鬼少佐 2020-01-26 17:57:08 |
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返事が遅くなって済まない。少々単独の任務に手間取っていた。
以下、任務内容はスキップし後日の祝勝会に場面を飛ばそうと思う。が、異論のある場合は遠慮なく言ってくれ。
――どうした、あまり酒が進んでいないようだが。疲れたか( 捕虜救出は副官の立案した作戦のお陰で被害0に終わり、本部では祝勝会名目のささやかなパーティーが開かれており。本作戦の功労者として声を掛けられるのにも辟易し、気付けば無意識に副官の姿を探しており。漸く見つけたシルエットへ、シャンパンの注がれたグラスを掲げつつ歩み寄って )
本音を言うと…少し不安だった…。こうしてまた貴方と言葉が交わせて至極嬉しい。返事についてはいくらでも待とう。少佐、貴方は無理をしないでくれ。
場面の移行感謝する。
……少佐!此度の戦技、お見事でした。
(自分の立案した作戦で無事に捕虜救出が成功したとはいえ、先陣を切って敵地に乗り込む少佐の気迫に相手側が押されたという方が正しい気がする。"きっと自分などが策など講じなくても、彼は無傷の勝利に拳を挙げたことだろう" 任務が無事終了した後の祝勝会で、そのようなことを考えながら一人隅の壁際に身を寄せ、己の上官の勇姿に口許を綻ばせる。少し油断している所に当のその人から声を掛けられ浮き足立ってしまいそうになるも、締まりのない表情を引き締め、背筋を伸ばし。「アルコールは思考を鈍らせる為、人前ではあまり……」と言葉を濁して答え)
済まんな、時間は貰うかもしれんが返事はする。暖かい言葉を有難う。此方への返事は不要だ。
何、お前の作戦あってこそだ。( こちらを向いてくれた副官の表情が、予想外に柔らかく嬉しそうなものだったため、自惚れてしまいそうになるが自重して。努めて表情は不変のまま、グラスの中身を空になるまで呷り。人前、というのがネックなのだとすれば答えは一つで「 …なら場所を変えるぞ 」ぶっきらぼうに言い放ったその真意は、なるべく愛しい副官の姿を人目に晒したくないという幼稚な独占欲で。未だ想いを伝えても居ないのに、暴走しそうになる慕情に拍車がかかるのは、戦地での疲れにアルコールが加わったからだろうか。貴方の返事を待たずして踵を返し、傍にあった冷えたシャンパンを鷲掴みにした後、自分専用の執務室へと歩き出す。背中越しに「 グラスはそのまま持っていろ。お前と2人で飲み直したい 」努めて冷静を装った語調で告げつつ、パーティーの主役を連れ去ろうと会場を後にして )
え?……な!…はっ、お供します! ( 飲む訳でもなく自身のグラスに視線を落としていると、貴方からの場所を変えるという言葉に直ぐ様反応出来ず。此方がハッとした時には既に貴方は会場を後にしようと歩き始めており、意味を理解すると言われた通りシャンパングラスを手にしたまま、慌ててその後を追い掛ける。途中で脱けて良かったのだろうか…、あとで騒ぎになったりしないだろうか…、あれこれ考えを巡らせながら貴方の後ろ姿に追いつこうとし。先程聞いた飲み直しを『2人で』という言葉を頭の中で反芻する。願ってもない申し出に嬉しさを噛み締めると同時に、自分に酒の相手など務まるのだろうかという懸念も生まれ、思考が上手く纏まらない…。結局、会話らしい会話も出来ずにただ貴方の後ろをついて行き、辿り着いたのは少佐の執務室。緊張感とも優越感とも形容し難い気持ちの昂りを自覚しながら少佐の後に続いて中へと入り、ゆっくりとその重厚な扉を閉め )
……ん。( 色気の無い、シック且つ武骨な硬いソファー。2人掛けのそれの右側に腰掛ければ、サイドテーブルに未開封のシャンパンボトルを置き。そうして空っぽのグラスを副官へと差し出し、暗に酒を注いでくれと無言ながらに頼み「 …今宵の主役に酌をさせるのは無粋か。 」自嘲を含んだ、やや重い口調。続いて口を開き「 それとも、朴念仁な上官へ酌をするのは嫌か? 」獲物を狙う猛禽のような、仄暗い部屋でも煌々と光る金の隻眼で見つめ )
