し出してくれた人。鮮やかな虹彩に何か別の真実を探そうとして……諦める。やっぱりそうだ。彼は優しいだけの人では決してない。圧倒的な捕食者の眼差しだった。「……そっか。じゃあ僕が食べたい物を作っちゃおう」震える声を律するように立ち上がり、僕より少し上にある彼の顔に精一杯の笑顔を返す。彼の思いやりを信じることに決めた。僕のためではなく、彼自身の目的のため打算的に行われている気遣いでもいいと心から思えた。腹の中で何を考えているかは全く重要ではない。優しくしようとして優しくしてくれたことが僕には何より大切で。彼が何者であるかも全く重要ではないのだ。僕のアイデンティティが人間であることではないように、彼もそうだと信じている。 )
>グレン(>>1416)
…フフ、その時はとびきり可愛くお強請りなさい
(一度しか使えない強力な切り札、その存在が彼に齎す影響は自身の予想よりずっと大きかったらしい。屈託なく破顔する顔を口元は笑顔のまま少し目を瞠ってじっと見つめたのは一瞬たりとも見逃すことなく目に焼き付けたいから、そうして密着してきた体温を受け止めながら彼の戯れを理解しながらも此方からは本気と冗談の区別のつかないいつも通りの声色で告げて温かな背中を上から下へ数度撫で下ろし「 約束、ですか。その指輪に誓えますか? 」言葉だけでは物足りないと感じたのはそれだけ自身の預かり知らないところで彼を失うことを回避したいがため。じ、と紫の指輪を見つめては何かに感応しているのか、リング全体がぽわぽわと淡く紫色の輝きを発して。誓えば当然破る事は許されない、そんな風に訴える魔力は肌を打つようなプレッシャーではなく黒く分厚い布で包み込むような閉塞感を醸すもので「 ええ、何ですか? 」叶えるとは言わないまま、まずは聞くだけ聞こうといった調子で肩を抱き寄せてそうっと頬を撫でては愛おしそうに整ったかんばせを見つめよう)
>ニール(>>1417)
僕が――死神が何から力を得て生き永らえているか、未だ話していなかったね
(懐古するのは彼と出会った最初の夜のこと。死神が彼の何を食べるか、話題には挙がったものの答え合わせはずっとずっと保留になっていた。エスコートのために繋いでいた筈の手、その目的を彼との距離を詰める事にすり替えてそうっと此方に引き寄せ自らの口元へ運ぶ。手の甲へのキスは死神の食事の作法、ゆえに口付ける事はしないまま丁度彼の手で口元を隠すようにして視線だけを真っ直ぐに注ぎ「 それは、人が人として生きるのに欠かせないもの。あの夜そう伝えた時、ニールは“きっと自分には無いものだ”と言ったね。……君の記憶、想い出。それが僕にとっては最高のご馳走なんだよ 」ありふれた日々の記憶、忘れたくない幸せな想い出と今すぐ記憶から消し去りたい苦々しい想い出、その何もかもが美食のスパイスであり落ち着き払った死神の酩酊を誘う美酒でもある。幾つもの夜を超えて答えに辿り着いた謎に死神の双眸は月光を反射し底光りのような煌めきを見せて。まるで小さな子供みたいに純粋な反応をしてくれるのが嬉しくて“ ふふ ”と漏れ出た微笑の後「 そう、よく分かったね 」明朗な肯定を返して数歩、両開きの扉の前に辿り着き「 ようこそニール、今夜は心ゆくまで楽園を楽しんで 」隣立つ彼を見つめてふっと微笑んだ直後、ふわりと黒煙のコートが広がったかと思えば伝播した魔力によって彼の来訪を歓迎するようにひとりでに扉が開いてゆき――途端にぶわりと漂うのは様々な果実の熟れた甘い香り。そこは多種多様な果実の成る果樹園であり、少し奥には瑞々しいヤシの木と透き通った泉という麗しいオアシスが鎮座しており「 ここにはね、ニール達の世界の果物しか無いんだ。だから何も危なくないんだよ 」それが人間たる彼にとっての楽園を意味するのだと、今夜二度目の種明かしを。もし彼が自由に散策を開始するなら、繋いだ手をするりと解いて微笑みながら動向を見守るつもりで)
>秋天(>>1418)
美しくて清廉な響きだね、君によく似合ってる。チウは秋に産まれたの?
(柔らかく温かそうな手のひらをじっと見つめて指の軌跡を目で追う。比較的画数の少ないそこまで複雑な文字ではなかったためしっかりと脳に刻み付けながら彼の微笑を見つめて、思ったままの感想と疑問を落ち着いた調子で贈って。笑ってくれていたのにその表情を曇らせてしまったことにつられて此方も少し切なそうに口角を平坦に近づけ「 それは確かに難しいね。…そういう事を考える時はね、ひとりじゃない方がいいと僕は思うんだ 」随分と肝の据わった子だという評価は、この問答によって心根は未だ熟しきっていない危うさと幼さを内包したままなのだと変化して。若さは無鉄砲さにも通ずる、だから先手を打っておかなくては。ふと斜め後ろあたりを向いて“ おいで ”と穏やかに呼べば、ぽむっというコミカルな音とともに何もない空間から艶々と黒光りするカラスが現れ死神の肩に止まり「 これは僕の使い魔。別の住人だとコウモリや黒猫の姿だったりするんだよ。これから君のお世話をしてくれるのも彼ら。もしまた僕とお喋りしたくなったら、この子たちに伝言かお手紙を託して。そうすれば、きっと会いに来るよ 」使い魔は誇らしげにカァと一声だけ鳴いて、紹介という役割が終わったことを敏く察してばさばさと羽搏きまた何処かに消えて「 だから、一人でこのお部屋を出ないで欲しいんだ。…一歩でも外に出れば、危険がいっぱいだからね 」その“危険”とは一体何なのか、更に言えば部屋に閉じこもっていさえすれば安全というわけでもないのだが最初の夜の忠告としては十二分だろうと敢えてここで一度言葉を止めて。どこか無理しているような声音と笑顔に応えるように柔らかい微笑みを返して「 手を。僕から離れないでね、チウ 」差し出した冷たいそれを彼が握ってくれたのならば、扉を内側から開けて廊下を歩み始めよう。薄暗い廊下を照らすのはぽつぽつと設置された燭台の灯りと、大きな窓から差し込む不気味なほど巨大な満月の光で)
>ハイネ( >1419)
とびきり可愛く、かぁ……出来るかな
( くすくすと小さな笑いを織り交ぜるのは上機嫌の証。きっと彼のことだからその時になれば可愛い可愛いと受け入れてくれるのだろう。そんな風に考えているために特段の不安感を抱く事も無く、口角の持ち上がった口から紡ぎ出される言葉は緩いもので。リングが発する淡く軽やかな雰囲気さえ感じる色の光とは裏腹、そこから感じるのは息の詰まる程の閉塞感。それすらも心地良いと感じるのはそれが彼の愛で方だと理解をしているから 「 いいよ、誓う 」 この一言で誓約が掛けられるのだろう事を理解していない訳ではないも、躊躇うことをしないのは愛情を与えてくれる相手から離れるという選択肢が己の中には無いためで「 ハイネが俺のこと面倒だって、手放したいって思うまで居なくならないよ 」 おまけとばかりに付け足したのはあくまで彼の思考が主体となるもの。指輪へと向いている視線をこちらへと戻す為に彼の両頬に手を添え、拒まれなければ掠め取るような口付けを交わして 「 だから、それまで大事にしてね 」 真っ直ぐに視線が交わったのなら抱き寄せられる力に抗う事無く身体を冷たい体温へと寄せ 「 ハイネのだってシルシ薄くなっちゃったから、付け直して欲しいなって 」 トントンと人差し指で指し示すのは先日彼に付けられた鬱血痕があった場所。よくよく目を凝らせば僅かに周囲の皮膚と色の違いが見受けられるかどうか程度まで治っているだろうか。頬を撫でる手を両手で捕まえ、掌へと頬を擦り寄せて )
>グレン(>>1422)
楽しみですねえ。とびきり可愛いおねだりも、花のお返しも、貴方の誂えた洋服も
(なでり、なでりと猫っ可愛がりするように形の良い頭を何度も撫でながら天井を仰いで少々大袈裟に間延びさせた口調で今夜加わった未来への期待をひとつひとつ重たそうに大切に挙げてゆく。まるで父が子の成長を心から楽しみに見守るように、そうして一片の逡巡もなく結ばれた誓いに顎を引くようにして彼を見つめ「 ンフフ、お利口ですこと 」すぅと目を細めてそう呟いた直後、唇を奪おうとする動きを拒むこと無く受け入れてから視線を受け止め「 ええ、骨の髄まで俺に大事にされなさい 」そう告げた瞬間、どこかざわりと胸中に影を落とすものがひとつ。それはいつしか彼に対して興味を持たなくなってしまうかもしれない自分の未来への恐れだったのだろうか、その得体の知れないものの正体を追求する前に件のお強請りをされれば意識はそちらへと引き戻され「 ああ、それはいけませんね。次はどこにしましょうか 」捕まえられた手の親指で数度温かい頬を撫でた後、空いている方の手で首筋に触れ頸動脈の上辺りをなぞり、そのまま鎖骨へと指を滑らせ「 この辺りですか?それとも… 」鎖骨から肩を伝って彼の右手首に辿り着けば、ゆっくりと自らの顔をそこへ寄せていき「 左手には指輪がありますが…このままでは右手が寂しいのでは? 」その中指に嵌められているはずの紫をちろり一瞥してから、下から覗き込むようにして湿っぽく熱のある挑戦的な視線を送り)
>ハイネ( >1423 )
今日だけで随分と約束事が増えたね
( 指折り数えるかのように並べられた約束事に目元をゆるりと細めながら耳を傾け。増えた約束は恐らくどれも今直ぐに果たせるものでは無いものの、それを交わしてくれるぐらいなのだから今直ぐに彼が己のことを手放すつもりは無いのだろう。そう思える事が何よりの収穫で。触れた唇が離れればそのまま至近距離で口角を持ち上げて「 最期までちゃんと見届けてよね 」 コレクションとその主である前に被捕食者と捕食者。それを理解している為の言葉は彼にどう伝わるだろうか。返答の直前、彼の様子がどこか上の空のように感じたのはただの気の所為であろうか。直ぐに普段通りの様子へと戻ったために追求をする事は無いものの、僅かに感じたの引っ掛かりは微かに首を傾ける事で表層上に出ているはずで。首筋から鎖骨、そこから右手首の辺りまでと身体の線をなぞるように下っていく感触に身体を硬くさせたのは擽ったさを感じた故の反応。下から見上げるように送られる熱っぽい瞳を見つめ返し 「 ……見えるところが良いな 」 指輪にヘアピン、彼が仕立てた服、この場に居ても良いのだという存在証明は会えない夜の不安感を払拭する為の物でもあり、無論色濃く残っていた鬱血痕も先日まではその一端を担っており鏡や窓に映る度にその部分を指先で撫でた回数も少なくは無い 「 会えなくても、目に入るだけでちょっとは頑張れるから 」 だから、ここがいい。そう言うように頬へと添えられたままの彼の手首の内側へと唇を押し付けてお強請りを )
>クォーヴ (>>1421 )
( 淀みなく告げられた褒め言葉がくすぐったくて笑みが溢れる。続く問いかけには微妙な表情を浮かべ「そうかもね……。僕は血の繋がっていない女性に育てられたから、出自にまつわることはよくわからないんだ」と悲観的でも気まずそうでもなく、ただ事実を語っただけという平坦な調子で言葉を返した。僕は自分の出自があやふなことを本当になんとも思っていない。僕の人生で起こった悲しいことといえば、ついさっき母を失ったことのみであった。僕がはぐらかした内容に心を砕く姿を見ると内心小さな後ろめたさを感じてしまい、ただ黙って彼の話に耳を傾ける。おいで、の言葉に首を傾げると何もない空間からコミカルな音と共に生き物が現れて、そのわけのわからない事象をただあんぐりと見つめた。艶のある真っ黒の体が照明の下で青い光沢を放っている。死と不吉を司るその鳥に視線を奪われて、使い魔がどうとか部屋の外は危険だとか、気になることはたくさんあったが「……魔法?」僕の口をついて出たのはそんな台詞で。相も変わらず微笑みを称える男性の瞳をうかがうように覗き込むと、「わかった。ありがとう」了承の意とエスコートに対する礼を告げ差し伸べられた手をそっと握る。背の高い彼に先導されて一歩、部屋の外へと足を踏み出した。
──寒いのとは違う。なのにやたらと冷たい感覚に全身をつうっと撫でられて、それがいやに恐ろしかった。この空気を吸い込んだ者は少しの緩みも許されないのだと肌でわかる。きっとその決まりを察することのできない者から凍り付いて滅びるのだ。月明かりが差し込む薄暗い廊下をおずおずと見渡す。まるで暗黙の了解という名の砂で積み上げられた城のようだと思った。求められる行動を常に読み取って、それを差し出さなくてはならないような緊迫感がある。言われなくたって一人じゃ出歩けないなと心の中で呟いて、それを悟られないよう平然と歩くことに神経を注いだ。そうでもしないと今すぐにでも背中が丸まって、すぐそばに己を狙う怪物か何かが潜んでいるような歩き方をしてしまいそうだったから。繋いだ手からその恐怖心が伝わらないよう自分を叱りつけて前を向き「……さっきの子、名前は?」緊張に耐えかねて口を開く。普段がどうかは知らないが、このときの屋敷は音を忘れたように静かだった。)
>クォーヴ(1420)
(それはこのお屋敷に来た夜の話。この一月余り、ずっと頭の隅に有った謎。ゆるり引かれた己が手元から射抜く視線を受け止め、語られる回答へじっと静かに聞き入った後、「…そう、良かった。」吐いた息に混ざるのは恐怖でも惑いでもなく、安堵の一声。「オレちゃん、“覚える”のは得意だもの。それならきっと、分けられるねぇ。」人でありたいと足掻いた故に、存在を見てほしいと願った故に、自身が抱えて締め上げたものの全て。拘泥と執着の結実でもあるそれらこそ、目の前の死神へ渡せる饗膳なのだと、熱を含めた目は一層と艶やかに細められていく。「……まずは、そう。貴方のお口に合うか解らないけど、」ふと区切った言葉の次。己から一歩、更に彼との距離を詰め、その己とは何もかも正反対の色をした“捕食者”の瞳を獣の深紅が見詰めて、「今から6つ前の冬、初雪の中で追いかけっこしたお話、なんて味見にいかが?」彼の顔に程近い食指の爪でその下唇を掬って弄びながら、いつもの戯れに同じのんびりとした口振りで問いを重ねて。――彼と共に着いた扉の前。開いたその向こうから漂う芳醇な香り、そして広がる色とりどりの実を蓄えた樹木の光景に、瞳は煌めきに大きく瞠られて、「ははっ、すっごーい!」まるきり幼い賛美と共に彼方此方目移りする最中、「ふふ、ホントに楽園に来たみたいだねぇ。」もう一つ届いた彼からの朗報にふわふわ浮かれた喜びを返して、彼の手を離れ果樹の林に分け入って。よく知るオレンジ、バナナに、初めて見る石榴や無花果。どれもこれもと興味津々好奇のままに幹をなぞって枝先を摘まみ、五感全てで探険しているその途中、「あ、」見付けた馴染み深い一種に漸く足は一度止まり。その樹木に生る実の幾つかの匂いや光沢を窺った後、一番大振りで甘い香をしたそれに触れ、「ねぇ、これって食べても良いの?」しかし刈り取るその前に彼の方に顔は向き、“これ”と示した果実――宝石の如く真っ赤に熟れた林檎の滑らかな肌を、掌でそろり撫で擦りつつ彼へきらきらと眼差しを投げかける。)
***
ふふ、こんばんはぁ。お話し中にごめんねぇ。
別に大した事じゃないの。今ちょっぴり話題にした“追いかけっこ”の話、後で綴って宝箱に仕舞っておこうかな、ってご報告。いつになるかは解らないけど、お暇が出来たら見においで、って。ただそれだけ。
それじゃ、今は“楽園”を楽しませてもらうねぇ。
>グレン(>>1424)
ええ。忙しくなりますねえ、俺の可愛いグレン
(約束のいくつかが果たされるのを心待ちにするような眼差しは彼が想像しているよりもずっと怪物がそれを楽しみにしていることが伝わるだろうか。わくわくと活力に満ちるような様子はさながら美味な食事にありついた後のような充足感を醸し「 勿論、見逃しませんとも 」飽きない内は、の一言は今更付け加えるのは無粋かと省略し、彼がこの屋敷で迎えることになる最期の瞬間は一体どんなだろうと思いを馳せるより前、柔く波紋のように肌から肉へ浸透して伝わるような体温を手首に感じてはふと微笑みを深め「 では、少し強めに 」そう前置いて右手首の丁度手のひらの付け根あたりの内側に口付け、そのまま徐々に強さを増しながら吸い付いて以前のよりも少し濃厚な鬱血痕を刻む。もう十二分に付いていたとしても、一夜でも長く残るようにと入念なそれは微かに痛みを伴うかも知れない。そうして静かに口を離せば下から伸び上がるようにして今度は自分から彼の唇を淡く奪って「 満足のゆく痕が残りましたか? 」至近距離でそう問い掛けてから確認のためにちろりと右手首を見やる、そこには内出血の赤を通り越した紫に近いマーキングが施されていることだろう)
>秋天(>>1425)
……きっと素晴らしい女性(ひと)だったのだろうね。こんなに立派な子を育てたんだもの
(いつの世でもさして珍しいわけでもないその話にもどこか物悲しそうに目を伏せるのは温度のない人喰らいの怪物であっても情緒を理解する心が備わっている証拠。しかし当の本人に悲壮に浸る気配は一分とて無く、であればと自身も穏やかな微笑へと表情を巻き戻して慰めのつもりでもない思ったままを告げ「 そう、よく分かったね。もしかしてどこかで見たことがあるのかな? 」ここへ連れ去られた多くの獲物は眼の前で実演されようとも荒唐無稽な魔法を信じ受け入れることに少なくない時間を要するものだが、察しの良い言葉には賛辞を贈る調子で軽やかな冗談を付け加えて。得体の知れない不気味な場所で人間ではない異形の誘いに身を委ねる、そんな異常事態で背筋を伸ばしたまま歩み始めた気丈な姿に多くの怪物は感嘆するかもしれない。しかしこの屋敷の中でも古の存在に近い死神にとっては誇り高い強がりが透けて見えて愛らしいことこの上なく、思わず吐息と共に笑気が漏れ出てしまうのを意識して堪えなければならないほど。ふわり、黒煙の裾を広げて手を繋いでいない方の――即ち彼にとって壁となるもののない無防備な側を覆い隠すように、宛ら自らの傍らに彼を庇うようにしながら「 ××××、…きっと君たちには発音できない響きだよね。彼らの名前は怪物に――僕らに呼ばれる為だけのものだから 」隠す必要のない固有名詞はきっと摩訶不思議な音となって鼓膜に届くだろう。獲物にとって使い魔の名は必須でない、何故ならば彼らの仕える対象はあくまでも怪物たちであって獲物の世話を焼くのはあくまでも主人の美食のためなのだから「 ああ、見えてきた。食堂を使うことなんて滅多にないから久々だなあ 」わずかに階段を降り、幾つかの角を曲がり、廊下の突き当りに少し毛色の違う扉が見えればそこが今夜の終着点だと示し何処か静かに心躍るような声色で紡ぎながら魔法の力で手ずから触れることなく扉を開いて。目の前に広がるのは貴族公族が集い晩餐を嗜むのかと見紛うような広大さと絢爛さに満ちた食堂、その奥には人が何人も住めそうなスペースの厨房が広がり「 おいで。人間用の食材があるのはこっちだよ 」ゆる、と手を引いて大理石の床を跫音と共に進み厨房へと。ぴかぴかに磨かれた調理器具や大小様々な棚を素通りして、やや奥まった場所の戸棚を開けば新鮮な肉や魚、野菜や果物と豊富な調味料やスパイスの類が整然と並べられていて。冷蔵と常温のものが入り交じる光景は違和感を禁じ得ないものがあるが、魔力によって個々の食材が適温に保たれている事はそれらに少しでも触れれば分かるだろう)
>ニール(>>1426)
君は――――ニールはやっぱり、特別な子だね
(想像を絶する痛みの中、肉や血を生きたまま喰らわれるぐらいならば苦痛なく記憶を差し出す方がマシだといつだか獲物から聞いた事がある。しかしその本人も一度喰われてしまえば自分が自分であるための記憶がどれだけ無事なのかを心配する内に疑心暗鬼の渦に囚われ気が触れてしまった、その他の大多数の獲物はそんな目に遭わずとも少し考えれば記憶を奪われる事がどんなに恐ろしいかに勘付き震えていた。しかし彼は今まで見てきた獲物たちと矢張りどこか違う、死神に記憶という供物を捧げられると知って寧ろ喜んでいるように見える様相に覚えた高揚をどうにか上品と呼べる範囲の声色で表現し「 ふふ…素敵だね、是非食べさせて欲しいな 」美味しそうな響きに肯定を返す他なく、しかし急いて喰らおうとしないのは立ったままつまみ食いなんてお行儀の悪い真似はしたくないから。今宵彼が楽園を味わった締め括り、きっとあのオアシスにて頂戴しようかななんて謀略を巡らせながら解き放たれた獣を見送る。今は猛獣ではなく仔犬のように見える姿を微笑ましく眺めながら「 もちろん、心ゆくまでどうぞ。ここにいるのは死神だけ、誰も君を追放したりしないよ 」禁断の果実と呼ばれるに相応しく見る者を誘惑する熟れた赤色は、味も何も感じないと理解しているのに怪物の興味すら惹いてしまうほど。ゆったりとした足取りで彼に近付きながらじっと彼の一挙手一投足を見守って)
***
やあ、連絡どうもありがとう。今から気になって仕方がないから、きっと何度も宝箱の中を覗いてしまうだろうな。ああでも、…ふふ、急がず無理なく、ゆっくりと紡いで。今夜は引き続き、僕と楽園を楽しもうね。
>ハイネ( >1427 )
先ずは今日の花のお礼から、だね。
( 向けられる眼差しが何処となく楽しげに見えるのは気の所為だけでは無いのだろう。ちらりと視線を向けるのは彼が室内に入って来た際に置かれた鉢植え。それも枯らさないように世話をして、それからそれから…。日々の生活の中でやるべき事が増えれば、それだけ一人で鬱々とする時間も減るはず。返答には緩い笑みを浮かべ 「 飽きさせるつもりは無いから 」 ぽつり小さな声で紡ぐのは何度も聞いた一言。先日首筋に刻まれた時よりも強い痛みに僅かばかり顔を顰めるものの、自ら強請った事のために痛みに対する抗議の声を上げる事はなく。濃く深く刻み込まれたそれに、まるでうっとりとするかのような視線を送っていれば唇を掠めるように触れる柔い感触に間近に見える金の双眸を見詰め 「 うん、ありがとう 」 左手で手首に刻まれたそれをするりと撫でてから、口元は緩い弧を描くように口角を持ち上げ再度彼の首元へと緩く腕を回して抱き付くように。目の高さの位置的に普段とは異なり見下ろすような形で視線を交える状況が珍しくクスクスと小さな笑い声を漏らし 「 ハイネが俺のこと見上げてるの珍しいね 」 回していた腕をゆっくりとした動作で引き抜き、冷たい頬へと添えまじまじと見詰め 「 ねえ、ハイネは俺のことで知りたい事とか無いの? 」 未だ離れたく無いがために紡ぎ出した疑問。ゆるり首を傾げて )
>クォーヴ ( >>1428 )
( 養母と自分に対する賛辞への応えは曖昧な首肯に留めた。彼女のことについて、できればまだ何も考えたくなかったからである。起こってしまったことはどうしようもなくて、どんなに嫌だと思っても時間は残酷に針を進める。僕は母が亡くなってしまったことと同じくらい、母を殺/してしまえる人がいることそのものが苦しかった。続く彼のからかいには未だ信じられないというような顔をして、「……まさか。夢を見てるみたい」と素直な感情を伝える。ここが元いた場所とは別の世界であることをいよいよ実感し始めて、脳のキャパシティがいっぱいになる前に深く考えることをやめた。考えたところで意味がないだろうと思ったので。──ふわり。突如として自分の半身を覆った煙のような何かに驚き肩が跳ねる。それが気遣いの仕草であろうことに気付いたのは数コンマあとのことで、彼が口にした不思議な音への反応に少しのラグが生じた。「僕らに呼ばれる為だけのもの……」噛み砕くように呟いて、僕が決して立ち入れない領域の話なのだろうと理解する。寂しさに似た何かを覚えつつ、「そう。教えてくれてありがとう」と律儀にお礼を告げた。彼が自身を"怪物"と称したことも、今は考えないことにする。
ひとりでに開かれた扉の奥に広がる途方もない規模の食堂を通り過ぎて、彼に案内された厨房の一角にある戸棚の前へ立つ。生肉と野菜が同じ場所に並んでいてぎょっとするが、その中にあったラム肉に見えるものを手にとると不自然にひんやりとしており、これも魔法の仕業かと自分を納得させた。そういう不思議な力を操る彼は人間の食べ物を口にしないそうなので、僕の手料理はいらないし、案内を終えたらもうここに用はないことになる。部屋からここまでの道のりを一人で戻ることへの恐怖から「……クォーヴ、もう行っちゃう?ここにあるもの、僕が勝手に使って大丈夫?」と彼を引き止めるような台詞にそれらしい質問を添えて。使っていいから連れて来られたのだろうが、許可をもらう前に手を付けるのは気が引けてしまう整然さだった。補充されているということは使う人がいるのだろうと思ったことも嘘ではないので、不安そうな顔で彼の反応をうかがって。 )
>クォーヴ(>1429)
(特別だと、素敵だと、穏やかに贈られる彼の言葉に頬が弛む。ちゃんと熱量を持っている音だと肌身に感じるからこそ、それは尚更に。「うん、じゃあ約束ね。」己から渡す想い出を軽やかに契ったその後の、甘い香りに満ちた楽園の中。「ふふ、それなら沢山知恵を付けちゃおうかな。」得られた許可にまた満面と笑い、触れていた赤い果実をぷつりと手の内に落とす。それを二つ、三つと繰り返して、通り道の葡萄とオレンジも一つずつ、両手一杯に彼是抱えて向かう先は奥に見えていた泉。その縁に立って水面を爪先で揺らせば、何処までも透明なそれの波紋と共に心地よい温度が伝わって、「冷たいねぇ、」ご機嫌にくすくす笑いを零したその次、ぱしゃんと微かな飛沫を散らして足を浸し其処に座り込む。「クォーヴ、早くおいでぇ。」腕の果物達は膝の上に、空けた手でまた林檎だけを手に取りながら、振り返った笑顔でもう一方の手を肩ごと大きく振って催促を。しかしながら、彼が来るまで甘い匂いの誘惑を堪える事は出来なくて。「……ちょっとだけ、」見下ろした手の中、熟れた林檎の肌を上着の袖でごしごし磨き――遠慮無しの大きな一口で齧り付く。頬が膨らむ程に口腔に満たしたそれをゆっくり咀嚼していけば、匂い以上の味と果汁に目を見開いて、それからうっとり酔いしれるように眦を細く蕩かしていく。何度かに分けて嚥下したその余韻にも嬉しげにゆらゆら身体を揺らし、「……こんなに甘いの初めて。なんだかお菓子みたいだねぇ。」大層ご満悦と呟く声を浮かばせた後、欠けた果実から溢れる雫さえ舌先で舐め取りながら、それを夢中と頬張っていく。)
>グレン(>>1430)
フフ、貴方が悩んで決めたものならば何でも尊い贈り物ですよ
(どちらかというとネガティブな本質を持つ彼はあれこれ思い悩む性分という印象があり、しかし望まぬ内に敷かれたレールを歩まされた半生が故に自ら選び取り判断するという力は養いきれていないのだと評価しているため、そんな彼が一生懸命に自分で悩み決めたものならその過程にこそ価値があるのだと余計なプレッシャーを取り除く狙いで目元を穏やかに緩め「 ええ、是非ともその意気で長ぁく愛でさせていただきたいものです 」必要以上にシリアスにならない程度に、だが本音を表しながら冷たい指の腹にて形の整った鼻先にちょこんと触れて「 刮目なさい、付き合いの長い屋敷の連中でもそうそう見ることの叶わない景色ですから 」天高く聳える種族への誇りは多種多様な住人たちの中でも抜群だと自負があるため見下げる事はあっても見上げる事などしない。甘え上手か甘え下手かわからない彼に少なからず絆された結果、稀有な姿を見せているのだと特別感を醸して「 ……貴方から見た俺の魅力…でしょうか 」結果的に彼の事でなく自分の事にフォーカスしてしまうのは笑ってしまう程の自尊心の高さ故か。数秒黙して悩んでから捻り出した問という所にも無自覚にその片鱗が現れていて)
>秋天(>>1431)
(彼の育ての親を取り巻く話題にはどうやら複雑な心情や事情が絡んでいるらしいと歯切れの悪い反応から察してそれ以上触れる事はなく、否、彼の心を揺さぶる重要な因子が見つかっただけで収穫という表現の方がこの場合適切だろうか。魔法に対する飾らない所感は微笑ましさを誘うもので「 これからきっと、色んな不思議なものを見られるよ。君が望むなら僕が見せてあげる 」黒薔薇の屋敷が如何に人知を超えたもので満ちているか。その中には彼を欺き喰らわんとする恐ろしい未だ見ぬ怪物も混在しているが、恰も綺麗で楽しいものばかりだと前向きな印象を持たせる言い回しを選ぶのは徒に彼に不安を与えたくないから「 お安い御用だよ。他にも聞きたい事が浮かんだら何でも言ってね 」必ずしも獲物が知る必要のないことだらけのお屋敷でも、彼が知るべき事はまだまだある。その道標として自分を使っていいとばかりに情報の開示を惜しまない姿勢を見せるのは、きっとまだ大人になりきれない彼の好奇心に期待を寄せているから「 ううん、チウを部屋に送り届けるまで一緒にいさせて。食材なんかは好きに使って構わないよ、あの子たちにお礼を忘れずにね 」自ら希うような言い方を選ぶことで自室以外で彼を一人にさせる気はないのだと示唆する。いずれにしても帰り道は今来た道とはまるで異なるルートを辿らねばならず、人の身が運だけで正解の道筋を辿ろうとするならば宝くじで目も眩むような大金を連続で当てる方が簡単だろう。せっせと物資を運搬する使い魔たちをちろと一瞥して微笑んでから、自身は少し引いた場所で彼が調理を始めるのを見守って)
>ニール(>>1432)
(どれだけ紳士然と振る舞っていても、上質であろう食材のテイスティングが待っていると決まってしまえば肚の底から沸き上がってくる獰猛な何かを感じざるを得ず、しかしそれをおくびにも出さないのは普段の穏やかさもまた死神の嘘偽りない気性であるから。きっとそれに救われた瞬間がいくつもあるのだろうな、なんて取り留めのない事を考えている内に彼の抱える果実はみるみると増えていき「 ふふ、僕も持とうか? 」と思わず声を掛けてしまうほど。何だか彼には水辺がよく似合う気がすると感じるのは、内に飼う獣や蛇にとって必要不可欠な場所だからだろうか「 今行くよ、お姫様 」急ぐでもなく焦らすでもないあくまでも優雅な応答はその歩調にも表れて、黒煙の下に隠れた浅く履くタイプのスエード調のレースアップローファーを脱げば彼の右隣に腰を下ろして片方の膝を立てもう片方の足先を控えめに泉に浸し「 何だか新鮮だなあ 」きっと彼に誘ってもらわなければ態々取らなかった行動に楽しそうに柔らかく微笑みを深め、そして隣を見遣り「 ニールは美味しそうに食べるんだね。僕まで甘く感じられそう 」ここに連れて来た甲斐があったと疑いようもなく思わせてくれる食べっぷりに嬉々とした情動は声色にも滲み出て。きっと林檎も彼に食べてもらえて本懐だろう、そんな風に感じさせる表情や行動は他でもない怪物の食欲を静かに、確かにそそるもの。食事中の獣に手を出すほど愚かではなく、美味そうに果実を貪る姿を只々にこにこと眺め「 ほんとに、美味しそう 」心の底から甘やかに呟いたそれは果たして林檎に対しての感想か、或いは。)
>ハイネ( >1433 )
……ふふ、そう言ってくれると安心する。
( あれこれ考え過ぎてしまう嫌いのある己の性質を理解してくれているからだろうか。耳に届いた言葉にぱちくりと大きく瞳を瞬かせるも直ぐに笑みを浮かべて。優柔不断を通り越して何かを決めるという行為自体に苦手意識がある為にぐるぐると思考の渦に囚われる未来からはきっと逃れられないのだろうが、彼の言葉一つで多少なりとも心が軽くなるのだから不思議なもので。鼻先に触れる感触にクスクスと込み上げるような小さな笑い声を隠す事はせずに 「 期待しててよ 」 なんて緩い口調で紡ぎ出し。 「 じゃあ、凄い珍しい光景だ 」 優越感の滲む笑みは彼の醸し出す特別感を匂わせる言葉によるもの。きっと彼の手の中なのだろうが、そんな事を考えられるほどの頭なんてあるはずも無く。 「 俺から見たハイネの魅力…? 」 首の傾きをやや深めるのは言葉として伝えるのが難しいため。時間にして数十秒程の沈黙の後 「 俺を真っ直ぐに見て、愛して、気長に付き合ってくれるところ…かな 」 言葉を選ぶようにゆっくりと紡ぎ出すのは改めて告げるにはどう伝えれば良いのかと悩みながらが故のこと。一見すれば交わっていると錯覚する程度の範疇で僅かに逸らしていた視線を再度金の双眸へと戻し 「 それと……ハイネと居る時間が一番安心出来る 」 今迄の生活は期待に応えられなければ一人残されるばかりであった為に、条件のある彼との関係は心地が良い。真正面から己に注がれるその視線を捉えて 「 俺のこと独りぼっちにしないでしょ? 」 暗くなり過ぎないように笑顔であくまで軽く世間話程度の口調で紡ぎ出したそれの中に含ませた共に過ごしてくれる、その意味合いだけで無く捨てるくらいならば喰べてくれる、言外に含んだその意味合いは彼に伝わっているだろうか )
>グレン(>>1436)
良かったですねえ、俺が優しい怪物で
(冗談めかすように恩着せがましく言いながら大袈裟に肩を竦めてみせて、きっとまだ頬に触れているであろう彼の片手に自らの手を重ねて柔く握るようにしながらきちんとソファーに腰掛ける姿勢へと戻り「 おやおや、当然の事ばかりですね。俺は貴方を隅々まで愛でる為に手元に囲っているのですから、よおく見て愛するのは所有者の常ですよ 」回答は自身のパーソナルな部分を評価しているというよりかは彼へ接する態度そのものが好ましく思われていると解釈できるもので、やや拍子抜けした調子でふんと鼻を鳴らして得意げに蒐集者としての有り様を語り「 品が上質、というのもありますがね 」だから特別目にかけてやっているのだ、と掴んだ手の甲に口付けて。その体勢のまま視線を交わらせ、彼の言葉が終わっても沈黙を守ったまま僅かに口を開いたかと思えば指輪の鎮座する右隣の指先を浅く咥えて指の腹に舌を這わせて微笑み「 それは俺の気分次第れすよ 」口に体温を含んだままゆえ最後には少し舌足らずな音が交じる。飽いてしまうあまり食べる気も起きなくなるかもしれないでしょう?――そんな意地悪を意味深長な微笑に含ませ指を解放すれば今度は彼をソファーへ押し倒すように肩を淡く押さえて体重を掛け「 人間の命など短いもの。先の事をあれこれ考えるよりも俺に愛でられている今を見なさい 」逃さない、そう最初の夜に告げた言葉通りに例え今の彼が全力で抵抗し身を捩ったとしても人知を超えた不可視の力で組み敷いてしまうつもりで噛み付くように唇を奪おう。頭に酸素が回らなくなって嫌なことも心配事も何も考えられなくなってしまえばいい、そんな全てを押し流す荒々しさを持って舌を絡めながらしっかりと彼をホールドするように後頭部へ手を滑り込ませて)
>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ユギン ]
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◆ルシアン(>>19)
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◆レオ(>>147)
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◆リーパー(>>576)
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●ニール × クォーヴ ⇒ 【 >>1435 】
●グレン × ハイネ ⇒ 【 >>1437 】
●秋天 × クォーヴ ⇒ 【 >>1434 】 ※初回、仮登録
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>クォーヴ ( >>1434 )
( 善意で煮詰めた優しい言葉が耳をくすぐる。魔法使いの友人ができたのは初めての経験で、それに釣り合う何かを持たない僕はただ無防備なはにかみを向け信頼を示した。裏切り者め。唯一の家族を亡くしたその日にもう何度も笑っている!そう自身を責め立てる内なる声は聞こえないふりをして、繋いだ手をもう一度しっかり握り直す。こんなふうに誰かと手を繋ぐのはいつぶりだろう。現実逃避と刷り込み的依存。自分がこんなに弱いって、僕は全然知らなかった。
"一緒にいさせて"の言葉にほっと胸を撫で下ろし、彼が視線で示した方へと同じように目を向ける。小さな生き物たちが働く姿に息をのみ、脳裏をよぎったのはあの言葉。"これからきっと、いろんな不思議なものを見られるよ"。こんな光景が当たり前になるのかと年甲斐もなく胸が弾んで「大事に使わせてもらいます。ありがとう」彼らに心からの礼を告げるとこちらを見守る優しい魔法使いに今一度向き直る。「クォーヴもありがとう。美味しいものが作れそう」改めて感謝を伝えると、手にしていたラムを台所に置きシンクで丁寧に手を洗って。「そういえば、クォーヴは何を食べるの?」トマト、セロリ、玉ねぎなどの野菜を戸棚からおろしつつ、そんな質問を投げかける。肉に下味をつけて、トマトはピューレ状に、他の野菜は細かく刻んで……シチューの効率的な作り方を脳内で描きつつ問いかけた一つの世間話。彼は人間の食べ物からは栄養を得ないと言っていたので、一体何を美味しいと感じるのだろう。人間の食べ物を美味しいと感じる人間の僕はそんなふうに平和**していて、忙しなく手を動かしながら蒼い目の怪物の返答を待って。 )
(/ああ、僕のミスだ……。結構気を付けてたんだけど伏せられちゃった。文脈でわかるかもしれないけど一応補足。 >>1439 の最後の方にある平和○○は平和ボ/ケって書きたかったんだ。こんなことでスペースいただいちゃってごめん。もちろん返事には及ばないよ。
せっかくの機会だから伝えるけど、僕クォーヴと話せて毎日楽しいんだ。出会ったばかりだけど本当に感謝してる。あなたの暇つぶしにでもなれてたら嬉しいよ)
>秋天(>>1439)
(魔の言語は人の身に解せよう筈がないものの、反対はそうではないらしく忙しなく働く内の一匹のコウモリの姿をした使い魔がパタパタと羽撃いて空中に留まりながら彼の感謝の意に応えるようにただ一声キィと鳴いて。お返事が出来て偉いね、そう言わんばかりの包容力ある微笑みにて使い魔を見つめていた怪物は名を呼ばれればすぐに彼へと視線を向け「 “黒薔薇のお屋敷”ではヒトが料理をするところなんてなかなかお目にかかれないからね。僕も楽しませてもらっているんだから、お礼には及ばないよ 」あちこちに点在する窓、その枠を埋め尽くさんばかりに咲き誇る夥しいまでの黒薔薇。それこそがこの屋敷の、ひいては怪物たちの支配者の偶像でありこれまで此処で命を散らせた人間たちの成れ果ての姿であるとは攫われてきたばかりの少年に知る由もなく、自身からすればそれが如何に新鮮で上質とて全く食欲のそそられない食材たちを手際よく下処理してゆく工程を興味深そうに観察して「 ふふ。何を食べると思う? 」回答を勿体ぶるような真似をしたのはそれが不都合な質問だからでもどう応えるべきか謀略を巡らせているわけでもなく、ただ世間話を一問一答で終わらせない長く続く会話にするための他意なきもの。その証拠に人当たりのよい笑みはそのままに、一歩歩み出て彼の隣へと並び立てば雲を掴むようなクイズになってしまった自覚はあるため彼が困ってしまう前に此方から二の句をゆったりと継ごう「 なんて、何かヒントが必要かな。例えば僕の正体…とか? 」進んで自分の事を話したがる性分ではなく、寧ろその正反対に相手の事を知りたいと常々願う怪物は、もし彼が自ら知りたがるのであれば種族を明かそうと心に決めてあくまでも相手の意志を尊重するためにそこで言葉を止めて)
***
ふふ、ご丁寧に補足をありがとう。こういう事はお互い様だから、なんにも気にしないでね。
僕もチウと話せるのが楽しいよ、いつも素敵なお返事をありがとう。これからも君に楽しんでもらえるお屋敷でありますように。…それじゃあまた本編で、たくさん言葉を交わそうね。
>ハイネ( >1437 )
ふふ、不満?
( 呆れたかの様子に目を細めながらも楽しげな口調を崩さないのは本当に彼が怒ったりしている訳では無いと分かっているから。手の甲に触れる柔らかい感触に口角を持ち上げ 「 そりゃ、誰かさんが目を掛けてくれてるからね 」 冗談めかしたようなそれは十分に大切にされていると理解をしている為。事実彼自身が言いつけているのか使い魔自身が主人のお気に入りだと理解をしているのか、この部屋に出入りし世話を焼く頻度も恐らく彼のところのであろう蝶が大半を占めており。じいとその顔を見つめていれば口に含まれた指に舌の這う擽ったさに軽く身を捩って。 「 ハイネはそんな事しないでしょ? 」 きょとんとした表情にて告げるそんな妙な自信は実際に喰われかけた経験によるもの。彼が約束を違える事はない、そう信じているが為にゆるり首を傾げるだけに留めて。肩を押す力を拒む事なく押し倒される背を受け止めたのはソファのクッション。元々柔らかな場所であった為か、勢い良く押された訳では無いからか背に痛みを感じる事はなく、上に乗る彼を見詰めていれば呼気を奪う勢いで唇が重ねられ。いくら慣れていると言っても長く深く口付けられていれば酸素量が足りなくなってくるのは避けられない事で、段々と頭の中に霞が掛かったようにぼうっとしだして。それでも口内で動く舌に応える事は忘れず、彼の首の後ろで腕を交差させるようにして自分からも身体を寄せるのは逃げるつもりが無い事の意思表示。唇が離れればとろり蕩けた目元や締まりなく緩んだ表情が見て取れるはずで )
>グレン(>>1442)
(こちらの意地悪や揺さぶりも何処吹く風という様子を見て、随分仕込まれてきたなと満足気に感じてしまうのはそれだけ時間をかけ心を砕いて彼を如何に特別扱いしているかを言葉と行動で伝えてきた自負があるため。自己肯定感の高いようで低い彼にここまで揺るぎない信頼を築かせた事に機嫌を良くした心情はもっと此方へと彼の後頭部を手前に引き寄せる力が強まった事に表れて。そろそろ人の身には危険かと一度唇を離して顔を見つめれば、すっかり受け入れされるがままの惚けた色にどこか獣じみた鋭い笑みを浮かべ「 俺以外の誰にも、そんな顔を見せてはいけませんよ 」強く訴えかける口調はしかし途方もない甘やかさに満ちた響きを持ち、覆い被さるようにしてぎゅっと抱擁しながら耳元へ口を寄せて「 堪え性のない者なら、きっと貴方を襲ってしまう 」無論怪物から見て人間は獲物であり、ダークエルフにとっては獲物以前に品物。ゆえにそれは性愛の類というよりかはキュートアグレッションから来る衝動に近く、襲うの意味合いも婉曲表現ではなく物理的に傷害を受ける可能性を示唆して「 返事は? 」詰るような音ではなく決まり切った回答を求める高位者の優越をたっぷりと滲ませ、少しだけ身体を離して彼の双眸を苛烈なまでに真っ直ぐと見つめながら顎を淡く掴んで)
>ハイネ( >1443 )
( 耳元で聞こえる声音と含まれる吐息が擽ったく、僅かに身動ぐものの本気で離れたいとは思っていない為か抱き締められた腕の中で然程動く事はなく。屋敷に拐かされる前元いた世界であれば婉曲的な言葉として捉える事になったのだろうが、きっとそれは直接的な被害を受ける意なのだろう事は想像に難く無く。真っ直ぐにこちらを見据える瞳を見詰め返す瞳は先程までの熱が抜け切らない為か何処か緩く 「 …うん、見せるつもりは無いけど 」 歯切れの悪さが垣間見えるだろうか。もやりと心中に浮かぶものを隠したとて彼に見透かされるだろう事は経験済み。であれば指摘される前に出してしまうのが吉かと判断すれば 「 ……ハイネは俺が誰にでも尻尾振ると思ってるの? 」 不機嫌さを隠そうともせずに拗ねたように唇を尖らせて。幼少期の経験の事を出されればぐうの音も出ないものの、彼と出会ってからは特段他者に愛想を振り撒いた記憶も無い。ふいと視線を背け 「 ハイネにしかこんな事してないのに 」 ぽそり呟くように零して )
>グレン(>>1444)
おや。俺の独占欲を浴びて悦ぶと思いましたが
(いつか彼の幼少期の忌々しい記憶を友人に喰わせてしまおうと決意したあの夜、彼の腿へ傷をつける発端となったたった一人のコレクションに注ぐには持て余してしまいそうな身を灼かんばかりの執着心と独占欲。あの時の彼の恍惚とした様子が脳裏に去来していたが為にそれとは真反対の不愉快さがありありと浮き出ている事に意外そうにあっけらかんと告げる。もし、彼が招き入れた怪物のうちの誰かが自身と同等にこの類稀な美丈夫を気に入ってしまったら――相手は人間ではなく魔力を行使する存在ともなれば数秒の思案の先に僅かに表情を曇らせ「 ……しかし、なかなか手強い者ばかりですからね 」彼が欲しがる言葉をふんだんに浴びせて、他のコレクションの世話に忙しい自分なぞより多くの時間を彼に投じて沢山の言葉と夜を積み重ねていくのだとしたら、彼の中の天秤は…そんな仮定を思い浮かべてハッとしたように目を瞠ったのは、例え相手がどの怪物であっても、どんなに魅力的な誘惑にも“僕はハイネのものだから”と颯爽と、或いは妖艶に凛と言い放つ彼の姿しか想像できなかったから。ややばつの悪そうな雰囲気を醸しながら再度上からむぎゅうと彼を抱き締めて「 …グレンにではなく、俺以外の住人達への不信――という表現が今回の場合適切でしたね 」素直に撤回をするのは他の誰でもない自分自身で導き出した答えにこの上なく納得しているから。ああ可愛い貴方、と彼の頭に自分のそれを擦り寄せて「 フフ。俺は少々貴方を甘く見ていたようです 」先程鳥籠の矜持を持つ品物たれと偉そうに講釈を垂れたばかりなのに彼の一途さを見誤るとは、と。自嘲するようにクスクスと喉を震わせて)
>クォーヴ(>1435)
(たっぷりの果物に冷たい泉、座る其処はふかふかの芝生。考えられる限りの恵みを詰めたような居心地の中、頬張る林檎は何処を齧っても甘く、幾ら口に放っても飽きが来ない。その何度目かの咀嚼中、隣に並んだ姿へと目は向かい、「ふふ、確かにちょっと意外。」静穏と優雅を形にした彼が、片足とはいえ水に浸かる姿は意想の外と、その光景に口から笑う声が零れて。そのまま合った視線はやはりきらきら輝き、「だって、ホントに甘くて美味しいんだもの。」既に半分は欠けたその赤い実を掲げてにんまり満足を満面に。それでも表し足りない高揚は、ぱしゃぱしゃと水の内で跳ね回る爪先に。それからまた齧り付いて味わう最中、届いたその呟きへ一度ゆらり首を傾げる。しかし直ぐには何も言わず――やっと彼の方を見たのは、林檎を丸々一つ、固い蔕から芯まで全て腹に納め終わって、指先の果汁さえ舐め取ってから。「……クォーヴも食べちゃえば?」口の端を悪戯に吊り上げ、誘いを軽やかに投じる。そうして手にした二つ目の林檎を泉に浸して両手ごと灌ぎながら、「貴方が言ったんでしょ。この楽園には貴方とオレちゃん、二人だけ。追放するものなんて何処にも居ないって。」実を手にする前に得た彼の言葉を引っ張って、滔々と滑らかに赦しを謳った後、「…ならさ、」雫の滴る禁断の果実を彼の前へ。それを持つ手がご丁寧に甲を晒しているのは、わざとか否か。もう一方の五指は、しゅるり彼の爪へと絡み纏わりつく。「……一緒に罪を犯しちゃおうよ。」誰に聞かれる訳でもない、けれど密やかに吐息を籠めた誘惑。その紅の瞳にも違いは無く、蜜のような艶熱を籠めて水色をとろりと見詰め、蛇は彼を唆す。)
>クォーヴ ( >>1441 )
( まるで僕の声に応えるように鳴いてみせた1匹のコウモリに目を見開く。言ってることがわかったの?そんな当然の疑問が浮かび上がるも、この屋敷の生き物は人語くらい解してもおかしくないかとすぐに思い直して。──黒薔薇のお屋敷。その言葉に顔を上げると、確かにこの屋敷の窓がどれも黒い花と不気味な蔦に覆い隠されてることに今頃気付いて眉をひそめる。中の者を外へ出さず、外の者を中へ入れないために存在しているような薔薇の格子。僕の目にはその重厚な閉塞感がこの屋敷を強く束縛しているように映った。「確かに黒薔薇のお屋敷だ。外から見てみたいな。だめ?」そんなふうにおねだりしつつ、刻んだ野菜を火にかける。同時進行で煮込んでいたコンソメスープの黄金色が食欲をそそり、久々の自炊の割にはクオリティの高い夕飯にありつけそうだと笑みが溢れた。続く彼の言葉に首を傾げると「クォーヴの正体?魔法使いでしょ……?」さも当然のように問い返し、それがなんなのかと言いたげな顔で視線を上げる。クォーヴはいつの間にか僕の隣に立っていて、それに気付なかったことに小さく驚いた。いやに静かな空間でシチューがぽこぽこと音を立て、厨房に優しい香りがあふれ出す。団欒の匂いは母と囲んだ食卓の記憶を無神経に呼び起こし、取り戻せないその風景に手が止まった。全部忘れてしまえたら楽なのに。温かな思い出を不自然な咳払いで振り切りつつ、できもしないことを考える。鈍った手付きを誤魔化すように調理を再開すると、「違うの?」と改めて質問を重ねて。 )
>ハイネ( >1445 )
心外だな。俺にだって独占欲と不信感の見分けくらいはつくよ。
( むすりとした表情はそのままに、まるで予想外だとでも言いたげな様子の彼にじとりとした視線を向ける。以前クローゼットに大事に仕舞ってある衣類を彼が持って来てくれた夜のように、純粋な独占欲や嫉妬心の類であれば悦びを隠す事なく昇華させていたのだろうが今宵の其れは如何にも不純物質が織り混ざっている気がしてならず。元より愛情に飢えているとは言っても不特定多数の薄っぺらなものよりただ一人から注がれる重たいものの方が心地が良い。それに加えて例え誰かから彼と同じだけの物を与えられたとて、その誰かと彼を比較した後にハイネだったら…そんな風に考えてしまう未来が予想出来てしまう程に絆されてしまっているのだから。己を信用していないのか、それとも住人のことか。紡ぎ出される言葉に不満感は募っていくも、覆い被さるように抱き締められれば数回瞬いて 「 俺はハイネのもの、でしょ? 」 身体を包み込むこの冷たい体温を心地良いと感じるのも、閉鎖的な空間に二人で居て安心をするのも、姿が見えなくて不安感に押し潰されそうなのも、その全て相手が彼だからなんて事を肉声として紡ぎ出す事はせずに身を擦り寄せ 「 ハイネが手放すまで離れないって、さっき誓ったばっかだと思うんだけど 」 抱き竦める体温に不満気な顔は次第に緩和されていくものの、どうせ見えていないのだからと声にはたっぷりと不満の色を乗せて。もぞりと動き額を合わせるようにして視線を交え 「 それとも、もっと強く誓わないと俺が誰かに取られるかもって不安? 」 例えばハイネが手放す前に誰かの物になったら俺の全部をあげる、とか。普段ならあまり浮かべる事の無い不敵さの滲んだような笑みは多少なりとも己の本質を見違えた彼への意地悪も含めて。一、二分もすれば “ 冗談 ” なんて言葉と共に普段通りの様子へと戻るだろうが果たして )
>ニール(>>1446)
折角二人で来てるのに、水遊びするのが片方だけなんて寂しいでしょう?