…とんでもありません。剛毅朴訥は仁に近しとも申しまし……あ。(少佐が先に腰を落ち着けたソファーは2人掛けだった為、自然と左隣に座る形となり。グラスを向けられれば酌を求められていることはすぐに分かったが、近すぎる距離感と真っ直ぐに見つめられる視線に次の動作が惑わされる。漸く口から紡いだ言葉は2人きりの条件のそれではないことに気付き、声を上げ。それでも平静を装いつつ、慣れた手つきでシャンパンのコルクを抜き、静かにグラスに注ぎ入れて「すまない……まだこの話し方に慣れなくて」と謝罪を一言。ボトルをサイドテーブルに置き「酌の相手に選んでもらえたことは…光栄以外の何物でもない。」少しの照れを含んだ声で、改めて乾杯すべく幾分も中身の減っていない己のグラスを手に持ち )
――ふ、( 一連の流れるような手慣れた所作とは裏腹に、二人きりの時に、と交わした約束には随分と苦戦している様だ。それもこれも自身を上官として敬ってくれているがからこそだと自惚れてしまいそうになる。ともかく不器用な様子には可愛げを感じ、吐息だけを笑いを零してはそれを誤魔化すように咳払いを。「 嫌、良い。お前が謹厳実直な男だとは理解しているつもりだ 」シャンパンがグラスに満ちていくにつれて、今この瞬間だけは、己の心の奥の何かも同時に満たされていくような錯覚を覚え。グラスを軽く掲げては、静かに半分ほど飲み干し「 敬して遠ざける…、という言葉もあるがな 」空いている手で肘置きに体重を預ければ、意地悪な微笑を口角に浮かべて横目で見遣り )
貴方は俺を試しているのか、ガウェイン少佐? ( 自分が一人、言葉遣いのことで四苦八苦している様子がおかしかったのか、ほんの一瞬少佐が息の合間に笑みを溢したようなのが気配で分かった。グラスに酒を注いでいる最中であった為、目線を配る事が出来なかったのだが、その表情をちゃんと見られなかったことに思いの外落胆している自分に驚く。貴方がグラスを掲げた為、此方も乾杯を表する様に動作を同じくし、グラスに口をつけ。喉にアルコールの熱が広がっていくのを感じながら、今この一時とても贅沢な時間を過ごしている感覚を噛み締めて目を細め。揶揄うような語調に乗せて意地悪な微笑を送られると焦りにも似た穏やかでない感情が打ち寄せ「 貴方の副官になった時から俺の全ては余すことなく貴方のものだ。俺から距離を取るなんてあり得ない。」つい口をつき、グラスの中身をもう一口。一呼吸置いて「 …と口で言うのは易いことだが、如何せん態度で示すとなるとどうしていいか計り兼ねているところだ…。」思案するように俯き、自身のグラスの中に反射する光の礫と目を合わせて )
試す…か。( 程良く身体を巡るアルコールが、いつもより幾分か声色を柔らかくさせる。肯定とも否定ともつかない態度のまま、グラスの中の残りを全て飲み干し「 そうだ、お前はいつもそうして大啖呵を切る。勇ましくて結構、結構だが―― 」空っぽのグラスをサイドテーブルに置き、貴方の方へ身を寄せる。ギシ、とソファのスプリングが軋む音が、静寂を濡らすように彩り「 そう見得を切られると、真なる覚悟の証を見てみたくなるのが人の性だとは思わんか? 」無骨な手で貴方の手からグラスをそうっと奪い取り、その中身までも奪い飲み尽くし。酩酊した風を装っているが、酒豪ゆえこの程度では酔わない。だが悪戯心から、敢えて熱い息を吐きながら顔を寄せ「 配属の日、元帥が俺に言った事――そして俺が今夜お前をこの部屋へ招いた意味。…解るな? 」無論夜伽の相手をさせる気など今はさらさらない。これは忠誠心を量るためのテスト )
…わかっ…てる。( ソファーの上で一層縮まる距離に一際心音が大きくなった気がして狼狽えたように肩を揺らし。貴方の言葉を聞いては"そう言えば元帥がそのようなことを言っていたな…"と今更ながらに思い出し、もしかしたら自分はかなり大きな墓穴を掘ってしまったのではないかと冷や汗を流す。己の発言は偽りない事実だと自負しているも、少佐の真意の程が明確には出来ないまま声を詰まらせ返答を口にするだけで精一杯で。会話の途切れた静けさの中に自分の鼓動だけがやけに大きく感じ、動揺のあまり震えそうになる手を誤魔化すように己の腕を強く掴む。熱の集まる顔をアルコールのせいにして「 貴方だったら…逃げたりしない。」息づかいが聞こえそうな程近くで、視線を合わすことが出来ず瞳を揺らし )