(彼が感激するほど泉の水を冷たいと感じられないのは、文字通り死を顕現したような病的に白い足がそもそも低温だからなのだろう。人間と死神、埋めようのない種族の差異があるために同じ感覚を共有できない事に今更寂しさを感じはしないが、同じ体験を出来る機会にあってそれを放棄するのは寂しい。透き通った水を遊ばせる彼の爪先を穏やかな眼差しで眺めながら緩やかに流れる二人一緒の時間を味わうさなか、投じられた確かな一石に一瞬時が止まったような錯覚を覚えて「 ……ふふ。僕が食べたいのは―――― 」一度その瑞々しくも妖しい赤色の果実を受け取って、しかし手中のそれはまるで存在ごとどこかに飛ばされてしまうかのように頂点のヘタから下へ下へと消し去られる。それはまるで神が禁忌を冒した者を彼方へ追放するような所作、空っぽになった手で差し出されていた彼の手を捕まえて自らの口元にゆったりと引き寄せて「 君が僕だけのエデンの林檎ならいいのに 」真っ直ぐに目を見て、きっと様々な住人が取り合うであろう美味しそうな獲物に願っても仕様もない望みを穏やかに呟く。本来ならば捕食者が誘惑し獲物を追い詰める筈だが、正反対の倒錯感にざわりと黒煙が騒ぎ始める。近くの枝に留まり穏やかに囀っていた小鳥たちが複数の小さな羽音を立てて逃げるように飛び去ったのは、牙を隠していた捕食者が鎌首を擡げたからなのだろうか「 ごめんね、痛くはしてあげられない 」牙と爪で肉を切り裂くでも、皮膚を突き破り血を啜るでもなく、ただ手の甲に口付けて記憶を奪う際に痛覚は一切刺激されない。その条件が奏功する相手ばかりではないのだと、痛みを存在証明の一つに数える彼という奇特な獲物に出会って初めて知ったからこそ謝意を告げて――痛みの代わりに必ず流涙を促す死神の唇を彼の手の甲にそっと触れさせて。目線はじっと彼に合わせたまま、指定された記憶がきちんと彼の脳と心に存在するものだったからこそ口を伝って流れ込んでくる不可視のそれの味わいを噛み締めるように瞼を下ろして、ほんの十秒にも満たない間に緩やかに手の甲へ寄せていた顔を離し「 ああ…。いけない、もっとたくさん欲しくなってしまうね 」そのくらい美味しかったんだよ、そんな風に名残惜しそうな響きを持たせてふと彼に微笑みかけて)
***
矢継ぎ早にごめんね。宝箱に仕舞ってくれた十三番目の子との追いかけっこの記憶、大事に読ませてもらったよ。その報告だけ伝えておくね、僕が初めて食べる君の記憶に丁寧に味付けをしてくれて本当にありがとう。こちらにはお返事不要だよ、これからもよろしくね。
>秋天(>>1447)
折角お屋敷の外に出るなら、また今度ピクニックでもしようか
(黒薔薇による不気味な装飾を目にしてもそれを忌避するでなくむしろ鑑賞しようとするおねだりには緩やかに微笑を淡く深めて今夜ではないいつかに繋がるかもしれない約束の提案を。もし色良い返事が貰えたのならば次に話題とすべきは行き先で、いくつかの候補を思い浮かべながら「 チウは薔薇が好き? 」そう問い掛けて見つめた横顔には自炊に満足げな笑みが認められて、可愛らしいと反射的に感じれば彼の視線の移動によって目が合い「 ふふ、ならこのお屋敷の住人はみんな魔法使いということになるね 」勿論個体によって魔法に対する得手不得手があるものの、人間とは異なる魔の世界に生きる種族ゆえその力は大変身近なもの。そんなやんわりとした表現を彼より重ねられた質問に対する回答の代わりとして「 死神、って知ってるかな? 」人間からしてみれば空想世界の産物たる種族。このタイミングでそれを話題に挙げたことで、賢い彼ならば大凡の察しはついてしまうだろうが寧ろそれを期待するようにあくまでも隠すべきことではないといった調子で「 ふふ、暖かい香りがする 」自らの正体なぞ世間話の一角に過ぎず、だからこそ彼の作り出している料理の香りにも触れる。美味しそうな香り、と表現しないのは言わずもがな生きるための糧がふたりの間で異なるから)
>グレン(>>1448)
(強敵たる他の怪物たちが絡む不愉快な仮定、その想像の先にきっと彼が言い放つだろう台詞を今ここで肉声として得てしまえば、何もかも杞憂だったと喉奥から低い笑いが零れ続けて。依然として彼の声色には不服がありありと乗せられているものの、特にそれが気にかからないのは自身が納得した今この応酬全てが茶番であると感じているから「 フフ、いいえ必要ありませんよ 」それ以上は無用と真正面から彼のそれに勝るとも劣らない無欠たる自信に溢れた笑みを返してから席を立ち「 少々長居をし過ぎました。俺を待っている次の品のところに行かなくては 」自身の髪、服の襟、今し方の触れ合いで乱れた身嗜みを次々にてきぱき整え、次の予定という他愛もない事実が彼にとっては心乱す意地悪と成りうると知っているからこそ先程のお返しと目線を向けないまま敢えて口に出し「 それでは俺のグレン、また会う夜まで御機嫌よう 」四分の一ほど飲み残した紅茶の片付けは当然使い魔に任せ、特段彼から引き留められる事がなければそのまま部屋を後にするだろう。さあ矮小で可愛い俺のコレクション、離れている間この崇高なダークエルフの事ばかり考えて、考えて、眠れぬ夜を過ごせば良い――そうすれば次の夜はまた甘やかし甲斐もあろうというもの。どこまでも手前勝手に愉しみながら品物を愛でることだけを考えるコレクターは、背中越しにどんな笑みを浮かべていただろうか)
>ハイネ( >1451 )
( 自分以外のコレクションを匂わす発言に心が揺れるのはいつも通りなのだが、何処か凪いでいる部分もあるのは普段であれば見れないだろう彼の表情を今宵だけで多く見ることが出来たからか。身なりを整える彼の傍、ソファから起き上がりその様子をしっかりと視線で捉えつつ 「 なるべく早く会いに来てね 」 引き止める事はせずにあくまでも見送るスタンスなのは良い子でいよう、そんなリミッターを外しきれていない為か。扉が閉まり彼の姿が見えなくなるのを見届けてから、マグに半分程残る珈琲を飲み干して片付けを始めた蝶に 「 これもお願いして良いかな 」 なんて言葉を掛けてから立ち上がり向かうのは鉢植えの花が置かれた場所。本来ならば陽の光が当たる場所が良いのだろうが残念ながら夜が明けないこの屋敷では叶う訳のないもの。悩んだ末に背の高いテーブルを窓際へと運び、その上に飾るのは普通であればこんな場所に置くのだろうなんて思いから。伸び伸びと咲き誇るそれを見詰める表情は穏やかなもので。さて、次の逢瀬までに何かしらお礼の品を絞っておかなくては。けれど無い頭を必死に回転させるのは明日以降にしようか。珍しい彼の姿を見ることが出来たのだから今宵はよく眠れるはずだ、とばかりに軽く伸びをすればバスルームと消えて行くはずで )
****
今夜はこの辺りかなって事で失礼するよ。
色々と我儘を聞いてもらえたし、珍しいハイネの顔も見られたし僕的には物凄く満足出来る夜だったよ。君も同じ気持ちだと嬉しいな、なんてね。
さて、次は前に話していた通りシャルロットかジョネル、キルステンと話してみたいんだけれど順番を今少し悩んでいてね。というのもハイネが持って来てくれた花のお礼の相談も含めてしたいって気持ちが出て来てしまって……きっとハイネの好みを知ってるのはシャルロットやジョネルなんだろうけど、キルステンも相談に乗って一緒に頭を悩ましてくれそうだし…。もし君の方でおすすめがあれば教えてくれると嬉しいな。
嗚呼、もちろん誰に対してであっても部屋に呼ぶための手紙はきちんと書いて送るつもりにしているからその辺りは考慮しなくて大丈夫だよ。とだけ付け加えておこうかな。
>クォーヴ ( >>1450 )
いいね。ボートとか乗りたいな、近くに池か湖があれば……
( ピクニックなんていつぶりだろう。魅力的なお誘いに破顔して、口からすらすらと要望が出る。彼からの問いかけにこくりと頷くと「植物全般好きだよ、見るのも育てるのもね。動物も好き。生き物が好きなんだと思う」と弾むようなテンポで答えて。続く彼の言葉にはぽかんとした表情を浮かべ、この屋敷には魔法を使える人がたくさんいるのかと驚愕する。その驚きを上回る非現実的な単語に手を止めると「死んだ人の、魂を狩る……」としどろもどろに"死神"のイメージを答えて。冷たい汗が背中を伝う。怖いことを聞かされる、と本能的に思ったが、聞きたくないとは思わなかった。繋いだ手の体温を思い出す。痩せた体躯に白い肌。違和感ならいくらでもあって、ただ僕が目を逸らしていただけのことだった。それを今になって咎められて、彼を優しい魔法使いだと思い込んでいた愚かな自分を滅多刺しにされたような心地がする。「クォーヴが……そうなの?」震える声でそう尋ねた。僕を見下ろす穏やかな両目を覗き込む。ああ、これがそうなのかと思った。この水色こそが死神の眼差しであるのかと。「……クォーヴはお腹空いてない?晩ご飯食べた?」やわらかな声色を変えない彼に合わせてこちらも努めて平然を保つ。止まっていた手を再度動かすとそんな質問を投げかけて。 )
>クォーヴ(>1449)
(受け取られた建前の赤い果実は、彼によって何処かへと追いやられる。それに驚くことも無く、眼前の捕食者に囚われるのを受け入れるように、ほんのりと握り返す力を指に籠める。我先と飛び去る小鳥の羽音を後ろに見詰め合う瞳が願う声、それには沈黙の下ゆぅらり首を傾けて、妖しさを窺わせる微笑みを作るのみ。「…いいよ、大丈夫。」苦痛も自己証明と喰らう己の為と、態々告げてくれた一言。思わずふっと喜ぶ吐息が零れて、そのまま眦を弛ませ緩やかにかぶりを振った後、淡い青の瞳へ、己に触れる死神の唇へ、一瞬とも逸れぬ深紅の眼差しが一心に注がれて――ふと、視界がぼんやり滲む。それを正さんとぱたり瞬きをすれば、目尻から輪郭を伝う温い雫の感触。「っ…、……?」自分に何が起きたのか、理解出来ない。ただ頭が勝手に何かを惜しむように、心が何かを吐き出したように、意思を無視してぽろぽろと落ちる涙。その困惑は表情を忘れた相貌と、言葉も声も作り損ねた口のぎこちない空振りに。戸惑うばかりの意識を連れ戻してくれたのは、彼の声。「……ふふ、そっかぁ。」ようやっと、顔は“いつもの笑み”を象って彼と向き合う。「…でも、今夜はこれだけね。」これ以上無い褒め言葉に頬を色付かせながら、しかし果たされた約束に違いは無しと、くすくす悪戯な勿体振りを投げ返したかと思えば、未だ繋いだままの彼の手を今度は己が引き、「次は、そう――」白い手の甲に顔を寄せ、冷たい肌をそろりと柔く食んだ濡れた唇。…それは紛れもなく、死神の捕食を真似る所作。「――真っ白な世界で貴方と踊る夜に、ね。」只の戯れか、それとも何かの意図を持ってか。その底を読ませぬ無邪気を描いた懐っこい仔猫の笑顔を向けて、次なる契りを彼へ持ちかける。)
>グレン(>>1452)
やあ、僕の――いいや、ダークエルフの仔羊くん。確かに今夜の彼は珍しかったね、きっとその一面を引き出したのは君の力だと思うな。素敵な夜をありがとうね。
次のお話だけれど、相談相手という主旨ではまずシャルロットは後回しになるかなあ。彼女は自分を好きだと言ってくれる獲物になら協力を惜しまないだろうけど、だからこそ自分よりもハイネの事を信頼している獲物の相談にはすっかり拗ねちゃって積極的に乗ってくれないと思うんだ。残るはジョネルかキルステン、ハイネの好みに沿うものを考慮したお返しを探したいならジョネル、基準をハイネの好みじゃなくて…何ていうのかな、独創的なものにしたいならキルステンかな。
もしこの情報で指名が決まったら、招待状を出してあげてくれるかい。ふふ、まだ見ぬ怪物との邂逅が楽しみだね。
>秋天(>>1453)
丁度、とても広くて紅くて綺麗な湖があるよ。水上でおやつを食べようか
(彼が乗り気であることは表情や言動からしっかりと伝わって、そのリクエストに応えられる事を喜ぶように死神もまたにっこりと目を緩やかな弧の形に垂らして微笑んで。湖の畔には手漕ぎボートがあった筈、それを使って澄んだ湖上でのピクニックを提案し「 そう、良かった。それじゃあ今度、薔薇庭園を案内したいな 」この屋敷で薔薇が嫌いとなれば大変気の毒な事だと懸念していたが、杞憂に終わった事にほっと安堵したようにまた未来への約束の種をひとつちゃっかりと忍ばせて。それから、動物が好きだと得た情報に応ずるように「 …狐、狼、蛇、ライオン、翼の生えた大きな蜥蜴。君が望むなら僕から紹介しておくよ。狐とライオンとは特に親しいから、きっと君にも良くしてくれるんじゃないかな 」動物、そう呼ばわっては憤慨する者も多少含まれているものの現時点では彼に分かりやすい表現を選びながら彼らもまた死神と同じこの屋敷に住まう“魔法使い”なのだと示唆して「 そう。よく知ってるね 」ステレオタイプなイメージは蓋しどう足掻いても否定しようのない内容。しかし不都合はないとばかりに変わらぬ微笑を凪がせて「 魂は、最期の最後。僕らが食べるのは、君の記憶だよ 」“クォーヴは何を食べるの?”数刻前の問い掛けに対する明確な回答を渡すことで自身が死神であると言外に告げる。この屋敷では珍しい部類に入る真っ黒な双眸を空恐ろしいほど害意のない穏やかな眼差しで見つめながら、途端に自身の空腹状態を気にする彼の可愛らしさに思わず“ あはは、 ”と珍しく控えめながらも口を開けて快活に笑って「 怖がらないで、チウ。僕はお腹いっぱいだよ 」安心を導くための言葉は、彼の知らぬ所で一人の人間が死神の腹を満たした事を意味する。しかしそれを隠す素振りもないのは自身にとってそれが日常生活の一場面に過ぎない事だから――そう、自分の命を明日に繋ぐためにラム肉を切り刻む彼と同じ)
>ニール(>>1454)
どんな記憶を僕にくれたか、思い出せる?
(優しげな微笑みのままに不可能だと分かっていながら問い掛けるのは、記憶を喰われるとはそういう事だと彼にはしっかりと理解しておいて欲しかったから。きっと記憶の棚を探ることすら出来ないだろう、獲物にとって死神に記憶を捧げるとは即ち最初からその記憶が存在しなかった事になるのと同義なのだから「 ありがとう、ニール 」だからこそ、甘美な糧を与えてくれた彼に心からの感謝を。言葉だけでなく行動でも伝えようとしてハグをするために身動いだ刹那、彼に手を引き寄せられてはぴたりと動きを止めてされるがままに深紅を見つめ「 次…? 」ざわり、またしても黒煙が質量を増して死神の背後に控える近衛兵のように膨れ上がる。それは主を守るための力ではなく、ただ獲物を捕えるための力。ああ、彼の唇が触れている箇所が燃えるように熱い「 次は、途中で止めてあげられないよ 」捕食者とは思えないほど静穏な微笑みは逆に空恐ろしい程の透明な凄みを内包する、もしそれを受け入れるならば彼にとっては死刑宣告であると同義。漆黒に囲まれたクリアブルーの奥、確かに渦巻くのはこれまで見せた事のない熱烈なまでに叫ぶような“君が欲しい”という純烈な欲望一色で「 用意ができたら、僕から招待状を送るね。少し時間が掛かってしまうだろうけど…ニールとの約束だもの、必ず守るよ 」彼に取られたままであろう手をゆっくりと反転させ手の甲を下に、そのまま死神と比べれば随分温かであろう頬にそっと添わせて「 だから、誰にも食べられないでね 」不思議とその声色に乞い願うような響きを持たないのは、賢い彼ならばきっと無事で居るだろうと思っているからだろうか「 僕に白銀の夜を独り占めさせないで 」泉の水面を反射した月光を吸い込んでしまうような内側から発光する煌めきを持つ眼差しでじっと見つめて)
>ユギン( >1455 )
そうだと嬉しいんだけど、僕の力なんて微々たる物だと思うよ。
ふむふむ……きっとハイネの好みに合わない物を贈っても喜びはしてくれるだろうけれど、僕の優柔不断さは知られているはずだから今回は好みに沿う方向で考えようかな。て事でジョネルに手紙を送らせて貰ったけれど、いつもの事ながら繋げにくいとか何かあれば遠慮無く言ってね。
こちらは何事も無ければ返信不要だよ。いつかユギンに会える夜が来るのも楽しみにしているね。
****
>ジョネル
( 先日ダークエルフが鉢植えを贈り物として置いていった夜から幾夜経っただろうか。あの翌日から頭を悩ませているのは贈り物に対するお返しの品の事なのだが、一向に決まる気配すらないのは単純にこの摩訶不思議な世界の事を未だよく知らない事が原因か、はたまた別のことが原因なのか。そのどちらにせよ誰かに相談をしたいと思い始めたのは二日程前のこと。こんな時に頼りに出来る怪物は今現在頭を悩ませている原因の当人しか思い浮かばず、屋敷の中での自身の交友関係の狭さに思わず苦笑が漏れる。そんな折にふと頭に過ったのは先日彼が親しい間柄だと名前を挙げていた二名。確かジョネルとシャルロットだと言っていたはず。二人のうちどちらが相談するに適しているかなんて分かるはずも無いのだが、己の知らぬ彼の話を聞けるやも知れないなんて淡い期待を抱きながら向かうのは物書机。便箋なんて洒落た物はない上に、特段文字が綺麗な訳でもない自覚もある。どちらかと言えば文を綴る事自体に苦手意識はあるものの、この屋敷で何も言わずに自室を訪れる可能性があるのはきっと自身をコレクションだと呼ぶ相手だけ。手にしたペンをゆっくりと紙の上に走らせて 『 こんばんは、初めまして。ハイネの事で相談があるのだけれど、時間があれば僕の部屋まで来てくれると嬉しいな 』 文の最後には署名も忘れず、普段よりもやや丁寧に時間を掛けて書き上げたのは初対面の相手に対する自身を良く見せなければという意識故。手紙を書き終える前から視線を上げた先に待つ蝶に 「 これをジョネルのところまで届けて欲しいんだ 」 と手渡し、飛び去る姿を見届けてから身支度へと移ろうか )
>グレン(>>1458)
(それは退屈凌ぎにコミックでもと図書室に向かって口笛を拭きながら廊下を闊歩している時のこと。ちり、と鈴の鳴るような清廉な音が聴こえた気がして、思わず「 ハイネ? 」と声に出しながら振り返ったのはそれが友人の使い魔の翅音だと知っていたから。しかし背後には彼の姿はなく蝶だけが浮遊しており、ふよふよと自身の周囲に浮かせた手紙に気付けば「 なんだろ 」全く心当たりのないそれを訝しがりながらも受け取って、中を検める内に曇った表情はみるみると晴れ間を見せ「 …いーじゃん。こっちの方が面白そう 」くるり、踵を返したその勢いのまま黒煙のコートの裾が自らの足元に巻き付いていき、やがて廊下には小さな蝶が一匹残されるのみとなって。黒煙の中から顕現したのは彼の部屋の扉の前、陽気さのありありと表れるリズミカルなノックの後「 グレンの部屋で合ってるよね?ジョネル、只今見参っ 」相手の懐にするすると入り込んでしまうような人懐っこさのある明るく緩い語り口調ながら、最後の一節は誰かの真似をするように態とらしい低い声を演出して。もし彼が扉を開けてくれたのなら得意げな顔を浮かべて、閉まったままなら表情はそのままに「 今の挨拶渋いっしょ?最近ハマってるかなーりマニアックな漫画の台詞なんだよねー 」彼の事を知己として話しかけるようなまるで初対面らしさを感じさせない雰囲気を纏いながら、閑話休題とばかりに小さく咳払いをして「 ハイネの事で相談?って書いてたけどさ、なんでおれの事頼ってくれたの? 」手紙を受け取った時から感じていた些細な疑問を特に他意なく問い掛けて)
>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ラザロ ]
▼ 提供一覧 ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
▼ PF作成はこちら ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/welcome】
▼ 世界観・ルール ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/world】
▼ 大切な" お食事 "のメニュー ▼
◆ルシアン(>>19)
◆ザカリー・アーバーン(>>93)
◆レオ(>>147)
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◆シャラメ(>>395)
◇ミネルヴァ(>>489)
◇プリケル(>>559)
◆リーパー(>>576)
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◇リリー・フリント(>>1041)
◇蘭玲(>>1047)
▼ 現在のブックマーク(最長1ヶ月間保持) ▼
●ニール × クォーヴ ⇒ 【 >>1457 】
●グレン × ジョネル ⇒ 【 >>1459 】
●秋天 × クォーヴ ⇒ 【 >>1456 】 ※初回、仮登録
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>クォーヴ(>1457)
(零れ落ちた涙も止まる頃。問う言葉に頭を捻り答えかけて、「どんな…?それは、」口はそのまま固まる。連綿と想い出を手繰る指が急に虚ろを空振り、闇に迷った為だ。忘却の穴が空いているとも違う、そもそも“初めから持っていない”という、奇妙に記憶を均されたような。彼から離れた五指が自らの白髪をくしゃり握り乱して、「……ああ、思い出せない、」しかしそれこそが彼に己を捧げた確かな証左と、嘆くような言葉は全く正反対の喜悦を含んで、歪に蕩ける蛇の笑顔が表情を染めている。「っ……!」長閑な彼の微笑みと声、だが其処に在るのは紛れも無い捕食者の貌。言葉以上に己を貫く眼差しに、背筋はぞくぞくと粟立ち全身を震わせる。それは恐怖でも不安でもなく、身を焼き尽くす程焦がれた光を見付けて爪先まで駆け抜ける高揚感がさせたもの。このまま今すぐ全てを、等と契りを打ち壊しかねない衝動にがちり鳴らされた牙を諌めたのは、顔を撫ぜたひんやりとした感触。「……うん、待ってる。」吐いた吐息は未だ夢見心地に酔いしれて熱っぽい。添えられる雪のような手を上から包むように捕らまえて頬を擦り寄せた後、今度はその掌に唇を押し当てて。「貴方が連れ出す白銀の世界を、良い子で待つから。」何もかも受け入れる言葉を綴るのは、終わりの十三階段へ踏み出す事と同義。けれど、それが何だというのか。欲しくて欲しくて堪らないものが絞首の縄の向こうに有るというのなら、喜んで駆け上がり輪に頭を潜らせる。ただ、それだけの事。「だから――」泉の煌めきを我が物に変え、湧き溢れる光を湛えた黒布のジルコンへ、思慕と呼ぶにはあまりにどろつく執着の瞳を向けて、「どうか貴方も、それまで誰も食べないで。」駄々を捏ねる子供の物言いでそんな我が儘を口にしながら、烈々とした懇願の牙を彼の薬指へと振り下ろす。)
>ジョネル( >1459 )
( 着慣れた服に癖のない髪、鏡に映る目元に寝不足の印たる隈も浮かんでいない事を確認していれば耳に届くのは軽やか且つリズミカルなノック音。心当たりとすれば先程手紙を持って行くように蝶に頼んだ先の人物 「 嗚呼、ちょっと待ってね 」 ドレッサーの前に座したままでも鍵を口にすれば簡単に扉は開くのだろうが、それをしないのは気を抜いた表情や態度を表に表さないようにするため──無論それは彼が人喰いだからというよりも自身の弱い部分を見せないようにする目的で。左側の横髪をピンで軽く留めてから立ち上がり、向かう最中に聞こえた登場の挨拶へは “ ふふ ” と軽やかな笑い声を漏らし 「 ごめんね、娯楽の類には疎くって 」 事実元の世界にいた頃も最低限度の情報以外を入れる暇など無く、それが余計に王子様キャラを世間に印象付けていった節もある。扉の前に立てば、すうと息を吸い込んで 「 僕はハイネのものだよ 」 特段声を張る訳でもないが、きっと部屋の外まで聞こえるであろう声量で告げるのは錠前を開くための鍵。カチャリ、開く音が耳に届けば扉を開け 「 いらっしゃい、来てくれてありがとう 」 廊下に立つ姿は確かに初めましてなのだけれど、初めて会ったような気がしないのは人懐っこさの滲む口調が原因か。部屋へと招き入れるために道を開けようとしたところで届いた疑問へ “ うーん ” なんて悩む素振りを見せるも、直ぐにゆるりとした笑みを浮かべて見せては 「 この前の夜にハイネから友達だって聞いてたから、ってのは理由になるかな? 」 名指しで部屋に呼べる程の交友関係が己にある訳もなく、彼が疑問に思うのも尤もの事 「 恥ずかしいんだけど、この屋敷に来て言葉を交わした事があるのがハイネとミゲルだけでね 」 きっとその先は言わずとも伝わるだろうと視線を持ち上げて。微かに首を傾けて見せるのはこれで先程の問いの答えになったかどうかを確かめるため。彼の中の疑問が解消されていたのであれば満足そうな表情を浮かべるだろうし、そうでないなら頭を悩ませながらも言葉を紡ぐだろう。どちらにしても一先ずは室内へと招き入れるつもりで )
>クォーヴ ( >>1456 )
紅い湖?楽しみだな……
( 想像もつかない未知の場所に心が踊り、噛みしめるようしみじみと呟いて。生まれ育った島国の国花である非常にポピュラーなその花の庭園と聞くと、パッと表情を明るくして「そんな場所まであるの?子供の頃ぶりだなあ。寒くなる前に行きたいね」と喜びを隠さず返事をした。今咲いている品種は何があるかな、なんて思考しながら続く彼の話に耳を傾ける。およそ一般家庭ではお目にかかれない動物のラインナップに小さく苦笑し、きっと僕の想像する姿形のそれではないのだろうなと思いつつ「ありがとう、クォーヴの友達は個性的だね。もしかしてみんなこのお屋敷に住んでいるの?」と質問をして。
──よく知ってるね。新しく得た知識を決まって母にひけらかしていた幼い僕を、勉強熱心な良い子だと褒めてくれたあたたかい記憶がふと蘇る。僕の型にはまったような回答を彼は決して否定せず、知らなかった事実を微笑みとともに授けた。"僕らは君の記憶を食べる"。"怖がらないで、僕はお腹いっぱいだよ"……。死神は楽しそうに笑っていた。煮えた鍋の火を震える手で止め蓋をする。じわりと涙の滲む感覚がした。だって、こんなこと信じられるだろうか?僕に無償の親切を差し出したその口その舌の根も乾かぬ内に、彼は僕の記憶を食べるのだとのたまった。僕は今日この身に降り掛かった母の死が間違いなく人生一つらいことで、忘れてしまえたら楽なのにとは思ったが、いざその方法を提示されると情けないほどたじろいでしまう。忘れたいことを忘れて生きるのは残酷だ。彼はそのことに気付いているのだろうか。いてもいなくても、これまでそうしてきたようにたくさんの残酷を積み上げて生きていくに違いない。涙を流しながらも頭の中は案外冷静で、僕は目元を強くこすると一つ深呼吸をして彼へと向き直る。黒に蒼が浮かぶ不思議な双眸。その両目が僕を見下ろしている。この世界へ逃げてきた報いだと思った。僕が死んだとき、母の待つ天国に行けないのは嫌だ。きっとこれからの人生、生きているだけで苦しい瞬間が幾度も訪れるはずだから、死んだあとも苦しめられるのは嫌だった。「クォーヴに頼んだら、僕の魂をあたたかい場所へ連れて行ってくれる?そのときは僕の記憶全部、まるごとあなたにあげるから……」縋るように囁いて、死神の答えをじっと待った。 )
>ニール(>>1461)
(そう、それでいいんだよ、良い子だね。そんな死神の声が聞こえてきそうなほど何もかも受容するような微笑のままに数度ゆっくりと深く頷いて。もしかして、万が一彼ならばと心の片隅で僅かに期待していたこと――最後の約束を叶えたら記憶を喰らい尽くされ自分は黒薔薇へと変わってしまう事を知っても一切恐怖せず寧ろ悦に入るのではないかと――そんな、この屋敷で幾星霜の時を重ね数千数万の黒薔薇の屍を築いても巡り逢えるか分からない蕩けた笑顔を逆さまの双眸で捉えてしまってはもう止められず、考えるより先に溢れ出た魔力が制御を失ったように黒煙が彼へと飛び掛かり、このオアシスに二人のためだけの暗い帳を下ろすようにテントのような膜を張って「 …ごめんね。折角の景色を閉ざしちゃった 」いくら死神でもこの時は形ばかりの謝罪になってしまったと確信犯だった。何故なら自身が今、彼のことしか見えていないように、きっと反対もそうであると信じていたから「 ――――。ふふ…君から貰った力だけでどこまでやれるか、試してみるよ 」痛みの代わりに感じるのはこれ以上にない重くて粘ついた甘やかな誓約が結ばれた事に対する愉悦。更に言えばこの先に待ち受ける疑いようのない美食への大きな期待、最後に一振りする雪夜というスパイスをより芳醇なものにするために更に多くの材料、即ち獲物を魔法の糧としようと密かに計画していたからこそ見透かされたようにそれを封じられてしまえば困ったように微笑む。沈黙の後、もしかしたらこれが彼にとって最後の我儘に成りうるのかもしれないのだから出来る限り叶えようと思考はまとまり是を返して。「 だから、これも約束 」制御を失ったように見えた黒煙の一部が砂とも霧ともつかない粒子となって彼の薬指へと纏わりつく。それは肌に触れる感触のない半ば皮膚から浮かんでいるような不思議な材質で、けれど水に浸そうがどれだけ手を早く振ろうが約束が果たされるまでは絶対に彼から離れないであろう代物。ああ、きちんと淑女を――フェロメナをハイネへ返しておかなくちゃね、そんなお節介が思い浮かんでは声に乗せるのは無粋と断じて脳内に留めて)
>グレン(>>1462)
……え。え?何、いまの台詞
(まだ見ぬ扉の向こうの応答から、かなりこの屋敷に慣れた獲物だなというのが率直な第一印象で。近頃忙しそうにしているハイネとは歓談の時間を設けられていなかったため彼がダークエルフの特別なお気に入りだとは知らないまま此処に来ており、だからこそ人前で聞かせるような内容ではない台詞を唐突に彼が吐いた事に一度キョトンとしてから遅れて頭いっぱいの疑問符を示し「 わーお。滅多にお目にかかれないイケメンだね、こりゃハイネが放っておかなさそうだ 」自身とさほど変わらない目線の位置にあったかんばせは万人が美丈夫と評するものだと感じて嫌味のない軽やかな調子でそれを表現して「 えーなになに、ハイネがおれのこと友達だって?ったくもうしょーがないんだから 」きっと高慢なダークエルフは日頃死神を友と認めるような言動行動を見せる事は少ないのだろう、だからこそ大変機嫌良さそうに白黒反転した双眸をにんまりと緩めて「 マジ?ミゲルに会えるなんてラッキーじゃん。いや、君かなり人当たり良さそうだし運ってよりかは君の力か 」交友の少なさを恥じるような彼にさっぱり理解できないとばかりに怪訝そうに首を傾げたのは、そもそも獲物にとって怪物は自分の命を奪うかもしれない存在なのだから出来る限り邂逅は少ない方がいいと思うのが普通ではないかと感じたから。ハイネに次いで挙げられた名前にはまた目を瞠って驚きを示しながら彼の誘導に従って部屋の中にお邪魔するだろう)
>秋天(>>1463)
この世界にはね、季節という概念は無いんだよ。お日様だって昇らない、空の支配者はずっとずっとあのお月様なんだ
(彼が攫われて来てしまったこの異界について説明をする良い機会とばかりに、全く以って生気も血の気もない真っ白な細い食指をピンと立てゆったりとしたテンポで講釈を。日光失くして立派な薔薇が咲くのだろうか、そんな当然の疑問も魔法の有り触れたこの屋敷では歯牙に掛ける価値のない事「 そうだよ、きっとみんなチウに興味津々さ 」列挙した動物、もとい怪物の所在について問われればこくり首肯しながら正解を返し、良くも悪くも彼を拒む者は挙げた中にはいないのだと付け加えて。「 ……? 」微笑のまま口を閉じて彼の様子を控えめに覗き込むようにして、彼が泣いている事に気付き「 チウ…、 」理由は分からなかったけれど、死神や他の怪物の事が恐ろしくてそうなったわけではないと明白な根拠は持たないながらも感じられて、泣き顔を見るのは至極辛そうな切ない声色で一度名を呼ぶ。そうすると再び彼が目を合わせてくれた、何となく決意に似た何かを宿していそうなその眼差しを変わらぬ微笑みでもって受け止め「 …チウにとって、あたたかい場所は何処?――もしかして、君を育ててくれたひとの所かな? 」答えは一つしかないのに、今の彼に何の緩衝材もなくそれをぶつけてしまう事は憚られて結果的に問を返す形となる。無論彼の口から養母の死を教えられたわけではなく、その胸中をテレパシーのように読み取れるわけでもなく、彼の心を大いに占めるものは育ての親であるのだと今しがた学んだばかりの情報を頼りに仮定を構築したに過ぎない)
>クォーヴ ( >>1466 )
( マリアカラスが好きだった。偉大なオペラ歌手ではなく、その名を冠した薔薇の方。濃いローズピンクの大輪花で、暑さにも寒さにも強い気高い名花。薔薇庭園でそれが見たくて、いつ頃訪れるのがいいかと模索していたところ彼の口から語られたのはあまりに衝撃的な事象で。──この世界に四季はなく、朝も昼もやってこない。驚きのあまり言葉を失い複雑な顔で閉口する。そこにあるのが当たり前で、いちいち感謝もしていなかった"陽の光"に照らされる日が二度と来なくなるなんて思いもしなかった。夜の世界で息づく生命は一体どんな姿をしているのだろう……そんなことを考えながら数テンポ遅れて返事をする。「そう、なんだ……。早く馴染めるといいな」暗闇に支配された世界にも、この屋敷の生き物たちにも。
クォーヴが僕以上につらそうな声色で名前を呼ぶから、情けない顔でもあげざるを得なかった。実のところ僕は何一つ明確なことを明かしていないのに、正解を導き出した彼の鋭さに笑みがこぼれる。どこか開き直れたような気持ちになって「そう。天国」となんでもないような声で短く答えた。腹の前で両手を握りこむ。「いつか僕が尽きるとき、クォーヴに僕の記憶をまるごとあげる。美味しかったら天国行きを融通してよ」そこで母が待っているはずだから。努めて穏やかにそう告げる。泣くのは今日で最後にしたかった。僕より高い位置にある彼の顔を縋るような目で見上げる。嘘でいい。地獄の使者でも構わないから、ただ一言"うん"と言ってほしかった。自分を落ち着けるため深い息を一つ吐く。そしたら全部受け入れて、明日から強く生きるから。 )
クォーヴ(>1464)
(死神の黒煙が迫ってくる様さえうっとりと見入ったその内側、景色も光も遮断された其処には彼の姿だけが在る。「…いいよ。こっちの方が、貴方がよく見える。」暗闇に馴染み深い紅はすぐに彼を捉え直して、先程よりもくっきりと瞳に映る白い輪郭に、喜ぶ言葉を返す。――沈黙の間、既に傷など付かないと、“ありのまま”が拒まれないと解っているが故、容赦の無い感情を彼の薬指へ食い込ませて、じっと微笑みを見据える。やがて受け入れられた我が儘に漸く牙を離すと殆ど同時、此方の薬指にも巻きつく何か。ゆらり首を傾げ五指ごとその指を曲げて伸ばして、ほんの少々不思議そうに観察した後、「……やくそく、」ふっと柔く幼い顔で笑って、もう一方の掌で包むように掬った契りの証を纏う名無し指へ、唇を寄せて愛おしむ仕草を。「ふふ、ははっ、うれしい。うれしい、ね。」それから何度も何度もそれに頬を擦り寄せ、繕わない機械じみた獣の口がぽろぽろ心からの歓喜を零して。「クォーヴ、ありがと。」心ゆくまでその感情を示した後に、今頃“いつも”を縫った笑顔と声で些か照れたような色へ染めたお礼を告げて。「ふふ、今日は良い夢見れそうだねぇ。」すっかり彼との契りばかりに取られた思考の多幸を、ふわふわ桃色の綿雲のような笑顔へ顕してみせる。次いで緩やかに彼の方へと更に近付きそのしなやかな肩へと頭を乗せれば、ぐるぐる喉の奥を上機嫌と唸り鳴らしながら、宛ら甘える猫の如く額や髪を彼にぐいぐい押し付け戯れ始める。)
>ジョネル( >1459 )
……ふふ、ごめんね。この部屋ハイネの力で鍵が掛かっててさ。
( 何をそんなに疑問に思ったのだろう、一瞬そんな風にきょとんとした表情を浮かべるものの思い当たる節は先程口にした部屋の戸を開けるための鍵となる言葉ただ一つ。普段からお気に入りは害される事がないようにダークエルフは錠を与える事があるのだろう、そんな考えが頭の片隅にあるのか軽い調子で。然程変わらぬ高さにある視線とさしてヒトと変わらぬ風貌に人間なのではないか、なんて考えが出てくるのはきっとこの先も変わらぬ事なのだろうが、それを口に出すことはせずに 「 ありがとう 」 謙遜するでも無く、照れるでも無く。緩い笑みを浮かべて返すのは元の世界にいた頃から言われ慣れているがため。それに嫌味が滲むことの無い褒め言葉はかけられて純粋に嬉しいもの。緩められた目元はきっと偽りのもので無い事くらい初対面の相手であったとしても伝わるだろうか。驚いた様子の彼にきょとんとした顔を浮かべ 「 そうなの?確かに人間を怖がっている風ではあったけど… 」 扉を閉めてから後を追うようにして室内へと 「 何のお構いも出来ないけど、好きなところに座ってよ 」 この屋敷へと訪れた初夜、己を贔屓目に見てくれるダークエルフとの初めての邂逅の際と同様に室内の下座にあたる場所に位置するチェアへと軽く腰掛けるようにして )
>秋天(>>1467)
(彼のように日の当たる道を踏み外す事なく健全に生きてきたであろう人物にとって、太陽を失った事がどれほど残酷に作用するかは屋敷での暮らしが長い分ある程度は学んだつもりでいる――単に日光を浴びられなくなる喪失感に苛まれるだけでなく、気付かぬ内に正常な精神のバランスを崩すのだと。人は往々にして暗い夜闇に思い悩むものだ、もう二度と青空の下を駆け回れないばかりか自分の命を糧とする人外とひとつ屋根の下で暮らさなければならない事実を突きつけられ、永遠に明けない夜に気が触れてしまった獲物も少なくはない。しかし、陽光差さない闇にあっても「 大丈夫。チウは独りじゃないよ 」ぼんやりと仄明るく光る導べの真似事をするように、きっとこの先彼を一人にしないであろう筆頭として自身が在るのだと示すように冷たい手でそっと彼の肩に触れて。ああ、そのひとは亡くなっていたのだと教示された真実に特段の感傷を抱かないのは、この屋敷では人の死があまりに身近だからか。此処の地を一度踏んだ時点で獲物の成れの果ては決まっていて、目の前の憐れな少年も誰かに喰われるか寿命が尽きるかすればその魂は天に還れず黒薔薇と姿を変えて永久に屋敷を彩る事になる。ただ頷くことが自分にとって最も楽で狡い選択だと解っていた、それが彼の求める偽りの優しさであるとも「 ……ごめんね。そんな権利も、力も、僕には――いや、この屋敷の誰にも無いんだよ 」せめて、受け止めるのも辛い彼の追い縋る眼差しからは逃げないようにまっすぐに視線を合わせたままで。静かに告げたのは途方もない天文学的確率で黒薔薇屋敷に見初められた彼のこれからを、偽りで染めたくはなかったから「 全てを受け入れて、役割を果たして力尽きるその夜まで、僕らは此処で暮らさなきゃいけないんだ 」それは彼に語りかけるようでいて、同じように黒薔薇の呪縛の被害者たる自分に言い聞かせるようでもあった。どこか遠い所を見るようにすっと目線を上げ、煤汚れの一つもないよく磨かれた天井を見つめて)
>ニール(>>1468)
(そうだ、初めて会った夜も彼は二度と昇らぬ太陽を惜しむどころか永遠に続く月夜にむしろ喜色を湛えていた。そんな思い出を回顧すれば、きっと色んな怪物に気に入られるであろう彼が初夜から幾度もの宵を超えて今こうして自身の直ぐ側に居てくれている事が疑いようのない奇跡なのだと感じられて「 …ふふ。ここからも君の力が漲るみたいだ 」人間の指ならばとっくに骨ごと持って行かれているであろう獣の咬合力も死神にとってはややじゃれ合いのヒートアップした甘噛と同じ。不思議にくっきりと彼の歯型が残ったそこを見つめていると、肚の奥底に眠っている筈の獰猛な何かがざわついて魔法という暴力で滅茶苦茶に蹂躙しろと囁かれるようで「 ニールも魔法が使えるようになったのかな 」そんな疼く感覚を誤魔化すように小さく笑って。数度目にお目にかかれた本当の彼の言葉に「 やっぱり、そっちの方が可愛いね 」いつの夜か伝えたことのある本音を反芻して、さながら人に懐いた大きな獣のように強く寄る力を線の細い体ながら全く揺らぐ事なく受け止めてゆるゆると顎下を撫で擽って「 僕の膝で眠ってもいいんだよ 」サラサラとした銀糸の手触りを楽しみながら頭を数度ゆっくりと撫ぜて、子守唄のような穏やかで密やかな調子で誘惑を)
>グレン(>>1469)
――――ええ何、そゆこと?
(まるで彼と鏡写しになるが如く自身もぽかんと面食らって、しかし数秒のシンキングタイムを経て今の不自然な台詞がハイネの特別な錠を開く唯一の鍵なのだと解に辿り着けば芝居がかったように両手で口を塞ぐような仕草を「 思ってたよりガチじゃん 」揶揄するでもなく心底驚いたように半ば独り言のトーンで呟いて、ハッとしたように口元を隠したまま彼の目を見て「 どーせハイネの事だからさ、今のもあいつに聞こえるようになってんでしょ? 」言いながら手を解けば親指で後方を指すことで彼の持ち主を示唆しながら、その怪物を茶化すような軽い笑い混じりの声にて落とした洞察は流石付き合いの長い者同士と言ったところか。「 うっわ、王子様スマイル眩しっ 」今度は口ではなく目を腕で庇うようにしながら僅かに上体を仰け反らせることで大袈裟に眩さを表現。ああ言われ慣れているんだろうなと反射的に感じさせる彼の対応はまさに一部の隙もなく完璧に思え、しかし鍍金の下を知らない死神は、揺らぎを愛でるハイネが甚く気に入る程なのだろうかと正しい違和感を感じながら促されるままに彼と正対する位置のソファーに腰掛けて「 …で?本題に入ろうか 」両膝にそれぞれ両肘を乗せるような体勢で前のめりに彼を見つめる、その表情はまるでこの先に自分の望むものが待ち受けているかのような、にこにこと不気味なほどの曇りのない笑顔で)
>クォーヴ ( >>1470 )
クォーヴは……そばにいてと言ったら、いてくれるの?
( 独りじゃないよ。そう言って肩に手を置いた彼を試すような台詞が口を滑った。絞り出した声。必死で情けなくて切実な叫び。僕は間違いなく人間で、死神の機微をまだ知らない。寂しいという感情を正しく理解してもらえるのかすらわからないが、それでいいと心から思えた。人間同士だって全てをわかり合うことはできないのだから、まだ知らないあなたを僕が見つけたい。冷たい体温を受け止めながら密かに思った。現実になることを祈っている。
クォーヴは僕が思うよりずっと誠実な男だった。"天国へ連れて行って"──その傲慢な願いにYESを望んでいたことは紛れもない事実で、いざ突きつけられたNOがこんなに温かいとは思いもよらなかった。緊張の糸が解けたように笑みが溢れる。瞳の縁は乾いていた。「ありがとう。本当のこと言ってくれて……」嘘でも頷いてほしいと本気で思っていたはずなのに、彼の誠実が心から嬉しかった。あなたが逃げないでくれたから、僕も絶対に逃げたりしない。言葉にはしなかった。これは僕が決めた誓いだから。「……クォーヴ?」僕と話しているときに彼が視線をそらすのは短いやりとりの中でも珍しいことだった。"僕らは此処で暮らさなきゃ"……youではなくweを使った彼を探るように見つめ心配そうに呼びかける。もしかすると彼は、僕よりずっと長い間この屋敷に囚われているのだろうかと想像した。そうして幾度も人の生を見送ってきたとするならば。「クォーヴの生き方も、その最期も……誰かに決められていいものじゃないはずだよ」僕はまだこのお屋敷のことをなんにも知らない。だからこそ簡単に諦めてしまうことはできなかった。無知な子供のワガママだって笑ってもいいよ。「また明日、この世界のこと聞かせてよ。未来のことを考えよう。僕、勉強はできる方だよ」憂う死神へ微笑みを向ける。信じられなくていいから、できれば忘れないでほしいと思った。あなたの運命を諦めない人間が、確かに存在したことを。 )
何から何まで誘導してもらっている気がするな……。共犯者ルートへの種を巻いてくれているのをあなたの文章のあちこちで感じてすごく嬉しいんだ。気を配ってくれているのが伝わるよ、さまざま本当にありがとう。
いくつか聞きたいことがあるんだけど、ここじゃスペースを取りすぎてしまうと思って宝箱の方に書き込ませてもらったから、時間があるときにでも確認してもらえると嬉しいな。
>ジョネル( >1472 )
( 彼の言う “ ガチ ” というそれが何を指しているのかあまり理解していない様子でゆるり首を傾げて。彼が指し示す先が誰の事を指しているのかなんて、考えずとも思い当たる先は一つしかなく。ふふ、と小さな笑い声をあげて 「 僕が鍵を使ったら分かるようにはなってるらしいよ 」 すうと双眸を細め、柔く口角を持ち上げ彼の奥誰もいないはずの空間を見詰める視線は薄らと喜びが表面に現れているようには取れども、嫌悪感は微塵も感じさせる事は無いのは酷く愛情に飢えたが為に歪んでいる内面の現れか。対面する位置に座した彼の瞳を正面から見据え 「 あそこに置いてる花とか、この指輪とか、あとは服とか……兎に角ハイネに色々と貰ってるからお返しをしたいんだけど、僕だけじゃ何がいいのかさっぱりでさ 」 次々と視線で指し示すのは窓際に置かれた鉢植え、自身の左中指、そして閉め切られて中を見る事は出来ないクローゼット。先日の約束では鉢植えのお返しだけの筈だったが、どうせならばとの判断は自ら下したもの。苦笑混じりに眉尻を下げ、表情からも困った様子が見て取れるのは舞台上で培った経験則は日常で見るにはやや大袈裟過ぎる程だろうか。「 もちろん、今日のお礼はするよ。と言っても僕が差し出せる物なんて多くは無いんだけれど 」 部屋にあるのは元から置かれていた家具とハイネから貰った物ばかり。無論それらを対価にする事なんて端から考えておらず、もし彼からの提案だったとしても首を縦に振る事は無いだろう。どうかな?なんて言葉に出す事はなく首を傾げてみせる表情は先程の困り顔とは一点、緩やかな笑みを浮かべていて )
>クォーヴ(>1471)
(またも“初めて”、自分以外の誰かの痕跡を貰えた事に浮き足立つまま感情を顕す所作の後、笑う声にまた彼の方へ顔が向く。「……そしたらクォーヴとおそろいだねぇ。」魔法なんて冗談めいた言葉へ返す喜びの陰、反転した双眸を見詰める獣の瞳は、その奥を覗くように下からじいっと掬って、その不意に鋭い弧を描きながら首をゆったり傾ぐ。――それはまるで、彼に潜む“何か”さえ飲み込まんとする貪欲な蛇が、狙いを定めに鎌首を揺らし擡げるよう。「んー……ふふ、」どれ程重さを掛けても受け止めてくれる彼の身。それに尚の事ご機嫌に擦り寄っては、顎や喉の傍を擽る冷たい指に軽やかな吐息を零し目を細め、「じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかなぁ。」己を誘う優しい声と掌へじゃれ付くような笑みを籠めた是を、続けて言葉通り身体を横たえ彼の膝へところり頭を転がして。しかし直ぐ様目を閉じる事はせず、自らの視界に契りの証を納めて今夜の奇跡を噛み締める。「……ほんとに、ゆめみたい。」腹も満ちて、己に触れる手が在って、こんな素敵な約束まで交わして。今は正しく楽園の夢心地と、呟く唇に証をまた押し当て緩やかに食む。「………ん、」そうしている内、少しずつ意識が深みに溶け始め、焦点の怪しくなった瞳はうとうとと蓋を閉じかける。「……クォーヴ、…」指に阻まれ少しばかりくぐもった夢うつつの音が彼を呼び、更に何か続けかけたようだが、それは形には成らず。やがて眠る為に整えられていく体勢はぐるりと小さく、自らの胸元に膝が付く程。その限界まで窮屈そうに体躯を丸めた様は、孵化する前の卵を彷彿とさせる。そしてその中心、膝と胸の内側に“証”を確と仕舞い込み、まるでお気に入りの縫いぐるみを抱く子供、或いは――獲物を囲い締め上げんと蜷局を巻いた大蛇のような格好に落ち着いて、そこで漸く安堵しきった幸福の寝息を静かに立て始める。)
***
この辺でおしまいが近いかな、って事でお顔出してみたよ。ふふ、今日はクォーヴにたくさんお願い聞いてもらえちゃって、とーっても楽しかったなぁ。
それで、そう、お次はこの前言った通り公爵さんの初夜の番なんだけど……ご指名とか綴りたい物語とか、色々相談する事あるでしょ?それに、オレちゃんの今後についても少しお話したいし、ちょっと長くなっちゃいそうだから、諸々全部含めて宝箱の方にお邪魔するねぇ。
それじゃあ、今夜はここまでで。…ふふ、忘れられない素敵な夜だったよ。ホントにありがとねぇ。
>秋天(>>1473)
もちろん。君が望むなら、僕を呼んでおくれ
(怪物は人間の感情を知識として理解するけれど、様々なものが違い過ぎて完璧に共感することは難しい。けれどいきなり異界に攫われ極限状態に閉じ込められ大変に心細いだろう心境は大いに理解し易い部分でもある。恐らく彼が望んでいるであろうニュアンスは四六時中傍を離れない存在として在ってほしいという事なのだろうと察しは付くが、あくまでも助けを必要とされた際にのみ参上する旨を伝える。きっと聡い彼ならば死神がずっと傍に居られない何らかの事情があること、更に言えばだからこそ屋敷内で頼れる存在は増やしておいた方がいいと友人の紹介を促した背景を感じ取れるだろうか。所在の知れない特定の怪物を召喚する方法は先ほど伝えたはず、硬い蕾が綻ぶように笑う少年の笑顔にこちらも嬉しそうに柔らかく微笑みを返し「 僕の方こそ、きちんと受け止めてくれてありがとう。チウは凄いね 」この子は他の子供達とはきっと何かが違うのだろう、そう感じた理由を具体化は出来ずとも輪郭を描くには十分なほど言葉を交わせた夜になった事にどこか満足そうな満ち足りた色を緩く垂らした眦に乗せて。名を呼ばれて再度ゆっくりと彼と目を合わせる、獲物に語ることを禁じられた秘密に触れたのは故意か否か「 …僕の事より自分の事を考えて。僕は自ら望んでこのお屋敷で暮らしているんだから 」死神はその場しのぎの嘘を吐くような性ではないと、彼に伝わっているとよいのだが。それでも、自分の命が危機に晒されているのに異形の未来を案じてくれた純粋すぎる眩しさに「 ありがとう、チウ 」それを心から嬉しいと思った事は事実。屍人のように冷たくも不思議と柔らかな感触の指の腹で彼の頬をそっと撫ぜた所作に万感の謝意を込めて「 ふふ、たくさん聞きたい事を考えておいで。僕も大切な事を君に伝えなくちゃ 」また明日、その言葉に表には出さずとも心中でのみ考えなければならないことは沢山あった。しかし自分が都合をつけて彼のところに少しでも顔を出せばよいのだと結論付け、そうして鍋へと視線を移し「 …その料理はもうすぐ完成するのかな? 」どこかわくわくとした色を交えて、見る事の叶わない蓋の向こうに思いを馳せよう)
***
誘導なんて大それたものではないよ、君とお話するのが楽しくてつい口が滑ってしまっただけさ。…ふふ。
こちらこそ気を遣ってくれてありがとうね、また後で宝箱を覗きに行くよ。
>グレン(>>1474)
あはッ、やっぱり?…よっぽど気に入ってんだね、君のこと
(思わず吹き出すように高めの笑いを短く零したのは自身から見てお世辞にも健全とは言えない癖を持つ友人に対する解釈が一致していたから。態々魔力を消費してまでそんな絡繰りを設けるのは、コレクションたる彼がそれに見合う反応をハイネに返すからなのだろうと察しを付け、悪趣味な台詞と四六時中誰といるかを監視されるようなシステムにも寧ろ悦びを見出すような顔をする彼をじっと見つめて最後は独り言のように呟いて。座り心地のよいソファーのうえ、彼が示していく通り順繰りに首を巡らせてゆく。部屋に入った時からハイネの気配が充満しているとは感じていたが、物理的にも彼に囲まれているような内装に「 こんだけされてちっとも息苦しくなんないんだ?、んじゃあ君の方にも可愛がられる適正があるってことだね 」それは貶すようなトーンではなく、価値観の差異に嫌悪するでもなく、ただただ歪な関係にあるふたりの個性の親和性を心底認めるように。「 おっけ、事情は分かった 」白い指でぐっと力強くサムズアップをしてみせて、彼の方から対価の話が挙がれば先程の不気味なほどご機嫌な笑顔をそのままに「 話が早くて助かるよ。ねえグレン、君の人生で一番エキサイティングな思い出は何? 」白黒反転した鮮やかな虹彩をきらきらと、いやぎらぎらと輝かせながら前のめりに要求するのは集めても集めても全然足りない記憶への執着。死神が何を食べるかなんて、いや彼にとって自分の種族が何なのかすら分かっていない状況ながらも逸る本能を抑えようとはせず。先程までの剽軽さはどこへやら、人好きのする笑みのままなのに纏う雰囲気は疑いようもなく獲物を前にした捕食者のそれで)
>ニール(>>1475)
素敵な回収をありがとう、今夜も君の素敵なところをたくさん見せてもらえて僕もとても楽しかったよ。お互いの約束が果たされる夜が楽しみだね、特に――…いや、多くは語らないでおこうか。ふふ。
一度宝箱の方に来てくれるんだね、ありがとう。それじゃあまたね、ニール。
>ジョネル( >1477 )
そうだと嬉しいけど……どうだろうね
( 部屋の錠も、お守り代わりの指輪も、全部が他のコレクションにもしてきた事なのだろうなんて考えは未だ健在な自身を下に見る思考から。ただ一点、他にあの自尊心の高い彼が目を掛ける人間と違う “ 特別 ” を思い出せば満面の笑みを浮かべ 「 でも、ハイネの部屋に入れたくらいには目を掛けられていると思うよ 」 他の人間にはされていない事を自慢気に語るのは年相応のそれと言えようか。彼が何を言っているのか理解が出来ない、なんて内心がありありと読み取れる程のきょとんとした視線を向けて「 だってそれだけ愛されてるって事でしょ 」 言い淀むでもなく言ってのけるのは、この愛されたがりが本心からそう思っているが故のこと。この歪な関係が成立するのは双方の歪みが見事に相まったが為の事だと彼が感じるのには十分だろうか。フレンドリーさはそのままに、捕食者たる眼差しを向ける彼にすうと瞳を細め「 どう言った感情での物をお求めかな? 」 背凭れに背を預け、腹の辺りで指を組みゆったりと構える姿は何処か落ち着き払っているようにも見えるだろうか。きっと彼の糧は人間の記憶なのだ、とそう理解を示したのはダークエルフに喰われかけた経験から。ただ、哀しみに怒り、喜びはたまたその全てが入り混じったもの。そのどれを彼は欲しているのだろうかなんて分かるはずも無く 「 これでも舞台役者をしていたから、色々とあるよ。…色々と、ね 」 負の感情に寄り気味な事は自身の性格柄否めない部分があるものの、多種多様な経験を積んできた自負はある。言葉の結びにやや覇気が無くなったのは自身の暗い過去も側から見ればエンターテイメントとしか捉えられるだろう事を理解している為。ただ、暗い表情を浮かべたのはほんの一瞬の事、瞬きをする間に常の笑みを顔に貼り付けるのは未だ目前にいる彼に弱い部分を見せられる程ではないから。キミが選んでよ、とでも言いたげに薄らとした笑みを浮かべながら真っ直ぐに視線を向け続け )
>グレン(>>1479)
マジか、それ凄いね。そんな話聞いたことないや
(零れ落ちそうなほどぱっちりと開眼することで心底の驚愕を表現するのは、いくら品物を愛でても自身のテリトリーとは一線を引くような印象のあった友人がその最たるものである自室に彼を入れたという事。ハイネ曰く貴方がその第一号、それを裏付けるように親しい友人たる死神も同調して。何を愛情表現と受け取るかなんて千差万別、彼らの関係性が歪んでいるように見えたとしても自分の主観に過ぎないのだと、軽薄なようでいてその辺りを弁える頭のある死神は変わらず肯定的な態度で笑って「 あは、マジでお似合いだね。ふたりの関係が末永く続くことを陰ながらチラチラ見守っとくよ 」ハイネがとある品物に熱を上げ、そうして飽きてしまった場合どうなるかなんて散々見てきた。あまり気持ちの良いものではないその結末をこの麗しい彼も辿るのだろうか、自分に関係のない獲物の末路を気にかけてしまうのは特別な思い出や記憶であればあるほど欲しくなってしまう欠陥持ちの性ゆえか「 そりゃ、君がこれは忘れたくないなーって思う大事なやつだよ。そういう記憶の方が腹持ちが良い気がするんだ 」手放したくないほど思い入れの強い記憶、彼に選べと微笑みかけられて提示するのは些か値の張るものだろうか。しかし当の本人に足元を見ているつもりは皆無であり、ただただ無遠慮に削り取られてゆく記憶の欠如に怯えて次々にストックを増やしたいという純粋な想いから来るもの。彼の意味深な様子を見るともしかして選びきれないのだろうか、そんな風に感じれば彼のためと忠告をするために一本食指を立てて見せて「 ああそれと、記憶は結構具体的に指定してね。じゃないとおれ、割と他んとこもつまみ食いしちゃうよ 」対価として選定されたテーマが抽象的であればあるほどあれもこれもと喰らってしまうのは制御できるのかできないのかも分からない死神の特性によるものだろうか)
>ジョネル( >1480 )
( 彼の驚く様を見て感じたのは矢張りそれ程珍しい事なのだという納得、それから再び優越感が首を持ち上げる心地。コレクションと一言で言っても自分は今までのそれよりも一等目を掛けて貰えてるのだ、と。それだけで淡く口角が持ち上がるのだから不思議なもので。彼の言葉には嫌味や裏の意味が感じ取れないからこそ、素直に受け取る事が出来 「 ありがとう。それと、ジョネルも偶に僕の話し相手になってくれると嬉しいな 」 この部屋に鍵をかけた主以外が訪れる事は少ない現状、再度幽霊にも手紙を出そうかとした事は少なくは無いもののハイネに怯える様子も見ていた為に踏ん切りが付かず現在に至るのが事実。その点友人であるという彼ならば気兼ねなく呼べるのでは無いかと 「 僕の知らないハイネの話も聞きたいし、何よりジョネルと話すのは気負わなくて良いから凄く気持ちが楽なんだ 」 無意識のうちに言葉の裏を考えてしまうのは最早癖になっていたものだが、彼は言葉とリアクションが一致する為にそれを考えずとも構わない事で息のしやすさを感じており。指をピンと立てる姿に暫しの間考える素振りを見せて。難しい表情を浮かべる事時間にして二分程といったところだったろうか 「 なら、僕が初めて舞台に立った時の記憶はどうだろう 」 煌びやかなスポットライトに舞台上にキラキラとした視線を向ける観客。板の上から見る景色はどれも大切で忘れたく無いものだが、自分にとっての初めての経験である分それもひとしお 「 ただ……あんまり綺麗なものでは無いんだけれど、それでも良いかな? 」 眉尻を下げ小さく首を傾げて見せるのは当時やや取り乱した記憶があるから。無論見られて困る程のものでも無く、差し出す事への抵抗は皆無だが果たして。「 ふふ。つまみ食いされて困る事は無いけれど、後味良く空腹を満たしたいなら僕の記憶は変に深くまで見ない事だよ 」 忠告にも似た提言は自身の幼少の頃を指しての事。負の感情が渦巻くそれらは一部のマニアックな趣味を持つ層を除けば面白味の欠片も無いだろう事は確か。テーブルに両肘をつくようにして前のめりになれば 「 さて、僕は何をしたら良いのかな?ハイネ以外に喰べられるのは初めてだから教えてよ 」 一番長く共に過ごしているダークエルフは体液の経口接種だったがそれ以外の方法は何も知らない。どうすれば記憶を食べる事が出来るのかと興味津々な様子で )
指名:
希望ルート:隷属ルート以外
名前:グルース・リヨン(Grus Lyon)
性別:男性
年齢:15歳
職業:公爵家子息
性格:物腰穏やかで愛情深い、溢れんばかりの包容力の持ち主。面倒見も大変良く、大人も子供も問わず、果ては動植物に至るまで甲斐甲斐しく世話を焼く博愛ぶり。しかしもう一歩踏み込めば、求められるまま寄り添い、相手の全てを肯定して、際限無く甘やかし包み込んで、どっぷりと深みに溶かし入れる蟻地獄のような愛を抱えた人間でもある。家柄と立場上、強かな処世術と達観を持ち合わせ、作法の整った落ち着きある立ち居振舞いをするが、年相応に悪戯心は旺盛で冒険探検も好む所。好きなものや楽しい事に燥いだり、褒められて照れたりする少年らしい一面もある。
容姿:身長は162cm。同世代と比べれば成長の遅さが目立つ、発展途上の薄い身体に円い輪郭。背の真ん中程まで伸ばされた、雛鳥のようなビスケット色のふわふわ癖っ毛。やや太めの眉の上で前髪が切り揃えられ、襟足は一ツ星と鶴の刺繍が入ったアイスブルーのシルクリボンで結われている。如何にも優しげに垂れた、黒目がちの大きなペリドットの瞳、その右端に泣き黒子が一つ。小さく整った鼻とふっくらとした厚めの唇に、しゃんと伸びた背筋と、未だあどけなさを多く残しつつも仄かに色気を帯び始めた、気品ある大人びた佇まい。控え目なフリル付きのドレスシャツにクラバット。その首元にカメオブローチの家紋章、左手の中指に大きめのシグネットリングを填めている。それに金刺繍入り薄緑色のウエストコートと黒のトラウザーズ、踵の低い革製ショートブーツが普段着。外出の際は青藍の膝丈ロングコートを着用。
備考:由緒正しい公爵家の長男で、正式な名前は「グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン(Grus Rossignol Henri de Lyon)」。“貴族の嗜み”と聞いて想像されるような教養は一通り習得してはいるものの、本人は手芸全般を好み、とりわけ刺繍はこっそり密かに趣味としている程。亡き母からの『分け隔ての無い愛を与える人でありなさい』という遺言を守り育った、慈愛と品格を備えた少年。しかし彼にとっての愛とは相手を世話する事――厳密には優しく包み甘やかす事であり、それを踏まえるのであれば、大変な“世話焼き”である彼はとびきりの“愛したがり”でもある。この世全ての尽くが彼の愛する対象であると同時に、「骨をも蕩かすこの情愛を全て受け止めてくれる、たった一人の運命の相手」を夢見てもいる。つい最近変声期を終えたばかり。人を安堵に導く夜鳴鶯のように甘く柔らかい、澄んだ高めのテノール声。一人称は僕、二人称は君、または渾名。名を呼ぶ時にはレディ・〇〇(名前)、またはサー・〇〇。
ロルテスト:
――うん、またね。
(またね、ばいばい、と己を見送る幼く愛らしい声達に片手を振る。此処は我が公爵家が出資している孤児院、その開け放たれた扉の前。領地の視察という名目の息抜きの終わった夕暮れ時、別れを惜しんでコートにしがみつく子供達を漸う説得し、コーチ形の馬車にて屋敷へ帰る。――自室内の窓辺。「……あの子達、また大きくなっていたな。…きっとすぐに追い越されるんだろうね。」冷たい夜風に目を細めながら、誰に言うでもない、そんな独り言が零れる。……思い返すは無邪気な孤児達。今は愛を一心に求めるあの子達も、いつかは彼処から巣立つのだろう。当然の話、しかしこの身に持て余す“愛”を子供らに注いでいる己にとって、それは喜ばしいばかりではなくて。そんな物憂いを払うように顔を上げた先、ベッドサイドのテーブルに置かれた封筒が視界に入る。「……珍しい。」思わずそう零したのは、手紙を見慣れている己でも一等目を引く黒色をしていた事、それと整頓の行き届いた机上へあまりに無造作に置かれていた事の二つが理由。一体誰から、とそれを手に取り見詰めたが、差出人の名前は無し、封蝋の紋章にも見覚えが無い。少し考え込んだその後に、テーブルの引き出しから取り出したペーパーナイフを使って封を開き、中に並んだ一文に目を通す。「迎え……?」その意味が解らず、ますますと首を傾げる。……拐かしを態々予告をする者は居ない筈。なれば、十にも満たない腹違いの弟妹達の、微笑ましい悪戯といった辺りか。「……ふふ。主犯はサー・エグレットか、レディ・シーニュかな。」しかしそれを尋ねるにも今はもう遅い夜更け、明日の朝にでも訊いてみれば良い、とその封筒と中身を揃えて元に置いておく。「さあ、そろそろ眠らなければ。」明日にも予定は詰まっている、支障を来す訳にはいかない。そう考えて瞑った目元を指で解した所までは覚えていて――次に目を開いた時には、ベッドに横たわって天井を見上げていた。いつの間に寝入ったのかと身体を起こせば、視界に入ったのは自室とよく似て、しかし全く違う景色。「……うん?」一瞬事態が飲み込めずに間抜けた声を落としつつ周りを見回し、今着ている服がコート付きの普段着である事にも気付いた瞬間、響いたノック音。――その刹那に、頭の内に考えつく限りの状況予想と対処が過り。それを指先でブローチを撫でる数秒に纏めて深い呼吸を一巡させた後、「ああ、わざわざ丁寧なノックを有り難う。しかしすまない、“名乗りの無い者の扉は開けるべからず”と、母によくよく言われていてね。これを破ってしまうと酷く怒られるんだ。」立ち上がって床を踏み締め、背筋を伸ばし凛と通る声でそれに応える。「だからまず――君が僕に名前を教えてくれるか、もしくは君の方からその扉を開けるか、どちらかを選んでおくれ。」少なくとも此方からノック音に近付く真似はせず、穏やかな微笑みを湛えたままに扉を見据えて、じっと油断無くその反応を待った。)
***
――うん。改めてご機嫌よう、麗しい黒薔薇の怪物様方。今夜からは正式にお屋敷へ迎えてもらおうと、もう一度身形を整えてきたよ。…ふふ、変な所があったら教えておくれ。
さて、まずは指名やルートについてだけれど……宝箱の方で話した通り、色んな怪物様と交流させてもらって相性や状況も彼是鑑みてから、お相手やルートを決めるつもりでいるよ。そして、初回の指名もあちらで伝えた通り、サー・ナザリを選ばせて頂くね。
まだまだ僕自身解らない事が多いけれど……このお屋敷の皆に美味しく思ってもらえるよう精一杯舞台を努めてみせるから、どうか僕と沢山仲良くしておくれ。
それじゃあ、これから宜しくね。
>クォーヴ ( >>1476 )
( 優しいひと。僕は彼の親切に釣り合う何かを返すことができるだろうか。「ありがとう。寂しくなったら手紙を書くね」先程紹介してくれたつややかな鳥を思い浮かべながら返事をする。いつか腹を満たすことが目的の優しさだったとしても、それをかけらも表へ出さずに差し伸べられた手のひらのことを僕は素直に好きだと思った。僕が一方的に彼を搾取するのではなく彼もまた僕から搾取しようとしているのだと思えば、お互い様だと心を守れる。そんなふうに思い込んででも生きなければならなかった。地に足をつけて、自分の力で。
小さな子供へ向けるような褒め言葉にはむず痒そうに首を振って、再び視線を戻した死神と真っ直ぐに向かい合う。"僕は自ら望んでこのお屋敷で暮らしてる"──嘘には聞こえなかったから、僕の杞憂が杞憂のままであればいいなと心から思った。「そっか。ならいいんだ」素直に引き下がると小さくはにかみ感謝の言葉にこくりと頷く。冷えた指先になぞられた場所が熱を持ったような気がした。「……大切な事?心して聞かないとだね」彼の微笑みに冗談っぽく返事をすると、シンクへ向き直り使った調理器具を丁寧に洗い始める。鍋へと視線をやった彼を見ると「うん。けど今日は疲れたし食べるのは明日にするよ。起きたらクォーヴのカラスくんに持ってきてもらおうかな」と思いついたように零して。本当にいろんなことがあった一日だった。あなたに差し出すまではきっと一生忘れない。大切な人を失ったこと、その全てから逃げ出したこと、優しい死神に出会ったこと。 )
宝箱では細やかなご回答をどうもありがとう。向こうのスペースを無為に消費するのはよくない気がしたから、背後に代わってここで返事をさせてもらうね。とても参考になったよ。
僕からはやりとりの締めと一日の終わりを書いたつもりだから、何もないようであれば返事は大丈夫。
早速翌日に飛ばして新しいお話を始めたいと思ってるんだけど、どうかな。
向こうでも書いたとおり、起きたらシャワーを浴びて作ったシチューを食べてまた君と話がしたいと思ってる。不都合がなければ僕が絡み文を投下するから、それで大丈夫かどうか教えてほしいな。もちろん、君の方から始めてくれるのでも大丈夫。僕としては本当になんでも問題ないから気軽に答えてくれると助かるよ。
>グレン(>>1481)
もちろん、お得意様が増えるのは大歓迎だよ
(にこにこ笑顔にて両手それぞれの親指と人差指の先端同士をくっつけ顔の両横にてOKマークを作って、しかし懸念点を思いついたように明後日の方向を見ながら接触させていた指を交互にぱかぱかと開閉させ「 ああでも、ハイネには話通しといてね。あいつ、自分の玩具で勝手に遊ばれるのめっっっちゃ嫌いじゃん? 」特定の住人が定期的に彼の部屋を訪問することを面白がるのか将又不愉快に思うのか、どちらかと言えば後者の性質を持つ友人との揉め事は避けたい。自身と彼はあくまでも情報と記憶を等価交換をするWin-Winな関係であるのだと、どうしても獲物が絡むと無償の友人関係を築くのは性質上困難な死神はあっけらかんとそう告げて。たっぷりと彼が悩む間、黒煙のコートの裾をまるめたり引き伸ばしたりして一人遊びに興じて時間を潰すこと数分。漸く決まったらしい対価にぎらと眼を輝かせて「 舞台?…いいじゃん、“はじめて”に関する記憶は美味しい事が多いよ 」彼の職業を知らないため唐突に出てきたその単語に疑問符を浮かべるも、その追求より優先されるのは食欲を擽る食事の香り。綺麗だとか汚いだとかおれにとっては関係ないさ、そんな風に何度もこくこくと首肯して、深くまで“見ないように”と言われれば思わず分かっていないなと感じた可愛らしさに軽やかに短く笑った後「 その忠告、逆効果 」口元に手の甲を添えてすっと細めた目で見つめる眼差しは獲物の何処に美味い部位があるのか吟味するような捕食者のそれで「 おれらは記憶を見るんじゃない、食べるのさ。人間には――いや、死神や鬼以外には解りようもない感覚だろうけど 」理解を期待したわけではない講釈は続きを垂れることなくさっくりと結んで、そうして冷たい手のひらを彼に差し出し「 手の甲を出して。左右どっちでも構わないよ 」もし彼が促した通りにどちらかの手を差し出してくれたのなら、わくわくとした様子でそれを自分の方へゆっくりと引き寄せ静かに手の甲へ唇を寄せるだろう――そうして触れるか否かのところで黒みがかった紫の閃光が派手な音と共に一瞬爆ぜる筈で)
>グルース(>>1482)
(ちび、ちびりと煽る紫紺のお猪口はどす黒くもサラリとした液体で半分ほど満たされていた。おどろおどろしいほど無欠で巨大な満月を肴に晩酌を――無論この世界ではいつでも晩酌ということになるが――嗜んでいたところ、蜥蜴とも家守ともつかない使い魔がちょろちょろと着物を這い上がって肩口にてキュイと一声鳴いて「 ……ほお、まだうら若い坊主ときたか。そりゃあ突っつき甲斐があるかもしれんなあ 」首だけを巡らせて使い魔を見下ろせば月光を反射した眼鏡がギラリと鈍く輝く。勝手に寄せた期待の行く末は果たして、ともあれ“ よっこらせ ”と気怠そうに立ち上がり、その合間にぴょんと地面に飛び降りた使い魔を見下ろし目線だけでご苦労と告げて向かったのは件の新入りの部屋。ノックの返事をゆるりと待つ間、返ってきた声があまりに堂々としていたものだから予想外とばかりに楽しげな笑いが漏れて「 ふ、ンはは、こりゃあ失敬。立派な心構えだ、母君はお前さんを甚ぁく愛しておるんだねえ 」揶揄するつもりで笑ってしまったのではないと短く弁解し、こすりこすりと親指と食指で顎を挟んで動かすようにしながら「 俺ぁナザリといってね、この屋敷に長ぁく住んどる者だよ。新入りの歓迎会――なんて大それたもんを押し付ける気ぁ無い、ただお前さんの方も色々と聞きたい事があるんじゃあないかね 」のらりくらり、どこか間延びするような心地よい低音は優しげな好々爺を連想させる油断を誘うもの。しかしそれは平常運転に過ぎず、新入りというワードと此方から聞きたい事などなくむしろ彼からの疑問に答えようと構える旨を見せてこれが人間界で横行するただの拐かしなどではないことを含ませて「 此処の連中はみな業突く張りでね、タダで情報をくれるもんは少ない。しかし俺ぁ今夜は誰かと喋りたい気分でね。どれひとつ、この寂しいおいさんの話し相手になってくれんかね 」胡散臭さ満点の誘い文句ながらも捧げた提案は彼にとって現時点では不都合のないもの。あくまでも彼に助けを乞う体を取りながら、いつでもぶち破ってしまえる扉の前で着物の袖に両腕を仕舞いながらお行儀よく反応を待って)
***
いやあ、よお来た、よお来た。夢じゃあない、本当のお屋敷でお前さんに見える夜が来るのを首長ぁくして待っとったよ。宝箱で言うた通り、いろぉんな怪物からこっち来い、こっち来いて引っ張られそうなお前さんの最初の夜に言葉ぁ交わせるなんて、長生きはするもんだねえ。あんまり気張らず、のびのび楽しんでっておくれ。
>秋天(>>1483)
うん。待っているね
(彼はどんな字を書くのだろうと反射的に思考が浮かんだのは有象無象の少年少女と一線を画す何かを持っている黒い宝石のような彼に興味を抱いているからなのだろうか。獲物から文が届くのをこれほど楽しみに思ったのは久し振りだなと暖かい微笑のまま、伝える方も心しなくてはならないことなのだと今夜は悟られないように。「 そう?それじゃあチウのお部屋に戻ろうか 」空腹だろうに何も胃に入れず眠ってしまうのだろうか、心配そうに眉尻を垂らすも明日の朝食として食べるつもりでいるならば一先ずは様子を見ても大丈夫そうだと変に言及はせず。何より疲れているのも無理はない、だから何億、何兆通りもある廊下を引き返す道のりを彼に歩かせるのは可哀想で「 おいで 」そっと彼に背を向けて片膝を床につけておんぶを促す。子供扱いするなと言われても仕方がないけれど、もし心地よい重さと温もりが背に乗ったのならそのまま食堂を後にするだろうし、何らかの方法で拒まれたのなら立ち上がり手を差し伸べて、黒煙のコートをふんわりと広げ魔法の力を行使して彼を自室へと瞬時に送り届けただろう)
***
こちらこそ、気を回してくれてありがとうね。お屋敷も宝箱も、どちらもグランギニョルの演者たちのためにあるのだから遠慮なくたくさん使っておくれ。そう、君は今夜から正式にその一員――尊いメニューの1ページに刻まれる事になるんだから。
僕から綴った初夜の最後にはお返事は必須ではないよ。翌日の初回文お願いしてもいいかな?
チウ、黒の似合う君。これからもよろしくね。
>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters】
>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ラザロ ]
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●グレン × ジョネル ⇒ 【 >>1484 】
●秋天 × クォーヴ ⇒ 【 >>1486 】
●グルース × ナザリ ⇒ 【 >>1485 】 ※初回、仮登録
▼ 日常イベント ▼
【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/events】
▼ 宝箱(https://www.saychat.jp/bbs/thread/646097/) ▼
>ジョネル( >1484)
ふふ、分かったよ
( 同意を示すように朗らかな笑みを浮かべながら首を縦に一度。きっと今迄であれば誰が何度この部屋を訪れようともどこ吹く風な様子を想像していたであろうが、前夜の邂逅の様子を思い返せば己とて問い詰められるだろう未来はなるべく避けたいもので。対価として差し出すには十分だったらしい事は彼の瞳を見れば何となくの察しはつく。短く、そして外からはバレないように安堵の息を吐き出していたのも束の間、己では理解する迄に至らない講釈へと僅かに怪訝な表情を浮かべ考え込む素振りを見せ 「 …嗚呼、なるほど。何となくだけど合点がいったよ 」 以前あの激しい嫉妬心を向けられた夜にハイネから言われた言葉。目前に座する彼にはきっと何の事か分からないだろうが一人納得すれば促されるままに右手を差し出し、手の甲へと彼の唇が触れようとした瞬間バチッと爆ぜるような音と自身には見覚えのありすぎる色の閃光は警告の意味合いが強かったのか、はたまた己には害が無かったのか。少なくとも己にとっては痛みを感じるよりも驚きの方が強く数回ぱちぱちと瞳を瞬かせた後に 「 ……ふ、あははは! 」 込み上げてくる笑い声を堪える事が出来ずに。暫くした後、目尻に浮かぶ涙を彼の掌に乗せたのとは反対側の人差し指で拭い取りながら巫山戯半分の口調で 「 ごめんごめん、どうやら僕自身を対価に出す事はご主人様が許してないみたいだ 」 きっと理由を言えば限定的であったとしても許されるだろう事ではあるが、少なからず今現在は守りの効力が発揮されているらしい 「 ごめんね、対価は次に会う時でいいかな?それまでにハイネと話しておくからさ 」 真正面に彼を捉える真剣なそれはこの屋敷の中で心の拠り所となっているダークエルフが絡んでいなければ向ける事は無かっただろう。眦を細めながらゆるり首を傾げて見せて )
>クォーヴ ( >>1486 )
( 意識がぼんやりと浮上する。布団の中で寝返りを打って、しばらく微睡んだ後ゆっくりと身体を起こした。殺風景な部屋をぐるりと見渡し窓を見つけるとベッドから降りてカーテンを開ける。外が真っ暗なことに驚き早く起きすぎたのかはたまた寝すぎたのかと数秒思考するも、そういやこの世界はずっと"こう"なのだと思い出すと強張った肩から力が抜けた。太陽は登らない。季節も巡らない。では窓枠に絡みつくこの黒薔薇たちは一体何を糧に呼吸しているのだろうと考えて、わかるはずもないなとすぐに手放した。「朝焼けが見たいな……」心の声が口を出る。普段僕の一日は朝の陽射しを浴びることから始まっていたから、あの真っ白い光は二度と拝めないのかと切なくなった。沈みかけた思考を振り払うとシャワーを浴びるべくバスルームに向かって歩き出す。上着を脱ぐと鎖骨の辺りで首飾りが跳ねる感覚がして動きを止めた。小ぶりなターコイズがぶら下がった華奢なネックレス。去年のクリスマスに母から貰った大切な贈り物だが、意匠が中性的な気がして普段は服の下に忍ばせる形で身に着けていた。室内灯を反射した濃い水色の宝石にそっと触れて目を閉じる。耳鳴りがしそうなほどの静寂にのしかかられて、半端に服を脱いだまま一歩も動けなくなってしまった。僕はこの静かな部屋で一生を過ごすのだ。夢じゃない。夢になってはくれやしない。そうしてしばらく立っていたが、首飾りの冷たさに促されてゆっくりと動き出した。熱い湯で髪を洗い、全身を流してバスルームを出る。備え付けのタオルで水気を拭き取って、いつの間にか洗って畳まれていた制服のシャツに袖を通した。スラックスを履いて、手に取ったネクタイは数秒考えた結果元の場所に置き直す。学校にいるときよりラフな着こなしで適当に髪を乾かすと、これまたいつの間にか昨晩のシチューとスープが配膳されていたテーブルに腰を下ろした。「カラスくんだよね?ありがとう」姿は見えなかったので虚空に向かって呟いて食卓の香りを吸い込んだ。美味しそうにできてよかった、一人じゃなければ完璧なのに。そう考えたところで思い浮かんだのは彼の姿。また明日、を強請ったのできっと向こうから部屋を訪れてくれるはず。でもそれっていつ頃だろう。まだ眠っているかな、起きているなら何をしてるだろう……そんなことを考えながらパンを千切り、蔦で覆われた窓を見ながら口に含んで。 )
僕が……いいのかな。とても光栄だよ。演者の名に恥じないよう、一生懸命いのちを描こうと思う。
初回文はこんな感じで大丈夫かな。何かご指摘があれば遠慮なく言ってもらえると助かるよ。
何もないようであればこちらに返事は大丈夫。僕はすっごく楽しいから、あなたも楽しめるようなやりとりができたらいいな。改めて、これからもよろしくお願いします。
>グレン(>>1488)
びっ…くりしたあ、
(外傷を伴うわけでもなかったそれは目眩ましの類だろうか、派手な音と閃光に目をぱちくりさせながらも捉えた右手を離す事はなく。それは友人のお気に入りが喰われんとした時に自動で発動するものだったのだろうと分かるのは先程の炸裂の際に室内の魔力総量が変わらなかったから。もともと指輪に仕込まれていたものなのだ、そして一度目は音と光による警告に過ぎずそれでもなお品物を害そうとするなら次はもう少し刺激の強い仕掛けが発動するのだろうと、そこまで察して「 もー、そういうのがあるなら先に言っといてくれればいいのに 」口先を尖らせむすっと吐いた文句は勿論眼前の彼ではなく仕掛け人たる友人へ宛てたもの。何ならもっと分かりやすい警告を事前に出せばよいものを、どこまでいっても性悪なんだからとぶつくさ口の中で呟きながら「 んー…それは飲めないなあ。こっちにもね、事情があるんだ 」提示された内容には困ったように笑いながら拒否を返すのは、特異体質による無限の空白を欠片でも埋めてくれるものを目の前にして大人しく待てが出来るような余裕はないから。それをあれこれ説明しないのは彼にとって自身の体質など知った事ではないことだと弁えている為――ハイネがお気に入りを囲おうと小細工している事など自身にとって知った事ではないのと同じ「 魔法を使えるのはハイネだけじゃない。見せてあげるよ 」ざわり、人間の肌を打つのは背筋を駆け上がる戦慄に似た何かと形容するのが近いかもしれない。実のところそれは死神が内に溜めた魔力を解放した不可視の力の奔流、目に見える形では黒煙のようにちらちらと棚引いていたコートが急激に質量を増し膨れ上がって。彼の手を乗せる左手には全くと言っていいほど握力を込めていないが、もし身を引こうとしても重なった手のひら同士は人知を超えた力によって微動だにしない筈。そうして右手を紫に輝く指輪の上に翳し「 少しのあいだ静かにしてて。大丈夫、ただ報酬を貰うだけさ。もちろん“お気に入り”の合意付きでね 」指輪そのものに、或いはその創造主である友人に語りかける口調は大変穏やかで軽やかな普段通りのもの。表情もにこやかだがこの状況を楽しんでいるのかどこか不敵な色を浮かべて、黒と灰色が混ざりあったような魔力のベールで指輪を包んで「 どう、なかなか見応えのあるショーじゃない? 」指輪に込められただけの力を同等の反する力で封じ込めるような芸当は正しく剽軽な死神が怪物である事の証明。そうしてまた先程のリプレイのように手の甲に唇を寄せ「 涙がぽろぽろ出てきちゃうだろうけど、そういうものだから気にしないでね 」痛みを与えない代わりに流涙を強制する捕食、何でもない事のようにいつも通りの声色で告げてから冷たい唇でそっと温かな手の甲に触れて)
>秋天(>>1489)
(花に水遣りが、家畜に餌遣りが必要なように、美食を好む一部の怪物たちには自ら目を掛けた獲物たちに自分の時間を費やす者が居る。パタン、外から閉じた扉の部屋の主は自分ではなかった。穏やかな面持ちのままにどの獲物がどれだけ“熟成”されてきたかを脳内のリストへ書き記すことで現状を更新し、被捕食者である人間からすればそれがどれだけ倫理から外れた事か理解したうえで表情が曇らないのは言うまでもなく捕食者にとっては当然の日常に過ぎないから。廊下を歩み始めて数歩、何かを思い出したように立ち止まり瞼を伏せて「 ――――、あっちかな 」何かを感じ取ったのかふと呟いて、くるり踵を返し向かうのは昨夜出会ったばかりの青年の部屋。静寂を控えめに揺らすような柔らかいノックを三度、一拍置いて「 こんばんわ、チウ。ゆうべはよく眠れたかな 」応答を待つ間にも感覚を研ぎ澄ませるようにして室内の様子を探るのは、彼が何をして過ごしているかを知るためではなくあの後に他の怪物が訪問した形跡が無いかを調査するため。結果として彼ひとりのにおいや気配しか室内には存在しておらず、ということは彼がこの屋敷で声を知る怪物が未だ自分だけだという事実は変わらない故に改めて名乗ることはせず「 約束通り、今夜も君に会いに来たよ。お屋敷のベッドの寝心地はいかが? 」こちらから扉を開ける事をしないのは彼の意志を無視して害することなど無いと示し続けるため。ふわふわと柔らかな綿を散らすような穏やかな声にて異界で最初の一夜を過ごした彼の様子を窺おう)
>ナザリ(>1485)
(聞こえてきたのは男性の笑う声。続け様の“愛”に連なる言葉へ浮かんだ、幼少の記憶に微かに目尻が跳ねた心のざわめきを、扉の向こうの彼に悟られぬ内に瞬きで隠す。それから此方の牽制じみた要求に答えるその低音は、此方とは真反対に伸びやかで優しく、己の声とはまた違う形を持って安堵を誘う。――一通り聞き終えたそれから解るのは、最初に想定した以上に異様な状況下であるらしい事。そして、頭へ洪水のように湧き巻く疑問を解き現状を断じるには、言葉に従い彼をこの部屋へ招く方法しか今は無い事。「……解った。少し待っていておくれ。」その要望に是を返す。それから服の寄れや髪の乱れを手短ながらきちりと指で直し“対談”の格好を整えた後、扉へと歩み寄りドアノブへ手を掛ける。……隔たりが無くなった向こう、真っ先に視界に入ったのは見慣れぬ衣装。それからぐっと目線を上げてやっと窺えた顔には――明らかに人に有らざる色彩を合わせた瞳と、額から伸びる非対称の角。初めて見る異形のそれに思わず僅かに目を瞠るが、「…今晩は。そして初めまして、異国の方。数ある中から君に見えた幸運に、まずは感謝を。」それも一瞬に満たない内の事。直ぐにその動揺を掻き消した穏やかな微笑みの下、既に受け取った情報を確り織り交ぜた挨拶を朗々紡ぎながら、彼を見据えたまま胸に手を当て目礼を。「此方へどうぞ。」次いで半身に退き部屋への道を拓きつつ、胸元の手で上座に当たるソファーを示して彼を室内へと導く。彼が中へ踏み入れたのを見届けてから扉を自ら閉めて、己は其処から程近い下座の椅子へと歩んで腰掛ける。――そうやってこの場が初めから自室であったように悠然と振る舞うのは、どくどくと緊張に逸る鼓動の最中、空気や相手に呑まれず己のペースを保つ為の術。そしてそれは、彼と対等であろうという芯ある物言いにも顕れて。「さて。“新入り”の僕と話して頂ける、という事だったね。……うん、尋ねたい事は山程あるけれど……そうだね、」胸を張り、じっと逸らさず向き合う互い。――不本意ながら誘拐の事態に覚えがある己が、経験上一番最初に聞くべき事。それは、“何処”でも、“いつ”“どうやって”でも、“誰が”でもない。何よりも重要なのは、「僕は“どうして”此処に居るのか、それをまず初めに聞かせてもらっても?」お屋敷とやらに拐われた理由、拐った者が求めるもの。それを彼が何と答えるのか、震え一つ無い視線で目の前の表情を見詰めて反応を待つ。)
>ジョネル( >1490 )
( 己だけでなく彼の方にも特段の害があった訳ではない様子に安堵の表情を浮かべて。彼が口にする小言は自身に向けてというよりも仕掛けを施した主に向けてのものだろう事は呟く内容から察して苦笑混じりの声を漏らすだけに留め。彼が言う “ 事情 ” それが何を指すのか明言をされないのは己と彼がそこまで親しい間柄では無いからか、はたまた言ったところで理解をされないと思われているからか。どちらにせよ “ それ ” を知らなければ考える余地もあったものでは無い。緩く持ち上がった口角はそのままに、先程までよりとやや冷めた視線を向けて 「 ジョネルの事情が何なのか、僕も言っていないところがあるから言いたく無いなら深く聞きはしないけれど、何も語られないのはあまり良い気はしないな 」 声を荒げる事はせずに、それでも自己主張を出来るようになったのはハイネから目を掛けられ少なからず己に価値があるのだと思えるようになってきたから。ただ重ねた手を無理に引こうとしないのは人成らざる物たちの力が人智を超えている事を数回身を持って体験している為。きっと重ねた時点で記憶を喰らうまでは此方に引く事など出来ないのだ、なんて事は理解をしていると同時対価として自身を差し出すことへの同意をしたのも確かである。その為にそれ以上口を挟む事はせずに動向を見守るつもりで。視線で追いかけるのは彼の右手の行方。そのまま指輪を覆い隠すようにかかるヴェールに小さく首を傾げて 「 不思議な色をしてるね 」 黒とも灰色とも言えない色味は彼の魔力を可視化する際の色なのだろうか。痛みも不快感も無い捕食。けれども、つうと頬を濡らす涙の感覚に、それが流涙を伴うものだと聞いていたとて慌てたように空いている手で涙を拭い取るのは自身を守る為に幾重にも貼っている鍍金故 「 …はは、涙止まんないや 」 静かに流れ落ちる涙は生まれた喪失感を覆い隠す為に涙腺が馬鹿になったのかなかなか止まらず、見られぬようにやや顔を俯くようにして視線を逸らして )
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こんばんは、交流中にごめんね。
対価になる僕の記憶は近日中に宝箱の方に仕舞いに行こうと思ってるよって伝言だけ残しておこうかと思ってね。そんなに時間を掛けずに仕舞いに行けると思うから、また手が空いた時にでも覗いてみてよ。
>グルース(>>1492)
(頭一つ分以上も差異のある目線、それを埋めるようにゆっくりと身を屈めて片膝を床に付くようにして、そのままぺこりと顎を引くようにして簡略されたお辞儀を「 はい、今晩和。ンはは、異国の方とはよい表現を選んだねえ 」人間の世界には存在しなかった異形にさぞ驚いただろうに、取り乱すどころか殆ど表情さえ変えない少年に内心ほほうと感心しながら当たり障りないフレーズを的確に選んだ事は胸中に留めず声に出して褒めようか。成る程、年端もいかぬのに肝は据わっておるし頭も切れると見える――ンはは、なかなか風格のある小童よ。そんな感想をこちらも全く顔や態度には出さず人畜無害な笑みのまま「 はいはい、お邪魔しますよぉ 」挨拶の後、部屋へと通されれば“ よっこいしょ ”と小さく口の中で呟きながら直立の姿勢に戻り、殺風景で誰の気配も未だ無い大変クリアな部屋へと下駄を鳴らしながら入って。初物の部屋はいつ来てもわくわくする、下世話な高揚をおくびにも出さず牛歩の調子で部屋を見回す間に彼が陣取るのを待って。彼が下座に着いたことから空気を読んで「 悪いねえ 」と困ったように、或いは照れたようにぽりぽりと髪を掻きながら上座に位置するソファーへと着物が皺にならないようゆっくりと腰掛けて。異形を恐れて泣き喚いても仕方のない盤面だがまるで商談に臨むビジネスマンのような堂々たる態度で向けられる視線をこちらからは気の抜けるような穏やかな眼差しで受け止めて「 そりゃぁね、お前さんにはだいーじな御役目があるからだよ。…そうだなあ。何か、好きな食べ物はあるかね 」躊躇いなく与える解は敢えて抽象度を高くする。一直線にクリティカルな回答を与えるよりもじわじわと真綿で首を絞めるように恐ろしい事実を詳らかにすることで反応を窺いたい、嗜虐を肚に隠す鬼にはそんな下心があるがあくまで表向きには直接的表現でまだ年端もいかない彼に精神的ショックを与えるよりはやさしい伝え方を選んだ方がよいという人道に則っているという顔をして。一見脈絡のないこちらからの問い掛けに彼が何かを答えるならば“そうかい”と、何もなければそのまま言葉を続けて「 俺たちにとってはねえ、それがお前さんなのさ。気の毒な話だとは思うが…どうにもしてやれん 」憂いを帯びたように深く吐息することで事態がひっくり返ることはないと示し、そうして少し体勢を前のめりにしてじっと彼を見つめ「 すまんね、おいさんからもひとつ質問がある。お前さんの呼び名を教えてくれんかね 」申し訳無さそうに眼鏡の奥で眦を垂らしながらも微笑する。この問い掛けから、彼を攫った実行犯が欠け角の化物ではないこと、更に言えば彼が誘拐の対象として選ばれた背景に名前の類が必要なかったことが推察できるだろうか)
>グレン(>>1493)
べつに恥ずかしい事じゃないよ。みんなそうなるんだ
(顔を隠すような素振りをどこか申し訳無さそうに見つめ、しかし男が泣く所なんて見られたくないよなという主観から気を回してこちらも首の角度ごと視線を明後日の方向へと逃がして。フォローになるか解らないけれど気まずい沈黙を残さないように明るい口調は意図的に制御してどこか密やかな調子でそう告げて彼の手のひらを解放し、空っぽになった手をそっと自身の胸板に添え「 よし…これで、大丈夫 」ぎゅっと服の裾を握り込み何だか追い詰められたような雰囲気を纏いながら独り言を小さく呟く、味の感想よりも先行するのは次から次へと崩落してゆく死神の生きる糧たる記憶をひとつ貯蓄することが出来たという刹那的な安堵感。情緒を整理するように一度深めに吐息した後彼を見つめて「 ごめんね、気を悪くさせるつもりじゃなかったんだ 」素直に謝罪を紡ぐのは一部始終悪意ある言動行動ではなかったと黒薔薇に誓えるため。どうしたものかとぽり、と頬を掻いた後おずおずと口を開き「 おれにはね、死神としての致命的な欠陥があるんだ。…って、おれの話をするために呼ばれたんじゃないよね 」きちんと説明をするのが真摯な対応だと、彼はそれを望んでいるのだと主張されたため言葉を繋ごうとするものの語るにも忸怩たる特異体質は心を開いていない相手にべらべらと打ち明けられるようなものではなく、今夜の限られた時間を彼に捧げる本当の目的へと力なく笑いながら話題をすり替えて「 改めて…ありがとうね、グレン。次はおれが対価を支払う番。ええっと…ハイネへのお返し、だっけ。現時点ではどんなものを考えてるの? 」彼から贈るものなのだから、彼の意志がなければ始まらない。そんな至極当然の考えから全くの平原たるアイデアの土壌にいくつか植えられそうな種があるのかを問い掛けてみよう)
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わお、いいの?おれにくれた記憶だから、どんなのかなーとは気になってたんだ、だから詳細を読めるのが嬉しいよ。さんきゅうね。
>クォーヴ ( >>1491 )
( ──コンコンコン。突如響き渡ったノックの音に動きを止める。飲みかけのスープを置いて「はい!」と声を張ると程なくして柔和な声が耳に届いた。急いで扉へ駆け寄ってドアノブに手をかけると躊躇なく回し、薄暗い廊下から溢れ出す"秘密を溜め込んだ家の空気"を全身に浴びる。その淀みの中心で背の高い死神が微笑んでいた。それがどうにもこそばゆくて、僕もつられて笑ってしまう。「こんばんは……お陰でよく眠れたよ」そんなふうに挨拶を返して、彼を室内へと促した。「食事中だったんだ、急いで食べちゃうね」そう言ってテーブルへ駆け寄ると自分が座っていた場所の向かい側の椅子を引いて彼へと示した。席につくと「来てくれてありがとう。起きたら服や食事が完璧に用意されていて驚いたよ」と本題に入る前の雑談を振り、カリカリに焼けたパンをシチューに浸して口に運んだ。その香ばしさを味わいながら彼の顔をそっと見る。伏せられた睫毛の先端が部屋の灯りを弾いていて、洗練された顔立ちだなとこっそり思った。蠢くコートに覆われているにも関わらず肢体のしなやかさを想像できるのは、きっとゆっくり丁寧に動くから。白い肌と線の細さが相まって、烏瓜の花のような人だなと思った。「クォーヴは今日もお腹いっぱい?困ったら相談してね、美味しい記憶がどんなだかわからないけど……」そう言って気恥ずかしそうにスープを啜る。昨晩、空腹かどうか尋ねたときの反応が忘れられないでいた。彼にしては珍しく声を上げて笑って、お腹いっぱいだよと無知な僕に告げたのだ。忘れたくない記憶はあげられないが、何も持たずにやってきた僕が少しでも力になれることがあるならば、その協力は惜しみたくないと思っていた。 )
>ナザリ(>1494)
(褒める言葉には細めた目でのみ礼を。互いの表情が窺える位置、まずは己の疑問に答え始めた彼の声にじっと耳を傾けるが、どうも一見すると的から外れた問い掛けに一度ぱちりと瞬いて。「……グラタン、グラッセ。その辺りかな。」それでもすぐにゆったりと返した言葉の後、伝えられた話は俄には信じ難い事。“それ”は利益の搾取や慰み者の比喩かとも一瞬過って、しかし彼の言い回しやその人に有らざる姿から推し量るに、そんなものではないと冷静に巡る思考が勝手に物事を整え纏める。つまり鷲が仔兎を啄む事、蛇が雛鳥を丸飲む事と同じに、自分は彼らに――行き着く結論に一際跳ねた心臓が痛い。血の気が引く感覚と今にも震えそうな身の誤魔化しに、深い呼吸の一巡と共に膝の上の両手で固い拳を作り、僅かな強張りに引き攣った口の端はぎゅっと結んだ後にまた微笑みを乗せる。――続いた憂慮を含ませる吐息、御役目という単語、それに“どうにもしてやれない”という句。「……そう。逃げられない、という事だね。」この運命に抗う真似は不可能である。自分は勿論、恐らく彼も。そんな色を察して渇いた喉が相槌に掠れを生んで、それを直す為の咳払いを一つ。それから彼の側から渡された疑に拳を解き、「ああ、名乗りが遅れて申し訳無い。僕はグルース――グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン。長いから、君の呼び易いようにしてくれて構わないよ。歳や身分は…」再びすらすらと言い慣れた調子で、あっさり本名全てを彼へ伝えるのは、他の拐かしと“これ”は決定的に違うと、少なくとも拐った犯人が彼ではないと、はっきり確信を得たから。そして、「……君達にとってはあまり大事な事でもなさそうだね。」自分の名が“個を識別する記号”以上の意味を今は持たないらしいとも、判じられた故。「まあでも概ね、見ての通りさ。」それでも己の胸元へシグネットリングの填まる片手を置き、その少し上の家紋のブローチも合わせ示して冗談混じりにふっと零した柔らかな息は、気の緩みに生じたそれではなく――未だ止まない鼓動の痛みを、自分自身でどうにか和らげんと作った少々不自然な代物。「それで、僕からもう一つ聞いておきたいのだけれど、」自己紹介を括ったその次、また己側から口を開く。「此処に、僕の知る誰か――例えば、僕の家族、友達。同じ街に住んでいる皆……そういった者も来ているかどうか、君は解るかい?」己が次に“気にすべき事”を問う声にはまたぴんと芯を通して、しかしその下、自身も知らずに十指が絡み合う。まるで何かを祈るように、崩れそうな何かを支えるように、ぎゅうっと強く強く。自分自身でもどちらの答えを願っているのか解らぬまま、微かに不安を揺らす瞳で尚真っ直ぐ彼を見据える。)
>ジョネル( >1495 )
( 万が一にでも鍍金が剥がれ素顔が垣間見えては大変だと、そんな理由から真正面に見る事が出来ないだけなのにきっと彼はごく一般的な思考に当て嵌めてくれたのだろう。その誤解を解く事をしないのは鍍金の下を晒すだけの覚悟が無く、誤解をしてくれたままの方が自身にとって都合が良いから。冷たい体温が離れた手はこちら側へと引き戻し、流れ落ちる涙を止めようと瞼を閉じて深呼吸を数回。意思に反し溢れ出るそれを止める術は今迄の経験から身に付いており、数分のうちに常の笑みへと戻れば 「 見苦しい物見せちゃってごめんね 」 暗くなりすぎないように茶目っ気を含んだ声音で。先程の自身の主張に対する謝罪に、はたと動きを止めて 「 言ったでしょ?言いたく無いなら聞かないよって 」 悪気があった訳ではないのは彼の様子を見ていれば分かる事。だからと言って許してしまうのは自身の主張を曲げる事にも、それに対して応えようとしてくれた彼にも不誠実な行動にもなると判断すればゆるりと口元に弧を描いて 「 僕も色々と隠してる事があるし、それでおあいこ。もしジョネルが今後僕に言っても良いかなって思える時が来たら教えてよ 」 約束、とでも言うように小指をピンと立てた右手を差し出して。彼からの問い掛けに悩む素振りは見せるものの、タイムラグ無くすらすらと言葉を紡ぎ出して 「 そうだな、身に付けられる物が良いかなとは考えてるんだけど… 」 無論そんな物を贈ったとて身なりに拘りがあるのだろうあのダークエルフが着けてくれるかなんて確証は無いのだが 「 例えば、カフスボタンとか……そんな感じの物で考えているんだけど 」 やや具体的な名前まで挙げるのは、きっとアクセサリーのような物は邪魔になってしまうだろうという考えから。アイデアを乞うようにライムのような瞳をじいと見詰め )
>秋天(>>1496)
そう、良かった。悪夢に魘されることもなかった?