逃げたりしない…、成程。( 哀しみ、寂しさ、そんな類の寒く冷たい感情が、暖かく満たされかけた胸を染め上げる。そうだ、そうに決まっている。上層部からの命令でなければ、誰もこんな無愛想な上官と喜んで褥を共にしたいなどと思わないだろう。つまり貴方は本心では己から逃げたいと思っているのだ、そう解釈してしまえば自嘲の微笑が口角に滲み。静かに手を伸ばせば、繊細な硝子細工でも扱うような優しい手つきで1度だけ頬を撫で「 済まんな、怖がらせた。 」短く謝意を告げ、ゆるりゆるりと首を振り「 元より無理強いするつもりは無い。ただ少し――、 」陳腐な絵空事を言葉に乗せかけては、自分への呆れにそれすらも霧散し。空のグラスへ意識を移せば、自分でボトルから酒を注ぎ「 俺は自惚れていたようだ。お前の体温や視線の熱さも、全ては酒の所為だと言うのにな 」一口シャンパンを呷ってソファーから立ち上がる。そのまま扉へ歩いていき「 折角の宴に水を差したな。俺は頭を冷やしてくる 」振り返ることなく告げれば、そのまま執務室を後にしようとドアノブに手をかけ )
…ちょっと、待ってくれないか!( 思わず立ち上がり気付けば部屋を出ようとする貴方の腕を掴んでいた。そんな強引な手段に出るのは自分らしくないんじゃないかと混乱するも、頬を撫でてくれた時の貴方の目が酷く切なく苦しそうで…ズキリと胸に痛みが走る。「 ……元帥が仰ってた意味が分からない程子どもじゃないつもりだが、そういう事にこれ迄経験がなくて…尻込みするのは許して欲しい。」情けないと呆れられるか嘲笑われるか、どちらにしても良い反応が得られないことは覚悟の上。" 初任務で肩に手を置かれた時も、今頬を撫でられた時も微塵も嫌だなんて思わなかった。むしろ―… "しかし、そんな感情を言葉に出してしまうには余りにも自分が未熟過ぎて。「 今の俺には…これが一杯一杯なんだ。言っただろ?俺は『 貴方だったら 』…って… 」それ以上は言葉に詰まり、けれど貴方の腕を離すことも出来ず。心臓の音が一層やかましい、熱いのが顔なのか耳なのか首筋なのかも分からないまま、俯いてはならないと此方に背を向けた貴方の目を必死と見ようとし )
――、?( 引き留めてくれた声、腕に触れる体温、その全てが予想外で怪訝そうに動作を止める。ドアノブから手を離せば、ゆっくりと貴方へ向き直り「 未経験…?これまで一度もか? 」こんなにも魅力的な男性が一切の色恋沙汰に縁がなかったなんて俄かに信じられず。いつもの仏頂面を驚愕に染めながら目を瞠り「 ……その"貴方"は"少佐"としてでなく、"ガウェイン"として、ということなのか? 」自分で言っておきながら、自惚れるなと内心叱咤したくなる。だが、上官に対しての心象を悪くしたくない、なんてそんなビジネスライクなもの以上の何かを貴方の様子から感じ取り、気付けば熱い頬へ手を伸ばしていて )
少佐にそんな顔をさせたかったわけじゃないんだ…。( 貴方から信じ難いという色を含んで改めて聞き返される言葉に、勇猛果敢で人を惹き付けてやまないであろう少佐と片や仕事人間でつまらない自分とを比較して情けなくなり。バツが悪く視線を外して「あぁ」とだけ短い肯定の旨を伝える。少佐という肩書きだからではなく貴方という人間だから、と伝えたいのは本当だが気恥ずかしさと居たたまれなさが勝り。「 っ、あぁ…そうだよ!ただ一人だけ――"ガウェイン"という男にしかこんなことは言わないからな…! 」半ば自棄になっていつになく声を荒げてしまい。上官にこんな物言いをして後で厳罰処分になる可能性もあるが既に腕を掴んで先を妨害したりと無礼を働いてしまっている為、尾を踏まば頭まで―と開き直ることにした。頬に触れる手の感触にほわほわと気持ちが色めき立って" やっぱり…この人の手、いいなぁ "と感じ入ってしまい、無意識ながら今度はうっとりと目を細めて自らその手に頬をすり寄せ )