(昨夜何もかもをこの理不尽な屋敷に奪われたというのに、彼の様子からは悲壮感の類は読み取れなかった。精神的に強い子なのだろうか、それとも未だ彼が攫われてきた理由について明白には伝えていないからだろうか。今日話さなければならないことを胸に抱えながら、ふわりと漂ってくる独特な――人間の嗅覚なら食欲をそそられる良い香りと知覚されるような匂いの正体はテーブルを見ずとも判別でき「 ああ…お食事中にお邪魔しちゃって、ごめんね 」申し訳無さそうに少し眉を下げて、彼に促されるまま室内に入ってはきちんと扉を閉めて。態々椅子を引いてくれたことに“ ありがとう ”と小さく告げてから腰を下ろして、両肘をテーブルにつき手のひら同士は祈るように組み合わせてその上に自身の顎を乗せて微笑ましそうに彼の食事の様子を見守りながら「 ん? 」視線が絡まった事で彼も自身の顔を見ていたのだと気付いて淡く首に角度をつけ、そうして彼から放たれた言葉には思わず僅かながらも目を瞠って「 ……チウ。君のその優しさはとても素敵だけれど、同時にとても危ういものでもあるね 」すっと顎を引くようにして組み合わせていた両手で鼻から口元にかけてを隠すような姿勢を取り「 記憶を食べられるっていうのはね、最初からそれが君の人生で起こらなかった事になるのと同じなんだ。もし僕が君の優しさに甘えて一口、また一口って記憶を食べてしまったら、チウはどの思い出を捧げたのかも解らなくなって、自分の脳を――更に言えば自分自身の確からしさを疑う事になってしまうかもしれないんだよ 」だからその時が来たら、きっと一思いに。そこまでを肉声に乗せる事はせず、しかしあまりにも気安く記憶を、ひいては自分自身を怪物に捧げてしまいかねない彼には早く伝えねばならなかった。怪物たちが喰らうのは記憶だけではないこと、死神に喰われて命を終えられる保証もないことを「 …まずは僕から話してもいいかな? 」食事中にしたい話ではなかったけれど文脈的にもこのまま本題に入った方がよいと判断して、静かな微笑みのままに声には真摯を宿してじっと見つめよう)
>グルース(>>1497)
(筋肉の微細な収縮も、吐息に含まれる機微の一つですら見逃さない――見逃してくれない鬼は只々胸中に湧き上がる決して綺麗とも高尚とも言えない感情を味わっていた。毅然とした態度を貫こうとするきっと高貴であろう少年が、突如として食物連鎖の最下層に引きずり降ろされその運命を、現実を受け入れようと心の内で足掻く様がなんともいえず面白く、そして大変可愛らしい。恐らく彼の数千、否数万倍以上を生き永らえる鬼は年の功かそれとも天賦の特技か、そんな性の悪い考えを巡らせているなんて一欠片すら表には出さずに「 ……お利口さんだねえ 」その理解の早い健気さに心を痛めるように微笑を歪めて肯定代わりに彼の聡さを認めて。ふと彼の声に渇きを感じれば「 これ、そこの 」よく目を凝らさなければ見えないほど遠くの床、ちょろちょろと動いていた四足の爬虫類に声を掛ければ、直ちに透き通ったミネラルウォーターで満たされたデカンタとグラスをひとつ、摩訶不思議な事に空に浮かせた状態で給仕をして彼の目前のテーブルにことりと並べるだろう「 ああ…貴族の子かね、 」慣れていなければ舌を噛みそうになるそれらは洗礼名か或いはやんごとなき血統の継ぐ事を示すものか、いずれにしてもそういったルールに基づいて名を連ねるのだと人間界の知識を知っていたため老獪に納得を示し「 道理で礼儀正しいわけだ。えらいねえ 」近所の優しい爺がしっかりした子供を褒めるような陽だまりを思わせる柔らかい賛辞を贈る間にも、ああお前さんの鼓動が張り裂けんほどに聞こえているぞ、と肚に飼う真の鬼はくつくつと低く笑っているのだろう。次いで質問を返される気配に「 何だい 」と受け入れる旨を示し、成る程確かに確認しておきたいだろうなと合点の行く問に顎をこすりながら明後日の方向に視線をやり「 はてぇ…お前さんの身の回りで、ずいぶん前に行方知れずになった人でもいるのかねえ。そうでなけりゃあ、きっと今この屋敷じゃぁお前さんがいちばんの新入りだと思うがなあ 」歯切れの悪い回答になるのは勿体振っているわけではない事は心底困ったようにうんうん唸る様子から感じ取れるだろうか。ふとはっとしたようにレンズ越しの眼差しを真っ直ぐに彼に向け「 ああでも、探しに行こうなどたぁ考えんでおくれ。屋敷の廊下は無限に広がっておってなあ、そればっかりか瞬きする間に道順の変わる迷宮でなぁ。おまけに出会い頭にガブッといきよるバケモンもうろついとる 」荒唐無稽な内容も冗談や脅しの類ではないと伝えるようにところどころ臨場感のある抑揚を付けながらも真剣な調子で忠告を紡いで)
>グレン(>>1498)
……なに、どんな特技?!こんな早く涙止まるって珍しいよ
(獲物の涙腺を狂わせるそれは生理的なメカニズムで説明や対策を付けられるものでは到底なく、だからこそ止まらない涙に戸惑う内に混乱して更に泣いてしまう人間も少なくはない。だからこそ、自身で情緒を律し流涙を制御するような一連の動作に興味深そうにまじまじと視線を送りながら心底感心した様子で「 おあいこか、それ助かる。そこまで仲良くしてたらハイネに怒られるかもしんないけど……うん、そんな夜が来ればいいな 」上手に落とし所を見つけてくれた彼に二重の意味で感謝しながらそれを示すように顔の前で両掌を合わせながら顔を伏せて。そのままパッと面を上げて両手はソファーにつき、リラックスするように重心を後ろに倒して夢想するような少年じみた表情で虚空を見つめて。ふと彼に何か動きがあった事を視界の端で捉え目線を戻せば差し出される右手の小指、怪物の世界にはない慣習ながらも人間の世界でポピュラーなそれへの正しい応え方を探すように両手でくしゃっと髪を淡く掴んで「 あー何だっけそれ。待って言わないで、確かに知ってる筈だから 」回顧に集中するためにぎゅっと瞼をきつく閉じる事で余計な情報を遮断して、暗闇をぐちゃぐちゃと手探りするように深く深く記憶を追いかけて「 知ってる…絶対知ってるんだ。まだ取られてない、取られて……、…ああ! 」まるで貧乏揺すりのように小刻みに身体が揺れるのは過剰なストレスゆえの無意識な反応か。ただならぬ雰囲気と共にぶつぶつと呟き、急に明るく声を張り上げてはぱっちりと双眸を開いて勢いよく自らも同様に小指を差し出して「 これね、これこれ!はい約束っ 」ただ思い出せた事が、というよりもその記憶が抜け落ちていなかった事を心から喜ぶようにやけに高いテンションで温かなそれに小指を絡めて一度上下に振ってから手を引こうか。お返しの案についてふむふむと前のめりに聞きながら「 ええ!いいじゃん!喜ぶと思うよ 」ぱちぱちと細かく拍手をしてから両手をぐっとサムズアップの形を作って全力賛成を示し「 思い切って手作りするってのはどう?しかもこっそり君の分も作っちゃって実はお揃いでしたーってするんだ。ハイネ、絶対“かわいい~!”ってなるって! 」それは大変ちゃっかりとしたアイデアだが、友人代表のような顔をしてきゃいきゃいと確信を持って燥いで)
>ナザリ(>1500)
(己が行き着いた結論が真実である事を物語る、悲痛そうに染まる彼の表情。その奥に何かが潜んでいるなど今は考える余裕は無く、沈黙を落としたその目の前に浮かんだ水差しとグラス、そしてそれを運んだらしい小さな生き物にも、先程よりも解り易く見開いた目を瞬かせる。それから己の身分を正しく察した彼の言葉に頷きで肯定を返した次、褒める暖かな声へ、「公爵家の長子だからね、当然さ。」初めよりは幾分か固さの溶けた物言いで告げるそれは、何処と無く自らに言い聞かせて縛り付けるような厳格さを含めていて。――問い掛けにはっきりとした答えは届かなかった。しかしそれが咎めようのない事であるのは悩み果てる彼の態度から理解出来て、余計に不安で曇る思考を読んだようなタイミングで忠告が刺される。「……化け物が、」まるでお伽噺、いいや、質の悪い怪奇小説でも聞かされている気分。信じられないと訴える感情とは裏腹に、すんなり頭にそれが真実だと染み込んでいくのは、彼の真摯な語り口の所為だろうか。「本当に――違う世界のお屋敷に来てしまったのだね、僕は。」ふと、すっと視線を移した先は窓の向こう。煌々と輝く大きな満月を見詰めて誰に問うでもない事実を零す声は自らでも驚くほど冷たく震えて、現状へ追い付ききれない心の揺らぎがそこに顕れる。また彼へと向き合う形に戻す筈の瞳は、組んだ手元に緩やかに伏せられて、「でも、…そう。僕の覚えている限り、誰も居なくなってはいないから…」もう一度彼からの答えを反芻し、掘り起こすは屋敷に招かれる直前の記憶。少し前のパーティーで見掛けた友人にも、馬車から眺めた街の人々にも、夕食時に揃った家族や使用人達にも、欠けは何処にだって無かった。「……じゃあ、僕一人だけ。他は、誰も…」思考に沈んでいく程、今は身を守る毅然も悠然も剥がれて、言葉遣いも年相応と柔くなる。やがては俯いた額に絡み合う十指を押し当て、小さく背を丸めた後。「…………良かった、」“なら、問題は何も無いね”。……そう吐き出した弱い弱い安堵の吐息の、その内側に――背負い続けた大事な荷を不可抗力に下ろしたような、離れてはならない場所からうっかり逃れたような、そんな後ろめたさや罪悪感の混ざる喜色が凝っていた。「……取り乱したね、すまない。それから、教えてくれて有り難う。」それに何かを言われる前に上げた顔は、今までよりもずっと穏やかに晴れ、何処か重たい憑き物が取れた風情を醸す。「…さあ、これからの事を考えなくてはね。お屋敷で御役目を果たすと言っても、今すぐではないのだろう?」汗が仄かに滲んだ両手を解いて、テーブルに置かれたデカンタに指を掛けながら、ここまでに得た情報から測った状況を確かめる言葉を。続けて、「なら、どんな自由が認められて、どんな禁制があるのか――此処での振る舞い方を初めに学ばなくては。」持ち上げたグラスに注いだ水越し、映った異形を臆さず見詰めるのは、今の今まで話に応じてくれた信用故に。……いずれ己を喰らうかも知れぬ者とその環境さえ受け入れた自らの気質は、きっと立派に見えて異様だろう。「そのご教授を君に願えるかい、サー・ナザリ。」だがそんなものを気にする必要は無いと何かを見ない振りした少年は、緊張のすっかり失せた悪戯な微笑みと物言いで屋敷のルールの教えを彼へ請うては、ゆったり優雅に首を傾げてみせる。)
>ジョネル( >1501 )
( それ程までに興味深く感じられる事柄だと思っていなかった為に僅かにきょとんとしたように目を丸めるのは、演じる上で身に付いたそれが特別な事象だと理解をしていなかったため「 元いたところでは俳優をやってたんだ。舞台専門のね 」 僅かな暗転の合間に涙を引っ込めたり流したり、本来であれば演技で済むところをよりリアリティを求めるが為に身に付いた自身の感情の預かり知らぬ涙を制御するそれは、半ば職業病のようなもの 「 ふふ、もし怒られるとしたら僕の方だろうからジョネルは気にしないでよ……嗚呼、もちろん小言は飛んでいくかも知れないけれど 」 来るかも分からないたらればの話。けれどそんな未来があるのだとすれば、きっとあの狂しいほどの束縛心が飛んでくるのは此方であろう事は容易に想像が付く。小指を差し出したまま彼が記憶の抽斗を開けて探り出す様を希望の通り何も口を挟む事なく見ているものの、過度にストレスが掛かっているのであろう様子に口を開きかけたところで一際大きく鼓膜を揺さぶる声に肩をびくりと跳ね上げさせて。どうやら自身が差し出した先、待っている事に合点がいったらしく絡められた指先に、そうそうとでも言うように首肯を一度。指が離れればゆったりとした動作で体の方に引き寄せ、膝の上で両手の指を組むようにして。「 本当?良かった 」 手放しに賛同してくれている様子にやや強張っていた表情を安堵に緩ませた後、次ぐアイデアに耳を傾けて 「 いいね、それ。楽しそうだし、何よりお揃いに出来るの僕が嬉しいし 」 考える素振りも無くぱあと表情を輝かせ、きっと今日一番の笑みを浮かべて。プレゼントが手作りなのだと、そしてお揃いなのだと言えば主人は喜ぶだろうか、それとも呆れ半分の反応が返ってくるのか。どんな反応が返されるか考えるだけで表情が緩み出すも、次なる問題が頭に浮かべば考え込むように片手を口元へと当てて 「 問題は材料と作業スペースかな… 」 何かを作るにしてもこの部屋の中にそれが叶うだけの物品は無く、頼めば多少の融通を利かせてくれるであろう程に懇意にしてくれている使い魔は言わずもがなダークエルフのところの蝶たちばかり 「 ねえ、ジョネル。頼んだら手伝ってくれそうな人に心当たりなんてあったりする? 」 眉尻を下げたやや情けのない表情の浮かぶ顔を持ち上げて )
>クォーヴ ( >>1499 )
( 悪夢。彼が発したその言葉を口の中で転がして考えてみる。元々あまり夢を見る性質ではないので、目が覚めたとき"夢じゃなかったんだ"とは思わなかった。適応力は高い方なんだと思う。でも、夢を見ないからといって夢であれと願うことがないわけではなかった。「うん、夢は見なかった。全部現実だったみたい」シャワーを浴びる前に一瞬沈んだ気持ちがぶり返しかけて、呟くような声で返事をする。すぐに取り繕うよう笑ってみせて、彼の謝罪に対しても首を横に振るにとどめた。てきぱきと食事を口に運びながらこぼした善意に難色を示されると、これは真剣に耳を傾けた方が良い話だと判断して手を止める。"自身の確からしさを疑う事になる"……その言葉を聞いた僕は"テセウスの船"と呼ばれる思考実験のことを思い出していた。わかりやすく説明するならこうだ。──テセウスという男が怪物を倒しに行くため乗り込んだ一隻の船がある。テセウスは航海の末見事怪物を打ち倒し、船は偉大な記念品として後世に受け継がれていった。だが船は時間と共に朽ちていく。壊れたパーツを一つずつ交換して、やがて全てが新しいものに置き換わったそのとき。その船はテセウスの船だと呼べるだろうか──哲学の授業で問われたパラドックスの一つで、僕はこのことに自分なりの結論を出していた。クォーヴが言ったのは置き換わったときではなく消えてしまったときのことだが、僕の考えそのものは変わらない。「忠告ありがとう。肝に銘じておくよ」餌のアイデンティティに気を配るなんて変わった人だなと密かに思う。時折存在が示唆される"他の住人"が皆こうとはいかないことは想像に難くなくて、はじめにこの屋敷で出会ったのがあなたで良かったと心から思った。穏やかな声で礼を告げ返事を待たずに口を開く。「でも、例え記憶がなくなっても僕は僕だ。それを疑うことはないと思う、きっと……」そう言って小さく微笑むと、不思議な虹彩を見つめ返す。会話に一区切り設けた彼にこくりと首肯で返事をして、続く言葉をじっと待った。 )
あなたと話しているといろんな記憶が蘇ってくるよ。あなたの性質がそうさせているのかな。
筆が乗る予感がしたから、僕が過去に件の思考実験について考えたときのことを宝箱に入れさせてもらおうかと思うんだ。今のあなたに何か影響を与えるものではないと思うけど、僕のアイデンティティを形成した重要な記憶の一つとして知ってもらえたら嬉しいな。
……他でもないクォーヴに僕の軽率さを注意されたところだから、食べちゃだめだよ。ごめんね。
>グルース(>>1502)
そうだねえ。お月見はいつでも出来るが、日向ぼっこは二度と叶わん。夜に生きる怪物の――黒薔薇のための屋敷だからなあ
(彼と見るものを同じにすべく矮小な怪物と人間をせせら笑うような巨大な満月を視界の中心に捉える。太陽を恋しく思う者など居ないか極端に少ない魔物たちにお誂え向きの世界であると表現しかけて、しかし最も相応しい存在を蔑ろにするわけにはいかず支配者の存在をきちりと出して。良かった、と口に出した彼の言葉には複数の意味が込められているように思えた。この理不尽な屋敷で怪物の贄となる運命を押し付けられずに済んだ、或いは公爵家の長子が姿を消したとて次位の後継者が健在であるのならば家を守ってゆくための代わりを務められる、と「 ……やりきれんなあ。生まれだけで背負わされてよいほど気軽な宿命でもなかろうに 」自身の顎に手を添えて難しい顔をしながら首を左右にゆっくりと傾げる。生まれた時から自由意思で選び受け入れた訳もない様々なルールや制約で雁字搦めに縛られる世界と、望まれ見初められて異界に選ばれ尊き糧として散る事を強制される世界、どちらが彼にとって酷なのか瞬時には答えを出せなかった。しかし驚くほど前向きに屋敷へと適応しようとする彼の申し出に「 ンはは、当に外柔内剛とはお前さんの為にある言葉だねぇ 」只の少年と侮るなかれ、そう思わざるを得ない威風堂々とした立居振舞は都合よく言い包めてやろうなどと甘い考えを自重させる力を放っており、なればこの命の行く先を見守らんと真摯に情報を提供しようという気持ちにさせられる。長くなりそうな気配に無意識に袂から鈍い銀の煙管を取り出し口に咥えかけて「 おぉっと、いやぁ失敬 」年端もいかぬ子どもの手前、遠慮するように照れ笑いをしながら煙管を再度しまう仕草を見せて「 今すぐにでは…の話からいこうか。今宵お前さんの到着に最も早く気付いたのが俺ではなく、腹を空かせた隣人だったのならば既に御役目を全うしておっただろうねぇ 」そしてその綱渡りは明日からも毎夜同じ状況が連続するのだと。脅しではなく覚悟を促すように重みのある声色で低く告げ「 禁制、と呼ばれるものぁ獲物には課されていないよ。単独で部屋から出るな、てぇのはあくまで長生きしたければの話。…まぁ、あれだね、禁ずるまでもなく制されるという表現の方が近いかねぇ。例えば――有り得ん話だと分かっておるよ、あくまでも例え話さ。お前さんは屋敷に攫われた運命に絶望し、目の前のデカンタを割ってその破片で喉を掻っ切り自ら命を絶とうとしたとする。ところが刃は喉に届く前に不思議な力で止められてうんともすんとも動かない……そういうことだね 」つまり獲物の自由は認められている、ただし何もかも屋敷の支配力にとって都合の良い形で。聞いていて全く快くない内容を凡例に挙げたのはそれがこの屋敷で日常的に起こる出来事だからだろうか)
>グレン(>>1503)
はー…なるほどなるほど。君なら銀幕でも大人気だったろうね
(観客たちが注目する麗しい顔面を用いて分かりやすく感情表現する手法が涙であろう事は何となく解って、心底納得したように数度頷くようにしながらソファーの背凭れへと体重を預けて。彼が人間の世界に居た頃の評判を知る由もなかろうともその甘いマスクは多くの黄色い眼差しを集めたであろう事は想像に易く、であれば逸材は一つの舞台上ではなく各地に点在するスクリーンに活躍の場を移したかもしれない。それを彼が望んでいない事も、その理由も未知のままだがこれまでハイネからの扱いを幸せそうに語る彼の様子から立てた一つの仮定を持ちかけようと再度体勢を前のめりに戻し「 不特定多数からの喝采を浴びるよりも、たったひとりから熱狂的な寵愛を受ける方が幸せだったりする? 」それは純粋な彼への関心。舞台とは綺羅びやかに見えてきっと苛烈な側面も持ち合わせているだろう、故に万人が立てる戦場ではない。そこに選ばれスポットライトを浴びてきたであろう彼ならば凡庸で陳腐なそれとは対極の記憶を持ち合わせているのではないかと「 んー…そうだなあ。おれはそういうセンス無いし… 」ここで胸板を叩き自分に任せろと言えれば格好も付いたのだろうが、生憎カフスなど洒落たものに造詣もなければ興味もなく全く力になれる気がせず悩むように腕を組んでやや俯き加減に目を閉じて。しかし助けてくれる住人、そのリクエストから浮かんでくる顔は確かにいくつかあり「 ……今回のケースなら適役はキルステン…かな? 」一つの固有名詞に提案を絞ってから目を開け、自らの両手の付け根を両耳に添えてはぱあっと指先を開き「 人魚だからね、こんな感じのヒレが付いてる派手な女王様だよ。トゲトゲ言葉が多いけど、断じて意地悪なやつじゃない。し、この手の話が好きだと思うんだ 」件の人魚の性別を誤認させてしまいかねない紹介になってしまった事は全くの無自覚、それほどまでに自身にとって彼はクイーンという像を彷彿させる住人に見えているということ。何だかんだ世話焼きな彼は健気にも怪物にお返しをしたいと願う獲物という一見歪な美談はきっと好物の筈、しかし人魚に助けを求めるという判断をするかどうかは眼前の彼が決める事。少なくとも情報は提示した、一旦彼の反応を待とうと懐こい笑みを浮かべながらじっと見つめて)
***
こっちからごめんね。宝箱見てきたよ、舞台照明の所為だけじゃない確かな君自身の熱を感じられる素晴らしい記憶をおれにくれたんだね。まじさんきゅう。…まじでね。
それと…表現を借りるなら言葉足らずな主張?についてだけど、ほんっとまじで気にしないで。それだけ伸び伸びやれてるってことだしさ、おれもお互いさまってことで。あーでも、こっちの話の持ってき方とかそういうのにヤだなって思った時は遠慮なく言ってね。いっつもおれらのこと考えてくれてさんきゅうね。今んとこ問題なければこっちにはお返事大丈夫。
>秋天(>>1504)
(不躾な質問だったことを悔いたのは彼の纏う雰囲気がほんの刹那の間だけでも陰りを帯びたから。自分が彼をこの状況に引きずり込んだ直接原因というわけではないが、やはり心ある者が苦しむ所は見ていて気持ちの良いものではない――例えそれが家畜として攫われた獲物であっても。しかし彼は気丈にも笑ってみせたのだから、ここは気付かない振りをしようと微笑みを返して「 ……そう。チウは強い子だね 」誰かと比べるようなニュアンスを含んでしまった自覚はなく、しかし確かに脳裏に去来したのは彼と同じくらいか少し幼い少年のこと。今は亡き、否、自らの手で命を摘み取った少年の事は全く以ってこれからの話題に関係なく、目の前の彼が自身の話を聞く態勢を整えてくれた事を知覚してからゆっくりと口を開き「 昨日、大切な事を伝えたいって言った事は覚えてる? 」ゆるり、空間そのものが滑るように小さく首に角度をつけて彼を見つめる。出会って間もないがこの少年の聡明さは十分に伝わっていた、だからこそ返答を待つ間は敢えて設けずに「 それはね、君が…チウが、黒薔薇のお屋敷に住むことになった理由なんだ 」これまで幾千と繰り返してきた説明、しかしいつもに比べればそれを告げる事に躊躇しないで済んでいるように感じるのは彼の賢さに甘えているからなのだろうか「 君は僕達の――黒薔薇の怪物たちの尊い食事として選ばれたんだよ 」口元は微かな笑みを示す弧を描くも、眉はやりきれなさを示すようにしゅんと垂れ下がる。残酷と判っていてもこうして彼に事前に真実を告げるのは、明日にでも見たこともない怪物が部屋に押し入り彼を喰らってしまうかもしれないから。その時、自分がなにかの糧になったのだと知って死を迎えるのと、何事かも分からないままただ暴力に蹂躙されるのとでは命の終え方に確かに差異が生じる筈。彼自身の意志を度外視した非常に手前勝手な世界で、だからこそ彼の命は尊いのだとどうにか伝わればよいのだが)
***
やあ、宝箱を見てきたよ。…うん、確かにチウの強さを示す具体的なエピソードのひとつだなと感じたね。今の僕はそれを知る方法はないけれど、きっといつか――触れられる夜が来るといいな。ふふ、もちろん食べないよ。今はね。
ああそうだ、それと。全く強制ではないのだけれど、もし興味があればHPから【ルネコの備忘録】を読んでみておくれ。チウとは反対に、死神に記憶を一欠片渡したことがきっかけで心を病んでしまった少年の――上の文章で少し触れた、僕がその最期を見届けた子のお話さ。
追記や相談がなければ、こっちへのお返事は大丈夫だからね。ありがとう、チウ。
>ナザリ(>1505)
……あんまり褒めたって、今は何にもあげられないよ、サー・ナザリ。
(張り通しだった気を緩めた為か、今の称賛を切り口にそれまで平然を通せた筈のものが胸を柔くつついて、そのこそばゆさに眉を垂らして一瞬目を逸らす。次いで直ぐ様ジョークめいた応答をさらりと口にこそすれど、ほんのりと頬に集まった熱まで誤魔化せた気はせず、ゆっくりと口腔に含んだ水を飲み込む所作で沈静までの場を繋ぐ。「いいや、お気遣いどうも。」彼の袂から覗いた見慣れない細長い道具。親族の一人が持っていたパイプに似ているそれと、彼の一連の仕草に大まかな用途を察し、にっこりと愛想良く笑う事で詫びを流す。そのまま己の願いを叶えて綴られる彼の声に、姿勢を正してじっと耳を傾け、「今夜の僕は本当に幸運だったようだね。…うん、心に留めておくよ。」一つの区切りに此方も真摯な相槌を一拍、真っ直ぐ彼を見据えたまま己が身の有り様を誓言する。その後に続く例えに唇が結ばれ、仄かな悲哀や痛みが表情に滲むのは、この場所においてはそれが酷く現実味を帯びたものだから。「……成る程。料理が皿の上で何をしていても構わない。ただし、これを床へと引っくり返す無駄だけは許さない。…お屋敷の主様は、何とも上手な捕らえ方をするね。」心臓の上へ片手を添え、料理と比喩した人間の命を表しながら、“それ”を望んだ者には残酷な事実へ声音を微かな辛苦に震わせて。それでも否定的な言葉を用いずに受け止めた後、重く垂れ込める沈黙を払うように居住まいを彼の側へと前向きに軽く崩し、ついでに切り替えも兼ねた咳払いを一度。「あとは、そう……君自身についても教えてほしいかな。」一通りのルールを学んだその次に、学ぶ意欲が眼差す先は他でもない怪物の彼そのもの。「人を食べる怪物というと、僕はヴァンパイアやグール、或いはオグルを先ず思い付く。でも、」先に自らが持つ知識を、胸元を離れた指で折り数える動作と共に挙げ連ねてから、改めて彼を視界に収め掌でそっと差し示して、「…君は何れにも当て嵌まらないように見える。そもそも予想や想像の出来ない、文化が全く違う所の何か、という印象が一等強い。」見た事も無い装い、顔立ち。馴染み無い響きの名――その未知に惹かれる境地を囀りの軽やかさに浮かばせて、「だからこそ、僕は君に興味が擽られて仕様が無い。」隠せない瞳の煌めきは宛ら新たな本を前にした読書家、または知らぬ小道を見付けた冒険家の如き色。しかし言葉に括りを付けた後で晒した好奇心の不躾さに気が付いて、「……不作法な話ですまないね。けれど、君という個を知りたいのは確かな本心さ。」苦みを含めた微笑みで謝意を告げ、そこに邪気や悪意の一切が無い事を前置く。「……それでどうだい、僕に聞かせてもらえるお話はあるかな、異国の方。」初めて対面した際には堅苦しい一線として表した彼への呼称を、今は親しみを包んだものとして呼び掛けに使い、品ある控えた態度を心得つつも期待をきらきら瞬かせる視線にて、彼を真正面から見詰める。)
>ジョネル( >1506 )
残念ながら、僕は板の上が専門だったんだ
( 何度か話に挙がる事はあっても首を縦に振る事の無かった銀幕デビュー。それを受けて仕舞えばきっと父と比べられる機会が増えるはず、そんな思いもあっての事なのだが今彼に理由を語る必要性は無いだろうと判断すれば、にっこりと笑みを浮かべる事でこれ以上は踏み込んでくれるなとの言外の主張を見せて。興味があると言わんばかりに前のめりな体勢になる彼からの質問に 「 うーーん……、どうだろう 」 なんて返答への迷いを見せるのは、自分自身どちらが心地好いかの判別が付いていないため。口元へと手を当て、考え込む事数十秒程 「 ただ、その “ ひとり ” がハイネだったから満たされてるんだと思うよ 」 自身の事なのに推測の域を出ないのは、特別他者からの愛を求めてしまう性質を理解しているが故のこと。求める以上のものを注いでくれる彼だから、そんな考えは己が欠点を見せた事があるからこその盲目的な思考か、はたまたこの非日常且つ命の危険と隣り合わせの屋敷の中にて唯一安全を与えてくれたが為の依存心か。そのどちらだったとしても満ち足りている、そう明言をする事に大した差異は無く。それに、そんな声と共にチェアから立ち上がりこちらへと身を乗り出している彼の片頬へと手を添えれば吐息が掛かりそうな程の距離まで、ずいっと顔を寄せて 「 “ こういう事 ” の対価に愛情を向けられるより、ずっと健全だと思わないかい? 」 引き合いに出すのは対面する彼は知らない幼い頃の経験。至極真面目な表情は直ぐに解け 「 なんてね 」 なんて言葉と共に再度腰を下ろしては緩く足を組み、ハイネへのお礼の品に対して協力をしてくれる人を考えてくれているのだろう彼をじいっと見詰めて。「 キルステン? 」 小さく首を傾げて見せるのは聞き馴染みの無い名前ゆえの事。紹介をしてくれる文言に静かに耳を傾けつつ考え込む素振りを見せるのは、その人魚の為人を噛み砕くのに時間を要したためで。ここまで真摯に相談に乗ってくれた彼の事だから、きっと無理難題を押し付けてくるような住人を紹介してくるような事は無いだろうという判断はややお人好しが過ぎるか。暫しの沈黙の後うん、なんて言葉と共に小さく頷いては 「 ジョネルが紹介してくれたんだ、一度相談をしてみるよ 」 なんて笑みを浮かべて見せて )
>クォーヴ ( >>1507 )
そうかな……そうだといいな
( 僕を"強い子"だと評する怪物に曖昧な言葉を返した。僕が本当に強い人間であるなら何よりだが、自惚れてはいけないなと強く思う。この状況に適応出来ているのだと思い込んで、それで満足するのだけは避けなければならなかった。そんなことを考えつつ、クォーヴが本題を切り出そうとしているのを察すると静かに耳を傾ける。僕を見つめる蒼い目の様子が先程までとは別物に映って、今から怖いことを言われるのだと半ば確信した。聞きたくないとは思わない。このお屋敷にまつわることは何でも聞いておかねばならなかった。知らないことは少ないほうがいい。
──怪物たちの食事。"尊い"と称されたそれに選ばれたと聞かされて思わず視線を彷徨わせた。部屋には僕と怪物しかいないのに。誰も助けちゃくれないのに。ふらついていた視線を戻すと、捕食者が眉尻を下げていて困惑する。彼が今抱いているものが哀れみなのか優しさなのか、被捕食者の僕にはまるで検討がつかなかった。「美味しそうな貴方、って書いてあったっけ……」母の傍らで手にした黒薔薇のメッセージを思い出しぼそりと呟く。僕はその後に続いた"お迎えに上がります"の文にばかり気を取られていて、一体なんのために攫われたかなど考えもしなかった。クォーヴの言葉を頭の中で反芻する。彼は"僕の食事"ではなく"僕たちの食事"と言っていた。度々示唆される他の住人たちを指しているのだろうなと予測して、思考する。目の前の男は努めて優しい死神だが、その気になれば人間などひと捻りであろうことは想像に難くない。つまるところ、魔法を操る者たちの捕食に抗える方法など僕は一つも思いつかなかった。「……教えてくれてありがとう。知ったところで何かができるとは思えないけど、知れて良かった」嘘偽りない感謝を伝えて、いつ訪れるかわからない最期の瞬間を想像する。母もそうであったように、死はそのほとんどが突然だ。後悔のない生き方をしたいと強く思った。「閉じこもっていた方がいいならそうするけど、あまり意味がないなら……したいことをたくさんしたいな」捕食者のあなたへ精一杯の微笑みを向ける。今の僕には過去を悔いている暇も未来に怯えている暇もないのだ。「終わるときはどうしようもないんだから、楽しく生きなくちゃ」彼の返答を待たずに付け加える。すぐには終わらないかもしれないし、もし終わってしまったとしても思い出になればそれでいい。今はただ"次"に繋がるものが欲しかった。 )
彼の手記はここへ参加する前に目を通していたんだけど、改めて読み直してきたよ。物語の外から眺めていたときと、自分が同じ場所に立ってみてから読むのとでは思うことが全然違うね。すごく興味深かったし、今後の展開がますます楽しみになった。勧めてくれてありがとう。
ところで、クォーヴが否定的でないのなら他の住人の手も借りつつ積極的に部屋の外へ出てみたいと思うんだ。その道中で件の備忘録を見つけられたらと思ってる。といっても存在を知らないものを偶然見つけるのは難しいと思うし、すぐに手に入れたいと思ってるわけではないからいつかいいタイミングが訪れたときで大丈夫。他にも、日常イベントの「九死一生」も体験してみたいと思ってるんだ。ちなみに、襲われる怪物はこちらで指名できたりするのかな?もしそうなら相談させてもらえると嬉しいな。
愛しきルネコへ黒薔薇を。花言葉はなんだったかな。ちょっと怖かったような気がする。
>グルース(>>1508)
(今は、とは恐れ入った。怪物らしくおどろおどろしい牙を剥いてゲラゲラと高笑いしたい気分を堪えて、大人から降り注ぐ褒め言葉に対してほんの一瞬子供らしくたじろいだ可愛らしさも見なかった振りをして。手癖のように掴んでしまう煙管を封じるとなれば、この手持ち無沙汰を慰めるためにどうしようかと目線を巡らしソファーに備え付けられていたクッションを引っ掴めば犬猫のように膝下へと乗せ「 そういうことだね。やっぱりお前さんは賢い、賢いねえ 」食事に擬えたそれは大変言い得て妙、自分の言いたかった事の要点を鋭く掴み噛み砕いて理解するその早さに今夜何度目かの心からの感心を示しながらテーブルを挟んで向こう側に居る彼の髪の代わりに今しがた捕まえたばかりの布の表面へ撫でり、撫でりと手を這わせ「 …はて、俺のこと? 」ここから屋敷の謎について畳み掛けるような問答が始まる事を期待していたからこそ、予想の斜め上のテーマには思わずはてと間抜けな表情を浮かべて見せて「 ああ…そうだねえ。ヒトの子らにも白人や黒人、はたまた住んでいる地域で西洋人、東洋人と区分があるのだったね。如何にも、俺ぁ東洋の怪物。そちら側の文献で“モモタロウ”という童話を知っとるかね 」きらきらと輝く双眸はまさに少年の溢れる活気と知識欲を凝縮した宝石。無垢と呼んでも差し支えないだろう純粋な輝きを持つそれを涙で濁らせられたらと未だ早すぎる妄想はそこそこに、彼の抱いてくれた好奇心を失速させないよう一つの物語を唐突に挙げて「 母の腹からじゃぁなく大きな桃からパッカリと生まれた男児が、人の世を脅かす鬼と呼ばれるあやかしを退治しにゆく話なのだがねぇ。俺にとってぁ彼がご先祖様の仇というわけだ 」ふと空っぽの片手の平を天井に向けて淡く差し出し、その上にフォンという羽音のような音と共に大きく立派な桃の果実の映像を投影して見せて。“パッカリ”と効果音を口にするタイミングと同時に虚像の桃も真っ二つに、中からはデフォルメされた幼い侍が刀を背負って生まれてくる。やがてそれを取り囲むように眼前の怪物と同じ数か一本少ない角を持った赤や青の怪物が棍棒を背負ってわらわらと現れ、しかし件の男児がそれらを一刀両断に返り討ちにするところでちょうど自らの言葉も一区切りに。沢山お喋りさせてくれる相手に恵まれて舌を動かしすぎたか、口渇を覚えてまた爬虫類の使い魔に湯呑を用意させ「 この屋敷じゃあ“こっち側”の怪物は少なくてねえ。例えば…気難しい九尾の狐、とかぁね 」つまり東洋由来の存在は珍しいのだと示唆しながら、犬猿の仲たる同郷の隣人を例に挙げくつくつと笑いながら熱い魔界の茶で満たされた湯呑を掴んで美味しそうに中身を啜り)
>グレン(>>1509)
そっかそっか…そうなんだ。ねえ、君たちってある意味超ラッキーだったりして
(何だか彼は他の獲物と比較して自分の考えをまとめるのに時間のかかるひとだ。そんな風に抱いていた違和感は今や確信に変わり、しかしそれもネガティブな意味ではなく真剣に回答を考えてくれている証拠なのだろうと捉えて。命を供物に捧げる事を強制される屋敷に攫われておいて、片や自由を許されず永い命の終わりまで黒薔薇に縛られておいて幸運とは片腹痛いが、しかしそうでなければ彼はハイネに、そしてハイネはグレンという人間に出会える事は無かったのだと。神妙な表情から何かを閃いたようにそう口にした直後、頬に温かい何かが触れては整ったかんばせが急激に寄った事にぱちくりと目を開いて「 それ…って、愛情って言わなくない? 」いまいち要領は得ないがきっと汚らしい何かに自分を切り売りした結果得られるものより高尚だと言いたいのだろうか、と。ぽかんとしながら素直な感想だけを落とし「 よくわかんないけど 」しかし彼が誤魔化すような言葉と共に遠ざかってゆくのだから深く追求すべき事柄ではないのだろうと察して肩を竦めるに留めて。「 そっか!じゃあまた君が来て欲しい時にお手紙を出すといいよ。おれから大体の話は通しとくしさ。ハイネのお気に入りだから邪険にしちゃだめだよー、ってね 」彼自身が人魚との邂逅を受け入れたのだから、友人に遠慮をすることもないだろうと片手でサムズアップを。歯に衣着せぬ物言いをする人魚に御手柔らかにと伝える旨も添えて、そろそろ御暇しようかと立ち上がった瞬間思い出したようにパチンと両掌を軽く打ち鳴らし「 てかさ、怖くないんだね。見たことない怪物と会うって、おれが人間だったらめちゃビビるなあ 」それは機会があれば彼に聞いてみたかった事の一つ。いくら信頼している怪物の友人とはいえ死神たる自分を呼び出した事も、甘く優しい怪物というわけではない人魚へのお目通りを決めた事も。それ程までに危険を冒してでも持ち主に報いたいのか、或いは先程警告音を鳴らした指輪等々の魔法に守られているという自覚があるからか。いずれにしても興味津々といった眼差しで立ち上がった姿勢のまま彼を見つめて)
>秋天(>>1510)
(我を忘れて周章狼狽するでもなく、往生際悪く運命を拒もうと足掻くでもなく、この数十秒の間に大いなる理不尽を受け入れるに至った彼はやはり凡庸な人間ではないのだろうと感じる。逆に言えば、この間に彼が何を考え何を諦めたのか、そこに思いを馳せるには捕食者という立場が通せんぼをして、しかしそれに気付かずにいられるほど無神経ではなかった。使い魔に選ばれ此処に攫われてしまったからには逃れられない最期ならば、否だからこそ「 僕こそ、きちんと聞いてくれてありがとう。どうかチウの最期の夜が哀しいだけじゃありませんように 」いつか必ず黒薔薇になってしまう貴方へ万感の願いを。命が終われば母の元へ行きたいと言っていた彼に、その尊い魂はもう二度と輪廻の環には還らず永久のこの屋敷を彩る黒薔薇になってしまうという事実は今はまだ伝えられず、自身がそうまごついている間にも未来へと思考の舵を切る彼の物分かりの良さに一抹の不安さえ覚えながら「 そう……だね。気が向けば僕も混ぜておくれ、一緒に思い出を作ろう 」無論彼自身が考え定めた方針を咎めるつもりは無く、いつか彼が列挙するだろうしたい事の中に自身も存在できればと伏し目がちに微笑んで。閉じこもっても意味がないなら――その言葉から、遠くない内に、ともすれば明日にでも部屋を出て無限の迷宮へ探検に出てしまうかもしれないと推量すれば目の前に在るにもかかわらず途端に彼の命を遠く感じて。呆気なく終わりが訪れた時、果たして自身はどう感じるのだろう。何か出来たかもと悔いるのだろうか、そう考えれば俄に両手を動かし、手のひら同士を淡く上下に向かい合わせるようにしてその間の空間に黒と水色の混じった魔力の光を集約させてゆき――やがて何もなかった手中には彼の髪や瞳と同じ漆黒に鈍く輝くシンプルな意匠のネクタイピンが生成されて「 チウ、どうか君の冒険のお供に。いつか何かに襲われて君がその結末を不本意だと感じた時、一度だけ盾になってくれるはずだよ 」両掌に乗せたそれをテーブル越しに差し出す。いつでも傍に居ることは出来ないけれど、この形ならば。小さな物に込められる魔力量は決して多くはないけれど、無防備な丸腰の状態で彼を行かせるよりは万倍良い。無論強制的な贈り物ではないため此方から請う形を取りながら、受領も拒絶もどちらでもにこやかに受け入れるであろう揺らぎのない微笑にて彼を見つめて)
***
もう見つけてくれていたんだね、ありがとう。僕が否定的でなければ?……ふふ、チウが隣人達との冒険を望むのなら勿論快く送り出すよ。君はとっても素敵な子だからね、僕が独り占めしてたら彼らから顰蹙を買ってしまうでしょう?ふふ。
備忘録を見つけたい時は一声かけておくれ、何せあれはどんな場所にも存在するものだからね。資格ある人間が望んだ時に自ずと目の前に現れるものだよ。
日常イベントも活用の検討をありがとう。この時に君を襲うバケモノは僕達のような住人ではなく徘徊する理性のない獣に固定しているんだ。バケモノの姿形なら事前に打ち合わせしておけば変更可能だから、またその時に遠慮なく声を掛けておくれ。…ふふ、このお屋敷に相応しい花言葉だよ。いつか君が思い出しますように。
>お知らせ:2024/09/23~2024/09/28の間、私事都合によりお屋敷を空けます
>現在、ご新規様の募集を一時停止中です。お問い合わせは常時受け付けております[ 今夜の案内役:ラザロ ]
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>クォーヴ ( >>1513 )
( 自称怪物の死神は僕の最期を優しく祈った。贅沢な話だなと思う。この世界に来なければ得られようのない経験の一つだった。「心強いな」そう呟いてはにかみを向けると、彼がどこか歯切れ悪そうに目を伏せたことを感じ取って小さく首を傾ける。追求するレベルではないかと判断して「もちろん。薔薇庭園を散歩するのも赤い湖でボートを漕ぐのも、クォーヴとじゃなきゃ嫌だよ」と笑顔で返事をした。僕は庭園を歩く脚もボートを漕ぐ腕も失えない。捕食者たちの根城の中で、身の振り方はきちんと考えなくてはと改めて気が引き締まる思いがした。クォーヴには年齢よりずっと子供扱いされているような気がしている。僕自身幼いつもりは全くないが、頼りない振る舞いがそうさせているのであればもっとしっかりしなくてはと心の中で思った。彼がおもむろに両手を掲げたことに気づくと、一体何をしているのかと不思議そうな顔で見つめる。いっそ病的なほど白い手のひら同士。その中間で彼の瞳の黒とターコイズが絡み合って光を放つのを呆然と眺め、いかにもな魔法の力に息をのむ。その輝きはやがて小さくしぼんでいき、何かに生まれ変わって彼の手のひらに転がった。その物体とクォーヴの顔を交互に見る。彼の言葉からたっぷりの間をおいて「……僕に?いいの?」恐る恐る零すと美しい黒のネクタイピンをそっと慎重に受け取った。しっかりとした作りだが邪魔に感じるほどの重みはない。黒いからだに光が当たって白く跳ね返るのがとびきりきれいで、天の川みたいだなと思った。「ありがとう。大切にするよ、最期まで……」後ろの方は声が掠れて、正しく彼に届いたかわからない。ほとんどひとり言だったからそれでよかった。優しさだけが込められた贈り物。彼は盾としてこれをくれたようだけど、僕はひとかけらだって欠けさせくないと心の中で思った。クォーヴには内緒の話。惚れ惚れと眺めていたネクタイピンを胸ポケットの縁に刺す。「実は今朝、ネクタイを締めようか悩んで結局やめちゃったんだ。でも……これからは毎日締めることにするよ」そう言うと恥ずかしそうに笑った。あなたの心遣いが本当に嬉しかったから。 )
ありがとう。あなたが背中を押してくれるのはすごく心強いよ。たくさん知り合いができるといいな……
備忘録の件もバケモノの件も承知したよ。そういうことなら、いいタイミングが訪れたときに再度声をかけさせてもらうね。
さまざま答えてくれてありがとう。何もないようであれば返事は大丈夫。一生懸命生きてみせるから、これからもよろしくね。
>ジョネル( >1512)
( 溜め込んでしまった間を追及される事が無かったのは彼が前向きに捉えてくれたからか、それとも然程気にしていないのか。どちらにせよ追及が無い限りは此方から話題として挙げるつもりは無く。「 ふふ、少なからず僕はラッキーだったと思うよ 」 人ならざる者たちの糧として、そんな屋敷の中で過ごす上での大前提がありつつも、自分自身を見て心地良いと感じる程の愛情を注いでくれる対象に出会えた事は途轍も無い幸運に違い無く。先程までのタイムラグは何処へやら、整った顔に花を咲かせるように満面の笑みを浮かべて頷いて見せる姿は年相応の反応に見えるだろうか。任せておけとでも言うようにサムズアップをして見せる彼に安堵の表情を浮かべ「 ありがとう、助かるよ 」 彼の厚意に素直に甘えるのは、己だけであれば見ず知らずの相手に対してお願い事をするのにきっと時間をかけ過ぎてしまうであろう未来が見えているため。きっと退室するつもりだったのだろう立ち上がった彼を見送る為に半分程腰を持ち上げかけた時、唐突に投げられた質問に対してきょとんとした表情を浮かべるのはこの屋敷に来て以来 “ 怖い ” そんな感情を抱いた試しが無かったから。きっと彼が言うように並の人間であれば自信を喰らうかもしれない怪物に会うのは恐怖を抱くものなのだろうが、己としては喰われて命を落とす事より何より誰の記憶に残ることも無く消えてしまう事の方が怖い。右手の人差し指で指輪の縁を緩くなぞるようにしながら 「 ハイネが守ってくれてるからっていうのと、……あとは僕自身の心の問題かな 」 ゆるり口角を持ち上げて席から立ち上がった彼と視線を交え。他者と比べ貪欲な程の欲求を明確な言葉にする事を避け、これ以上は踏み込んでくれるなとでも言いたげな壁を築いてしまうのは自身の弱みとなる部分を見せる事を拒む性質によるもの。無意識のうちに作ってしまった壁に、僅かながら “ やってしまった ” とでもいうような顔をしてしまうのはこの屋敷での生活を送る中で幾らか気の緩みが生じていた為か。気を悪くしていないか、顔色を伺うために彼の顔をじいと見詰めて )
>秋天(>>1515)
ふふ…光栄だよ。見事な黒薔薇たちにチウを紹介するのも、ちょっぴりスリリングな湖上でのお茶会も楽しみだな。どっちを先に体験したい?
(獲物に恐れられ拒絶されて当然の捕食者達にとって、反対に彼らから存在を求められる事はどちらかといえば新鮮に捉えられる。引き攣った顔で来るなと逃げられる事も屡々ゆえにそう遠くない未来の約束と共に無垢な笑顔を向けられて悪い気がする筈もなく、この異界でしか見られないもの、出来ないことを限られた時間の中で許されるだけたくさん経験させてあげたいと感じて、彼に倣うように此方からも選択肢を添えて未来の話を切り出して。「 勿論。チウのために創ったものだから、受け取ってもらえたら嬉しいよ 」差し出されたとてすぐに手を出さない、矢張りこの子は様々な意味で賢いなと内心で感想を抱きながら少し微笑みを深めて。硝子細工のように繊細に扱ってくれる様子が微笑ましくて思わず“ ふふ、 ”と吐息だけの笑いを柔らかく落とし「 …うん。僕だと思って大切にしておくれ。そうして、それを見るたび僕を思い出して 」最期と、死神の地獄耳に届いた言葉。いつ訪れても可笑しくないその瞬間、眼前に立つ怪物が自分であろうとなかろうと一瞬で良いから思い出してもらえたら。そんなやや危うい願望を忍ばせ、胸ポケットにて輝くそれを見ながら「 無理はしなくていいんだよ、どこであっても身に着けてくれるだけで意味があるんだから 」正装を強いるためのアイテムではないため億劫だと思う時があるならばそれも是としてほしい、最期が近いのかもしれないのだから出来る限り彼にとって居心地良く過ごせる日々でありますようにと。少しの間を置いて“ そうだ、 ”と小さく切り出し「 チウの方は?あれから他に訊きたい事は見つかったかな 」話したいことを聞いてもらって渡したいものを受け取ってもらった、次は此方の番とばかりに穏やかな微笑のまま両肘をテーブルについて組んだ手に顎を乗せ傾聴するような姿勢を取って)
>グレン(>>1516)
君ならそう言うと思ったよ。楽しみだなあ、君たちの行く末
(記憶を奪われる体質ゆえこれまでどれだけの獲物と言葉を交わして来たのか定かではないけれど、少なくとも現時点での自分が覚えている範囲では此処へ攫われた事を幸運と捉えている人間はいなかったように思える。けれどそんな奇特も眼前の彼にはしっくり来る、よもや親しくしてきた隣人が素敵な香りのする記憶の製造工場の一端を担うことになるとは。どこかエンターテイメントとして捉えていると誤解を招きかねない言葉の裏に抱くのは彼らの間柄に無粋にも水を差そうとする者がもし居るのならば叱ってやろうだなんてお節介。先だっての問は大変概念的なものであるため回答に正解など存在しない、だからこそ彼がなぜそんなにも不安げな表情で見つめてくるのか分からないまま「 そっか、そっか。捕食者に守られる獲物…うーん、確かにそれは心強いや 」捕食者に食事として取り合われる獲物はまま居るけれど、堅牢に庇護されるというケースはそれに比較すると稀有に思える。自分が彼の立場だったならば大変剛強なアリアドネの糸を掴んだ心地になるだろうなと想像しては納得したようにうんうんと数度頷いて「 それじゃあね、グレン。クイーンへの招待状を忘れないように!あそこにある花なんかを一輪添えたら喜ぶかもよ 」目線だけで先日ダークエルフから贈られた花々を差し、黒煙のコートをちらちらと靡かせながら来た時と同じ軽やかな足取りにて扉へと向かう。ドアノブに手を掛けかけたところで「 ああぁ、それとっ 」思い出したように笑い混じりな声と共にくるっと振り返り「 腹持ちの良さそうな記憶だったよ。ごちそうさま 」あわよくばまた分けてね、普段ならちゃっかりとそう付け加えるところだがそうしなかったのは友人に配慮してのこと。今度こそ後ろ手に扉を開けば懐こい笑みのまま扉がしっかりと閉じきるその瞬間まで外側からひらひらと手を振り続けるだろう)
>グルース(>>1517)
ンふふ、如何にも。古来より桃ってえのぁ魔除けの果実とされていてね、霊験あらたかな仙人様が口にする神聖なものである事から仙果とも呼ばれておるのだよ
(得意げに、というよりかは優秀な生徒を前にしてついつい饒舌に講釈を垂れてしまう老師といった調子で言葉を綴って「 だから物語の鬼ぁ桃を嫌った。俺も…ンはは、俺を退治したけりゃぁ桃を持っておいで 」彼の眼前に座する底の知れない鬼にも効き目があるかどうかはお楽しみと茶目っ気を出すようにゆったりと片目だけを閉じて見せて。悪魔、その単語には好色の彼女と佞悪な兄弟の顔が浮かび、愉しそうにふっと笑いながら「 いつか本当にお前さんの部屋を悪魔が訪ねて来るかもしれんよ。そん時に俺の角とどう違うか確かめてみるといい 」この屋敷に存在するのは鬼や狐ばかりではないと、半ば冗談めかしながらも実在を匂わせて。末恐ろしいと素直に感じたのは攫われてきた初夜だというのに落ち着き払っているどころか鋭い洞察をすらすらと言語化されたから。しかしそれは獲物が知る必要のないこと、ゆえに「 だとすると浪漫があるねえ 」肯定も否定もしない、そんな曖昧な応答に留めて彼からの改まった呼び掛けに「 なんだい、 」と応えた後「 桃太郎はどうだったかな…しかしその原典とも言える文献は有った筈だよ。日本書紀といってね、小さな東の島国に纏わる神話集のようなものだ。しかし漢字で書かれているから…お前さんには向かないかもしれないねえ 」クッションを撫でくり回す手を止め記憶を辿るように一度目を閉じ首を傾げて。童話を読みたがる獲物などこれまで居たか居なかったか定かでないほど珍しく、しかしこんな書物まであるのかと驚いた事から記憶に残っている文献の存在を思い出して提示するも言語の問題から難しいかと僅かに眉間に溝を寄せて「 狐の方は…封神演義なんてのぁどうだい。これは訳されたものがあったはずだ 」九尾を題材にした伝承は威厳あるものから邪悪なものまで様々。そんな中から態々後者を選ぶのはちょっとした悪戯心か、レンズの奥でニタニタと笑いながら「 長ぁくて眠くなるだろうがね。時間はたっぷりあるだろう、所望ならば届けさせるよ 」この鶏群の一鶴たる少年が部屋から出て早死してしまうよりも、自室に閉じこもり本の虫になっておいてくれる方が気休め程度ながらも長生きできるだろうし自身にとってもその方が好都合。ゆえに代償も提示せず施しを打診するように口角を淡く上げて彼を見つめて)
>ジョネル( >1519 )
( 娯楽や余興の類と同等と捉えられていると常人であれば不快に感じる事もあるだろうか。それを笑って流せるのは、これまでの人生を商品として切り売りしていた経験ゆえの事か。どうやら無意識のうちに作り上げてしまった溝を彼は気にしていないらしい、それが分かれば安堵の息を細く吐き出し 「 その守ってくれてる捕食者も、今の所は僕のこと完全に喰い尽くしちゃう気は無さそうだから余計ね 」 先程の伺うような視線は何処へやら、茶目っ気をふんだんに含んだ物言いは冗談混じりにも聞こえるであろうか。今度こそ部屋を立ち去ろうとする彼を見送るためにその場で立ち上がり 「 今日はありがとう。うん、勿論だよ。ジョネルからもよろしく伝えておいてくれると嬉しいな 」 彼の視線を追いかけた先にある花を添える提案には “ ふふ ” と笑い声を溢すだけに留め。ゆるりとした口調で付け加えたお願いは叶えられなかったとしても特段気にする事は無いだろうが果たして。部屋を出ていく寸前、こちらを振り返る姿に不思議そうな表情と共に首を傾げるも、彼が指しているのは今夜の対価として提供した記憶のことだろうか。それがどんな物だったのか、思考を巡らせてみても皆目見当がつかないのはきっとそういうものなのだろう。口元を弓形になるように作り上げた笑みを浮かべて 「 お粗末様、また何か相談に乗って欲しい時は楽しみにしてて 」 差し出せるものは少ない身、ぽっかりと空いた寂しさを紛らわすかのように笑顔で覆い隠して。無論、あのダークエルフが頻繁にコレクションを蝕む事は許さないだろうけれど、なんて無粋な言葉は紡ぎ出す事はせずに。扉が閉まり切るまで手を振る姿を視界に捉え続け、カチャリ錠が掛かった音がすれば肩の力が抜ける。一人の空間になれば今迄であれば反省タイムそう称する時間が訪れていたはずだが、今は頭を悩ませる事が別にある。プレゼントはどういったデザインにしようか、自然と持ち上がる口角とは裏腹真剣な瞳で紙の上にペンを滑らせるだろう )
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こんばんは、今夜の引き際かなって事でお邪魔するよ。
ジョネルと僕はきっと深く交わる事が無ければ水と油かなって所感なんだけれど、僕としては裏表が無くてすごく過ごしやすかったな。
さて、次の舞台の話だけれど役者は引き続き僕、お相手はクイーン改めキルステンにお願いをしようかな。経過日数の目安としては、ジョネルに相談した夜から三日から四日程。カフスボタンの件での相談で呼び出すつもりにしているけれど、ジョネルから何か聞いているかそうで無いかの匙加減はお任せするよ。
問題が無ければ次の返事の時にお誘いの手紙を出させてもらうつもりにしているから、何かあれば伝えておいてくれると嬉しいな。
>ナザリ(>1520)
(甘い果実の知らぬ逸話に興味津々前のめりに相槌を打つ。それから悠々悪戯に放られた言葉へふっと相好を柔く崩して、「おや。…それなら君は、石榴を採っておいておくれ。」此方は緩やかに首を傾げての一声を。返した果実がギリシャであれローマであれ、或いは彼の国に根差すものであれ、相手がその意味をどう捉えるか余白を残す軽やかなジョークの後。彼の放ったその存在の示唆にほんの一瞬、緊張の舞い戻った口元が結ばれて、「…ああ、そうさせてもらうよ。」しかしそれは直ぐに溶け去って、穏やかで泰然とした答えだけを返す。――己の安堵の言葉の次、文献についての回答へじっと聞き入る。「そうかい、それは残念だね。」まず童話については色好い返事は貰えず、小さく唸る音を零して眉尻を垂らす。それから今度こそ己へ提げられた読み物の題名と共に、狡智そうな瞳と再び目が合う。そこにすっと細めた探るような沈黙の視線を数秒、だがやがては柔和な笑みに何れも其れも弛緩させ、「……そうだね。しなくてはならない事はもう失くなったからね。」ごく静かに、そんな言葉をゆったり紡いで肩を竦める。そのまま流れるように椅子の背凭れへと身体を預け、「是非ともお願いするよ、サー・ナザリ。この明けない永夜の供に会わせておくれ。」またにっこりと明朗な好奇心に眦を和ませて、恩沢の計らいに是を返す。「……本に耽るだなんて何時ぶりかな。」その尾っぽについて回った呟きに回想した、図書庫の鼠と化していた頃の記憶に視線をのんびり下方へ舞わせ、「…ふふ、楽しみだ。」打算も話術も何も無い、只々単純で純粋な嬉々を一人落っことす。)
>クォーヴ ( >>1518 )
( 黒薔薇たちをチウに、ではなく黒薔薇たちにチウを……と彼は言った。僅かな引っ掛かりを覚えたが後に続いた台詞の方がよほど聞き捨てならず「スリリングなの!?」と驚いたように声を上げ。どちらを先に選ぶか問われるとしばしの逡巡ののち「……薔薇園で!」とほぼ決まりきっていた答えを口にし困ったように笑った。
僕の言葉に予想外の返事をよこした死神に目を見開く。僕だと思って、見るたび僕を思い出して……そんな台詞言われたことがなくて面食らった。彼は僕が考えているよりも、支配とか征服とかそういうものを孕んだ所有欲の強い男なのかもしれないと密かに思う。考えすぎだとしても悪い気はしなかった。「無理をするわけじゃないよ、僕がそうしたいからそうしようってだけ。ネクタイを締めたりといたりするたびあなたを思い出すよ、きっと……」気恥ずかしそうに呟いて目を伏せる。クォーヴに言われなくたってそうなっていたはずだ。本当は真綿にくるんで大切に閉まっておきたいところだけど、そうされるための贈り物でないことはわかっている。そうだ、と切り出した彼に視線をやるとこちらも思い出したように口を開き「うん。このお屋敷って、薔薇庭園の他に畑とか温室とか……とにかく植物を育てるための場所って何かある?」と問いかけて。いくら外が危険といえど、いつ蹴破られるかもわからない部屋の中でただ死を待つだけの日々を送るつもりは毛頭ない。僕は陽が当たらないこの世界の植生に強い関心があったので、もし人為的に草花を育てている空間が複数存在するならぜひ見てまわりたいと思っていた。「すべての植物が魔法の力でしか育たないなら僕は役立たずだけど、そうじゃないなら多分……そこそこ良い働き手になれると思う」ガーデニング好きな母の影響で庭弄りは得意な方。元々アクティブな性質なのでタダ飯を食らって寝て起きる日々を平常心で続けられる自信もなく、食堂で働いていた使い魔たちのように労働力の一人として気を紛らわせられる場所があればと考えていた。そこで育つ草花をきっかけに横のつながりが広がるかもしれないというささやかな打算も込みのおねだり。「たまにでいいから土弄りがしたいんだ。難しい?」相も変わらず微笑みを称える男に懇願する。僕草むしりとか結構早いよ、なんてアピールポイントが口を出そうになったが、魔法で済ませたら一瞬か……と思ったので黙った。 )
>グレン(>>1521)
やあやあ、いつもながら回収さんきゅうね。ええ、水と油?そうかなあ、おれはあんましピンと来てないけど…いやでも君がそう思ったんだったら少なからずやりにくさがあったって事だね、ゴメン!ハイネからのお仕置きは甘んじて受けとくよ。
クイーンには、『グレンはハイネが雁字搦めに守りを固めるほどのお気に入りで、グレン自身それを喜んで受け入れている節がある事』、『グレンはハイネへのお返しとして手作りのカフスボタンを贈りたく、その手伝いをして欲しいと願っている事』、『おれがグレンから受け取った対価は記憶で、つまみ食いの際にハイネからの警告があった事』を伝えておくよ。
ああ、それと!クイーンに招待状を書く時は、具体的に何を手伝って欲しいのか明記する事をオススメするよ。心根は優しい女王様だけれど、あんまり気は長くないっぽいからさ。
>グルース(>>1522)
いんやあ、俺にぁ必要ない。
(ルーツを東方に持つからか、人肉の如く赤い果実から真っ先に連想されたのは鬼子母神に纏わる昔話。人里の子供を喰らう代わりとして釈迦より齎されたそれを用意せよとの言葉遊びの意図として鬼が想像したのは二つ。いずれも途中までは同じ、人間を喰らってしまわないように代替品の赤い果実をその手に――異なるのは捕食を拒むのが彼自身か、或いは彼と同じように屋敷に攫われた見ず知らずの人間か、というだけ。もし後者を指しているのならば博愛精神に恐れ入る所だ、しかしあれこれと答え合わせを迫らないのもやんごとなき者同士の作法というもの。それ以上は言及せずにただただゆったりと首を左右に振るに留め「 それか――異界の初夜の寝かしつけ…否ぁ記念に、おいさんが読み聞かせてやろうかね 」残念そうな表情も――否、だからこそ一等可愛らしい。遠縁の好々爺が孫を甘やかす時のようなのんびりとしながらも活き活きとした色を宿す声にてつい提案を示したのは彼の知識欲を満たすためには読書ではなく他者からの朗読でも事足りるのではと想像したから。「それぁどうかな、グルゥス。今夜からもお前さんには果たさなければならない事がある 」名を呼ぶ声はこれまでののらりくらりとした軽やかさではなく獣が喉に唸りを絡ませるような低いうねりを持って夜気を揺らす。いつか喰われるその時まで健康を保ち良質な食料として自らを律すること、そこまでを求めるつもりもないが自暴自棄になられては面白くないというのが心根。無論彼に限ってそうならないとは思っているが、こんなにも賢く気高い人だもの、使命を与えられればきっと真摯に向き合い果たそうとするだろうと期待を寄せてニッタリと含みのある微笑みを深め「 “次の食事”の時に届けさせるよう段取りしておこう。…ああ、もちろんお前さんのね 」やはり年相応な顔もあるのだと再認識して、ふと流し目に首を巡らせ自身の肩先に目を落とせばちょろちょろと這い上がってきた家守の使い魔に対して忘れない内にこしょこしょと言伝を。食事、獲物にとっては自身の命を揺らがしかねないキーワードの主役を親切心のつもりで補足してはまるで大蛇を思わせるような双眸でちろりと見遣り)
>秋天(>>1523)
大丈夫、僕が傍にいるからね。…ふふ、じゃあ次の夜は薔薇を愛でに行こう
(人間界とは様々なものが異なる夜の世界で紅く煌めく湖の水が人体にとって無害と考えるほうが難しい。しかし仔細の説明は湖上のピクニックの夜に話せばよい、先に彼と踏む地が薔薇庭園に決まったのなら今夜の目的の小さな一つを果たした事と同義。ゆえに次の夜の話題には自分からはこれ以上触れないつもりで、彼の真っ黒な瞳が瞠られた事にこちらも緩やかに首に角度を付け加え「 …何かおかしな事言ったかな? 」確信犯の類ではなく心底解らないといった表情で少し困ったように微笑して、しかし続いた彼の言葉には満足したようにふっと吐息を漏らして「 きっと似合うよ 」と眦を細めて。「 ……そういった場所は沢山あるよ。魔界の植物には危険なものもあるからあんまりお薦めは出来ないけれど…君たちの食事用に人間界の果実だけを育てる為の離れなんか良いかもしれないね。ただ少し遠いから、到底一人では行かせられないな 」しっかりと最後まで彼のお願いを聞き届けてから、少しの間を置いてまずは場所があるか否かの問への回答を。しかし彼も気付いている通り全ては魔法を行使できる使い魔の仕事として管理運営されており、そこに手作業しか適わないばかりかいつ喰われて居なくなるか定かではない働き手が乱入する事には屋敷側の立場からして二つ返事を返すわけにはいかなかった。しかし願いを無碍にする事に不慣れな死神は人差し指を第二関節で折り曲げそれを唇に添え暫しの間考え込み「 この部屋にプランターを置く…のだと、きっとチウのお願いは満たされないんだよね? 」真っ直ぐに向けた眼差しは決して彼の様子を下手から伺うのではなく、寧ろ対等な者同士として互いにとって納得出来る妥結点を探す真摯なそれだった。提示した案が最適解には思えるものの、部屋に嗜好品が増えただけで結局籠の中の鳥という状況に変化を齎すことは出来ない。彼にとっての優先順位が土いじりよりもこの個室の外に繋がりを求める事なのであれば別の策が必要で、だからこそ真剣に彼の願いの核がどこにあるかを探ろうとしつつも威圧感を与えないよう柔らかな声音を保ち)
>お知らせ:執事長多忙につき、しばらく亀レス気味となる事が予想されます
>現在、ご新規様の募集を一時停止中です。お問い合わせは常時受け付けております[ 今夜の案内役:ラザロ ]
>クォーヴ ( >>1526 )
( 次の夜、とクォーヴは言った。恐らくもっと先のことになるだろうと想像していたため、楽しみがぐっと近付いたような気がして頬が緩む。正しく次の夜でなくたってよかった。彼も楽しみにしてくれているのだということが何より嬉しかったから。「楽しみだなあ。そうだ、カメラとか……写真機の類ってあったりする?」まだ見ぬ異界の薔薇園を想像し、ふと思い付いたようにそう尋ねて。人に見せて評価してもらっていたわけではないので客観的な上手い下手はわかりかねるが、写真を撮るのは好きだった。もしカメラやそれに準じる何かを貸してもらえるならぜひ薔薇園を記録に残したいと考え、ねだるような目で彼を見て。吐息を漏らすように笑ったのを見ると一気にくすぐったい心地になって、恥ずかしそうにうつむくとそれ以上何も言わなかった。
到底一人では行かせられない……正直、予想できた答えではある。食堂ですら付き添いがいるのだ、本来客人とは無縁であろう場所に人間一人で行けるようになっているはずもない。予想はできたが残念であることには変わりなく、肩を落とすと「やっぱりそっかあ」と眉を下げ。クォーヴが何かを考え始めたことに気がつくと黙って次の言葉を待ち、期待にそわそわと指先を合わせる。本当に優しい死神だ。この屋敷ではじめに出会えた住人が彼でよかったと、もう何度思ったかわからない。「……ううん、嬉しい!」外出をきっかけに横の繋がりが広がるかもしれないという別の意図を持っていたことも真実だが、それでも本心からの言葉だった。たしかにここは広さの割に殺風景で、この部屋に物を持ち込んで何かをする、という発想がなかった自分にとってクォーヴの提案は素直に喜ばしいもので。部屋を出るたび誰かを付き合わせるのは気が引けるし、この部屋で植物を育てられるならそれで充分だと心から思えた。生き死にの手綱を握られている家畜の分際で。贅沢をさせてもらっているなと頭の隅で考える。「色々考えてくれてありがとう。余分なプランターをわけてもらえたら嬉しいな」そう呟くとまた笑った。 )
>ナザリ(>1525)
おや、そうかい。
(言葉の戯れ、その最後にはふっと柔い笑みだけを括る。言語の壁へ取り零したかと思った童話がまた拾われた提案に、「それは……」一瞬躊躇で言葉を濁したのは、“寝かしつけ”なんて幼子相手のような単語の所為。その気恥ずかしさと好奇心との葛藤は、眉を垂らしたまま自らの膝元と彼を行き来する目線と、人差し指の背を当てた唇から洩れる微かな吐息がよくよく顕して。「……うん。そうだね……もう読み聞かせで眠る歳ではないけれど、微睡むまで異国の話へ耳を傾ける夜も、偶には良いかもしれないね。」悩む事たっぷり十秒程、此度の天秤は好奇が優勢に傾いた模様。消しきれない羞恥が言葉を些か遠回しに飾り付けはすれど、微笑む視線はきちりと依頼する相手である彼へと向ける。――今初めて己が名を象ったその声は、それまでの捕らえ所が見えぬ春風のような音ではない。暗澹が立ち籠めて肌を微かに痺れさせるそれに、「……“御役目”の話かい?であれば、問題は何も無いよ。」椅子に預けた身体を再度正して、すっと細めた瞳に毅然を湛えて彼を見据える。「僕は何時であれ立場を弁えぬ振る舞いはしない、己の在り方を違える事もしない。…僕は僕のまま、最期の一刻まで翔んでみせるとも。」凛と静かに、しかし堂々朗々と。どれ程常軌を逸した場所に拐われども、限り無く弱く儚い立場へ落とされようとも――果たすべき務めを放棄せず、成したい信念をも通す、その確固たる不変の意志を。「僕が授かったこの名と――あの異界の月に誓ってね。」張った胸にそっと掌を当て、誰もが初めに自己の寄す処とするそれと、いつ何処までも己を見詰めるだろう常夜の光へ誓言したその後。不意にくすりと表情を弛めてみせて、「……それとも。他に何か必要な心構えがあるのかい、サー・ナザリ?」ゆるり傾げた首と共にそんな問い掛けをする声は一転軽やかに、優雅なウィンクも一つ添えて緊迫を断つ悪戯を投げる。――“食事”。意識を僅かに和らげた所へ訪れた一言に下げた視界はまた彼へ。目が搗ち合ったその刹那、心臓から爪の先までざわめき立つ何かに囚われて息を詰まらせた一瞬の次、「……有り難いね。食事の時が待ち遠しくなる言葉だ。」それでも泰然を保ち微笑んだ面持ちと、悠然を崩さぬ物言いを返す。――今目を逸らせば丸飲みにされる小鳥のような萎縮の心地。けれどもだからこそ、怯え臆する本能は震えを握る拳に押さえ伏せて、その大蛇の瞳から逃げず真っ直ぐ視線を交わす。)
>ジョネル( >1524 )
いやいや、君が謝ることは無いから安心して。なんて言ったら良いんだろうな……多分だけれど、お互いに言えない部分があるから…って言ったら良いのかな?きっと深くまで付き合える間柄だったらきっと凄く気が楽なんだろうな、なんてね。
兎も角、ジョネルと話す時間が僕の中でも楽しかった事に変わりが無いから、また気が向いたら話し相手になってやってよ。
ふふ、女王様への伝言もありがとう。アドバイスを受けて手紙を出してみたけれど、もしもう少し言葉を付け加えた方がいいとか何かあれば教えてくれると嬉しいな。
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>キルステン
( 先日の死神へと相談をした夜から幾夜程経ったであろうか。屑籠の中にはその際に名前が挙がった “ 女王様 ” へと手伝いを乞う為の手紙の書き損じが幾つも丸められた状態で放り込まれており、文面で頭を悩ませた事が見て取れるはず。結局書き上げた手紙には 『 ハイネへの贈り物としてカフスボタンを贈りたいから手を貸して欲しいから、手の空いている時にでも僕の部屋に来てくれないか 』 なんて要件のみの簡素なもの。無論筆記体や文面で誰からものもか分からない、なんて事を避けるためにも自身の名を添えるのは忘れずに。机に向かい合う椅子から立ち上がり向かうのは窓辺に置いた鉢の元。日が経っても最低限の手入れだけで綺麗に咲き誇っているのは鉢に植えられている事だけで無く、少なからず不思議な力も作用しているのだろうか。弓形に口角を持ち上げそれらを見詰め、一際密集している部分に咲く一輪へと手を伸ばし 「 ごめんね、俺に力貸して欲しいんだ 」 半ば独り言のように溢したのは手折る花への謝罪。他の茎に傷が付かないように茎を折り、その一輪は書き上げた手紙と共に丁度窓の外へと見えた誰の使い魔かは分からぬ蝙蝠へと 「 これ、キルステンのところへお願いしてもいいかな? 」 人当たりのいい笑みを浮かべて託し。お次は、とばかりに探るのはハイネから貰った服が仕舞われているクローゼット。先日の死神はハイネの友人という肩書きがあった為に少なからず警戒心を解いていた節があるも、今宵手紙を出した相手は全く知らぬ人物。どれだけ見栄を張ったとて構わないだろうと向かい合うのはハイネから貰った服が仕舞われているクローゼット。暫しの睨めっこの後、濃いグレーのセットアップに身を包み、何も持たない自身の唯一の武器とも言える顔がよく見えるよう少し伸びた髪の左サイドをヘアピンで留めて。準備は万端とばかりに満足気な息を吐き出し、来客が来るまでの時間はゆったりと過ごすつもりで )
>秋天(>>1528)
(次いで強請られた品はよもや今まで考え付きもしなかったもの。永久に陽光へ晒されないこの地に日傘が不要なのと同じ、ただ繰り返される聖餐と夥しい数の死に塗れた刹那の営みを連綿と織り紡いでゆくだけの屋敷には記録を残すための特別な媒体はまさに夏炉冬扇そのもの。穏やかな微笑を答えあぐねたような力ない色に染めてから浅く左右にかぶりを振って、しかし投げられた要求を否決の網で叩き落とすだけではなく代替案を柔らかい調子で返そうと「 とびきりの一輪を選んで写生大会…というのはどう?チウがどんな絵を描くか見てみたいな 」それが苦し紛れの提案でないことは、心底楽しそうに柔らかに微笑む様相から感じ取れるだろうか。思い出を増やすことが即ち美食の仕込みとなる死神は、全く悪意なく彼に楽しい時間を過ごして欲しいと考えを巡らせ「 それで帰りにプランターを見に行こう。花は株分けしようか?それとも種から育てたいかな、 」死んでしまうまで同じ部屋で寄り添うのだから、ただの余り物ではなく気に入った鉢を選ぶ方がいいだろう。ならそれを彩る花もできるだけ彼の意向に添えるようにと、視線を斜め上に向け楽しそうに思案を肉声に乗せて)
>グルース(>>1529)
あゝそれがいい。おいで、子どもはたっぷり寝にゃならん
(うきうきと弾んだ声音に対して、老体に鞭打つようにゆっくりと立ち上がる仕草は平素のものかそれともこの先に油断を誘うための撒餌か。そんな歳ではないと言う彼を臆面もなく子供扱いするのは当然悪意あっての事ではなく、重厚な着物の衣擦れと共にベッドの縁へと腰掛けて彼を誘うようにシーツをトントンと叩き。「 俺ぁね、グルース…。お前さんに会えた最初の怪物になれて光栄だよ 」攫われたその夜に異界へ宣誓した彼の気高さと、時折見せる幼さゆえの揺らぎに惹かれる怪物はきっと多いだろう。人食いばかりのこの屋敷で長生きすることはそれだけたくさんの怪物に愛でられたという事だが、短命に終わってもそれだけ熱烈に糧として求められたという事。願わくば彼の行く末をできる限り長くたっぷりと楽しみたいものだ、そんな風に心ときめくのはやはり彼の誇り高い眼差しと裏腹に震えを握り殺す人間の本能の絶妙なバランスが愛らしくて堪らないと感じるから。もし彼がベッドへと来てくれたのなら、シーツ越しに彼の腹へと手のひらを添えとん、とんと緩やかなリズムで柔く叩きながら「 むかあしむかし、あるところに―― 」静かで間延びした調子で話し始めるのは諳んじられるほどポピュラーな物語である桃太郎の最初の一節。吉祥の鳥を冠する彼がどこまで高く、長く翔べるのか――彼の物語もこの夜から始まるのだろう)
>グレン(>>1530)
(珍しい男に声を掛けられた時から尋常でない事態の予感は耳元のすぐ近くで囁いていた。ヒトは糧として喰らうべきものであり、飼い殺しにすべきものではないと考えている女王の目にはダークエルフの道楽は好ましいものに映る事はなかったけれど、シナモン色の死神から聞いた話によれば一概に彼らの関係を糾弾することも出来ず「 …で、そいつの声はどうなの 」伺った問は捕食者として最優先に興味の対象に挙がるもの。しかしその答えには件の獲物の主たる怪物による警告について言及され、呆れて物が言えないといった風情で肩を竦めるに留めたのだった。数日後、熱帯魚――具体的にはベタに似た姿をした自らの眷属ではない羽持ちの使い魔に呼び止められ、差し出された手紙に一瞬怪訝な顔をするも添えられた花から漂うダークエルフの魔力の残滓に心当たりが呼び覚まされて。手紙と花はそのまま使い魔に預け、彼の部屋の前に仁王立ちになれば高く鋭いノックを三度。もし彼が“鍵”を行使し扉が開いたのなら、悪趣味なそれに目玉を時計回りにくるりと一回転させ短く溜息を吐くだろう。そうしてピンと伸びた背筋と隙のない立居振舞からさながら女王のような示威を凪がせた強気な笑みにて彼のかんばせを見つめ「 代価も示さず一方的にオネダリなんて、ナメた真似してくれンじゃない。ねえ、ハンサムな坊や? 」成る程文句無しの美丈夫だわと素直に認め、組んでいた腕を解き自らの髪の毛先を手の甲にてさらりと弾き「 勿体ないわ。あの気の利いた花の一輪がなけりゃアンタを水責めにしてやる免罪符が手に入ったのに 」はぁっとこれ見よがしな嘆息を吐くことで冗談味を醸しながら、ビリジアンのギラギラしたネイルに彩られた食指を彼の眉間すれすれに伸ばし「 アタシはビビリは嫌いよ、特にビビリなオトコ。分かったら今すぐこのキルステンをエスコートなさい 」誰とは言わないが大変臆病な幽霊の姿が一瞬脳裏に去来したのは自分だけだろうか。しかし当然彼を話題に出すことはしない、刺々しい態度ながら悪人ではない人魚は今宵この人間に時間を使うと決めたのだから)
>ナザリ(>1532)
(この短い間だけで幾度、年相応以上に童らしい扱いを受けただろうか。蔑視でも嘲弄でもないと理解していたとて、やはりそれを受け取る手はどうも余してしまう。頼み込んだ口にまた指を当て、ぱちりと泳ぐ目を瞬かせる一秒足らずの逡巡の後、招く仕草に応じて徐と立ち上がれば彼の居るベッドへと己も足を踏み出す。「ふふ、そうかい。…それなら、僕も恐悦の至りだね。」軽やかに弛めたとしても品を崩さぬ桔梗の如き笑みの下、彼の言葉に此方も心からの喜びを示してみせる。――元の世界でもいつもそうしたように、コート類を脱いで畳み、その上へ外した装飾品達を添えて。慣れた所作でそれらを枕元へと置いて簡易の寝仕度を整え、己の屋敷と遜色無いベッドへ身体を横たえる。……人を喰らう者を前にあまりに無防備なその体勢故、話の始めにはほんの僅か強張りを窺わせて。しかし物語を綴る長閑な低音、ゆったりと身に伝わる柔い振動に段々とそれは解け、主人公が冒険へと旅立つ頃には傾聴にばかり心が向く。お伽噺の頁が捲られる毎、端から少しずつ思考の糸も綻んでいき――やがて“めでたし”で話が閉じられる頃には微睡みにすっかり揺蕩い、瞼はその重さに従順と瞑られる。「……おやすみなさい、」殆ど機能していない頭から、それでも言葉を交わした彼へ告げる挨拶は、意識の揺れから年齢よりもずっと幼いもので、それを最後に夢の内へと緩やかに沈んでいく。――まだ羽根も万全と揃わぬ一鶴の飛翔。その懸命と羽撃いた先、どんな結末へと進むか今は知れぬ物語の序章は、久方ぶりの穏やかな寝息を締め括りと筆を休める。)
***
――この辺りが一つの区切りかな。うん、幾ら動揺していたとはいえ、初めはあんな不躾にお堅い態度を取ってしまってすまないね。…でも、初夜が終わる頃にはすっかり緊張が解してもらえたのだから、本当に君は会話上手だね。
それで、そう…次について話さなくてはね。前に言った通り、もう一夜続けて僕がお話を綴らせてもらうのだけれど……ご指名したい怪物様がまだ絞りきれていなくてね。良ければ少し相談に乗ってもらえると嬉しいな。
先ず気になっているのは、僕がこれから読む書の主演であるサー・ギンハ。それから会話に少し登場した悪魔の方々…このお三方の内からであれば、僕と同じ“兄”という立場にあるサー・レンブラントとお顔合わせを願いたい。あとは、そうだね……話に挙がった以外であれば、サー・レオニダスにも少々興味を惹かれている。
……手を煩わせてしまって申し訳無いね。何せ僕、気の多い性分だから、何方も魅力的に見えて仕方が無くて……ふふ。それで、どうかな。僕が挙げた怪物様方、またはそれ以外のまだ見えぬ誰かの中で、僕とお話をしてくれる者は居るかい?
>キルステン( >1533 )
( 短く、けれどもしっかりと届くノック音が鼓膜を揺さぶったのは丁度身支度を終え、仕上げとばかりに鏡に写る姿へと緩く口角を持ち上げて確認をしていた頃合い。扉の外にいる人物はきっと先程手紙を出した相手だろう、なんて推測はこの屋敷の中で危険な目に合う事無くダークエルフに守護されているが故の危機感の無さが故の思考か 「 僕はハイネのものだよ 」 名を尋ねる事もせずに、部屋の内外を隔てる戸の鍵を口にしてから扉を押し開け 「 ──初めまして、僕はグレン。キミはキルステンでいいのかな?」 彼の姿を視界に捉えてから僅かに生まれた間は、先日のフレンドリーな死神との対話で出てきた情報から想像していたよりも上背があった為。自身と然程変わらぬ高さにあるビリジアンの瞳と真正面から視線を合わせて 「 残念ながら僕が持っている物が少ないからね。それに、対価なら選んでもらう方が良いでしょ?」 気後れするの無い返答は今迄接してきた人間や役柄が所以の引き出しの多さから。花の提案をしてくれた死神に心のうちで感謝を述べつつも、それを外に出す事はせずに彼の嘆息とは反対に笑い声を短く溢すだけに留めて 「 ふふ、勿論だよ。女王様 」 彼の言葉で一瞬脳裏を過ったのは言葉を交わした事のある人間嫌いの幽霊の姿。確かに彼は怖がりそうだ、なんて内心納得しつつ、眉間の間際へと突き付けられている方の手を取り手の甲へと軽く口付けてから室内へとエスコートを 「 嗚呼、そうだ。僕の部屋、ハイネの魔力が色濃いみたいだから居心地が悪かったらごめんね 」 ふと思い出したのは部屋を訪れた事のある人ならざる者たちに必ず言われる事。だからと言って一度取った手を離す事無く室内へと導くのは日々ダークエルフと接する中で中途半端に身に付き始めた自信と神経の図太さゆえ。そのままソファの元へと辿り着けば座る上座側へと座るように促し、座るのを見届けてから己は対面する位置へと座して。これでお茶菓子などがあればもてなしとしては上々なのだろうが、こういった時に限って日常生活を送る上で必要以上のお願い事を聞いてくれそうな蝶の使い魔は不在 「 何もなくてごめんね 」 へにゃり眉尻を下げ、相手の方へと視線を向け )
>グルース(>>1534)
いやぁ楽しかったよ、ありがとうグルース。お前さんが謝る必要なんざどこにもないさ、人食いのうろつく屋敷で警戒するのぁ当たり前だからねえ。
お前さんはギンハの好物に当てはまるか微妙な線だが、だからこそあいつぁお前さんに興味を持つだろうねえ。しかし誉め言葉に滅法弱い単純な奴さ、例えお前さんが好物に該当しようが易々と喰ってしまおうたぁしなさそうだ。お前さん、相手を褒め殺しにするのが大層お上手だからねえ…ンふふ。
レンブラントは気紛れに新入りの部屋を訪れるだろうが、お前さんが罠に嵌らない賢い子だと分かればギンハ程は関心を抱かないかもしれないねえ。しかし会話の中でお前さんが弟や妹を心から大事にしていると知れば余興とばかりにそれをネタに揺さぶろうとするやもしれん。気をつけなきゃぁならんよ。
あの獅子頭は…そうだねえ、きっとお前さんを捕食してしまうつもりで来るだろうね。拗らせた奴だから甘言にもなかなか蕩けないだろうが、品のあるお前さんの態度は好ましく思うはずだよ。つまり、奴にとっちゃぁお前さんは涎が出るほど旨そうな獲物だということだ。
まとめりゃあ誰を選んでも愉しい夜が待っていそうだということだね。これで次にお前さんに会える俺の次に幸運な怪物を選べそうかい、何かありゃぁ遠慮なく言うんだよ。
>グレン(>>1535)
(やはり予想もつかなかったのはその解錠の文言。うげろ、とそっぽを向いて舌を出したのは心底ダークエルフの趣味嗜好が理解に遠いためで、それを強いられているお気に入りの彼には不快感などではなく気の毒だわといった類の憐憫を覚える。が、死神の話から彼も満更でもなさそうだと事前に聞いていたために自らの所感を押し付ける気はなく内側から扉が開かれる前には勝気な笑みへと表情の修正は済ませていて「 そう言う割には他のコと比べてスペシャルなものを沢山持った坊やに見えるけど。イイじゃない、手札の多いヤツは好きよ 」逃げることもたじろぐこともせず交わった視線にニヤリと口角を持ち上げる所作には彼への好感が滲んでいるだろうか。ともすれば凶器と成り得る鋭い爪も意に介した様子のない彼の動きを観察しながらされるがままに、手の甲へ触れた仄かに温かく柔らかい感触に肩を竦め「 そこにキスする意味、解ってやってんだったら大したモンだわ 」引かれるがまま立ち入った部屋は彼の言葉通り濃厚な一つの魔力に支配された空間で、ゆっくりと見回せばそこかしこに隣人の痕跡が見て取れ思わず〝 アハ! 〟とカラッとした笑いを短く零し「 胸焼けする部屋だこと 」やれやれといった風情で軽く笑いながら限りなく独り言に近い感想を落として、ソファーへとやや浅めに腰掛けては長い足を組んで。それは図らずもダークエルフが足を組む所作に似ていたが、彼のように高飛車な威圧感ではなく今から会談に臨む敏腕な経営者のようなインテリジェンスを纏った雰囲気にてじっと獲物の顔を見つめ「 結構。お茶の一つもままならないなんて、アンタ達はホント不便ね 」この屋敷で最も弱い立場にある人間に対してもてなしなど期待していたわけもなく、当然責める素振りも見せず高らかにフィンガースナップを鳴らして自身の使い魔たるベタを呼び寄せ「 何か冷たくてさっぱりする飲み物を頂戴。アンタは? 」まるでパノプティコンを反対にしたようなこの部屋では味の濃い熱々の飲料を口にする気は起きないまま、彼を横目で見遣りながら注文を促して。使い魔が準備に戻ったのなら組んだ足の膝上を組み上げた両方の手のひらで包むようにして「 ――それで。ハイネに何をあげたいって? 」死神と違って代価の話を挙げないのはそれが無粋と思っているから。ゆえに端的に話題の進行を求めるようにどこか朗らかさを着た声を紡いで)
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>ナザリ(>1536)
丁寧な回答有り難う、サー・ナザリ。褒め殺しだなんて……ふふ、僕は思った通りの事しか言わないよ。きっと狐の方や獅子の方が来る夜にもね。それから……そう。サー・レオニダスにはそんなにも魅力的なものとして僕が映るのだね。光栄と随喜に咽んでしまいそうだけれど、それはまた次の機会に。…うん、今回はサー・レンブラントにお相手を願おうかな。やっぱり自分の知っている怪物様にもお会いしてみたいからね。
僕は“家族”を引き合いに出されてしまうとどうにも脆いから、もしそうなれば揺さぶりに狼狽する醜態を見せる事にはなるかもしれないけれど……ふふ、又と無い希少な語らいの対価さ。その時は甘んじて受け入れるよ。
……相談はこんな所かな。本当は君ともまだ話していたいのだけれど、あまり君を独り占めしていてもいけないからね。一先ず君とのやり取りの後、目覚めてからの事も少しばかり綴らせてもらったから、そちらのお好きな頃合いにどうぞ、と彼の方に伝えておいておくれ。
それでは、サー・ナザリ。いつか再び、縁が触れ合えた夜に。
***
(――夢を見た。きっとそう、何もかも理想通りの叶わぬ夢を。瞼を開いて直ぐ、ぼんやりと靄の掛かる思考にそんな確信めいた一文が浮かんだのは、目覚めたその時に胸の内が仄かに軽い心地がしたから。「……もう少し、眠っていたかったな…」呼吸を一周する間に、するり記憶の網を抜けて霧散していったそれを惜しみながらも、身体を起こしてベッドを潔く去る。元の世界の頃と同じように彼是と朝の仕度を手際良く済ませていくその仕上げ、姿見の前で絡まり易い癖髪を丁寧に梳き、それを纏めようとリボンを手にする。――“お兄様の為に選んだの”。昨年の晩秋、誕生日に弟妹達が渡してくれた贈り物。掌から溢れる大振りなそれを暫し眺めた静寂の後、徐にその滑らかな表面へとキスを添えて、「……元気でいてね。」いつもであれば己の自室に我先と雪崩れ込むきょうだいへ施す毎朝の祝福を、いつもとほんの少し変えた別れの文言で、揺れる眼差しも合わせて。それから一つ短い息を吐いたのを切り替えに鏡の己と向き合い、手慣れた所作で刺繍の柄が上向きになるよう髪を結う。最後に服装の綻びを確かめ、振り返った先のテーブルへ何時とは無しに用意された食事に瞬いて、続けて眉を下げる。――其処にあるのは過不足無い一人分の食事であり、特別これといった食材の好き嫌いや身体の過剰反応等も己には在らず。しかし、「ううん…食べきれると、良いな……」人より浅い腑の容量だけは別問題。傾げた首と共に惑う小さな唸りは、一人きりの室内に溶けていく。今ばかりは食するものへと意識を置いて。席へと着き、もう一度その量と細めた瞳で見詰めあった後に意を決したようにカトラリーを取り、ゆっくりと食事を始める。――その視界から外れている机の上、昨夜鬼の彼に頼んだ本が予想以上の山を成す状況にもたじろぐ程驚く事にはなるが、それはまた後々。)
>グルース(>>1539)
(安定して上質な命が取り込まれるこの屋敷では、自然界の猛獣達のように明日の糧を賭けて必死に獲物を取り合う必要など皆無。しかし獲物に対する好みが一致した怪物間では往々にしてそういった事態は起こり得る事であり、特に悪魔兄弟はその争いをこの理不尽で無慈悲な屋敷の中に見出した愉しい遊戯だと捉えている。つい先日までも同様のゲームに興じていたが、連敗を喫したからだろうか弟はすっかり臍を曲げてしまい兄からの次ラウンドの誘いも突っ撥ねる始末。微笑ましいような呆れてしまうような、或いはそのどちらも胸中に提げて一人訪れたのはまさに悪魔兄弟の〝次のターゲット〟となるやもしれない彼の部屋。適度な間を空けた穏やかな調子のノックの後「 今晩わァ 」とフランクながらも軽薄さはない落ち着いた調子で挨拶を。そのまま続けて「 君、最近入ったばっかりの子やろ?なんや困っとう事あらへんかな思て来てみたんやけど… 」さて、扉の向こうの雛鳥はもう追従するべき怪物に邂逅した後だろうか。鬼に先を越されたと勘付くのはもう少し先の話だろうが、やはりこの瞬間には期待や野心の入り混じった独特の高揚感を禁じ得ない。しかしそんな手前勝手な楽しみはおくびにも出さず、あくまで今夜は彼を害するつもりはないと明朗に意思表示をして「 俺なあ、悪魔のレンブラントゆうねん。怖かったらココ開けんでもええから、名前だけでも教えてくれへんやろか 」種族と名を明かすのも疚しい事などないと示すため。悪魔などと剣呑な単語は人間相手に警戒心を煽る可能性が高いことは重々承知で、だからこそ自らの立ち居振る舞い次第でゲイン効果も期待できるというもの。両脚の踵同士をぴったりとくっつけて爪先を10度ほど開き、そこから片足を柔く引いて背筋を伸ばし紳士的な佇まいを崩さないまま、長い爪に彩られた指先を胸の前で淡く絡めるようにして反応を待とう)
>レンブラント(>1540)
(すっと伸ばした姿勢で椅子に座して向かい合うは、与えられた本の一冊目。新たな冒険へと旅立つ心地で頁を捲り文字を追う、その表情は誰知れず少年らしく好奇の輝きを以て仄かに弛んでいる。――暫しして。ふいと集中を切らして顔を上げ、近場に置かれたメモ用紙を一枚ダイヤの形へ折って栞とし、それを挟んで表紙を閉じた丁度に響いたノック音。「……おや、どちら様かな。」直後の挨拶は随分落ち着いた、しかし知らぬ声と訛り。椅子を発って落とした独り言に答えるようなタイミングで上げられた名乗りに、思わず足を止めてまだ遠い扉を見つめる。……驚きに声を零さずに済んだのは、鬼からその存在を仄めかされて構えを備えられていた事が一つ。それから、「……レンブラント?」何処かで聞いた画家と同じ名に気を取られた事が二つ目の理由。それは美術館だったか、それとも王宮の収集品か――一瞬ばかり思考を馳せて、だが直ぐに目の前の声の主へとそれを戻す。「ああ、お気遣い有り難う。」反応の遅れた声は些か緊張の固さを持ちながらも、配慮に対する丁寧な礼を。「でも、大丈夫さ。…今其処を開けるから、少々待っていておくれ。」そこに続けて和らぎが意識された音を彼へ届け、その害意の見えぬ文言を一先ず信じて半端になっていた歩を再度進める。十秒足らずと着いた扉をゆっくりと開いた先、最初に視界に入ったのは初夜の彼より幾分か馴染み深い装い、それに長い爪を持つ青白い手。視界を上げれば鋭い琥珀の瞳、さらり滑らかな紫の髪、そして――その髪から生える黒い角。更に翼に尾と、誰もが想像する“それ”の特徴を持ち得る彼へ、微かに顎を引く警戒の態度を取ってしまったのは無意識の事。「今晩は。そしてようこそ、明け星の御遣いたる方。僕はグルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン。君の好きに呼んでおくれ。」“悪魔”の項を聖書と絡めた己の言葉へ変換し、此方も胸元へ手を添え求められていた名の全容と共に会釈を。「…さて、うん。困り事という程ではないけれど、君のご厚意に少しばかり甘えてもいいかい?」起こした視線で琥珀の瞳を凛と油断無く見据えて、しかし声音も微笑みも悠然と柔らかなものを保ち、先の扉越しの言葉を引用した確認を一度問うた後、「今の僕は丁度、一人の静謐よりも、誰かの響きと寄り添いたい気分でね。……だから、君が来てくれた事がとても喜ばしいよ。」ふっと笑う小さな吐息と共に告げた用向きは態々訪ねた彼の面を立てる建前――それと、この胸へ澱み始めている寂寥の本音が一匙。「中へどうぞ、サー・レンブラント。大したお持て成しは叶わないけれど、どうか寛いでいっておくれ。」瞳を揺らしかけたそれを瞬きの内に伏して足を退き、扉を押さえたまま室内を掌で差して彼を招く。)
>グルース(>>1541)
――もうちょい大きい子ぉかな思たけど。しっかりしてるなあ
(扉の向こうからの応答ひとつひとつに違和感を覚えるほど落ち着いた態度にはどこか上品な余裕さえ感じられる。新入りと数えられる類の存在であるには違いない筈なのに、少なくとも未だ謁見の叶わぬ声だけの印象ではもう何ヵ月もこの屋敷で暮らしているのかと錯覚し兼ねない。開いた扉、彼が顎を引くのとはまた別の意味合いでこちらも思ったより低い位置にあったペリドットの双眸を見つめるために顎を引いて心底感心したような調子で素直な感想を。「 生憎、仕える主人はおらへんのよ。君みたいな可愛らし子ぉのワガママ叶えるンは大歓迎やけどなあ 」口角はずっと上げたまま、洒落た彼の言葉へ返すように夢とも現ともつかない悪魔らしい誘い文句を。そして縷々紡がれた流麗な響きの名には白く柔らかな翼のはためきを感じるような心地で「 綺麗な音ばっかしでどないして呼ばしてもらおか悩んでまうなあ。君の一族はみんな翼持っとるん? 」華美な服装、洗練された佇まい、年齢の割に丁寧な話言葉、決め手はやんごとなき身分を証明するカメオ。正統な血脈を受け継ぐ者たちはその名に一貫性を持つ事も多い、そんな慣習を知っていた悪魔は世間話のような調子でひたひたと彼のプロファイルに忍び寄ろうと試みて「 悪魔招き入れた上に寛いでぇ、て。君、ホンマ大したモンやわ 」いくら害意はないと表明されたとはいえ相手は見るからに得体の知れない怪物。襲われてしまえば一貫の終わりだろうにそれを気にする素振りも見せないのは、彼が穢れを知らぬ高貴な性善説の中で大切に育まれたからなのだろうかと推察を巡らせながら扉を押さえてくれている彼の肩をトンと労うように叩いて「 おおきに 」と告げ、最初に目に入ったのはデフォルトで備え付けられていないであろう大量の書籍と、そこから仄かに立ち上る鬼の残り香に目を細め「 読書の邪魔してもうたかな、堪忍 」気にする素振りはなくそう告げて、窓枠へと歩み寄ってはガラス越しに月を見上げ「 ずっと夜なんはもう慣れた? 」肩越しに彼へと振り返り変わらず口角は緩やかに上げたまま問い掛けて)
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●グレン × キルステン ⇒ 【 >>1537 】
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>レンブラント(>1542)
おや、それは失礼。…ふふ、君の賛辞と照らせる我が儘を探すのは大変そうだ。
(彼の感想を和ませた瞳で受け取った後、誘う言葉はジョークにて柔らかに躱す。思惑を知ってか知らずか、話題と掛けられた声には一つ首肯を返して、「そう。このリヨンの血統を継ぐ者は皆代々、空を翔けるものの名を戴く慣わしなんだ。歴代の公爵とそのきょうだい達も、末孫である僕も。そして、僕の弟妹達も。一人として例外無く、ね。」自らの胸元に右手を添え、名に纏わる家の子細を淀み無く朗々と告げた次。その指を首元のブローチへと滑らせて、「これは家を分ける折、王家の紋章であるグリフォンの翼を名と賜った初代に由来する――つまり、王族と血脈が繋がる一族である事の、栄誉ある命名なのさ。」王冠、鷲、二輪のアイリス――己が一族を象徴するそれらが彫られたカメオの表面を親指で撫で、そのまま続けるのは家の歴史、その始まり。驕りや優越は見当たらない、宛ら書の音読でもする教師の如く、ゆったりはっきりとしつつも何処か淡白な語り口でそう名付けの由を教えた最後、「……もっとも。僕の弟妹達はまだ、名に見合わぬ愛らしい雛鳥だけれどね。」瞼の裏へ浮かべたその幼い雛達の顔に、ふっと軽やかな笑いを吹いて締め括る。「……僕に君を拒む理由は無いからね。」室内へと踏み入った背を見届ける際、肩を叩く掌への応答に選んだのは、“何が起きても受け入れる”という意思表明。凛と覚悟を通した芯の内に、何もかも綿に包むような甘さをこっそりと含ませたそれを瞬きに切り、「いいや、本には丁度飽いてしまった所だったさ。」謝意に対して茶目っ気を滲ませた仕草で肩を竦める。それから「……そうだね。この静かな藍が続く世はとても好ましいけれど――」扉を閉ざし窓辺の彼と穏やかな視線を交わらせ、問いへと答えを静かに紡ぎながら、その傍に悠々と優雅な足取りで歩み寄り、悪魔の隣へ踵を揃える。その目の前の窓から煌々光を注ぐ眩い月を見上げれば、「起きた時に誰の声も音も聞こえない事に慣れるには、もう少し時間が必要かな。…家に居る間は、愛しい雛鳥達に囲まれて過ごす事が多かったから。」その月よりもずっとずっと遠くを見詰める瞳を細めて、話す声には微かな寂寥の吐息が混ざる。更に重ねた答えの中に並べた“囲まれる”という言葉には、雛鳥――弟妹が一人や二人などではなく、もっと多数である事が示されている。「…サー・レンブラント。」しかしそれ以上の感傷からは目を逸らして、向けた半身のまま彼と顔を合わせ、「君にも兄弟や家族と呼べる者は居るのかい?」話にその存在を零したついで、悪魔の彼にもそれに並ぶものは在るのかと、興味に色付いた眼差しと音で問い掛けの微笑みを返す。)
>キルステン( >1537 )
“ それ ” を気に入るかは人によるし……それに、手札を見せちゃったら交渉に不利になる事もあるでしょ?