――、。( 一切の恋愛を未経験だと肯定する言葉に、まさかそんな、と感嘆句を漏らしかけたが、寸でのところでそれを飲み込む。きっと貴方はその事実を心から恥じているだろうから、嗚呼でも、そんな様子にも愛おしさが湧き上がっては、今にも緩みそうな表情を隠すために、掴まれていない方の手で自分の口許を覆い。「 お前、それは―― 」愛の告白とでも誤解されるぞと続けようとした刹那、番に心を許す動物のような所作を見せつけられては、くらりと脳髄が酩酊。気付けば、獣の敏捷さで貴方を逞しい両腕に抱き竦めていて「 今のはお前が悪いぞ、グラン…ッ 」このまま押し倒して滅茶苦茶に全てを奪ってしまいたい衝動よりも、愛を知らない貴方へ一からそれを教えたくて。だからこそ、一度ぎゅうと強く腕に力を込めた後、惜しむ気持ちを押し殺して貴方を腕から解放し「 …命令だ。今のような顔は、絶対に俺以外には見せるな。只でさえお前は容姿端麗なんだ、違う隊のけだもの共から狙われでもしたら俺は… 」いつもの厳めしい表情は、起きてもいない事件への嫉妬に狂うように苦痛に歪められ「 そいつらを生かして還す自信がない 」カチャリ、腰のサーベルを撫でては目を逸らし )
どんな顔か想像に難いが、わざわざ命令なんてしなくても…普段のように装えないのはガウェイン少佐の前だからに他ならないんだが…。( 鬼気迫る様子で穏やかでないことを言う少佐の、サーベルを撫でるその手を慌てて両手で包むように諫め『待った』を掛ける。抱き締められた後の惚けた頭では後半部分はボソボソと歯切れ悪くしか述べられず。最初は一瞬、何が起こったか理解が追いつけないで目をパチパチと数回瞬きを繰り返し。力強い腕、布越しの体温、息遣い、髪とも肌ともつかぬ香りに貴方の全てが間近に感じられ――「 …っ!? 」息を呑む声は声に成らず、身体中の血が一気に巡って触れた処から熱と鼓動が伝わってしまうのではないかと狼狽する。命令、と言われれば条件反射で耳に意識を集中させ。荒々しくも熱情を傾けられたその言い方はまるで己に執着心を向けられているようではないかと浮わついてしまう。自分は副官とは言え部下の一人…そう、一人に過ぎないのだと自らを律すると同時にチリリと胸の端に火傷のような疼きを感じ。「 少佐には…その、こういうことをする部下が他にも? 」自分でも何を聞いているんだと苦笑したくなるがそれでも…聞かずにはいられない。その熱情が自分だけに向いていれば良いのにという浅はかな欲を腹に秘めつつ真意を探りたいと、視線を落とし重ねる両手の力を知らず知らず強めて尋ねてしまい。)
……未だ信じられん。お前のは無意識だろう?一層タチが悪い( 浮つく気分を落ち着けようと貴方から目を逸らしたまでは良いものの、その愛しく甘い表情は何度も脳裏に去来する。その残像を振り払うことなど貴方に惹かれる己には到底不可能で、そこへ追い打ちとばかりに貴方の体温が手に重なる。岩のように硬い拳は僅かに強張るが、それは貴方に触れられた喜びや緊張などと可愛いものではなく、手だけでは足りぬと貪欲に貴方を求めようとする本能を必死に抑制しているが故。「 ――こういうこと、とは? 」意地の悪さが顔を覗かせるのも、全ては愛しい貴方の反応を見たいが為。ニヒルに片方だけ口角を吊り上げ、火照った貴方の頬を指先でなぞり「 肌が熱い。蕩けそうだ 」知らず口から漏れた感想は本音そのもの。ふと自身の手を握る力が強まるのを感じ取れば、貴方の切実さがそこから伝わってくるようで、自身の腹の奥からも熱が湧き上がる。不意に貴方の手を素早く振り払うも、それは離れるためではなくむしろ逆。自由になった手で貴方の手首を掴めば、白兵戦のように巧みに二人の位置を入れ替え、貴方の背を扉に押し付け追い詰めて「 俺にはお前だけだ。…そう言えば、お前は信じるのか? 」手首を痛めないように気を遣いながら、それでも力強く貴方を捉えたまま、灼熱を宿す視線で射抜くように見つめて )