( 持ち上がった口角を見るにどうやら特段悪い印象を与えてしまった様子も無く、寧ろ好感を抱いてくれたのではなんて考えさえ浮上する。ゆるりと口角を持ち上げ首を傾けて見せるのは同意を求めるため、というよりかは少しでも余裕があるかのように振る舞うための虚勢にも似たそれだが果たして彼にはどのように捉えられるだろうか。「 ふふ、お褒めに預かり光栄ですレディ 」 演技をする上で糧になるからと詰め込まれた所作やその意味の数々は未だに確りとインプットされているが、今はそれを深く語る必要性も無いだろうと戯れに似た少々おちゃらけたような声色で言葉を紡ぎ出すと同時、軽いウインクをお披露目するだけに留めて。部屋に充満しているであろうハイネの魔力に対する感想が思いの外さっぱりとしていたのは彼の気質によるものだろうか。そうで無いにしろ腰を据えて話を聞いてくれるらしい姿勢に小さく安堵の息をこぼした後ソファへと座す姿にぱちりと瞬きをしたのは、その所作があまりにもダークエルフのそれと似通っていたから。けれども纏う雰囲気は異なるもので、直ぐに普段通りの笑顔の仮面を被り対面する位置へと腰を下ろし。「 そう言ってくれると助かるよ 」 眉尻を下げた情けのない表情はそのままに、笑みを浮かべる事で安心した様子が伝わるであろうか。注文を促されるがままにさして悩む素振りも無く 「 じゃあ、僕は冷たいコーヒーを貰えるかな? 」 きっと主人からの伺いがあったからであろうが承諾してくれたのだろう反応を残し準備に戻る姿に “ ありがとう ” と小さく感謝の言葉を落として。率直に今夜の本題へと切り込んでくる彼の言葉に視線を戻し 「 手紙にも書いたけど、カフスボタンを贈りたくって。手作りで、僕の瞳と同じ色の石を使ったやつ 」 視界に入れば己の事が僅かにでも頭に過れば良い、そんな欲に塗れた贈り物は他の怪物の力を借りなければ一気に難易度が高くなる事なんて長くは無い屋敷での生活で痛感している。一呼吸置いて対価に関する事を付け加えるのは話しておかなければフェアで無いという意識からくるもので 「 ただ、僕自身を切り売りするのは許してくれないご主人様がいるし、キルステンに対する見返りが少ない事も理解してる 」 視線は一度も逸らす事無く、一直線に相手の瞳を見据え 「 貰ってばっかりは嫌だから。俺のとこに居なくても俺を思い出してくれる物を、ハイネの側に置ける物を贈りたいんだ 」 今迄の流暢な喋りからは一転。辿々しさを残したそれは本心からのもので )
>グルース(>>1544)
(一冊の歴史書を紐解くように流暢に紡がれた内容は大変煌びやかなもので、人間が聞けばきっと多数の人間が憧れたり羨ましがったり、或いは嫉みを向けるのだろう。だが当の本人はそれを鼻にかけるでも笠に着るでもなく只生まれながらに背負った事実として受け入れているような恬淡さえ感じさせる。雛鳥に思いを馳せたその綻んだ表情を横目に見つめ「 授かった名誉の重さをちゃぁんと理解しとる程、重苦しさを感じるもんやろ。そっから解き放たれてもなお誇り高く涼しげに羽ばたく君は根っからの貴族やね 」未だ成鳥へと育ち切らない華奢な彼の背にもきっと既に立派な翼が生えている、そう感じれば並び立つ彼へ斜めに向き直り指先をぴしりと揃えた手のひらを胸に当て敬意を示すように微かに顎を引いて浅い礼を。そうしてその手を天井に向ければ、ポンという空気が軽く弾けるような音と共に屋敷の図書館から悪魔の手中へと転送されてきたのは人間界の野鳥図鑑で「 君は鶴と夜鳴鶯。ちびちゃんらはどんな雛鳥? 」成人男性を体現するような大きく骨張った手、その親指と残り四本で図鑑を挟むようにして器用に支え開きながらページを捲ってと促すように半歩身体の距離を寄せて「 ああ…そりゃ確かに寂しいわなあ。までも、君だけやのうてちびちゃんらまで攫われてきてしまうよりマシなんちゃう? 」まだ僅かしか言葉を交わしていない中でも彼が深い愛情を弟妹たちへ抱いている事は容易に伺い知る事ができる。そんな雛鳥たちと離れ離れになったのはさぞ寂しかろう――ああ、可哀想で可愛らしい。善意なる励ましの形を借りながら含ませるのは黒薔薇の犠牲者に選ばれる可能性は彼のためだけにあるものではないという事実。この先雛鳥までもが黒い悪意の茨に絡め捕られない保証なぞどこにもないのだと――そこで少し顔を上げて周囲を見渡し、丁度窓の向こうに飛翔していたカラスの使い魔をちょいちょいと呼び寄せては少しだけ窓を開けて「 毎日この子に〝おはよう〟言うたって 」魔の言語ではなく人にも解せるそれで命令を与えれば使い魔は僅かに狼狽したようにちらと悪魔と彼の顔を交互に見て、最後にはカァと鳴いて了承を示し飛び去って。その姿を眺めながら「 窓は開けとかんでもええよ。あの子ら神出鬼没やから 」悪魔が特命を取り下げない限り、彼がここ数夜で味わった目覚めた時の静寂と孤独はきっと二度と訪れないだろう。そんな計らいの後、問い掛けられた内容にふっと笑って「 おるよ。丁度こンお屋敷に弟が一人。カナニトっちゅう可愛らし子やけど、今は色々あって拗ねとる。ろくに口も利いてくれんわ 」兄弟想いの彼と共通点を作るように、自らもさも愛おしげに弟について朗々と語る。拗ねた理由が獲物を弄ぶゲームに端を発するだなんて勿論間違っても口に出したりはせず、最後には困ったように自嘲気味の笑みさえ浮かべて「 兄ちゃんってムズいよなあ。仲良う出来るコツあったら教えて欲しいわ 」あくまでも、弟が大切で仲良くしたいけれど弟側が臍を曲げてしまって困っているのだと。そんな論調を保ったまま、眉尻をハの字に垂れさせて控えめに笑って)
>グレン(>>1545)
小賢しいコト考えてんのね。手札が多かろうが少なかろうが、相手に刺さるカードの有無で呆気なく決まっちゃうじゃない
(ハッと笑い飛ばすような言葉たちもこれまた責めるような論調ではなく、あくまでも人魚の平常運転。圧倒的に持たざる者側の立場を強いられる獲物たちが自らの思い通りに事を進めるために謀略を巡らせるのは当然の事、そのうえ異界の屋敷でそのように賢く立ち回れる胆力のある獲物は嫌いではなくむしろその逆。すぐに用意された飲み物はどちらもよく磨かれたコリンズグラスの中に注がれており、彼の前に置かれたアイスコーヒーの淵には切れ込みを入れた六角形の不思議な白い果実のようなものが差し込まれていて「 それ、見慣れないでしょ。苦いのがダメなら好きなだけ絞りなさい。ブラックが良けりゃ只の飾りとして目で楽しんで 」人間界に存在しないその果実は奇しくもガムシロップとミルクのような役割を果たすらしく、躊躇いなく彼に勧めたことから人体に害を及ぼすものではないらしい。言い終えた人魚はブルーキュラソーのような透き通った青い液体をストローで一口吸ってからコースターの上にグラスを置いて。真っすぐな彼の視線を受け止めるようにこちらも一切目を逸らさず、飼い主への返礼と言いながらそれをしっかりと自己顕示の布石にせんとする強欲さに「 ジョネルの言ってた通りね。アンタ達お似合いだわ 」納得するように数度頷きながら素直な感想を、そうしてふと勝気な笑みを浮かべて「 アタシはアンタの飼い主の事そこまで好きじゃないの。だから応援はしないケド、このキルステンを呼び出したアンタの勇気に免じて今回は甘ったれた我儘に手を貸してあげる 」変わらず棘のある物言いだが今回の件に関して助力を惜しまないという決意は彼に伝わっているだろうか。ふと思い出したようにぴっと人差し指を立て「 お代は今度飼い主に請求するわ。素寒貧に無い袖振らせるほど冷血じゃないの 」支払いであれこれ揉めるなんてスマートじゃない。半分ほど残っているグラスの中身をストローで一息に吸い込んで空っぽにして「 じゃ、行くわよ 」すくっと立ち上がり行先も告げずスタスタと扉へ向かう、その道中に「 可愛いペットが自分の為に用意してくれたプレゼントがアタシの魔力で作ったものだと知ったらアイツはどう思う?……アタシは面倒事に巻き込まれるのは御免よ。だからアンタが自分で石を見つけなきゃ 」親しくはないが同じ黒薔薇屋敷の虜囚同士、全く理解がないわけでもない。他の怪物の魔力が香る贈り物なんて身に着けるどころか粉々に砕きかねない、もしそんな事になったらあまりにもこの子が可哀想じゃない。そんなリスクをわざわざ背負わせる必要なんてないわ、そう考えを巡らせながら躊躇いなくガチャリと扉を開いて廊下に一歩踏み出し「 いらっしゃい。アタシは愚図もキライよ 」ニッと笑って彼の顔を一瞥すれば、ピンヒールの跫音を吸収する赤い絨毯の上をスタスタと淀みなく進んで)
>レンブラント(>1546)
(血統に相応しき振る舞いに向けられるものは羨望、嫉視、はたまた“出来て当然”という悪意無き威圧――そのどれでもない敬意を示した彼を見る瞳は大きく見開かれる。「……そんな事、初めて言われたね。」何度も瞬きながら発した声も些か呆けて、その言葉が偽り無いものである事を物語る。それから柔く崩れた頬が素直で幼い喜びを滲ませた後、再びすっと澄んだ微笑みを整えて、「……ならば。その言葉に恥じぬ羽ばたきを、この先も。」凛と優雅に、片足を引いた仰々しい程の一礼にてその敬意へ誓ってみせる。軽やかな音に顔を上げれば、そこには一冊の図鑑。己よりも優に一回りは大きい手の上に開かれたその本を現した意味を知れば、ふっと驚きを嬉々と弛め、「ふふ。それじゃあ、上の子から順にお教えしようか。」此方からも半歩彼に身を寄せ図鑑を覗き、それに手を伸ばす。「一番上の雛鳥……次男はエグレット、まだ九つだけれど、向上心と求心力に優れている子だ。長女がシーニュ、彼女は手先が器用で、物作りが得意な淑女。三男がピジョン…彼はとても細やかな感性を持っていて、美しい詩を綴ってくれる。」ぱらぱらと捲っていく頁から抜き出すのは、まず年長の弟妹――カリスマたる白鷺、技術家の白鳥、詩人の鳩。ただ記される画を指すだけではなくて、一人一人讃える言葉を添えるのは、家族をついつい甘やかす“世話焼き”の性分故に。「それから次女と三女のアルエットとシュエット…彼女達は双子でね、歌もお喋りも息ぴったりなんだ。そして最後の四男がイロンデル。…この子は最近やっと歩けるようになったばかりだね。」続いては年少――阿吽の雲雀と梟、それにまだ殻付きの燕。頁に描かれる一羽一羽、示したその指で絵の頭をなぞる仕草と共に注ぐ視線は、とびきり愛おしげに甘い。「……これで全員。どの子も皆眩い黄金の翼を纏う、僕の大事な子さ。」ふっと彼へ戻した瞳はまた穏やかに凪ぎ、紋章たるグリフォンと弟妹の持つ色彩に絡めた言葉を締め括りに、頁から手を下ろす。――慰めるような彼の声。しかしその内容が示す事を正しく汲み取ったその瞬間はっと息を呑み、微かに強張る顔で彼を見詰めた後に、「それは、……そうだね。僕はあの子達に、怖い思いも痛い思いもしてほしくはないから。それに……」もしや、彼ら彼女らも。過った思考に視線を逸らし伏せ、応答する音は平然を取り繕って絞られる。しかし、「同じ場所に居るのに、守れない方が、余程――」大切なものが其処に在るのに、指も届かず奪われる。そんな状況を子細に想像した――或いは“思い出した”ように、続く言葉を閉め切った唇は戦慄いて、頬は蝋の如く青褪めて。短い爪が食い込む程両手の拳を握りながら、爪先に落とした目の内に揺れた怯えの雫を振り切らんと顔を上げた直後、視界に入ったのは一羽の烏。同時に聞こえた指示にその使い魔と見合わせたような同じ動きで彼を見上げて、「……素敵な心配りを有り難う、サー・レンブラント。君は随分優しい方だね。」此方へ向けられたものが先の寂寥への答えだと知って、表情も声も暖められて綻んで。「おや、それは大変だ。僕で良ければ相談に、と進み出たい所だけれど……僕自身は、弟妹達との仲違いにとんと縁が無くて。サー・エグレットが僕と競いたがる事は多かったけれどね。」見付けた共通点に面持ちは何処か華やいで、その物言いは喧嘩した弟妹の仲裁に入るような寄り添いを持って、けれども少々戸惑う色も垂らす眉に滲ませる。「……ああでも、一度彼に“何でも出来てズルい”なんて拗ねられた事があったね。その時はいつもより沢山褒めて、頭を撫でてあげたな。あの子が出来る事を一つ一つ一緒に数えて、君は凄い子だって……随分前の話だから、あんまり参考にならないかな。」沈黙を落とした数秒の次、探った記憶の箱から取り出したエピソードの一欠片を例には出したものの、今よりも幼少のその話が、すっかり成人を過ぎているだろう悪魔の兄弟に当て嵌められるとも思えず、言葉を終えた微笑みには苦みが増す。「…ふふ。それにしても、優しい君にそんなに大事に想われているその子の顔、僕も見てみたいな。」それからまた柔い吐息を零して紡ぐは、困っている様子の彼を励ます糸と、“弟”という存在に抱く慈しみの糸。その二つをゆったりと織り込んだ興味を口にして、「君さえ良ければ、今度ご機嫌を窺ってきてはくれないかい?」まるで、仲直りを促す兄のように。目の前の兄弟がまた話せる切っ掛けに、自身の話題を差し出す形で案を掲げ、己は緩やかに首を傾げて見遣った彼の返答を窺う。)
>キルステン( >1547 )
でも、持っている物が分からなければ一先ず話は聞いて貰えるでしょう?
( 下手をすれば悪意を持っていると捉えられかねない語調だが、詰められているように感じる事が無いのは彼の性質故であろうか。同意を示すように小さく首肯を一つしてから、緩い笑みと共に “ 違うかな? ” とでも言いたげに首を傾けて見せて。そんな事をしている間に用意されたグラスの縁に添えられた見た事の無い果実のような物をマジマジと見詰めていれば耳に届く言葉から察するに、ミルクとガムシロップのような物らしい事が容易に想像出来。特段苦味に弱い訳では無いが、初めて見る物に興味があるのも事実。ほんの少しだけ絞り入れてからストローでくるくると軽くかき混ぜてから一口飲み込めば、人工的な甘みよりやや柔らかな甘味に口元を緩めて。先程までの真剣な表情から一転、目元を細めた笑みを浮かべて 「 ふふ、そう言って貰えると嬉しいな 」 お似合い、それが喜ばしく感じるかはきっと人によるのだろうが少なからずこの自己肯定感の低い男からしてみれば、褒め言葉以外の何者でも無く。少なからず今夜の願いに関しては助力をしてくれるらしい様子に安堵の息を漏らし 「 うん、ハイネ相手なら僕から払えるものもあるから、そうしてくれると助かるよ 」 きっとあのダークエルフの事、又借りの対価を求められる事もあるだろうが然程難しい事は要求して来ないであろうとの考えだが果たして。立ち上がる姿をぽかんとした表情を浮かべたまま見詰めるのは予想だにしていなかったから。けれども扉までの道中の言葉にくすりと小さな笑い声を漏らして 「 きっと物凄い顔をするだろうなぁ 」 稀に垣間見せる独占欲から予想するに、渡さずとも己が持っているだけで不機嫌になるだろう事が目に浮かぶ。グラスを満たす珈琲を半分程まで飲み切ってから立ち上がり、片付けを始めようとする使い魔たちに思い出したように 「 戻ってきたら飲むから、置いておいてくれると嬉しいな 」 なんて声を掛けてから部屋を出ていく彼の後をついて廊下へと。屋敷へと拐かされてから部屋を出たのはハイネの温室へと行ったあの一度きり。見渡しても見覚えのあるどころか景色に大差無く思えるのは不可思議な力によるものか。先を歩く彼との間をなるべく開けないようにしながらも物珍し気に辺りへと視線を巡らせながら歩を進めて )
>グルース(>>1548)
君に追い風が吹きますように
(綿菓子を軟らかな糸に変えたような髪をそっと撫で、鶴の高潔な誓いに悪魔から返すのは期待も心配もなくただ祈りだけ。髪に触れていた手を彼の肩へと緩やかに滑らせ「 ちょっと疲れたな思たら俺の肩に留まりい。休む場所もない大海原を孤独に行かせる気はあらへんよ 」トン、と労うようにまだ華奢な肩へ手を添え黒薔薇の鳥籠に囚われた彼の止り木へとちゃっかり立候補。正直なところ、順繰りと紹介されてゆく雛鳥たち一羽一羽よりも今触れられる距離に在る至極甘やかな声と表情で囀る彼にのみ興味の矛先は向けられているが「 ふ、みんな可愛らしなあ。お小遣いあげたいわ 」可愛いと感じるのは自慢げに弟妹たちを語る彼も等しく対象に数えられ、裕福な生まれゆえ金銭の施しなど必要ないと理解していながら駄洒落のつもりで微笑ましく自身も最後の頁の鳥――燕の絵をそっと指先でなぞり。さて小手調べのつもりだったが雛鳥を引き合いに出すことで無欠に見える彼が容易に心乱される事を瞬時に学習すれば「 ……君の翼が届かん場所もある。俺らが万能ちゃうンと一緒や 」未来に起きてしまう事を恐れているのか、はたまた過去に起きた変えられない事象を回顧し唇を震わせたのか。異界の月の下、自らを喰らうかもしれない異形を目の前にして悠然と礼をした彼からは今一つ想像出来ていなかった弱さの片鱗を垣間見れた事に悪魔の内心は色めきだつも表情も声色も神妙なそれのまま「 素敵な君のきょうだいや、いつ黒薔薇に目ぇつけられるか分からん。もちろん茨が及ばん事もある、けどもし…そうならんかったら、 」図鑑を傍に置き、空いた両腕にて緩慢な動作で小さな彼を抱擁する。兄が弟を慰めるように、或いは悪魔が甘言で人間を誑かすように、すべての災厄から彼を守る盾のように、或いは退路を断ち自らの手中に収めんとする壁のように。とん、とんと彼の背をさすりながら静かで優しい声にて「 気に掛けるわ。怖い思いも痛い思いも、出来る限りせんで済むように 」闇の中にこそ安らぎを見出させる悪魔はそう告げた後ゆるりと腕を解いて、くるり踵を返せば窓に背を預けるように体勢を変えて腕を組み「 はァー……ほんまよう出来た兄ちゃんやね、君。それ素直に聞ける白鷺くんも凄いけど 」そもそも人間と悪魔では目下の者の慈しみ方が異なるのだろうが、語られた過去はまさしく目上の者の模範たるに近いものなのだろう。感心したようにしみじみ長く吐息して、真に求心性に秀でるのは彼の方ではないかとすら思えてしまう。いずれにしても彼の甘いやり方は悪魔兄弟に効果的なものではないけれど、それでも弟の敗北を煽る際に使えそうだと半ば無意識に思考している最中に当の本人に話題が移ってしまえば困ったように低く笑って「 君の事、素敵な子やと思っとるんよ。せやからホンマやったら独り占めしたいンやけど? 」蛇のような流し目はしかし爬虫類には無いしっとりとした情熱を底光りさせるように彼を見つめて)
>グレン(>>1549)
そう、イイコだからキビキビついて来なさい。ホントはアンタを連れ回すのだって気が引けるんだから
(自身の使い魔に片手間に命じたものとはいえ、出したお茶を無下にされないのは矢張り好ましい。背後から聞こえてきた使い魔への小さなお願いに背を向けたままふっと微笑み、厳かながらも上機嫌の滲む声色にて後ろに追従しているであろう彼へとお小言に似た忠告を。あの特別製の錠、部屋を満たす彼を雁字搦めにするような魔力であの部屋は最早獲物の檻から特製の軟禁室へと変貌を遂げているように感じる。そこからたった一つの閉じ込める対象を連れ出したとなれば部屋もその創造主も心中穏やかではないだろう。面倒事は御免被るがいくら好かないとはいえ同胞に不愉快な思いをさせる事も御免だ、そんな逸りに似た心地から歩行のテンポは普段よりも早く。ふと頭上に気配を感じてちらと高い天井を見上げれば短くため息を吐き、ネイルでより長く見える指先で上を指し示し「 ホラご覧。ちんたら歩いててあんなのに囲まれたらその指輪があっても五体満足じゃ済まないわよ 」あの部屋から出たのにハイネの魔力に付き纏われているような気がしていた、その元凶且つ正体は彼の左中指にこそあったのだと部屋から十分に離れて漸く気付いて。まるで早く寝ないとオバケが来るぞと子供を緩やかに脅かすように引き合いに出したのは丁度出現していた理性なきバケモノの存在。音もなく天井を這いまわる影のような靄をまとう蜘蛛は映画館のスクリーンを覆えてしまうようなおどろおどろしい巨体でじっと怪物と獲物を見下ろしており「 怖けりゃアタシの服の裾でも握ってなさい 」いかに巨大なバケモノでも怪物に敵わない事は皆理解しているため人魚と共に在る限り手を出してはこないだろう。自身はそう分かっているからよいものの、見慣れないバケモノに彼がどう感じるかは想像に難くなくつっけんどんながらもそれに寄り添う姿勢を見せながら幾つかの階段を降りていき)
>キルステン( >1551 )
ある程度自由に過ごす事は許されているから、そんなに気を張らなくても大丈夫なのにな
( ややむくれたような声で紡ぎ出す能天気とも捉えられるだろう感覚はどれほどあの部屋を一人の魔力が満たしているのかを知らないからこそ。けれども彼が言わんとしている事も分からないでは無いために歩を止める事はせずに廊下を進み続けるも辺りを見渡しながら歩いていたためか、それとも歩みを進める彼のペースが早いのか、気が付けばいつの間にか部屋を出た時よりも開き始めた距離に気が付きつつも焦る事をしないのは指輪に守られている、そんな思考が強いため。指差された先の天井へと素直に視線を持ち上げればそこに居る巨大な蜘蛛を視界に捉え。本来であれば恐怖を覚えるところなのだろうが、それを感じるどころか内心落ち着いているのはダークエルフのお気に入りたる自覚があるからか 「 ふふ、ありがとう。でもキルステンと一緒なら安全だろうし……万が一の事があってもハイネが飛んでくるよ 」 左手の中指に嵌る指輪へと軽く口付けを落とし、服の裾を掴むまではしないものの僅かに開いた彼との距離を埋めるために小走りに近寄って半歩程後ろの辺りで 「 そういえば、今ってどこに向かってるか聞いても良い?屋敷の中に何があるとか全然分かってなくって 」 部屋の中にいれば安全、外に出る時は誰かと一緒に。そんな約束を愚直に守っているがために主な生活圏は自身のテリトリーたるあの部屋のみ。それに加えて屋敷の設備に関する話を誰かと交わした記憶も無い。へらりとした笑みを浮かべながら首を傾けて )
>グレン(>>1552)
世間知らずなガキみてえなコト言ってんじゃないわよ。大人同士は色々気ィ遣うモンなの
(ここは大いなる魔力に護られた自室の外にもかかわらず些か緊張感に欠ける彼の様子に呆れたように大袈裟な溜息を。彼の外出を〝大丈夫〟と捉えるかどうかは彼ではなく飼い主が決める事、もし彼が絶対的庇護者を持たない他の獲物と同様の立ち位置なのであればあれこれと好きに連れ回せるのだがよりにもよって囲い主はあの執着気質なダークエルフ。ハイネもそのお気に入りの獲物も自分から見れば腫れ物に近い存在であり可能な限り関わりを避けたいと感じるのは当然の事、しかし依頼を引き受けたのは少なからず彼のエゴたっぷりな願いの中にも無垢な健気さを感じ取りその気持ちは応援してやりたいと思ったからで「 ったく…。次グズグズしたら強制首根っこ鷲掴みの刑よ 」ちらと肩越しに背後の様子を窺えば指輪にキスする姿を丁度目撃し、よく懐いたものねと軽く肩を竦める。彼がしっかりと自分との距離を縮めた事を確認してから前方を正視、この見目麗しい人間がハイネに依存に近い全幅の信頼を置いている事は充分理解できた――どれだけハイネが彼を甘やかしているのかも何となく想像がついて「 きっとハイネは激しく親馬鹿になる男でしょうね。周りの方が躾にあれこれ気を揉むタイプの厄介な親馬鹿 」必ず守るからとたっぷり甘やかす余り、子の健全な危機感を養えず面倒を見る羽目になった周囲が疲弊する――そんなイフを容易に想像できてしまえば実現する夜は来ないであろうと理解しているため冗談めかしてカラカラと笑い「 終わらない廊下、ループする階段、扉だって無限に存在するってのは知ってるでしょ?とびきり運が良い夜はね、どっかの扉がステキな場所に繋がったりすンのよ。勿論黒薔薇のテリトリー内限定だけどね 」階段を降り、廊下を曲がり、それを何度か繰り返して立ち止まったのは何の変哲も装飾もない、獲物の部屋と全く同じ意匠の扉の前。自慢気にコン、と扉を一度叩いて「 これはアタシの見つけたお気に入り。誰も彼も連れて来てやるわけじゃないのよ 」そのままノブを捻り扉を押し開けると、その先には見慣れた間取りの部屋ではなくぽつぽつとランタンの灯りが点在するだけの薄暗い洞窟のような道が続いていて「 おいで。足元、滑りやすいから気をつけるのよ 」危険はないと示すようにまずは自身が一歩先に前へ、そうして半身で振り返り勝気な微笑みのまま忠告をしてから今度はカツカツと高い踵の音を響かせながら奥へと進行し――突き当たりの階段を数段登ればそこに広がるのは洞窟の吹き抜け部分。空いた穴から月光が煌々と差し込み、壁や床のあちこちに埋まった色とりどりに煌めく石がそれを反射し共鳴するようにキラキラと存在を歌う神秘的な光景が広がっていて)
***
交流中に悪いわね。アタシのお気に入りの場所、〝煌めきの塒〟のイメージ画像を公開したわ。ここにある宝石の色とか形とか自由にロル内で描写して大丈夫だからね。
【 https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/locus 】
>レンブラント(>1550)
(誓いと祈りの後の申し出に相好をまた崩して、「そのお言葉、痛み入るよ。…うん。休みたい時には、君を呼ばせてもらおうかな。」何時か解らずともそれに甘える約束をする。「ふふ、きっと喜ぶよ。」可愛いと褒める言葉は無論弟妹達のものとして、ジョークに至極楽しげな吐息を零して相槌代わりの一言を。……雛鳥達が、決して己と同じ目に遭わない保証は無い。届く言葉はあまりに残酷で、けれどどうしようも出来ない事実に一層唇を結んで俯く。震えぬよう地を踏む力を籠めた身体へ回った腕と、安堵を促す声。それへ一瞬戸惑ったように彼の顔を覗いたのは、無条件に誰かへ凭れた記憶があまりに遠く淡く、思い出すまでに時間を要したから。「――ありがとう、サー・レンブラント。」それでも額を彼の胸元に寄せて、しかし重さを掛けないまま静かな礼を返す、安らぎをもたらす言葉への精一杯の応答を。一通り弟の話を終えた後に届いた感心へ笑みの苦みは蒸発し、「ああ。彼も他の雛鳥達も、皆真っ直ぐで人の言葉を素直に聞ける良い子だから、僕も善き兄として居られたのさ。」因果の順序は逆なのだと、甘やかす長兄の言葉で丸々弟妹達を褒め称す。――月を背にした彼の眼差し。その光と同じ冷ややかに見えたそれへ確かな温度を感じて、兄の温もりを湛えていた鶴の瞳はすっと細まる。「……熱烈だね、サー・レンブラント。」声に怯えは見当たらない、だが先程までの軽やかな囀りでもない。言うなれば、命尽きるまで情を奏でる小夜啼鳥の歌を思わせる甘い音。重ね合わせた視線も同じ、先程までのふんわりとした綿羽の如き上澄みとは違う、幾度も煮詰めた蜜に似た濃密な愛の一雫を滲ませて。深く深く、その彼の情熱さえも包んで口付けるような、いやに大人びた慈愛の笑みの後。それを泡沫と掻き消して悠然の微笑を整え、「もし本当に“そう”したいのならば、サー・カナニトときちんと仲直りをしたその後で、もう一度言っておくれ。」確実性など何も無い、出鱈目や嘘を言われた所で確かめようの無いそんな条件を差し返して、彼からの情熱に今ひと時の猶予を渡す。)
>グルース(>>1554)
(たくさん雛鳥を甘やかしてきたであろう彼は、果たして誰かに同じように甘やかしてもらっていたのだろうか。反射的にそんな疑問を抱いたのは先ほど腕に収めた彼の狼狽するような様子を垣間見たからで、甘やかされ馴れた雛達と異なりどこか遠慮して大人に甘えきれない長子、そんな印象を覚えればますます甘い誘惑を重ねたくなるのを初夜の清廉さに免じて堪えて。しかし一変、こちらの熱に呼応するように彼の中の何か重く熱いものの片鱗が首を擡げた気がして、幼さの残る姿には不似合いとも言えるひとときの表情にうなじの辺りが微かにぞく、としたのを知覚しぬらりと微笑みを深め「 ……上手に仲直り出来たらご褒美くれるん? 」退屈な屋敷では喉から手が出る程欲しい刺激。その匂いを敏く感じ取れば低い声を僅かに熱に濡らしてじっと彼を見つめ、音もなく持ち上げた鏃の尻尾の先端を形の良い彼の顎についと添わせて)
>レンブラント(>1555)
(触れるひやり冷たい悪魔の象徴。そちらに一度視線を寄せ、それからまた彼へ移して贈る眼差しに、一瞬の幻とした濃密さを再び浮かべる。「……勿論。僕にあげられるものなら、何だって。」おねだりにも聞こえるその問い掛けを甘く肯定し、緩やかに上げた指は顎に添うそれの形を柔くなぞる。「僕の言葉を果たしてくれた夜、部屋を訪れたその時に、」雛の羽を繕うような、子の髪を梳かすような、優しい優しい慈しみの掌で鏃を撫でさすった後、徐と五指に包んだ其処に唇を寄せて、「思うまま、満たしたいまま――君の望みを言ってごらん。どんな事でも、叶えてあげる。」彼を捉えたまま一度も逸らされぬ夜鳴鶯の瞳。陽と若葉を映す澄んだ湖面のその内、欲して手を伸ばせば何処までも沈み包んでいく底無し沼の甘露を湛えて、愛しみあやす音色で言葉を紡ぐ。「……約束するよ。」そう締め括って彼の尾を離し、後ろに両手を組んで低い靴の踵を一歩前へと、互いの距離を縮めて。「…仲直り、出来そうかい?」まるで、己の方から頼み込んだと言わんばかりの下手の問いに、拗ねる弟妹の機嫌を窺うような微笑ましい視線を添え、彼を見上げる為にほんの少し反らしたその首をゆったりと傾げて鋭い琥珀色を見詰める。)
>グルース(>>1556)
(どんな事でも――その言葉に万能の力など無いというのに、あわや〝自由〟の希求を口走りかけたのは彼に獲物の無力を知らしめる為の意地悪か、それともとうの昔に宿命を受け入れ未練の火が消えた筈の炉に一抹の燻りを感じたからだろうか。いずれにしてもランプの魔人を彷彿させる少年の魔性に刹那とはいえ中てられたのはきっと誤魔化しようのない事実、侫悪な悪魔ではなく単純な同胞の誰かであれば彼の虜になっていたかもしれない。怪物すら魅入ってしまいかねない彼の性質に思わずくつくつと肩を揺らしながら低く笑って「 こンお屋敷では無力なヒトの約束ほど儚いモンそうそうないで 」尾の先端に触れた体温の何と熱く感じた事か。その熱をもっともっとと欲しがるように窓へ預けていた体勢をふわりと直立に戻したかと思えば嘘か幻のようにその姿は掻き消える、まさに人の命が風前の灯火と揺らぎ消え去る儚さを体現するように。自身を見上げた彼のその背後に音もなく再臨すれば後ろから彼の首へと腕を回して、尻尾で撫ぜた顎を今度は冷たい指先で柔く掴み「 君こそ。その夜まで長生き出来そうなん? 」背後から彼の耳元へ寄せた唇で、その約束が果たされるのかを問い掛けても仕様のない雲を掴むような事と解っていながら微笑みのままに投げ掛けて)
>和風テイストの演者様募集を解禁しました。忍者や花魁、山賊にお侍様、国籍問わず個性的なお方をお待ちしております。
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>レンブラント(>1557)
(笑う悪魔の声。皿の上の料理である己の言葉に返されたそれに眉を寄せるでもなく、嘆くでもなく、ただ微笑んだままに頷いて、「……そうだね。人の世でさえ、命も約束も夢幻と同じ。一つ瞬く内に消えていく。――このお屋敷なら、きっと尚更。」ゆらり陽炎の如く姿を散らす彼へか、それとも月を見詰める独り言か、諦観と寂寥が微かに滲む静かな音を中空へと漂わせて、そっと視線を伏せる。――直後、首へと回された見覚えのある腕。背後に彼が居る、そう気付いた所で今度は顎に尾と同様ひやりとした指が這って。耳に問う近さに擽ったげにくすりと吐息を零した後、「ふふ。僕、悪いものに食べられない術には少しだけ覚えがあるからね。君より魅力的な方が現れない内は大丈夫さ。」“悪いもの”とは人か感情か、それともお屋敷の怪物か、明言はせず曖昧なまま。ともすれば“君ほど悪い子もそうは居ない”なんて解釈も出来る、そんな危うい返答を友へのジョークに同じ軽やかさで踊らせて。「…もし口上で足りなければ、何か形ある証を残そうか。」それからまた歌うは子を愛でる夜鳴鶯の音。柔く円やかに細めた瞳を背後の彼へと流しながら、傍にある滑らかな紫髪をそっと緩やかな仕草で幾度か撫で梳いた後、「……サー・レンブラント、君はどうしたい?」そうっと、冷たい頬にその掌を添えて。まるで内緒話をするような密やかな吐息を含め、何もかも赦し包んでしまう甘やかしを存分に滴らせる問いを彼に返す。)
>キルステン( >1553 )
キミたちに比べたらまだまだガキでしょ?
( 悠久とも言える時を生きる彼らと比べれば人間の寿命など些細なものだろう、そう理解をしている為にやや冗談地味た口調で。指輪への軽い口付けの後持ち上げた視線の先が交われば、ふっと表情を和らげて見せて。どこかの世界線ではあるかも知れない未来を想像し 「 ふふ、目に浮かぶな。きっと誰よりも目を掛けて育てるんだろうな 」 つられる様に軽やかな笑い声を漏らすものの、胸の内に燻る “ 羨ましい ” そんな想いは翳りとして表情へと表れてしまっていただろうか。その感情は自身へ向く執着が他者へ移る事を想定したものよりかは、己の幼少期の家庭環境を踏まえたものなのだが、どう捉えられたのかは近くにいる彼だけが知る事だろう。屋敷の中に何があるのか、そんな質問に答えてくれる声にハッと意識を浮上させ 「 それって例えば、人間だけで廊下を辿ったとしても辿り着けるようなものなの 」 ハイネとの約束を守っている身としては一人で出歩く事なんて無いだろうが、興味が無いといえば嘘になる。ゆるりと首を傾げ、その興味を消化させようと。部屋を出てからどれくらい歩いただろうか、辿り着いた先はこれまで廊下に続いていた扉と何ら変わりのないものだが、口振りから察するに特別な部屋に違いない事は容易に想像がつく 「 そんな特別な場所に連れて来て良かったの? 」 扉の開いた先に広がる景色は薄暗いだけの洞窟に見える。立ち居振る舞いからも、身につけている物からも、どちらかと言えば派手好きのような彼が好むだろう物とは正反対に思え、傾げた首の角度は深まるばかりで。彼の声に一歩室内へと踏み込めば足から伝わる感触も洞窟のそれに近く、履き慣れない靴では滑って転ぶ未来が容易に想像出来る為に一歩一歩ゆっくりとした足取りでその背中を追いかけて。階段を登った先、眼前に広がる景色にぱちりぱちりと瞬きを数回 「 ……すごい、綺麗 」 ぽつりと呟くように。月の光を受け、色とりどりに輝くそれらは人の手の加えられていない天然の物だろうか。視界に映る範囲だけでも数多の石があるように見えるこの中から目当ての石を探し出すのはかなり骨の折れる作業となるであろうが、この場で力を借りるつもり等更々無く 「 ねえ、キルステン。この部屋の中は一人で歩いてても安全だって認識でいいんだよね? 」 廊下を歩いている際も注意を促す発言こそあれども危険に晒されるような事は無かった為、横目で見遣りながらの質問は単なる確認。肯定の返答が返ってくるのならば探し物の為に足元から頭を見せる石へと視線を向けつつ歩みを進めるつもりで )
>グルース(>>1559)
どおやろなあ、切羽詰まった奴に迫られたらすぐ君明け渡してしまいそやけど
(顎に添えた指をつつと滑らせ、その頸動脈を長い爪にてくすぐるように横一文字にゆったりとなぞる。どれほど言葉を弄しても所詮悪魔は悪辣なるもの、それをこの短い間に理解したと解釈できる彼の言葉を否定するでも抗弁するでもなく、むしろ危うい綱渡のようなこの夜気を味わい愉しむように密やかな笑気を声に織り交ぜて「 ほんなら人質取らしてもらおか? 」耳を伝って脳を溺れ蕩かす毒の甘露のような声、悪魔でなければそれだけでくらくらしてしまいそうなそれを軽やかに受け止め頬に添う柔らかな手のひらの側面を唇で淡く食みながら家紋の浮かび上がるカメオをコツ、コツと硬く鋭い爪先で指し示し「 それともこっちのンが一生懸命自分守ろうと出来るやろか 」見せ付けるように背後から伸ばした手を彼の眼前に、図鑑を顕現させた時のように手のひらを上に魔力を込めればまたしてもぽむっと空気の弾ける音と共に掌上へ現れたのは精巧な白鷺の模型――否、手のひらサイズだが命あるように動き時折小さく鳴いている。「 俺がカナニトと仲直りして君の部屋に来た時、もぬけの殻やったら…… 」声には相変わらずの笑気を幽かに交えながら、ゆぅっくりと拳を握ってゆく――当然身体を押し潰す圧力を感じた小さな白鷺は苦し気に一声高らかに鳴き、それを契機にふっと力を緩め再度手のひらを開いて見せて)
>グレン(>>1560)
(こちらの忠告もどこ吹く風と生意気な態度に改めて小さく肩を竦め、しかしそれとは裏腹に曇った表情も横目に見逃さず色々あるのねと短く吐息して「 一度見つけた特別な扉はね、同じ場所でお利口に待ってくれてるわけじゃないのよ。アタシは自分の魔力でマーキングしてるからそれを辿ってるの 」無限の扉はその位置関係すら目まぐるしくスイッチを繰り返しており、だからこそこの屋敷では変動し続ける道順を覚えるのはまさに徒労を極めた行為。魔法を行使できる怪物だからこそ道を辿れるのだと種明かしをしながら、哀れな獲物にだって冒険の権利くらいはあるとふと思考し代替案を挙げようとぶつぶつと喋り始め「 クソ長い紐か何かをドアノブに括って、端っこを自分の部屋まで持って帰れれば――いいえ、それこそ無謀ね。一晩でこんがらがっちまうわ 」ゆるゆるとかぶりを振って思い付きに過ぎないアイデアの致命的な欠陥を受け入れて。「 アンタの飼い主にこのアタシがテキトーなモン持たせるわけないでしょ。持ってる手札は使うわよ 」これは自身の面子にかかわる問題なのだと背を向け洞窟を進みながら端的に疑問に答え、そうしてこの光景に目を奪われる彼の様子を満足げに眺めてはカツカツと歩いて宝石の物色に向かいながら「 ええ、この部屋の美しさを理解できないケダモノは締め出すように細工してるわ。荒らされたら堪ったもんじゃないからね。安心して目当ての石を探しなさい 」敢えて彼の方を向く事無く安全を告げることで理性無き化物からの干渉を受ける可能性が限りなくゼロに近いことを示しつつ、手や視線を忙しなく動かし宝石たちを観察しては黒と金の混じったような水晶型の石を発見しちょいちょいと手招きを「 …あら、こんな色前まで無かったわね。ハイネに似てるわ、ちょっとこっち来て御覧なさいよ。やァんコッチのも素敵じゃないッ 」招いておきながらそのすぐ近くに自身の好みにストライクな深くも透き通ったビリジアンの石を発見し、目を輝かせながらキャッキャとはしゃいで)
>レンブラント(>1561)
……雛鳥に似た誰かであれば、可能性はあるかもしれないね。
(とくとくと温かに脈打つ喉へ滑っていく指と、其処に備わる鋭い爪。命を遊ばれるようなその仕草の好きにさせ、己は彼の頬に当てた掌でゆったりと冷たい肌を撫でる。世間話の軽やかさと薄氷を辿る危うさを併せた会話は、首元から届いた硬い音に一度途切れる。「それは、」それから転がり落ちた声には緊張の糸が密かに縫われ、次にまた問いを積みかけたその眼前に現れたのは彼の掌上で囀り尾羽を揺らす白鷺。愉楽の混ざる言葉と共に畳まれていく指の内、その白鷺の悲鳴と雛鳥が己を呼ぶ声が重なって――咄嗟だった。彼の力に自身が敵う事は無いと解っていて、潰れる前に拳が緩められたのも見えていて、それでも気付けばその小さなものを庇うように彼の五指と白鷺の間に自らの手を隔てていた。「――…君はとても、上手なお人だね。」今の数秒、止めてしまっていた息を少しずつ取り込み、感情を抑え付けた静かな音色をまず一節。続けて、「いいよ。それならば僕は、僕の持ち得る全霊を以て“その時”まで生き延びてみせよう。だから、」芯を持って朗々並べ立てるは彼への宣誓、振り返り浮かべるは貴族の優雅たる笑み。……あの一瞬の間、恐れに粟立った背の震えも、跳ね上がった心臓の音も、今もまだ逸ったままの拍動も全て伝わっているだろう。それでも、「君も、僕の愛しい雛鳥達への約束を違えないように。」何もかも圧倒的な相手を前に、怖じ気を圧し潰し隠して高潔に見せる“強がり”を、微笑む眼差しに凛と宿して。彼が己を抱擁した際の、“もしも”の言葉を引き合いの契りと告げる。「…白鷺の彼に、誓っておくれ。」その最後、ふっと移した視線の先。彼の掌でふわふわ膨らむ羽を繕うその鳥を通し、今も遠い向こうで何も知らず生きる己が弟に馳せる慈しみを細めた瞳と柔い声に湛えながらも、己と同じ誓言を彼に確と求める。)
>グルース(>>1563)
……おおきに、
(取り乱すか或いは激昂するか、並の人間であれば大きく揺さぶられた感情に引っ張られて態度や行動にそれが発現してしまってもおかしくない自らの試しにも似た戯れに、期待に反さず彼は気丈を保ってみせた。無論それが虚勢だと見抜けないほど優しく無神経な怪物ではない、だからこそ自身の目には大きく跳ね上がるような鼓動も背筋の震えるような恐れも綯い交ぜに強さを圧し出す様子は大変可愛らしく好ましく映るもので。皮肉と取れる賛辞に三日月のように口角を吊り上げ背後にて小さく礼を、間髪入れずに「 君はめっちゃ魅力的な子や 」応酬を一往復だけ返すようにこちらからは心からの感想を。魔力でネジを巻いた分だけ動くに過ぎない錻力の玩具なのにやはり効果覿面だったらしい白鷺を取り囲むように、掌には黒い鳥籠が形成されていき「 勿論。悪魔は嘘吐くけど契約は守る――そういうもんや 」急に袋小路へ追い詰められ狼狽するようにきょろきょろと細い首を巡らせる自律人形に我ながら良いリアクションだと内心で微笑みながら、気を付けなければ一晩で失くしてしまいそうな小さな黒い鍵をそっと彼に差し出して。約束の夜、それと引き換えに白鷺は空へ解き放たれるのだと、そう示唆しながらぬるりと彼から離れるように姿を消しては瞬きのうちに眼前へ現れ胸に手を当て浅く礼を「 この白鷺は俺のモン。やから俺が誓うのは君自身にや、グルース 」それが未だ黒薔薇の目に留まらぬ本当の次男を指すのかそれともただ自分で作り上げた人形そのものを指すのか、煙に巻くように薄く微笑し腰を屈めてじぃっと彼の目を見つめて。もし彼が鍵を受け取ってくれたのならばその時点で契約は成立、ああ面白い愉しみが出来たと上機嫌に悪魔は微笑みを深め「 俺も作戦考えんとな。臍曲げた弟とどないして仲直りするか…どう転ぶか楽しみにしといてなあ 」サラサラと微かな音と共に足元から魔力の粒子となり掻き消えてゆく、特段呼び止められなければこのまま最後まで蛇のような笑みを残して幻の如く消え去るだろう)
>レンブラント(>1564)
……それはどうも。
(彼の賛辞に、形のみの礼言を。それから彼の五指を塞ぐように白鷺と隔てた其処からも、震えが見付からぬ内にそっと手を離せば、掌のそれは何処からと無く組み上がった鳥籠に閉じ込められる。変化に戸惑う様子を見せるその子に“ごめんね”と、音無き唇で胸中の罪悪を詫びた後、次に眼前へ現れたのは黒い鍵。差し出された小さな小さなそれを、下から掬うようにして手の中へそっと収める。視線をそちらに取られた隙にまた失せた背後の気配は、瞬きと共に上げた視界の内に。此方を覗いて細まる琥珀を、臆さず逸らさず、真っ直ぐに見詰め返して微笑んで、「…ああ。君の行く先に幸あらん事を。」少しばかり強気な振りを。声色ばかりは穏やかに、消え行く彼へ祝福を贈って――静寂の帰ってきた室内。踏み締めていた足を緩めて座るベッドの縁で、落とした目線の先にあるのは契約の証。今頃になって押さえ付けた怯えが微かに揺らすそれをぎゅっと握り込み、その上へもう一方の手を重ねて、「――大丈夫、大丈夫。」胸に抱いて背を丸め、身ごと包んで温める言葉を溢す。「僕が守ってあげるから、君は何も知らずに、安心して眠っておいで。」泣く子をあやすように手の甲越しに鍵を撫で、此処から届く筈も無い安堵の情を、それでも淡く甘い音に乗せて。「エグレット――僕の可愛い白鷺、大事な家族。…君を愛しているよ。だから、」名を呼んだ彼へ紡ぐようで、自分を確かめるようでもあるその羽毛の愛の中、「……どうか“君まで”、消えてしまわないで。」“二度目”を恐れて悲痛に絞り落とされた、切実なおまじないと祈りを。……俯ききった顔は誰も窺えない、誰にも窺わせない。弱る姿を隠す小鳥の如く、吐息さえ潜めてベッドの陰にじっと蹲った後。ふと息を深く吸い込み、すっと窓の向こうを見上げた顔に怯えは浮かべず、ただ毅然とした笑みを湛えて、「……見ていておくれ、」凛と背を伸ばし立ち上がる姿は、目一杯に翼を広げ、気高く空へ飛び立つ鶴そのもの。「ねえ、――――。」その先に続けた名は、かの悪魔か白鷺か、それとも――知るは鶴に光を注ぐ窓辺の月ばかり。)
***
今宵も良い一時を過ごせた事に感謝を、サー・レンブラント。君は駆け引きの上手なお人だね、僕では敵いようが無い。……でも、愛しい雛鳥達のお話が出来て楽しかったよ、有り難う。
さて、それでは次は宝箱で紹介させてもらった虎の方の手番……と言いたい所だけれど、その前に少し相談かな。彼、まだ指名を決めきれていないようだから。
今、彼が候補として考えている怪物様はお三方。レディ・ゼズゥとサー・キルステン、それからサー・アッシュ。僕から見る限りどの方とも相性の不安は無いのだけれど、だからこそ迷ってしまってね。君達怪物様方から見て、このお三方の内と誰が良いのか尋ねたい、もしくは彼らと彼女以外でも気の合いそうな御仁が居たのならそちらの紹介を願いたい、というのが相談事の要点さ。……候補はあくまで候補で、正直どの方も魅力的だから、君達の思うままの答えをおくれ。
では、僕は一度休息を取るから、この先は虎の方にお任せしようか。……ふふ。またね、サー・レンブラント。約束の夜まで息災を祈っているよ。
>グルース(>>1565)
回収おおきになァ、俺の方こそ君の反応が可愛ゆうて楽しませてもろたわ。また遊ぼなあ。
次は早速虎の彼に会わせてもらえるんやね、相手に選ばれる怪物が羨ましなあ。そうやね、まず挙げてくれた候補は君の見立て通りこっちも何も不安ないわ。となると希望してくれとるルートと照らし合わせて誰がより適してるかやけど…秘密の共犯者の道はこンお屋敷とそれを支配する黒薔薇だけやのうて、おんなじように囚われた俺ら怪物全員を自分勝手な炎に巻き込ンで殺戮する修羅の道や。
キルステンは挙げてくれた中では一番精神が安定しとって、同じ境遇に苛まれる同胞の事もなんやかんや大事にしとる。せやから、かなり酷な道を歩ませる事になるやろなあ…まア漢気のある奴やから心中決め込んだら迷うことなく虎と並び立って突き進むやろけど。
ゼズゥは物分かりのいいツラしながら酒やら煙草やらナシやったら屋敷に囚われた運命を直視出来ひん危うい弱さを持っとる。こン屋敷と黒薔薇が憎うてしゃアないし、こっから解放されるならそれが死っちゅう極端な形であれ同胞にとっても救いになるんちゃうかて開き直れそうやね。現状に絶望しとっても自分の無力を理解しとるから動けん、そういう奴やからこそグイグイ手ぇ引っ張って道を切り拓いてくれる虎の彼ン姿はえっらい眩しゅう映るやろうね。
アッシュは自分を愛して認めてずっと傍にいてくれる存在を渇望しとるし、そんな特別が出来たンやったら何にも顧みることなくその存在の為だけに行動してどんな犠牲も厭わんやろうね。…厭えるアタマが無い、ちゅう表現の方が適切やけど。そういう意味では無垢で無邪気にいっちばん残酷な道をズカズカ無遠慮に驀進出来る奴や。喉から手が出るほど欲しかった特別な人間にこの屋敷から出たい、言われたら後先考えんと自分から「だったら屋敷を燃やしちまおうぜ」なンて言い出すかもしれんなあ。
挙げてくれた三人以外やったら、ジョネルやギレルモなんかもアッシュに近い属性で適性があるかもしれんね。どうやろ、こン情報でお相手絞れそうやろか。
ああまたなぁ、グルース。長生きしてや。
【 黒薔薇屋敷の扉は開かれており、演者様を歓迎します 】
◆統一された世界観で、複数のキャラクターを気軽にCCしながら遊びたい
(基本的には各演者様にそれぞれの別の世界線があり人間同士の関わりを持つ事はありませんが、兄弟や姉妹等の設定であればCCしながら同じ世界線で遊ぶ事も可能です)
◆キャラメイクしたけれど満足に動かせず眠ったままのキャラクターの供養をしたい
◆亡国のお姫様、失地した忍者、古代のアマゾネス等々の一風変わったキャラメイクをしたい
――他にも、黒薔薇のお屋敷が演者様の楽しめる場となれれば幸いです
>レンブラント(>1566)
よぅし、こっからは鶴の坊主に代わって、俺の出番だな。っつう訳で、此方さんじゃあ初めまして、黒薔薇の怪物さん方。
しっかり丁寧に答えてくれてあんがとな、悪魔のアンタ。話聞いても迷っちまう所は正直多いが、そうさな…そんなら、ラミアの嬢ちゃんと道を歩ませてもらおうか。なぁに、過酷な茨道なんぞこちとら百も承知、何もかもぶっ飛ばす勢いで手を引っ張って走ってやるさ。
そんじゃ、前口上はこの辺にして、とっとと舞台に上がらせてもらうとしよう。アレコレ寄り道したり、何か問題が起きたりするかも知れねえが、まあ後の事はまた後で考えりゃ良い。
これから宜しく頼むぜ、怪物さん方よ。
***
指名:ゼズゥ様
希望ルート:秘密の共犯者ルート
名前:ナミル・アッシャムス(Namir Al-Shams)
性別:男性
年齢:46歳
職業:商人
性格:気っ風の良い豪快な人物、が第一印象。怒る事の無い余裕ある感情表現ははっきりと、言葉や態度は堂々としており、他者から扱き下ろされたとしても心一つ揺るがず笑い飛ばす自信家でもある。それを裏打ちするのは、興味を持った何事も完璧と成すまで修練を積み重ねる、粘り強く妥協の無い努力家の片鱗。『有言実行・即実行』の自銘の下、良いと思った事を直ぐ様行動に移す活発さ、自分から積極的に声を掛ける社交性の旺盛さの反面、一人きりの寂寥と退屈が苦手。それ故、一人にしておけば突拍子も無い行動に出る事もままある。
容姿:身長194センチ。幅広の骨格に筋肉が乗るがっしりとした体躯に高めの体温。黒色の髪は芯を持った固い毛質であり、一度癖が付くと直り難い為、ベリーショートに整えて額を出す形に前髪を分けている。髪と同色の眉は太めで真っ直ぐ、笑い皺の付いた切れ長のアンバーアイと相俟って、虎のような意志の強さを窺わせる。全体的に彫りが深く、やや厚い唇と浅黒の肌がエキゾチックな雰囲気を纏わせている。ゆったりとした黒の開襟シャツ、白のスラックスと至ってシンプルな格好だが、どちらも専用に仕立てられた質の良い一品。シルバーリングを左手の薬指に着用、生まれつき左側の肩と鎖骨の境界辺りに目玉のような二重丸形の赤痣がある。
備考:15歳で故郷を飛び出し、その身一つでやりたい物に片っ端から手を広げ、宝飾品から不動産まで幅広く商業を育てて財を築き上げた後、それらを子や部下に引き継がせ早々に隠居した元企業オーナー。事故や病など原因は様々ながら、親族とその伴侶全てが40代の内に終命する早世の家系であり、本人が看取った内では、両親、兄姉、弟、妻が40代の内に逝去している。多くの命の終わりに立ち会ったが故か、「いつ終わっても笑って逝ける、悔い無き人生を」としたい事を貫き通す方向に志を決め、思い立てば世界旅行やら登山やらと日々エネルギッシュに驀進している。とうに成人し独り立ちしてはいるが二人の子を持つ父親でもあり、少々荒っぽいものの年下の面倒見が良い。声は強い意志と同じく張りを有してよく通る、重ねた年の分渋みの滲むバリトン。一人称は俺、二人称はアンタ、または呼び捨て。年若い相手には嬢ちゃん、坊主などと呼ぶ事も。
ロルテスト:
(朝日が昇る少し前、熱い珈琲を片手にルーフバルコニーへ上がって紫煙を燻らせる。手摺に寄り掛かってまだ静かに眠る街を眺めていれば、遠くから顔を出す太陽がゆっくりと夜を赤く焼いていく。「おう、おはようさん。」些かの眩しさに目を細めながらも、その光へ親しげな挨拶を投げるいつもの日課の後。珈琲を啜る傍ら今日の空っぽな予定を何で埋めるか暫し思考を巡らせ、「あー……そういや、アイツ店出したっつってたな。」思い出したのは少し前の友人との会話。念願のカフェ経営を始めたと笑う若き彼の背を叩いて祝福した事が記憶に新しい。「…よし、朝飯がてら顔出すか。」そう決めるが早いか半分程吸い残した煙草を消して、準備に戻ろうと踵を返したその隣のテーブルに、真っ黒な何かが乗っているのが視界を掠めた。「……ん?」改めてよくよく見たそれは薔薇を象る封蝋であり、無論用途に適した便箋が共立って置かれていた。「ほう。今時シーリングなんて、凝った真似する手紙もあったもんだな。」思わず零れた感心する言葉はさておき、その唐突に現れた不審物を手にしてみれば紙も蝋も中々の上等品、誰かの宝物でも舞い込んできたのかと辺りを見回すが、探す素振りをする人影はどの窓にも道にも見えない。首を傾げてその黒薔薇と向き合っていると、いやに中身への興味が疼いて仕方無く、気付けばぱきりとその封を割っていた。中に書かれたその一文を目で辿り、「……迎え、ねえ。」楽しげに呟きを返す。これは己に当てた文言だと、根拠は無くともそう直感して、「カッカッカ!良いねえ、俺を選ぶたぁお目が高い!いつでも来い来い、歓迎するぞ。」大笑いしてひらり振った紙が風に浚われ、舞い上がっていくそれを見上げ――覚えていたのはそこまで。次に開いた目に飛び込んできたのは見慣れない天井、それと素っ気無いが豪奢な調度品。「……何だこりゃ。」起き抜けの嗄れ声で疑問を落として身体を起こし、室内を見回しつつ眠る直前の事を思い返す。そう、確か日課の後に妙な手紙を見付けて――「……ああ、“迎え”ってヤツか。」思い当たるのはそれくらいしか有らず、一人納得した次に、「これじゃあ“迎え”というより“誘拐”だな。」実際そうであるかもしれない可能性を一息に笑い飛ばす。……さて、少しばかり状況の情報を、と探索に立ち上がった瞬間に響いたノック音。それに思案を回したのは刹那にも満たない間、欲しいものが向こうからやってきたとばかりに口の端をにんまりと弛め、「あいよ、ちょいと待ってな。」あっさり返事をして大股にドアへ近付けば、これまた呆気なく簡単に其処を開いてノックの主を不敵な笑みにて出迎える。)
Image:※じゃろ様の「uomo」をお借りしました。
https://picrew.me/share?cd=cFnC7vbJ18
>キルステン( >1562 )
( 純粋なる興味からなる質問に真面目に思案してくれる辺り、彼が “ 良いヒト ” なのは疑いようもなく。部屋が動くなんて事のない元の世界であれば彼のアイデアも突飛だなんて感じる事は無いのだろうが、今いるのは摩訶不思議な屋敷。首を傾げ考える仕草を見せるも良い案なんて浮かんで来るはずもなく 「 仲良くなった誰かしらに連れて行ってもらう、っていうのが一番マトモそうだね 」 苦笑を浮かべて。彼の様子を見て察するに屋敷の廊下のような危険と隣り合わせと言うことは無いらしい。それが聞けて満足、とばかりに足元を彩るかのような色とりどりの宝石の中から目当てを探すべく一歩二歩とゆっくりとした足取りで歩き回っているも、呼び寄せるように手招きをされれば側にしゃがみ込み 「 ふふ、確かに 」 視界に捉えた石はダークエルフの外見を彷彿とさせるもので。すうと目を細めつつも、それに対して然程心が惹かれないのはもっと彼らしい宝石が、色があるだろうと考えているからか。隣ではしゃぐ様子にゆるりと口角を持ち上げて 「 ねえ、こっちはどう? 」 手招きをしつつ案内をするのは先程見かけたアレキサンドライトに似たそれの所 「 キルステンの好みのど真ん中からは外れるかも知れないけれど、石言葉も含めてぴったりだと思うんだよね 」 月光の差し込む洞窟内では紅いルビーのように見えるだろうが屋敷の中、少なからず人間に与えられている部屋の中で見たならば青緑色に見えるであろうそれ。傍に欠片が落ちている事に気が付けば、軽く袖口で宝石を拭ってから 「 騙されたと思って部屋の中でこれ見てみてよ 」 彼が手を差し出してくれたのならば、その手の中に宝石の欠片をコロンと転がすように入れるつもりで )
>ナミル(>>1568)
(物憂げな視線を落とす先は両手の内に収まるグラス。あと少しで飲み干せてしまう量まで減った透明の液体に目を伏せ、傍に控えるトカゲの使い魔は空っぽになったボトルの上にちょろちょろと登り心配そうに主人を見つめ「 …分かってる。今夜は一本って約束だもんね 」力なく微笑しグリーンを基調としたネイルに彩られた指先でつるつるとした使い魔の鱗をそっと撫でる。小さなトカゲは心地良さそうに目を細め、また主人の深酒を止められなかったら…という懸念が杞憂に終わった事に安堵するようにその場でくるりと一周してからぷきゅいと鳴いて「 この近くに新入り?……そう、また… 」またひとつ、理不尽に黒薔薇へ縛られる命が増えてしまった。陰る表情を引き摺ったままとぐろを巻いていた下半身をしゅるしゅると解いて立ち上がり、手慣れているというよりすっかり癖になってしまったという手つきでテーブルの上のシガレットケースから黒い煙草を一本取り出し咥えながら自室を後にし、向かうのは件の不運な新入りの部屋。あまり煙の出ない仕掛けをしているのか、僅かな紫煙をくゆらせながらノックの応答を待つ事数秒。怯えなど微塵も感じさせない、寧ろ微かな喜色さえ含むような声が扉の向こうから聞こえてくればきょとんと眉を上げ、その表情のまま想像だにしなかった剛毅な笑みと対面し「 ……こんばんわ。あんた、人間にしちゃデカいね 」些か抑揚に欠けるトーンで思ったままを告げながら相手の顔を見上げ「 新入りって聞いたよ。色々困ってるだろうから説明しに来た 」端的に訪問の用件を伝えれば答えを待つこともなく上げていた視線を真正面に戻し、明らかに人ならざる下半身を器用にくねらせその鱗をずるずると引き摺りながら彼の横をすり抜けるようにして室内へと進み、まだどの怪物の残り香もない部屋に一番乗りだと悟りながら特段それを嬉しいとも面倒とも感じることなく彼の方に顔を向けて「 …煙草、苦手だったらごめん 」言いつつ消す気は無いのか、灰が床へ落ちる代わりに微細な粒子となってハラハラと消えてゆく不思議なそれを咥えたままソファーの背凭れ部分に両腕を置くようにして体重を僅かに預け「 あたしゼズゥ。あんたは? 」自然と視線の先にある、不気味なほど巨大な銀色の満月を見据えながら問い掛けて)
>グレン(>>1569)
そういうコト。いいじゃない、アンタは他のコと違って頼む相手に事欠かないんだから
(この屋敷では風前の灯火に近い儚さをもつ命の炎、それが燃え尽きてしまう前に不思議なこの屋敷を探検したいと願う気持ちは理解できる。だがそれを易々と叶えられる獲物は決して多くない、彼のように特定の怪物から深い寵愛を受けるのならば話は別だが「 なあに? 」お気に入りの場所で煌めいているものに囲まれてすっかり上機嫌なのか、幾許か刺々しさが抜け丸みを帯びた声にて手招きに応じてカツカツとヒールを運び「 あら情熱的ね。嫌いじゃないわよ 」自身の顎に手を添えまじまじと見つめる紅は率直に綺麗だと感じるものの確かに選抜して自らの手元に持ち帰るほどのものではない。だからこそ光源が異なる場所でそれを見る機会もなく、どこか腑に落ちない様子のまま彼の意を汲んで片手を掌を上に向けて差し出し「 アンタ、石言葉なんていちいち覚えてンの?ロマンチストなのねえ 」指先でつまんだその欠片をあちこち透かして観察しながら、しかし変わる気配のない色合いに首を傾げてポケットへと仕舞い込み「 それじゃあ、ハイネにあげる石にも意味のあるもの選ぶワケ? 」ゆったりとしたテンポで洞窟を歩くヒールの音を響かせながら、自らも再度物色へと戻りながら語りかけて)
>ゼズゥ(>1570)
(己が文字通り頭抜けた体格である自負から、ドアを開きつつ下げる癖の付いた視線の先で、躑躅を彷彿とさせる濃色の瞳と搗ち合う。「おう、こんばんは。嬢ちゃんこそ随分イカした格好だな。」初めの挨拶に添えられたものを褒め言葉として受け取り、それに此方からも一言お返しをした後、「そりゃあまた、わざわざと有難い。」礼の一声と共に、入室の素振りを見せた彼女へ一歩退き、少し離れた所でやっとその全身に気付く。――作り物とは思えぬ動きをする蛇の胴と尾。それにタトゥーかと思えた肌の鱗も、照明や月光を反射して艶々と煌めいている。しかしながらそれらに呆気に取られたのは一瞬の話、今は情報収集と頭を切り替え、丁度彼女の真正面へと当たる位置まで己も移動する。それから詫びる彼女へ上げた片手をひらひら軽く振って、「いい、いい。気にすんな。俺も煙草はやるクチよ。」そう寛大に笑みながら、どっかりと傍の椅子に脚を開いて座る。「俺はナミル・アッシャムス。宜しくな、ゼズゥの嬢ちゃん。」続けて名乗りに応じて此方からも堂々あっさり答えを渡したその次、「さて、自己紹介も済んだ事だし、アンタの親切にちょいと甘えさせてもらおうか。」本題とばかりに話の道を開拓しつつ、人ならざる何かへ対して距離を縮めるように、膝の間で手を組み上体を彼女の側に傾ける。「そうだなあ…まず此処が何処で、何の目的で此処に俺を置いたのか、その辺りを訊かせてくれ。」一番初めの小手調べ、まるで交渉事でもするかの如くじっくりと彼女の瞳を見据えた問いの後、「なにぶん、誰ぞに拐われる理由に心当たりが多くてなあ。こればっかりは見当がつかん。」ジョークなのか本気なのか、少なくとも喋る当人は些事とからから笑って質問の補足をし、そのまま彼女の返答を待つべく一度言葉を締める。)
>ナミル(>>1572)
……嬢ちゃん?
(どこか気怠い気性をそのままに僅かに瞼を押し上げることで眠たげな双眸を軽く瞠ったのは明らかにヒトよりは数段長い時を歩んできた自負から来る違和感、しかし何の説明も受けないまま理不尽に囚われた彼にそんな事は知る由もないと理解しているためそれ以上の追及はせず「 この姿がイカしたカッコに見えるなら、あんたの感性は〝こっち側〟だね 」人を堕落させる悪しき存在、毒牙によって命を蹂躙し自身の体積より遥かに大きな獲物をも丸呑みする貪食の怪物。蛇という生物が人間界で忌避される側だと自覚があるうえに、事実ここへ攫われてきた人間たちも往々にしてこの鱗や異形の風体をおぞましいものを見る目で眺めるもの。ゆえにあっけらかんと告げられたポジティブな感想は世辞の類であると解釈し、ふたりの間を隔てる埋めようのない種族の差を示唆するようにじつと見つめなければ見逃すほど幽かに口角を上げて。「 そう、気の毒。ここじゃあんた達は煙草一本味わう事もままならないのに 」此処で人間に対して保証されるのは最低限の衣食住であり、嗜好品は自動で支給される対象には含まれない。もし酒と煙草に依存する自身が彼らの立場に置かれればと思うとぞわりと背中に冷たいものが奔り冷汗が滲んでしまう心地で「 ……あんた、あっちで悪い事してたの? 」豪快に笑う彼に好奇でも嫌悪でもない純粋な疑問を宿した目を向けるが、しかし彼の態度の通り善人も悪人もこの屋敷では些末な事。どこから話そうかと一度煙を吐いてから食指と中指で吸いかけの煙草を挟み「 あの月見てよ。あれだけであんたが昨日までいた世界とは全くの別物でしょ?ずっと夜だし、魔法やら怪物やらで溢れてる。此処は黒薔薇のお屋敷、有り体に言えばあんたの死に場所。 」視線だけで示すのは窓の先に鎮座する滑稽なほど巨大な満月。次いで異世界を証明する自身の尻尾の先で一度だけ床をぽふりと叩いて見せて、初対面だがずいぶん剛毅な人物に思える彼に回りくどい表現は無用と抑揚に欠けた調子で淡々と紡ぎ「 このお屋敷に住んでるのは怪物とその使い魔、それと攫われた人間たち。あんたは数十億の中から怪物の食事に選ばれたの 」そこまで言い終えてから、まるで息継ぎでもするように当然のような手つきで一口煙草を吸って。屋敷に住まう存在についての言及にひとつ言い洩らした種があると気付けば視線を斜め上に向け「 ああ…忘れてた。もうひとつ、腹ペコのケダモノも屋敷のあちこちを徘徊してる。言葉の通じる相手じゃないから、見つかれば人間はすぐ食べられちゃう。あんた達はあくまでもあたしらの為の食事、だからそんな勿体ない目には遭ってほしくない。…この部屋はもうあんたのものだよ、ナミル。だから気兼ねなく過ごせばいいし、生活に必要なものは使い魔が世話してくれる 」同じく黒薔薇に囚われた身としては何百と説明してきた当然の事柄、しかし今しがた拉致されたばかりの彼には荒唐無稽と唾棄されて然るべき内容。ゆえに「 質問は? 」と余計な悲壮感を醸すこともなく惜しみなく求められた情報は与えると意思表示をして彼に視線を向け)
>ゼズゥ(>1573)
(気怠そうな彼女の言葉の含みに異常事態である事は察しながら、動揺する様は微塵も無い。「いんや、別段何も。ちっとばかし好き勝手はしたが。」彼女が恐らく想像したような悪事には首を横に振り、しかし付け加えたそれが言葉通りの“ちょっと”ではない事は、不敵な悪戯顔で伝わるだろうか。――まず指し示された窓の大月に同じく視線を、次に揺れた蛇の尾にも瞳を。暈す真似をしない蓮っ葉な物言いで綴られる、妄誕出鱈目に思える話にも茶々や顰蹙一つ入れずに只黙って真剣と聞き入り。「……成る程なあ。」向けられる目と搗ち合ったのを切っ掛けに前のめりだった上体を背凭れへと移しつつ、五指で顎を擦ってまずその状況を飲み込む一声を打ち、思案するような数秒の沈黙の後。「――フハッ、ハッハッハ!」思わずといった具合に零れた息を呼び水に、顔を上げて呵々と笑い声を部屋に響かせ、「ああすまん、別にアンタの話を嗤った訳じゃあなくてな。」それから顎元の手をひらり彼女へ振って謝意を口にはするものの、それはどうにも未だ大笑の跡を引き摺った説得力に欠ける震え声。「いやあ、そろそろ俺もくたばる頃合いだとは思ってたが…そうかそうか、こりゃまた凄い奇跡に選ばれたもんだ。」その合間に気触れにも見える一連への説明とも、単なる独り言とも聞こえる言葉と、治まらない笑いにばしばしと膝を掌で叩く豪快な音を互いの間に置いてから少々。「おっとそうだ、質問だったな。……ちょいと失礼。」一つ息を吐いた折に問いを思い出し、首を捻る所作に続けて断りと共に椅子を立って、そのまま踏み出した足が向かうのはついさっき彼女が示した窓。其処から始めに空を、次に地を覗くようにじっくりと視線を動かして外を観察し、ほんの微か感嘆らしき声を落とした後に、その場から室内にも改めて目を巡らせる。「…ふむ、待たせた。」それが一通り済んだ所でまた椅子へと座り直し、「まず、此処が俺ら人間にとって死が隣り合う屋敷だってのは解った。この部屋に居りゃ比較的安全な事もな。その上で訊くが、」彼女の瞳を至極真摯に真っ直ぐ見詰め、己なりの解釈を告げる事で話を丸々飲み込む意を記す。だがその先には、「アンタらみてえな話の出来る怪物さん方と屋敷を歩くってのは可能か?…いやなに、折角知らん世界に来たんなら探検の一つでもしてみたいんだが、それが一人じゃ味気無えなと思ってよ。」危機感など無い――否、危険も承知で立ち向かう放胆な冒険心を、細めた琥珀の眼と吊り上がる口端に目映く宿して、それこそ無稽と評されかねない問いを堂々彼女へ投げ掛ける。)
>ナミル(>>1574)
確かに悪人には見えないね。……もうすぐ死にそうにも見えないけど
(この屋敷に攫われてきた人間は、その理由を明かされた時幼いほど泣き喚き老いるほど憤慨する傾向にあると感じていた。からこそ彼の静寂を打ち破る呵呵大笑には波紋の双眸を一度ぱち、と瞬かせ、豪快で活気に満ち溢れたように感じる眼前の獲物が自身の死期を示唆するような発言をしたことに違和感を覚えて小さく息を吐きながら見たままの感想を。窓から見える景色は果てしなく広がる黒い森と窓枠に這うように咲く黒薔薇と、人間だけでなく怪物をも矮小な命だと嘲笑うような無遠慮に巨大な月輪。それを眺める彼の魂胆を図れずただ黙して待ち、その間に吸い終わってしまった煙草の吸殻を指先で粒子のように消し去って、また彼と視線を合わせ「 無理。――って言っても、あんたなら独りで出て行っちゃいそうだね 」これまでの話を踏まえても恐れるどころか好奇に満ちたような目、それを真っすぐに見つめてしまえば何よりの説得力を感じて点々と鱗の這う両腕を組んで「 使い魔を経由すればあんたからでも怪物にコンタクト出来る。伝言なり手紙なり持たせたらいい 」ちらと視線だけで見遣るのはベッドの傍のデスクの上に備え付けらえた簡易なメモ用紙とペン一式。しゅるり、鱗同士の擦れあう音と共にまるでろくろ首のように伸びるのは蛇の肢体、腰から下を伸ばすことで立ち位置を変えることなく上身のみを彼に近づけ、グリーンのネイルに彩られた食指の先、その腹を彼の額にそっと押し当て「 話が通じるって言っても所詮あたしたちは怪物。それなりの役割を持って此処に居るから、食事の我儘に付き合うには何かしらの対価を求められるケースが大半と思っときな。中には無償で人間の世話焼きたがる変わり者もいるけど、当然引っ張りだこよ 」このまま指を当てていれば体温で火傷してしまいそうに錯覚して、言い終われば指と共に伸ばしていた体の部分をしゅるしゅると元のとぐろへ収納していき「 ラクシュエリとラザロ…それからキルステンもか 」五指を折りながら彼には馴染みのない名前を列挙、そうしてまた彼を見つめ「 ナミル、あんたは今言った三人の大好物。冒険のお供に選ぶのはやめといた方がいい 」彼からは死を忌避するような所感はないが、とはいえそれを歓迎し早死したがっているようにも思えない。余計なお世話と半ば分からぬ無意識のまま、熱を感じる指先をふうと吹いて)
>ゼズゥ(>1575)
おう、倅やダチにもよく言われたな。“あと二百年は生きそう”だとかよ。
(彼女からの言葉にまたにっかりと口を緩め、親しいものとの軽口のやり取りを再現しては笑う声を噴き。己の問いに素気無い返答、しかしそれでも思案してくれている姿へ、「まあな。じっとしてんのは苦手な性分さ。」更にもう一つ意志を裏打ちする質を補足して。続けて彼女の視線を追って筆記用具を認識し、再び戻した視界の真ん前には濃色の瞳と細い指。「…成る程。なあに任せておけ、交渉事は得意な方よ。こちとら、それで食い扶持稼いだ人間なもんでな。」冷たい温度が伝わる額はそのまま、互いの立場をより明確にされる助言にも臆さず胸を張り、今までの経験に支えられた自信を全面に威勢良く言葉を返す。それから退いていった彼女の口からは、それだけでは人物の想像が付かない名の羅列。「ラクシュエリ、ラザロ、キルステン……解った。忠告あんがとよ。」それらを己の口でもなぞる事で確かに記憶へ貼り付けた後で、姿勢はまた彼女の方へと前のめりに。「そんじゃあ嬢ちゃん。――いや、ゼズゥ。」切り替えの一呼吸と瞬きの次、先程までの豪快な笑いを潜めつつも、余裕あるどっしりとした態度は崩さぬまま、茶化す真似をしない真剣な声で彼女を呼んで、「アンタなら、どんな対価がありゃ付き合ってやってもいいと思える?」一歩一歩ゆっくりと獲物との距離を縮めていく虎が如く、油断も不敬も無く確と瞳に彼女を捉えながら、話の参考とも交渉の開始とも取れる一声を立てる。)
>ナミル(>>1576)
…………、
(倅、と。その単語に反応するように華奢な肩をぴくりと揺らし口を噤み、今まで能面のようだった表情は哀しみを帯びて長い睫毛を伏せて。守るべき存在から彼を引き離した張本人ではないと頭では理解しながらも、〝子〟に関連する内容には何か含みがあるように沈黙を破る術を見つけられずにいる中、重厚感のある声に唯一の名を呼ばれてゆっくりと俯きがちになっていた顔を上げて「 ……旨くてキツい煙草と酒。 」少しの間が空いたのは対価を考えていたわけではなくそれを要求する事に少し後味の悪い恥ずかしさを感じているのと、人間の身で用意できるものではないと理解していたから。勿論最も欲しいものはこの黒薔薇の呪縛からの解放だがそれこそ誰に願っても叶わぬ絵空事、夢見の悪さは今に始まった事ではなくふるふるっと小刻みにかぶりを振って「 …煙草、作った事ある? 」ふとそう問いかけ、ちょろちょろと忙しなさそうに窓の外を這うトカゲの使い魔に視線を遣り「 あの子たちが調達してくれる既製品じゃもう物足りないんだ。だから自家製に切り替えたいんだけど、葉の組み合わせが何百通りもあるから難航してんの 」不健全極まりない事を言っている自覚はあるものの、これは互いにとって利のある取引の筈。魔界の葉は人間にとって猛毒、ゆえに人に依頼する作業ではないと分かっているが葉っぱ同士の匂いから人間独自の感性で奇跡的に理想的なブレンドを生み出せる可能性もある。恥じるな、と内心で己を鼓舞し真っすぐだけれどどこか照れくさそうな色を混ぜた複雑な表情で「 手伝ってくれる? 」と告げてはすぐについと目を逸らし)
>ゼズゥ(>1577)
(己とは対照的に憂いを帯びた表情に、一瞬訝しむように片眉を軽く吊り上げる。しかし此方の声に応対して顔を上げた彼女が答えた物品へ、「お、そいつぁ良いなあ。俺も欲しい。」何処か気まずさを抱えた言葉ごとからり笑って、冗談混じりに相槌の一言を打った次、「ああ、シャグが俺の愛用煙草よ。」拘りの手巻き煙草を紙に包む慣れた仕草を、顔の横に備えた片手の指先で示してみせ。動いた視線に合わせ窓向こうを自身も窺えば、作業に追われるような心配に様子を覗くような、兎に角慌ただしい爬虫類の姿が視界に入り。これが先程言われた使い魔かと数秒好奇の光を注いだ後、彼女へと再び向き直った顔には、かっと照り付けるような太陽の如く快活な笑みを浮かべ、「おうとも、お安い御用。どうせ吸うなら、とびきり自分好みに拘ったモンが良いに決まってらあ。」一も二も躊躇いも無く頷いて、続けて取引を受け入れるついでに己の信条もさらっと流す。その了承の区切りに膝を一打ち、それから立ち上がって片腕を一回し。「ようし、そんじゃあ早速やるとしよう。その葉っぱってのは何処にあるんだ?」有言実行、善行――とは言い難いかもしれないが、少なくとも己にとっては善き事と疑わぬそれを即実行、と気合い充分に身の簡素な準備を整え終えれば、わくわくと心躍る色を隠しもしないやんちゃを滲ます面持ちでその肝心な葉の居所を問い掛ける。)
>ナミル(>>1578)
言ったでしょ、あんたは食事なんだから有害物質禁止。
(今までで最もメリハりのある声色できっぱりと言い切るのは何処かの誰かに向けたパフォーマンスのような色を帯びる。喫煙に至った経緯や目的はきっと自身と相手で大きく異なるのだろうが、同じ愛煙家として目の前に煙草があるのに吸えない辛さは身に染みて理解できる。彼がヘビースモーカーかは現段階では分からないけれど、少なくとも自身の食欲を揮わせる事のない相手ならば多少甘やかしてもいいだろうと蛇の身体を伸ばして相手の耳元に顔を寄せ「 …今のは建前。もし最高の煙草が完成したらあんたにも吸えそうなやつ分けたげる 」彼にとってこの手伝いの見返りは屋敷探検への同伴だが、それにオマケを付けたって理不尽な檻に閉じ込められた者同士罰は当たらないだろう。また日を改めて候補の絞った葉を持ってこようかと思案していた矢先、思い立ったが吉日を地で行く彼の様子に一度瞬きをして、それからふっと吹き出すように軽く笑って「 そんなに探検が待ちきれない? 」まるで腕白盛りで片時もじっとしていられない少年を見るような慈愛に似た何かを視線に織り交ぜ、彼のそういった特性が家系の呪いにまつわるものなんて想像する由もないままずるりと鱗を引き摺って唯一の出入り口である扉へと向かい「 …ついておいで。丁度すぐ近くの扉に来てるみたい 」背中越しに伝えるのはまるで無数に並ぶ廊下の扉の中身が刻一刻と交代しているような違和感を与える口振り。廊下の静寂を破るドアノブと蝶番の軋む音、それと重い質量を引きずる音――薄暗く、月光と燭台の灯りが頼りのそこは果てしなく続く無限の迷宮で、しかしほんの三つばかり先の扉を呆気なく開けばふわりと漂うのは複雑でエキゾチックな香り。「 入る前に一つ約束して。此処にあるのはこっちの世界の葉っぱばっかだから、人間のあんたには毒性が強すぎてあんまり長くは居させらんない。とはいえ人間を連れて来た事なんてないからどのくらいが限界なのかも分かんない――だから、体調がおかしいと思ったらすぐ言うんだよ 」言い終えてすぐ〝 分かった? 〟と顔を近づけてから、ついて来いと示すように先んじて部屋へと入る。そこは色とりどりの葉がそこかしこにびっしりと貯蔵或いは群生している無法地帯で、部屋の中央のテーブルには何百通りもの配合を試した形跡がごちゃごちゃと放置されている。いずれも長時間に渡る作業だったろうに室内に椅子が存在しないのは、この部屋の主がそれを必要としない種族だという事を如実に物語り「 …これでもある程度厳選したんだけどね 」瓶の一つを指先でなぞりながら、どこか恥ずかしそうな、それでいてうんざりするような疲労感を醸してぽつり呟き)
***
話し中にごめん。あたしの研究室のイメージ画像を【足跡】に公開したからロル描写の参考までに見てくれると嬉しい。葉っぱの種類とかは好きに創作・登場させてもらって構わないからね。こっちには反応不要だよ。
(https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/locus)
>ゼズゥ(>1579)
おっと、手厳しい。
(今までに無いぴしゃりとした物言いに嘆く言葉を、それとは正反対に跳ねた冗談で返す。「……ほう。こりゃ頑張んねえとなあ。」しかしながらその後に続いた話には此方も声を潜めて、悪戯を企む子供にも似た顔でにんまり笑い。己の行動にか言葉にか、何にせよ向かい合う瞳が何処か和らいだ事に喜ばしげに目を細めつつ、「おうよ。こちとら意欲も行動も鮮度第一主義、やりたい事を前に黙って大人しくなぞしてられんのよ。」問いを肯定したその上から更にやんちゃ小僧のようなアグレッシブさを放る。彼女の進行に合わせて己も扉の先へと出る直前、まるで屋敷そのものが生き物の肚さながら蠢いているとでもばかりの発言に頭を傾げつつ廊下に足を進める。――月と蝋燭の見下ろす冷えた通路。目を凝らしても先を見渡しきれない闇を残し、その内に言葉通じぬ人喰いのケダモノが潜むという其処は、成る程ミノタウロスの迷宮の如し。「……ますます面白そうな所だな。」だがそれに萎縮する性根の持ち合わせは端から無し、短い歩数の合間にそう好奇の独り言を零していれば、また扉の開く音と共に、多くが絡み合う芳しい香りが鼻を擽る。意識をそちらに向けた瞬間、丁度彼女の注意と約束事が飛んできて、「オーケーオーケー、ちゃんと言うさ。」少々ばかり軽さはあるもののきっちりとそれに頷き奥へと歩を踏んで。――有らん限りに広がる、当然見た事も無い葉に所狭しと並べられた瓶達。「ははあ……こんな量、一人じゃ大変だったろうよ。」厳選したと告げた彼女に、今見ている何倍も種類があったのだろうと察しが付けば、そこに言葉を惜しみ無く掛けて、隣の彼女の肩をぽんと柔らかに叩いて労う。「そんじゃ……どれ失礼、」それからもう一声置いて前へ進み、テーブルの上の瓶の中身を幾つか吟味に持ち上げて、「ハハッ、凄い色してんなあ。…ああでも匂いは悪かねえな。」思ったままの感想を一人流した後、一度それらを戻して今度は壁際の棚へ。其処から一つ一つを取って鼻を利かせる仕草を繰り返し、多くの内から苦い香のする薄赤い葉と、潮に近い香の黒い葉の二つを手に残した次に数秒首を捻って辺りを見回す。些かの間唸った後、棚の隙間を縫って顔を出す、紫に青の粉が振られたような葉を下げる植物に指先を近付け、「……おっといけねえ。嬢ちゃん、これ俺が触って大丈夫なモンか?」触れるその前にはっと手を引き、この部屋の主たる彼女へ身ごと振り返って、指差したそれの危険性を先んじて問い掛ける。)
>ナミル(>>1580)
(自分で寄せ集めた葉達とは言え、強いフレーバーと毒性を求める余りかなり香りの主張が強い種類が選抜されてしまったこの空間は自身ですら長時間居れば頭がくらりとする夜もある。彼があまりにも豪胆なものだから半ば勢いに押される形で連れて来てしまったが、いざ密室になってしまえば人間の身で大丈夫なのだろうかと内心ハラハラしながら「 …ねえ、ほんとに大丈夫? 」強い香りに中てられてしまわないか心配そうに様子を伺いながら、蛇の肌には少々熱すぎる手のひらが触れた肩を冷やすように自身の冷たい手を当て「 乾燥させたら全部枯れ葉色になっちゃうの、勿体ない 」凄い色、という感想に釣られるように生きた葉を見上げながらぽつり呟く。無論煙草の色なんてどうでもよくただ絶望から目を逸らすための依存先としての役割を果たしてくれればそれで構わないのだが、色彩豊かに葉を茂らせるあれらを自身のエゴに付き合わせてしまう事には多少の負い目を感じて目を伏せ、しかし問い掛けにはハッとそちらを向いて「 ……素手はやめとこっか 」如何せん判断しかねるのは、怪物たる自身にとって無害な植物が人肌をどこまで侵食するのか見た経験が無いため。少々迷うように沈黙した後、熱いものを触る時に使用する分厚い黒のグローブを相手に手渡し「 …やっぱ自分の発想だけじゃ息詰まるもんか 」ちろり彼の手に選ばれた葉の組み合わせはとても斬新で、自身だけでならば辿り着く事のない選択。しかし妙に期待出来そうなそれらに感心したようにぼそりと呟いて、自身は中断していた作業の続きとばかりに迷うことなく彼に背を向ける位置の棚に手を伸ばし琥珀色の甘ったるい香の葉と、唐辛子を何倍にも凝縮したようなツンと痺れる刺激臭を放つ蘇芳色の葉を紙の上に選んでいき)
>ゼズゥ(>1581)
大丈夫大丈夫、身体は人一倍丈夫なもんでな。
(彼是と瓶を傾けてみる最中届く声に振り返り、自らの胸元を掌でばしばしと大仰に何度か叩き、風邪すら跳ね返していきそうな体躯の頑強さを主張する。それからまた遠慮無しに、しかし音を立てるような乱暴さとは無縁の丁寧な所作で片っ端から葉を吟味する。「……確かに。こんな見事なのになあ。」その途中で聞こえた一言へ、丁度手にしたマゼンタ色を室内の明かりに照らしつつ同調を零す。「おう、あんがとよ。」半端に下がっていた手を彼女が差し出すグローブへ軌道修正、それに指を通して拳を一度握り、爪の先まで馴染ませてから改めて目の前の葉を一つ拝借する。その香を確かめた後、植物の観察に少しばかり屈めていた背を伸ばしてテーブルへと足を運び、失敬した新品の紙の上へ持ったままの瓶の中身を乗せていく。「…なあゼズゥの嬢ちゃん、物でも策でも何でもいいけどよ、何かしらアイディア出すんなら誰かと一緒の方が良い。人が居りゃ居ただけ、視界が拓けて多くの道が見える。」作業の最中に徐と開いた口が紡ぎ始めるのは、先程の彼女の呟きに対しての言葉。「誰かの手を求めるのは何も恥ずかしい事じゃあない。寧ろ、勇気ある立派な決断さ。」目線は手元の紙と葉に、とんとんと指先で振るってその三種の量を調節しながら続けていくお節介じみた経験則の話は、瓶の代わりに紙を持ち上げた所で終いとなり。「……っと。そら、試作一号だ。」苦い薄赤の葉と潮の黒い葉は、後者の方をやや多めに。そのアクセントに燻したような渋く深い香の紫に青粉の葉を極少量。彼女の傍に歩み寄ってその調合品を互いの目の前へ向け、「俺の基準にゃなるが、取り敢えず酒に合いそうな香りのモンにしてみた。…アンタ、酒もやるんだろう?」まだ手探りの初回品、一先ずの選択材料としたのは他でもない彼女のもう一つの取引候補からの連想。「本当は味や煙の濃さも確かめられりゃ良いんだが……それは流石になあ。」何分異界の煙草葉、事前の注意もあって手出し出来ない所を補う為に、香り重視になってしまったのは否めず苦笑いを浮かべて。「兎に角まあ、これは単なる試しよ。好みじゃなけりゃ、それはそれで別に構わん。」しかし直ぐに表情の湿気を払って闊達に声を飛ばし、移った視線は彼女の手元。「そんで?嬢ちゃんのそれはどんなモンだ?」興味津々弾む問いに違わず、瞳を煌々と好奇に輝かせて彼女の持つ葉を覗き込む。)
>ナミル(>>1582)
……かもね。特にナミルは道なき道を見つけるのが上手そう