自分でも愚問だったと思っている… ( 問い掛けに問い掛けで返されたのはゾクリと背筋に仄かな痺れが走る程色っぽく低い声。精悍な顔立ちに含みを持った笑みからは問題の答えを知っていながら此方の出方を窺う意図が感じ取れ返答に詰まる。「 貴方…分かって言ってるだろ…? 」元帥曰くの夜の相手は元より先のような突然の抱擁を――と改めて口にするには羞恥がじわじわと広がり、誤魔化し隠そうとする意気は上目遣いに貴方を見据えることで成し遂げる。両手に力を込めてしまったと悔いる間もなくその手が払われたかと思えば気付いた時には扉を背に貴方と対峙する形になり。自意識過剰だと己を嘲笑う自身がいるも素早く結構な勢いがあった割に背中にも手首にも痛みがなく、加減してくれているのが分かると大事にしてもらっているようで面映ゆく。試すような口振りとは別に熱の籠った眼差しからは戯れや偽りの気配が感じられず目を逸らすことが出来ない。自分でもこんなことを聞いてしまうのは愚問だったと思っている――思っている「 けど…その目はズルい…。」期待してはいけないことまで求めてしまいそうで、それは必ず貴方を困らせる結果になると予期しているからこそ切なさに瞳が揺れる。「 ガウェイン少佐、貴方の副官は思いのほか分を弁えない単純な奴かもしれないぞ。」元から抵抗しようなどという気は毛頭ないが、掴まれている手と言わず全身の力を抜いて自分に呆れるように深呼吸に近い溜め息をつき。 )
確信が欲しい。お前の口から聞きたいんだ( 意地を張ることなく、ストレートに本音を告げる。無論その中には、羞恥に悶える貴方の反応を見たいという下心も多分に含まれているのだが。しかし、いくら無自覚とはいえ甘えるような目付きを向けられてしまえば、自身の中の加虐性も多少は鳴りを潜め、それ以上の追及はせず。「 俺は戦士にしろ策士にしろ、貪欲な奴を好む。お前の俺に対する野心はこの程度か? 」揺れる瞳を見つめても尚、己と情熱は揺らがない。その熱はやがて決意に変わり、そしてどうしようもなく貴方を我が物にしたいという凶暴なエゴにまで昇華され。脱力した貴方の股の間に片足を差し込み、自身の太腿に座らせるような形で貴方の重さを支えつつ、無骨な手で優しく顎を掴み、上を向かせて「 グラン、お前が好きだ。お前が欲しくてどうしようもない。…嫌なら拒め 」万感の想いを真っ直ぐで飾り気のない言葉に乗せ、すっと目を細めてはゆっくりと顔を寄せて。抵抗されないのなら、そのまま唇を重ねよう)
俺は…殉職されたと聞く前任の副官を忘れる為に配された駒の一つだと思っていたから、少佐が俺に気持ちを傾けることなんて一生ないと思っていた…。( 人から好意を向けられることに慣れていない未熟な器は甘やかな熱を注がれるとあっという間に容量に達し、例えるなら表面張力によって少しの刺激でもゆらゆらと不安定に揺れる水面のよう。好きだ、という言葉が鼓膜に触れると無意識に蓋をしようとしていた想いが堰を切ったように溢れ出し。嫌なら――という貴方の言葉を最後まで待たずして身体が勝手に動いていた。足の間を埋められ、顎を掴まれているとは言え上半身が全く動けないわけではない。足を入れられたことでより密着する形となった上体を衝動のまま前傾に、グッと首筋を伸ばすだけ。それだけで貴方に触れられる。熱いと言われた唇で重ねるだけの口付けを、ほんの一瞬。「 どうしよう……貴方からの言葉が嬉しくてたまらないんだ…。」唇を離し、貴方の瞳に素直な心境を漏らせば、そのまま額をコツと合わせ、もっと触れたいという欲求を落ち着かせるよう閉じて。「 俺は…貴方だけがいい。ガウェイン少佐以外のものになりたくないし、貴方にも俺以外見て欲しくない…。」他の誰に言われたとしても、こんなにも強く渇望する事はなかったであろう想いを吐露し。 )
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