(一人で黙々と作業に明け暮れるのを苦と思った事はない筈だが、しかし同じ空間から誰かが静かに語りかけてくれるのを存外心地よいと感じている事に気付く。きっと彼の語り口調が声高く喧々としたものではなく、重厚な声でひとつひとつの言葉を手のひらに乗せて届けるような落ち着いたものだからだろうな、そんな風に感じながらすぐに傍らの彼へと話題を移したのは有難い助言を自分事として受け取れていない証拠。しかし己ではそれに気付けないまま、例えば目の前に広がるのが到底進めそうもない断崖絶壁や底なし沼で誰もが立ち竦み引き返す中、彼だけは豪胆に微笑み腕捲りをして躊躇いなく岩肌に手を掛け沼に踏み入るような、そんな場面を次々と浮かばせては消してを繰り返しながら小さな擂鉢の中で先ほど選んだ葉を粗く潰し始めて「 ねえ、誰かに頼られるの好き? 」経験則の話が結ばれたのを察してだしぬけに放った言葉は問い掛けの形を取ったにもかかわらず解を待つ前に「 あたしは好き 」と続けて「 だからこそ、せっかく頼ってもらえたのにもし何もしてあげられなかったら堪らなく凹む。自分の無力に愛想が尽きる 」途中で葉を擂り潰す手が止まったのは、そんな〝たまらなくへこんだ〟経験の追憶を辿ったからだろうか。きっと暖かくてお節介で困っている人を放っておけない、そんな性質を感じさせる彼がこの夜闇に沈んだ屋敷で諦めに燻る怪物たち――哀れな蛇も含めて――へと手を差し伸べ、自身と同じように無力に打ちひしがれて欲しくない、否そんな必要はないと願望に似た不器用な忠告を。眼前に示された試作一号の香りを真剣な眼差しで確かめ、視線だけで彼を見上げて「 悪くない。…けどまだまだ遠慮してるね、もっとガツンと来るやつ作ってよ 」感じたのは深い毒性、しかし上品なベールを一枚纏った気取った貴婦人を思わせる薫香。求めるのは誰彼構わず誘惑し溺れさせる危うい魔性の阿婆擦れのような、辛気臭い夜も邪魔くさい茨も全て忘れさせてくれるような強く中毒性のある刺激――そんな理想を投影した自らのチョイスを試すべく擂鉢を片手で掴んで鼻に寄せた瞬間「 ――ッ! 」思わず勢いよく顔を背けてけほけほと空咳を数回、生理的な涙を滲ませながら恨めしそうに擂鉢へと視線を戻して「 …これはやり過ぎ。あんたのと足して二で割りたい 」刺激に全振りでとてもではないが味わえるものではないそれを押し付けるように彼の胸へと強く差し出し「 顔で嗅ぎにいっちゃだめ、手で軽く扇いで 」人の身には危険かもしれないと懸念しながら彼にもそれを共有するのは、彼ならばブラッシュアップを重ねて自分では辿り着けなかった美味な巡り合わせを見つけてくれるかもという期待感の表われで)
>和洋中問わず>>1567の通り幅広く演者様をお待ちしております
>ご新規様は登録/無登録問わず1~2名様募集中です。常連様はいつでもお戻りください。ご質問・ご相談だけでもお気軽にどうぞ[ 今夜の案内役:ハイネ ]
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>ゼズゥ(>1584)
(言葉の終わりに、ぽつり問われた一言。無論と肯定を返すその前にもう一つ、それは彼女自身の答えで纏められた。「……そうだなあ。必ず助けてやれるヒーローみてえな万能なぞ、誰の何処にもありゃしねえ。一人の両手じゃあ、どうしたって出来る事に限りがある。」きっと、此方もそう言葉を綴るだけの“心当たり”があったのだろう。答える声は寄り添うようで、ほんの少し沈んでいたのは気の所為では無いと、苦く眉の下がった笑みが伝えている。しかしそれは直ぐ様、一瞬きの間に消え失せて、「――でも。それでもだ。」切り返す音に、瞳に光がまた点る。「頼ってくれた奴に、“何とかしてやりたい”と向き合う事そのものに意味がある。結果が何一つ変わらなかったとしても、伸ばされた手に出来る最善を尽くす事は決して間違っちゃいない。」骨太の芯を通して告げる。“己の助けを求めた者から目を逸らさなかった事”にこそ意義はあると。どんな結果だろうと、その者の為に足掻いて藻掻いて踏ん張った想いは無かった事にはならないと。「少なくとも、俺はそう信じてここまで生きてきたさ。」とんだ綺麗事でも貫けば揺るぎない鉄柱の信念。そんな忠告への対抗とも、彼女への慰めともつかない話を終わらせて。差し出したそれは彼女には物足りなかったらしい、「ふむ。まあ確かに、ちっと遠慮はあったな。」評価の終わったその試作一号を素直に引っ込め、その入れ替わりに此方の胸元へ渡った擂鉢を受け取る。咳き込む彼女の忠告に頷いて、自身の試作は一旦テーブルに置き、言われた手順で鉢の中身を仄かに窺えば鼻に刺激が走り――一瞬くわんと視界が眩み、喉にも辛みが残る。思わず己も咳を二度払った後、「……成る程。いやあ強いな。」ただ扇いだ淡い匂いを嗅いだだけで味わった感覚を、からからと笑い飛ばしてから数秒思考の巡回を。次いでおもむろに足を向けたのは棚の一角、其処に置かれたマリーゴールドに似た鮮やかな黄の葉をまず一つ、それとはまた別の、夾竹桃を思わせる濃く甘い香を持つ白黒マーブルの葉も一つ、各々持って彼女の元まで戻り。それから手にした瓶の内前者の黄色を彼女が混ぜたものに少量追加し、新たに入れたそれの軽やかに香ばしいナッツのような薫りが立つよう荒めに擂って、「……ん、悪くねえかもな。」加えた葉の効果なぞ知る由も無い直感ではあったが、もう一度確かめた時には刺々しさが抜けた気のするそれを白く冷たい手元へ返し。「これならどうだ、嬢ちゃん。」その改めた中身の評定を問うその間、先程より渋みを減らした己の調合に、持ってきたもう一方のマーブル模様の葉を多く振って試作二号を創り出す。)
こんばんは、それと久し振り……かな。
先ずは物語の途中で不在になっちゃってごめんね、少し俺の背後が多忙になっちゃって。余裕が出来て覗いて見た頃には屋敷が閉まってるっぽかったから、足跡を残して行くのも何か違うかなって思ってさ。……なんて、言い訳がましいのはここまでにしておいて、久々になってしまうけれど君たちと物語を紡ぐのが僕の楽しみなのは事実でさ。久々になってしまうから色々と見苦しいところがあるとは思うんだけれど、相手をして貰えたらなって思ってね。
僕の記憶が正しければ最後は >1571 、確かキルステンと会っていた夜の事で僕の返事からだったはず。本当だったらこれに添えられたら良かったんだろうけれど……余りにも不在にしてしまったからね。先に挨拶だけさせてもらおうかなと思って。
僕の言いたいことを並べてしまっただけな気もしなくは無いけれど…………お返事待ってるよ。
>ナミル(>>1586)
ああ……うん、そうかも。思い当たる節はある
(そう言って徐に口を開き抑揚に欠けるが懐古するような穏やかな口ぶりで語り始めたのは、遠い記憶の彼方、霞がかってそれが自分の体験なのか他者のそれなのか境界があやふやになるほどの古い古い出来事。遥か上空に鎮座する三日月の形が好きで、それを取ってきてとお願いをした幼子がいた。当然実現は不可能だけれど、願いを受けた者は三日月モチーフのネックレスを幼子に贈った。〝この三日月はあなただけのもの〟そんな言葉と共に。当初の願いだった本物の三日月は未だ自分のものにならないまま天空に在り続けているが、別の形で願いを叶えてくれた――或いは叶えられたことがとても嬉しくて心が満たされたのだと。「 ……ねえ、ナミルならどうしてた? 」もし同じ望みを――絶対に自分の力では額面通りに叶えられない願いを託されたなら。獅子頭の怪物・レオニダスにどこか似ていると感じさせる煌々と輝く彼の双眸をじっと見つめ、自身と同じように咳込んだ彼を心配するように眉尻を僅かに下げるも笑っている表情にほっと安堵して動向を見守る。その新たな選択は大変新鮮で、けれど確かに相性のよい組み合わせに「 あんた、センスあるね 」ぽつりと落とした賛辞は弾むような声色ではないものの驚きと期待の入り混じった微かな高揚を含んでいて「 ありがと 」受け取った擂鉢を見つめ、期待にとくとくと湧く脈動を落ち着かせようと軽い深呼吸をした後そっと鼻を寄せ目を閉じて。先ほどの刺激が濁流ならばこの香りは渦巻き、頭が心地よくくらくらして渦の中心へ吸い込まれていくような酩酊感と中毒性、そして毒々しさを消すのではなく上手に豊かな芳香へと昇華したそれに持ち上げた瞼の奥、波紋の瞳は珍しく明るい光を控えめに宿し「 ――――これ、今すぐ巻こう 」一度面を上げ彼に告げたのは自身の中では上物にあたる賛辞。愛用の口触りの良い黒いペーパーを食指と中指の間に敷き、溝に添うように試作二号を優しくほぐしながら少々多めに乗せ手のひらで転がすように熟練した手つきで巻き上げる。当然フィルター無しのそれを薄い唇の間にセットして「 それ取って、 」手を伸ばして届かない彼寄りの位置、葉や道具の散在したテーブルの上に転がっているマッチの箱を視線で示して)
>グレン(>>1587)
おやグレン、お帰りなさい。謝る事はありませんよ、屋敷の扉も不定期に閉ざされるのですからお互い様というもの。…とはいえ、長く屋敷を空け貴方に寂しい思いをさせてしまったかもしれない事を謝ります。よく戻ってきてくれましたね、グレン――また会えて良かった。
さあ、再会の挨拶も済んだことですし物語の本編に移りましょうか。貴方が人魚との続きを望むならば仰せのままに――指輪を辿り俺の元へ帰ってくるのを楽しみにしていますよ、グレン。…貴方の次に〝お返し〟のことも。
>ハイネ ( >1589 )
今夜の案内人、ハイネだったんだね。びっくりしたよ。ふふ、俺も大分と不在にしちゃったからお互い様だし、それに思いがけずハイネに会えたから寂しいのも飛んで行っちゃったよ。
そう、ハイネへの贈り物の為にもキルステンとの一晩は幕引きまで持っていきたくてね。きっとまた直ぐにハイネにも会いに行くつもりにはしているから、次に会えた晩にはうんと甘やかしてよね。
嗚呼、ハイネに会えた嬉しさに出てきちゃったけどこっちは返信不要だよ。それじゃあね。
*****
>キルステン( >1571 )
ハイネのお気に入りのコレクションの間は、ね。
( きっとあのダークエルフの事だから、興味を失ってしまえば己の望みを叶えるどころか部屋に通い詰める事も無くなってしまうだろうなんて事は短くも濃い付き合いから容易に想像が出来る。無論、そんな未来など想像したくは無いのだけれども。無意識のうちに表情は僅かにではあるが苦々しく歪められ、贈られた指輪を反対の手の人差し指でするりと撫でて。きょとんとした表情を浮かべるのは一瞬の事 「 覚えてたって言うよりも、結果的に頭に叩き込まれたって方が正しいかも 」 求められるものへと応えていた結果身に着いた知識に過ぎないのだが、ロマンチストなんて言葉は傍から見ればその通りなのだろう。何だかんだと言いつつも手渡した石をポケットへと仕舞いこむのを見届けてから目当てのものを探すために再度視線は足元へと。こつり、こつりと一定のテンポで耳に届く足音がやけに心地よく感じるのはきっと自身の生活音しかしない静かな空間に慣れすぎたせいもあるのだろう。問われた言葉にぱちくりと目を瞬かせ、少し悩む素振りを見せた後に「 ふふ、ナイショ 」 悪戯っぽく笑ってみせる表情は彼がこちらを見ていたのならばやや幼く映っただろうか。無論、探しているものに意味が無い訳では無いのだが、それはきっと彼自尊心の高いダークエルフには無意味なものだろう事は想像に易い 「 意味よりも見た目、かな。一目見るだけでハイネが僕を思い出すような、そんな石 」 誰に言う訳でもない呟くような声色ではあるが、二つの足音が響く以外の雑音のない、しかも洞窟状になっている為か反響のあるこの部屋ではきっと共にいる彼の耳にも届いた事だろう。探す事暫く、不意にしゃがみ込んだ後、一つの石の欠片を手に取って 「 ……あった、ねえ、キルステン。これ貰って行っていい? 」 月明りの差し込む元へとやや足早に向かえば、それを角度を変えて何度か光に透かし確認をした後、恐らく今日一番の笑みを浮かべながら彼へと視線を向けて )
>グレン(>>1590)
……、
(つられるように眉を下げたのは、彼には彼なりの苦悩があるのだと悟ったから。訳も分からないまま怪物に喰われてしまうのも理不尽だが、なまじっか愛され重宝された挙句に相手の一存でいつ切り捨てられるか分からない状況もまた前者に勝るとも劣らない理不尽なのだと。無神経な事を言ってしまったと内省する難しい表情のまま、はあっと勢いよく溜息を吐いて「 …その後は偶にアタシが面倒見るわよ。勿論アンタが望むならだけどね 」死より孤独を恐れる、そんな節のある男の子だと彼を見て感じていたのだと気付いたが故の提案。ハイネの興味が失せた後も彼がもし屋敷での生を望むのであれば、奇しくも自身の大好物にあたらないからこそ彼を見守る事はできる。しかしその反対、ハイネによる最期が彼の最後の望みなのであれば先の提案は大変なお節介であることも重々承知したうえで結びの文言を付け足して。「 ふーん…? 」年相応、あるいはそれよりも少し幼気な笑顔を見ることが叶えば曇っていた表情からはふっと力が抜け、眉尻も口角も柔らかさを取り戻し「 健気ね。カワイイじゃない 」彼の笑顔もさることながら思考回路も微笑ましく、しかし歪な危うさを含んでいるようにも感じられてカツカツと距離を詰め「 ええ。胸を張って持ってきなさい、Hottie 」降り注ぐ月光の下で笑う彼はさながらスポットライトを独占するスター、彼がハイネに向けてどんな石を選んだのか興味があったはずなのにその笑顔から目を離せず、せめて遠慮なんてさせないようにサムズアップをして明朗に笑って。「 そんじゃもうココに用はないわね?そうだ、ラッピングの材料は持ってンのかしら 」意思確認の結果、彼がまだ煌めきの塒に残りたいのであればその場から動かず、そうでないのであればついておいでと言わんばかりに出口へと歩みを進めるだろう。贈り物といえば欠かせないパッケージについて考えが至れば、生来の世話焼きを発揮し肩越しに彼へと振り返って問い掛けて)
>ゼズゥ(>1588)
(彼女の話に耳を傾ける。まるでお伽話の一節のような、無邪気な幼さと優しさに溢れた願い事の話。それの終わりに問う声へ、「…俺ならか。ふむ、俺なら……そうだな…」顎元に食指の背を置いて僅かな間思考の沈黙を。それから再び開いた口で、「叶える方法を共に考える。一番満足出来る、納得出来るモンを二人で探す。」解りきった不可能でも、決してそうは言わない。同じ目線で並び立ち模索して挑んで、願う想いにとことん付き合う。そしてその後で、「そんでその“答え”が見付かったら、其処に向かって一直線。どんな道だろうと、手を引っ張ってやる。」三日月の例えに準えるならば、器の水に映すのも絵に残すのも――月面へ飛び立つ事でも。どれ程突飛であろうと、この手で可能だと思えたのなら妥協は無しに、その者の為に驀進する。顎にあった人差し指と中指を揃えて他は握り、拳銃に似た形に整えた手の先と笑い眇めた虎の瞳を真っ直ぐ彼女へ向けて、そんな気長にも大胆不屈の夢語りを答酬とした。――今度の試作はお気に召したらしい。「おう、あんがとよ。」始めに落とされた褒め言葉に軽い礼を返しつつ動向を見守る。薫りを吸い込んで己を見上げた彼女の瞳、何処か諦観を宿したようだったその濃色に、仄かでも確かに初めて灯された輝きがそれこそ先程語られた三日月の子を彷彿とさせて。思わずふっと目尻を親の如く温かに和ませながら、「あいよ、」彼女の示す物を視線で追って捉え、慣れないものばかりの中でも馴染みのある燐寸に手を伸ばす。続けて極自然に、流れるような動作で摘まみ取った一本の頭薬と側薬を一度擦り、点いたその火を消えぬようにもう一方の掌で覆いつつ彼女の口元にある試作に下から添える。「どうせだ、此処で吸うなら味の感想も聞かせてくれ。」薫香、毒性の強さ。ここまでは及第と見た虎はそのついで、味覚の点からも拘るつもりでそう彼女に一声冗談混じりに題を向ける。)
>ナミル(>>1592)
(眩しい、と。会ったばかりの相手に、あまつさえ同胞でもなくただの食事として据えられた対象に率直にそんな感想を抱いたのはきっと初めてで。目的のためにはきっと手段を択ばず、けれど決して独り善がりではない彼のスタンスから導き出された形容は「 …世が世なら一国の王様になってそう 」言い終えて、ふと吐息を漏らすだけの笑いを零して。民衆の心をすっかり惹きつける名君を小さな猫や鳥のように茨の檻へ閉じ込め縛り付けてしまう黒薔薇への憎悪をいっときでも忘れようと煙草の先へ点火されるのを待ち焦がれ、胸いっぱいに煙を吸い込んで――甘いような辛いような、エキゾチックな香りの紫煙を薄い唇の隙間から吐き出し「 最っ…高 」ぞくり背筋が粟立つような色めきをふんだんに含む旨味と苦み、その刺激に溺れそうになった所で息継ぎをさせてくれるように時折顔を覗かせる甘味。二本指の間に煙草を挟み、ぐぐっと顎を引いて噛み締めるように味わってから嘘偽りも飾り気もない感想を落として「 ねえ、これに名前付けてよ。そんであの子たちに頼んで量産させてもいい? 」彼を見上げて乞うのは傑作が無題のままではあまりに勿体ないと湧き出た願い。直後、こちらを見守るように棚や天井を這うトカゲたちを見遣ってから、この最高に美味なレシピの生みの親へ一応の許可取を。「 それで、あんたの望みは何だっけ 」元を辿れば仮称・試作二号が生みだされたのは彼が持ち掛けた〝交渉〟に帰結すると。期待を裏切らない、否、期待以上のパフォーマンスを発揮してくれた彼に何らかの形で報いたい、元来ギバー寄りの性格上辿り着いた思考から交渉の事を思い出して、問い掛けを投げてからまた一口旨そうに紫煙を燻らせて)
>ゼズゥ(>1593)
王様ねえ……フハッ、柄じゃあねえなあ。
(“王様”と此方が聞いて思い付くのは、豪奢で堅苦しい服を着て玉座に凭れ、兵と側近を侍らせながら統治や政に勤しむ格好。一月とじっとしていられぬ性分の己に重ねて想像した冠姿があまりに似合わず、思わず噴き出した声の余韻のまま肩を震わせ呟く。――彼女の仕草と一言が何よりの答え。言う通りの至高であると解れば、自身も満足に胸を張って目を細める。「そりゃあ勿論、その為に拵えたモンだからな。」言葉を受けてまず先に量産の許可に対する応答を拍子良く告げて、その次に命名について頭を巡らせる。「さて、名前か……ハナシュ、コルンフォリー、ヒラール……んー…」胸元で腕を組んで零す候補はどれも己が生まれ故郷の言葉。各々眼前の彼女の姿、その瞳の色、想い出の月と連想を繋げて尚今一つ填まる形が見付からず、首まで捻って唸ったその後、「……フルム、はどうだ?覚え易くて呼び易い。」それは眠りの淵に会う追想、或いは現を惑わす幻想、或いは成就を願う理想――つまりは“夢”の意を持つ名前を、何とも単純な理由を添えて案に放る。それから改まって問われた事柄に、目の前の楽しさから交渉事に意識が戻り、「ああ、そういやそういう話だったな。いやあ忘れてた忘れてた。」からっとそう一声笑い上げた次に食指を立てて、「第一は屋敷探険の同行者が欲しい。これは後日、いつでも構わんが……まあ、死なねえ内に来てもらえると助かるな。」彼女と交渉をする切っ掛けとなった当初の目的をもう一度簡潔に、この屋敷では冗談にもならない軽口を添えて置く。続けて、「あとは俺にも吸える煙草かねえ……こっちは“お代に色を付けてもいい”と嬢ちゃんが思えたら、だな。アンタの裁量に任せるよ。」おまけのついでの嗜好品。それを二本目に立てた中指に示しながら、しかしそこは彼女次第と直ぐに引っ込める。「そんで、ゼズゥ。アンタはどこまでなら俺の希望を叶えられる?」提示された対価には最善を払えた。彼女を見据えるアンバーと伸ばされた背筋に堂々顕れるその自信のまま、此方からも交渉の結果を質し待つ。)
>ナミル(>>1594)
(新しい風味、新しい刺激、新しい依存先。その全てを思いがけず得る事が出来た今夜は酒に頼らずとも眠れるかもしれない、そんな病んだ思考も長年染み着けば自分の中では只の日常であり出し惜しみをしない相手の回答に「 ありがと 」と端的に謝意を示して。砂漠のオアシスを吹き抜ける軽やかな風を思わせるような単語の美しい響きをBGMに味わう煙草はみるみる短くなってゆく、そうして件の新たな依存先の名を提示されれば「 母国の言葉? 」単純な問いかけの中にどんな意味を含んだ単語なのかを伺う好奇を滲ませながら、立てられる指を眺めて彼の発言を結びまで傾聴し、丁度そのタイミングで尽きたフルムを吸殻で山盛りの灰皿に無理に捻じ込んで「 ……あたしのオススメはウーミンの花畑。花と蝶が好きなら楽しめると思う 」案内役を買って出ると示すように探検の行先の一つを挙げる。ここで言うところの〝オススメ〟は人体にとっていかに無害に近いかの基準で選出された云わば無難な選択肢であり、それから少しの間悩むような間を置いて「 あとは…最近見つけた〝熱い場所〟。ここは長居出来ないだろうけどあたしのお気に入り 」紹介するのを躊躇う態度にとっておきの場所を勿体ぶる意図はなく、ただ相手の、人間の身体に害を及ぼす可能性の高さから心配が先に来たもので。ずるり、規則正しい鱗の揃う太い蛇の図体をくねらせ距離を詰め「 二日後、迎えに行く。それまでにどっちがいいか決めといて。どっちもイマイチなら別の場所考えるから 」近い未来への約束を託しながら片手をおもむろに持ち上げ、天を向いた主の手のひら目掛けて天井を這うトカゲが投下したのは深い緑色のリボンで束ねられた数本の紙煙草と小さなマッチ箱。手中に乗るそれをそのまま差し出して「 これはオマケ。約束の夜まで部屋でイイコに待てるならね 」条件を付ける口調は語調に反して強制するような色ではなく、あくまでも最終的な判断は相手に委ねるが自身は忠告したからねと線を引くようなそれで「 お利口にしてたらシャグもあげちゃうかも 」冗談めかすようにふと緩く口角を引き上げて彼の琥珀を見つめよう)
>キルステン ( >1591 )
( ぱちりぱちりと瞬きを繰り返すのは思いがけぬ提案だった為。きっと己の本質を知らない彼の事だから純粋な提案である事は思考を巡らせなくても理解に易く 「 ……きっと僕が求める物は、ハイネじゃないと重苦しく感じちゃうよ 」 一を与えられればもっともっとと際限なく求めてしまう性分、それを埋めてくれるのはあのダークエルフしかいないとの思考は単純に自身の屋敷の中での交流が浅い為か、それとも最早一種の依存じみた考え故か 「 まあ、ハイネが興味を失うかは僕の努力次第だし……キルステンがそんな顔しないでよ 」 声色から自身の未来に対して悲観している部分は一切ない、という事は過不足無く伝わるだろうか。先ほどから表情に陰りの見える彼の顔を捉えれば、くはりと小さく笑い声を漏らし。「 ふふ、じゃあ遠慮なく 」 何がきっかけか調子を取り戻したように見える彼の様子に小さく安堵の息を漏らし。服の袖で石の表面を軽く拭ってから上着のポケットの中へと仕舞い込み。キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をしていた先程までとは打って変わり壁や天井を見ながら「 うん、大丈夫。お気に入りの場所に連れて来てくれてありがとうね 」 キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をして足元ばかりを見ていた先程までとは打って変わり、壁や天井、辺りへと視線を巡らせながらゆったりとした足取りで彼の後を付いていくはず。「 それがラッピングもだけど、加工の目途も立ってないんだよね 」こちらを見る視線と目が合えば、へらりと笑って見せるのは自身の計画性の無さを自覚しているが為。それに一晩の邂逅を通し世話好きなのだろう事が分かる彼の様子を受け、困った姿を見せれば力になってくれるのでは無いかなんて打算も少し。手伝ってくれる?なんて言葉は口に出さず、やや上目がちな視線を送る事でお伺いを立てようか。 )
>キルステン ( >1591 )
( ぱちりぱちりと瞬きを繰り返すのは思いがけぬ提案だった為。きっと己の本質を知らない彼の事だから純粋な提案である事は思考を巡らせなくても理解に易く 「 ……きっと僕が求める物は、ハイネじゃないと重苦しく感じちゃうよ 」 一を与えられればもっともっとと際限なく求めてしまう性分、それを埋めてくれるのはあのダークエルフしかいないとの思考は単純に自身の屋敷の中での交流が浅い為か、それとも最早一種の依存じみた考え故か 「 まあ、ハイネが興味を失うかは僕の努力次第だし……キルステンがそんな顔しないでよ 」 声色から自身の未来に対して悲観している部分は一切ない、という事は過不足無く伝わるだろうか。先ほどから表情に陰りの見える彼の顔を捉えれば、くはりと小さく笑い声を漏らし。「 ふふ、じゃあ遠慮なく 」 何がきっかけか調子を取り戻したように見える彼の様子に小さく安堵の息を漏らし。服の袖で石の表面を軽く拭ってから上着のポケットの中へと仕舞い込み。キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をしていた先程までとは打って変わり壁や天井を見ながら「 うん、大丈夫。お気に入りの場所に連れて来てくれてありがとうね 」 キラキラと輝くこの景色を少しでも目に焼き付けておこうと、探し物をして足元ばかりを見ていた先程までとは打って変わり、壁や天井、辺りへと視線を巡らせながらゆったりとした足取りで彼の後を付いていくはず。「 それがラッピングもだけど、加工の目途も立ってないんだよね 」こちらを見る視線と目が合えば、へらりと笑って見せるのは自身の計画性の無さを自覚しているが為。それに一晩の邂逅を通し世話好きなのだろう事が分かる彼の様子を受け、困った姿を見せれば力になってくれるのでは無いかなんて打算も少し。手伝ってくれる?なんて言葉は口に出さず、やや上目がちな視線を送る事でお伺いを立てようか。 )
連投するつもりは無かったのだけれど、何らかの手違いで同じ内容を二回送ってしまったみたいだね…。この謝罪も含めて場所を取っちゃってごめんね…。
>ゼズゥ(>1595)
ああ、俺の故郷で“夢”を意味する言葉さ。
(彼女の好奇に頷きを返す。それからその名を改めて説明する表情には懐古と情愛の綻びが含まれて、面持ちは春の夕暮れのような柔らかなものに変化する。「…俺の一番好きな言葉だ。」そうもう一つ、案に出した理由を表情に違わぬ穏やかさで付け加えて話を綴じる。――問いに返されたのは二つの目的地。それこそがこの交渉事に対する是の答えであると直ぐに理解して、一度満足げに鼻を笑い鳴らした次、「オーケー、二日後だな。」己の音でも日時を繰り返して約束を確かに結んだ後、差し出された掌を覗き込んでみればこれまた望みの物。「ほう、」嬉々籠る感嘆の声を洩らして再び顔を上げた所に、ジョークを纏う微笑みと出会し、「……フ、ハハッ!そんじゃ、頑張って“お利口さん”しとかねえとな。」思わず声を溢した勢いのまま、今度は悪戯小僧の如くにんまりと口の端を弛めて、些かわざとらしい丁寧さでその単語を引用する事で契りを確と結び、リボンに彩られたそれらを受け取る。「いやあ、此処で初めて会ったのがアンタで良かった。」唐突に攫われた常夜の異界、目の前に現れた怪物。それでも臆するどころか、この状況において最上を選び取れたと沸き立つ喜色を、満面の笑顔と彼女へ向ける真っ直ぐな友愛混じりの安堵に示して。「さて。お互い目的のモンは手に出来たし、此処ともそろそろお暇の頃合いかね。」彼女は至高の煙を、己は次なる探険の約束を。交渉の成立を改めて言葉に変えて確かめた後、少々の名残惜しさに室内に一周視線を巡らせた終わりにまた彼女を視界に捉え、その是非を視線の先の瞳に窺う。)
>グレン(>>1596)
コックが増えたらスープが台無し、ってやつね
(見る者によっては依存、あるいは全幅の信頼とも受け取れる彼の答えにコミカルな様子で肩を竦めて短く吐息するように笑って。必要以上に手を出せばかえって状況を悪化させてしまうかもしれない、そんな危ういバランスで成り立つ彼らの関係を理解したうえで〝向こうから頼られなければ〟これ以上は干渉するまいと心に決めて。「 ちゃんとお礼が言えて偉いじゃない。ついでに美声の友達を何人か紹介してくれりゃもっと良いわ 」お気に入りはなるべく広めず独り占めした方がよいと思っていたが、自分が素敵だと思った場所に共感を示してくれる存在がいるのも悪くない。屋敷に呪縛された哀れな怪物の身で心がほんのりと暖かさを取り戻すような感覚を味わえる夜は多くない、だからこそ対価を求めるような口ぶりながらもカラリと歯切れのいい口調でブラックジョークを添えるに留めて「 それ、おねだりのつもり? 」元よりへらへらしている態度を好かない人魚は途端に細い眉を吊り上げ「 ハイネはそのキレーなお顔できゅるんと甘えたら我儘聞いてくれるんでしょうけど、アタシはそうはいかないわよ 」ゴテゴテキラキラのネイルで鋭く尖った食指をびしりと彼に向け、しかし突き放すではなくふんすと鼻息を荒くした後に腕を組んで彼の前に立ちはだかるように仁王立ち「 これ以上何をして欲しいのか、きっちり言葉にしてお願いしなさい。じゃないと相手には伝わらないし、それが然るべき態度ってもんでしょ 」愛を以って厳しく生徒に接する鬼教師、もしくは人魚の紹介者である死神の言ったクイーンという形容表現が相応しいお説教は、か弱い人間がこの屋敷で出来る限り有利に事を運ぶのに必要であろう心構え。ダークエルフだけの寵愛を得られていれば生きていけるだろう彼に対して夏炉冬扇な内容かもしれないと承知の上で真っすぐに伝えるのは、きっと彼の事をこの先も気に掛け続ける対象として見捨てていない証拠なのだろう)
>ナミル(>>1599)
……あたしにとっても好きな言葉になった。
(きっと彼にとって思い入れのある単語であろうことはその抒情的な表情から伺える。そっと灰皿に目を落として、夢の名を関する燃え殻をそっと指先で撫でながら呟いた声は今夜最も柔らかな音で部屋の静寂を揺らして。「 二日後に傷だらけになってても治してあげないからね 」イメージしたのは言いつけを破り探検を重ねた結果、約束の夜を迎える頃にはすっかり生傷まみれになってしまった少年の姿。無論この屋敷ではそんな生易しい傷を負うような状況に至れば致命傷を免れない事態の方が多いだろうが、彼がそれを理解してくれている事を信じ冗句として言葉を返して。「 …そんな事初めて言われた 」命を奪う怪物として人間たちから忌避される存在には聞き慣れない評価。口をへの字に曲げたままぽかんと瞠目したのち「 結構嬉しい 」と素直に感想を。初夜とは思えぬ有意義な時間を前に未練はなく、「 そうだね 」と返事をしてずるりぬるりと重い鱗を引き摺り部屋の出口へと。そのまますぐそこで待ってくれていた彼の自室の扉前まで送れば「 じゃ、またね 」と端的に今夜の邂逅を結び、彼から何も追加で呼びかけられる事がなければしっかりと扉が閉まるのを視認してから、再度単身でラミアの研究室に戻るのだろう。〝夢〟の量産について、可愛い使い魔に火急の指示を出すために)
>ゼズゥ(>1601)
……そうか。
(自分も、と。そう聞いて胸を擽った感情は嬉しさだろうか、それとも親しみだろうか。どちらにしても暖かく心地好かったそれが悪いものでは無い事だけを確信して、ふっと柔らかに相槌を打った。その後に続けて、「ハッ、厳しいな。」忠告の布を被った冗談に此方も軽口と肩を竦める仕草を。――己の問いに肯定を返して動き出す彼女の後に付き、「おう、またな。」一時のお別れに片手を振って、今宵より自室となった部屋の中へ。……ドアが閉じ、一人の時間。まずはソファに座って一息吐き出し、頭を背凭れに預けて窓向こうの月を仰ぎつつ、此処に来た瞬間から今までに詰め込まれた情報を、頭の内で解いて整える。「――随分面白いくたばり方すんだなあ、俺は。」事故も病も見た、飢えも獣に襲われるのも。逃れようの無いこの早世の運命に起きた突飛な奇跡に、そんな感嘆を零して。それから思い出すのは、つい先程まで顔を合わせていた怪物。気怠そうで憂うようで、しかし頼られる事を好ましいと言った、世話焼きの優しい蛇。「……まあ、悪かねえ。」彼女の瞳に灯った光と、“嬉しい”と告げた声を浮かべた目の前に、おまけと受け取ったリボンを纏う煙草と己が薬指を飾るシルバーリングを見詰めてそう笑い。「――さて。風呂入って飯食って寝るか!」暫し浸った感傷じみた静寂を破り、がばりと勢い良く身体を起こしてそう一人今夜の行動を決め立ち上がる。――いつでも剛毅豪快な虎は、異界と残酷な宿命に捕らわれたとて変わらない。まずは今生きる為の営みからと、普段と同じ大きな足取りでこの常夜を歩き始める。)
***
よう、そろそろこの辺が頃合いだろう。初日から外出歩けて、面白いモンも見れて中々楽しかったぜ。あんがとな。
互いの事すらまだ何も知らん俺達だ、この先予想もつかんくらいの長い道程が待ってるだろうが……まあ、気長に付き合ってくれよ、ゼズゥの嬢ちゃん。
さてと。名残惜しいがここらで交代の時間だな。次は狩人の坊主の出番で、随分前に宝箱で話した流れの通り【月夜の晩酌】といかせてもらいたい。…いやあ、もうちょいガキのまんまでいて楽しむのも悪かねえとも思ったんだけどな、早いとこアイツの酔っ払った所が見てえって坊主が言うからよ。酔ったついでにガキん時の事でも突っついて肴にしてやるといい……なんて、ハハッ、いや冗談さ。
ふむ、俺から伝えとくのはこんなもんかね。そっちから何も無けりゃ、晩酌向けの文を練ってくるが……どうだい、何かあるかい?
>ナミル(>>1602)
こちらこそありがと。メタっぽくなるけど、あたしにとっても初めて屋敷で話せた人間があんたで良かったって思った。……やっぱ今の無し、忘れて。
あたしらは気長に過ごすのは慣れてんの。あんたこそ途中でくたばんないでよ。
そうだ、そんな話したよね。すごく綺麗な流れのストーリーだったから楽しみにしてたんだ、…レオが暑苦しい酔っ払いに絡まれて嫌な思いしなきゃいいけど。今のところ追加で相談させて欲しい事はないから、月夜の晩酌の始まりを楽しみに待ってる。
……ああそうだ、ナミルは今夜で本登録だからまた後でメニューに載せさせてもらうね。もし不備とか差し替えがあったら遠慮なくいつでも言って。
じゃあ、またね。
>ゼズゥ(>1603)
ふむ。では、ここから先は私の出番だな。
また久しぶりに彼に会えるというのに、嫌だと思う事などある筈が無い。…夢に見るほど楽しみにしていたのだからな。
虎の彼についても承知した。それでは、今夜も楽しい一夜になる事を願おう。
***
(狐の神通力による騒動から少々。無事元の姿へと戻り、自室へと帰って暫し経った夜の事。ここ何日かは約束通りに貰った大工仕事の端材を相手に、作業台と決めた机の上で笛作りに勤しんでいた。「ふむ、」一つの区切りに道具を置いて、拙いながらも見た目だけは整った笛を掌に乗せて眺めながら、「……困ったな。」ふとそう呟いたのは、この数日間目の前を過る追憶の所為。木や土の香りが沈んだものを起こすのか、それともドラゴンの彼と過ごす際に辿りなぞった想い出が呼び水になったのか、不意に浮かぶ幼い記憶が作業の手を何度も止めてしまう。「…どうしたのだろうな、私は。」この異界での運命を受け入れた。元の山に未練と呼べる程のものを残してもいないし、帰りたいと願う郷愁も無い。それなのに追憶の度に胸に吹き抜ける木枯らしのような寒さ。その解決策を見付けられず慣れない悩み事に困惑する思考回路は寄った眉に顕れる。「……ラザロ、」つい、口から彼の名前が零れ落ちた。危険な道では手を引いてくれた、困った時弱った時、助けてくれた彼の姿が灯火のように思考を拓いて。――会いたい。それは殆ど直感だった。彼に会えたのなら、話が出来たのなら、この囚われて絡まる“何か”も解けるだろう、などと。無防備なまでの信頼に根付くらしくもない衝動のまま立ち上がり、ポケットの“お守り”と持ったままだった形だけの笛を確と握り締めながら部屋のドアを開き、まずは通路を見回して無意味に等しい安全確認を――と、そこに。見覚えのある蜥蜴が視界を横切っていった。「あれは、ラザロの……」烏、蝙蝠と数居る中でもこの個だけは唯一間違える事は無い、彼の使い魔。「そこの君、待ってくれ、」初夜に受けていた忠告が縛った躊躇いを振り切って、その小さな背を追う。……その後どの角をどう曲がって、どの階段を上り下ったかは解らない。ただ、いつの間にか追い掛けていた姿を見失い、その代わりに――あの夜見た頑丈で無骨な、彼そのものを表したような扉が眼前に佇んでいた。事態を理解出来ず一度瞬いて、しかし本来の目的を思い出した右手の甲でノックを三度。「ラザロ、其処に居るか?」まず在室の確認を取った次、「その……今日はどうにも、寂しい、ようで。君の顔を一目見たいのだが、」普段に比べて辿々しく困惑を含んだ物言いになるのは、この感情にも、それを音にするのも不慣れであるから。それでも彼是と飾る事を知らない言葉を真っ直ぐ扉の向こうに伝えて、「…良ければ、此処を開けてもらえないだろうか?」己の膂力では到底開きようもない重厚な扉に掌を添え、請い願う声で面持ちの知れない彼の意思を窺い返答を待つ。)
>レオ(>>1604)
(大きく開け放たれた窓からは冴え冴えとした月光と心地よい夜風が舞い込み、静けさも相まって心の落ち着く穏やかな夜気の流れる時間――なのだが、部屋の主たるドラゴンは多少上気した頬を引っ提げいつも通りのしかめっ面。窓に対面する形で床にあぐらをかき、行儀悪く床をテーブル代わりにして酒瓶やらつまみやらを散らかしながら、重く冷たい鉄製の大きなジョッキの中身を飲み干してガツンとテーブルに打ち付け「 糞…ッ 」何かに悪態をつきながらごつごつと骨張った手の甲でグイと口元を拭って。そこで割り込んだノック音に、相手はきっと同胞の誰かだろう、世話の焼けるゾンビか堕天使辺りが暇潰しにやって来たのかと推察するも今は酒を呑まねばやっていられない気分。彼らの賑やかい雰囲気に付き合える心の余裕はなく「 後にしやがれ! 」そう扉の向こうの同胞へ声を張り上げたところで、聞こえるはずのない人間の声がした事に一瞬身体の動きを止めて。「 ……レオか? 」確認の形を取ったのは彼の声を聴き当てる自信がないわけではなく、本当に人間が自力で怪物の部屋を探し当てることなど不可能に近いため空耳でも聞いたのかと自身の耳を疑っているから。いつもの毅然とした調子とは異なる弱々しさを含む声色に気付いてしまえば放っておけず、舌打ちしながら立ち上がって分厚い扉を手前に開き「 ……訊きてえ事も言いてえ事もあるがよ、とりあえず入れ。 」もしや怪我をしたのかと反射的に心配したが、見下ろした彼をざっと眺めて目立った外傷が無い事に内心で安堵。しかし廊下で立ち話をするところを誰かに見られるのは面白くない、怪訝そうな表情のまま扉を支えていない方の手で相手の腕を掴み、窓が開いていることで緩和されているもののやや酒の匂いのする部屋へと引っ張り入れようか)
>キルステン( >1600 )
美声の友達、かぁ…………心当たりが無い訳では無いけど
( 現世ではある程度の人脈を紡いできたつもりだし、その中には無論声で稼ぐような人種もいる。然しながら彼らがこの屋敷で過ごしていけるような性格をしているかはまた別の話で。すぅと目を細め 「 僕と違って聞き分けがいい訳じゃあ無いから、きっと直ぐに怪物のお腹の中に収まるよ 」 先程の歯切れの悪さから一転、にっこりとした笑みを浮かべて見せて。数回瞳を瞬かせたのは求めるものを読み違える、なんて普段では絶対にしないような失態を犯してしまった自分自身への驚きから。可愛く見上げてお強請りだなんて、それ程してきた記憶も無く思い当たる対象はダークエルフだけ。そんなところに思考が到着すれば自身で思っている以上に深いところまで侵食されている現状に思わず漏れ出た笑い声は予想以上に大きく、彼の尖った爪先がこちらに向いている事も構わずに 「 ……ははは!ごめんごめん。ハイネにおねだりする時の癖がついちゃってたみたいだね 」 一頻り笑った事により目尻に薄らと浮かぶ涙を人差し指で軽く拭い取ってしまえば、に、と口角を持ち上げ自信ありげな表情とともに 「 ラッピングと加工、手伝って欲しいんだ。対価としてあげれるものって言ったら僕自身しか無いんだけれど……きっとキルステンは “ 僕を欲しい ” とは思わないだろうけど 」 言葉の締めはやや自虐風味に、けれども決して悲壮感が漂うものでは無くたっぷりと茶目っ気を交えたもので 「 もちろん、今夜じゃなくてまた後日でも構わないよ。キルステンにも用事があるだろうし 」 今夜だってかなり急なお願い事だったに違いない。この世話好きな人魚が否定的な返答を返してくるだなんて考えてはいないものの、矢張り伺いを立てた事への返答を待つ時間は不安を煽るものに変わりはなく。どうだろう、と言葉として出すことはしないもののゆるりと首を傾げて )
>グレン(>>1606)
(彼に対して話に聞いていたよりも幼い印象を抱いていたからこそ、叱られて臍を曲げるほど子供ではなかった事に良い意味で予想を裏切られ笑う彼を見つめるに留めて。そうして思い当たるのは今しがた彼の放った自己評価、ふっと笑って「 確かに聞き分けがいいわ。ハイネに深ぁく気に入られるわけね 」納得したように呟き、きちんと自身が促したように依頼事項をてきぱきと話す相手に満足そうに頷いて、口角を上げて微笑の形を作りながらも気合を入れるように眉尻をきりりと上げて「 任せなさい、このキルステンにかかればアンタに無様なモンを持って帰らせたりしないわ 」堂々言い放って彼に向けていた食指の先、その照準を1mほど横にずらして――勢いよく紙を引き裂くような音と共に指先から射出された水が洞窟の壁にごくごく小さな、それでいて深い穴を穿っていて。人魚よろしくウォーターカッターの要領なのだろう、確かにダイヤモンドですら容易に繊細に加工できそうなその威力をお披露目した後「 どんな形がお望みかしら 」丁度そこにあった切り株のような形の岩に腰掛け、勝気な笑みと共に注文を受け付けてから「 お代は考えとくわ 」と申し添えて。本当は無償でも構わないのだが、それを伝えると安心を与えると同時に遠慮もさせてしまうかもしれない。そんな配慮から対価の事は後回し、あくまで彼が自身を呼び出した本懐を遂げるべく彼の言葉を待とう)
>キルステン( >1607 )
ふふ、でしょう?
( すぅと双眸を細め見せるのは先程までと比べやや大人びた表情。有り体に言えば素直な本質は誰かに求められる為に、他者が自身に望む姿を演じるためにと吸収し演じる賜物なのだが、それを口にするのは無粋かつ己にとっての弱味をひけらかす事に繋がるために言葉にする事はせずに。自信満々な彼の指先から放たれた水が壁に穴を穿つ様子に驚きの表情を見せるのはほんの僅かな瞬間。きっと瞬きの間に口角を持ち上げた常の笑顔が戻っている事だろう。座した彼と対面する位置に立ち 「 んーー、そうだなぁ…… 」 悩む素振りを見せるのはお洒落で唯一無二のものを贈りたいというエゴに塗れた気持ちの反面、きっとそんな物よりも目立たないシンプルなものの方がきっと彼は好むだろうとの気持ちがあるから。ポケットに仕舞込んだ石を取り出し掌の上でコロコロと弄ぶように転がしながら思考を巡らせること暫く、漸く考えが纏まれば 「 まぁるい形でお願い。何処にも引っ掛けたりしないように、なるべく角のない丸い形 」 彼が手を差し出してくれるのならその手の上に自身の瞳の色に似た石を乗せるつもりで。 「 きっとキルステンなら華美なカットもしてくれるだろうけど、ハイネはあんまり身に着けてくれなさそうだからさ 」 あくまで目的は “ ダークエルフが身に付け、見る度に思い出すような贈り物をする ” その一点がブレる事はなく。今宵の代償については口を挟むのも野暮かと口出しすることはせずに )
>ラザロ(>1605)
(ノックの直後に扉を突き抜けた声の大きさに一瞬肩が跳ね、添えた掌も離れかける。しかし問いかけにまた直ぐに五指を揃え置いて、「ああ、私だ。レオだ。」明確な肯定の答えを。それから開いた其処に気弱に萎れた表情は温く弛み、見下ろす彼とは対比にその顔を仰いで安堵の息を小さく吹く。「有り難う、ラザロ。」扉を開けてくれた事にも、物言いたげであれど唐突な己の訪問を許してくれた事にも礼を告げた後、引かれた手のまま彼の部屋に足を踏み入れる――と、そこでふわり漂ってきた空気に気が付く。縁遠く嗅ぎ慣れてはいない、だが知ってはいるもの。「……ん、」目の前の彼の姿ばかりに寄っていた意識を広げて、鼻を澄ませ視線を室内に流してその正体を探る。……前に見た時と殆ど変わらぬ内装の床へ置かれたジョッキと、再び見上げた先の彼の僅かに赤い頬と、その身に纏う匂い。「…ああ、酒を飲んでいたのか。」掘り起こした街中の記憶と現在の状況の照合がようやっと済み、先程のドア越しに聞いた声へ一人納得の呟きを零し落とした後に、「すまない。君の余暇を邪魔するつもりはなかったのだが……」自己都合ばかりであった自覚の芽生えが今頃衝動を冷まして、居た堪れなさに苦く眉を下げつつ詫びを先ず一つ。続けて、「……どうしても、君に会いたくてな。」更に綴った自らの言葉に引っ張られて、視線も声も些か沈めた次に、「ほんの少しの間でいい。今だけ、君の傍に居させてほしい。」今度は彼の瞳を真っ直ぐに――ほんの僅かな寂寥の揺らぎを湛えながらも確と見据えて、「……構わない、だろうか?」今夜この一時、彼の隣へ身を寄せる許しを希い問い掛ける。)
>グレン(>>1608)
真円?楕円?球体にすりゃいいのかしら
(ただでさえきらきらしたものを得意な方法で加工できるなんて楽しくて仕方ないのに、誰かに頼られてとなれば世話好き冥利に尽きる状況。それも贈り物の品となれば健気な彼のイメージに出来る限り近い仕上がりにしたい、そんな思いから掌に受け取った宝石を色んな角度から観察しながら弾むような声色で問い掛けて「 まあ正解なんじゃない?彼、こだわり強そうだし 」仲が良いわけではない人魚とダークエルフの間柄、何なら人魚の側からすれば決して良い印象はない――好みの人間だけを好き勝手に囲って閉じ込め一方的に愛し、それでいて飽きればその甘い檻から無慈悲に放逐する身勝手なオトコ――そんな印象を抱いているため当然好みなど知る由もなく。それでも彼の考えを後押しする気遣いは忘れず「 ほんとに身に着けてくれるんなら、アンタよっぽど愛されてるわね 」それが永遠でなくても依存の愛に溺れなければこの屋敷で生きられないのならば、綺麗事は置いておいて彼らの歪んだ関係を否定すまいと。落とさないよう慎重に親指から数えて三つの指で加工前の石を摘まんで近くのランタンの灯りに翳して)
>レオ(>>1609)
…呑まなきゃやってらんねえ夜もあんだよ
(いつ何時でも弱みを見せず漢気を誇示し、恰好をつけなければ男ではない。そんな暑苦しい矜持を負う竜だからこそ、人間というより一層威風を見せ付けなければならない相手に散らばった空瓶を見られてしまった事に間が悪そうに小さく舌打ちをして、くしゃくしゃと短い髪を掻きながら言い訳をぽつり。重々しい音と共にずっしりと閉まった扉に背を預け、彼の言葉ひとつひとつに口を挟む事無く耳を傾け「 テメェにとっちゃ〝誰か〟の傍に居なきゃやってらんねえ夜ってわけか 」彼の意図、心情をすっかり理解したつもりで、しかし一点だけ――彼が訪ねたのは不特定の怪物ではなくこのドラゴンなのだということだけ――を曲解したまま、先ほどまでの苛立ちはどこへやら酔っ払っているがゆえの感情のスイッチの緩さか僅かに赤い頬を上げニカリと笑い「 邪魔するつもりじゃねえってんなら証明しな 」眉尻は吊り上げ挑戦的な笑みのまま、ずかずかと窓の前の晩酌地点に戻りドカリとあぐらをかいて。そうして自らの右隣を太い尻尾でビタンと叩き「 付き合えよ、レオ 」座布団やクッションの類を用意する繊細な気遣いは不器用な竜には適わず、〝オイ!〟と声を張り上げればトカゲの使い魔がちろちろとやってきて、木で出来たジョッキを芳醇な香りの葡萄酒で満たしたものを魔法の力で運んで。もう一匹別の個体が気を利かせて大きめの柔らかなビーズクッションを運んでくる、後は下に敷くでも体重を預けるでも使い方は彼に任せるつもりでちょこちょこと去って行き)
>ラザロ(>1611)
(己の心情を改めて彼の言葉に直された折、ほんの僅か何かずれているような感覚が胸に靄を張り、だがそれは声にする前に霧散した為に閉口する。見上げた彼の笑顔に彼是俯いていた感情も暖まって、気分も上向いた所へ告げられる言葉に一度瞬き、「……証明?」その一部を切り取って疑問の独り言を呟く。だが続けて床を打った尾へ求められる行動を理解すれば、素直と頷き彼の隣に添い。二匹の使い魔が持ってきた物の内まずはクッションを受け取り、敷いたその上に胡座を組む形で腰を下ろし、その次に木製の器の持ち手を掴み慎重に胸の前までそれを持ってくる。そのままジョッキを満たすものに興味津々と顔を寄せ、すん、と微かに鳴る音と共に鼻を利かせて中身を確かめ、「ああ、葡萄の酒か。珍しいな。」そもそも関心が薄く特別意識する機会さえ少なかった中でも、己の街にはそう見かける事の無かった酒種に感嘆を零す。しかしながらそれ以上には近付かず、寧ろ少し離してしまった濃い赤の水面には、些かそわつく躊躇を覗かせた眉の下がった面持ちが映る。それはまるで、唆しに言い付けを破ってしまう寸前の子供のような――ふと、上げた視線で隣を窺う。おずおずと強張った仕草のそれは、傍のドラゴンの姿を視界に収めた数秒後に安堵らしき表情へ緩んで。「……頂きます。」葡萄酒そのものに、或いは彼へ、感謝を籠めた挨拶を渡した後、「そうだラザロ、乾杯をしないか?」祝い事でも何でもない、二人だけの飲み交わし。それでも祭りの夜に似た浮わつきが僅かに滲み始めた心が、数少ないその経験を彼と成したいと、ジョッキをそちらへ持ち上げさせた。)
>キルステン( >1610 )
真円で、二つ出来るようにお願いしたいな。
( 悩む素振りも淀みもなく答えるのは、彼はそう言った態度を好むのだと学んだ事が半分、ちょっとした細工を思い付いた事が半分。但し、その思い付いた事を実行するためには自身の持物だけでは叶わ無いことは明白で 「 ねえ、キルステン。これは可能ならで良いんだけれど、小型のナイフとかそれに見合う先の尖った物を数日貸してもらう事は出来る? 」 理由を尋ねられるのならば、きっと怯むこと無く「 石の裏側から彫りを入れたくて 」 なんて少しでもデザイン性のある物にする為のアイデアと共に 「 石を探すだけじゃなくて、僕も何かしたいから 」 なんて心中を苦笑混じりに伝えるはずで。拘りの強いダークエルフも形が特徴的な物は好まずとも、透かして見える程度の彫りであれば『 可愛い事をする 』 なんて言葉と共に見てくれるだろうなんていうのは己の甘えだろうか。暗いモヤが頭に浮かびかけたところを晴らしてくれたのは後押しをするかのような彼の発言 「 ふふ、着けてくれても着けてくれなくてもキルステンには報告するね 」 今の所自信は半分以下と言ったところ。然しそれを覆い隠すような満面の笑顔を浮かべて見せて。彼が灯りに翳した石は反射によって青く見えたり紫に見えたりと不思議な色合いをしているはず )
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